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2009年7月

2009年7月31日 (金)

がん患者のためのインターネット活用術 (3)

がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した ネットの情報はすぐに古くなります。Kindle本『がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した』では最新の情報に書き直して出版しています。


AND、OR、NOT検索

今回からは実際にGoogleでキーワードを入力して検索するときのテクニックです。とは言っても特別な方法ではないのですが、意外と知られていないのがAND、OR、NOT、フレーズの各検索方法です。

種類 目的
AND検索 AとBのキーワードが含まれている 膵がん AND 治療法
OR検索 AまたはBのキーワードが含まれている 膵がん OR 抗がん剤
NOT検索 キーワードが含まれていない 副作用  -トラックバック
フレーズ検索 フレーズ全体が含まれている がんペプチドワクチン療法

AND検索の場合は、スペース(半角または全角)を入れることもできます。AND、ORは半角の大文字にする必要があります。
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Ws000017
NOT検索は"-"(半角の-)をキーワードの頭に付けます。例では「-トラックバック」としていますが、大部分のブログには「トラックバック」という単語が含まれているので、「-トラックバック」とすることでブログを検索対象から除外することができます。

次は、以上を組み合わせた例です。

「膵臓癌」にはいろいろな表記があります。膵がん・膵癌・膵ガン、膵臓がん・膵臓癌・すい臓がん・すい臓癌・すい臓ガンなど、ページによって使われている言葉が違うことがあります。これらの違いをもれなく検索するには、ANDとOR、NOTを組み合わせて次のようにキーワードを指定します。

(膵臓 OR すい臓  OR 膵 OR すい) AND (癌 OR ガン OR がん)  -トラックバック

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後ろの方は隠れて表示できませんが、検索結果を比較すると、「膵臓がん」で単純に検索したとき760,000件、上の組み合わせでは787,000件になります。差があまりないように見えますが、これはGoogleには自動的に同意語を検索対象に含める機能があるためです。ある程度は表記の違いをカバーしてくれます。しかし、その機能が完璧ではないことを表わしています。重要なページが検索されないということもあり得るのです。

毎回このキーワードを入力するのは面倒です。何度も使うキーワードの組み合わせは、検索結果のページを「ブックマーク」に登録しておきます。

フレーズ検索

この方法は意外と使われていないようです。しかしその効果は強力です。「がんペプチドワクチン療法」とキーワードを指定すると、Googleは自動的に単語に区切ってそれぞれの単語間で「OR」検索をします。「がん」「ペプチド」「ワクチン」「療法」の単語が一つでも含まれているページをすべて検索してくるのです。キーワードの両端を「”」で囲んで指定することで、全体のフレーズを含んだページのみを検索してきます。

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ヒット数の違いは明かですね。

なお、「他のキーワード」として「がんペプチドワクチン療法 中村祐輔」と表示されますが、これは他の多くのユーザーが、このキーワードで検索を行なっているということで、別のキーワードの候補として表示されているのです。

これらの簡単なテクニックを使うことで、目的のページを検索結果の上位に持ってくることが可能になります。

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2009年7月30日 (木)

米国医療は「こころ」の重視へ

「心と癌と量子力学の関係」などと、いささか「とんでも本」的な内容を書きましたが、量子力学はともかくとして、心と癌の関係はもはや常識になっているようです。

右の「膵臓癌おすすめサイト」にリンクを張っている安西英雄さんの「米国統合医療ノート」には数回にわたってアメリカの統合医療の現状が紹介されています。鍼灸・カイロプラクティック・ハーブを代表とする初期の補完代替医療と現代医療を組み合わせた「統合医療1.0」から、「こころ」の重要さを認識した「統合医療2.0」に変わってきた。現在のアメリカの医療は統合医療2.0にはっきりと変化して来たのだというお考えです。(Web 2.0 を借用して 統合医療 2.0 と命名されています)

「統合医療」は日本ではまだ医療の世界の片隅で一部の医師が行っている「変わった医療」にすぎません。しかし米国では、医学の主流が真剣にテーマとしている一大潮流なのです。(米国統合医療ノート 2009/5/25

 

これほどこころに関心が向かうようになったのには2つの理由があります。心身のストレスの蓄積がおよぼす健康への深刻な悪影響が広く認識されるようになったこと。それから、心身相関についての医学研究が近年目覚しく進んだことです。

90年代にImmuno-neuro-endocrinilogy(免疫神経内分泌学)という言葉がはやりました。免疫系・神経系・内分泌系とも、生体が恒常性(ホメオスターシス)を維持するための重要なシステムですが、それらが互いに影響を与えあっていることがわかり、そこに研究者の関心が集まったのです。

いま医学の世界では、それと似たPsycho-neuro-immunology(心理神経免疫学)、あるいはPsycho-neuro-endocrinology(心理神経内分泌学)という言葉がもてはやされています。いうまでもなく、心理状態も免疫系・神経系・内分泌系と影響をおよぼしあう、という概念で、この分野の研究はいますごい勢いで進んでいます。

こころが重要ならば、こころの主体である患者を大切に扱うのは当然のことです。Body・Mind・Spiritという発想を常識として持ち、患者の主体性を尊重した優しい医療を目指そうとしている統合医療が、この心身医学の流れと合流するのはきわめて自然なことでした。

そしてこころのはたらきを考えた治療法を取り入れてみると、実際に治療効果があがることが次々に示されました。こうして基礎研究と臨床研究の裏づけが蓄積するとともに、心身医学は米国統合医療の重要な必須科目になったのです。(米国統合医療ノート 2009/5/31

7月22日のブログ「心と癌と量子力学(4)」で紹介した『こころと治癒力』のような本が百万部のベストセラーを続けているということにもアメリカの現状が現われています。この本でも、医師は患者を一人の人間としてみること、患者の家庭状況まで知らないと本当の医療にはならない、この方向が結局はローコストの医療改革になるのだと主張していました。

海外 癌医療情報リファレンス」の7月28日付でこんな記事が載っていました。M.D.アンダーソンがんセンターで、7月22日に次のような教育セミナーが開催されたという記事です。

7月22日(水)午後5:30~7:30(プログラム 6:00開始)
M.D.アンダーソンがんセンター、South Campus Research Building 7435 Fannin Street at Old Spanish Trail

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターは、ベストセラー『がんに効く生活』の著者ダヴィド・S.シュレベール医師(医学博士)を迎え、教育セミナーを7月22日(水)に開催。
サウスキャンパス・リサーチ・ビルディング(7435 Fannin Street at Old Spanish Trail)にて5時30分に開場、その後6時からイブニングプログラム。一般入場無料。

S.シュレベール医師は著書を引用し、日々の生活やがん予防に関する人々の考え方に変化を与え、次の事柄について実践の方法を分かちあう。

・ 科学的根拠にもとづく抗がん食を取り入れる
・ ストレスがいかにがんに影響するかを認識する
・ 運動、ヨガ、瞑想のメリットを享受する
・ 環境有害物質への曝露を最小限に抑える
・ 従来の健康法と代替的な健康法のバランスをとる

S. シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

シュレベール博士の『がんに効く生活』は、NHK出版から今年の2月に翻訳されて出版されています。あまり話題にはならなかったようですが、内容はまさに「統合医療 2.0」です。目次を紹介します。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
ダヴィド・S. シュレベール David Servan Schreiber

日本放送出版協会  2009-02
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by G-Tools
  1. 統計や数字でわからない、本当の「余命」
  2. がんの弱点を知る
  3. がんに効く生活―環境を知る
  4. がんに効く生活―効果のある食物
  5. がんに効く生活―心の力
  6. がんに効く生活―運動
  7. まとめ―(がんを)作らない、育てない、あきらめない

からだの見張り番である免疫細胞をどのように活性化するか、がんを防ぐこころのあり方の秘訣、死の恐怖を乗り越える秘訣。著者自身の実体験に基づく内容ですから説得力があります。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

私の場合も同様でした。患者は再発するかもしれないと思いながら、何もしないで過ごすことには耐えられないのです。しかし、現代医学のエビデンス至上主義では確かに断言できるようなデータは存在しないかもしれません。でも、一方で同じ病期で、同じような治療をしても再発する人もいれば再発しない人もいる。そうした結果になるには何かが違うはずです。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

この本に書かれている「がんに効く生活」のほとんどが、私が「私のがん攻略法」に書いて実行していることと共通しています。この方向でよいのだと、更に確信を与えてくれる著作でした。内容を良く吟味して、私の攻略法に足りないものがあれば付け加えて修正したい、そうすれば一層の希望が持てると思います。巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。間違いなく。

ダヴィド・S・シュレベール氏のインタビュー動画がこちらにあります。

About ANTICANCER, a new international best-seller by David Servan-Schreiber

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2009年7月29日 (水)

がん患者のためのインターネット活用術 (2)

がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した ネットの情報はすぐに古くなります。Kindle本『がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した』では最新の情報に書き直して出版しています。


Adblock Plus をインストールした効果

前回の設定で、Google検索での広告は表示されなくなります。

Ws000010_3Adblock Plus は通常のWebサイトの広告もブロックしてくれます。

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特定の広告を表示したくない場合はルールを追加します。まず、画像などを表示させないようにするには、表示したくない(ブロックしたい)画像上で右ク リックして「Adblock 画像をブロック」を選択します。また、Flashの場合は、Flashの右上や右下に表示される「Adblock」タブ上で右クリックして表示される 「Adblock オブジェクトをブロック」を選択します。これWs000009_2で広告がブロックされ、表示されなくなります。

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ブロックする広告を選んでマウスの右ボタンをクリックし、「Adblock Plus 広告をブロック」を選択して追加できます。 右の画像は「がんナビ」の広告をブロックした状態です。

 

 

■QLifeの「もっと知って欲しいインターネットのがん医療情報のこと
講演内容が動画で見ることができます。

ここでも広告の弊害が強調されていますが、ここに紹介した方法を使えば、ある程度粗悪な広告から逃れることができます。

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2009年7月28日 (火)

がん患者のためのインターネット活用術 (1)

がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した ネットの情報はすぐに古くなります。Kindle本『がん患者のためのインターネット活用術 2017年 第2版: 私はこれで膵臓がんを克服した』では最新の情報に書き直して出版しています。


インターネットを活用してがんサバイバーになる

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第1章 検索のテクニック

多くのがん患者が、癌の告知をされたとき、家族が癌かもしれないといわれたとき、インターネットで情報を集めようとするに違いありません。しかし、インターネット上の情報は玉石混淆です。中には藁を持つか見たいがん患者を食い物にしようとする悪徳業者も後を絶ちません。インターネットを上手に活用して「がんサバイバー」になるための必須のテクニックを紹介したいと思います。城南緩和ケア講演会での講演を元にして、より詳しく書き始めてみたいと思います。

「がん患者のための」と書きましたが、一般的なインターネットの検索にも使えるテクニックです。

ブラウザーと検索サイト

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ブラウザーはFirefoxを使います。Firefoxに は多くのアドオンといわれる「拡張機能」があり、それをうまく使うことで情報の検索が効率的になるからです。Firefoxはフリーのブラウザーで次のサイトからインストールすることができます。

http://mozilla.jp/firefox/

現在の最新バージョンは 7.0です。

デフォルトの検索エンジンをGoogleにしておきます。

広告をブロックする

Googleで検索するとスポンサーサイトが表示されます。 広告も役に立つ場合がありますが、「癌」に関する情報を検索する限りにおいては、広告はほとんどがいかがわしいものです。藁をも掴みたいと思っているがん患者に、蛇を掴ませようとするサイトがほとんどだと言っても良いでしょう。

アドオンをインストール

  • Firefoxのメニューから、「ツール(T)」- 「アドオン(A)」を選んでクリックします。
  • 「アドオンを入手」をクリックして検索します。
  • 検索して、「Adblock Plus」をインストールします。
  • インストールしたら、「拡張機能」をクリックしてAdblock Plusを選び、「設定」をクリック
  • 「フィルタ」「購読フィルタを追加」

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  • fanboy's Japanese を選ぶ

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  • 同時にfanboy's List もインストールされているので、チェック欄にチェックを入れる。

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これで、Google検索や新聞社などの多くのサイトの広告が表示されなくなります。

試しに、朝日新聞のトップページでの効果を比較してみます。

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【追記】

Adblock Plus がFirefox以外にも対応するようになってきました。それぞれのアドオン・拡張機能は下のリンクからインストールできます。

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2009年7月27日 (月)

心と癌と量子力学の関係(4)

私たちの常識では、「離れた場所にある別々の物体は、別のものである」と考えます。カラスと鳩が右と左の空に浮かんでいれば、別の鳥です。カラスが鳩を襲うためには、空を横切って鳩に近づかなければなりません。空間は物体と物体を切り離して区別する役割を持っていると考えるのです。これは私たちの地球だけではなく宇宙全体についても言えることであり、物理学者はこの性質を「宇宙の局所性」と呼んでいます。

しかし、量子力学から理論的には予測されていたことですが、ある場所で行なったことが、遠く離れた別の場所での出来事と絡み合うことがあるのです。この二つの場所でどんな情報やエネルギーが伝達されなくてもそうなるのです。何らかの情報やエネルギーが伝達するためには少なくとも光の伝わる時間だけ遅れるはずですが、絡み合いは光よりも速く瞬時起きるのです。

この現象は我々の常識では理解できません。アインシュタインですらこれを生涯認めようとしなかったのですが、テクノロジーが進歩して、これを実験することができるようになり、量子力学で予想されたことが正しいと証明されたのです。

つまり宇宙には非局所的な(空間を超えた)結びつきが存在するということです。空間はこれまで考えられていたようなものではないということになります。二つの物体(粒子)の間がどれだけ広大でも、例え宇宙の両端(があるとすればですが)ほどにある粒子同士でも、結びつきが存在することがあり得るのです。

東京で私が振ったサイコロの目が「1」であれば、あなたが大阪で同時に振ったサイコロの目は必ず「1」になるのです。東京のサイコロは、毎回ランダムに目を出すのですが、何度やっても二つのさいころは同じ目が出るのです。つまり大阪のサイコロの目はランダムではなく、東京のサイコロの出した目を「知っている」ということです。こうした現象が量子的な世界では起きるということです。詳しいことはブライアン・グリーンの『宇宙を織りなすもの』に譲りますが、私たちの宇宙(この宇宙に私の身体も細胞も浮かんでいる)はこうした存在であるのです。

こころと治癒力―心身医療最前線

脳内モルヒネといわれるエンドルフィンを発見したキャンディス・パートはビル・モイヤーズとの対談『こころと治癒力』でこう言っています。エンドルフィンやそれと同等の化学物質(ペプチド)が、脳だけではなく、免疫系や内分泌系、身体の至る所で見つかっています。これらの分子は心と身体のコミュニケーションネットワークに関わっているのです。一方で細胞には受信アンテナのような数百万個のレセプターがついていて、これらの分子がレセプターをくすぐると、ある種の感情が起きたりするのです。

心の領域である感情は、神経ペプチドおよびそのリセプターと生化学的に相関している。彼女は、心は脳にあるのではなく、身体のすべての細胞のある種のエネルギー活動だろうと考えています。

嬉しいとか楽しいとかの心と感情のありようによって神経ペプチドが作られ、それが細胞の周辺に到達します。細胞表面にあるリセプターはダンスを踊るように揺れ動いています。リセプターの分子、その分子を構成している電子はまた、確率の波といういわば雲のようにぼわーっと広がったものです。リセプターとペプチドが反応する”しやすさ”は周辺にどれほど多くのペプチドがあるかによるし、電子の雲(確率の波)がどれほどの広がりを持っているかにも影響されるということになります。さらに、空間的にはずっと遠くに離れた電子や分子が、結びつきを持っていることもあり得るというのですから、おもしろいです。

がん細胞と「がんペプチドワクチン療法」に登場する「ペプチド」も同じように説明できます。がん細胞とNK細胞、樹状細胞だって同じことです。細胞同士のコミュニケーションを担っているペプチドの影響を受けるのですね。そしてペプチドは心と感情の変化によって作られるのです。

免疫も量子力学も、人の心や脳の働きに関しても、まだまだ人類はそのほんの一部の姿を垣間見ているだけでしょう。ですから、これまでの話しは幾分SF的かもしれませんが、心と癌と量子力学が密接に関係しているかもしれないと考えれば、わくわくしてくるではないですか。

心と治癒の関係は、たんに癌が治るかどうかという枠を超えて、私たちの心と身体を含めた人間は全宇宙的な存在であり、生物40億年の歴史によって作られた精密なシステムによって「生かされている存在」であることを教えてくれます。また、治癒と心の関係を信じ、治癒へと向かう生き方を選択するということは、社会における私たちの価値観、いかに生きるべきか=いかに死ぬべきかという人生観の再確認なしには不可能なことです。癌を治すという事業は、人間としてのあり方に関わる問題だということです。

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2009年7月25日 (土)

講演会用資料をアップしました。

城南緩和ケア研究会主催の『がんになったら「緩和ケア」』講演会にはたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。

講演に使用したPowerPointファイルをこちらにアップしました。がんと共に生きる

View more presentations from kinosita1316.

PowerPointでも残してあります。

講演会資料「がんと共に生きる-インターネットを活用してがんサバイバーになる」
「がんと共に生きる(1).pdf」をダウンロード  「がんと共に生きる(2).pdf」をダウンロード  

講演会は準備は万端のつもりでしたが、予想通りに時間が足りなくなり、二つ目のテーマについてはほとんど触れることができませんでした。

このブログにもコメントをいただいていますが、講演の内容を少しずつブログにアップをしてまいりたいと思っています。

まずは『がん患者のためのインターネット活用術』等というテーマで構成してみます。

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2009年7月23日 (木)

手術前後の腫瘍マーカーで膵がんの予後が予測できる

25日の講演の準備のためにしばらくブログの更新をサボっていました。準備万端とはまいりませんが、何とかなるでしょう。興味のある方は是非ご参加ください。

膵癌切除手術を行った症例を解析したところ、腫瘍マーカー「CA19-9」の数値が、予後を予測する重要な因子であることが明らかになったと、第64回日本消化器外科学会総会で、東北大学消化器外科学の元井冬彦氏がアンケートの結果として発表しています。
がんナビの記事

切除前に四つの腫瘍マーカーの数値を調べたところ、このうちCA19-9の上昇度(測定値を基準値上限値で割ったもの)が最も高かった患者は222人だった。手術の前・後でのCA19-9値によって、陰性(-/-)、正常化(+/-)、非正常化(+/+)の3群に分けて調べたところ、生存期間中央値は腫瘍マーカーの上昇がなかった患者61人が全員生存だったのに対し、正常化群で787日、非正常化群で505日と明らかに短かった(p<0.0001)。

さらに、CA19-9値非正常化群では、術後の再発も正常化群の65%に比べて79%と高かった。術後の正常化の有無について、膵癌の病期別および組織型別にみたところ、特に相関はみられなかった。一方、切除前のCA19-9値を37~99 IU/mL、100~999 IU/mL、1000 IU/mL以上の3群に分けて検討したところ、術後の正常化の有無は明らかな相関を示した(p<0.0001)。

CA19-9の上限値は35.0ですから、陰性(-/-)とは、手術前後で上限値以下、正常化(+/-)とは手術後に上限値以下ということでしょうね。

私の場合、手術前のCA19-9が25.1、手術後が13.9でした。ですから陰性(-/-)に該当すると考えられるのですが、今回のレポートに照らすと生存期間中央値で生存していた61人に当てはまるということになります。術後の再発率でいえば、正常化群が65%、非正常化群が79%ですが、陰性群の再発率は書かれていません。当然65%以下のはずで、50%位かもしれません。

先月の検査でCA19-9が32.6でした。しかし白血球数とリンパ球がともに増加しており、免疫力が良くなっているという印象があります。今回のレポートとも合わせて考えると、良い方に向かっている気がします。

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2009年7月17日 (金)

久留米大のがんワクチン 良好な成績

「がんナビ」に久留米大のがんワクチン療法フィーズ2試験の報告があります。

 久留米大学がんワクチングループによって開発されたテーラーメイドがんペプチドワクチン療法は、ゲムシタビンとの併用で切除不能な膵がんに有効とする可能性が示された。19人の患者を対象に行われたフェーズ2試験の結果について、7月16日から18日まで大阪市で開催されている第64回日本消化器外科学会総会で、関西医科大学枚方病院外科の柳本泰明氏が発表した。

 フェーズ2試験は、切除不能膵がん患者(ヒト白血球抗原のHLA-2または24が陽性の患者)を対象に、8週間を1コースとして行った。ゲムシタビン1000mg/m2は1週目から3週目と5週目から7週目に投与し、ワクチンは1種類当たり3.0mgを毎週投与した。主要評価項目は1年生存率。病期はすべて4期だった。

 試験の結果、1年生存率は42%、全生存期間中央値が9.5カ月、奏効率37%、疾患制御率84%となり、ゲムシタビンの単独投与で得られる数値を上回っていた。

 一方、副作用は、グレード3/4の血液学的毒性は、好中球減少症が6人(35%)、ヘモグロビン減少が4人(23%)だった。非血液学的毒性では全グレードで94%にあたる16人に食欲不振が見られた。ワクチン関連毒性ではグレード1/2の皮膚炎症反応が71%、リンパ浮腫が41%の患者に見られた。

2009年7月12日 (日)

心と癌と量子力学の関係(3)

沫雪(あわゆき)の中にたちたる三千大千世界(みちあふち)またその中に沫雪ぞ降る

良寛にこんな歌があります。三千大千世界を「みちあふちImg038」と読ませ ていますが、三千大千世界とは、仏教における宇宙論を表わす言葉です。我々の住むこの世界は須弥山(しゅみせん)を中心として周囲に4つの大陸があり、その周りに九山八海があるとされています。この世界が千個集まったものを小千世界といい、小千世界が千個集まって中千世界、さらにこれが千個集まって大千世界となります。大千世界には小・中・大の三つの世界が含まれているので、これを三千大千世界ともいいいます。つまり、10億の小世界(我々の住む世界)が階層状に集まっていると考えるのが仏教の宇宙論です。

良寛の歌は、冬の越後の五合庵に降る一粒の雪の中に10億の小世界が見えている、その10億の世界のそれぞれにまた沫雪が降っている。更にその沫雪の中にも10億の小世界があり、その中にもまた沫雪が降っている・・・・・。と幾重にも世界が重なり合ってどこまでも続いています。また、いま良寛が見ている沫雪の降っているこの世界も、さらに大きな沫雪の中に含まれている、その世界もまた更に大きな沫雪に・・・・。こうして大きい方にも幾重にも世界が重畳している。沫雪は「泡のようにはかなく消えていく雪」のことです。この世界も実は沫雪のように刹那刹那に、はかなく消えていく。何とも壮大な歌ではないですか。

仏教では、悟りの最高の位「仏の悟り」を開いた者は、いつも一人だけである。私たちのリーダー(仏陀)はある期間をおいてしか現われないとしてきました。2500年前に現われた仏陀が釈尊(お釈迦様)であり、次の仏陀が現われるのは56億年後の弥勒菩薩まで待たなければならない。しかしそんなに待ってはいられない。何とかしてこの自分が住んでいる時代で仏陀に会える方法はないか、ということでこんな考えをするようになったのです。

それは、この世界とは別の世界が平行して存在している。平行している10億もの世界があれば、そのどれかには今現在、弥勒菩薩が生きているかもしれない。また、特別な世界では、限りない寿命を持った仏陀がいるかもしれない、これが極楽世界の無量寿仏(阿弥陀如来)という概念になっていく。三千大千世界という概念が生まれてくる。

これはまさに「多世界解釈」ですよね。量子論を論理的に突き詰めていけば、この世界は瞬間毎に分岐していくたくさんの世界から構成されていると考えざるを得ない。仏教でもこの世界は階層化されたたくさんの世界から成り立っている。偶然の一致かもしれませんが、何ともおもしろい一致です。

犀の角たち

上田三四二さんの『良寛の歌ごころ』と佐々木閑さんの『犀の角たち』から以上のようなことを教えられました。

上田三四二さんは、医者であり歌人であり文芸評論家でもあった人です。そしてがん患者でもあった。ただ、上田さん自身はがんの告知はしない方が良いという考えであり、家人も上田さんにはがんということを知らせなかったようです。二度の大病を経て『ゆらぐ死生観』という著作など、良寛・吉田兼好・道元らを対象に命の内面を見つめた作品があります。

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2009年7月 8日 (水)

久留米大のワクチン療法 国の委託事業に

本日の西日本新聞によると、久留米大のがんペプチドワクチン療法が文部科学省の委託事業に選ばれたそうです。

「がんワクチン療法」研究 国委託事業に決定 久留米大など産学官連携 九州唯一

  がん患者それぞれに最適なワクチンを処方する久留米大(久留米市)の「がんペプチド(タンパク質)ワクチン療法」を核とした産学官事業「久留米高度先端医療開発クラスター」が、文部科学省の委託事業に選ばれた。本年度から5年間、年間約3億円の委託費が支給される。全国で4件が採択され、九州では唯一。県や久留米市が7日に発表した。

 同事業に参加するのは久留米大や九州大、県や県内企業など。肺がん、肝臓がん、ぼうこうがんに有効ながんペプチドワクチン療法の実用化研究▽大学や製薬企業の技術者などを迎えた講座による人材育成事業▽海外との人材交流や技術開発による国際展開の強化‐ などの事業を展開する。

 久留米大のがんペプチドワクチン療法は、患者への負担が格段に軽い「第4のがん治療法」と注目される技術で、全国初の取り組み。患者やがんの種類によって異なるがん細胞の表面に存在するペプチドを識別。化学合成した30種類のペプチドの中から、患者の免疫機能を最も活性化させるペプチドを選び注射することで、免疫細胞にがん細胞を認識させ攻撃するという治療法だ。

 県庁での会見に出席した久留米市の江藤守国市長は文科省の委託事業採択を受け「われわれのプロジェクトに大きな弾みがつく。将来的には世界から治療に来るような都市になれば素晴らしい」と期待を込めた。

=2009/07/08付 西日本新聞朝刊=

2009年7月 7日 (火)

フォーレ「夢のあとに」

Path of Independence

平原綾香の『path of Independence』を聴きました。「ノクターン」や「カンパニュラの恋」はテレビドラマ『風のガーデン』の主題歌と挿入歌です。同じ曲で、歌詞が英語か日本語かの違い。ショパンのノクターン(第2番 変ホ長調 作品9-2)が原曲ですね。

納められた曲の中にチェロの心地よい独奏部分が挟まれているものが何曲かあります。ドラマでもチェロが効果的に使われていました(主人公もチェロを弾く設定)が、倉本聰のドラマにはチェロが雰囲気を醸し出してよく使われています。

いちばん記憶に残っているのは『北の国から’95秘密』のシーンです。看護師の蛍が勤務先の黒木医師と不倫の駆け落ちをして僻地の診療所に逃れていきます。その相手の医師が、空手もするしチェロも弾く名外科医という設定でした。この先生は決して画面には姿を見せず、チェロの音だけが流れてきます。「’98時代」では最果ての岩場に打ち寄せる砕ける激しい冬の荒波、粗末な掘っ立て小屋、荒涼とした雪の舞う風景にチェロのもの悲しい曲が流れてきます。

逃避先へ帰るため駅で列車を待つ間に純と車の中でカセットに録音した「先生」のチェロを聴くシーンでも同じ曲が流れてきます。世間から非難されようとも自分の意志に忠実に生きる蛍、その蛍が改札口に向かう後ろ姿が街灯の逆光に照らされています。凛と背筋を伸ばした蛍の後ろ姿に、純は強くなった一人の女を見ています。そして純の恋人との関係、情けない自分に対してやるかたない思いを抱いているようでした。

上のビデオの6分くらいからこの曲が流れています。蛍の台詞、「おかしいの。駆け落ちするのに何も持たず、チェロだけ大事そうに抱えてくるの」

この曲はフォーレの『夢のあとに』です。歌曲なのですがチェロに編曲されたものの方が格段によいです。チェロ用に編曲したのは、カザルスです。甘美で切ないメロディは、何度聞いても「北の国から」の数々のシーンを思い出します。

フォーレの『夢のあとに』はこんなシーンで使われていました。

「’95秘密」

  • 純が車で螢を新得まで送るシーン、カーステレオから
  • (駆け落ちの相手)黒木医師の夫人が五郎の石の家を訪ねて来たシーン
  • 落石のバス待合所で純と螢が話をするシーン
  • 石の家、螢からの手紙を五郎が読むシーン

「’98時代」

  • 富良野へ来た螢がニングルテラスを訪れ、雪子と話をするシーン
  • 螢が草太の牧場を訪れ、妊娠していることを告白するシーン
  • 札幌、正吉が螢にプロポーズする公園のシーン
  • 結婚式の3日前、石の家で五郎と螢が布団を並べて話をするシーン
  • 富良野協会病院、螢の正吉への語りかけのシーン
  • みずえの葬儀、遺言について山下先生と五郎が話しをするシーン
  • 牧場の跡地と草太の墓を純が訪れるシーン
  • 螢に届いた正吉の手紙が読まれるシーン

12回も使われています。最果ての岩場に打ち寄せる砕ける激しい冬の荒波のシーンは「’98時代」のどこかのシーンだったようです。

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2009年7月 6日 (月)

WT1で膵がんが縮小し、手術可能となった例

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癌掲示板の「膵臓癌ステージ4ーbはもう完治は不可能ですか?」にこんな投稿がありました。

193 名前: Hayama 投稿日:2009/07/05(日) 23:32

40歳半ばの会社員ですが、約1年ほど前、腹部の痛みで入院し、その際のCT検査で、膵臓癌が発見されました。その際のステージは4でした。
その後、さまざまな病院をセカンドオピニオンで回りましたが結局、手術は不可能と去年の8月に結論がでました。
ただ、その際WT1の免疫療法の治験があることを知り、WT1とジェムザールの投与を2008年10月から受けた際、4か月で腫瘍が80%の縮小がCTでみとめられ、3月に急遽、膵臓の一部、十二指腸、胃の一部の摘出をしました。
まだ、術後4か月ですが、十分な回復がみられました。
現状、腫瘍マーカーは正常値で、CTでも転移や腫瘍は見つからない状況です。 術後もWT1とジェムザールの投与を続けています。

一度は、あきらめていたのですが、病院の先生方、また、WT1のおかげで、何とか一命をとりとめました。
他の方の参考情報になればと、投稿致します。

WT1ワクチンで切除不能膵がんステージ4が縮小し、切除可能となった例です。WT1ワクチンが膵がんに効果的だということの新たな例ですね。

切除できない膵臓がん患者にとっては希望の持てるすばらしい治験例です。

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2009年7月 5日 (日)

ゲルソン療法では膵臓がんは治らない

今あるガンが消えていく食事 (ビタミン文庫)

がん患者の中にはゲルソン療法をやっておられる方も多いのでしょう。星野式ゲルソン療法などは結構人気があるようです。『今あるガンが消えていく食事』という済陽高穂氏の書籍の帯には「膵臓がんが1/3に縮小した」と書かれています。

ゲルソン療法は厳格な食事療法です。コーヒー浣腸、大量の野菜ジュース、塩分は禁止などを厳格に守るように指導されます。私としてはコーヒー浣腸や自分のおしっこを飲むということにはとても抵抗があります。ですからゲルソン療法にはほとんど関心を抱いていませんでした。しかし、シュバイツアー博士が激烈に推奨している方法とはどんなものかという程度の興味はあります。

そこで試しにとジューサーを買ってきて、人参とレタスのジュースを作って飲みました。500ccのジュースを一回で飲み干したのですが、数時間後に気分が悪くなりました。下痢と悪寒がするし、早々にベッドに潜り込んで寝てしまいました。それ以来ジューサーも埃をかぶったままです。

決定版 ゲルソンがん食事療法

マックス・ゲルソンの書いた『ガン食事療法全書』は読んでいません。しかしゲルソンの娘であり、シュバイツアー博士の主治医でもあったシャルロッテ・ゲルソンの『決定版 ゲルソンがん食事療法』が2002年に出版されています。今日の知見に合わせて新しく出版されたものです。この本では、ゲルソン療法の基本を解説したのち、「第11章 ガンのためのゲルソン療法(基本編)」、「第12章 化学療法中の修正治療」と続きます。

そして、12章には驚くようなことが書かれています。

どの程度であれ、また最後に受けた抗がん剤治療からどんなに時間が経っていようとも、化学療法を受けたことのある患者が、基本のゲルソン療法のまま忠実に実行することは大変危険である

一度でも抗がん剤をやったがん患者は基本のゲルソン療法はやってはいけないというのです。抗がん剤をやったことのないがん患者を探すのは、不透明な政治献金をもらったことのない政治家を探すよりも困難ではないでしょうか。そこで修正版のゲルソン療法が登場します。ひまし油は禁忌だ、人参ジュースは作用が強いから一日に3杯飲まないように。私が人参ジュースで寝込んだのは1年前の抗がん剤のせいだったのか! とてもじゃないが信じられませんね。

12章の最後の段落にはこんな記述があります。

膵臓がん患者で、以前に化学療法を受けたことがある場合には、残念ながらゲルソン療法でも良い結果が出せない。抗がん剤で膵臓があまりに激しく損傷を受けるからである。

第16章「治った人たち」に「膵臓ガンが消えて15年」と紹介されているエイニーさん(46歳)の場合、1985年当時は膵臓がんのステージ4に有効な抗 がん剤はなかったので、抗がん剤は投与していない。そしてゲルソン療法で完全に消失して、15年間生存しています。彼女の場合抗がん剤の治療をしていな かったのでゲルソン療法が有効だったということでしょう。

ジェムザールのある現在、これを止めてゲルソン療法だけの治療法を選ぶのは勇気の要ることです。抗がん剤をやったことのある膵臓がん患者には、ゲルソン療法は危険なだけでなく、効果は望めないとゲルソン療法の権威が言っているのですね。
済陽高穂氏の著作はトンデモ本ということ。

【結論】他のがんはともかくも、少なくとも膵臓がんの患者はゲルソン療法には期待しない方がよいということです。ゲルソンの娘が「効かない」と太鼓判を押しているのですから。しかし、ゲルソンの主張したこと、がんの原因は食事を初めとする生活および環境汚染にあるということは正しいと思います。マクガバンレポートに代表されるように、アメリカでも日本でも新鮮な野菜をたくさん食べることの必要性は、ゲルソン療法を信じるかどうかにかかわらず、多くの人々が認めていることです。

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2009年7月 4日 (土)

心と癌と量子力学の関係(2)

朝日新聞の木曜日の夕刊に『日々是修行』というコラムがある。花園大学教授の佐々木閑氏のコラムですが、これをいつも楽しみにしています。

Photo 2008年4月17日の『「合理的」に考えるとは』のタイトルのコラムでは、量子力学における「多世界解釈」という言葉が出てきてびっくりした。(左の切り抜き)

この人は仏教学者のはずだが、どうして量子力学に詳しいのだろう。調べてみたら「京都大学工学部工業化学科を卒業後、同大学大学院文学研究科博士課程に入学、退学後、カリフォルニア大学バークレー校に留学、京都大学文学部哲学科仏教学専攻卒業」となっているので、なるほどと思った次第です。

『「合理的」に考えるとは』のコラムでは、次のように書かれている。
この世界は時々刻々分裂を繰り返していて、あなた自身も次々と分身している。この自分は平行して存在している大勢のあなたの一人に過ぎず、他の世界には別のあなたがいるのである。しかし、こんな考えは非常識であり、まじめに言うと馬鹿にされるだろう。しかし、量子力学の解釈を合理的に進めていけば、論理的にこうした結論になるのだ。正しい論理を積み重ねて得た結論は合理的であり、重要なのは結論よりも考える道筋である。外見上は常識的で世間一般が「そうだ、そうだ」と納得しても、途中の論理に狂いがあればそれは不合理なのである。その典型的な例が「マイナスイオンは身体によい」という主張である。

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)

このコラムは、ちくま新書から『日々是修行-現代人のための仏教100話』として出版されているので興味を持たれた方はどうぞ。4月17日のコラムは第52話に『結論より思考の道筋が大事』とタイトルを変えて収録されています。45話には『ある物理学者との邂逅』と題して、6月15日のブログで紹介した戸塚洋二氏との仏教と物理との世界観の共通性について語らい合ったことなども紹介されています。そして戸塚洋二さんのブログにも佐々木閑氏と会ったことがお互いに記されているのですね。

犀の角たち

佐々木閑氏には『犀の角たち』という本があって、実はこちらの方が抜群におもしろい。私は久しぶりに時間を忘れて読みふけることができる本に出会った心境です。この本は仏教書です。著者もそのように書いているから仏教書なのでしょうが、直接に仏教のことに触れているのは、後ろの3分の1程度です。物理学、進化論、数学、更にベンローズの『皇帝の新しい心』に触れてから、やっと仏教論が始まるという、なんともおもしろい構成です。

前置きが長くなりました。量子力学(量子論)の話しに入りましょう。とは言っても私のようなど素人が、物理学者でも正確にわかっている人は少ないと言われる量子論について、しかもブログでわかりよく説明するなど、月に向かって犬が吠えるようなものです。量子論に関するわかりやすい解説書がたくさんありますからそちらにお任せします。

とりあえず前提として、次のことが分かったつもりになってみます。

  • 有名な二重スリット実験により、光は粒子と波の両方の性格を持っていることが分かった。
  • 電子についても同様に、二重スリットを通ると干渉縞が生じる。これは電子も波の性質を持っているということである。(日立製作所のWebにはその実験ビデオがアップされています。)
  • 光子や電子が、どちらのスリットを通過したかを観測装置で測定すると、干渉縞は現われない。人間が「観察」することによって結果が違ってくる。
  • スクリーンに到達した電子は、「1個」の粒子としてスクリーンを光らせるのであるが、到達する位置は途中の二重スリットを通過して干渉した波形に応じた確率に対応した一点である。

量子論では「世界はどんなに精密に観察しても、本質的に不確定なのであり、それがどう見えるかは、我々観察者側のあり方が決めること」という結論です。合理的に考えればこうなるのであり、常識は捨てなければならないと主張するわけです。

ところで、量子論でも説明の付かないことが一つあります。それは先の二重スリット実験において、電子がスクリーンに到達したときに何が起きているのかを説明することができないのです。電子は二つのスリットを同時に通過するから干渉縞が現われるのであり、そのことにより、途中では「波」として進んでいることが分かります。

しかし、波としてやってきた電子がスクリーンに衝突したときは、一個の粒子として光って現われるのです。波であったものがスクリーンに到達した瞬間に粒子に変貌します。これを「波の収縮」といいます。量子論の数学からはこの現象を説明することができません。量子論の最大の弱点です。それで、「シュレーディンガーの猫」という思考実験で攻撃されることになったのです。

この難問に対する一つの回答として出されたのがエヴェレットの「多世界解釈」です。電子がスクリーンのAという点に衝突した世界、B点に衝突した世界・・・・・と延々と無限に続きます、どの世界も電子の波がスクリーンに描く干渉縞の確率に応じて存在することになります。A点に衝突したと私が見ているのは、A点に衝突した世界にいるかであり、別の私がB点に衝突した世界にもいる、C点に・・・・・。とこれも無限に続きます。

佐々木閑氏が「量子力学の解釈を合理的に進めていけば論理的にこうした結論になる」というのはこういうことです。とにかく世界は時々刻々分裂して枝分かれするように別の世界が絶えず生み出されていると、量子論を突き詰めていけば、そう考えざるを得ないということです。

「多世界解釈」が仏教の輪廻転生、三千大千世界、無量寿仏(阿弥陀如来)などとどのように関係するのか、長くなったので次回にします。

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2009年7月 1日 (水)

心と癌と量子力学の関係(1)

Photo

化学装置としての脳と心―リセプターと精神変容物質 』(リチャード・M・レスタック著 半田智久 訳 新曜社)は、精神変容物質が脳に作用する機構を解説したものであり、植物を使った精神変容の歴史から、精神疾患に対する薬剤の開発・発見の歴史を垣間見せてくれる。少量で精神世界を変容させてしまう薬物と、その受け手である脳内リセプターの話であるが、最終章では、量子力学を考慮したリセプターと情報伝達物質の結合が述べられている。

リセプターと情報伝達物質は、鍵と鍵穴に例えられて結合が説明されることが多い。ところが、化学構造が全く似ていない物質が結合してしまう時がある。問題は化学構造ではなく、鍵と鍵穴に相当する部分における電子配置なのだ。そして電子の相互関係は、量子力学的に考慮されなければならない。つまり、電子は太陽系惑星のように原子核を回る軌道上にある点として存在するのではなく、波動関数として表される雲のようにぼやーとした存在、電子が存在する確率(確率の雲)として考えられる。

今世紀はじめの30年間以降、量子力学は生物学のより深い部分にある不可思議を学ぶ手段としてたいへん有望視された。「最終的には生物学の概念と量子力学のメカニズムが結合することは当然の帰結である」と、すでに60年前にニールス・ボーアは書いている。そうした楽観論が今日ではあながち軽率なものとは言えなくなってきている。神経伝達物質とリセプターに関する研究は、脳内で起きていることが化学的な対話、化学物質の会話であることを明らかにしている。この分子の語り合いの場はリセプターにある。もっとも、スーパーコンピュータの出現までは、伝達物質とリセプターの相互作用に関わる膨大な計算量が理解の壁となっていた。それが今や高速コンピュータのおかげで、神経科学者たちは伝達物質とリセプターの問で生じている相互作用を予測する量子力学の理論や方法を使えるようになった。こうした研究からの洞察は伝達物質とリセプターの相互作用に関する今後の理解にとって刺激となるだろう。

既に製薬企業では、新薬の開発においてこうした量子力学的効果を考慮したコンピュータプログラムを使っている。

伝達物質とリセプター間の相互作用では、一方の分子内の電子がちょうど磁石のように力を及ぼし、他方の分子内の電子の空間配列に影響を及ぼす。つまり、相互作用はリセプターに影響する伝達物質を基にするのでも、その逆でもなく、相互に影響し合う力の場に由来するのである。分子の力の場はそれぞれの構成要素によって決まる。分子の特性やリセプターのような別の分子が存在するときの分子の挙動は、電子の波動関数(波動関数はある分子内のすべての電子の推定空間分布と配列を数学的に表現する)とそのエネルギーレベルを分析することによって推測することができる。そうした情報を携えて、神経科学者たちは薬の作用に関わる分子基盤を理解しつつある。
 量子に関する原理によって、近い将来、分子配置によって薬物とりセプターの親和性を理解できる可能性が高まってきた。神経科学者たちは化学構造がまったく似ていないのに電子配列が非常に近似しているため、リセプターと作用し合うような化学物質をすでに見出している。すなわち、リセプターへの薬の適合性には単に構造的、形態的なものだけでなく、動態的な性質も関わっているのである。大部分の薬が非選択的に結合する事実、つまり特定のリセプターだけでなく、構造的に見ただけでは予期できない部位にまで結合する理由のひとつはここにある。

化学的結合を考慮するためには、双方の物質間の力の場による電子配置の変化を考慮にいれる必要がある。

情報伝達物質(サイトカイン)は脳内だけで働いているのではない。身体の至る所で働いている。白血球にも脳で作られるホルモンのリセプターがあることがわかっている。がん細胞と白血球との闘いにおいても、その働きの根本は化学反応であり、情報伝達物質とリセプターが主役である。

脳の働き、心の有り様が、がんに対する免疫力(白血球の働き)に影響していることが、量子力学的に説明できる日も近いはずである。『病は気から』という言葉には量子力学が関わっているのである。

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