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2010年5月 3日 (月)

がん患者が考える生と死(3)

今日は憲法記念日。せめてこの日くらいは日本国憲法を読み直してみたいと、毎年気にかけている。今年はちょっと趣向を変えて、方言で憲法を読んでみる。もちろん、我が郷土、土佐弁の前文を読んでみる。
勝手に憲法前文をうたう会」で全国の方言を集めて憲法前文を紹介している。

おくにことば・土佐弁編(高知市周辺)
        訳した人・山猫母(F)           
        2007・6・12改
---------------
日本に住みゆうわたしらあは、
わたしらあや孫子(まごこ)のために、
こじゃんとココロに決めました。
ちゃんとした方法でわたしらあの代表を決めて、
ほんでその代表を通じてこれからいごいていきます。

 

全部の国々となかようしよう、
自由の恵みが日本の隅々までいきわたるようにしよう、
お役人らあの勝手で二度と戦争がおこらんようにしよう。
この国で一番えらいがは、わたしらあひとりひとりながやきね
とふとい声でいうちょいて、この憲法をきめるがです。

 

国政いうがは、国のみんなあの信頼をいちばん大事。
権威はもともと国のみんなあのもんやし、
権限を使う人はみんなあの代表ながやき、
みんなあがそれから得た利益を受けるがは当然ながです。

 

こんなことらあは人間やったら誰でもがわかっちゅう本質やき
わたしらあの憲法はこのやり方でいくがです。
わたしらあは誰がなんと言うたち、
この考え方に合わんがやったら憲法やったち、法令やったち、
天皇さんの命令やったちいりませんということにします。
そんながは、従わんでえいがです。

わたしらあは、この先ずうっと平和でおりたいいうて
こじゃんと強うに思うがです。
やき、ひと同士の間で絶対大事にせんといかん高い理想を
いっつももっちょくことにします。
わたしらあは平和を大事にしゆう世界中の人らあが、
みんなあ正直でうそをつかんと信じます。
信じることで、わたしらあは平安に生きることに決めたがです。
わたしらあは平和を守って、
どっかを支配しちゃりましょうとか、言うことをきかんかったら痛い目に合わせるとか、そんなヘゴをこの世から無くすように頑張りゆう
ほかの国々のなかで「日本はしょう頑張りゆうやんか」いうて
尊敬されるばあの国になりたいと思うがです。

 

世界中どこの国の人も
怖がったり、ひもじかったりいう難儀をせんずつ
平和に生きる権利があるがやと思うちょります。

 

どこの国も、自分くだけがよかったら
ほかの国はどうでもえいわらあてことじゃのうて、
政治のモラルいうもんは持っちょかんといかんと思います。
自律した国として
ほかの国とつき合うときにはこの考えを
絶対腹にすえちょかないかんと思います。

 

わたしらあは、日本いう国の名誉にかけて
このげにえい理想と目的をほんとにするように
持っちゅう力を惜しまんと誓います。

坂本竜馬がこの土佐弁の憲法を聞いら、そりゃぁ涙を流しちょいて、顔を真っ赤にしいまくって、天を仰いで号泣するに決まっちょるがね。

今朝の朝日新聞によると、憲法九条の改正には反対が67%だという。安倍内閣当時は改正反対は49%だったことを思うと、先日亡くなった井上ひさし氏らの憲法九条の会などの活動が効果を現わしているのだと思って喜ばしい。

ニューヨークの国連本部で、今日からNPT(核不拡散条約)再検討会議が開催される。NPTは当時の核保有5カ国以外の核保有を認めないという不平等条約ではあるが、核廃絶への一歩を踏み出したという点では歴史的には一定の前進であろう。この条約の全身となったのがアメリカとイギリス、旧ソ連との間で締結された「部分的核実験禁止条約」である。ライナス・ポーリング夫妻は、赤狩りの嵐が吹き荒れた冷戦時代のアメリカで、政府の核政策を真っ向から批判した人物であり、不可能だといわれていたこの条約の締結に大きな影響を与えた。ポーリングはこれによってノーベル平和賞を与えられている。単独で異なるふたつのノーベル賞を受けた唯一の人物がポーリングである。もうひとつのノーベル賞は、タンパク質の立体的二次構造をつきとめたことに対して与えられた化学賞である。

彼の功績を挙げるときりがないほどだ。タンパク質の立体構造、SP3混成軌道の発見、イオン結合と共有結合、分子の電気陰性度、世界初の電気自動車の開発というものまである。そんなポーリングであるが、晩年は、我々がん患者にもなじみのあるビタミンCの大量摂取による健康法や分子矯正医学なるものを提唱してひんしゅくを買うことになる。

やっと今日の本題に入ることができる。

前回書いたように(ずいぶん前になったが)、柳澤桂子が「私たちは、死を運命づけられてこの世に生まれてきた。しかし、その死を刑罰として受けとめるのではなく、永遠の解放として、安らぎの訪れとして受け入れる ことができるはずである。」といい、田沼靖一が「ヒトは、進化の過程で可老可死を選択することで生き残ることができた生物の末裔なのです。」という。こうして死が悲惨な運命ではなく、種の保存のための積極的な戦略であることは分かった。

しかし、連綿と続くヒトという種の中で、この私というものの存在はなんなのか? ドーキンスが言うように単に遺伝子を運ぶ舟に過ぎないのか? という根本的な疑問は依然として解決されていない。肉体が滅ぶのは仕方がない。死とともに、私を構成している分子や原子は、超新星の爆発で生じた元の原子に 戻ってこの宇宙の構成要素となるはずだ。つかの間借りていた分子や原子を、元の持ち主に返すときが来るのは必然でもある。しかしそのとき、私の「心、意識、魂、アイデンティティ、精神」というものはどうなるのだろうか。唯物論的に考えれば、エンゲルスの言うように、単に「意識はタンパク質の存在の仕方」でしかないのだから、赤いバ ラが枯れてしまえば「赤い」という存在の仕方も、バラという存在とともにすべてなくなってしまうと考えるべきだろう。

それならそれでも良いのだが、しかし、もっときちんと理解したい。つまり、 意識はどこにあるのか。それはどのようにしてこの世界を認識できるのか、身体が死ぬと意識はどうなるのか、といったことをもっと深く知りたい、と思うのです。ゴーギャンがその絵に秘めた問い「我々はどこから来たのか 我々は何ものか 我々はどこへ行くのか」の、「我々は何ものか?」を問うことは、古代ギリシャに始まる脳と心の関係についての根源的な考察であり、結論が簡単に出せるような問いではないことは十分分かってるが、それでも問い続けないわけにはいきません。
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ボストン美術館所蔵のゴーギャンの作品→

<いまボストン美術館展をやっているなぁ>

現在の脳科学の定説によれば、脳に140億個あるニューロ ンのシナプス結合の強度の変化によって記憶が蓄えられるとしている。意識もこのニューロンの相互間の作用であるという考えが現在の主流です。こうした脳科学の主張にたいして、いくつかの新しい(新しくもないか?)仮説がある。

酒を飲むと酔っぱらって気持ちが良くなる。酒癖の悪い人もいて、酔っぱらっていたときのことを覚えていないことがある。アルコールがどういう仕組みで”意識”を奪うのか、その機序は分かっていない。脳にはアルコールの受容体がないのである。同じように、全身麻酔の機序も分かっていない。「脂肪溶解度説」が現在の麻酔学の定説であるが、これは脂肪に解けやすいものほど脳の中に入りやすい、脳の中に入りやすいほど麻酔効果が高いという比例関係を説明しているに過ぎない。

脳のなかの水分子―意識が創られるとき

ポーリングがキセノンの全身麻酔に関する講演を聴いたとき、不活性ガスであるキセノンに麻酔効果があることに興味を持った。どんな物質とも化学反応を起こさないから「不活性」なのである。そのキセノンが、どのようにして脳に作用して意識を奪い、麻酔効果を生じるのか。

ポーリングが考えたのは、キセノンが水のクラスターを安定させて、小さな結晶のようなものを作るのではないか、ということだった。そして全身麻酔効果のあるすべての薬品が水のクラスター形成を安定化し、小さな結晶水和物を作り出すことを見つけた。水分子どうした互いにくっつきやすい状態を作ることが全身麻酔効果の分子機序であることを発見したのである。

ヒトのこころの原点である”意識”をとる全身麻酔の効果が水分子の振る舞いに依存しているのなら、"こころ"は脳の中の水分子が示す何らかの現象ではないかということになる。しかし、ポーリングの研究はこれ以上は進まなかった。

ポーリングの考え発展させ、複雑系の概念を導入して「脳の渦理論」を提唱しているのが中田力である。『脳のなかの水分子―意識が創られるとき

水分子、ヒドロニウムイオン、水素イオン、水酸化物イオン、大小さまざまな水分子のクラスターが、それぞれの形態と役割とを常時変化させながら存在する水という物質は、全身麻酔薬によって作られる結晶水和物というもうひとつの構造を獲得することによって、意識を操作する現象を引き起こす。

脳は水を管理することでニューロンネットワークを保護する発泡スチロールのような緩衝材を作り上げ、同時に熱の流れを、大脳の機能素子として利用することに成功したのである。そこから”意識”が生まれた。情報学的にいえば、大脳皮質はエントロピー空間を作っている。そして情報を扱う空間には等価のノイズが必要である。最大のエントロピーであるニューロンのランダムな発火があり、そのランダム性を下げることによって情報が意味を持ちうる。そして、物理学的にいえば、熱とは最もエントロピーの高いエネルギー形態である。熱は等価のノイズを大脳皮質全体につくりだす材料として都合がよい。熱放射の作り上げる大脳皮質全体の等価ノイズ、これが意識の根源であると、中田は主張する。

脳のグリア細胞、それの多く存在するアクアポリンと呼ばれる水分子の通路、グリア細胞のマトリックス構造による緩衝作用によって衝撃から守られている脳、マトリックス構造の中の、アクアポリンによる水分子移動によって乾いた空間となり、脳の冷却装置としての役割をする脳の形態が熱放射による等価ノイズを与え、脳が情報を受け入れる準備を整える「覚醒」した状態をつくりだしている。こうして脳の渦理論が完成する。

私のはしょった説明ではよく分からないかもしれない。松岡正剛がもっと良くまとめているので参照されたい。

「脳の渦理論」はNHKの番組「爆笑問題のニッポンの教養」でも放映されたらしい。トンデモ科学扱いをされたりもしている。あくまでも仮説である。


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