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2008年12月17日 (水)

新しい腫瘍マーカ(北大)、がんワクチン臨床試験開始

膵臓がん関係にニュースが二つありました。

●肺がんや膵臓がんを判定する診断マーカの新しい技術を北大と塩野義製薬が開発した
扶桑薬品工業が、がんワクチン製剤の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始した
というものです。
オンコセラピー・サイエンス(株)は東大の中村教授のがんワクチンに関するニュースでも出てきた会社ですね。

肺・膵がん告げる“ひげ” 
2008年12月17日(朝日新聞)

■細胞表面の糖鎖 有力な診断マーカー候補
 ――北大大学院・塩野義製薬の共同研究

 北大は16日、診断が難しい肺がんや膵臓(すいぞう)がんを判定する診断マーカーの有力な候補を見つけたと発表した。同大学院先端生命科 学研究院の西村紳一郎教授らのグループと塩野義製薬の研究。マーカーの候補は、人体の細胞の表面にひげのようについている糖鎖というもので、実用化に向け て今後、臨床での研究などを進めたいという。

 糖鎖は、ブドウ糖などさまざまな糖が鎖状に連なった物質。細胞ががん化すると糖鎖の本数が変化したり、枝分かれが進んだりすることが近年わかってきた。この変化をシグナルとみれば、糖鎖をがんなどの診断に使うことも可能になる。

 西村教授らは、血液の中から糖鎖だけをまとめて切りだしてスピーディーに解析できる新たな装置を開発した。これを使って昨年すでに、血清1滴で肝がんかどうかをほぼ確実に見分けられる、肝細胞がんの診断マーカーの候補を見つけている。

 今回は肺がんや膵臓がんで、がんになると、ある特殊な構造の糖鎖の量が著しく減少していることを見つけた。肺がん患者20人と健常人17 人、膵臓がん患者15人と健常人22人を比較したところ、それぞれ1種類の糖鎖の量の違いによって90%以上の確率でがんかどうかが判定できたという。

 さらに、同大学院医学研究科の整形外科のグループと共同で、関節リウマチになると顕著に量が増える糖鎖も発見。マーカーの有力な候補になりそうだという。

 西村教授は「肺がんや膵臓がんは早期発見や診断が極めて難しいという。(今回の発見で)オンリーワンのマーカーが開発される可能性が高いと思う。実用化に向けた応用研究を進めたい」と話している。


新生血管阻害剤OTS102 第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ

                                                                   扶桑薬品工業株式会社

当社とオンコセラピー・サイエンス(株)(OTS 社)が平成17年4月4日に契約を締結し、OTS 社において開発中の、癌治療用「新生血管阻害剤OTS102」の第Ⅰ相臨床試験で安全性の確認を得て予定通り膵癌を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始いたしますので、お知らせいたします。

「新生血管阻害剤OTS102 について」

悪性腫瘍(癌)は、際限なく増殖して周辺の正常組織を破壊するとともに、近くにあるリンパ節や遠く離れた臓器にも転移します。癌が、このように成長して生命を脅かすような存在となるためには、自らを養うための酸素や栄養素を運ぶ血流が豊富であることが必要です。そこで癌細胞は、いろいろな因子を分泌することにより新しい血管を増やす性質を持っています。これを妨害して腫瘍の成長を阻むことができるのが新生血管を阻害する薬剤(新生血管阻害剤)で、新しい考え方の癌治療薬として近年注目を集めております。
OTS102 は上に述べた新生血管阻害剤の一種ですが、これまでに他社にて開発されてきたものとはまったく違う作用機序を利用したものです。腫瘍の血管新生に関わる重要な遺伝子であり、癌細胞の生存と成長に必要な新生血管の内皮細胞に高発現し、正常組織にはほとんど発現していないVascular Endothelial Growth Factor Receptor 2(VEGFR2)というタンパクの一部からなる薬剤です。その投与により腫瘍への栄養を供給している新生血管内皮細胞に対する強い免疫反応が誘導され、抗腫瘍効果を示すことが動物実験で示されております。また、癌周辺にはVEGFR2 を持つ新生血管が多数存在することが多い反面、通常の成熟化した正常血管はVEGFR2 をほとんど持たないことから、OTS102 は癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になることが期待されております。
今回開始いたします臨床試験は、承認申請を視野に入れた第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験で、局所進行膵癌及び再発膵癌患者を対象とする二重盲検比較試験として、膵癌患者の生存期間を延長できるかどうかを検証いたします。本試験をPEGASUS-PC Study (ペガサスPCスタディー;Phase II/III
clinical trial using VEGFR2-epitope PEptide and Gemcitabine in patients with locally Advanced,metaStatic, or UnreSectable Pancreatic Cancer)と名付け、全国26 施設で臨床試験を施行いたします。
今回の臨床試験の対象となる膵癌は、罹患数と死亡数がほぼ等しく、5 年生存率は6.7%(がんの統計,2008 年)と非常に予後不良な癌であり、新規の治療法が強く希求されております。OTS102は上述のように癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になり得ることから、膵癌に対する極めて有効な治療法となることが期待されます。
                                                                                           以 上

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コメント

ぽぽさま

今回の文科省の動きは、2006年のがん対策基本法の制定が動機としてあるのでしょう。
2006年6月には初の子宮頸がん予防ワクチンが米国で承認され、大きな注目を集め、治療用がんワクチンも欧米を中心に開発が進められており、2007年7月には第1号となる脳腫瘍治療用ワクチンがスイスで承認されています。

しかし、通常の状態ではがん細胞およびがん細胞特異的に存在する分子は免疫系を刺激しません。その理由の一つとして、がん細胞自身が自己の細胞に由来しているため、正常細胞とがん細胞の違いが認識されにくいという考え方があり、また、がん細胞が免疫系の認識から逃れるシステムをもっているという報告もあります。

近年になって、これらに対する対策が可能になってきた(中村教授のペプチドワクチンもそのひとつ)のだろうと思います。

投稿: キノシタ | 2008年12月18日 (木) 11時15分

はじめまして。突然のコメント失礼します。
80歳の父が切除不能膵癌のStageIVaです。

ぶろぐ全体をざっと読ませていただいて、他のどんな膵がん闘病系ブログ(?)よりも共感できる部分が多かったです。お涙頂戴ではなく、あきらめずに最新治療を研究し、なおかつ自然治癒力にも留意する、まるで患者の鏡のような(!?) 姿勢に対してです。更新を楽しみにするブログが1つ増えました。(^^)

OTS社には注目しています。中村教授のペプチド療法も問い合わせを入れているのですが、こちらは新生血管阻害剤でおなじワクチン療法でも別物ですよね? ワクチン療法は米国では効果が望めないとしてあまり活発な研究がされてないそうですが、日本はここに来て文科省が予算をつけて動き出しているのは何か背景があるのでしょうか?
このOTS102も、問い合わせを入れてみようと思います。

父の場合高齢なので治験の対象外と言われる可能性が高いのですが、標準治療(今のところGS療法で収まっています)が行き詰ってしまったら、緩和にいく前に、治験も可能なら試してみたいと思っています。

投稿: ぽぽ | 2008年12月17日 (水) 16時53分

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