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2011年7月

2011年7月31日 (日)

内部被ばくに関する注目すべき記事

「世界最高の医療と研究を行なう」「患者目線で政策立案を行なう」を理念として掲げている国立がん研究センターが、今回の福島第一原発事故による”将来のがん患者”については、内部被ばくによる影響はほとんどないかのような宣伝に一役買っている。測定できないはずのサーべーメータを用いて野菜を測定し、「汚染はありません」と、まったく根拠のない「安全神話」を流している。たくさんあるがんの患者団体からも、子どもたちの被ばくを憂慮する声は聞こえてこない。現実のがん患者だけが対象で、将来のがん患者にはまったく興味がないかのようである。「上流で誰が川に突き落とされているのかを見に出かけてみてはどうかと思う暇」もなさそうなのである。

その中で唯一北海道がんセンター院長の西尾正道氏が、内部被ばくによる影響が重要だとした発信を続けている。例えば会の「がん医療の今」では「原発事故の健康被害-現状を憂う」として、

通常の場合は、内部被ばくは全被ばく量の1~2%と言われているが、現在の被ばく環境は全く別であり、内部被ばくのウエイトは非常に高く、人体への影響は数倍あると考えるべきである。

と書いている。

見えない恐怖 放射線内部被曝 その西尾院長も創立委員の一人である「市民のためのがん治療の会」が『「低線量」内部被曝による健康障害』と題して、岐阜環境医学研究所の松井栄介氏の解説を載せている。「とくに注目すべきことは胎児と子どもに発症してくる先天障害、悪性腫瘍、免疫異常などの晩発障害」であるとし、低線量の放射線による内部被曝について、ICRP勧告の問題点にも触れで比較しながら解説されている。

内部被ばくで重要なのはアルファ線とベータ線であり、特にアルファ線は細胞組織のごく狭い領域に全エネルギーを与える。アルファ線を放出するのは、プルトニウム、ストロンチウム90などである。したがって、これらによる内部被ばくはICRPの評価の600倍以上になるだろうと、ECRRでは計算している。

アルファ線がある一定の深さに達したときに一挙にエネルギーを放出するようすは、陽子線・重粒子線の「拡大ブラッグピーク」に似ている。下の図は国立がんセンター東病院の「陽子線治療について」からであるが、陽子線治療の特徴を次のように説明している。

通常の放射線治療で用いられるX線は、体内に入るにしたがって徐々に吸収される放射線量が減少するので、病巣の前後にある正常の組織も同等の線量を受け、副作用を生じる原因になりますが、陽子線の場合には病巣のみに効率よく線量を集中でき、副作用を少なくできます。

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同じ理屈で、極めて狭い範囲にエネルギーを集中的に放出するアルファ線による内部被ばくは、外部被ばくよりも格段に影響が大きいことを認めなければならないはずである。

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図1 アルファ線、ベータ線、ガンマ線の減弱曲線

同じ組織の人物が、陽子線はエックス線よりも効果があるといい、一方では福島原発事故によって放出されたアルファ線、ベータ線による内部被ばくはごくわずかであり、無視できるといっているのである。彼らはICRP勧告が唯一の放射線被ばくの基準だと思い込んでいる。しかし、何度も書くようにICRP勧告の基本的手法は、DNAが発見される以前に確立された、内部被ばくを無視した古くさい代物なのである。

体内に取り込まれた小さな粒子から四方八方に放出されたα線とβ線によって、近隣にある多数の細胞は長期間にわたって、至近距離から繰り返し貫かれるので、一時的なγ線やX線による外部被曝より影響が大きい。細胞には染色体の傷を治す機能があるが、繰り返す被曝によって異常な染色体結合が生じ、その形質が次々に受け継がれ、先天障害やがん化の要因となる。チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシの高濃度汚染地域などでは、先天障害のほか乳がんや甲状腺がんの多発が報告されている。

ICRP(国際放射線防護委員会)は線量評価に、Gy(グレイ)やSv(シーベルト)を使っているが。これらの単位は、J/kg<吸収線量( Gy): 生体組織1kgあたり 1J のエネルギー吸収をもたらす被曝量 >で表されている、要するに、人間で言えば体重当たりの熱量だ。しかし、私たちの体の中で起こっている事象は、臓器組織の微小局所ごとに特異かつ複雑な生物化学的過程であって、いくつかの係数を掛けて補正したしたとしても、J/kgで表されるほど単純なものではないことを念頭におく必要がある。

ICRPがなぜ放射線による内部被ばくを無視するのか、あるいは小さく見積もるのかというと、そうしなければ、世界中のどこにも原発や核関連施設を建設することができないからである。前回の記事に書いた東京大学アイソトープセンター長の児玉龍彦氏も「放射線の内部障害をみる時も、どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかという事をみるということが原則的な考え方として大事です。」と述べていた。ゲノム創薬だの抗体医薬品の時代だと言っているがんセンターの医者たちが、チェルノブイリにおける遺伝子異常と発がんの関係を認めようとはしないのはなぜなのか。

2009年4月22日、ストックホルムで行われた討論会で、ICRPを退職したばかりの元ICRP科学議長ジャック・ヴァレンティン博士がICRPのモデルは放射線被曝の健康被害を予測するには安全ではないと認め、ICRPと国連の放射線防護委員会がチェルノブイリ事故の証拠を調査しなかったことは間違っていたと認めた。その結果、ICRPのリスク・モデルには大きな誤りがあると認めざるを得ないと述べた。

御用学者らが「放射線は距離の二乗に比例して減衰するから安全だ」と、市民の無知につけ込んで内部被ばくはないかのように宣伝していた。その頃から「これからは内部被ばくが重要になる」と書き続けてきた。内部被ばくに対する知識をどれだけ持っているかが、3・11後のこの国で生きていく上で大事な知識になる。

「ミニサテライト突然変異」「バイスタンダー効果」についても説明されている。ぜひ多くの人にこの記事を読んでいただき、できれば松井さんの書籍『見えない恐怖 放射線内部被曝』も読んで欲しい。

参考:放射性物質による内部被曝は適正に評価されなければならない
     岐阜環境医学研究所 松井英介

2011年7月29日 (金)

満身に怒りを込めて児玉龍彦氏【追記あり】

東大病院にもまともな先生がいるということですね。衆議院厚生労働委員会7/27の録画です。

2011年7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会
「放射線の健康への影響」参考人説明より
児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)

こちらに配付された資料がアップされています。概要」「詳細

衆議院TVにアップされており、この動画を削除する必要はないと思うのですが、YouTubeからは消されてしまっています。政府の要請でしょうか。削除のいたちごっこをしているようです。

内容ももすばらしいです。ぜひ動画をご覧ください。質疑応答も追加しておきます。

以下に私の気になる箇所を書き出してみました。

そこで私どもはアイソトープセンターのいろいろな知識を基に計算してみますと、まず熱量からの計算では、広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では20個分の物が漏出していると換算されます。
さらに恐るべきことには、これまでの知見で原爆による放射線の残存量と原発から放出された者の放射線の残存量は、一年経って原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射能汚染物は10分の1程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様原爆数10個分に相当する量と原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということがまず考える前提になります。

そうしますと、我々システム生物学というシステム論的にものを見るやり方でやっているんですが、現行の総量が少ない場合には、ある人にかかる濃度だけを見ればいいのです。しかしながら、総量が非常に膨大にありますとこれは粒子です。粒子の拡散は非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは要するに砂粒みたいなものが合成樹脂みたいな物の中に埋め込まれています。これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子が沢山放出されるようになります。

東大のアイソトープセンター、現在まで7回の除染をやっておりますが、南相馬に最初に行った時には1台のカウンターしかありません。農林省が通達を出したという3月19日には、食料も水もガソリンも尽きようとして南相馬市長が痛切な訴えをウエブに流したのは広く知られているところであります。
そのような事態の中で通達1枚出しても誰も見る事が出来ないし誰も知ることができません。

ゲルマニウムカウンターというものではなしに、今日ではもっと、イメージングベースの測定器というのが遥かに沢山、半導体で開発されています。何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして全国に作るためにお金を使わないのか。3か月経ってそのような事が全く行われていない事に、私は満身の怒りを表明します。

それで私どもが内部に与えた場合に具体的に起こるので知っている事例を上げます。
これは実際には一つの遺伝子の変異では癌は起こりません。最初の放射線のヒットが起こった後にもう1個の別の要因で癌の変異が起こるという事、これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか細かい事になりますが、それは参考の文献を後ろに付けてありますのでそれを後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますのでそれを見ていただきますが、まず一番有名なのはα線です。プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが、α線はもっとも危険な物質であります。

それは、トロトラスト肝障害というので私ども肝臓医はすごくよく知っております。ようするに内部被曝というのは先程から一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。
I131は甲状腺に集まります。
トロトラストは肝臓に集まります。
セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。
これらの体内の集積点をみなければ全身をいくらホールボディースキャンやっても全く意味がありません。

トロトラストというのは造影剤でして、1890年からドイツで用いられ1930年ごろからは日本でも用いられましたが、その後20~30年経つと肝臓がんが25%から30%に起こるという事がわかってまいりました。
最初のが出てくるまで20年というのは何故かというと、最初にこのトロトラスト、α線核種なんですが、α線は近隣の細胞を傷害します。その時に一番やられるのはP53という遺伝子です。我々は今ゲノム科学というので、人の遺伝子、全部配列を知っていますが、一人の人間と別の人間は大体300万箇所違います。ですから人間同じとしてやるような処理は今日では全く意味がありません。

いわゆるパーソナライズ・メディスンというやり方で、放射線の内部障害をみる時も、どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかという事をみるということが原則的な考え方として大事です。

トロトラストの場合は第一段階ではP53の遺伝子がやられて、それに次ぐ第二第三の変異が起こるのが20~30年後かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるという事が証明されております。

次にヨウ素131
これヨウ素はみなさんご存じのとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり小児におこります。
しかしながら1991年に最初ウクライナの学者が「甲状腺がんが多発している」というときに、日本やアメリカの研究者はネイチャーに「これは因果関係が分からない」ということを投稿しております。
何故そんな事を言ったかというと1986年以前のデータがないから統計学的に有意 だという事を言えないということです。しかし、統計学的に有意だという事がわかったのは、先程も長瀧先生からお話しがありましたが20年後です。20年後に何がわかったかというと、86年から起こったピークが消えたために、これは過去のデータが無くても因果関係があるという事がエビデンス(evidence 証拠・根拠)になった。
ですから、疫学的証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまで大体証明できないです。

ですから今 我々に求められている「子どもを守る」という観点からは全く違った方法が求められます。
そこで今行われているのは、ここには国立のバイオアッセイ研究センターという化学物質の効果をみる福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まる物を検討されていまして、福島先生たちがウクライナの医師と相談、集めて500例以上の、前立腺肥大の時に手術をしますと、膀胱もとれてきます。
これをみまして検索したところ、高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/リットルという微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、しかも、増殖性のぜん癌状態、我々からみますとP38というMAPキナーゼと、NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナルが活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているという事が報告されております。
それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から2~13ベクレル、7名で検出されているという事が既に報告されている事であります。

疫学的に証明するには数十年かかる。チェルノブイリはやっとデータを疫学的に見ることができるようになった状態。したがって、チェルノブイリのデータを無視したICRP勧告は、今日の科学的レベルから言って、修正が必要である。ICRP勧告が「害がない」と言っているのだから放射能の影響はない、という論理は逆立ちしている。

P53がん抑制遺伝子とかNF-κBは『がんに効く生活』でも説明されていた遺伝子であり、癌患者にはなじみかもしれない。がん研究センターだって、テーラーメイド医療、個別化医療を標榜して、遺伝子検査によるがん予防すら話題になっている。放射線による被ばくの影響も、遺伝子レベルで検査できる時代である。

100mSv以下の低レベル放射線量では影響が証明できない、等と悠長なことをいっているのではなく、個別化医療の精神で内部被曝を考えよ、という主張には盲点を突かれた。

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「世の中を変える研究というのは純粋な心から生まれる」御用学者らに聞かせたいことばです。

衆議院TVには、当日の参考人として、沢田昭二さん(名古屋大学名誉教授) 、今中哲二さん(京都大学原子炉実験所助教)の意見が載っています。

2011年7月26日 (火)

抗がん剤で治るがんは、抗がん剤で治っているのか?

書きかけのこの記事を自動でアップして、しばらく気づかずにいました。3時間ほどですが、不思議に思われたかもしれません。改めてアップします。


近藤誠氏は「抗がん剤は効かない」と言い、梅澤医師は「うまく使えば抗がん剤は効く」と言う。そして、二人に共通しているのは、ある種のがんには抗がん剤は効くという点である。ある種のがんとは、近藤氏によれば「抗がん剤だけで治る成人がんは、急性白血病、悪性リンパ腫、睾丸のがん、子宮絨毛がんの四つ」であり、他には自然退縮が起こりやすいという小児の神経芽細胞腫があると言う。

固形がんが抗がん剤で治ることはないというのは専門家の共通認識であり、あるのは延命効果だけ。近藤氏はその延命効果もない、あるいはあるとは証明できないと主張する。かたや梅澤医師は、標準治療では延命効果どころか宿命効果があるだけと。しかし、患者の状態に応じた最小量の抗がん剤なら治ったもどきになることもある、と。

国立がん研究センター内科レジデント編集の『がん診療レジデントマニュアル』には「がん薬物療法の有効性」と題して、A~D群までの四つに分けて分類している。

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  • A群:抗がん剤単独で治癒が期待できる
  • B群:抗がん剤単独で治癒することは難しいが、大半の症例で延命が十分に期待できる
  • C群:抗がん剤単独で治癒は得られず、延命効果もB群に比べて劣る。症状緩和・QOL改善が重要な治療目標となる
  • D群:抗がん剤の効果は期待できない(小さい)

また、「がん情報サービス」の「がんの薬物療法」には「8.化学療法で治癒可能ながん」として次が挙げられている。

  1. 小児の急性リンパ性白血病
  2. 成人の急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病
  3. 悪性リンパ腫
  4. 精巣(睾丸)腫瘍
  5. 卵巣がん
  6. 絨毛性疾患(女性のがん)
  7. 小細胞肺がん(肺がん)

小細胞肺がん、ホジキン病の評価が違うが、概ね同じである。残念ながら膵癌はもっとも効果が期待できないがんの一つである。

A群のがんは、本当に抗がん剤で治っているのか?

A群または上の7つのがんが「抗がん剤単独で治るがん」とされており、これに異論を差し挟む人は少ないと思われるが、これらのがんは本当に抗がん剤で治っているのだろうか、と疑問に思う。A群のがんの多くに「自然治癒・自然緩解・自然退縮」あるいは「驚異的回復」と、さまざまな言い方があるが、そのような症例があるからだ。近藤誠氏は『抗がん剤は効かない』で「固形がんの中でも、睾丸のがんと子宮絨毛がんだけは、抗がん剤に延命がないどころか治す力まである(理由は不明)」と書いている。『あなたの癌は、がんもどき』では、小児神経芽細胞腫が「がんもどき」の例として挙げられており、「一歳未満の子どもに発見される神経芽細胞腫は、肝臓や骨髄に転移があっても、自然に縮小し、消失するものが少なくないという事実です(自然退縮)」と言っている。

けがや骨折で治療をしたとき手術や添え木をするが、では治るのは医療のおかげだろうか。それもと患者の自己治癒力で治るのだろうか。医療は治る手助けをするだけではないか、と考えたとき、がんと抗がん剤の関係にも同じことが言えるのではないだろうか。抗がん剤で治癒が期待できるがんも、放っておいても治るかもしれないのであり、抗がん剤はその手助け(あるいは逆に治癒の妨げになる)をするだけとも考えられないだろうか。

癌が消えた―驚くべき自己治癒力 (新潮文庫)』には「驚異的回復」の例としてこれらの癌が紹介されている。未分化型小細胞肺がんが消えてしまったロバート・ムーア氏。彼は80歳まで生きて交通事故で死亡したが、がんの痕跡は全くなくなっていた。生存期間は数ヶ月と言われる、びまん性大細胞リンパ腫が自然緩解したキャロル・ヌートソンの例。急性骨髄性白血病から驚異的に回復したエドワード・ペトレールの例。D群の「抗がん剤の効果が少ない」とされている膵臓がんで、手術不能の腺癌と診断された開業医のヒュー・フォークナーは診断から8年を生きて、再発によって亡くなった例。C群とされる小細胞肺がんやD群の黒色腫でもたびたび自然緩解例が報告されている。

エバーソンとコールの共著『ガンの自然退縮』には176例の自然退縮例が紹介されているが、それを検証したフランクリンは「そのうちの60パーセントは二年以上寛解状態が続き、十年以上続いた例も多い。同じ基準をホルモン療法や細胞に有害な化学療法と比べてみると、その快復率は自然緩解の発生率と大して変わりはない」と述べている。G・L・ローデンバーグ博士も次のような異端的見解を述べている。

部分的あるいは完全な自然緩解の発生を見るとき、新しい治療処置に非常に批判的にならざるを得ない。なぜなら、実際には治癒が、現在自分たちがまったく無視している自然の力によって引き起こされた結果であるにもかかわらず、その治療法に功績があったとされかねないからだ。

エバーソンとコールも、寛解がある種のがんに良く起こることに気づいていた。腎臓がん、小児の神経芽細胞腫、黒色腫、絨毛がんである。

A群のがんでは、これまで抗がん剤の効果だと思われていたものが、実際には対宿の自然過程の一部であったものが含まれている可能性がある。これらのがんには、突発的に治癒する遺伝子が組み込まれており、患者がある種のスイッチを押すことで治癒の過程が始まるのではないか。抗がん剤の効果で治癒したと言って良いのかどうか、多いに疑問である。

2011年7月24日 (日)

飯舘村~人間と放射能の記録~

昨夜のNHKスペシャルは、涙と怒りなしには観られなかった。放射能は空間的・時間的に広がる。そして家族を壊し、地域の絆を壊し、生活を破壊し、農業も酪農も根こそぎ破壊する。子どものことを考えれば避難したいが、年寄りを残しては避難することができない。人間の安全を考えれば、仕事を奪われ将来を奪われる。

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文部科学省の測定車が事故当初から測定をしていたが、住民らが要求するようになってからやっと測定値を張り出すようになった。
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3月24日 30μSv/h。34時間で一般人の許容量である1mSv/年を超える値
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放射線リスクアドバイザーの長崎大学高村昇教授は住民説明会で10μSv/hを超えなければ「普通に子どもさんたちが学校生活を送ったり、登下校は問題ないと思います」
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「放射能と共生しましょう」と、ありがたいお言葉である。ところがその直後、飯舘村が「計画的避難区域」に指定されたことを、住民はニュースで知る。
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飯舘村の5月11日までの累積積算量は28.2mSvであった。
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汚染された土地で農業を続けるつもりでいた菅野伸吾さんの母は、「あなたが雇用保険と社会保険のある正社員になれば、お母さんは一人で働いて食っていくから心配ない。農業は止めよう」と言う。母のことは心配するな。奥さんと子どもを養うことだけを考えれば良いというのだ。
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25年かけて飯舘牛の血統を育ててきた。「清姫」と名付けて大切にしている種牛がいる。
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なんとかこの牛だけでも残して、何年か後に再起を図りたいと考えていたが、いつ帰れるのか東電の担当者は明言できないという。
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廃業を決意するが、清姫だけはトラックに乗ろうとしないで逃げ回る。
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原子力委員会前委員長代理の田中俊一博士が除染の実験をする。10分の1くらいにはなるはずだというが、実際には半分にしか減らなかった。
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残ったのは大量の放射能汚染された土。飯舘村全体を除染するには「谷一つを埋めることになる」と言う。産廃場のような施設を作ることが必要だというのだ。
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これだけ広いんだから谷一つくらい・・・と逆なでするようなことを平気で言う。汚染土は東電に引き取らせろよ、テレビの前で怒鳴ってやりたかった。
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農業を諦めた伸吾さん。東電の下請け企業で働くという、何とも運命の皮肉だ。
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被害者が加害企業のもとで働かざるを得ない。政府や御用学者は、このような理不尽に何にも感じないのか。これから数十年、チェルノブイリのような厳しい状況が続くはずだ。しかし、その一方で原発の再稼働をしたい、浜岡原発でさえ2年後には動かしたいという人がいる。福島だけではまだ懲りないのだろうか。

雨樋の下はまだ、113μSv/hもある。
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2011年7月23日 (土)

カフェ・ツィマーマンのバッハが凄い

バッハをCDで究める クラシックのCDを久しぶりで購入した。それも奮発して4枚同時にである。きっかけは『バッハをCDで究める』を読んで、これはどうしても手に入れたい、となった。序章がカフェ・ツィマーマンによる「さまざまな楽器のための協奏曲」の紹介である。福島氏によると、

 さて、本書のイントロダクションとして、これからバッハに親しむ方、すでにバッハを心の糧としている方の両方のために紹介したい「取って置きのディスク」がある。
 カフェ・ツィマーマンによる「さまざまな楽器のための協奏曲集」(現在、第四集まで刊行中)がそれである。カフェ・ツィマーマンとは、バロック・ヴァイオリン奏者パブロ・バレッティとチェンバロ奏者セリーヌ・ブリッシュが主宰する気鋭のアンサンブルで、その名の由来は、バッハが「コレギウム・ムジクム」というコンサート・シリーズを開催していたライプツィヒ のコーヒーハウスの店名にある。
 さらに、「さまざまな楽器のための協奏曲集」というシリーズ名は、「ブランデンブルク協奏曲」献呈譜の表紙に仏語で書かれた「Six Concerts Avec plusieurs Instruments」(さまざまな楽器のための6つの協奏曲集)に由来しており、各アルバムにはブランデンブルク協奏曲より一曲ずつが収録されるという粋な趣向。また、天才エンジニア、ユーグ・デショーによる極めて優秀な音質はオーディオ・マニアにとっては極上のご馳走となるだろう。

と書かれていた。

CDをかけると、まず録音の良さに感激する。それぞれの楽器が明瞭に定位してその定められた位置から聞こえてくる。弓が弦の上に置かれたその瞬間すら聞こえるような録音だ。第3集の「3台のチェンバロのための協奏曲」では、当時としては異例中の異例、複数の鍵盤楽器を独奏楽器とした曲であり、3台のチェンバロとチェロの掛け合いも面白いが、その”海”の中をバイオリンなどの楽器が泳ぎ回っていると言う表現がぴったりの演奏である。第2集の「二つのバイオリンのための協奏曲」の第2楽章のたゆたうような美しさも、ブランデンブルク協奏曲第3番も堪らない。

聴いていていつまでも飽きない演奏で、休日の午後が過ぎていく。

バッハの思い出 (講談社学術文庫)ブランデンブルク協奏曲」は一説にはバッハが求職活動のために書いたといわれている。バッハのケーテン時代は若き音楽好きのレオポルド公の庇護のもとで過ごしたが、王子が音楽嫌いの后フレデリカを迎えたことで、バッハはライプツィヒへの移住を決意したとされている。そのための求職活動として書かれた。バッハの2番目の妻、アンナ・マグダレーナ・バッハの『バッハの思い出』には、子どもたちの教育環境を考えてライプツィヒへ移ることにしたと書かれているだけである。

ライプツィヒはホメオパシーのハーネマンが活躍した街でもある。バッハが亡くなった(1750年)5年後の1775年にハーネマンが生まれている。

現在第5集まで発売されているようだ。

Bach: Concerts a Plusieurs
Johann Sebastian Bach

Bach: Concerts a Plusieurs
Bach: Concertos With Many Inst Bach: Concertos III Concerts avec plusieurs instruments Vol 4 Concerts Avec Plusieurs Inst Avison/Scarlatti: Concertos
by G-Tools

2011年7月21日 (木)

肉牛の汚染だけではすまない。

肉牛の放射性セシウム汚染が連日報道され、日が経つにつれ全国に飛び火しています。福島第一原発から30km以遠は安全だとして対策を取らなかった農林省の対応の遅れも、SPEEDIのデータを公開してこなかった政府の責任も重大です。火山学者の早川由紀夫さんのブログでは事故の初期から放射能の汚染ルートを計算して公開しています。
「FLASH」の7月19日号にも掲載された下の図を見れば、今回稲わらが汚染されていることの分かった登米市、一関も「3月12日一関ルート」で放射能プルームが通過したことが明らかです。
Flash1107051
放射能プルームが通過したときに雨・雪が降っていたかどうかで汚染度は大きく違うのでしょう。今は稲わらと肉牛が問題になっていますが、土が汚染され、すべての作物が汚染されているはずです。牛だけであるはずがない。もちろんそこに住んでいる人間も同じように内部被曝をしている。

心配なのは今年秋に収穫される米です。すでに業者間取引では米の価格が上昇していると言います。米の値上がりを見込んだ農家がより高く売れるだろうとの思惑もあり、政府備蓄米の買い付けも目標の40%と、予定通りに進んでいません

早川さんの汚染ルートは日本の穀倉地帯と言われる東北と新潟も含んでいます。政府は5000Bq/kg以下であれば作付けを認めるとしました。その基準は稲の「移行係数」を0.1として、食物の暫定規制値500Bq/kgとなるように決めたものです。しかし、移行係数は単に論文から引用したものであり、論文によってはその値は2桁も違っています。その平均値を公表しているのですが、測定条件や作物の作付け条件によって相当の開きがあるはずです。この秋には現在を超えたパニックになるかもしれません。

2011年7月18日 (月)

レイチェル・カーソンの予見

シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』では3章の全体を「環境を知る」と題して、われわれの環境ががんの発症にどのように関係しているかを考察している。がんの発症率が戦後一貫して上昇しているのは、高齢化だけでは説明できない。WHOが2004年にランセットに発表した論文によって、1970年代以降、小児がんと青少年のがんが劇的に増加していることがその根拠である。また、早期発見によってがん患者と認定される人が増えたからだという説、つまりリードタイム・バイアスによっても、部分的にしか説明できない。なぜなら早期発見が難しいがん、脳腫瘍、膵臓がん、肺がん、睾丸がん、リンパ腫もかなり増加しているからである。

シュレベールはその原因を以下の3つの環境が変わったためであるとしている。

  1. 食事における大量の精製糖の使用
  2. 農畜産業の変化による食物の変化
  3. 1940年以前には存在しなかったさまざまな化学物質による汚染

そして精製糖を止め、全粒穀物を取り、危険なマーガリンを止めよという。農薬などの新たに開発された化学物質が地球を汚染しており、地球が病んでいるかぎりは私たちの身体も健康ではいられないと、正しく主張している。この本が日本国内に氾濫している単なる代替療法の解説本とは違う特色でもある。

しかし、シュレベールには「放射能汚染」というキーワードがないようだ。化学物質による汚染に警鐘を鳴らしたのは、レイチェル・カーソンの『沈黙の春 (新潮文庫)』であるが、1962年に出版されたこの著作には、放射能が化学物質の発がん性を増幅させる、とのレイチェルの先駆的で鋭い洞察が記されている。60年代にすでにストロンチウム90の危険性を予見している。

汚染といえば放射能を考えるが、化学薬品は、放射能にまさるとも劣らぬ禍いをもたらし、万象そのもの--生命の核そのものを変えようとしている。核実験で空中にまいあがったストロンチウム90は、やがて雨やほこりにまじって降下し、土壌に入り込み、草や穀物に付着し、そのうち人体の骨に入り込んで、その人間が死ぬまでついてまわる。(第2章の冒頭)

原子炉、研究所、病院からは放射能のある廃棄物が、核実験があると放射性降下物が、大小無数の都市からは下水が、工場からは化学薬品の廃棄物が流れ込む。それだけではない。新しい降下物-畑や庭、森や野原にまきちらされる化学薬品、おそろしい薬品がごちゃまぜに降り注ぐ--それは放射能の害にまさるとも劣らず、また放射能の効果を強める。(第4章の冒頭)

乳がんで亡くなったレイチェルの影響を受けて、グールドは『低線量内部被曝の脅威―原子炉周辺の健康破壊と疫学的立証の記録』を出版した。1950年からの40年間にアメリカの白人女性の乳がん死亡者数が2倍になったことが公表され、その原因究明を迫られてアメリカ政府は膨大な統計資料を駆使した調査結果を発表し、その原因が「戦後の石油産業、化学産業なdの発展による大気と水の汚染など、文明の進展に伴うやむを得ない現象」であるとした。これに疑問を抱いたグールドがパソコンの表計算ソフトExcelを使って調査し直した。その結果、乳がん死亡者数には明らかに地域差があり、それが原子炉からの距離と相関していることを発見する。すなわち、原子炉から100マイル以内にある郡では乳がん死亡者数が明らかに増加し、それ以遠では横ばいか減少していた。

軍用・民間用の各種原子炉からの「低線量放射線」がその原因であることを突き止めたのである。

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また、アメリカと旧ソ連の大気圏内核実験による放射性降下物と低出生体重児の増加、子どもの甲状腺機能低下症との相関関係も明らかにした。ベビーブーム世代の免疫不全とエイズの発症も同じように相関を示している。

膵臓がん患者が増加の一方であることは、もしかすると核実験による死の灰の影響であるかもしれないということになる。福島第一原発から放出された放射能による被ばく線量は、自然放射線に比べて多くはないとの御用学者の言い分は、その自然放射線も、過去の核実験の死の灰によって増加したものだという点を無視している。通常運転されている原子炉の周辺でも明らかに乳がん患者が増加しているのであるから、福島第一原発から放出された莫大な放射能が、何ら健康に影響はないなどとは言えないのだ。肉牛から大量の放射性セシウムが検出されているが、福島の子どもたちが内部被ばくしていないとは言えなくなってきた。

多くの指導的がん研究者が上流を辿る必要性を認めている。

上流というイメージは川に沿った村々についての古い物語からきている。言い伝えによれば、ある川岸の村の住民は、最近急流で溺れる人の数が増えていることに気づいた。そこで溺れた人たちを生き返らせる技術をもっと向上させようといろいろ工夫発明をするようになった。その結果、その村は救急と救命処置のための英雄的な働きに忙しくて、上流で誰が川に突き落とされているのかを見に出かけてみてはどうかと思う暇もなかった。(『ガンと環境―患者として、科学者として、女性として』より)

ところが、わが国におけるがんの先進的医療機関や放射線治療の専門家と称する医師は、「上流で川に突き落とされて人がいるという証拠はない」と言うばかりで、まるで原子力村の一員のように振る舞っている。

低線量放射線被ばくの影響を疫学的に証明するためには、グールドのように大量の良く整理されたデータが必要なのであり、そうしたデータを集めることは一般的には困難である(情報公開法のあるアメリカだからできた)。広島・長崎の被ばく者のデータですらそうであるから、統計的に明らかにするには非常な困難を伴う。しかし、証明できないことが害がないことにはならないのである。

2011年7月15日 (金)

素朴に考えてみれば・・・

放射線、放射能の人体への影響で、安全か危険かといろいろな意見があります。私は「わずかの放射線にもそれなりの人体への影響があるので、これ以下なら安全という議論は成り立たない」という立場です。科学的にはECRRの主張するリスクに合理性があると考えています。

しかし、放射線の危険を正しく認識するにはどうしても専門用語が理解できていなくてはなりません。それは一般的には敷居が高いと思われるようです。しかし、3・11以後は、日本人は皆が「ヒバクシャ」です。放射線に対するそれなりの知識が必要になることは間違いありません。

そこで”常識的に考えて”みれば、というので前々回「電気は余っている・・」と題して書いてみました。今回もそうしたスタンスで考えてみます。

被ばく線量限度は歴史的には、より厳しい方法に改訂されている

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上の図は小出裕章氏のサイトからリンクしてありますが、黒丸の職業人(放射線業務従事者)に対する「許容量」は時を経て、放射線に対する知識が増加するにしたがってより厳しい数値になってきています。一般公衆に対する許容量も同じく厳しくなることはあっても、緩やかになったことはありません。現在の一般公衆に対する「許容量」は、ICRPの勧告に従って1mSv/年ですが、ECRRはこれを十分の一にすべきだと勧告しています。

ICRP勧告の理論体系は、DNAが発見される以前の骨董品的な理論体系であり、近年の生物科学の成果を取り入れていいない、チェルノブイリの被ばくとその影響の実態を取り入れていないなど、多くの欠陥があることは前にも書いています。しかし、マスコミでは相変わらず「安全だ、心配しすぎる方がより健康に害がある」などと、まことしやかに解説している自称「専門家」がいます。ICRPの権威といっても、所詮は歴史的に修正され続けてきた勧告にすぎません。

「ICRP勧告によれば安全だ」ではなく、放射線について知識が深まれば「ICRP勧告もいずれはより厳しく改訂される」可能性が高い。

原発は経済的競争力がある?

原発に経済的競争力がある、つまり発電コストが安く、火力・水力発電に比べて優れていると政府も電力会社も言う。それだけ優れている事業なら、どうして政府が巨額の税金をつぎ込み、電気料金の計算で恩恵を与えて援助するのか。優良事業なら政府の支援など不要ではないか。政府の過保護的支援策には次のようなものがある。

  1. 立地支援:電源三法(電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電 用施設周辺地域整備法)による支援。2010年度で1476億円。
  2. 研究開発支援:日本原子力研究開発機構などへの支出。
  3. 損害賠償支援:1962年に「原子力損害の賠償に関する法律」が施行され、商業発電用原子炉は1200億円の保険加入を義務づけられるが、それを超える損害が発生した場合には、政府が国会の議決により、損害賠償の援助を行うこ とができると定められている。福島第一原発の事故でもこれが適用される可能性が高い。
  4. 安全規制コスト支援:原発がテロ、軍事転用、過酷事故等の危険性を持つための追加コストである(566億円)

廃炉費用や使用済み核燃料の処理費用はこれには含まれていない。このような支援がなければ、事業として成り立たない。リスクが大きすぎると言うこと。電力会社がどうしても原発をやりたいというのなら、メルトダウンなどの過酷事故による損害賠償も含めて、すべてを「自己責任」でやれば良い。それでもまだ経済的に優位だと考えるのなら、自由主義経済ではひとつの選択してしてありうると思う。しかし、万一のことがあれば会社が倒産するかもしれないようなリスクを敢えて引き受けるのは、倒産寸前のニッチもサッチもならないような会社・経営者だけであろう。

2011年7月12日 (火)

がんの自然治癒はどうすれば起きるのか

再発・転移したがんでは治ることはありません。抗がん剤は延命効果を狙うだけです。抗がん剤は効くのか、効かないのかという近藤氏や梅澤医師らの議論は、あくまでも延命効果があるのかないのかとの議論であり、治ることは前提にしていません。これは現代医療の限界ですからしかたありません。しかし、がん患者の誰もが、もしかすると自分だけは治る、治りたいと思っています。そこで怪しげな代替療法に走ることにもなるのです。

がん患者が代替療法を取り入れることには反対ではありません。代替療法と言ってもピンからキリまであります。何を代替療法と言うかの定義にもよりますが、エビデンスがないことが代替療法なら、がんペプチドワクチンもリンパ球療法も、ホメオパシーも同じです。同じですが、そこには自ずから違いがあります。「原理的に効くはずがない」ホメオパシーと、「エビデンスが確立していない」がんペプチドワクチンをまったく同列に扱うことはできないでしょう。

医療従事者が代替療法を積極的に勧めることには反対ですが、がん患者がホメオパシーや丸山ワクチンをやってみようと考えることは理解できます。ホメオパシーにはプラシーボ効果以上の効果はないのですが、患者としては、治るのならプラシーボだろうがなんだろうが良いのです。プラシーボ効果を期待するのならエビデンスは関係ありません。なぜならプラシーボ効果を除いたものがエビデンスですから。むしろ心の治癒力、気持ちのありようなど、どうすればプラシーボ効果を引き出すことができるかを考えるべきでしょう。

緩和医療と心の治癒力 彦根市立病院緩和ケア科部長・黒丸尊治医師の『緩和医療と心の治癒力』は、そんな私の考えとほぼ同じ内容で書かれています。黒丸医師の日本ホリスティック医学協会副会長の肩書きを見て、あの帯津良一氏が会長を務める組織の人だと、少し構えて読み始めたのですが(安保徹氏も名を連ねている)、予想に反して内容はまじめで説得力のあるものでした。

そもそも代替療法などにすがるべきではないのでしょうか。私は決してそうとは思いません。医者からもう治療法はありません、と言われたら誰だってショックを受けます。この現実を受け入れ、残された時間を有意義に過ごそうと思える人はそれで良いと思います。でも、そう思える人ばかりではありません。何とかならないだろうかと嘆き苦しみ、最後の抵抗を試みる人がいてもまったく不思議ではありません。その抵抗の手段のひとつが代替療法なのです。こんなことにすがってもダメかもしれない、と思いながらも、やはりすがらざるを得ないのです。それが人間なのではないでしょうか。

潔く死を受容できる人は希であり、多くの人はジタバタとしながら何とかならないかと思っている。それで良いではないか。医者が別の抗がん剤を勧めて「効かないかもしれないが、ダメモトでやってみようか」と言うのと、効かないかもしれない代替療法をダメモトでやってみることに違いはないだろう、と思います。

癌が消えた―驚くべき自己治癒力 (新潮文庫) がんの自然治癒に関して漫然とした関心を持っていたという黒丸氏は、それを学問として研究している人たちがいるという理由で心療内科医になる決断をします。中川俊二氏や日本の心身医学の草分け的存在である池見酉次郎氏らと親交を持つ過程で、がんの自然治癒の症例を知ることになったのです。中川氏は最後の日本心身医学会で80症例目になる自然治癒の症例を発表しましたし、北大教授の小田博志氏もドイツで12人の自然治癒の患者にインタビューしています。キャロル・ハーシュバグの『癌が消えた―驚くべき自己治癒力 (新潮文庫)』には多くの癌の自然治癒の物語が紹介されているのです。

黒丸氏も千人以上の患者さんを診てきて、末期癌が消えてしまったり、進行が止まってしまったりする患者を何人も経験し、「末期がんが消えてしまうということはしばしば起こることとは言えないまでも、決して起こりえないようなことでもありません。自分の体験からしても、一般的に考えられているよりもはるかに多い頻度で起こり得るものだと思っています」と述べています。

がんの自然治癒が起きるには、何かのきっかけで「心の治癒力のスイッチ」が押されることが必要です。同じことは『プラシーボの治癒力―心がつくる体内万能薬』でハワード・ブローディも述べています。

これではどのような心の状態になったときに「治癒力のスイッチ」が入るのでしょうか。残念ながら、これがよく分かっていないのです。がんが良くなるくらいだから、よほど強烈で前向きな気持ちが必要かというと、そうとも言えないのです。末期の肝がんの患者の例では、発芽後の誕生をきっかけに人が変わったように穏やかになり、それがきっかけかどうかは不明ですが、肝がんが消えてしまった。ところがこの患者さんにはがんの告知がされてなかったのです。自分が癌だとは知らなかったはずなのです。あるいは開き直る心が自然治癒に繋がったと思える患者もいる。自分の命は神様にお任せし、人の幸せのために全身全霊で宗教活動をすることが自然治癒に繋がったと思われる患者もいる。ところが逆に、死を覚悟して自然治癒に向かっているかもしれないと思っていた患者が「あなたの癌は治るかもしれませんよ」と言われたとたんに、症状が悪化し始めてなくなったこともある。

黒丸氏は、自分の体験からもがんの自然治癒は100~200人に一人くらいは起きていると考えています。

がんは複雑系だから、複雑系では「特別なことが起きるのに、特別な理由は必要ない」のです。そのことはこれまで何度かに分けてブログで紹介してきました。自然治癒は起きるし、それも思ったよりも頻繁に起きているのです。どうしたらそれが起きるのか、まだ人類はその知識を持っていませんが、心の状態が関与していることはまちがいないのです。

マイケル・ラフは『癌が消えた』で次のように言っています。

「たぶん寛解は、同じ死に絶えるメッセージを癌細胞が受け取っているのでしょう。癌は、DNAを溶かし、クロマチンを凝縮させ、細胞を徐々に喪失させる遺伝子を活発化するような化学的メッセージに正常な細胞と同じくらい、弱いのです。」
ラフは、感情が腫瘍の死に大きな役割を果たすことは可能だ、と考えている。「それほど強烈なものである必要はないと考えています。癌は大きな異常ではありますけれど、一定期間にわたる微妙な変質の結果です。治癒もまた微妙な変化で、シーソーが再び降りてきたようなものです。たぶん感情の分子がシーソーを押したのでしょう。」

彼は身体の防御の仕組みを、カオス説で説明する。<略> 心理的力は小さく弱いため、癌による「併合」に影響を与えることはできないという従来の見方と違って、心-体のつながりはミクロの世界で、そこは勝利は強い方へ行くだけではなく、頭のいい方へ行くという世界、情報が力である世界だ。脳には感情と結びついている分子のレセプターが多くある。この分子は最終的に病気に対する前線となる。免疫細胞は体中を回る間に脳と交信して、報告をし、指示をもらい、別の体の現場へ公式声明をもって急行し、傷を治す処置をする。驚異的回復が示しているのは、ある一定状況のもとでは、癌は突破できない砦というよりは、情報の突風の前に震えるもろいトランプの家のようなものであるということだ。

「治りたがる患者には、奇跡的治癒が起こることは希である」というのも一面の真実かもしれません。治る患者には「老子的世界観」と言っても良い、それに似た心の有り様がある、そんな気がするのです。

2011年7月11日 (月)

電気は余っている、原発を止めても電気代は上がらない

電気が足りないのウソ

この夏の猛暑で原発が再稼働しないと大規模停電が起きる、NHKなどはそんな論調で報道し、先日の面白くもない「徹底討論」番組を組んでいた。

この夏の最大需要電力予想は5500万キロワットだが、しかし、電気は余る。7月中旬には地震と津波で止まっていた広野火力発電所が全面復旧し380万キロワット。様子発電所が1050万キロワットある。これで十分間に合うのだが、東電はまだ余力を隠している。
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だいたいが、この夏の最大電力供給力は発表されるたびに上方修正されている。揚水発電の分は追求されると小出しに出してきた。企業の自家発電分がある。これも加えたらむしろ有り余るほどの電力になる。もちろんわれわれが節電しているからでもある。これまで電力会社の宣伝に乗って、オール電化だとつきあってきた。しかし、それが合理的で便利な生活だとは思わなくなった。節電といってもこれまでが使いすぎていたのだから、15%の節電なんて簡単にできてしまう。

引き続き節電して、原発が無くても困りはしないということを証明しなくては。

原発が止まると電気代が上がるのウソ

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この航空写真には4カ所の火力発電所がある。上から順に、住友金属鹿島製鉄所にある鹿島共同火力発電所(140万kW)、東京電力鹿島火力発電所(440万kW)、鹿島北共同火力発電所(65万kW)、鹿島南共同火力発電所(21万kW)である。

東電の火力発電所以外は、鹿島コンビナートの企業が自分たちで使うための電気を作っている。東電の鹿島火力発電所は440万kWの発電能力があり、これらの企業に供給する電力が余裕である。コンビナートの企業が近くにある東電の発電所から電気を買わないで、どうして自家発電するのか。その方が安いからである。少し古いデータだが、電力会社から買うとキロワットあたり20円とすると自家発電では6円だという。最新式の熱効率の良い発電所を建てると条件ではあるだろうが、石油で発電しても原発よりは安いのである。余った電力を東電に売って利益を上げているのである。

どうして日本の電気代は世界一高いのか。それは原発があるからだ。原発があれば揚水発電所が必要になる。福島・新潟などの遠方から都内まで送電している間に熱ロスが生じる。ロスを少なくするためには100万ボルトという超高電圧の送電線を作らねばならない。都内ではそんな高圧送電鉄塔は建てられないから、地下にトンネルを掘って送電線を納めなければならない。これらのべらぼうなコストが電気代に乗せられている。その他に指摘されていることだが、使用済み燃料の費用・廃炉費用などはこれには含まれていない。もちろん今回の福島原発の事故処理費用もである。これらを含めたら原発は太陽熱についで高いコストになるかもしれない。

石油による発電が高いのなら、損益計算に厳しいコンビナートの企業が競って自家発電設備を作るはずがない。

2011年7月10日 (日)

工場夜景-ジャングルクルーズ

横浜の赤レンガ倉庫から船で工場夜景のジャングル・クルーズに参加しました。なかなか見ることのできない工場内の様子を洋上から間近に観察できます。しかし船は立っていられないほど揺れるし、夜景ですから当然被写体は暗い。望遠レンズでなおさら露出が暗い、三脚は使えないと、条件は最悪です。なんとか使い物になるカットを撮れたのは腕が良いのか偶然か (*^_^*)

もう十数年前でしょうか、今のように「工場萌え」などと人気になる前にフィルムカメラで川崎の浮島に工場街の撮影に行ったことがあります。人気のないところを三脚を担いで歩いていてパトカーの職務質問を受けたり、工場の守衛さんから胡散臭い目で見られたり、暴走族対策の検問に引っかかったりしました。今ではたくさんの写真愛好家が撮影しているので、認知されたのか、そのようなこともありません。

_dsc1744 節電の影響でビルの照明もほとんど点いていません。

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_dsc1831タンクの上に見える灯りは羽田空港に着陸する旅客機です。

_dsc1844 だんだんと暗くなり、良い雰囲気になってきました。

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_dsc1860今日はフレアアタックが勢いよく上がっていました。

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_dsc2081不気味な雰囲気です。

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赤レンガパークに帰ってきました。
_dsc2307
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今度は陸から狙ってみようと思います。こう熱くなると昼間の散歩は熱中症の心配があります。がんのリスクが下がっても熱中症で倒れては元も子もないので、夕方から出かける方が良さそうです。

南相馬の和牛から高濃度のセシウムを検出

玄侑宗久さんの言ったことが本当になってきました。6月14日に「牛が殺処分されるなら、同じ内部被曝した福島県民は」で玄侑さんの「緊急提言」を紹介しました。「大袈裟に言えば、内部被曝の危険性は、牛同様なのである。牛に対する判断・処分が正しいとするなら、人間だから殺せないだけで、本当はこの国にいてほしくないのではないか、という論理的帰結になる。」と玄侑さんは言ったのでした。

ところが、南相馬市の緊急時避難準備区域から出荷された牛11頭のすべてから、最大で3200Bq/kgの放射性セシウムが検出されたと報じられました。

福島県は計画的避難区域などから出荷される食肉用の家畜全頭を対象に表面の放射線量の検査を実施していたが、この検査をすり抜けたことになる。「検査していたのに放射性物質が検出されたことに驚いている」とし、出荷対応を検討している。

内部被ばくを過小評価しているから「驚いている」となるのでしょうが、私から見れば当然の結果です。表面汚染を測定しても内部被ばくの評価ができるはずがありません。水も牧草も汚染されているのですから、身体の表面が汚染されていないから内部被ばくをしていない、と考える方がどうかしています。

福島の子どもも同じではないかと心配しています。福島に数日間だけ帰省した原発作業員が、別の原発作業のためにホールボディカウンタで測ったら、驚くような被ばくをしていたと以前に報じられました。子どもの喉にシンチレーションカウンタをくっつけて測定し、「ヨウ素131による被ばくはなかった」などと発表していましたが、これも怪しい。

牛だから解体して内部被ばくが判ったのですが、人間はそうすることは不可能です。牛が内部被ばくしているからには人間だって同様にセシウムを取り込んでいるし、ストロンチウムはガンマ線を出さないから外からの測定は不可能です。

『当局者が「直ちに健康への危険はない」と言うのを聞いたら、直ちに、なるべく遠くへ、急いで逃げなさい』とは、チェルノブイリを経験したロシア人の言葉ですが、チェルノブイリはまだ住民を多数避難させました。福島ではチェルノブイリ並みの汚染地域に、多数の子どもを含んだ住民が住んでいます。

山下俊一氏が県立福島医科大学の副学長に就任するそうです。どうしてこの程度の人物で大学の教授が務まるのか不思議ですが、地元で又迷惑なことをするのでしょうね。きっと。

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このポスターを見て、5月にNHKで放映された「写楽~天才絵師の正体を追う~」を思いだし、写楽の大首絵「三代目大谷鬼次の盗賊 江戸兵衛」を連想しました。

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2011年7月 9日 (土)

タルセバは膵癌に承認すべきだったのか?

中外製薬によるタルセバの説明会が7月8日にあったようです。高橋洋一郎統括マネジャーがタルセバの適正使用について講演し、「国内フェーズ2試験では重大な副作用の間質性肺炎の発現率が8.5%(106例中9例)に上っており、かなり厳重な体制でやっていく。」と述べたとされています。

高橋氏によると、非小細胞肺がんを適応として実施した国内フェーズ2試験での間質性肺炎の発現率は4.9%だった。
 膵がんに対しては、ゲムシタビンと併用して治療を行うが、間質性肺炎の発現率が非小細胞肺がんの治療に用いる場合よりも高いことから、「承認審査に際 し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)や厚生労働省と相談し、膵がんにおいては国内臨床試験と同レベルの安全対策が必要」との結論に至ったという。
安全対策については、膵がん患者にタルセバを処方できる施設として、▽厚生労働相が指定するがん診療連携拠点病院や特定機能病院▽入院またはそれに準ずる 管理下で重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うことが可能▽間質性肺炎に対する適切な処置が可能―などの施設要件を設定。
 また、処方する医師についても、日本膵臓学会、日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会のいずれかに所属しているなどの要件を満たしていることや、タルセバの臨床試験成績や添付文書情報を学ぶE-learningの受講を求めるとしている。
また、杏林大医学部内科学腫瘍内科の古瀬純司教授は、性別や年齢層に関係なく 発現している一方、9例すべてが過去に喫煙歴があるか現在も喫煙している症例だったという。このため、古瀬氏は「体力があって若い人、喫煙歴がなく肺疾患 がない人に、まず使っていく必要があるのかなと思っている」と述べた。

 さらに、同剤の適正使用のため、患者に対しては「理想の夢のような薬ではなく、間質性肺炎という死亡につながるような重篤な副作用も懸念されている薬ということを理解していただくことが大切」などと述べた。

私が6月2日のブログで「臨床試験が延長されたと考えた方が無難である」と書いたのですが、当事者が同じことを言っています。臨床試験並みというのなら、費用も無料にすれば良い。

わずか10日程度の延命効果しかない薬がなぜ承認されるのか? イレッサの教訓は生かされているのかと言わざるを得ません。

実は新薬の承認には、薬としての効果があることが第一ですが、最近はそれだけではなく、「患者が求めているかどうか」が重要な判断基準になっています。効果が疑問あるいはごくわずかの効果しかなくても「患者が求めているから」という理由で承認されているのです。

確かに海外で承認されている抗がん剤で国内未承認のものがたくさんあります。がん患者はそれの早期承認を求めて運動してきました。しかし効果があいまいなものまで承認して良いはずがありません。人種が違えば効果が違うのはイレッサでよく分かったはずです。

早期承認を期待しているのは患者だけではなく製薬企業も同様です。患者団体の早期承認運動は、一面では製薬企業にとっても好都合だということです。効果にわずかの違いしかなくても「患者が求めている」という理由で承認されていきます。

「中には効果がある患者もいる」と言いますが、同時に「本来の命を縮めた患者もいる」ことには言及しません。ジェムザールとTS-1に耐性ができたら、あとは武器がない、こんな理由で8.5%の死の危険がある抗がん剤を承認すべきでしょうか。しかもわずかな効果しかないのです。新しい薬が、承認されてから時間が経つと、初期のときほどの効果が出ない、ということはよくある話です。一種のプラシーボ効果です。タルセバも承認されて時間がたてば、10日程度の延命効果はなくなることも十分予想されます。

大きな危険があっても、いずれ膵臓がん患者は死ぬ運命だから良いのでしょうか。「それじゃあなたはどうすれば良いと思うのですか」と聞かれても、私には分かりません。膵臓がんに効く抗がん剤を早く開発してくれとしか言えません。

私はタルセバの早期承認を求める署名はしませんでした。

2011年7月 5日 (火)

ゴボウの種が膵臓がんに効く?

今朝のNHKニュースです。

ごぼうの種ですい臓がん治療
7月5日 5時19分

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漢方薬として使われてきたごぼうの種の成分が、すい臓がんの治療に役立つ可能性があることが富山大学などのマウスを使った実験で分かり、治療薬の開発を目指して臨床試験が始まりました。

この研究は、富山大学の和漢医薬学総合研究所と、国立がん研究センター、それに富山県高岡市の製薬会社が、共同で取り組んでいるものです。研究グループは、自覚症状がほとんどなく、手遅れになることが多いすい臓がんの治療に漢方薬を利用できないか調べるため、500種類以上の漢方薬の成分を試験管の中のすい臓がんの細胞に直接、投与したところ、解熱剤として使われてきたごぼうの種に含まれるアルクチゲニンという成分にがん細胞を小さくする効果があることが分かりました。また、すい臓がんを発症させたマウスにアルクチゲニンを口から与えたところ、およそ1か月後には投与しなかったマウスに比べてがん細胞の成長が3分の1ほどに抑えられたほか、アルクチゲニンを与えたマウスでは与えないマウスの倍の100日程度生きていたケースもあったということです。実験結果を受けて研究グループは、先月下旬から、すい臓がんの患者に顆粒状にしたアルクチゲニンを服用してもらう臨床試験を始めており、安全性や有効性を確認できればすい臓がんの治療薬として開発を進めることにしています。富山大学和漢医薬学総合研究所の門田重利教授は「ヒトに対しても治療効果があることを証明し、すい臓がん患者を助けられるよう新しい薬を作りたい」と話しています。

以前には牛蒡子が膵臓がんに効くとの読売新聞の報道があり、こちらのブログで紹介しました。漢方には疎いのですが、写真で見るとゴボウの種と牛蒡子は同じものを指しているようです。しかし、同じような実験はこれまでにいくつかあるのですから、NHKがいまこれを朝のニュースで取り上げる意図が理解できません。ヒトに対する臨床試験が始まったということがニュースなのでしょうか。

アルクチゲニンには抗炎症作用がありますから、がん細胞が身体の炎症作用を利用していることを考えると理論的には効果があるはずだと思います。また、アルクチゲニンは熱ショックタンパク質(HSP)の発現過程を抑制することも知られているようです。(こちら

20110511_main011 ただ、熱ショックタンパク質は身体の抵抗性を高め、NK細胞を活性化させ、がん細胞の抗原提示により免疫細胞が攻撃しやすくする効果が報告されています。5月11日放送のNHK「ためしてガッテン」では「身体を温めて超健康美の真実」と題してこのHSPを取り上げて、身体を温めるとHSPが増加するため健康に良いと放映していました。(ただし、38度以上の体温を相当の時間継続しないと効果がない)

ゴボウの種に含まれているアルクチゲニンはそれを抑制するのですから、「ためしてガッテン」の逆をやろうということになりますね。同じNHKで反対の主張をしているように考えるのは私だけでしょうか。HSPを抑制すると思わぬ副作用があるかもしれません。現状ではマウス実験の段階ですから、薬局に牛蒡子を買いに走るのはちょっと待って、ここは慎重に考えた方が無難かと思います。

しかし、「そんなに悠長なことは言ってられない」立場の膵臓がん患者さんなら、血液検査結果と体調に注意しながら、一か八かで試してみるのも一つの選択肢でしょう。何事にも”絶対はない”のががん治療ですから。

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