« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

2009年5月

2009年5月31日 (日)

メラトニンについて(1)

奇跡のホルモン、メラトニン、

メラトニンは松果体から分泌されるホルモンです。合成されたメラトニンは、アメリカでは栄養補助食品サプリメントの扱いで一般のドラッグストアで買うことができますが、日本やその他の国では医薬品扱いです。

時差ぼけや不眠治療に用いられています。老化現象を防ぐ効用もあるといわれ、20年くらい前に一時ブームになって日本でもいくつかの書籍が販売されたようですが、現在はほとんど世間の噂には上りません。しかし、メラトニンはビタミンEの2倍以上の抗酸化作用があり、ビタミンCのように抗酸化作用があるが、ある場合にはフリーラジカルを作るジキルとハイドの用の二面性がありません。もともと人体で作られるホルモンですから、副作用がまったくといっていいほどないのも特徴です。NK細胞の活性化作用も優れており抗がん作用もあります。実際に乳癌で腫瘍が縮小したというエビデンスもあるくらいです。

健康食品」の安全性・有効性情報におけるメラトニンの記載です。

免疫・がん・炎症

・固形がんに対して有効性が示唆されている。通常の化学療法あるいはインターロイキン-2と併用してメラトニンを摂取すると、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、すい臓がん、胃がん、大腸がんの縮小を促進するという報告がある(PMID:1322155)(PMID:8208518)(PMID:8286206)(PMID:10674014)

驚異のメラトニン

厚生労働省の管轄する機関が出した情報で、「固形がんに対して有効性が示唆されている」と書かれているサプリメントはめったにないと思います。(日本では医薬品扱いですが)リンクしているPubMedの論文も開いてみましたが、確かに統計的に有意な差があったと書かれています。「夜ぐっすりと眠れて、気持ちの良い目覚めを体験できる」のが副作用だというほどの優れたものです。

更にPubMedで、タイトルにmelatonin,cancer が含まれており、かつ、ヒト臨床試験(Humans,clinical trial)との条件で検索すると、1990年から2007年までに32件の論文がヒットします。欧米ではがん治療に効果を上げている様子がうかがえます。

抗酸化作用の他に、免疫力を活性化する作用もあることが明らかになっている。メラトニン一週間服用すると、唾液に含まれる免疫グロブリンAの分泌が250%多くなり、2ヶ月服用するとナチュラル・キラー細胞が240%も増加、腫瘍壊死因子α(TNF-α)が28%、インターフェロンγが41%、インターロイキン2(IL-2)は51%も増加したという。『奇跡のホルモン メラトニン』より。

ガン医療のスキマ30の可能性―大病院はなぜか教えてくれない

しかし、日本ではまったくといっていいほど研究がされていない。CiNiiで「メラトニン AND 癌」のキーワードで論文検索しても、3件しかヒットしない。

アマゾンで書籍の検索をしても、ここ数年はメラトニンの睡眠効果を解説したものがほとんどである。癌とメラトニンの関係を書いたものとしては、先日のブログにも紹介した吉本興業で笑いとNK活性の実験をしたという伊丹仁朗医師の書いた『ガン医療のすきま30の可能性』くらいしか私は知らない。

どうしてこんなに効用のあるメラトニンが広まらないのか。『奇跡のホルモン メラトニン』の作者 ラッセル・ライターは「特許が取れないからだ」という。

メラトニンは脳のほぼ中央にある松果体で作られる人体(その他の動物・植物にさえある)に元々ある物質だから、その物質の効用を試験する製薬会社は現れてこない。莫大なお金をかけて二重盲検法でデータを取って有効性を証明しても、特許が取れないから誰でもが簡単に作れてしまう。現にインターネットでは合成されたメラトニンを安価に入手することができる。企業はすばらしい効用があっても、利益にならなければ手を出そうとはしない。

日本では医薬品扱いであるから、医者なら簡単に入手できるかのというとそうではない。厚生労働省が狂牛病に関してこんな通達を出している。

メラトニン製剤は、我が国では医薬品に区分されているが、現在までのところ、その有効性及び安全性について科学的な資料を整えた上で、薬事法に基づく製造又は輸入の承認の申請を行なった者はいない。このため、我が国ではメラトニンを輸入又は製造することは薬事法により禁じられており、この状況は、欧州諸国 においてもほぼ同様である。

つまり、日本の製薬会社、商社から入手することは、医者でもできない。手間暇かけて製造承認をしても儲けにならないからやらないということです。

(メラトニンの効用などは次回に)

続きを読む "メラトニンについて(1)" »

2009年5月28日 (木)

いまさらですが、癌って何?

Photo

「Keep On! 町工場」 今大田区の町工場がどんどんなくなっています。自動車関連の仕事はほとんどないのです。


癌というのはどういう病気なのでしょうか。いまさらですが。

癌は遺伝子(DNA)の異常から始まります。ヒトの身体は約60兆個の細胞からできており、役割を終えた細胞は死んで(アポトーシス)、新しい細胞と置き換わります。細胞分裂することで新しい細胞ができるのですが、このときある確率でDNAの複製ミスが起きます。このミスは、ある意味では生物にとってなくてはならないものなのです。生物はDNAのミスによって新しい形質を獲得して、環境の変化に耐えられる性質を持つことができるようになり、生きのびることが可能になるのです。(『遺伝子の夢』田沼靖一 などに紹介されています)

DNAのコピーミスから、私たちの身体の中には、毎日5000個ほどのがん細胞ができると言われています。しかし、これらの細胞の大部分は自ら死んでいったり(アポトーシス)、免疫系の細胞によって分解されたりして、増殖することはありません。簡単に言ってしまえば、免疫力が正常である限りはがん細胞が大きくなることはないのです。癌が大きくなったということは、自分の免疫力が癌を根絶することができなくなったということです。臓器移植された患者に免疫抑制剤を投与すると、癌になる確率が高くなるといいますが、これは逆に、免疫力が癌の増殖を抑えていることの証明であると言えます。

つまり、癌とは、私たちのからだ、免疫力が正常な本来の働きをしていないことの結果としての現象なわけです。三大療法といわれる手術・放射線・抗がん剤治療は、この現象としての癌をやっつけることを主眼にしているいわば対症療法ないのです。もちろん三大療法が不要だとか効果がないとかいう意味ではありません。風邪で高熱があるときは、とりあえず体温を下げる必要があります。外科をしたときは出血を止めなければなりません。大きながん細胞はもはや免疫の力だけではやっつけることは難しいので、手術ができるのならした方がよいのです。

現象の奥に潜んでいる法則性を見つけて一般化するのが科学です。例えば物理における万有引力の法則。リンゴが木から落ちるが月はどうして落ちてこないのか、こうした現象を万有引力の法則として取り出すことで、その他の現象にも応用できる理論ができあがるのです。その意味で、現在の標準的な癌治療はまだ科学と言える領域になっていないと思います。モグラたたきのように、現れてきた癌をやっつける(それも不十分にしかできていないのですが)だけです。

癌が見つかったときの治療方法については、三大療法として研究されてきました。また、末期癌の患者へのホスピスなども最近はやっと注目され、いくらかはましになってきました。つまり、癌治療における初めの時期と最後の時期に関しては、ある程度対策が取られているのです。しかし、その中間、手術後の再発防止、あるいは切除できない場合の治療に関してはお寒い限りで、患者は何をどうすればガンの再発を防ぐことができるのか、抗がん剤をこのままやっていて果たして癌が治るのだろうかと不安を抱えて闘病生活をおくらなければならない状態が続きます。こうして多くの癌患者が、怪しげなサプリメントやえせ宗教に走る原因を作っているのではないでしょうか。

手術や抗がん剤は『時間稼ぎ』です。いずれは癌が元気を取り戻してくる前に、これまでの生活習慣が癌を作った根本原因なのですから、生活習慣を180度変えることがガン治療には絶対に必要であり、科学的な治療方法だと言えます。じゃぁ、何をどうすればよいのか。手術を終えた大病院では教えてくれることはありません。せいぜい再発したときにはこの抗がん剤がありますよ、というだけです。

やらなければならないことは、自分の生活習慣を変えるということであり、ごく当たり前のことなんです。食べ物を変える。ストレスを溜めない・頑張りすぎない。栄養を摂る。身体を温めて血流を良くする。ごくごく当たり前のことを地道に続けることです。しかし、癌の特効薬はないと分かっていながら、「魔法の弾丸」を探している癌患者がなんと多いことでしょう。

9.11事件でいえば、ツインタワーに突入しようとする航空機を見逃すことはできないでしょうから、撃墜するなりの対応は必要でしょう。しかし、軍事力によってアルカイダやテロを撲滅させることは不可能です。無理を通して泥沼にはまっているのがブッシュのアメリカです。このように欧米の考え方は、往往にして、当面の現象・出来事に力で対処しようとして失敗するのです。

癌も同じだと思います。当面の敵を手術や抗がん剤でたたく必要はあります。緊急事態ですから。ですから抗がん剤はすべて悪だという主張には私は与しません。しかし、それで万事大丈夫だといえるほど癌は甘くはないはずです。免疫治療やDNAワクチンなど新しい治療方法が取りざたされていて、私も関心を持って調査していますが、これらだけに期待することはやはり「魔法の弾丸」を探すことになります。仮に有効だとしても、癌という現象に対する対症療法にしか過ぎないでしょう。対症療法が必要としている患者もたくさんいますから、大いに期待したいところですが、これをやったらあとは万々歳ということはできないと思います。

産婦人科で妊婦さんが「先生、私の子供を産んでください。お願いします」と言えば唖然とされるでしょう。しかし癌患者で、「先生、私の癌を治してください。お任せします」と不思議なことを不思議とも思わず言っている患者が如何に多いことでしょうか。癌の多くは生活習慣病です。生活習慣病は医者には治せないのです。直せるとも思っていないのではないでしょうか。自分の生活習慣を変えることが、がん治癒への必要条件です。

多くの癌が『生活習慣病』と言われる意味を、良くかみしめてみましょう。

続きを読む "いまさらですが、癌って何?" »

2009年5月22日 (金)

インフルエンザ みんなで罹れば怖くない

昨夜は川崎でのチェロのレッスンでした。駅構内でもマスクをしている人はちらほら程度で、チェロのメンバーは誰もマスクをしていませんでした。他の楽器の教室でもほとんど見かけませんでしたね。

NHKを初めとしたマスコミの大騒ぎは相変わらず続いていますが、少しは報道の論調も変わってきて、「マスクの効果は限定的です」というコメンテーターを登場させるようにもなってきましたから、いくらかは学習したようです。

  • インフルエンザウイルス粒子の大きさ A型、B型、C型
    直径 0.08-0.12 ミクロン
  • ウイルスを含む気道からの飛沫物質
    5ミクロン以上
  • ウイルスを含む気道からの飛沫核物質
    0.3ミクロン以上

* 飛沫核物質:ウイルスを含む飛沫粒子が直径2ミクロン以下になると、空気中で水分が蒸発し乾燥縮小した飛沫核になり、長時間空気中に浮遊し、これが吸入される(空気感染と同義語として用いられることが多い)。

各マスクにおける粒子の透過性(従来型ガーゼマスク)

  • 不織布製マスク(市販製品の主流):5ミクロン以上の粒子
  • N95(医療用):0.3ミクロン以上
  • ナノフィルター(市販されている):0.03ミクロン以上の粒子

空気感染を防ぐには、N95の医療用マスクを使わないと、効果はなさそうです。でもこれ付けてられませんよ。

◆マスク着用により想定される効果

以下の留意事項が現実生活で完全に実行することが前提となるが、実際的には不可能と考えられることから、米国では一般市民がインフルエンザ予防のためのマスク着用に関しては否定的である。

・感染者がマスク着用して外出、もしくは他者と相対する場合の効果
感染者の顔や手指、または衣服などにウイルスが付着している可能性がある。
マスクを不用意に着脱することにより、ウイルスは咳やクシャミ、さらに感染者の手指に付着して周辺に拡散する可能性。

・非発病者が感染目的にマスクを着用することの効果について
マスク着用時間内だけ、呼吸器にウイルスが侵入することを防止することは可能と考えられるが、接触感染、空気感染を完全に防ぐことは不可能である。十分な手洗い、そしてマスク着脱の際、表面に付着している可能性あるウイルスに汚染しないように注意、そして十分な洗顔、洗髪等と併用して、初めて効果が発揮されると考えられる。

が、こんなことを完全にはできないでしょう、と言っているわけですね。

1 米国医学研究所委員会結論 (The Institute of Medicine) 2006年4月

パンデミックに際してマスクが効果を持つという根拠はない。
マスクを着用する効果を信じて、パンデミックの期間、家庭に留まらず外出する市民が増えることが懸念される。

インフルエンザの感染経路は次の3通りである。

  • 手を介して感染(接触感染):患者がクシャミをした際、口を手で被って、その手でドアのノブを触る。そこを他人が触れる。
  • ウイルスを含んだ飛沫物による感染(飛沫感染):患者がクシャミや咳を直接空間に向かってした場合、ウイルスを含んだ大きな粒子が周辺に飛び散る。
  • 微小粒子による感染(飛沫核による感染、空気感染):長時間空中に漂い続ける微小粒子による感染。

これらの3感染経路のどの部分をブロックしたなら、最も効果があるかは誰も分かっていない。

米国CDC
感染者がウイルスを排出する時期は発症1日前から5日までと考えられている。”症状のある人”がマスクを着用することで、地域における感染予防効果が高まるとは考えられない。
その代わり、呼吸器症状のある人が、家庭、学校、職場、または他の公共施設で他の人々に相対する場合、咳やクシャミを呈したとき、ティッシュで顔を覆って、呼吸器からの分泌物が飛沫するのを防ぐことの方が重要。汚染したティッシュは最も近いゴミ捨て容器に捨てられるが、その後、十分な手洗いをすることは必須である。

感染者がウイルスを飛散させる時期は、症状が出る前と考えられるので、症状が出てからマスクをしても遅いでしょ、CDCはこう言っていますが、米国医学研究所委員はさらに、マスクをしたから安全だと考えて家に留まらないで外出する人が増えることも心配しています。マスクを求めて行列する愚は、日本だけのショーのようなものかもしれません。

抗がん剤を投与していたとき、何度か白血球値が下がって点滴できなかったことがありましたが、看護師さんが「このマスクをして帰ってください」と言ってマスクをくれました。しかし、体力の弱ったがん患者ではマスクをして地下鉄の長い階段を上ることができず、息切れがして、マスクはさっさと外してしまいました。

その後も何度は抗がん剤が打てないほど白血球が下がったのですが、マスクをくれたのは最初の一回だけでした。N95マスクなんて、健康な人が座っている分には装着できるのでしょうが、それ以外の場面ではまったく実用的ではないですね。

幸い今回のウイルスはまだ弱毒性ですから、敵が強毒性に変異しないうちに、国民全員がさっさと感染してしまえばよいのです。免疫不全とか重篤な心配疾患のある人をのぞいて、健康な人がみんなこのウイルスに感染すればよいでしょう。2,3日は高熱が出ますが、タフミルも効くようだし、そうすれば免疫ができて二度とこのウイルスには罹らなくなります。半年先のワクチン製造を待つこともないですし、新型ウイルスはありふれたインフルエンザになり果てます。大多数に免疫ができてしまえば、もう感染が拡大することもなく、強毒性に変異する恐れも小さくなります。

こんなことを書くと、「もしその感染で、死んだらどうするんだ」という人が必ず出てきますね。そのときは、「もしかして、ではなく、確実に何人かは死ぬでしょう」と言うしかないです。インフルエンザは年中発生しているのですが、わざわざ遺伝子を分析しての確定診断をしていないだけのことです。そして毎年インフルエンザが原因だと分かった死者だけで700人、もしかしてインフルエンザ、あるいはインフルエンザが引き金になり持病が悪化してとかの死者は、3万人以上だろうと言われています。普通の風邪でもこんなに死者が出ているのです。ニュースにならないからマスコミが報道しないだけです。

こんな馬鹿騒ぎをつづけていて、WHOがもしフェーズ6に引き上げたら、強制的な移動制限が発令されます。電車も運行本数が少なくなり、患者は病院にも行かれないかもしれず、病院に行っても看護師も医者も通勤できず、抗がん剤を休めないがん患者は死の危険と向き合わなければなりません。経済も停滞して、更に失業者が増え、自殺者と犯罪が増加するでしょう。日本はまだ影響が少ないかもしれませんが、発展途上国においては本当に大量の餓死者が出ることになるでしょう。ウイルスによる被害よりもこちらの方が影響が甚大です。

洗足学園は、学内でのウイルス蔓延は心配ないと考えていたのに、地域住民の反発を考慮して休学にしたそうです。「こんな時期にアメリカなんぞに行って・・・」などと言う者が必ずいますからね。いずれはどんなルートでか国内に入ってくるのです。たまたまその学校だったというだけのことです。

感染者を犯罪者のように見なす、日本人の「自分が大事」で「清潔好き」は、これこそが病気に違いないと思うこの頃です。こうした連中に限って自分が感染者になると「医者はいないのか」「早く治療してくれ」とかけずり回ってウイルスをまき散らすのでしょう。いつでも、どんなときでも『自分は被害者』という顔をするヒトって、いますよね。


この記事をアップした後で、藤原新也氏のこんなブログを見つけました。

 ニューヨーク在住の知人の話によれば、今回の新型インフルエンザのことを最近は「ジャパンインフルエンザ」という風に呼んでいるそうだ。
 ちょうどメキシコでインフルエンザが流行ったとき、日々メディアがメキシコの映像などを報道したように、新型インフルエンザというと現在では町中マスクだらけの絵になる日本の光景が流されるからという。
 ということは新型インフルエンザ騒ぎは世界でこの島国日本だけがぽつんと取り残されたようにいまだに大騒ぎをしているということだろう。

  この騒ぎが続いているのはひとつには昨今何か事件が起こるとこぞってメディアスクラムを組んで競い合い報道になり、事態が相乗化してしまうメディアの商業 主義、そして先のトークで述べたような過保護と保身が日本に蔓延していることが上げられるが、それより思うところはトップの決断力の脆弱さである。
 
 こういった事態には万が一を考え安全策を取るというのはありがちな話だが、万が一とは世の中のいかなる局面にも存在するわけであり、かりに万が一というリスクに依拠して人が行動すれば安全という絶対善の中で人間とその社会は金縛り状態に陥ってしまう。
 今回の出来事はその恰好の見本だろう。

 要するにこういった事態は万が一というリスクを背負った上でどこかで「足切り」をするというのが現実的な考えかただろう。かりに政治家であれば事態をずるずると引き延ばしたことによって生じる経済的損失と足切りによって生じるリスクを天秤にかけ、冷静な判断の上、責任を負った行動を示すということが国民を引っ張るトップのあり方である。

 実際に身近なところでは先のトークでも触れたように数万の金が入らぬため家賃の支払いに困っているという人もいたり、巡り巡って昨今とみに増えている自殺者が今回の経済封鎖に似たことによって数百人は増えている可能性は十分にありうる話だ。ひるがえって新型インフルエンザによって死者が出るとのは現状ではきわめて現実味のない話だ。

私が言わんとしたことを簡潔に表現されていますね。さすがはプロです。しかし、「ジャパン・インフルエンザ」とは言い得て妙ですね。「安全」という「絶対善」を振りかざす人には面と向かって反対できないから困るのです。

続きを読む "インフルエンザ みんなで罹れば怖くない" »

2009年5月20日 (水)

切除不能膵癌でのゲムシタビン24時間持続注入併用外部放射線治療

切除不能膵癌でのゲムシタビン24時間持続注入併用外部放射線治療の第二相試験成績が、PubMedの論文検索データとして登録されました。


目的:局所進行膵癌患者でのゲムシタビン・ベースの化学放射線療法の有効性を評価すること。

対象と方法:三次元放射線治療期間中(腫瘍部50.4Gy, リンパ節39.6Gy)に24時間持続注入で毎週ゲムシタビン(100mg/m2)を投与した。化学放射線療法後にゲムシタビン(100mg/m2; 1, 8, q21)による5サイクルの連続化学療法を行った。奏効率は化学放射線療法終了後6週目にWHO基準に従い評価した。局所制御率、無増悪期間、無転移生存 率、全生存率をKaplan Meier法で解析した。

結果:2000年から2005年にかけて40 例の患者(男性/女性 22/18; 年齢の中央値62才, 年齢幅, 36-76才)が治療された。症例の多くはT4腫瘍(n = 34, 85%)で、T3腫瘍(15%)は6例であった。16例(40%)が診断時リンパ節陽性であった。Grade 3-4急性毒性が21例(52.5%)に認められた。30例(75%)が治療スケジュールを完遂した。臨床的奏効は12例(30%)で認められた。追跡期間の中央値76カ月(32-98カ月)で、2年局所制御率は39.6%(中央値12カ月)、2年無憎悪生存率は18.4%(中央値10カ月)、2年無転移生存率は29.7%(中央値10カ月)であった。2年全生存率(25%; 中央値15.5カ月)は5-FUベースの化学放射線療法によるわれわれの以前の試験結果(2.8%)と比較して有意に改善した(p <0.001)。

結論:ゲムシタビン・ベースの化学放射線療法により転帰が改善すると考えられる。治療スケジュールを完遂できるようなより健康状態のよい患者が、この治療による恩恵をもっとも受ける可能性がある。
<以上、海外がん医療情報リファレンスより>

ピンポイントの三次元放射線治療と24時間のゲムシタビン投与を同時にやるという内容です。2年全生存率25%という成績は、切除可能な膵がんで術後補助化学療法でゲムシタビンを投与した場合とほぼ同等の成績ですね。5月29日から開催されるASCO 2009で発表があるのかもしれません。

続きを読む "切除不能膵癌でのゲムシタビン24時間持続注入併用外部放射線治療" »

2009年5月19日 (火)

免疫細胞治療

免疫細胞治療―がん専門医が語るがん治療の新戦略

『免疫細胞治療』は最近出版された本で、癌研有明病院の名誉院長が監修しているというので手に取ってみた。本屋では結構売れているようでした。

読んだ印象を先に書けば、「免疫療法」や「がんペプチドワクチン」に関心があれば手元に置いておくのもよいかなという本です。免疫細胞治療の全般にわたって最新の情報が書かれており、実際の治療成績も多く載せられているからである。

はじめにがん治療の3大療法、手術・放射線・抗がん剤について書かれているのは、「第4の選択肢」としての免疫細胞治療を語る上で3大治療法を解説しないわけにいかないからでしょう。

「免疫療法」といわず、「免疫細胞治療」としたのは、巷に氾濫するいかがわしい免疫療法と一緒にされたくないという意識か。

監修者と執筆者はそうそうたるメンバーです。

  • 武藤徹一郎  癌研有明病院名誉院長
  • 江川滉二     医療法人滉志会理事長(瀬田クリニックGroup)
  • 遠藤 格       横浜市立大学附属病院
  • 垣見 和宏    東大附属病院 22世紀医療センター
                      免疫細胞治療学(メディネット)講座
  • 後藤 重則    瀬田クリニック東京 院長
  • 中川 健       癌研有明病院  病院長
  • 中面 哲也    国立がんセンター 先端医療開発室

その他総勢19人。実質的にはリンパ球療法の技術を提供している瀬田クリニックGroupの医者が中心で、メディネットと提携している病院の医者がそれぞれ分担して、研究と治験の現状を書いているということでしょうか。22世紀医療センター  免疫細胞治療学講座はメディネットの寄付講座です。東大にはこうした寄付講座が22講座あります。

がん相談室『蕩蕩』の相談医師とも重なっているようです。蕩蕩は、セカンドオピニオン料金が世間の2倍ほどしますね。

こうしてみると、この本はメディネットと瀬田クリニックGroupの宣伝という意味合いが相当濃厚だという印象を受けます。その点を意識して読んだ方がよいと思います。

がんペプチドワクチン療法(樹状細胞を使う免疫細胞治療の一種)も含めて、まだまだ十分な成績を上げているとは言えませんが、選択肢のなくなったがん患者には一縷の望みにはなり得るということ。しかし全額自費治療だから、治療費は400~1200万円かかります。貧乏人には無縁です。術後の補助療法として再発や転移を予防する効果に期待が持てるはずですが、国の制度の都合で現状では末期がんなどへの臨床試験しかできないということ。これはがんペプチドワクチン療法も同じです。

膵臓がんに対する臨床例もいくつか書かれていますが、相変わらずこの治療法でも膵臓がんに対しては芳しい結果を見ることができません。横浜市立大学で、膵がんにゲムシタビンとの併用で免疫細胞治療をおこなった例です。培養したリンパ球を太ももからカテーテルを入れて肝臓に注入する試験です。膵がんでは肝臓への転移が多いのですから、理にかなっているというわけです。2006年から2009年2月までの9症例があるということですが、『その中に再発までの期間が長くなった患者さんがいらっしゃいます。・・・この方の場合再発までの期間が700日という結果でした。』と説明されています。これを良かった症例として紹介されているということは、他はもっと悪かったとも取れますね。

再発までの期間が700日で、長かった!!! やはり膵臓がんは癌のなかの王様ですね。私は今日で手術から691日目です。免疫細胞治療なし、巷の様々なサプリメントも何もなしです。まだ再発はしていません。しかも入院しているわけでもないし、仕事も普通に続けており、元気です。どうしてなのか、何が良かったのかは自分でも分かりません。まぁ、これに文句を言うことはないのでしょうが。

検証 免疫信仰は危ない!―「がんビジネス」の実態に迫る

期待が持てる免疫細胞治療ですが、『免疫信仰は危ない!』などの批判的な本も合わせて読むべきでしょう。リンパ球療法などエビデンスのないものを高額な治療法として提供してよいのかという批判があります。

また、NK細胞を免疫細胞治療の主役にしているANK療法の側からのこんな批判もあります。

さて、よく、ANK療法も、瀬田クリニックさんがやってるものと同じですか?と質問されますが、根本的に違うものです。

「体内の免疫細胞を体外で培養して再び体内に戻す」

この形式は同じですが、扱ってる細胞が違います。

瀬田クリニックさんはT細胞系ですから、がんを殺す力はそれ程強くなく、標準治療と併用して、延命やQOL改善を狙うもの、とされておられ、実際、数年の歳月をかけ蓄積したエビデンス(延命効果)を発表されています。 

前提は、標準治療ありき、で、その副作用をどこまで抑えられるか、免疫へのダメージをどこまで低減できるか、に主眼を置いておられます。瀬田流の免疫細胞療法は、あくまで免疫を脇役の位置に置いているのです。

免疫細胞療法には、大原則があります。

(1) 体の外で、がんを殺す細胞を培養する
(2) 免疫抑制を打破する強い免疫刺激を与える

この二つの要件を満たさないと、がんを「治す」可能性は開けません。

NK細胞の培養は難し過ぎる。
簡単なT細胞や樹状細胞なら手を出せる。
大量培養も簡単で、日本中、どこの施設でも実施できる。
手軽さから、どんどん、普及した獲得免疫系の免疫細胞療法は押しなべて、
(1)の、がんを殺す力が弱く、標準治療と併用するしかありません。がん治療の主役にはなれないのです。

免疫には獲得免疫と自然免疫があり、今大騒ぎしている「豚インフルエンザには免疫がないから」という議論は、正確には「獲得免疫がないから」ということです。獲得免疫がなくても自然免疫でウィルスをやっつけることは可能なんですね。そうでないなら、新しいウィルスが出るたびに人類は何度も滅亡しているはずです。

だから、ただの風邪にどうしてあんなに大騒ぎするのか不思議ですね。日本は世界の笑いものになっています。マスクが売り切れて買えないとニュースになるほどの大騒ぎです。

朝日新聞の素粒子欄にも「ニューヨークでマスクをしている人はいない。どうしてマスクをしないのかと聞いたら、どうしてマスクをするのかと聞き返された」と書かれていました。マスクでインフルエンザウィルスを防止できるという科学的な根拠は何もないのです。エビデンスがない。

リンパ球バンク(株)の藤井社長のブログですが、このブログ、他の記事も結構おもしろいです。一方、『免疫信仰は危ない!』では、瀬田クリニックの院長が、リンパ球バンク(株)のことを秘密主義だと批判していることも紹介しておきます。

瀬田クリニックGroupが切除不能局所進行膵がんを対象として実施した免疫細胞療法の臨床研究の結果に関する論文が、米国膵臓学会公認の学術誌『Pancreas(パンクレアス)』(April 2009 - Volume 38 -)に掲載されました情報は、4月21日のブログで紹介しています。

免疫細胞治療に関しては、賛否いろいろな考えを吟味してみることも大事です。

続きを読む "免疫細胞治療" »

2009年5月12日 (火)

大学が有償で癌免疫療法の可否

日経メディカルオンラインで、5/11の最新記事にこんなものを見つけた。(会員登録が必要です)

久留米大が「がんワクチン外来」を開設したが、予想以上の希望者(1500人)が殺到し、半年先まで受け入れを中断するというニュースは、4月2日のこのブログでも紹介した。

免疫学講座教授の伊東恭悟氏が開発した久留米大のワクチン療法は、「テーラーメード型」である点が特徴だ。

                                 ----------------------

患者が保険診療で安価に治療を受けられるようにするには、医薬品として薬事承認され、保険収載される必要がある。伊東氏は、臨床研究を進める一方で、ベンチャー企業のグリーンペプタイド(福岡県久留米市)を創業。同社は、前立腺癌と脳腫瘍に対して治験を進めている。

                                 ----------------------

しかし、研究者が自らの研究費で行う臨床研究や、癌種や進行度など登録基準が厳しい治験では、ワクチン療法を受けられる患者はほんのわずか。そこで久留米大はがんワクチン外来を開設し、多くの患者にワクチン療法を提供しつつ、臨床データを得ようと考えたわけだ。大学にとってはワクチン療法の実費などを患者に負担してもらうことで、研究費を抑えて有効性や安全性などのエビデンス確立につながる臨床研究ができる利点もある。

                                 ----------------------

信州大医学部附属病院も、09年1月から免疫療法の一つである細胞療法を自由診療で提供し始めた。ワクチン療法が体内で免疫細胞を誘導するのに対し、細胞 療法は患者の血液を採取し、体外で免疫細胞を誘導して患者に戻すのが特徴だ。細胞療法のノウハウは、国内ベンチャー企業から有償で提供を受けている

                                 ----------------------

平均7回の投与で治療費は約185万円に上るが「既に百数十人から問い合わせがあった」(下平氏)という。信州大の受け入れ患者の基準は久留米大に比べて 緩く、有効性や安全性を確立するための臨床研究としての色合いはほとんどない。標準治療以外の療法を望む患者の要望に応えることに、力点を置いたといえ る。

                                 ----------------------

エビデンスが確立していない治療を有償で行うことには反対だ」。こう話すのは、ゲノム研究の第一人者で、癌ワクチン療法の臨床研究を進める東大医科学研究所教授の中村祐輔氏。民間病院に加え、大学病院までもが未承認の免疫療法を有償で行い始めたことに疑問を呈する。

(日経メディカルオンラインより抜粋。下線は私)

小泉・竹中の「骨太の方針」以降、大学も「利益を上げる」ことが求められるようになった。大学だけではなく、博物館や美術館、コンサートホールなども同様である。大学は利益を上げる、ベンチャー企業を育成するというアメリカ的な運営を強いられるようになってきた。

こうした背景でがんの免疫療法が進められているのだということを、我々患者は脳裏に刻み込んでおく必要がある。「ノウハウはベンチャー企業から有償で提供され」てやるでは、研究機関としての大学の存在意義はないのではないだろうか。予算がないから有償で。患者には喜ばれてデータも取れる。一石二鳥ならぬ一石三鳥である。もちろん患者の希望に応えるのだという面もあるから、悪いというのではない。こういう側面があるんだよということは考えておくべきだと思う。

更にいえば、大学には「寄付講座」というものもある。企業が金を出して大学の講座を開設するわけである。AHCCの(株)アミノアップ化学はいくつかの大学に寄付講座を持っており、その会社の研究者名で論文も多数書かれている。PabMedでAHCCを検索すると、大学名と同時に企業の研究者名が出てくる。

がんペプチドワクチン療法の中村祐輔先生の意見はもっともである。有効性も安全性もそっちのけで治療するのなら、「瀉血」が有効だといわれた時代、その瀉血で死んだ初代大統領ジョージ・ワシントンの時代と変わらないではないか。

しかし、かくいう中村祐輔先生も、関連する癌治療薬の開発をしているオンコセラピーサイエンス社の取締役であり、発行株式の11.1%(21750株)を保有する第2位の株主である。最近の株式ニュースではオンセラ株は14万5000円という高値を維持している。計算すれば31億5000万円という時価総額になる。(2005年の時価総額 77億円よりは半減したが・・・)

もちろん正当な行為である。何も法律違反だということでもない。ただ、医学も経済抜きには考えられないという、冷徹な事実を忘れるべきではないというだけである。

日本の医療費総額は年間約 30兆円であり、その半分が癌治療関連だといわれている。15兆円の大きな市場であり、更にサプリメントなど個人が直接購買するものがあるから、20兆円の規模になるはずだ。つまり我々はこの一大癌医療マーケットの消費者であり、お客様である。高額な抗がん剤や検査、効果の怪しいサプリメントを、長期間購入していただければ、製薬会社も大いに潤うのである。

癌患者よ。もっと賢い「医療消費者」になれ!

続きを読む "大学が有償で癌免疫療法の可否" »

2009年5月 6日 (水)

「死」は「生」の更新のためにある

P1000349


遺伝子の夢―死の意味を問う生物学 (NHKブックス)

『遺伝子の夢』 帯に(利他的な遺伝子)と書いてあ る。ドーキンスの『利己的な遺伝子』はよく売れた本であるが、そのパクリか?と思って読み始めたが・・・。「人間は遺伝子を運ぶ舟である」という意味においては同じことを主張している。

細胞はアポトーシス(自死)の機能が遺伝子に組み込まれているといわれている。自分の存在が不要になった場合に、自ら判断して自殺するのである。よく例に出されるのが、オタマジャクシのしっぽ、蛙になるために、しっぽの細胞は自分自身で「自殺」して、しっぽが消えてしまうのだが、子供の頃からそれが不思議でならなかった。「消える」というのがどのようなことなのか。トカゲのしっぽのようにすっぱりと切れてしまうのだろうか。実際は細胞が自分で分解して、その細胞を構成していた成分は尿として排出される。

利己的な遺伝子 <増補新装版>

再生系の細胞のアポトーシスはよく知られているが、著者の田沼靖一は非再生系(神経細胞・心臓の細胞・脳細胞など)の細胞死を「アポビオーシス」と名付けている。

細胞の死はなぜあるのか、個体の死とは何かを問うことによって、死の生物学から「生の意味」を問い直し、人間とは何か、自分とは何かという哲学的問題に対して生物学からのアプローチを試みている。

不要になった細胞が自死するから、個体の命が保てるのである。(これはアポトーシスを忘れた癌細胞を見れば明らかである)免疫系においても、胸腺で自己反応性(自分自身を攻撃する)をもった免疫細胞を除去する仕組みがある。ウィルスが入ってきた。白血球が大動員されて戦闘開始、悪いウィルスをやっつけた。万歳である。その後は闘って不要になった白血球は消滅してもらわなければならないのである。いつまでもいては逆に困ることになる。

細胞の生成と死、この不断の流転の中にこそ、個体としての生が保証されているのである。

有性生殖をおこなう多細胞生物が存続するには、生殖相手を含むその種が存続していかねばならず、環境が変化しても生きのびるためには遺伝子の構成を変えて、新しい環境に適用するしかない。従って多くのバリエーションをもった遺伝子をあらかじめ作っておき、新しい環境に適用できる個体が生きのびるようにするのである。(ダーウィンの進化論)
このとき、古い遺伝子をもった個体がいつまでも活きていては都合が悪いのである。新しい環境に適応できる遺伝子と、古い遺伝子が有性生殖によって混じっては困るのである。したがって、生物の個体が永遠の命をもつことは、その種が生きのびる上では誠に都合が悪いということになる。だから生物には寿命があり、いつかは死ななければならないことになったのだろう。

二重の細胞死、アポトーシスとアポビオーシスは、多細胞生物が進化の過程で獲得した「生」のための戦略であり、死によって生を更新することがもっとも合理的な”種としての”生の手段なのである。つまり、「死」は自分以外の「生」のために存在しているのである。ヒトは「死」という究極において、他人のために生きることを運命づけられているのである。

ヒトは自分の子孫ばかりでなく他者も、そしてすべての生物の生命を救うことを目的として生きることが本来の姿であることを死の遺伝子は語っているのではないだろうか

私たちは生物学の発展によって、このような認識を”科学的”にもつことができる時代に生きているのであるが、何のことはない、いにしえの賢者は、生の本質、人の生きる意味を、真理を掴んでいるのである。遺伝子を知るはずもなかった荘子が、死生観において我々の先にいるのである。

夫大塊載我以形
労我以生
佚我以老
息我以死
故善吾生者
乃所以善吾死也
(荘子 内篇 死生命也)

-----

「夫れ大塊我を乗するに形を以てし、我を労するに生を以てし、我を佚にするに老を以てし、我を息わしむるに死を以てす。故に吾が生を善しとする者は、乃ち吾が死を善しとする所以なり」

-----

そもそも自然とは、我々を大地の上にのせるために肉体を与え、我々を労働させるために生を与え、我々を安楽にするにために老年をもたらし、我々を休息させるために死をもたらすものである。(生と死は、このように一続きのもの)だから、自分の生を善しと認めることは、つまりは、自分の死をも善しとしたことになるのである。(生と死との分別にとらわれて死を厭うのは、正しくない)   岩波文庫 荘子第一冊  金谷治訳注 184ページ

メメント・モリ(死を想え)は「他者の死を想え」ということかもしれない。生と死は断続したものではなく、分けることはできないのであり、死を忌み嫌い恐れることは道理に合わないのである。(道元も同じことを言っている「彼岸花と道元の死生観」)

癌患者であるからこそ、死を想い(メメント・モリ)、他者を想い、死と分かちがたい今日一日の生を充実することができるのである。

続きを読む "「死」は「生」の更新のためにある" »

2009年5月 3日 (日)

森林浴とNK細胞活性

1000円渋滞で、GWは60キロもの大渋滞が続いています。日本道路交通情報センターの渋滞情報を見ても、どこも真っ赤になっています。これを見たら、連休にどこかへ行こうかという気が失せてしまいました。

森林浴セラピーを目当てに長野の信濃町に行こうかと考えていたのですが、GWは家でのんびりした方が良さそうです。

2005年、都市部のいわゆる「お疲れサラリーマン」を被験者とした実験では、森林浴翌日の採血・採尿で生理的な変化を調査した。その結果、2泊3日の滞在によってNK細胞活性が52.6%向上したことが確認され、同時に抗がんタンパク質の濃度も上昇していることが確認された[2]。 この実験は2006年に も継続され、2泊3日の森林滞在で約56%のNK細胞活性を再現するとともに、日常生活・都市部への2泊3日の旅行で対照実験を実施した。日常での複数の 検査や都市部への旅行ではNK細胞活性に変化がみられなかったことから、森林の環境が免疫機能の向上に特異性を持つことが実証された。さらに、30日後も NK細胞活性が一定レベルで継続していることが判明し、森林浴での健康増進が持続効果を持つことが明らかとなった[3]

免疫細胞療法では、樹状細胞・キラー細胞・マクロファージなどの活性化でガンをやっつけようという考えですが、その中に活性化NK細胞療法(ANK)など、ナチュラル・キラー(NK)細胞の活性化でガンを縮小させようという方法があります。NK細胞は癌細胞にとってはもっとも怖い殺人鬼のようなものです。癌細胞とみれば見境無く殺してしまいます。免疫力を高めるということは、NK細胞活性を高めることだといても過言ではないでしょう。

森林浴とNK細胞活性の関係を、世界ではじめて明らかにした論文があります。林野庁と(独)森林総合研究所、日本医科大学の共同実験です。

3日間の森林浴により、NK細胞が放出する3種類の抗がんタンパク質、パーフォリン(Perforin)・グランザイム(Granzyme A,B等)・グラニューライシン(Granulysin)(通称“抗がん三兄弟”)がいずれも増加することを世界に先駆けて明らかにした。NK細胞の機能 が高まれば、生体の抗がん能力も高まると考えられている。

「抗がん三兄弟」とはおもしろい表現です。二泊三日の森林浴による効果が一ヶ月も持続するのですから、効果は絶大です。
森林セラピー総合サイトでは、森林浴と自律訓練法、ヨガ・気功、ウォーキングなど多彩なメニューで森林浴を楽しむ工夫が凝らされています。信濃町の「癒しの森」では免疫療法とのプログラムもあるようです。近くにはいわさきちひろ黒姫山荘もあります。黒姫童話館にはミヒャエル・エンデの遺品もあるんですね。

GWにはこれらを目当てにドライブを、と考えていたのですが、1000円渋滞ではたどり着けそうもありません。またの機会にしましょう。

続きを読む "森林浴とNK細胞活性" »

« 2009年4月 | トップページ | 2009年6月 »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

膵臓がんランキング

  • あなたは独りではない。闘っているたくさんの仲間がいます。

膵臓がん お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

ブログ村・ランキング