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2008年12月

2008年12月31日 (水)

今年の締めくくりと来年の予想

このブログも開設以来35000のカウントになりました。一日平均で300人、多いときにSdim0122 は600人の方に閲覧していただくようになりました。膵臓がんは年間で約2万人の新たな患者さんが生じて、年間で2万人の同じ数の患者さんが死亡しております。癌の中でもそれだけ厳しい膵臓がんですが、多くの患者さんがあきらめずに何か手立てはないかとインターネット上で情報を集めているのです。

そんな癌患者さんに、私の経験や治療に関して考えてきたこと、やってきたこと、あるいは生きるとはどういうことか、癌を得てこれからの人生をどのように過ごそうとしているのかなど、悩み迷い右往左往しながらの私のサバイバーへの旅日記ですが、少しでも参考になっていただけたらこんなに嬉しいことはありません。

来年はどのような年になるのでしょうか。自分に関しては再発・転移をすることなく、桜が見られて、61歳の誕生日を迎え、お盆には父母の供養ができて、秋には日本のきれいな紅葉を写し撮ることができ、そしてまた正月を迎えることができるだろうか。そうしなければならないと覚悟を新たにしています。

日本と世界はどうなっているのでしょうか。Sdim0097

世間で「新自由主義経済」がまだ有効で、「市場に任せておけばすべて はうまくいく」と思われていた今年の1月以来、このブログでは時折それへの批判を書き続けてきた。アメリカのサブプライムローンの破綻、アメリカ式の金融経済の破綻が、今では誰の目にも明らかになってきた。「公から民へ」のかけ声の下、教育、医療など公共的な部門に「資本の論理」を持ち込んで、己のみ利益を上げようとし続けてきた大資本が作った商品を買ってくれるべき購買層がいなくなってしまった。作った商品を買う中産階級がいなくなれば資本主義経済が成り立たなくなるという、あまりにも単純で、冷酷な事実を前にしては、キヤノンの御手洗やオリックスの宮内、トヨタの奥田らは、単に欲深いだけの人物であったということだ。

「公から民へ」「市場は間違いを犯さない」と言ってきたその当事者が、アメリカ政府に対して緊急融資の無心をし、ビッグスリーは実質的に国有化され、社会主義経済のようになってきた。

ここで来年を大胆に予想してみよう。

  • ドルの基軸通貨体制は終わる。ドルが暴落して80年前の大恐慌以上の超巨大恐慌がくる
  • ドルも円も、すべての紙幣が紙くずとなり、もちろん株券も紙くず同然となる
  • ユーロ、中国元、円の多重的な基軸通貨体制になる。日経新聞の為替レート欄が、円・ドルレートから、円・人民元レート表示に代わる。
  • アメリカに代わって中国が世界経済の牽引車となってくる。それには時間がかかるのでその間は世界的に悲惨な状況が続く。
  • 新自由主義経済とは一線を画してきて、力を付けつつある中南米諸国が台頭してくる
  • 日本は9月まで総選挙が行われず、自民党と民主党の国民を無視した党利党略のために、世界経済の大転換期に有効な手を打てないで、世界恐慌のもっとも大きな影響を被った国となる。
  • オバマ大統領は、チェンジを実行に移そうとするが、産軍共同体の妨害に遭い思うに任せない。そのため国民の支持が離れようとする。
  • 400発の核弾頭を保有するイスラエルが、いくつかの核弾頭を中東諸国の主要都市とロシアに向けて打ちこみ、第3次世界大戦の危機になる。戦争が恐慌を救う唯一の手段だと考えた産軍共同体の仕掛けた謀略に、世界の世論が傾いたためである。
  • オバマ大統領が暗殺される。

オバマ大統領の暗殺とイスラエルの核弾頭発射は、あって欲しくはないが、相当の確率で起きるかもしれないと思っている。80年前の大恐慌がナチスとヒットラーを生んだように。

新自由主義経済の破綻がこれほどまでに明らかになったのに、日本の政府は未だに気づいていない。米軍基地の辺野古への移転、グアムへの海兵隊の移転に税金をつぎ込もうとしている。アメリカはもう日本の面倒など見ている余裕はなくなるというのに、未だにしっぽを振って10兆円もIMFに差し出したあげくに、ブッシュに会ってももらえなかったピエロのようなアホウ総理大臣、徳川幕府最後の将軍ならむ、自由民主党最後の総裁。

「癌は心優しいメッセージ」であり、これまでのあなたの生活が間違っていたんだよ。これまでの生き方を180度転換しない限り、癌細胞を切り取り、抗がん剤でやっつけることができても、身体の免疫力が弱ったままでは本当に治ったことにはなりません、というメッセージを告げているのだ。

世界経済も同じ。今の恐慌寸前の状況は、これまでの方法が間違っていたんだよ。180度考えを変えなさい、というメッセージでしょう。今気づいたのならまだ間に合うかもしれない。「チェンジ」が必要なのは世界全体です。

「生かされるままに生き」てきたこの1年。
みなさん、よいお年をお迎えください。

2008年12月30日 (火)

『生物と無生物のあいだ』福岡伸一

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

新書大賞とサントリー学芸賞を同時受賞した、福岡伸一さんの『生物と無生物のあいだ』。
本当に文章のうまい人です。化学者というよりは文学者と言ったほうが良いほどです。

前半は、野口英世の日米の評価が二分している話題。日本では偉人扱いの野口英世ですが、数々の病原菌を見つけたという彼の業績は価値のないものだという。ウィルスの見えるはずのない彼の時代の顕微鏡(電子顕微鏡はまだ無かった)を使った実験は、欧米ではほとんど価値のないものとして忘れ去られている。ワトソンとクリックの、遺伝情報を担うDNAの二重ラセン構造の発見にまつわる歴史とエピソードが続くが、なぜこの記述が必要なのかよく理解できない。確かにDNAの二重ラセン構造は、後で出てくる「相補性」を連想させるように思えるが、私には福岡氏自身のアメリカでの輝かしい活躍ぶりを紹介したいだけのように思える。

この本の主題は「生命の動的平衡」という考え方だ。著者が『もう牛を食べても安心か』の中で提起したこの概念を再び拡大して提起している。だから、まったく目新しいことを書いているわけではない。シェーンハイマーの実験を引き合いに、生物を構成している器官は、分子レベルでは常に入れ替わっている。アミノ酸もタンパク質も、その一部の分子が入れ替わるのではなく、一から再構成されて元の位置に納まり直すのだという。人間の場合なら数日から数週間で人体を構成しているタンパク質は分子レベルで、神経も脳細胞も含めて、すべて入れ替わっているという事実を述べた上で、「それではどういう仕組みで生物というシステムの安定性が確保されているのか」と問う。

核心になるのはタンパク質の「相補性」である。タンパク質をジグソーパズルに例えると、ジグソーパズルの一片はその特異な形状の故に、収まるべき箇所は全体の中でただ一カ所だけである。その形状は、周囲のパズル片の形状によって決められている。空いた場所にはその形のパズル片しか収まることができない。タンパク質もまた、それを構成するアミノ酸の数と種類、並び方の順序などにより、アミノ酸の電気的性質、水溶性などの性質により三次元的形状が決まってくる。三次元的形状が決まれば、パズルと同様に、収まるべき箇所は一カ所しかない。これが「相補性」という概念である。これによって一から作り直されたタンパク質が、間違いなく元の場所に収まることが可能になるのである。

熱運動をしている物体(人体もそうである)は、エントロピー増大の法則に従って、最終的には熱平衡状態、つまりはエネルギー的に移動もない安定な状態に落ち着かざるを得ない。これは「死」ということである。人間がエントロピー増大の法則に逆らって100歳まで生きることができるのは、外界から食物を摂り、排泄するという行為によって、分子レベルでのタンパク質、細胞の再構成を行うことにより、エントロピーの増大に抵抗しているからである。つまり生命は「現に存在する秩序がその秩序自身を維持していく能力と、秩序ある減少を新たに生み出す能力を持っている」ということになる。

生命とは動的平衡にある流れである。生命を構成するタンパク質は作られる際から壊される。それは生命がその秩序を維持するための唯一の方法であった。しかし、なぜ生命は絶え間なく壊され続けながらも、元の平衡を維持することができるのだろうか。その答えはタンパク質のかたちが体現している相補性にある。生命は、その内部に張り巡らされたかたちの相補性によって支えられており、その相補性によって、絶え間のない流れの中で動的な平衡状態を保ち得ているのである。

であるとするならば、我々の「意識」とはどこに存在するのだろうか。生命において「自己」と「非自己」はどのような仕組みで識別されるのだろうか。前の問いは、ヒトとは何か、生きているとは何かという哲学的問いに発展するだろうし、後の問いは免疫とは何か、どのようにしてウィルスなどの「非自己」を識別して攻撃することが可能になるのか、「自己」から異常に分裂し始めた癌細胞を「非自己」として識別する仕組みは何か、という問いに発展するだろう。

免疫の意味論

多田富雄は「免疫の意味論」において生命はスーパーシステム、要素そのものまで創り出しながら自己組織化していくシステム、であるという考えを提起している。このようにダイナミックな動的なスーパーシステムとしての生命であるが、しかし人間においては、もう一つ大事な要素がある。それは「精神性」あるいは「心」という要素である。この要素が、タンパク質あるいは細胞レベルでのシステムに大きな影響を与えることができるということが、精神神経免疫学の結論であり、私の考えでは、プラシーボ効果もこうした働きの結果である。「自己治癒力」「自然治癒力」ということも、この動的平衡状態を維持しようとする生命の特徴を別の側面から言ったものであり、私たちの身体に「本来備わっている力」であるということだ。

Dr.ワイルは治癒系が適切に働くためには、「身体性」「精神性「霊性」が重要だという。彼のいう「霊性」は物理的現象以外のことであり、まだ我々人類には未解明であるが明らかにその仕組みあるいは存在が治癒系に影響を与えるのだと考えている。免疫に関しては私たちはまだそのほんの一部しか分かっていない。生命と免疫に関しての知識がもっと確実なものになったとき、「霊性」といわれてきたものの物理的現象の本質と、生命の動的平衡との密接な関連も明らかになるのだろうと思う。そのときが、癌細胞を自己の免疫力で完全緩解させる確実な方法を我々が手に入れる時代となる。

2008年12月26日 (金)

がんペプチドワクチン療法(3)

「日経メディカルオンライン」に『癌ペプチドワクチンをオールジャパン体制で評価』という記事があります。全文を読むにはメンバー登録が必要です。「日経メディカルオンライン」は会員制のサイトですが、登録は無料で、医療従事者でなくても、どなたでも登録が可能です。

11月18日のNHKニュースでのオンエアからしばらく、東大医科学研究所・中村祐輔教授の研究室の電話は、癌ペプチドワクチンへの問い合わせで鳴りっぱなしだった。癌患者や家族から1週間で来た電話は400件を軽く超える。「自分の癌には使えるのか」「どこに行ったらできるのか」といった、すがるような問いに研究室の医師スタッフが逐一対応。中村氏自らも数十人の問い合わせに応じたという。

第四の癌治療法”として喧伝されるものの、有効性を示す明確なエビデンスが得られないまま広がっている免疫療法について、まずはペプチドワクチンで白黒をつけようというものだ。

期待がかかるのは再発・転移予防だが…
 体内の免疫細胞が癌細胞をアタックすることを考えれば、免疫療法で最も効果が期待されるのは、再発・転移の予防。術後、あるいは放射線照射で癌が退縮した状態、つまり少ない癌細胞を圧倒する数の免疫細胞で攻める方が、本来の機能に合った使い方と考えられる。

免疫療法はほかの治療法と組み合わせることで真価を発揮すると考えられるが、現状はあくまで“仮説”。中村氏らのプロジェクトは、その仮説を検証する土台を国内でもようやく作ろうというものだ。

プロジェクトでは、久留米大免疫学講座教授の伊東恭悟氏らのグループが臨床研究および臨床試験を進めてきた「テーラーメード型ペプチドワクチン」も対象となる。

がんペプチドワクチン療法は、本来は再発や転移予防に効果的だと思われるのですが、臨床試験に参加できる条件として、「転移・再発予防を目的とするものではありません」と書かれています。
再発予防ではエビデンスを得ることは難しいでしょうから、この療法の効果を検証するためにはやむを得ないことなのでしょう。

2008年12月25日 (木)

「がんペプチドワクチン」りぶさんの体験記

「体験記」と言っても私の体験ではありません。すい臓がんと乳がんのお母様をお持ちの「りぶ」さんが書かれている『ほのぼのブログ』に衝撃的な内容が記されています。

希望の光となるか?がんペプチドワクチン
希望の「がんペプチドワクチン」であったが…

東京大学医科学研究所附属病院にがんペプチドワクチン療法を申し込みに行かれ、その体験記を書かれています。お母様は結果的に治療対象となりませんでした。そして、

医科研で最初に行われた臨床試験には5名が参加したそうですが、
5名全てが膵臓癌の進行をしてしまったとの事。

● 2名は既にお亡くなりになり
● 1名は連絡がとれず消えたので亡くなったと判断
● 2名は依然として進行している

という事らしいです。。。
ペプチドワクチンは、成績がおもわしくないので敢えてやる理由がない。
というような感じでした。

そもそも「免疫療法」では膵臓癌などを治せないのは、
医学の世界では「常識」らしいです。
世界的に有名な、
米国国立がん研究所ローゼンバーグ博士の2004年の論文が有名ですが、
それはまだ悪い意味で「正しい」らしいです。。。
http://www.j-immunother.com/faq/A.html#03-16

医科研の中村教授がNHK内で言ったような事はウソではないでしょうけれど、
かなり先に可能となるようなある意味本当の意味での"夢"の薬なのかもしれません。

NHKや中村教授が出ているインターネットの動画で、
和歌山県立医大かなんかでペプチドワクチンを受けた患者さんの回復例がありますが、
あれは和歌山県立医大での臨床試験の条件に、
「無治療」という条件がある理由も否定できないそうです。
つまり、
「ジェム+ペプチド」なので、
ジェムザールだけの効く力で回復されているんじゃないか?とも推測できるという事。

と、担当の先生とのやりとりを書かれています。

すい臓がん患者が死亡あるいは進行しているということですから、少なくともがんペプチドワクチン療法はすい臓がんに関してはまだまだ未知数ということでしょうか。
上のリンクは「瀬田クリニック」内のページに飛びますが、私はこのクリニックに関してはあまり信頼をしておりません。詳細は省きますが。

2008年12月24日 (水)

再び、プロバイオティクス

プロバイオティクスについて少し調べてみました。先に結論から書けば、本日からヤクルト400を配達してもらうことにしました。

12月10日「プロバイオティクス」12月16日「臨床瑣談 中井久夫」にも書いたように、「がんの補完代替医療ガイドブック」で、近年、ヒト臨床試験において効果が立証されつつあるものとして紹介されています。

PubMedで次のキーワードで検索しました。

Keyword:probiotics  cancer

「Limits」タブをクリックして、次の条件を与えます。

     Humans       ヒト
     Clinical Trial  臨床試験
     Randomized Controlled Trial  ランダム化比較試験

Pubmed1

Pubmed2
Clinical Trial での検索結果が29件、Randomized Controlled Trial での検索結果が23件ありました。いくつかの重複もあります。

  • 胆道癌の切除後に術後の感染性合併症を減らす
  • ヤクルトのL-カゼイ菌(シロタ株?)の膀胱内注入は膀胱癌手術後の再発予防に効果があった(九州大学医学部泌尿器科腫瘍学グループ)
  • L-カゼイ T-110は膵頭十二指腸切除手術後の患者の術後感染症予防に効果がある(新潟県がんセンター中央病院)

などの結論が書かれた論文が目に留まりました。全てをチェックしたわけではありませんが、単に学会発表や企業の研究発表レベルの論文ではなく、厳密な内容のチェックがされる学術論文として出されていることが確認できました。

ただ、Meta-Analysis では検索にヒットしませんし、Clinical Trial,Phase Ⅰ等でもありませんから、まだまだ研究途中ということでしょう。

ヤクルト菌(学名:Lactobacillus casei Shirota 株)はNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)を活性化し、免疫力を高めるということは相当確かなようです。臨床試験などでもその有効性が認められるようになってきたようです。

正直なところ、これまでヤクルトなんて甘ったるいだけで、メタボに効くとかいうトクホ(特定保健用食品)だろう。眉唾物では?という認識でした。ちょっと認識を改めなければなりません。

日本で手に入るもので一番良さそうなものは「ヤクルト400」でしょう。
(ヤクルトの宣伝をするつもりはないのですが、調べた結果を素直に書きました)

2008年12月22日 (月)

「笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ

笑いと治癒力 (岩波現代文庫―社会)

ノーマン・カズンズは、不治の病と言われた膠原病から、ビタミンCと「笑い」を武器に、五百分の一という奇跡的な回復をした人です。有名な書評誌『サタデー・レビュー』の編集長であり、核兵器廃止運動、環境汚染反対運動、世界連邦運動の指導的活動家でもあります。1956年に広島の「原爆乙女」25人をアメリカに招き、整形外科手術をうけさせたことで日本人に知られるようになりました。

この『笑いと治癒力』は、初めには『死の淵からの生還』と題して出版された、彼の膠原病克服の記録であり、人間の自己治癒力に対する鋭い考察の書でもあります。私自身も毎日朝晩ビタミンC(アスコルビン酸)を1000mgで2回摂っていますが、ビタミンCの治療効果とその根拠が明確に述べられています。

編集長という仕事がら、読んだ医学誌の記事を思い出続・笑いと治癒力―生への意欲 (岩波現代文庫)します。ビタミンCは、免疫作用と自己治癒力を働かせるために必須の構成要素であるという事実。しかし、人類とある種のほ乳類だけが、体内でビタミンCを製造できず、貯蔵もできない。彼はビタミンCを直接静脈に送り込むことを計画します。しかもその量は25グラムという大量投与です。主治医のヒッツィグ博士は驚きながらも同意しますが、血沈量の劇的な減少という形で、効果が顕著に表れます。これらが闘病過程が説得力を持って書かれています。

同時に腹を抱えて笑えるようなテレビ番組を看護婦に映写してもらい、看護婦が集めてきたユーモアの本を読むことを続けます。「笑い」は膠原病特有の痛みを和らげることを発見します。カントは『純粋理性批判』で笑いについて次のように書いています。「大声での笑いは、もっとも重要な肉体の過程を促進することによって、健康観、すなわち腸と横隔膜とを動かす情感、つまりわれわれの感じる満足の内容を成す健康観を生み出し、われわれはそれによって、精神を通じて肉体に到達し、精神を肉体の医師として使用することができる」。

「笑い」が身体の治癒力に働きかけて癌を初めとした病気の回復に有効であるということを多くの人が述べています。書籍を検索しても、『笑いの医力』『笑いの免疫学』『笑いの健康学』『笑顔がクスリ』など、たくさんあります。

薬の歴史はプラシーボの歴史である」ジョージ・ワシントンが瀉血のせいで死亡したように、当時は病気になれば体から血を抜くことが、もっとも効果的だと専門的にも信じられていたように、そして一定の効果があったように、医者や医学界が間違った知識に基づいて治療に当たっていたにも関わらず、患者は回復していたのです。医学の発達していない時代にさえ、祈祷師やまじないだけで多くの病気が治っていたのは、プラシーボ効果によるものだと考えられます。

生への意欲と創造力は、脳内インパルスを発生して下垂体を刺激し、松果体などの内分泌系へ影響することが科学的にも明らかになっています。一粒の「丸薬」がプラシーボ効果を引き起こすことができるのなら、「丸薬」という「使者」がいなくてもプラシーボ効果を起こすことが可能になるのではないかと彼は言います。

生への意欲と創造力を旺盛に持っていた二人の人物、パブロ・カザルスとアルバート・シュバイツァーを挙げます。腫れ上がって曲がったカザルスの指が、ブラームスの「弦楽四重奏曲変ロ長調」を奏でだしたとたんに、指がすっと伸び、背筋がまっすぐになって、驚異的な動きを始めるのです。

この本で彼が言いたかったことは、『患者の責任』ということです。病気に対して人体は「治る能力=自己治癒力」を持っている。それを信じて正への意欲を持ち続けなければならないということ。「ビタミンCと笑い」は、一つの選択肢であり、彼もビタミンCが全ての病気を治すなどとは言っていません。笑っていれば医者の治療などは必要ないとも言っていません。しかし、「笑い」すなわち精神が肉体に影響を及ぼしうることがあるということは、今日では医学界でも認められるようになってきました。彼が治ったのはプラシーボ効果なのかもしれません。しかし、プラシーボ効果で治って、どうしていけないのでしょうかと問いかけます。人類は長い間、心のありようが病気を治すことができるということを信じてきたし、実際に治療効果があったのです。むしろ医学が「治してきた」と信じている大部分はプラシーボ効果なのかもしれません。世界で大量に飲まれているアスピリンでさえ、その効用の原因は分かっていないのですから。

カズンズは膠原病から奇跡的に回復し、また編集長の仕事に戻るのですが、今度は心臓発作を起こして入院します。手術を拒否して身体の再生力を信じて再び勝利します。『続 笑いと治癒力』にはその闘いが紹介されています。

カズンズの大きな過ち

二度の重篤な病気から回復したカズンズですが、彼は大きな過ちを犯しているように、私には思われます。彼は最初の心臓発作から10年後の1990年に、重症の心臓発作で死亡します。76歳でした。最初の心臓発作を起こしたとき、彼はその原因として「分刻みで、忙しく飛行機で全国を飛び歩いていた。ポーターの利用できない状態で重い荷物、長い搭乗手続き、これらが心臓発作の原因だろう」と分析していました。膠原病から回復した後もそのような生活を続け、心臓発作を自己治癒力で克服した後も、病気になる前と同じような生活を続けたのです。「患者の責任」は、第一に病気になった原因を遠ざけることです。病気は自分自身が作ったのですから、回復した後にも同じ生活を続けるということをすべきではなかったのです。心臓発作で死なないためには生活を180度転換すべきでした。これがカズンズが犯した過ちでしょう。

しかし、カズンズの名誉のために書いておきますが、彼は、「今や各人の健康(次の世代の健康も含めて)に対して、病気の克服が決定要因ではなく、むしろ社会が健康であるのかどうか、諸国家の病気が治癒するのかしないのかの方が大きな要因ではないか」と記しています。その言葉通りに平和運動、核兵器廃止運動に積極的に関わっていきます。1987年には広島での谷本清平和賞を受賞するために婦人とともに来日しています。彼にとって、忙しさが命取りになることは分かっていたのでしょう。しかし、「生きのびた者の責任」として「諸国家の病気の治癒」に関心を持たざるをえなかった。

癌になったのだから、これまでの生活態度は改めなければなりません。どうでも良いような会議や付き合い、義理で参加する結婚式や葬儀、そうしたものからは遠ざかりましょう。その時間を自分自身の治癒と幸福のために使いましょう。しかし、ではただ生きているだけで人間は満足できるのだろうか。社会との関わりを一切断つことが、幾ばくかの命を長らえることができたとしても、それが自分にとって満たされた人生だと言えるのだろうか。これはもう個人の世界観、価値判断の問題でしょう。

ただ自分自身の満足できる時間のみに生きる。これもまた正しい人生。たとえ命を縮めることになろうとも、家族のために、会社のために、あるいは社会的に有意義だといわれるような生き方をしたい。これもまた正しい生き方です。

しかし未だサバイバーとは言いきれない私としては、今は癌からの回復が当面の一大事ですから、北杜夫の「船乗りクプクプの冒険」でも読んで抱腹絶倒することにします。

2008年12月20日 (土)

カムイ伝講義

『カムイ伝』についてもう少し書いておきたい。法政大学教授 田中優子氏の『カムイ伝講義』がいま人気だ。法政大学社会学部で週に一回「カムイ伝」を参考書にして比較文化論として江戸時代の日本を現在の日本に対比させて考えてみようという講義だ。 

カムイ伝講義 カムイ伝講義
田中 優子

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江戸時代においても山(森林)はエネルギーの供給源であり、衣食住の源であった。国土の70%を占める森林は、薪と炭の供給源であるとともに、山の幸を人々にもたらした。カムイ伝の時代1650年頃は江戸時代の初期であり、徳川幕府の統治体制も確立してきた時代である。人口の増大によって、山の森林伐採が盛んになり、その結果河川の氾濫、洪水、田畑の流失が起きてくる。カムイ伝にもその様子がリアルに描かれている。

しかしカムイたちは、川の氾濫には「袋堰」という堰の構築法で対処し(これは正介の発明だと描かれている)、山には植林をすることで洪水を避ける知恵を持っていた。コンランド・タットマンは「日本人はどのように森を作ってきたか」の中で、日本の森が奇跡的に残っていることに驚愕している。富山の常願寺川を踏査したデ・レーケが言ったとされる「これは川ではない、滝である」という有名な台詞を待つまでもなく、日本の川は急峻であり、森林の保水機能がなければ雨はすべて海に流れ込んでしまう。森林の荒廃によって滅んだ文明は多くあるが、日本のような地形で未だに70%もの森林が残っているのは奇跡的なことだというわけだ。「カムイ伝講義」には、農民が利口で勤勉であり、「寄り合い」などのコミュニケーションにも優れたものを持ち、必要なら(首謀者は死罪になる)一揆も辞さないという気骨を持っていたことが書かれている。

樹海―夢、森に降りつむ

日本の林野行政は、この先人たちの労苦を粉みじんにするようなやり かたである。金にならないからということで森林は放置され管理も行き届かない。国有林でさえそうで、ブナの原生林が切り倒されていく。こんな林野行政に真っ向から反対を貫いた人物がいる。富良野の「東京大学北海道演習林」の高橋延清さんだ。「どろ亀さん」と呼ばれた高橋さんは、東京大学教授でありながら博士論文も書いたことが無く、一度も本郷の教壇に立ったことがないという不思議な先生だ。林分施業法」という天然林の育成理論を作った世界的にも有名な先生だ。童子のような心を持ち続けた人でもある。

 二度童子(わらし)になって

 老いて
 二度童子になった
 どろ亀さん
 科学者の目を落して
 森の中へ

 見える 見える
 よく見えてくる
 今まで気がつかなかった
 森の中の小さな
 美しいデザインも・・・・・

 
 動かずに
 黙ってすわっている、と
 生きものたちが
 心を開けてやってくる
 仲間にならんか、と

 
 すぐそばに
 小さなザゼンソウ
 仏さまが
 おられるような
 気がする

 
 生と死の哲学を
 乞うても
 何も答えて
 くれないのだが・・・・・

著書の「樹海 夢、森に降りつむ」には、倒木に新しい命がたくまPhoto しく育っている写真がある。

森には
美もあり 愛もある
激しい闘いもある
だが
ウソがない

「生と死の哲学を乞うても、何も答えてくれない」かもしれないが、生と死は、自然においては隣り合わせである。循環である。
「カムイ伝講義」で田中教授は「生と死は生物学的には、生きていることの同じ現象である」という。少し長くなるが引用しよう。

この世に生きる物はすべて、ふとした瞬間に死んでゆく。『カムイ伝』にも多くの死が描かれる。人間の死も、生態系を成す動植物の死も、実に何気ない。この物語においては、たとえその要因がいかなるものであるにせよ(激しい闘いの末、不慮の事故、あるいは病など)、死はあっという間の出来事として描写(記録)される。先ほどまで生きていた者が、次の場面ではもう地面に伏している。このように「現象」としてのみ観察すれば、「死」は、それ以上でもそれ以下でもないことがわかる。『カムイ伝』の作者(白土三平)は、まず、これを繰り返して提示している。
 武士の妻子がカムイによって殺される場面がある。この時も、彼女たちの殺され方に驚いた。それがあまりにも、あっけなかったからである。やはり作者の意図であろうか。それでも物語は淡々と進行してゆく。だが、さすがにこれでは腑に落ちない気がした。そこで、その死に対して私は解説を試みた。何らかの意味を持たせようとした。しかし「そこに意味がある」と考えるのは、やはり人間だけなのである。
 「生き物の視点」から、死はどう見えているのか。この地平から見つめる限り、死は、生きていることと同義の現象に他ならない。もはやそこに明確な区別はなく、つきつめてしまえば、「生」も「死」も結局、存在しないということになるのである。生き物が誕生し、そこで生命活動を営み、やがて土に還ってゆく。現象はこれに終始する。しかしその過程に、人はあえて「生」と「死」という名前を与えた。確かに漠然としたイメージを抱くとき、両者には決定的な違いがあるように思われる。やはりこれらは明確に区別さるべきものなのであろう。ところが、それでも「生き物の視点」に立ち返ると、やはり両者は同じ現象ということになる。これでは、理解し難い。対立している概念が、一方では同義を示すとなると、矛盾が生じてしまう。

ガン患者において、正しい死生観を持つ重要性を説く人は多い。サイモントンもワイルも同じだし、「ガンに打ち勝つ患者学」のアンダーソンも同じだ。「死を受け入れる」ことは「死に降伏」することではない。自然界の当たり前の現象なのだから。

処刑人から医者になった冬木道無。おふう様とう恩人を、処刑人であるが故に槍で突き刺さなければならなかった彼が、妻と子供を惨殺されて、不知火党という盗賊(テロリスト)集団の頭領となる。生の残酷と死の残酷を見てきた冬木は昼間は医者、夜はテロリストである。「テロリストはいつでも悪なのか」という問いは、死刑制度を容認している人間、死刑執行人の役を誰かに担わせて、自分は蚊帳の外にいる人間に対して、回答できない問いを突きつけているように思える。

『カムイ伝講義』について「生と死」について書くつもりが、「どろ亀さん」の話になり、わけが分からなくなってきたが、まぁいいか。いつものことだ。

2008年12月17日 (水)

新しい腫瘍マーカ(北大)、がんワクチン臨床試験開始

膵臓がん関係にニュースが二つありました。

●肺がんや膵臓がんを判定する診断マーカの新しい技術を北大と塩野義製薬が開発した
扶桑薬品工業が、がんワクチン製剤の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始した
というものです。
オンコセラピー・サイエンス(株)は東大の中村教授のがんワクチンに関するニュースでも出てきた会社ですね。

肺・膵がん告げる“ひげ” 
2008年12月17日(朝日新聞)

■細胞表面の糖鎖 有力な診断マーカー候補
 ――北大大学院・塩野義製薬の共同研究

 北大は16日、診断が難しい肺がんや膵臓(すいぞう)がんを判定する診断マーカーの有力な候補を見つけたと発表した。同大学院先端生命科 学研究院の西村紳一郎教授らのグループと塩野義製薬の研究。マーカーの候補は、人体の細胞の表面にひげのようについている糖鎖というもので、実用化に向け て今後、臨床での研究などを進めたいという。

 糖鎖は、ブドウ糖などさまざまな糖が鎖状に連なった物質。細胞ががん化すると糖鎖の本数が変化したり、枝分かれが進んだりすることが近年わかってきた。この変化をシグナルとみれば、糖鎖をがんなどの診断に使うことも可能になる。

 西村教授らは、血液の中から糖鎖だけをまとめて切りだしてスピーディーに解析できる新たな装置を開発した。これを使って昨年すでに、血清1滴で肝がんかどうかをほぼ確実に見分けられる、肝細胞がんの診断マーカーの候補を見つけている。

 今回は肺がんや膵臓がんで、がんになると、ある特殊な構造の糖鎖の量が著しく減少していることを見つけた。肺がん患者20人と健常人17 人、膵臓がん患者15人と健常人22人を比較したところ、それぞれ1種類の糖鎖の量の違いによって90%以上の確率でがんかどうかが判定できたという。

 さらに、同大学院医学研究科の整形外科のグループと共同で、関節リウマチになると顕著に量が増える糖鎖も発見。マーカーの有力な候補になりそうだという。

 西村教授は「肺がんや膵臓がんは早期発見や診断が極めて難しいという。(今回の発見で)オンリーワンのマーカーが開発される可能性が高いと思う。実用化に向けた応用研究を進めたい」と話している。


新生血管阻害剤OTS102 第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ

                                                                   扶桑薬品工業株式会社

当社とオンコセラピー・サイエンス(株)(OTS 社)が平成17年4月4日に契約を締結し、OTS 社において開発中の、癌治療用「新生血管阻害剤OTS102」の第Ⅰ相臨床試験で安全性の確認を得て予定通り膵癌を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始いたしますので、お知らせいたします。

「新生血管阻害剤OTS102 について」

悪性腫瘍(癌)は、際限なく増殖して周辺の正常組織を破壊するとともに、近くにあるリンパ節や遠く離れた臓器にも転移します。癌が、このように成長して生命を脅かすような存在となるためには、自らを養うための酸素や栄養素を運ぶ血流が豊富であることが必要です。そこで癌細胞は、いろいろな因子を分泌することにより新しい血管を増やす性質を持っています。これを妨害して腫瘍の成長を阻むことができるのが新生血管を阻害する薬剤(新生血管阻害剤)で、新しい考え方の癌治療薬として近年注目を集めております。
OTS102 は上に述べた新生血管阻害剤の一種ですが、これまでに他社にて開発されてきたものとはまったく違う作用機序を利用したものです。腫瘍の血管新生に関わる重要な遺伝子であり、癌細胞の生存と成長に必要な新生血管の内皮細胞に高発現し、正常組織にはほとんど発現していないVascular Endothelial Growth Factor Receptor 2(VEGFR2)というタンパクの一部からなる薬剤です。その投与により腫瘍への栄養を供給している新生血管内皮細胞に対する強い免疫反応が誘導され、抗腫瘍効果を示すことが動物実験で示されております。また、癌周辺にはVEGFR2 を持つ新生血管が多数存在することが多い反面、通常の成熟化した正常血管はVEGFR2 をほとんど持たないことから、OTS102 は癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になることが期待されております。
今回開始いたします臨床試験は、承認申請を視野に入れた第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験で、局所進行膵癌及び再発膵癌患者を対象とする二重盲検比較試験として、膵癌患者の生存期間を延長できるかどうかを検証いたします。本試験をPEGASUS-PC Study (ペガサスPCスタディー;Phase II/III
clinical trial using VEGFR2-epitope PEptide and Gemcitabine in patients with locally Advanced,metaStatic, or UnreSectable Pancreatic Cancer)と名付け、全国26 施設で臨床試験を施行いたします。
今回の臨床試験の対象となる膵癌は、罹患数と死亡数がほぼ等しく、5 年生存率は6.7%(がんの統計,2008 年)と非常に予後不良な癌であり、新規の治療法が強く希求されております。OTS102は上述のように癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になり得ることから、膵癌に対する極めて有効な治療法となることが期待されます。
                                                                                           以 上

2008年12月16日 (火)

臨床瑣談 中井久夫

臨床瑣談

精神科医であり、ギリシャの詩人カヴァフィスの詩集を翻訳出版するなどの活躍もしている中井久夫さんは、「膵臓疾患を発見する最大の秘訣は何か。それは膵臓の存在を忘れないことだ。」と書いている。「沈黙の臓器」膵臓は、癌になっても自覚症状はなく検査でも見つかることは少ない。だから膵臓の存在を意識しておくことが必要だろうというのだ。

こうした意識を持っていた彼が、十数年前に、彼の教え子である若き女医が肝臓癌の疑いをもたれたとき、「膵臓がんではないか」ということで内科医の診断に異議を申し立てたそうだ。そのおかげか、その女医さんは膵臓がんを早期に見つけることができ、今でも元気で活躍していて毎年年賀状が届くのだと。あるときに訪問を受けて、「だから今でも運転はしないのです。」と言われた。これは、中井さんが「車の運転は交感神経を刺激するからしないほうがよい」と、癌治療の心得の一つとして助言したことを未だに守っているのだという。

臨床瑣談 続

中井久夫さんの「臨床瑣談」にはこうした臨床にまつわる『瑣談(さだん) ちょっとした、つまらない話』が書かれているのだが、内容は「つまらない話」ではなく、ガン患者にとっても興味深いことが多く語られている。

「ガンを持つ友人知人への私的助言」の章では、「闘病という言葉は使わない方がよいのではないか。なぜなら癌と闘うという意識は、交感神経を刺激して免疫力を低下させる」。「顕微鏡下で副腎皮質ホルモンがリンパ球を壊すのを見た。だからリンパ球はストレスに対して非常に弱いのだ」。

「肺活量が大きい人は癌生存率が高そうだ。栄養や血液にたくさんの酸素が供給され、それがリンパ球の活性化に繋がっているようだ」などの指摘はなるほどと思う。胃がんが脊椎に沿ってのっぺりと転移した70歳の男性(肺活量8000)が何年も生存し、社会的活動もしている例などを紹介している。

そういう私も肺活量は多い方である。昨年6月27日のブログにも書いたとおり、癌研での肺機能検査では針が振り切れて(といってもディスプレイ上での画像の針ですが)、検査技師の女性が「こんなの始めて!」と驚いていた。このときの測定値は8000を超えて測定不能だったから、この胃がんの男性よりも私の方が多いということになる。高校時代はブラスバンド部でトロンボーンを吹いていた。(今はチェロを弾いているが、同じ低音楽器であり、どうやらこれらの楽器の音域が私の好みらしい。)肺活量が非常に多いのはそのせいだろうと思う。学校の身体検査で肺活量を計るときに針が振り切れて足りずに二回分けて測定したこともある。未だに癌の転移がないことは肺活量が大きいためかもしれないということになると、これは愉快だ。「ガン患者よ、管楽器を吹きなさい」ということにもなるかもしれない。ドクター・ワイルも「治癒力を高めるために、もしもただ一つだけを、と言われたら何を推奨しますか?」との問いに対して、「呼吸法です。」と答えているから、相通じるものがありそうだ。ちなみにフルートの方がもっと肺活量が必要だ。フルートは出した息の半分しか音出しに利用されない。東京に出てきて大学時代の短い期間だが、私もフルートをやっていた。最近まで、当時質屋で手に入れたイタリア製のフルートがあったが、遣ってしまった。フルートなら女性でもためらいなく練習できそうだ。

プロバイオティクスについては、ヤクルトを勧めている。人体で乳酸菌しかいない箇所が二カ所ある。それは新生児の胃と女性の膣だそうだ。だから少量の乳酸菌飲料を局所に入れれば膣は清浄になる。お産のときなどの感染を防ぐことができる。しかしメーカーがこれを宣伝しないのは企業イメージをおもんばかってのことだという話を、その会社の一社員から聞いたという。膣への乳酸菌飲料はともかくとして、彼はガン患者から相談を受けると乳酸菌飲料ではヤクルトを勧めているらしい。

中井久夫さん自身も前立腺癌を経験している。癌を告知された医者の心境も正直に書かれているが、我々と差がなく驚いて混乱している。癌になった医者である作者の言葉には重みがある。中井さんのガン患者への助言が三つある。

  1. 睡眠を十分に取りなさい
    正常な細胞が細胞分裂をするときに、最も危ない時期を午前2時から4時くらいの時間帯に迎える。細胞ががん化しないためにもこの時間帯は熟睡して体力を回復しておくことだ。
  2. おいしいものを食べなさい
    これは栄養をとることと、病院食などはストレスがたまる一方で治癒には悪影響だという話。
  3. 笑いなさい
    ノーマン・カズンズの「笑いと治癒力」を例にとって、笑いは免疫力を高める。無理にでも笑いなさい。脳をだましてでも笑っていれば効果がある。

笑いと治癒力 (同時代ライブラリー (261))

意外でもあり、当たり前すぎるようでもある助言だが、これで良いのだと思う。私なら、このほかに「歩きなさい」「瞑想をしなさい」「楽しいことをたくさんしなさい」と言うだろう。

「癌細胞は弱くて混乱した細胞です。死ぬべき細胞が死ねず にいるだけです。癌細胞は熱にも弱くて、リンパ球の攻撃にはひとたまりもなくやられてしまいます。」 サイモントン療法のCDにもこれと同じ台詞があり、白血球が癌細胞を対峙するイメージを描くように指導しています。人体では毎日5000個、ある説では数万個もの癌細胞が生まれているそうですが、そのほとんどは自己免疫力で退治されるのです。その攻撃をかわしてやっと生き残った癌細胞もリンパ節で阻止されて、なかなか転移はしないものです。リンパ節転移ということは、癌細胞がリンパ節でブロックされているということでもあるわけです。

最後に「SSM、通称丸山ワクチンについての私見」。中井さん自身も丸山ワクチンを使ったこともあり、丸山博士と会った最後の世代としての責任から、言っておかねばならないという想いが書かれています。医学部教授が癌になったとき、助教授が丸山ワクチンをもらうため、身分を隠して日本医大へ行くのを何度かみたそうです。彼は「ダブルスタンダードではないか!」と怒りを覚えます。中井先生は堂々と医者の名刺を渡して講演を聴きに行ったら、丸山先生から部屋に招かれてお話を伺うことができた。こんな若造に対しても鄭重な応対をしていただいたことに、先生の孤独を感じたといいます。

ある代替医療を標榜するクリニックの前には高級車がずらりと並び、医者や医者の家族らしい患者がクリニックから出てくるそうですから、「医者のダブルスタンダード」は今日でも一般的な現象なのでしょう。

丸山ワクチンに話を戻しますが、中井さんは丸山ワクチンについては好意的な見方です。実際の効果があった(と思われる)患者も見ています。丸山博士自身はこのワクチンを癌の特効薬としては考えていなくて、周囲から「あれにも効きそうだ。これにも」と言われている間にこんなことになってしまった、と困惑していた様子が伝わってきます。

エビデンスとは何か、代替医療はニセ科学か、ここでも問題になりますね。丸山ワクチンはエビデンスがないからニセ医療なのか。当時は選択肢としては丸山ワクチンしかなかった時代です。このときに「エビデンスがないから」といって、藁にもすがりたい患者を切り捨てて良いものなのか。一方で、インチキクリニックが横行している現状との関係をどのように考えるべきなのか。インチキクリニックにも彼らなりの理屈があり、「重症患者しか来られませんから、エビデンスもなかなか確立できないのです」と言われたら、なるほどそういうこともあるなぁ、などと思いがちです。

丸山ワクチンを考えている方には、申請方法とか、書類の作成における抜け道なども書かれており、「臨床瑣談」は参考になる一冊です。

2008年12月14日 (日)

エンデと資本論とカムイ伝

1月13日のこのブログ「クロードアップ現在」2008年 新マネー潮流」でエンデの利子に対する批判を書いた。つまり、

「キリストが生まれた事を喜んだ父ヤコブが1マルクを貯金した。年5%の複利で預けたとしたら、西暦2000年にはいくらになるか?何と、太陽4個 分もの金塊が手に入るというのです。一方、2000年間1日8時間働いて得られるのは金の延べ棒一本分になります。」エンデはこうして「金利」の欺瞞性を 暴露し「複利で増え続ける」ことの荒唐無稽さを突いているのです。

こういう話だが、どうも計算が合わない。私の計算では西暦元年に1マルクを5%の複利で預けて、西暦2000年には、1.05^2000=2.4×10^42 マルクとなる。

  • 1マルクは過去65円から90円の範囲で変動しているが、真ん中程度の75円としよう。
  • 金1gの相場も、1000円から2000円の大きな変動があるが、1500円としよう。
  • 太陽の質量は、1.9891×10^30kg であるが、2.0×10^33gとして良いだろう。

Taiyou_2

なんと、6千万個の太陽と同じ重さの金塊が買えるという計算になる。

4個と6千万個ではまさに桁違いの間違いであるが、しかし、エンデが言いたいこと、金利というものが荒唐無稽なシステムであり、永久に5%の複利で増え続けることはまさに太陽系規模のばかばかしさであるという指摘の本質には何ら影響はない。

しかし、どうしてこんな桁外れの間違いが生じたのだろうか。エンデの発言した言葉を正確に再現すると、

「ある人が西暦元年に1マルク預金したとして、それを年5%の複利で計算すると、現在その人は、太陽と同じ大きさの金塊を4個分所有することになる。一方、別の人が、西暦元年から毎日8時間働き続けたとする。彼の財産はどのくらいになるのか。驚いたことに、1.5メートルの金の延べ棒1本にすぎないのだ。
この大きな差額の勘定書は、一体誰が払っているのか」

(中略)やがてその金利自体が今の経済にとても重荷になってきます。そしてその重荷にやがて耐えられなくなる日がやってくるのは火を見るより明らか(中略)「この経済と金融システムは、いつの間にか、真正ガンが形成されるときの特徴をみんな備えてしまった。
つまり、それは、生き続けるために、常に成長し増殖しなければならないのだ。」 <『欧州知識人との対話』(和田俊訳 朝日新聞社)>

ということです。ここでは西暦元年から西暦2000年までの複利計算だとは言っていない。ではエンデはこのたとえをどこから思いついたのでしょうか。エンデ自身の創作でしょうか。実はエンデはマルクスの「資本論」を若い頃に読破しています。そして資本主義とマルクス主義について次のように述べているのです。

「以前は、ともかくマルクス主義をひっぱりだせば、なんでも進歩的とみなされた。あるいは、自分では進歩的であると考えたものだ。・・しかし現在は大きな危機をむかえている。どうしたらマルクスを使えるのか、いったいマルクス主義は使い物になるのか、さっぱり見当がつかない」

「私は今日の世界はすべて資本主義体制だと見ます。マルクス主義だっていまではみんな資本主義になっています。ただ西側が私的な資本主義であるのに対して国家を単位とした資本主義になっていることだけです」

エンデがマルクスの「資本論」を読み通していたことはこれで明らかです。そして「資本論」の第3巻第5篇第24章「利子生み資本の形態における資本関係の外面化」に次のような記述があります。

「資本とは、永久に存続しそして増大する価値としてその生得の属性によって―すなわちスコラ哲学者の言う隠れた資質によって―、自己自身を再生産し、そして再生産において自己を増殖する価値である、という観念は、錬金術師たちの空想も遠く及ばないドクター・プライスの奇想天外な思いつきに至らしめた。すなわち、かの、ピットが本気にこれを信じて、国債償却基金に関する彼の諸法律において、彼の財政の支柱となした思いつきである。

【原注】“複利を産む貨幣は初めは徐々に増大する。しかし、増大率は絶えず加速されるので、ある期間の後には、想像を絶する速さになる。キリスト生誕の年に5%の複利で貸し出された1ペニーは、今日ではすでに、すべて純金からなる1億5000万個の地球に含まれているよりも、もっと大きな額に増大しているであろう。しかし、単利で貸し出されたとすれば、同じ期間に7シリング4ペンス半にしか、増大しないであろう。今日までわが政府は、第一の道よりも第二の道によって、その財政を改善しようとしてきたのである。”
リチャード・プライス『国債問題について公衆に訴える』ロンドン、1772年

たぶんこの部分がエンデの記憶にあったのではないでしょうか。1マルクではなく、1ペニーであり、2000年ではなく1772年(頃)ということです。マルクもペニーも今はなくユーロになっているのですが、1700年代のマルクと円との関係と言っても、円そのものが存在しない。ユーロになる以前では1マルク78円、1ペニーは0.8円ほどだったらしい。ですから本当に太陽4個だという計算を確認することは無理なようです。

1772年に1億5000万個の地球の質量(=太陽の質量の0.45倍)だったものが、5%複利で太陽4個分になるには45年かかる。つまり1817年頃にはそうなる。先のとんでもない太陽6千万個よりはだいぶ近づいてきた。

【追記】
エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと』の中で、エンデの蔵書の一つ、マルグリット・ケネディの『利子ともインフレとも無縁な貨幣』の中に次のような記述があります。

ヨゼフが息子キリストの誕生のときに、5%の利子で1プフェニヒ(1マルクの100分の1)投資したとします。そして、ヨゼフが1990年に現れたとすると、地球と同じ重さの黄金の玉を、銀行から13億4000万個、引き出すことができるのです。永久に指数的な成長を続けることが不可能なのは火を見るより明らかでしょう。

マルクスを否定したエンデではあるが、すでにマルクスは、エンデと同じ主張を、資本論において展開しているというわけである。マルクス自身は「資本論」において資本主義を頭から否定しているわけではない。むしろ歴史的にも必然的な制度であり、「蓄積欲」を利用して経済発展を遂げるというシステムにより人類は長く悩んできた飢えからも解放されたと説いている。しかし、その欲望から解放されない限り人間の幸福は訪れないとも説いている。釈迦やキリストや老子が説いた「欲を捨てる」ことが「幸福」になるための必然的な道だよということを、剰余価値の発見により経済学的に証明したのが「資本論」ではないだろうか。

いま、ヨーロッパにおいて『資本論』が爆発的に読まれているという。日本においてはまだその兆候はないが、多喜二の『蟹工船』が読まれている。現在の資本主義の悪しき面のみを追求した新自由主義経済の結果が、この格差社会である 。老人いじめの社会である。自殺率世界一の国である。こうした現状を解決する方法を資本論に求めているに違いない。このミゾユウの事態にアホウ総理にも資本論を読んでもらいたいが、普通の人間にとっても難解な書物であるから、普通ではない総理には無理かもしれない。ならば「まんがで読破 資本論」はどうだろう。これなら彼の最も得意とするところだ。

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イギリスでは消費税を減税することが決まったようだ。ところが我が日本の「アホウ総理」は3%の消費税増税を断固としてやるという。アメリカ発の金融恐慌であるが、アメリカでは黒字の会社で労働者を解雇したというニュースは伝わってこない。ビッグ3などの赤字企業では問題になっているが。ところが我が国では減収だとはいえ黒字のトヨタやキヤノンが派遣社員の首を切るという。どうして黒字の会社がこのようなことをするのか、それに対して労働者がどうしてストライキや暴動に立ち上がらないのか不思議だということで、韓国やヨーロッパのマスコミが中部地区に大挙して取材に来ているそうである。

1999年、日経連会長だった奥田碩トヨタ自動車元会長が言っていた。「経営者たるもの、首を切るなら、腹を切れ」と……。トヨタの現経営者は腹を切る心づもりがあるのだろうか。(最もこの奥田さん、最近ではマスコミに噛みついて「報復する」とかいう発言もした人物ですから、話半分に聴いておいた方が良さそうですが・・・)

財源がないと言うが、IMFに10兆円もぽんと差し出した。いったいどこから沸いてきたのか。アホウ総理は打ち出の小槌でも持っているのか。朝日新聞を初めとしたマスコミも「財源は消費税でまかなわざるを得ない。財源がないのだ」という。だが、年間5兆円もの防衛費にはまったく触れない。それ以外に沖縄の基地をグァムに移転するために2兆円が必要だという。防衛費は聖域なのか。「聖域なき財政再建」と言っていたのは誰だったのか。

首を切られても反対できない、かといってこんな世の中を変えるという意識もなく、選挙の投票にも行かないという4割台の投票率。本当に日本人はどうなってしまったのか。こんな日本にするために私たち団塊の世代は、癌になるほど頑張ってきたのはずではなかったのでしょうに。Img012_2

白戸三平の「カムイ伝」には百姓が生き生きと描かれています。百姓とはまさに百の職業、大工もやり、下肥を肥料とするために便所も改良し、そのリサイクルシステムを確立するために問屋にも商人にもなったのが日本の百姓です。「カムイ伝」にはそんな農村の姿が生き生きと描かれている。そして必要ならば寄り合いでコミュニケーションを取り一揆も頻繁に起こしている。

小伝馬町の牢屋敷入れられた抜け忍者の赤目が、牢名 主らのImg013 「作造り」(牢が込んでくると、人減らしのために何人かを殺害した)に堪忍袋の緒が切れて、反対に牢名主らを始末する。終わった後にこう言う。「そういう腰抜けだからこいつらがのさばるんだよ」「忘れるなよ、今日のことを。うぬらのことはうぬら力でやるのだ」とかっこよく言って牢を去っていく。

日本人にはそんな伝統と意気があった。どこの百姓一揆にもそんな英雄がいた。現在の府抜けた状態が異常すぎると言える。眼を覚ませ。こんな世の中を変えたいのなら、現在は投票に行くだけですむ。命がけのことでもあるまいに。

Hen 今年の漢字に「変」が選ばれた。清水寺の森清範貫主が揮毫する写真が報道されている。”Change”が選ばれたことは、この府抜けたような日本にもようやく政治への関心が向いてきたということに違いない。しかし、「変」が現実のものとなるまでには日本人は長い地獄のような経験をしなくてはならないだろう。来年はそのような1年になる。

2008年12月10日 (水)

プロバイオティクス

まだ「書きかけ」項目ですが、このブログの左上にウェブページ「私のがん攻略法」として、いま行なっているがんへの対処方法を書いています。その中にプロバイオティクスもあります。

がんの補完代替医療ガイドブック」で、近年、ヒト臨床試験において効果が立証されつつあるものとして紹介されています。

プロバイオティクスとは、

人間の腸内には多種多様な数多くの細菌が住み着いています。そして、食べ物の消化吸収を助けたり病気を引き起こす菌が増えるのを防いだりして健康に良い働きをする善玉菌と、食べたものを腐らせたり(腸内腐敗)発がん関連物質を生みだしたりして健康に有害な働きをする悪玉菌が絶えず勢力争いを行っていて、このバランスが人間の健康状態を左右していることが最近の研究で分かってきました。つまり、健康な生活を営むためには、腸内の細菌バランスがよく保たれているという事が重要ということになります。
そこで登場したのがプロバイオティクスという考え方です。プロバイオティクスとは、「腸内フローラ(腸管内に生息している微生物群)のバランスを改善することにより、宿主(人間など)に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。つまり、体内の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを保ち、病気になりにくい体を作る予防医学の考え方です。
こう聞いて何か新しい未知の微生物のことを想像した方もいるかもしれませんが、ヨーグルト、味噌、醤油、ぬか漬け、キムチ、チーズなどの発酵食品に含まれている乳酸菌などがプロバイオティクスの代表的な菌になります。

プロバイオティクスは、ヒト臨床試験によってその効果が直接証明されつつある数少ない食品であると思われます。
「がんの補完代替医療ガイドブック」より

乳酸菌などは元々健康な人の体に住み着いているものであり、人類と長い間共生してきた菌ですから、安全性は保証されています。そして次のような効果があるといわれています。

  • ガンのリスクの低減
  • アレルギー症状の改善
  • アトピー性皮膚炎の改善
  • 免疫力の向上
  • 胃潰瘍の原因になるピロリの低減
  • コレステロールの低下
  • 整腸作用による、肌荒れ、吹き出物などの抑制

乳酸菌が、どのようにして免疫力を高めるのか、わかりやすく動画で説明したページがヤクルト中央研究所のサイトにあります。

プロバイオティクスを宣伝している商品はたくさんあります。その一覧がこちらのページで見ることができますが、ヨーグルト・飲料だけで340種類、驚くほどたくさんあります。どれが本当に効果がありそうなのか、これでは判断できません。

英文ですが、BBCニュースにプロバイオティクス製品に関する興味深い記事があります。

英国で販売されている50のプロバイオティクス製品の半分は効果がない。ネスレやダノン、セブンシー、ヤクルトのような大企業の製品は効果があるが小さい企業の製品は効果がないという。

日本では「ヤクルト 400」が一番信頼できそうですが、もう少し調査をする必要があります。

2008年12月 5日 (金)

癌研での定期検査の結果

昨日は半年ぶりの、癌研での定期検査でした。
検査をしないと不安だし、検査をするとなるとその結果がどうなのか、これまた不安になります。検査の結果、再発していたらどうしようか、転移はしていないだろうかと、あれこれと想像します。膵臓がんでは多くの患者が再発・転移をするのですから、私にもそろそろ再発・転移という事態になってもおかしくはないです。

転移・再発していた場合のその後の治療方針を考えて診察に臨みました。

  1. なにも治療はしない。
  2. TSー1の抗癌剤投与をする。これが現在の標準的な治療方法です。
  3. がんペプチドワクチン療法をやってくれる医療機関を探す。
  4. 樹状細胞療法の医療機関を探す。
  5. 休眠療法でがんとの共存を考える。

この中で最も有効だと思われるのは、最近報道もされたがんペプチドワクチン療法でしょう。これなら運が良ければがんの消失=完全治癒も可能です。

血液検査とダイナミックCT検査の結果を待って診察です。
血液検査の結果は、腫瘍マーカーのCEAが4.5、CA19-9が28.7と、前回よりも少し増加しているが正常値の範囲内でした。先生の言うには、「増えたといっても誤差の範囲ですよ」とのこと。
ついでCT画像を出して、スライス画像をマウスでくるくると連続表示しながら見ていきます。私も息を詰めて見ていましたが、「きれいですね。全く問題ないですよ」との言葉。ホッとすると同時に、なんだか肩すかしを食ったような気分です。(人間って勝手なものですね。)
手術後一年半を過ぎて、再発・転移は見られません。

以下はそれ以外の先生とのやりとりです。
○癌研はがんペプチドワクチンへの対応は考えていないのですか?
●理化学研究所と共同ですでに臨床試験も終わっていますよ。これはあなたのような膵臓癌の手術適用例の患者さんが対象でした。これからは手術不能の患者さんへの臨床試験を計画しています。今はその端境期ですが。東京大学医科学研究所の中村教授も元は外科の医者でしたよ。

<しかし、理研のワクチンは樹状細胞療法といわれるものではないかと考えられます。ネットで検索しましが、理研発のベンチャー企業、セルメディシン(株)の「自家ワクチン療法」がありました。これは自分のがん組織がないと治療ができません。樹状細胞療法とがんペプチドワクチン療法は、基本的な考えは同じですが、別のものです。>

○私ががんペプチドワクチンを希望した場合、可能でしょうか?
●理化学研究所に直接申し込んでも大丈夫なはずですよ。ただ、あなたの場合、今ワクチン療法をやる必要はないでしょう。
○18ヶ月たって、転移も再発もしていないのは、成績としてはよい方ですよね。
●そうですよ。膵臓がんの手術適用例で、ASCOのデータだと生存期間中央値は22.8ヶ月です。あなたの場合、既に18ヶ月ですから、仮に今再発・転移しても生存期間中央値以上には生きていることになりそうですから、実際はそれよりも長期間の生存例ということがほぼ確実です。立派な成績ですよ。
○先生の術式が非常に良かったのだと思います。それが一番の要因でしょう。

帰りはゆりかもめで新橋まで出て、年末ジャンボ宝くじを購入。今日の幸運を宝くじにまでつなげたいという、欲張った考えです。夜はチェロのレッスン。今は「虹の彼方に」を練習している。「オズの魔法使い」の劇中歌です。1番パートと2、3番パートのハーモニーが美しい曲です。

ここでもう一度気持ちを引き締めて、これまでの自分なりの治療(玄米菜食・運動・瞑想など)を続けなければならない。油断禁物です。

2008年12月 4日 (木)

初の癌ワクチン外来-久留米大医学部

がんペプチドワクチンの外来が始めてできたそうです。患者の負担も軽減する処置を執っているとか。こうした外来が全国に増えることを期待したいものです。

全国初のがんワクチン外来、久留米大病院開設へ

 久留米大医学部(福岡県久留米市)は3日、来春から大学病院内に「がんワクチン外来」を設置し、全国初のがん患者らへのワクチン療法を始めると発表した。

 がんの治療法は手術で患部を切除する外科療法、抗がん剤を投与する薬物療法、放射線療法の三つ。ワクチン療法は免疫機能を高めてがん細胞を排除する「第4の治療法」として注目される。

 同大の伊東恭悟教授(免疫治療学)、山田亮教授(がん免疫学)らによると、それぞれの患者のがん細胞の表面にあるペプチドと呼ばれるたんぱく質を特定し、同じタイプの「ペプチドワクチン」を患者に投与する。ワクチンががん細胞を攻撃する体内の細胞を活性化、増殖させ、がん細胞を排除する仕組み。

 吐き気などを催す抗がん剤などと違って副作用が少ないほか、週に1度注射するだけで入院も必要ないなど、従来の治療法に比べ患者の負担が少ない。

 前立腺がん、膵臓(すいぞう)がんなどの患者500人余に対する臨床試験で安全性を確認。延命効果が得られた患者も多かったとして、がんワクチン外来の新設を決めた。患者には少なくとも計6回、ワクチンを投与する。

 ペプチドワクチンは医薬品として国の承認を得ていないため、公的医療保険を使えないが、患者の治療費を数十万円(6回分)に抑え、残りは大学側で負担する方針。5年以内の医薬品承認を目指している。

 ワクチン療法は、ほかに東大や札幌医大なども研究しているが、外来を設けるのは久留米大が初めてという。同大の薬師寺道明学長は「どの治療からも見放された『がん難民』と言われる患者への治療法を考えてきた。患者に『第4の選択肢』ができたのではないか」と話している。
(2008年12月4日  読売新聞)

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