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2010年11月

2010年11月27日 (土)

ペプチドワクチンで腫瘍が増大することがある

退院して6日目です。何とか、本来の体調に戻ってきたようです。

Mebio (メビオ) 2010年 12月号 [雑誌] グラフィック・メディカル・マガジン「Mebio」12月号が「がん免疫療法の進歩と問題点」を特集しています。中村祐輔教授の「ゲノム抗原による新しい腫瘍抗原の同定」、近畿医大教授奥野清隆氏の「海外で臨床試験の進んでいるペプチドワクチン療法」、大阪大学の杉山治夫教授の「WT-1ペプチドを用いたがん免疫療法」、北海道大学遺伝子病制御研究所教授の西村孝司教授らの「巷間で行なわれるリンパ球移入療法の概説と問題点」など興味深い記事が揃っています。

なかでも三重大学大学院医学系研究科教授の珠玖洋教授らによる「ペプチドワクチンによる免疫機構の活性化」は気になる論文です。

  • 実験的研究では、ワクチンなどの免疫操作がかえって腫瘍増殖 を20101127093045417_0001促すことがあることがある
  • SEREX同定抗原を用いた免疫は、腫瘍肺転移の治療効果の増強と憎悪の二面性効果を引き起こす
  • この二面性効果は、CD4陽性CD25陽性制御性T細胞活性及びCD4陽性ヘルパーT細胞活性の誘導によりもたらされ、IFN-γによりコントロールされている
  • しかし、適当なアジュバントを採用することにより抗原特異的キラーT細胞のアポトーシスも抑制され、 in Viboにおいて強い腫瘍増殖抑制効果が誘導された

等と書かれています。

近年、主としてキラーT細胞が認識する抗原ペプチドをワクチン源とするペプチドワクチンが、多くの臨床試験で評価され、開発が進められている。その基盤となっているのは、種々のマウス実験腫蕩において、キラーT細胞認識ペプチドを用いたペプチドワクチンが腫蕩増殖の抑制を導くといういくつかの報告である。しかしながら一方で、(今も臨床試験で頻用される)ベプチドとフロイント不完全アジュパント(IFA:臨床試験で広く用いられているモンタナイド)の混合投与というぺプチドワクチンの投与方法は、投与経路やスケジュール、投与量によっては、抗原特異的CD8+細胞の活性化ではなく「免疫寛容」を誘導してしまうことが、マウスモデルで報告されている。「Mebio-12.pdf」をダウンロード

人体は複雑系であり、多田富雄氏が言うように免疫も複雑系のスーパーシステ ムです。がん細胞を免疫系でやっつけることはなかなか一筋縄ではいかないのでしょう。アジュバントの工夫で何とか対応できそうですが、一層の研究が望まれます。それにしても国のがん予算が少なすぎます。そうした話も先月11月6日の「すい臓がんに光をあてる」セミナーで講演されましたが、その動画がアップされています。膵臓がんの最新情報としてぜひ見ておきたい内容です。

2010 パープルリボンキャラバンin東京 「すい臓がんに光をあてる」

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2010年11月22日 (月)

退院

本日10日ぶりに退院しました。鼻から胃までチューブ(イレウスチューブ)を入れ、点滴をすることで何とか回復しました。

今回の癒着性イレウスの原因ですが、担当医の若い先生に見解では、手術以来服用している薬の影響も考えられるのではないかということでした。3年半前の手術以来飲んでいる薬に下痢止めが3種類もあります。

  • アドソルビンー下痢止め
  • タンナルビン「ヨシダ」ー下痢止め
  • ビオスリー 腸の働きを助ける

この三つを入院中は中止するように指示されました。それに変わって処方されたのが、エンテロノンーRという腸内細菌叢の異常による症状を調整する薬。味の素製薬が40年前から販売している乳酸菌製剤です。

「手術で癒着を起こしているのは確かなのですが、私の考えは、出るものは出した方がよいということ。無理に下痢を抑えることでガスがたまって、癒着があるのだからイレウスが起きやすくなっていると考えられます。レントゲンを見てもガスは抜け切れていませんから、今後も起きる可能性があります。したがって下痢止めは続けない方がよいと思います。」という見立てでした。丁寧にもかかりつけの先生宛への手紙も書いてくれました。

下痢止めを控えたのだから、これからは紙おむつは必携です。いつでも2枚くらいは持っていた方が良さそうです。

術後の体だって時の経過とともに変化するのでしょうから、3年半も漫然と同じ薬を服用すべきではなかったようです。黒豚の呪いもあったのかもしれませんが、これからは食事には十分に時間をかけて、よくかんで食べるようにします。

一週間もベッド暮らしだと、さすがに体力が落ちたことが実感できます。今年の紅葉の撮影はもう無理かも。

人間は「ウンチ製造器」だ。食って、出して、これが一番大事なこと。それ以外のことなんて、たいしたことではないなぁ、としみじみと思った。『美のエナジー』を紹介した記事で書いたが、

おいしいものを喰べ
気持ちのいい服を着て
くつろいで暮らす
Taoの理想なんて
こんな平凡なことなんだ
              -----老子

「平凡が幸せ」 これに尽きる。

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2010年11月20日 (土)

病院の休日

昨日で点滴も終わり。病院での週末は退屈だ。ノートPCを持ってきたので、インターネットラジオで音楽を楽しんでいる。

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この病院に入院するのは11年前の直腸がんのとき以来だが、いまではベッドサイドの床頭台にLANケーブルがきている。1日300円でインターネットは使い放題だが、いかんせん速度は速いとはいえなく10Mバイトだ。それでもないよりはよい。持参したストレートケーブルでは接続できなかったので確認してもらったら、クロスケーブルになっているようだ。売店でレンタルする。OTTAVAとWinampのラジオを流しっぱなしにして聴いている。

病室は消化器内科で、同室の患者は一人が来週手術の予定。もう一人は検査の結果異常なしということでまもなく退院するらしい。あとの三人は末期がん患者である。若い二人が痛々しい。私が入院した先週は自分でトイレにも行けていたのが、わずかに数日でトイレにも一人では行けなくなり、ベッドの上でおむつを交換してもらっている。

痛みも激しいようでモルヒネでコントロールし切れていない様子だ。レスキューで痛み止めを飲んでいるが、あまり効いているようには見えない。WHOの三段階序痛ラダーで対応しているのか気になった。というのは、看護師が「あまり続けてレスキューするのは良くないよ」などと言っている。痛みを確実に取ることの重要性が看護師にまで徹底しているのか心配になってきた。大腸がんが肝臓と肺に転移しているそうだが、試しに抗がん剤をやったらこんなになってしまった、と言っている。まだ三〇代の半ばか。すでに本人は治らないことも死も覚悟している。「人生にまだ何かやり残したことがあるような気がして・・・」と力なく笑っている。自宅で最後を迎えたいようだが、トイレにも一人では行けないので悩んでいる。介護ヘルパーさんだけでは対応しきれないからだ。自宅での最後は望ましいが、家族がいることが必要条件だろうと思う。

病棟には膵臓がんの患者も二人いて、デールームで話をしたが、「国立がん研究センターに行ったが、手術ができないと言われた。抗がん剤ならここの病院でよいということで帰ってきた。昨日一回目の抗がん剤をやった」という。GEMなら外来でできるはずだが、入院してやる抗がん剤治療は何なのか、訊くのも躊躇する。私のことも訊かれたが、膵臓がんで手術したとはいえなくて腸閉塞で入院したとだけ言った。本人は抗がん剤をやれば治ると思っているのに、延命効果だけだよとは言えやしない。

2010年11月19日 (金)

緊急入院中

13日土曜日に、また腸閉塞を起こして緊急入院しています。
大学病院のERは自宅と目と鼻の先。こんな時には都合がよいが、今回はスマートフォンしか持ち出せなかったのでブログの更新もできず、本日は12時までの一時外出許可をもらって帰宅しています。モブログの設定をしておくべきだったか。

腸閉塞、正確には「癒着性イレウス」という診断。3年半前の膵臓がん手術で小腸が癒着していて、何らかの拍子に圧迫され「糞詰まり」になるらしい。20時間くらいは辛抱しながら七転八倒しました。口からウンコが出るような嘔吐はもう勘弁願いたいものです。

安西さんから「気」に関して詳細なコメントをいただいていますが、こんな事情で返信ができません。UFOの存在をまじめに論じることは、暇人のお遊びであるように、私にとっては「気」の存在を論じるのも同じこと。つまり時間を費やすほどの価値もない問題です。ノーベル平和賞と化学賞の二つを受賞したボーリング博士が、ビタミンC大量療法を提唱して”ひんしゅく”を買ったように、権威が言うから必ずしも真実であるとはかぎりません。

安西さんが推す福島雅典氏は、今回の朝日新聞のがんペプチドワクチン「捏造」記事に関して、医学界には珍しく朝日を養護する立場で朝日新聞のオピニオン面に登場し、医師法に基づいて行われている臨床試験について、「法に基づかない野放し状態」と発言して“ひんしゅく“を買った人物であるという認識は持っております。

気功や太極拳に有効性があることは、安西さんが言われるとおりです。まちがいなく有効です。ただしそれは「運動が有効だ」と証明されたのであって、「気」の存在が証明されたわけではありません。「気」とは何かという前提が人によって違うことが、議論を混乱させているようです。このブログを討論の掲示版にするつもりはないのでこれまでにしますが、安西さんのコメントには感謝いたします。今後も私とは異なる貴重なコメントがいただけますようによろしくお願いします。

この週末は、那須塩原の湯治場・板室温泉で、紅葉を眺めながら源泉掛け流しの湯、のはずでしたが仕方なくキャンセル。このうめあわせはどこの紅葉にするかなぁ。

退院は22日月曜日の予定です。

2010年11月12日 (金)

メラトニンの副作用?

2ヶ月前からメラトニンを20mg(10×2)にして服用している。最近昼間に眠くて仕方がない日が多いのは、もしかしてメラトニンのせいかと思って、ここ数日服用を止めてみた。メラトニンは重篤な副作用は報告されていないとはいうが、20mgは、臨床試験など医者の管理のもとで服用する量には違いない。3、5,10mgと自分の身体と相談しながら徐々に量を増やしてきたのだが、どうやら20mgは私には多すぎるようだ。服薬を止めたら翌日からもとの調子に戻ってきた。やはりメラトニンの副作用だったようだ。人によれば悪夢にうなされると言うが、眠いという以外には気になる副作用はない。

昨夜は11時に寝たにもかかわらず、今朝は4時半に目が覚めた。これが健康なときの私の就寝スタイルだ。メラトニンは5か10mgに減量することにした。もう止めてもよいのかとも思うのだが、もしかしてそのせいで再発?ということはないかという考えが頭をよぎる。代替療法のすべてに言えることだろうが、いったん代替療法を始めると、止めることが難しくなる。病状が安定していれば「これが効いているのだろう」と思い、逆に悪化しても「止めればもっと悪くなるかもしれない」と考える。どちらを選ぶにしろ、それを補完してくれる科学的なデータはない。代替療法の罠だ。

高価なリンパ球を培養する免疫療法などでは、1クールで150万円から400万円も費用がかかる。仮に、これで延命効果があれば、どこで止めるか、どこまで経済的に耐えられるかが大きな問題になるだろう。幸か不幸か、この種の免疫療法では根治はあり得ないし、わずかな延命効果しかないから、延々と高額の治療費を払うことにはならない。あるリンパ球療法の病院で、「もうお金が続きません」といった患者に、その高名な医者が「生命保険を解約すればいいではないか」と言ったとか。こんな医者にかかったら最悪だ。

悪質な代替療法商法は、原価が1,000円のものを10万円にすれば、患者は「こんなに高いのだから、効果があるはずだ」と錯覚して、ありがたがってどんどん買ってくれる。しかし、5,000円にしたのでは売れない、とうそぶいている。根拠もなく高価な代替療法は、例外なくニセモノだと考えてまちがいない。その代替療法で命が助かりたいというのなら、10年、20年と経済的に続けることができるかどうかも考えておくべきだろう。とかく目先の「今の状態を何とかしたい」という気持ちは理解できるのだが、悪徳業者はそこにつけ込んでくる。その代替療法に効果があれば、「生きている間ずっと続けなければならないんだよ」ということを頭に置いておく必要がある。月100万でもまったく気にしないという裕福な人なら別だが、私なら月1万円以上を代替療法に支出するのは愚かなことだ。私の場合は、3ヶ月毎に個人輸入するマルチビタミンとメラトニンが12,000円ほど。ヤクルトを入れても月5,000円前後だ。

こう書いたからといって、私の方法を勧めているわけではない。がんは複雑系だ。同じ膵臓がんでも人それぞれに違う。同じ人のがん細胞でさえ、細胞毎に個性がある。だから私に効果があっても万人に効果があると考えることは無理だろう。膵臓がんで3年半生きている患者が、たまたまメラトニンやビタミンDを含むマルチビタミンを飲んでいた。こう考える方が理にかなっている。(もちろん私なりに根拠があると考えて実行しているのだが、その根拠はこのブログに書いてある)一つの症例、エピソードと考えておいていただきたい。あなたが治る方法は、あなた自身で探すしかないのです。

親切心かお節介か、がん患者に「これで末期がんから生還した人もいる。飲んでみたら」と試供品を渡す人もいるらしい。本当にその患者のことを考えているのなら、一生飲み続けられる量を渡すべきだろう。私なら「ありがとうございます。毎月送っていただけるなら喜んでいただきます」と応えることにしている。幸いにも、そのように親切なおつきあいをしている人はいない。

癌が消えた―驚くべき自己治癒力 (新潮文庫) どんな患者が驚異的回復=いわゆる奇跡的治癒をしやすいか?『癌が消えた―驚くべき自己治癒力 (新潮文庫)』の訳者あとがきから引用する。この本は、免疫力を高めると、体を温めるとがんが治るとか、このレシピでがんが消えたとかいう類の本ではない。

この本には・・・これこそが「正しく」効果がある、と言えるものは一切書かれていないのだ。それでは何が書かれているかといえば、「その人に会う方法はその人自身がみつけなければならない。自分がどういう人間なのかを知りなさい」ということだ。それはしかし哲学的命題ではなく、不治の病に冒されていると知ったとき、その人の中で緊急の危機に対する全身全霊の総動員体制が組まれるなか、おのずと出てくるものなのだ。

私たちは生命の危機に直面したとき、それを乗り切るのは「強い意志と強靱な体」だ、と思いがちだ。けれどもアウシュビッツの強制収容所の例(フランクルの『夜と霧』を指している-キノシタ)でも分かるように、生き延びた人たちは「想像力豊かで、あいまいさや不確実性とともに生きられる人」、つまり嵐の時に逃げ込める避難所を心の中にもち、混沌の中でどんな小さなことにも自分なりのやり方や意味を見いだせる人だという。これは救いだ。なぜなら、あるタイプに自分を合わせる必要はない、ということだからだ。

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2010年11月 7日 (日)

がんの最後は痛いのか?

土日は体調を崩してしまい、終日家で休養していました。Pancanのパープルリボンキャラバン2010に参加を予定していましたが、取りやめ。中村祐輔教授らの話を聞きたかったのですが、そのうちオンデマンドでビデオがアップされるでしょうから、それを期待しています。

このように、少し体調が悪いだけで「再発か?」と考えるのががん患者です。3年経とうが10年経とうが変わらないと思います。がんの末期は激しい痛みに襲われると、一般的の考えられていて、その中でも膵臓がんは七転八倒の痛みである、と言われます。「風のガーデン」の主人公・白鳥貞美の場合もそのように描かれていました。最近は韓国ドラマでもがんというとなぜか膵臓がんです。

がんの最後は痛くない しかし、このような常識はまちがっている。多くの医者でさえも、がんの最後は痛いものだと誤解している。本当は「がんの最後は痛くない」のだと、9年間に800人のがん患者を看取った、在宅緩和ケア医の証言です。タイトルもそのまま『がんの最後は痛くない』。書いたのは、千葉のさくさべ坂通り診療所の大岩孝司院長です。

七転八倒をする患者は現にいる。しかしそれは緩和ケアのやり方が悪いのであり、鎮痛剤の使い方がまちがっているのだ。在宅ケアでこそ、がんの痛みのない終末医療が可能なのだと証言します。住み慣れた自宅で終末を迎えることが、がんの痛みを和らげるのだと。しかし、本当に在宅で最後を迎えられるの?急変したらどうするの?家族が負担になって共倒れになるのでは?費用がかかるのでは? こうした疑問に具体的な例を挙げて「心配要らないよ」と言ってくれます。費用を例に取れば、在宅の方が病院にいるよりも安くなる。なぜなら差額ベッド代が要らないから。ほとんど保険診療の範囲内で収まる。患者の現状と病気の進行を予測できていれば、急変したときも慌てなくてすむのだ、と言います。

中島梓の『転移』でも、あるいは5月に亡くなったルイ茶長さんも、前日までブログを書くほどで、激しい苦痛は感じていない様子でした。膵臓がんの場合は、局所再発で膵臓の裏にある腹腔神経叢を侵せば白鳥貞美のような痛みになるのでしょうが、肝臓に転移するようなときには、そのような激しい痛みにならないようです。

WHO三段階除痛ラダーに従って、きちんと鎮痛剤を使えば、ほとんどのがんの痛みは和らぎます。痛みを自分でコントロールできるようになる。日本はまだまだモルヒネの使用量が少なすぎる。また、モルヒネが効かない痛みを考えるとき大切な概念として「トータルペイン」という考えがある。これは近代ホスピスの創始者であるシシリー・ソンダース女史が提唱したもので、がん終末期の痛み・苦痛は、

  1. 身体的痛み
  2. 社会的痛み(会社での居場所がなくなる、今後の治療費をどうする等)
  3. 精神的痛み(残された家族はどうなる、治療法を間違えたのかも・・)
  4. スピリチュアル・ペイン(霊的痛み)
    自己の存在への疑問。俺の人生は何だったんだ・・・

の4つを相互に関連したものとして、トータルでとらえなければならない、というソンダースのが考えです。

Photo_3 1977年、一人の日本人医師が、セント・クリストファー・ホスピスを訪問してソンダース女史に会います。そして日本にはまだ存在していなかった「在宅ターミナル・ケア」を、先駆的に自分の病院で実践するようになりました。この人が鈴木内科医院の院長・鈴木荘一先生で、日本における在宅ケアの草分け的存在です。私の会社の近くでもあり、会社の健康診断から、もうかれこれ30年来この医院にお世話になっています。膵臓がんになってからも癌研で処方された薬をここでいただいています。今はご子息の「赤ひげ先生」鈴木央副院長が私の主治医です。看護師を引き連れて、患者の自宅へ、坂の多い街を電動自転車で疾走しています。(「週間がん もっといい日 Vol.107」に鈴木央先生のインタビューが載せられています。)

 鈴木医師の疼痛管理の考え方は、極めてシンプルなもの。モルヒネ、オキシコドン、それに貼り薬のフェンタニールの三つのオピオイドを、WHOラダーに則って使っていく。ただし、そのプログラムで行くと決めたら、徹底してラダーに沿った治療を進める。強い痛みには強い薬を、弱い痛みには弱い薬を、躊躇なく使っていく。医療用麻薬を中途半端に使うと、かえって苦痛を招く危険性があることを、鈴木医師は経験的に知っている。
「緩和ケアの目的は、単に痛みを取るだけではないんです。痛みが取れれば精神的なケアも進むし、それによって日常生活にもゆとりができる。苦痛が消えることで食欲が出る人もいて、それによって栄養状態が改善されれば、化学療法のパフォーマンスステータスが上昇することだってある。決して消極的治療ではありません」。

在宅診療の医療上のメリットもある。自宅を訪ねれば患者の生活水準を嫌でも知ることになるが、そこから患者の苦痛の一因を推し量ることもできるのだ。鈴木医師が以前、経験した肺がん患者のケースを話してくれた。
「痛みが激しくて、麻薬の投薬量は増えていくばかり。食事も摂れないので、病院では高カロリー輸液を入れ、呼吸も苦しいので酸素もどんどん送り込んでいた。それでも、痛みが取れないまま在宅に切り替わったのですが、ご自宅にお邪魔してわかったのは、その方の最大のストレスは、“経済的不安”だということ。それで輸液や酸素の投与は止めてしまい、薬もできるだけお金のかからない投与法に変えたところ、きれいに痛みが取れました」

「とにかく患者にも医師にも知ってほしいのは、がんの痛みがあるなら、どんな状況であっても麻薬は使えるということ。積極的治療の段階で麻薬を使うことは、安全性の面でも何ら問題のないことであり、たとえ早期のがんであっても、痛みがそこにあるのであれば、緩和ケアが介入すべきということを、当たり前の知識として持ってもらうことが大切なんです」

このインタビュー記事を見ただけでも、ソンダースのトータルペインの思想が貫かれていることが分かります。『がんの最後は痛くない』にも同じことが書かれていますが、こちらは親子二代の経験的確信ですね。

こんなわけですから、私のがんの最後は鈴木先生にすっかりお任せする予定なので、痛みについてはまったく心配していません。すると「死」に対する不安も半分以上はなくなる気がします。

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2010年11月 5日 (金)

黒豚でたいへんだった

昨夜はチェロのレッスン日。いつも外食は蕎麦で、財布が許せば天ざるにしている。昨夜は何となくトンカツが食べたくなり、ま、たまにはいいかと、黒豚のトンカツ定食をたのんだ。トンカツはおいしかったが、後がいけない。夜中に二度もトイレに駆け込んだし、紙おむつも2回汚して取り替える羽目になった。手術後3年半だが、ずっと寝るときは必ず紙おむつをしている。「念のため」であり役立つことは少ないが(役立たない方がありがたい)、こんなことは初めてだった。日本酒とワインを飲んだ後は危険だというのが、この間の経験則になっている。しかし、昨夜は酒は一滴も飲んでいないのだから、黒豚のトンカツが悪かったに違いない。

癌研の先生からも、膵臓の機能がほとんどないのだから肉類は控えめにと言われており、食生活は基本的には玄米菜食で、たまには少量の鶏肉というパターンが普段の食生活になっている。黒豚が、膵臓がほとんどない現実をあらためて確認させてくれた。身体は正直だ。

チェロのレッスンは「イパネマの娘」。今回で3回目になるか。リズムは何とかとれるようになった。昨夜は第4ポジションの拡張型が始めて出てきた。音程が取りづらくてずれている。薬指で隣の弦を叩いたりもする。右肩が上がって力が入りすぎていると注意された。練習、練習だ。

風-Winds~ナウシカの思い出に捧げる 来春3月に、ヤマハ・アンサンブルホリデー2011の催しに、ポップスオーケストラの演奏がある。曲目は「魔女の宅急便」より「海の見える街」とモーツアルトの交響曲第41番「ジュピター」の第1楽章。「わたしの腕でついて行けるでしょうか?」と先生に訊いたら、「大丈夫だよ」とのこと。チェロのパートは難しいところは一カ所だし、「難しいところは特別レッスンしてやるから」と、頼もしい。参加はもう少し考えてからにしよう。

藤原真理のチェロで、久石譲もシンセサイザーで参加している『風-Winds~ナウシカの思い出に捧げる』や『風のメッセージ』、『風のかたみ~宮澤賢治へのオマージュ』の「風3部作」がある。私はしょっちゅう聴いている。Amazonも金額にかかわらず送料無料になったし、お勧めです。

サントリーホールで開催される「チェロコングレス・イン・ジャパン」もある。こちらはプロ・アマ混合のチェロアンサンブルコンサートがある。サントリーホールでチェロが弾けるなどという「夢」が簡単にかなうわけだ。パイプオルガンとも共演できそうだ。しかし、曲目を見ると私にはまだムリだろうと思える。数年後の目標とするか。これでまたひとつ、生きる目標ができた。目標があれば「がん」のことを忘れられる。忘れなくても優先順位が低くなる。「がん」=「死」と悩むことよりも、好きなことに熱中して「忘れる」方がよい。あ~だ、こうだと堂々巡りで思案したって、名案など浮かんで来はしない。ムダな悩みはすっぱりと捨て去ることです。

風のメッセージ 風のかたみ~宮澤賢治へのオマージュ

2010年11月 4日 (木)

ウコンが膵臓がんに効く?

追記:『がんに効く生活』にもターメリックの効用が書かれていました。こちらにアップしてあります。


Akiukon100 本日の産経ニュースから

ウコン、がんにも有効 世界的研究者が報告

2010.11.4 07:41

 酒の悪酔い防止に効果があるとされるウコンが、がんや心臓病の予防・治療にも効果を持つ可能性が高い-。医薬品メーカー「セラバリューズ」(東京都千代田区)が1日に行った研究発表会「ウコン成分“クルクミン”の多様な機能と応用研究の最前線」で、日米の研究者がこのような報告を行った。

 

 都内で行われた発表会には、クルクミン研究の世界的権威で米テキサス州立大MDアンダーソンがんセンター教授のバラット・アガワル氏や日本人研究者ら計5人が参加した。

 

 この中で、アガワル氏は「クルクミンを摂取すると、がんのリスクが低減するほか、肥満、糖尿病、高脂血症などほとんどの慢性疾患を予防できることが実験で示されている」と強調した。

 

 秋田大大学院医学系研究科の柴田浩行教授も「大腸がんの治療中にクルクミンに出合った。クルクミンは数多くの病気の因子を標的にできる成分として期待できる」と報告した。

 このほか、静岡県立大薬学部の森本達也教授が「心臓病にも効果がある可能性が高い。現在臨床を進めている」と説明した。

 

京都大医学部の金井雅史助教は、膵臓(すいぞう)がん治療の新薬としてクルクミンが注目されていることや自然由来の成分であり安全性が極めて高いことを紹介した。

「ウコンのヒミツ」などの商品を販売している企業が開催した研究発表会だから(メーカーに不利な発表はしないだろうから)、信頼性の程度は低いかもしれない。しかし、京都大学医学部附属病院の金井雅史教授らは、クルクミンの膵臓がん患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験を行なっており、UMINによれば既に「試験終了」とアナウンスされている。この試験の目的は「安全性の評価」であるが、金井教授の発表はこの試験の結果を受けたものだと推測できる。詳細は不明だが、ある程度の効果があると示唆するようなデータが得られたのではないか? 今後の発表に注目したい。当面はウコン・ターメリックを多く含んでいるカレーライスでも食っておくか。

「がんに効く」民間療法のホント・ウソ―補完代替医療を検証する (シリーズCura) 大野智著『「がんに効く」民間療法のホント・ウソ』にはウコンについて「近年、肝臓を保護する作用をはじめとする健康増進効果が見直され、注目されている素材です。」と書かれている。さらに、「PubMedでの検索結果では、4件の論文があるが、ウコンががん患者のQOLを向上させたり、副作用・再発防止効果、余命延長を示す論文は一つもありません」とある。しかし、これは大野さんが検索したキーワードがよくない。「Curcuma」ではなく、「Curcumin」(クルクミン)で検索したら(Human,Clinical trialで)14件の論文があり、中には大豆イソフラボンとの併用で前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSAが顕著に改善したという論文もあった。

また、研究会に参加したMDアンダーソンがんセンターのアガワル氏の論文「進行膵がん患者に対するクルクミンのフェーズⅡ試験」もヒットした。クルクミンが進行性膵がん患者において、がんをはじめとする炎症性疾患の転写因子であり、細胞のアポトーシスにも関係しているといわれる核内因子κB(NF-カッパB)を抑制することで腫瘍抑制効果を期待できると評価している。ひとりの患者では18ヶ月以上にわたってがんの進行が抑制され、さらに73%の腫瘍縮小効果を見た患者もいる。

健康食品の安全性・有効性情報」でクルクミンは安全ではあるが一部に肝機能障害や皮膚炎の報告もある。抗腫瘍効果とは逆の発がん性を有するとの論文もある。摂取には注意が必要だろう。

今回の金井教授らの臨床試験も、クルクミンのヒトに対する試験としては注目されるものであることには違いない。あくまでも補完代替療法だから、ウコンで進行膵がんが治るなどという期待はすべきではない。だが、がんは複雑系だ。「ウコンの力」で砂山の形状が少し変化しないとも限らない。そして雪崩を止めることができるか、進行を遅らせることは可能かもしれない。

大野智医師は10月1日付で早稲田大学 先端科学・健康医療融合研究機構 客員准教授となり、所属が変わりましたとご自身のブログで明らかにしている。代替医療・サプリメントに関して活躍された大野医師の今後にも期待したい。


より詳細な情報がこちらにあります。

2010年11月06日

セラバリューズ、ウコン成分「クルクミン」の機能の多様性と医療分野での最新応用研究を紹介

セラバリューズは11月1日、ウコン成分である「クルクミン」のもつ機能の多様性と医療分野での最新応用研究を紹介するメディア向けセミナーを開催した。 講師には、テキサス州立大学 M.D.アンダーソンがんセンター 教授のバラット・アガワル先生、秋田大学大学院医学系研究家臨床腫瘍学講座 教授の柴田浩行先生、京都大学医学部外来化学療法部助教の金井雅史先生、静岡県立大学薬学部分子病態学講座教授の森本達也先生、筑波大学人間総合科学研究科スポーツ医学専攻講師の前田清司先生を迎え、それぞれの専門分野におけるクルクミンの可能性について紹介した。

クルクミンは、ウコンに含まれるポリフェノールの一種。悪酔い防止に効果的な成分として知られており、飲料やサプリメント、香辛料として広く一般に親しまれている。その一方で、クルクミンは、メタボリックシンドローム、うつ病・アルツハイマーなどの精神疾患、がん、筋肉疲労など、様々な疾患に対する効果が確認されている。最近では、こうした食品がもつ生体作用について医療への応用が注目されており、疾病の発症予防効果や、既存治療薬との併用による 補完効果について研究が進められているという。

セラバリューズでは、クルクミンの欠点である生体吸収性を大幅に改善。クルクミンの可能性を拡げる製剤「セラクルクミン」を開発したとのこと。そして、こ のセラクルクミンを使用した機能性食品の開発、および国内外の研究機関・大学との共同研究を通じて、クルクミンのもつ可能性を追求してきたという。

今回、メディア向けセミナーを開催し、クルクミンに秘められた多用な機能性と応用研究の最新状況を紹介することで、認知の向上とさらなる活用範囲の拡大につなげていきたい考えだ。

セミナーで最初に講演を行ったのは、米国におけるクルクミン研究の第一人者で、がんにおけるクルクミン利用の研究に取り組んでいるテキサス州立大学 M.D.アンダーソンがんセンター教授のバラット・アガワル先生だ。「クルクミンが含まれている植物として広く知られているのがターメリック。沖縄でも栽培され昔から薬剤として使われてき た」と、クルクミンは古くから私たちにとって身近な存在だったという。

「クルクミンの効能としてまず確認されたのが、慢性的な炎症予防に有効であるという点だ」と、絆創膏などにクルクミンが活用されていると話す。 「また、クルクミンはがんの侵襲を防ぐということがわかってきた。とくに膵がんに有効であることが確認されている」と、医療現場でもクルクミンが活用され始めているとのこと。「その他、クルクミンは加齢や肥満にも有効で、心臓の肥大治療にも使われている。このようにクルクミンは多くのターゲットをもっている」と、クルクミンは様々な病気に効く成分のようだ。「クルクミンは、様々な病気に効果を発揮するだけに、生活の中に積極的に取り入れていくことをすすめ たい」と、クルクミンを摂取することで、私たちを苦しめる様々な病気から身を守って欲しいと訴えていた。

次に、秋田大学大学院医学系研究家臨床腫瘍学講座 教授の柴田浩行先生がクルクミンによるがん分子標的治療について講演を行った。柴田先生は「クルクミンに関しては、がんを分解して作用することが世界的に 権威のある雑誌に掲載されているのを見て興味をもった」と、クルクミンの可能性に魅せられたという。「まず、がんにもアキレス腱があり、それを薬で抑える ことはできないかと考えた。そして、分子標的薬というものにたどり着いた」という。「例えば、進行性の大腸がんの治療に分子標的薬が使われ、がんの抑制に貢献している」と実例を紹介。「がんはシングルターゲットではなく多分子的なもの。それだけに、クルクミンは多くのターゲットを制御してくれるので、がん 治療に有効であると考えた」と、クルクミンががんの治療薬に適している理由を説明してくれた。

「従来のクルクミンには血中濃度を維持しづらいという欠点があったが、吸収性を増すセラクルクミンの登場によって、がんの治療薬に使える可能性が出てきた」と、セラクルクミンの登場はがん治療において多大なインパクトがあったと指摘する。「クルクミンは低毒性で、複数の標的分子を制御し、新しい抗腫瘍性化合物として高いポテンシャルを有している」と、クルクミンのさらなる可能性に期待を寄せていた。

京都大学医学部外来化学療法部助教の金井雅史先生は、膵がん患者に対する新規治療法としてのクルクミンの可能性について講演を行った。「膵がんは、日本での死亡原因で第5位になってい る。5年生存率は5%未満で予後は非常に不良である」と、膵がんに関する基本的な部分を紹介。「膵がんの治療には、ゲムシタビンという抗がん剤が切除不能・再発した膵がんの治療に用いられているが、その効果はまだ不十分」と、膵がんには効果的な治療法がない点が、高い死亡原因となっている所以のようだ。

「現在海外では、膵がん患者を対象とした臨床試験が3つ行われている。クルクミンを服用したことで、がんが縮小したという報告もある」と、クルク ミンはがんに有効であるとのこと。「日本でもクルクミンを用いたがん患者に対する臨床試験を行った。これは、膵がん患者を対象に1日8gの高用量のクルクミンを継続して服用することの安全性と忍容性を検証する試験」と、日本で初めて行われたものであるという。「その結果、クルクミンは日本人の膵がん患者に対しても安全で、高い忍容性が確認された」と、クルクミンが膵がん治療に有効であるという結果が得られたとのこと。「しかし、クルクミンの効果を得るには血中クルクミン濃度の向上が不可欠であることも、臨床試験で明らかになった」と、改めて従来のクルクミンの欠点が浮き彫りになったという。「今後は血中ク ルクミン濃度が向上したセラクルクミンを用いた新たな臨床試験を計画中だ」と、さらなる試験で膵がん治療に応用していきたい考えを示した。

アガワル先生の講演にもあったように、クルクミンはがんだけでなく、心臓病予防などにも有効であることがわかってきている。この点について詳しく解説してくれたのが、静岡県立大学薬学部分子病態学講座教授の森本達也先生だ。「クルクミンが心不全の進行を抑制できるかについて、高血圧ラットや心筋梗塞ラットにクルクミンを投与して効果を検討した」とい う。「その結果、クルクミンは高血圧性心疾患モデルラットの生存率を有意に改善した」と、クルクミンが心不全治療薬として用いられる可能性が示されたと森 本先生は説明する。「さらなる試験として、クルクミンは標準心不全治療薬に加えて効果があるのかを、ACE阻害薬とクルクミンを心筋梗塞ラットに投与することで確認した。その結果、クルクミンは標準心不全治療薬に加えても効果があったことがわかった」と、クルクミンは心不全の治療に有効であることがはっき り示されたという。

「そこで、クルクミン治療が臨床に応用できるよう臨床試験を展開している。まず、クルクミンの内服の安全性の評価と血中濃度測定を見るため、健常 成人ボランティア10名にクルクミン規定量2gを12週間内服してもらった。その結果、ラットの治療域に比べ高濃度の血中濃度を得ることができ、クルクミ ンは安全であることがわかった」と、副作用は認められなかったようだ。「そして、天然クルクミンに比べて、血中濃度が約60倍となったセラクルクミンが登場した。これを受けて、現在セラクルクミンによる臨床試験を開始している」と、セラクルクミンを使った試験を通じて、心不全治療に用いられるレベルにまでもっていきたいと述べていた。

最後に、筑波大学人間総合科学研究科スポーツ医学専攻 講師の前田清司先生が、運動による筋疲労とクルクミンと題した講演を行った。「メタボリックシンドロームは、糖尿病や脂質異常症、高血圧などを誘因することが広く知られ、その予防として厚生労働省では運動を行うことを推奨している。しかし、運動習慣のない人が急に運動をすると、筋疲労や筋肉痛を引き起こし、継続的な運動をあきらめてしまう人が多く存在する」と、運動することによって生じる痛みが、運動が続けられない要因であると指摘する。

「運動による筋疲労や筋肉痛を抑制することができれば、運動の継続が無理なくできると考え、マウスにクルクミンを摂取し、運動後の筋疲労を調査した」という。「その結果、クルクミンを摂取すると、摂取しなかったマウスに比べ筋疲労を抑制することがわかった」と、クルクミンが継続的な運動の救世主に成り得る可能性があるとのこと。「クルクミンの摂取で運動による筋疲労抑制をヒトで確認する試験を開始した。ヒトでもマウスと同様の効果を確認することができれば、生活習慣病やメタボリックシンドロームの予防につなげることができると考えている」と、前田先生はクルクミンが予防医療の現場で活用されること に大きな期待を寄せていた。

以上5名の先生の講演を受けて、セラバリューズの今泉厚CSOが総括を行った。「当社はクルクミンの課題である難吸収性を改善した画期的なクルクミン製剤 『セラクルクミン』の開発に成功。セラクルクミンの開発技術は、難溶解性の機能性食品素材および医薬品の吸収性向上技術として、広く応用可能だ」と、セラクルクミンの登場で、応用領域が広がるとの見解を示す。「また、セラクルクミンは、ウコンやクルクミンと同様に、安全性についても立証されている」と、急性経口毒性、反復経口毒性、変異原性について問題ないことを確認しているという。

「健康志向が高まる中、予防医学に対する要望が高いにもかかわらず需要は潜在化しているのが現状だ」と、医薬品に比べ機能性素材分野においてエビデンスが少ない現状に警鐘を鳴らす。「当社は、消費者、患者に理解、納得してもらい、予防医学に高い意識をもつ潜在顧客を顕在化するために、今後も多くの研究機関や大学などと協力してエビデンスを取り続けていく」と、クルクミンの可能性について追求していく考えを示した。

セラバリューズ=http://theravalues.com/
クルクミンに関する情報を提供するサイト「クルクミンなび」=http://www.curcumin-navi.jp/

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2010年11月 3日 (水)

こりゃだめだ! e-クリニック

e-クリニック」は阪神・淡路大震災のボランティアを経験した岡本裕医師たちが、「現代医療に欠落している部分を補うため」に「個人個人の抵抗力や治癒力にも配慮した治療法も合わせて行う」相談活動を通じて有益な情報を発信し、「患者さん個々人に応じたきめ細かい治療、いわゆるオーダーメード医療が、どこの病院ででも広く一般化されることを目指して」活動しているNPO法人です。その設立の契機や、三大療法を否定しない考え方も納得できるものでしたし、会費も良心的な範囲でしたから、このNPOの活動を肯定的にとらえていました。

免疫を高めるとガンは自然に治る 11月2日に『免疫を高めるとガンは自然に治る』というムック本を、あの安保徹医師との共著(監修です)で出版しました。タイトルからして安保徹氏のさまざまな著作と区別がつかない代物ですから、内容は推して知るべきでしょう。ごく一部を紹介すると、

  • 低体温・低酸素・高血糖の状態は、分裂抑制遺伝子を持っているミトコンドリアの機能を停止させる。これによって発がんする。
  • がん細胞にはミトコンドリアが少ないことが、これを証明している
  • 従って、低体温・低酸素・高血糖を解消すればがん細胞は自然に消滅する。

なんとも恐るべき安保流の三段論法で、これが本当ならがんは怖くないですね。安保氏の本をしばらく読んでいない間に、少しは主張が変化しているようです。抗がん剤は止めておけ→抗がん剤は延期すればよい、と変化しています。

安保氏の阿呆論理はこれくらいにして、岡本裕医師に関してもこれまでにもいくつか懸念する材料はありました。

『9割の医者はがんを誤解している』では、「気の正体は量子・光子のようなもので、結合組織に含まれるコラーゲンが半導体のような役割をして気の通り道になる」との説があるとして、「今となっては、『気』の存在を疑う科学者はほとんどいないと思いますが・・・」という記述がありました。「気」は存在すると主張する人たちの間でも「気」とは何か、その定義すらまちまちなものを、まともな科学者が存在を認めるはずがありません。何か分からないものをどうやって存在していると言えるのでしょう。「神」や「幽霊」が存在していると主張するのと同レベルの話です。岡本医師はいったいどういう科学的常識の持ち主なのかといぶかったものです。また、安保理論の仲間である福田医師の「爪もみ」も治療法として推奨していました。

これまでに出した本は飛鳥新社からでした。『サルでも分かる日本核武装論』などおっかない本をたくさん出している出版社でしたが、まともなものも少しは出している出版社です。今回はサンマーク出版と並ぶトンデモ本の老舗の「マキノ出版」が版元です。これだけでも怪しでげです。トンデモ医療のガストン・ネサンのソマチット療法を日本で広めようと活動している「ガストン・ネサーン・アカデミー」にも講演者として岡本裕医師の名前があります。ソマチット学説を信用している、もしくは信用はしていなくても好意的に見ているわけです。

こんなことがあるので、少々いぶかしく感じていました。最近では、ご自身のガンが治ったといいうただその事実だけで星野式ゲルソン療法を提唱している星野仁彦医師や、"がんが治るレシピ"を書き散らしている済陽高穂医師らとの交流も盛んです。「三大療法は時間稼ぎであり、その間にベース治療によってがんに抵抗できる免疫力をつくりましょう」という岡本医師と、「三大療法はムダであり、免疫力を高めればガンは治るんだ」と単細胞思考で本を手当たり次第に出している安保徹氏、野菜果物のゲルソン療法で治るんだという済陽氏。今回のムック本にも巻末にがんに克つ食事のレシピ集が付いています。

岡本裕先生も、ついに安保徹・新谷弘実・石原結實・西原克成らの「トンデモ医者」の仲間入りでしょうか? 取りあえず何でもやってみればよい、がんと闘う武器は多いほどよい、と言うのでは帯津良一氏と変わらないじゃないですか。

百万回の永訣―がん再発日記 (中公文庫) 柳原和子『百万回の永訣-がん再発日記』から、次の言葉を安保氏らに捧げましょう。

そして、いつのまにか、わたしは別の意味でのプロの患者に堕しかかっていた。
がんを書くことで食べる人になりかかっていた。
同じことをくりかえし書いて世に送り出しているさもしさ、恥ずかしさ。
「再発でもしないかぎり、書きたいと思うこともなくなったなぁ」

同じことをあちらこちらに書き散らかすことは「さもしい」こと。わずかの原稿料と印税の収入で、それもほとんどた治療費に消えてしまう状態。そんな柳原さんでも「同じことを書くのがさもしい」と感じている。

「気」は脳の科学 (「気」を科学する) ついでに「気」について。

東京電機大学教授の町好雄が『「気」は脳の科学』を書いています。出版元は東京電機大学出版局ですから、肩書きも出版元も信用できそうな本です。「気」の存在を疑う科学者はほとんどいないという、岡本裕医師の認識は、これらの本からきているのかもしれません。しかしこの本、冒頭に気功師が「気」を出しているときに赤外線放射温度計(サーモグラフィー)で気功師の手を測定したら、手の温度が2~3度上昇していた。従って「気が存在することが証明された」というとんでもない飛躍した論理で始まります。「皮下の血管を流れる血流量が増えれば体表面温度は上がります。気功師の手の温度が上がったということは血流量が増加したということです。」「ところが血液の循環は自律神経によって制御されているので、(ここまでは正しい)普通の人は自分の意志で血管を拡張させたり、収縮させたりして血流量を変化させることはできないはずです。」(これが間違い)

私にだって自律訓練法の手順に従って少しの訓練をすれば、手の温度は上げられます。特別な能力は必要ありません。それに皮膚の温度が上がったからといって、「気」の存在が証明されたことにはならない。他の因果関係をつぶしていって、「気」の存在を仮定しないかぎりこの現象は説明できない、というときに始めて"「気」が存在するかもしれない"と言えるのです。工学博士でありながら実験計画法すらマスターしていないようです。この程度の工学博士ですから、「ユリ・ゲラーが透視をしたとき、右脳のβ領域にパルス上の信号が出ていた」と書いてあっても驚きません。最後まで読むには時間が勿体ないので閉じました。

このような「工学博士」が「気」の存在を証明したといっているからと言って、”「気」の存在を疑っている科学者はいない”ことにはなりません。

「大学教授」や「医学博士」の肩書きは、少なくとも「馬鹿ではないことの証」にはなるだろうと思っていましたが、現実には何の証明にもならないどころか、世間一般的な知性もない輩がうようよといるのですね。

2010年11月 1日 (月)

11月は膵臓がん啓発月間

Panget01

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