2016年12月 5日 (月)

免疫療法は膵臓がんに効果があるのか?

京都:しょうざんリゾート庭園


今日からまた出張で、ホテルで書いています。

あきらめない!がんが自然に治る生き方

タイトルはいささかいかがわしさを感じますが、内容はまじめなサイトです。運営しているのは、産業医科大学 第一外科 学内講師の佐藤典宏(さとうのりひろ)医師。

膵臓がんに関する記事が結構多いです。

12/4付の記事『「切除不能膵癌に対して免疫療法は推奨されるか?」膵癌診療ガイドライン2016年版より』では膵臓がんの免疫療法に関して、ガイドライン2016を参照して紹介しています。

結論から言えば、どの免疫療法にも、膵癌に効果があるというエビデンスはありません。

切除不能膵癌に対して生存期間の延長を考慮した場合、一般臨床として免疫療法を行わないことを提案する(推奨の強さ:2、エビデンスレベル:C、合意率:94.9%)

合意率が100%ではなく、一人ほどの「反対」意見もあったようですが、現時点では免疫チェックポイント阻害剤についても膵臓がんに対する有効性を証明したものはありません。しかし、ClinicalTrials.govでは世界中で膵癌の免疫チェックポイント阻害剤に関する多くの臨床試験が行なわれているようですから、期待したいですね。

膵臓がんに免疫療法が効きにくい原因の一つに、間質(かんしつ)というがん細胞のまわりを取り囲む固い組織があります。
膵臓がんでは特に間質が分厚く、このためがんと戦う免疫細胞ががん細胞の近くまで到達しにくいと考えられています。

これは前回の記事でも取り上げたことですが、間質を突破するためにハイパーサーミア、EPAが有効と言われています。

2016年12月 4日 (日)

今日の一冊(61)『ケトン食ががんを消す』

ケトン食ががんを消す (光文社新書) 最近何かと話題になっているケトン食によるがん療法を紹介した本です。「悪者扱い」されてきたケトン体の項には、

極端な糖質制限をベースとする私の免疫栄養ケトン食は、糖尿病の合併症を持つがん患者さんには、原則適用されません。
肝臓にがんの原発巣を抱える患者さんも、免疫栄養ケトン食は適用されません。

と書かれています。これじゃ血糖値が異常な膵臓がん患者には適用できないですね。

帯には「世界初の臨床試験で実証」と書かれています。

  1. 2011年7月から、アイオワ大学と米国国立衛生研究所(NIH)などによって、肺がんとすい臓のステージ4に対するケトン食の効果や安全性(通常の化学、放射線治療と併用)を検証する臨床研究が進められています。17年7月に第1回の報告が予定されています。私も楽しみにしています。
  2. ClinicalTrials.govで「Ketogenic & Cancer」で検索しても、19件のヒットがありました。世界ではがんとケトン食の関係で多くの臨床試験が行なわれているのです。
  3. 日本でも昨年10月、京都市で開かれた「第53回日本癌治療学会学術集会」で、大阪大学大学院医学系研究科漢方医学寄附講座、萩原圭祐准教授らによって「肺がん患者におけるケトン食の有用性と安全性についての検討」が発表されています。5症例のうち2例(▽ケトン食継続中▽ケトン食3カ月経験の後に糖質控えめの食事を継続中)では、がんが寛解しています。

1.と3.はこの本でも触れられ紹介されています。

この本で紹介されている臨床試験も3.と同様に「症例研究」であり、ランダム化比較試験ではないということは留意しておくべきです。しかも抗がん剤とケトン食との併用です。本来は、抗がん剤だけのグループと抗がん剤+ケトン食のグループで比較しないかぎり、ケトン食ががんに効くとは言えません。

大津秀一医師もそのように批判しています。「がん細胞を兵糧攻め!「究極糖質制限」の威力 という記事を読み解く メディアが流す情報の吟味が大切

もっともな指摘ですが、しかし、1回の勤務医ではそんな大規模な試験は無理でしょう。しかも食事療法ですから製薬企業から研究費が出るはずもありません。

それに著者はこのように述べています。

ケトン食は単独でがんに効くのではなく、抗がん剤治療などとの併用で飛躍的な効果を発揮する可能性があるのです。

ま、食事だけでがんが治ることは難しいでしょう。しかし、がん患者としては併用であれ単独であれ、がんが消えてくれればよいのです。ケトン食単独の抗がん効果を敢えて証明してくれる必要はありません。

ステージⅣbでケトン食を3ヶ月継続した患者9例の1年後の評価は、3例がCR(完全寛解)、3例がPR(部分奏功)、1例がSD(進行抑制)、2例がPD(増悪) による死亡と、奏効率が67%、病勢コントロール率が78%という結果になりました。(腫瘍が縮小して手術に持ち込めたからですが)。2016年2月現在で、7人のうち手術まで持っていけたのが5人。そのすべてが完全寛解(CR)に至りました。

標準治療でステージⅣbの患者の3分の1が、手術ができるほどに腫瘍が縮小し、寛解するなんて、あり得ませんよね。大津医師の指摘はちょっと的が外れている気がします。

以下にいくつか気になる点を挙げておきます。

  • 「免疫栄養ケトン食」は短期決戦。3ヶ月以上続けてはいけない
  • 小児の癲癇治療に特化した食事療法でケトン食による重篤な副作用が報告され、代表的なものは、体力の減退、嘔吐、下痢、便秘ですが、低血糖による意識の低下や昏睡なども見られます。長期の実施になると、稀に成長不良や微量元素の不足によって不整脈を誘発することもあります。最近ではケトン食を1年以上継続した癲癇の子供が死亡したケースが報告されています。長期間にわたる極端な糖質制限が、危険を伴う理由がここにあるのです。
  • と、著者は副作用での死亡例を重視、しかし江部康二医師は副作用は軽微との認識で異なっている。
  • EPAには、がん細胞が増殖するために、自ら血管を増やす「血管新生」を抑える働きがあり、転移を起こしにくくしたり、がん細胞のアポトーシス(自然死)を誘導したりする効果があることも確認されました。  ようするに、EPAには、がん細胞の炎症反応(CRP値)を抑制し、悪液質を改善させる力があるだけでなく、がんの進行をブロックする働きもある。
  • 体内の深部にあるすい臓のがんは、固い繊維芽細胞で覆われており、これによってがん細胞への抗がん剤や免疫細胞の侵入がブロックされたりするのです。すい臓がんの治療が難しいとされる理由です。
    しかし、この繊維芽細胞の質を変えることで、すい臓がんと言えども、抗がん剤や免疫細胞の侵入をスムーズにすることが可能になります。たとえば、ハイパーサーミア(局所温熱療法。後述)には、すい臓がん細胞周辺の繊維芽細胞同士の結合を緩めて隙間を生じさせる働きがあります。
  • ゲルソン療法に限って言えば、抗がん剤がまだ開発されていない戦前に産声を上げたものです。
  • ニンジンニュースは糖質が多く含まれている。ケトン食とは真逆です。
  • 現在のゲルソン療法でも、抗がん剤治療後のすい臓がんの患者さんには、ゲルソン療法そのものを中止しています。(私も何度も記事で注意している)
  • がんができたら肉を食いなさい。
  • ビタミンDは一日5000IU以上が必要。
  • 私の患者の中には、TS-1との併用ですい臓がんの進行がほぼストップしている患者が数人います。
  • 牛蒡子のサプリメントとリポトール(スタチン製剤)を勧めた余命1ヶ月と宣告されたすい臓がん患者では、腹水が消え、2年経った現在でも元気です。

ケリー・ターナーは『がんが自然に治る生き方』で、自然寛解した患者が実行している9つのことの最初に、

  • 食事を根本的に変える

を挙げているのですね。

ケトン食=スーパー糖質制限食ですが、私自身はずっと糖質制限を続けてきました。その経験からも、私がもし再発・転移してしまった場合には、低用量抗がん剤治療とケトン食を試すことになろうと思います。(どちらもエビデンスはないが、さりとて再発した膵癌に対しては一切のエビデンスはありませんので)

まだ症例研究の段階ですので、過大な期待は禁物ですが、希望の持てる治療法だと受け止めています。しかし、患者が個人で行うには敷居が高いですね。(セミナーがある)

さまざまな代替療法を、根拠を示して紹介しているのも特徴です。中には首をかしげるものもあるが・・・。著者の「免疫栄養ケトン食セミナー」を開催しているバイオロジックヘルス(株)のサイトもいかがわしいね。

水素水はまぁ、がんに効く可能性はあるから良いとして、磁気治療器や波動測定器まで扱っている。電磁波対策も。これほど怪しげな商品と同列にセミナーを並べて平気な著者の感覚を疑いますね。

この本、興味深いこともたくさん書かれているが、怪しげなこともたくさん書かれている。足湯の効用などは安保徹氏とそっくりです。

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柴犬が鳥のさえずりを

柴犬が鳥のさえずりを聞いているだけの動画ですってんだけど、これ、いいね。癒されます。

2016年12月 2日 (金)

今日からインスリン注射

月曜日の血液検査の結果、C-ペプチド値(CPR)が0.8ng/mL(基準値 0.8~2.5)
空腹時血糖値が199mg/dLでしたので、CPI=0.8/199*100=0.4

つまり、私の膵臓はインスリンをほとんど出していません。手術で残ったわずかな膵頭部から、これまではインスリンを出していたのですが、もう限界のようです。まぁ、9年半よく頑張ってくれました。

体重の減少はこれが原因ですね。

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このようなインスリンの働きができていないから、肝機能も少し悪くなり、筋肉が減少し、脂肪がつくれないわけだ。

CPI(C-ペプチド インデックス)に関しては、

CPI<0.8:インスリン治療が必要
0.8<CPI<1.2:インスリン治療をした方が良い
CPI>1.2:食事・運動療法と経口薬でコントロール可能

との、富山大学戸邊一之先生の試験データがあります。

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私の場合0.4なので、躊躇なくインスリン注射を受入れました。

しばらく膵臓を休ませたらインスリンから離脱できる可能性は訊いたのですが、「通常の2型糖尿病患者でも離脱できるのは20%程度、あなたの場合は膵臓がほとんどないのだから、期待はできないだろう」との説明でした。ただ、「あなたには予想外の幸運がつづいているから、絶対にないとは言えないね」とのこと。

一生インスリンのお世話になるわけです。膵臓を全摘した方は直ちにインスリンのお世話になるのですから、10年近くそれを延ばすことができことを幸運だと受け止めるべきでしょう。

インスリンは時効型の「トレシーバ注 フレックスタッチ」を使うことに。つまり、基礎インスリンを補ってやり、食後にはこれまで通りグルファストを服用して食後の高血糖を押えることになります。

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取りあえず4単位から初めて、朝の血糖値を見ながら増減していきます。

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過去の血液データを見ると、朝の血糖値が1年前には120~130位で推移していたのが、最近は160~200です。体重が右肩下がりになったのが、ここ半年くらいですから、1年~6ヶ月間で膵臓が音を上げたのでしょう。

その間食後高血糖によるグルコース・スパイクが続いていたわけで、続けていると動脈硬化からの脳卒中、心疾患になるリスクが高くなります。がんの再発のリスクも高くなる。

私は100歳まで生きてがんで死ぬのが理想だから、がんは良いが、脳卒中で寝たきりは御免被りたい。インスリン注射はがんのリスクも高めるが、それは想定の範囲内。

インスリンで「生かされるままに、生きていく

しかし、低血糖には要注意です。



2016年11月30日 (水)

インフルエンザ

京都しょうざん庭園


娘がインフルエンザに罹ったようで会社を休んで寝ている。昨年も娘からインフルエンザになり、家族に遷った。

本人はマスクをしているが、飛沫拡散防止のためで、家族の誰もマスクはしない。インフルエンザワクチンもしない。あれは予防ではなく、罹ったときの症状を緩和するだけ。しかも副作用で寝込む人もいる。

マスクに賛否両論あるが、欧米ではほとんどしていない。日本だけの現象ではなかろうか。勝俣医師はこのように書いている

抗がん剤治療中は、マスクをつけることや、生ものを避けることなどを、病院から指導されることが多いと思います。このマスク着用や、生ものを食べないようにすることの医学的根拠が乏しいとして、最近の海外の診療ガイドラインではする必要がないと記載されています。

たまには良いことも言う。でも、抗がん剤中は看護師が「マスク、マスク」と言うし、マスクをしている患者がほとんどですね。皆さん素直です。私はへそ曲がりだから、GEM中も一切マスクはしなかった。

だいたい、カラス天狗のようなN99マスクなどしたら、”歩くという激しい運動”などできはしない。できているのは、マスクの隙間から空気が入っているからであって、完全に密着させたら窒息するのではなかろうか。インフルエンザウイルスは空気感染はほとんどしないというし、飛沫拡散防止なら、病院で無料で配布している不織布マスクで十分だ。

厚生労働省のサイトにも、インフルエンザにマスクは有効とは書かれていない。罹った人のエチケットとしてマスクをしましょうといっているだけ。

うがいについても同様。うがい薬は使わない方が良い。返って免疫力を低くすることになる。風邪の予防なら水うがいだけで十分。しかし、水うがいもインフルエンザに対して有効だという統計的証拠はない。

うがいはインフルエンザの予防に有効?

このような記事が出る前から、私はインフルエンザの予防としてのうがいはしていない。(風邪っぽいときにすることがある)

手洗いはインフルエンザ感染の予防法として大切です。しかし、これも薬用石鹸・抗菌石鹸を使う必要はないし、使ってはいけない。普通の石鹸で十分です。FDAは抗菌石鹸の販売を禁止しました。(金魚さんのブログにも紹介されている)

FDA医薬品部のジャネット・ウッドコック氏は以下のようにコメントしています。

抗菌せっけんには細菌増殖を防ぐ効果があると消費者は考えているかも知れないが、通常のせっけんと水で洗うよりも有効であることを裏付ける科学的根拠はない。そして、殺菌剤が長期的には益より害になる可能性を示したデータもある。

結局私のインフルエンザ対策は、普通の石鹸での手洗いだけ。

抗がん剤治療中でもマスクは不要だが(有効性は証明されていない)、でも心配ならすれば良いと思う。有効性が証明されていないということは、無効と決まったわけではないからだ。誰の迷惑になるわけではないから、すれば良い。

人混みを避けて、栄養を充分に摂って、早く寝る、これが一番の対策。病院は一番罹患する可能性が高いから、できる限り行かない方が良い。

«夕食はスーパー糖質制限食

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