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2012年1月

2012年1月31日 (火)

ダーク・チョコレートの抗がん作用

先日近所のスーパーでで森永の「カレ・ド・ショコラ」カカオ70%のビターチョコが20円引きになっていたので、まとめ買いしました。全国的にキャンペーン中らしいです。2年前のこのブログでは、ビターチョコに血管新生抑制効果があると紹介しましたが、私は数年来ビターチョコを欠かすことなく、いつも机の引き出しに入れています。

更に、チョコレートには結腸がんの予防効果があるとの、スペインでの研究です。ラットでの研究ですが、原料のカカオに結腸がんなどの腸疾患予防に効果があるとする論文です。

 研究チームは、カカオ含有率が12%の餌を8週間、ラットに与えた後、がんの誘発要因を加える実験を行った。その結果、カカオを多く含む餌を摂取していたラットは、結腸がんの兆候である異常陰窩巣の形成が大幅に低下していた。陰窩(いんか)とは、直腸や結腸の内壁表面に見られる管状の腺で、正常に機能しているときは常に腸の内壁を再生し粘液を生産する。
 また、抗酸化機能も高まり、発がん性物質による酸化損傷が減少していた。こうした実験結果から研究チームは、体内で腫瘍を発生させる細胞増殖に関連した細胞シグナルの伝達経路をカカオが遮断し、体の防御システムとして機能しうると結論付けた。カカオを多く摂取する食生活は老化細胞や不健康な細胞が自然死する「アポトーシス(機能的細胞死)」を促し、新細胞が生じる余地を作る効果があることも突き止めた。これが、がんの進行を防ぐ「化学予防メカニズム」になるという。<原文

昨年の9月には日経メディカルオンラインに「ダークチョコレートに心代謝障害の発症リスクを減少させる効果が示唆」という記事も載っています。こちらは欧州心臓学会(ESC2011)で発表されたメタ解析の研究結果です。

4576報の文献から、7報が選定基準に合致した(参加者総数は11万4009人)。この7報の試験間にはチョコレート消費の測定法、方法およびアウトカムに大きな違いが認められた。7試験のうち5試験において、心代謝障害のリスクに対し、チョコレート消費がより多いグループに有益な効果があることが報告されていた。一番チョコレートの消費量が多いグループは、一番少ないグループに比べ、心血管疾患を37%(オッズ比:0.63、95%信頼区間:0.44‐0.90)、脳卒中を29%(オッズ比:0.71、同:0.52‐0.98)、それぞれ減少させていた。
また、健康に良い成分はビターカカオに含まれており、砂糖や脂肪分に含まれているのではないとし、「市場に出回っているチョコレートは非常にカロリーが高いので、食べ過ぎは、肥満や糖尿病ばかりか心臓病のリスクをも上昇させる恐れがある」と注意も促した。

効果があるのはビターチョコです。ミルクチョコなどは反ってリスクを高めるので注意。この論文に関しては、代替医療の著作も多い坪野吉孝氏はアピタルにこのように書いています。

チョコレートには糖分と脂肪分が多く含まれるためカロリーが高く、多く食べることで肥満につながる危険性も指摘している。そのため、チョコレートに含まれる糖分と脂肪分を減らすことが必要だと考察している。

今回選び出された論文はすべて、対象者の日常的なチョコレート摂取と病気との関係を調べた研究のため、肥満で病気のリスクが高い人がチョコレートの摂取を過小申告するなどして、チョコレートの効果を過大評価している可能性があると考察している。

チョコレートのような身近な食品が、心血管疾患などの病気の予防につながる可能性を指摘した点で、興味深い論文だ。ただしこの分野の研究はまだ新しく、論文の数も7件しかなかった。そのため現時点では、チョコレートと病気予防との因果関係が確認されたと結論することはできない。臨床試験を含めた研究が、今後さらに必要だろう。

Choco1850_1 糖質制限食を提唱している江部先生もブログでこの論文に触れており、「糖質ゼロのチョコ」の開発を依頼したと書かれています。しかし、「糖質制限ドットコム」で販売しているチョコは高くて気軽には購入できませんね。楽天市場に右のような糖質ゼロのノンシュガーチョコを販売していました。これならまだ安いか。

シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』でも「付録 抗がん効果のある食物リスト」(P.209)の中にブラックチョコレートが含まれています。

ブラックチョコレート(カカオ分70%以上)には、多くの抗酸化物質、プロアントシアニジン、ポリフェノールが含まれている(チョコレートひとかけらには、赤ワイン一杯の二倍、よく蒸らした緑茶一杯と同程度のポリフェノールが含まれている)。これらの成分には、がん細胞の成長や血管新生を抑える働きがある。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 として、緑茶といっしょに摂ることを推奨しています。私はお茶ミルで挽いた深蒸し茶を一緒に飲んでいます。

さて、抗がん作用があるらしいことは分かりましたが、できてしまったがんにも効果が期待できるのでしょうか?『がんに効く生活』でシュレベールは次のような例を挙げています。(P.171)

生化学者リシャール・ベリヴォー博士は、余命数ヶ月と宣告された膵臓がんに苦しむ友人レニーの妻から一本の電話を受け取った。妻は「あなたが食物の抗がん効果に興味を持っているって聞いたわ。治療効果があると思われるものならなんでも試してみたいの。もうこれ以上失うものなんて何もないでしょ。」と言った。

ベリヴォーはレニーのために”抗がん効果のある食物リスト”を作成した。キャベツ・ブロッコリー・ニンニク・大豆・緑茶・ターメリック・ラズベリー・ブルーベリー・ブラックチョコレートなどであった。

「がんは肥満のようなものだから、毎日の努力が必要なんだ。毎食ごとにこれを食べること。これ以外は食べないこと。炎症を活性化させるオメガ6を控えて、オリーブ油を使うことを告げた。数種類の日本料理とともに。

レニーは数週間後にはベッドで体を起こすことができるようになり、日に日に好転して、家から出て外を歩けるようにもなった。

レニーはそれから4年半生きた。膵臓がんが直りはしなかったが、長い間腫瘍は安定したままで、一時は4分の1ほどに退縮した。

Foods to Fight Cancer: Essential Foods to Help Prevent Cancer ベリヴォー博士のこのリストは、ペーパーバック『Foods to Fight Cancer: Essential Foods to Help Prevent Cancer』として今でも多くのがん患者に読まれています。『がんに効く生活』にはその一部が紹介されています。

食物の相乗効果

膵臓がん患者は(他のがんでもおなじだが)、ターメリックが効くと聞けばそれを飲んでみる。牛蒡子が良いと聞けば薬局に在庫がなくなるほど殺到する。深蒸し茶がテレビで紹介されたらそれに走る。しかし、大事なのは、一種類の食物ではなく相乗効果です。ベルヴォーは研究成果を三つにまとめまています。

  1. 一部の食物は、がんの成長を促進する”プロモーター”となる。
  2. 逆に”反プロモーター”となる食物もある。それは、がんの成長に必要な機能を阻害し、がん細胞をアポトーシスに追い込む。
  3. 食物は毎日、1日3回、人体に働きかけるものである。そのため、がんの進行を促進、抑制する生物学的機能に多大な影響を与える。

M.D.アンダーソンがんセンターのフィドラー教授は、がん細胞が利用する成長因子ごとに色分けすることに成功した。共同研究者に膵臓がん細胞を顕微鏡で見せながら、細胞ごとに色が違うこと、ある細胞は赤や黄に、核は青になり、別の細胞は綠にといった具合であることを示した。(P.194)

膵臓がんの腫瘍を見ると、さまざまな色が現われており、がん細胞が(細胞ごとに異なる)さまざまな成長因子を利用していることがわかる。「ここから得られる結論は?」フィドラーはたずねた。「赤の成長因子を抑えても、綠にやられてしまう。綠を抑えても、赤にやられてしまう。ということは、これらを一度に全部やっつけるしかない。」

ニューデリー医科大学の研究では、マウスに抗がん効果のある成分を一種類だけ与えると、がんを発症するマウスは半分に減った。二種類を与えると3分の1になった。三種類を与えると5分の1に低下した。4種類を与えたら、10分の1だけががんを発症した。

このことから言えるのは、単一の抗がん作用食物だけでは十分でなく、それぞれの抗がん成分が他の成分と相乗効果をもたらすということである。相乗効果、つまり複雑系的にいえば、各要素が相互に複雑に関係し合って、驚くような効果を発揮することがある。いや、むしろ実際の人間の体、がん細胞の中では、多くの要因が複雑に絡み合って化学反応が進行しているのであり、その一つの要因だけを取り出して、要素還元的に分析するのがEBMであり、エビデンス至上主義だ。ダーク・チョコだけではダメなのです。食事全体を抗がん効果のあるものに変え、がんが育たない体内環境を作ることが大切です。

「現時点では因果関係が確認できたと結論することはできない」などは、学者や医者に言わせておけば良い。そもそも因果関係は”厳密には”確定できるものではない。人間に見えるのは”相関関係”だけであり、ヒュームが言うように因果関係は確認することは不可能です。複雑系においては原因と結果は一対一には対応しない。だから抗がん効果のある食物のエビデンスなどは、永久に出てきはしない。そのようなものを待っているのは「百年河清を待つ」行為であり、ばかげている。マウス実験で効果があると分ければ、残された時間が限られている、今がん患者のあなたは、それを試してみるべきです。

今日は明治の「チョコレート効果」CACAO86%とCACAO95%をそれぞれ買った。お茶ミルの深蒸し茶と相性が良い。

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2012年1月28日 (土)

10年以内に再び福島級の過酷事故が起きる

Foresightにこんな書き出しで始まる1月24日付の記事『安易な原発再稼働で「10年以内に再び過酷事故」という原子力委試算』が載った。

 このまま日本で原発を再稼働させたら、今後10年以内に、東京電力福島第一原子力発電所と同じような事故がまた起こる――。
 原子力推進政策の総元締めともいえる政府の原子力委員会(近藤駿介委員長)の小委員会が、日本の原発が過酷事故を起こす「事故発生頻度」を試算したところ、抜本的な安全強化策を施さないまま、原発を安易に再稼働させると、最悪の場合、日本にある原発のどれかが、10年以内に放射性物質を大量に飛散させる過酷事故を起こすという、衝撃的な結果が出た。

昨年の10月25日、原子力委員会の原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会 (鈴木達治郎座長)が、 「原子力発電所の事故リスクコストの試算」 を発表した。過酷事故を起こした場合の、損害賠償や除染にかかる費用をはじいて、それを原発の発電原価に乗せようという試算である。この試算の結果、原発の発電単価は1kWh当り5~6円となり、賠償や除染費用の1.6円を上乗せしてもなお原発の単価が安いと報じられたのでよく知っていると思う。除染費用や賠償費用を非常識に過小想定しての計算であり、とうてい信用できるものではない。この計算の前提となる原発の過酷事故が起きる確率を計算しているのであるが、そこに見過ごせない問題がある。

5つの試算方法のうち、5番目は日本の原発を対象に稼働時間から事故確立を計算したものであり、福島原発の事故は3回とカウントする。すると頻度は「500炉年に1回」である。日本には50基(福島第一の1-4号機は廃炉になるため除外)の原発があるのだから、10年に1回は福島原発並みの、放射能を環境に大量にばらまく過酷事故が起きると、この報告書は述べていることになる。

通称「ラスムッセン報告」では「原子力発電所における大規模事故の確率は、原子炉1基あたり10億年に1回で、それはヤンキースタジアムに隕石が落ちるのを心配するようなものである」とされていた。福島原発事故の前には東電などは1000万年に1回としていたのを、事故を受けて昨年10月には5000年に1回と、2000倍も高く引き上げたのであった。そのニュースはこのブログで紹介した。(こちら

原発推進者の無念―避難所生活で考え直したこと (平凡社新書) そもそもこのような確率論的リスク評価が科学的検証に耐えうるものとは思えない。常識的に考えてもおかしい。10億年→1000万年→5000年→500年 どんどん短くなっている。10年に1回とは、明日起きてもおかしくはないということだ。原発推進の立場であった北村俊朗氏の『原発推進者の無念―避難所生活で考え直したこと (平凡社新書)』には、

地元説明会を担当したときのこと。「原発の事故は1万分の1の確率でしか起きない。自動車事故などに比べて格段に低い」などと安全性をアピールした。最前列の年配の女性が「その事故は明日起きるかもしれないじゃないですか」と質問した。当時は否定したが、事故は実際に起きた。今考えると、あの確率論は誤りだった。
事故後、妻に「これまで『スリーマイル島レベルの事故は日本では起きない』とさんざん言っていたじゃないの。原子力業界に苦言を呈したのはわかるけれど」と何度も叱られた。

と書かれている。

リスク計算はかけ算で求められる。Aが起きる確率=1万分の1、Bが起きる確率=1万分の1のとき、AとBが同時に起きて事故になる確率は、1万分の1×1万分の1=1億分の1となる。これが成り立つためには、AとBが「独立した事象」であるという前提が必要である。高等学校の数学レベルの基礎知識である。福島原発事故は、地震と津波によって通常電源と予備電源が同時に影響を受けたのであるから「独立した事象」とは言えない。確率論的リスク評価のそもそもの前提が成立していない。だからストレステストをしたからと言って何の意味も無い。福島原発で事故が起きてからも、性懲りもなく、一見すれば科学的な装いをした誤魔化しの数字を出してくる。「都合の悪いことにはほおかむりする」という東大話法であろう。

災害論―安全性工学への疑問― (世界思想社現代哲学叢書) 次にロシアン・ルーレットを考えてみる。6分の1の確率であなたは死ぬ。6分の5の確率であなたは1億円もらえる。あなたの命の値段は1億円である、としたとき、

1億円×5/6ー1億円×1/6≒6666万円

であるから、このゲームの「期待利益」はプラスであり、絶対にトクになるのだからゲームに参加すべしとなる。しかし進んで参加しようとする者がいたとしたら精神鑑定をした方が良いだろう。「期待損失=損失×損失の発生確率」と考える確率論的リスク評価は、我々の日常感覚とは合致しない。ここには二つの問題がある。期待利益は「無限回の繰り返しを行なった場合」に言えることであるが、私の命は一つしかない。私の命の値段は、社会的には1億円の価値かもしれないが、私や家族にとっては札束の厚さではない。

加藤尚武氏は『災害論―安全性工学への疑問―』において、

「異常な危険」には無過失責任を適用するという法律論は、過度の損失はそれを反復すると人間の生活が成り立たなくなるので、「事実上リスク・ゼロ」にしなさいという含意である。原子力発電所の事故は、当然、無過失責任の適用を受ける。ところが、原子力発電所の安全の設計原理の中には、確率の基礎概念として「期待値」が使われている。「期待値」は「低い確率で大きな損失=高い確率で小さな損失」という等式に基づいているから「異常な危険は、事実上リスク・ゼロにせよ」という条件を吸収できない。

として、これが福島原発事故の制度的な原因であると述べている。「取り返しのつかない代替不可能な損害」は、ととえそれが100年に1回、1000年に1回でも許容できないというのがまっとうな人間の判断である。農民にとって土地は代替不可能であり、漁民にとって海は代替不可能なのである。東電や政府が保証するべきであるが(これとても満足に実行される保証はない)、補償されたとしても農民も漁民も納得できるはずがない。

2012年1月25日 (水)

電気は余っているし、値上げの必要もない

政府が試算では、今年の夏の電力需給のピーック時には9.2%不足すると発表したが、実際は6%の余裕があることを毎日新聞がすっぱ抜いた。原発7基分の再生可能エネルギーをゼロとし、火力発電所の定期検査を猛暑の8月に設定する、揚水発電による供給量も低く試算されていたというのである。何度も見てきた図であるが、小出裕章さんの『隠される原子力・核の真実』に掲載された図をみれば、全ての原発が止まっても電力不足にはならない。

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伊方原発が全機停止した四国電力でも、夏の電力不足にはならないと高知新聞が報じている。四国電力の場合も「そもそも電力は余っていた」のであり、「原発が電気の4割を占める」というのは発電量ベースのことであり、設備容量では原発は2割にすぎない。原発はいったん動きだすと簡単に止めたりできないから、他の発電力を止めるのである。実際に水力発電などは設備容量の2割程度しか稼働していないのである。火力も48%しか稼働させていない。
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高知新聞の記事にはこうある。「数ある契約先のうち、購入量が多いのは徳島県阿南市の電源開発(Jパワー)石炭火力。購入理由は自社で作るより安いため」。半分以上の設備を遊ばせているのだから(それもしっかりと電気料金に転化されているが)よそから買った方が安いのである。つまり、原発があるから電気料金が高くなるのであって、これが総括原価方式のカラクリである。資産に一定の報酬率(四電は3%)を掛けた金額を電気料金に転嫁できるので、発電所を造って資産を増やすほど、電力会社は利益が膨らむ。

「世に倦む日日」は私も購読している有料サイトだが、本日の記事『天然ガス相場が急落 - 東電の「8000億円コスト増」の偽計』にはこう書かれている。

誰もが不思議に思うことが二つある。

(第一は)原発の再稼働が見通せず、今夏の発電を火力の代替に頼らざるを得ず、そのため燃料コストの上昇分を価格転嫁するのが避けられないと言うのなら、西の関電こそが真っ先に窮地に陥り、国に値上げを申請しなければならないのではないか。関電の原発依存率は48%と国内の電力会社の中で最も高く、発電量の半分を若狭湾に並べた原発で賄っている。関電のHPの数字では、2009年の原発発電比率は53.6%とあり、だから他社より発電コストが低く、CO2排出量も少ないのだと自慢を垂れている。東電は原発依存率が23%と低く、関電の半分以下だ。

第二の問題だが、NYの天然ガスの相場が10年ぶりの下落となり、先週の1/19、NY市場で前日比-6.1%の大幅安の値をつけている。重大なニュースであり、原発再稼働の議論に少なからず影響を与える動きと思われるが、テレビで全く報道されていない。テレビどころか、朝日新聞の紙面に載っていない。年明け以降、相場が急落し、昨年末比で2割も安くなっている。欧米は日本と逆で暖冬の気候となっていて、天然ガスが供給過剰となり、価格が暴落してしまったと説明がある。米の大手チェサピーク・エナジー社は、天然ガスの減産を決め、操業するガス田の数を47から24に半減する方針を発表した。昨年、右肩上がりで上昇し、日本の原発再稼働問題に暗い影を落としていた化石燃料の先物の一つが、ここに来て生産過剰となり、一気に値を下げる局面となった。

結論を言えば、東電の言う「8000億円のコスト増と料金値上げ」は、全く根拠のない出鱈目な主張で、本当の狙いは燃料費の回収ではない。信用してはいけない。金子勝も言っているが、福島の事故賠償で債務超過になり、公的資金を入れられて国有化されるのを阻止するための資金策だ。8000億円を国民から直接ぶん奪ろうとする経営策である。「燃料費のコスト増」は口実だ。

大手のマスコミはこうしたことを書かない。地方紙、東京新聞それに週刊誌くらいか。先日の「最悪のシナリオ」を無かったことにした件もそうであるが、政府は都合の悪い情報は流さない。東電も、放射能は流しても必要な情報は流さない。これで政府を信用しろと言っても無理というものだろう。

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2012年1月24日 (火)

ペプチドワクチン講習会 市民のためのがん治療の会

市民のためのがん治療の会」のことは、このブログでもたびたび取り上げています。福島原発事故以来、北海道がんセンターの西尾院長の活躍もこのサイトでご存じのことかと思います。

この会が、「膵がんに朗報、チャレンジするペプチドワクチン療法」と題して、千葉徳州会病院副院長 浅原新吾先生ほかの講演を開催します。千葉徳州会病院ががんペプチドワクチンの臨床試験を積極的に行なっていることも、このブログでは紹介してきた通りです。更に西尾正道先生の話も聞くことができる。膵臓がん患者としてはこれを見逃す手はありませんね。申込みなしの先着順です。


平成24年第1回「市民のためのがん治療の会」講演会
『がん医療への新たな挑戦』 開催のお知らせ


平成24年2月18日(土)13:30~16:30
            船橋グランドホテルB1芙蓉(千葉県船橋市)

「いつでも、どこでも、だれでもが、安心して最善の医療を受けられる地域社会」を目指し、救急搬送件数は船橋市内で最多の病院の千葉徳洲会病院は、「24時間365日いつでも診てもらえる徳洲会病院」として船橋市及び周辺地域に定着しております。その千葉徳洲会病院が、今や国民病ともいえるがん治療に果敢に対応すべく大きく発展しようとしています。既に第4のがん治療としてもっとも期待されるペプチドワクチン療法の膵臓がんについての臨床研究を続けており、患者にとっては大いに期待されるところです。今回は新しい千葉徳洲会病院の構想、ペプチドワクチン療法の臨床研究などのお話しに加え、がん医療の全体像を浮き彫りにする北海道がんセンターの西尾院長のお話しです。

日 時 平成24年2月18日(土)  13:30~16:30
内 容
               
13:00~ 受付開始
13:30~13:40 開会挨拶
  市民のためのがん治療の会代表 會田  昭一郎
13:40~14:00 「がん診療機能を充実した、新、千葉徳洲会病院について」
  千葉徳洲会病院 院長 高森 繁
14:00~14:50   「膵がんに朗報、チャレンジするペプチドワクチン療法」
  千葉徳洲会病院 副院長 浅原新吾
14:50~15:00 休 憩(10分間)
15:00~16:20 「がんの時代をどう生きる」
  北海道がんセンター 院長 西尾 正道
         (市民のためのがん治療の会代表協力医)
16:20~16:30 質疑
16:30 閉会挨拶
(都合により,日程,講師等に変更のある場合もございますのでお含みおき下さい。)             
会 場 船橋グランドホテルB1芙蓉(JR船橋駅北口徒歩3分)
〒273-0005 千葉県船橋市本町7丁目11番  047-425-1121(大代表)
         アクセス方法は  船橋グランドホテル のホームページでご確認下さい    
参加費
                  資料代
無料
定員 100名
定員になり次第締め切らせていただきすのでご参加いただけない場合はご容赦下さい。
(参加申し込みは不要です、当日直接会場にお出でください。)
お問い
合わせ
「市民のためのがん治療の会」
會田方FAX 042-572-2564    メールでのお問合わせはこちら
ご来場は公共交通機関をご利用ください。

おからだのご不自由な方、ご体調のすぐれない方など車をご利用の方は、
事前にお問い合わせ先までご一報下さい。

2012年1月23日 (月)

ジェムザールとTS-1併用の術後補助療法は有効

1月19日からサンフランシスコで開催されたASCO GI(2012消化器がんシンポジウム)で、ゲムシタビンとS-1を併用するGS療法は、膵癌の術後補助療法として良好な生存率を示し、有望なレジメンであると発表しました。がん研有明病院消化器外科(肝胆膵)の齋浦明夫氏らが、フェーズ2試験(JSAP-03)で明らかにしました。

死亡は17人(31.5%)、生存者37人のうち無病生存は22人(59.5%)であった。生存者におけるフォローアップ期間中央値は25.4カ月。生存期間中央値には達していない。1年生存率は88.9%(95%信頼区間:76.9-94.8)、2年生存率は72.1%(同:58.1-82.2)と良好だった。 1年無病生存率は57.4%(同:43.2-69.3)、2年無病生存率は44.4%(同:30.9-57.0)であった。

これらの結果から、「GS療法による術後補助療法は切除術を受けた膵癌患者において、良好な無病生存率と全生存率を示し、認容できる毒性プロファイルであった」とした。現在、膵癌において、術後補助療法としてゲムシタビンとGS療法を比較するフェーズ3試験(JSAP-04)が進行している。

がんナビの記事はこちら。同じものが癌エキスパートにも。

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『新しいチェロ奏法』

インフルエンザもやっと治った気がする。下痢で4日間で体重が3キログラム減になった。62キロから59キロ。これがダイエットなら大成功なんでしょうが。

チェロ弦を替えました。ゴフリラーモデルのチェロを買って以来、2年間も弦を替えてなく、高音が少しキンキンとするし、ゴフリラーの特徴である低音の響きが濁っているように感じていました。

現状:ヤーガー(A,D) スピロコア(G,C)

交換後:ラーセン(A,D) スピロコア・タングステン(G,C)

高音部のA線、D線をラーセンにして、G,C線はおなじスピロコアですが、タングステン巻きの弦に取り替えました。聞くところによると、この組み合わせがオーケストラのチェロ奏者にも一番の人気だそうです。しめて27,000円、チェロの弦は高いですが、これでも円高のおかげで40%引きの価格です。海外のサイトから直接個人輸入すればもっと安く手に入るので、次回はAmazon.comあたりで探してみます。

新しいチェロ奏法―身体に優しいチェロ演奏のためにタングステン巻きの弦はかなり細いですね。ラーセンのD線とタングステン巻きのG線がほぼ同じ太さです。弓の毛がしっかりと咬んで、低音の発音もよいし、いやな雑音成分がないように感じます。

絶版になっていますが『新しいチェロ奏法』という本があります。通常は指板の下に置く親指を、指板の上に置いておく、弦を押えるには強く押しつける必要はなくて、少し浮いていても音はきちんと出る。など、これまでの常識を覆すような奏法です。

Newcello

著者のセイザー氏は、

 この本は、まず演奏家の一般的な苦痛問題をとりあげ、その原因、傷害の判別、そしてその予防に言い及んでいます。さらに緊張のない自然なチェロ奏法が可能なことを示し、解剖学上からみてより適切な座り方、チェロの構え方を紹介し、同時に左手のテクニック、基本的ボーイングの新しいアプローチを提示しています。また、慣習的になってしまっていて、だれもあえて疑問を抱かない基礎テクニックの見直しを試みています。
 この本は、読者が自己の発見というプロセス(過程)を手引きにして体内のインパルス(推進力)の認知を一層高めることができるように意図されています。同時に、実地テストを体験することによって、読者はその体験と著者の所見を比較することができます。

と前書きで書いています。緊張をなくするための自己発見の方法を実際にやってみることで、自分が余計な筋肉の使い方をしているかがわかります。序文でチェロ奏者のポール・カーツも、

 セイザー氏のみごとな実地テストは、この運動と身体のメカニズムの一 般原理をいかにチェロ演奏に結びつけるかを示してくれる。特に体に最適な座り方と、いかに足を使って身体の舵をとるかという箇所は実にエキサイティングだ。どちらも私にとって新しいアイディアで、私の身体の動き方に一種の浮揚力と自在さの実感を一段と増してくれた。
 世界でもっとも著名なチェリストのひとりである、ヤノス・スターカー が最近私に語ってくれたことだが、彼の生涯にわたるチェロ演奏生活を要約すれば、それは「小さな筋肉から、さらに小さい筋肉のテンションを見つけ出すこと、そしてそれをリリースすることのくり返しだった」という。われわれはこの先例に従うべきであろう。本書はその導きとして、自己発見プロセス上、大変重要な役割をもつであろうと私は確信している。

速いフレーズでは左手の指を上下して指板を叩くのではなく、左手の甲を回すことで緊張なく速いフレーズを弾くことができました。なるほどと思ったのですが、彼の理論を全て取り入れることには少し違和感があります。特に第一ポジションではやはり親指は指板の下に置いた方が弾きやすいようです。

ま、いろいろとチェレンジしていますが、チェロも奥が深い。

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2012年1月19日 (木)

再発防止や難治がんに対する研究も広がっているがんワクチン

「がんサポート情報センター」に昨年9月号の掲載記事が次々と無料公開されています。鎌田 實 諏訪中央病院名誉院長の「日本全体がメルトダウンしないために」では、

いま危険なのはセシウムです。148万ベクレル以上の汚染地域が600平方キロに及び、ホットスポットは原発から20キロゾーンの外側にも点在しています。セシウムを100ミリシーベルト浴びると、がんの発生率が0.5パーセント高まるといわれています。チェルノブイリでは9000人ががんになったというデータがありますが、日本でも今後、がんが増える可能性があります。

と警告しています。がん患者として注目するのは、中面哲也 国立がん研究センター東病院 機能再生室室長の『再発防止や難治がんに対する研究も広がっている
ようやく脚光を浴び始めた「がんペプチドワクチン」、その本当の効果』では

「患者さんの免疫力をもとにした治療ですから、元気な患者さんで大きな効果が得られる可能性は高い。今までは治療法のなくなった進行再発がんの患者さんにしか治療が行えず、1度がんが大きくなっても、あとから小さくなるといった例も、免疫療法ではありえるのですが、ちょっとでもがんが大きくなったら、治療を中止することがきびしく求められました。

けれども、09年にはアメリカの食品医薬品局(FDA)が、より元気な患者さんを対象に試験を組み直すよう指示を出し、また、今年3月、メラノーマ(皮膚がんの1種)の治療薬として、アメリカで承認されたイピリムマブに関しても、FDAは『1度がんが大きくなっても、再び小さくなる可能性があるので、治療を続行してよい』という考え方を出しました。

という。先日書いたOTS102にしても、中村教授らは早期のがん患者に対して臨床試験をやりたいのだが、厚生労働省は認めてくれないと言っていた。この国は何においても国民の命よりも法律や制度、前例のあるなしが第一だ。福島原発事故のあらゆる局面でもそれが現われている。安冨さんはそれを「原発話法」という切り口で見せてくれた。

私の考えでは、この問題の根底には小泉政権によって断行された「小選挙区制と例外なき規制緩和」がある。当時多くの国民が小泉の「劇場型政治」に喝采を上げたのだ。つまるところ、この政府があるのはこの国民があるからだ。

日本国民はいつまでだまされ続けるのだろう。

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改訂された米国がん予防ガイドライン

昨日から水溶の下痢が続いており、おかしいなと思っていたのですが、どうやらインフルエンザに罹ったらしい。膵臓癌になってから初めての風邪・インフルエンザです。今日は1日寝ていました。

米国がん協会が、がん予防のためのガイドラインを5年ぶりに改定しました。こちら。国立がん研究センターの2010年「日本人のためのがん予防法」に上げられている「禁煙」がありません。「たばこを吸うことがないほとんどの米国人にとって、最も重要ながんの危険因子は体重、食事そして身体活動(運動)」であるとの趣旨で、タバコの吸う人が「がん予防」なんぞ考えるのはムダという姿勢でしょう。もとの英文記事がこちらにあります。既にがんになった人もこの予防法に準拠することが推奨されています。

個人レベルのがん予防に関する項目は、肥満防止、身体活動、食事、アルコール摂取制限の4つの柱で構成されています。肥満はあきらかながん危険因子ですから、糖質制限食は効果が見込めるかもしれません。おもしろいのは運動量を確保するために「同僚にメールを使わないで歩いて直接話す」こともアイデアとして述べている点です。私もこんなブログなど書く暇があればもっと外に出た方が良いのかも。

  • テレビやゲームなど画面を使う娯楽の視聴を少なくする
  • テレビを見ている間、エアロバイクやルームランナーを使用する
  • エレベーターよりも階段を使用する
  • 目的地までは徒歩か自転車で向かう
  • 会社の同僚、家族あるいは友人と昼休みを使って運動をする
  • 仕事中に運動休憩を取り、ストレッチや速歩などを行う
  • 会社の同僚には電話や電子メールを使わず、直接訪ねて用を済ませる
  • 配偶者や友人とダンスに出かける
  • 休暇には、乗り物の移動だけの旅行に活動的な内容を含める
  • 歩数計を毎日装着し、1日の歩数を増やす
  • スポーツチームに参加する

また、耐糖能障害、2型糖尿病は膵臓がんの危険因子として知られていますが、このガイドラインでも触れられています。Pancreatic Cancerの項では、

Recent studies suggest that a very high level of circulating vitamin D (25-hydroxyvitamin D > 100 nmol/L) may be associated with a higher risk of pancreatic cancer.

とあり、血中濃度(25-hydroxyvitamin D)で 100 nmol/L 以上は膵臓がんのリスクが高くなる。ビタミンDの過剰摂取は膵臓がんのリスクを高めるのです。この点は安西さんのこちらブログでも紹介されています。一方でビタミンDは膵臓がんの転移を予防する、その他の抗がん効果もあるわけですから、理想的には血中濃度を測定した方が良いのです。しかし、農漁業などの外の仕事であればビタミンDサプリメントは不要、一日中机に座っているとか、家事が主なら2000IUまでは摂ってもよいだろうと考えています。がん患者の場合はたいていはビタミンDが不足しています。しかし、骨転移により高カルシウム血症がある場合はビタミンDは禁忌です。主治医と相談してくださいね。

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2012年1月18日 (水)

糖質制限食のディベート

12月2日の「肥満とがん&糖質制限食」で紹介した第15回日本病態栄養学会年次学術集会(国立京都国際会館)でのディベートの報告が、江部先生のブログにアップされています。この学術集会始まって以来の大盛況だったようです。結論から言えば「勝負あった」ということです。糖質制限食に関する関心が一挙に高まるに違いありません。今後はがんと糖質制限食の関係についての研究が進展することを望みます。

Sho先生(がん治療の虚実)の連載記事も終わったようで、「炭水化物摂取とがん⑩まとめ」としてアップされました。なかなか読み応えのある記事ですので、こちらの連載も読まれることを勧めます。そして糖質制限食について自分なりの判断をしてみることです。Sho先生は「個人的意見であるが」としながら、

実はがん治療で糖質制限食を活用してみたい気持ちはある。
現時点では推奨できないと書いたが、高いエビデンスレベルまで証明されるのは相当時間がかかるだろうし、ランダム化試験は不可能に近いと思われるからだ。

と書かれています。これまでのは「公式見解」であり、個人的意見と使い分けるのは「東大話法」ではないか、という突っ込みは止めておき、正直に書かれたことを歓迎します。

糖質制限食をやってみれば分かるのですが、実際には肉や魚を摂る機会が増えてむしろカロリーは多く摂取するようになります。しかしそれでも体重が減少するという傾向になるのです。控えるのは主食であるご飯やパン、麺類ですから、抗がん剤治療中で食欲がない場合にも、食物の選択肢は増えるはずです。食べられるものを食べるということがより可能になるのではないでしょうか。しかし、あくまでもエビデンスレベルの低いのが減少ですから、主治医と相談しながら、自分の責任で取り入れるかどうか決めればよろしいでしょう。

むしろ、済陽高穂氏らの提唱しているゲルソン療法まがいの食事療法と真っ向から対立する食事になりますね。朝日新聞のウェブに記事か広告か分からないこんなものがありました。

【新刊】『晩期ガンから生還した15人の食事』発売~膵臓・食道・胃・大腸・肺・前立腺・卵巣・乳ガン……奇跡の症例~

手術不能の膵臓がんに「効果があった」と言うのですが、これこそエビデンスレベルの低い「症例紹介」にしかすぎません。しかもジェムザールとTS-1も併用していたのですから、腫瘍が一時的に縮小することは良くあることです。患者のその後のことなどは書かれていません。済陽式食事療法をやっていた膵臓がんの方で映像作家の寺田聡さんがブログ「済陽式ガンの食事療法-ディレクターの日記」を書かれていました。済陽式のDVDまで作成してAmazonで販売もしていましたが、昨年の9月に3年間の闘病生活の末亡くなっています。合掌。この方の例なども「有効例」としてカウントされるのでしょうね。ゲルソンの娘は、抗がん剤治療中はゲルソン療法をやってはいけない、膵臓がんには効果がないとはっきり書いているのですが、ゲルソン療法を改良した治療法だという触れ込みなのでしょう。

医者は現場でどう考えるか グループマンの『医者は現場でどう考えるか』で「医師はデータではなく、患者の物語に耳を傾ける必要がある」として、EBMに関してはこんな一節を述べています。

いわゆる科学的なエビデンスに基づいた医療(EBM)は急速に広がり、今や多くの病院において規範になっている。統計学的に立証されない治療法は、臨床試験の成績に基づいた一定量のデータが得られるまで、ご法度なのだ。もちろん医師は誰でも、治療法を選択する際にその研究成果も検討すべきである。しかし、EBMに頑なに依存する今日の医学では、医師が数字だけに頼って受動的に治療法を選択する危険がある。統計は、目前にいる生身の患者の代わりにはならない。統計は平均を表わすものであり、固体を表わさない。医薬品や治療に関する医師個人の経験に基づく知恵ー臨床試験の成績から得られた「ベスト」の治療法が、その患者のニーズや価値観に適合するかどうかを判断する医師個人の知識ーに対し、数字は補足的な役割でしかない。

私の主治医である鈴木央先生もその著書で、患者の「物語により沿う」と題して、現場はEBMだけでは動かないと、おなじ考えを述べています。その内容はこちらのブログで紹介したところです。

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2012年1月17日 (火)

「東大話法」はがん治療の世界にも応用できる

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語― やっと購入できた『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』を一気に読みました。結局アマゾンでは手に入らず、bk1に変更して届きました。

「直ちに変更への影響はない」に代表される欺瞞的言語は、今に始まったことではありません。企業の不祥事のたびに「対応が不十分だとしたら、今後徹底的に見直します」とか、「そのように受け止められたのだとしたら、私の不徳のいたすところであります」など、安冨さんが「東大話法」と定義したこの欺瞞的言葉遣いに対して、私たちはある種の「不感症」になっていたのかもしれません。(という言い方も「東大話法」か)

「社会が暴走を始めるとき、決まって言葉の空転が起こる」との指摘どおり、いま日本が戦争状態にあり、早急に対策が必要であるにもかかわらず、言葉の空転が続いています。

精神科医の香山リカ氏の文章を分析して、彼女自身が精神科医にかかるべき状態だ(と安冨さんが明確に言っているわけではないが)との記述は痛快です。池田信夫氏のブログの記事を「東大話法」の典型としばっさりとやる切り口は鮮やかです。本の中で終わらず、ネット上で二人が討論している内容そのものも「東大話法」の実例として興味深く読めます。<安富氏のブログ「マイケル・ジャクソンの思想(と私が解釈するもの)」>

「東大話法」とは何か、ということはこの本をぜひ読んでいただくとして、がん患者の立場(この「立場」についても書かれています)から少し眺めて見ると、「東大話法」で眺めてみればがん治療の世界もよく見えてきます。

Toudaiwahou

規則1 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。

大学病院の勤務医なら、立場上代替医療は推奨できないが、開業したとたんに代替医療の専門家に急変する場合が多い。済陽高穂か。

規則3 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
規則4 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。

これは明白でしょう。代替医療では効果のあった例しか言及しません。適当な症例がない場合にはマウス実験や試験管での実験を持ち出して、さもヒトでのデータであるかのように誤解させる。

規則5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。

帯津良一氏などがその代表でしょうか。ありとあらゆる代替療法に手を出して、最近は「気」に執着しているようでまるでオカルト信者のようです。

規則8自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。

これは代替療法全否定論者に多いです。あれもダメこれもダメ。エビデンスがあるのは標準医療だけ。がん患者の願いに想いを馳せることができません。私もその傾向があるかなぁ、傍観者ではなく当事者だけれど。

規則13 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。

ホメオパシーの由井寅子先生の右に出るものなし。

規則14 羊頭狗肉

いまあるがんが消えていく食事・がんの特効薬は発見済みだ・私は末期がんから生還した・奇跡が起こる爪もみ療法・新がん革命 始めてがんの原因がわかった

こうした本の帯に書かれた文句を並べたらよくわかります。内容はほとんどないに等しい。

規則16 わけのわからない理屈を使って相手をけむに巻き、自分の主張を正当化する。

これなどは怪しげな代替療法を提唱している方に共通しています。安保徹先生が代表選手。

正直なところ、私自身も「東大話法」を使っていないかと、気をつける必要がありそうです。(反省)

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2012年1月16日 (月)

2012脱原発世界会議

昨日のパシフィック横浜で開催された「脱原発世界会議」は大変な盛況でした。入場料2000円を払ってまでたくさんの老若男女が参加しています。京急横浜駅からみなとみらい線に乗り換えれば会場まで楽なのですが、改札を出て会場までの30分をウォーキングしました。「とにかく、歩け、歩け」が、がん治療の第一歩です。エレベータ・エスカレータはできるだけ使わない。一駅手前で降りて歩くことです。適度な運動ががん予防にも再発予防にも効果があることは実証済みです。もうひとつ付け加えるとすれば、ドクター・ワイルも言うように「呼吸法」です。ゆっくりとした呼吸はムダな緊張を解きほぐし、ストレスを少なくします。禅やヨーガにも通じる方法です。この二つが効果的ながん治療のベースだと思います。

入場するまで長い列に並びました。たくさんのイベントがあり、メインイベントは入場整理券が必要になるほどでした。市民と科学者の内部被曝問題研究会の企画「放射線外部被曝と内部被曝はどう違うか」に参加し、広島平和研究所の高橋博子氏と澤田昭二さんの講演を聞きました。午後からは「内部被曝何でも質問会」でした。回答者にはなんと、北海道がんセンターの西尾正道先生、矢ヶ崎克馬氏、松井英介氏、第五福竜丸の乗組員大石又吉さんでした。(リンク先に動画があります)

高橋先生の講演の中で、原子力の平和利用が始まった当時、日本学術会議において武谷三男氏が先導して自主・民主・公開の平和利用三原則が原子力基本法に取り入れられたのであるが、当時これを報道したのは東京新聞だけだったとのことでした。そして、今回の脱原発世界会議を一面トップで報道したのも東京新聞だけです。赤旗ですら、同時に行なわれた4500人のデモ行進に笠井亮衆議院議員が参加したという記事を書いているだけです。日本新聞労連が第16回ジャーナリスト大賞に、東京新聞の「福島第1原発事故をめぐる特報面などの一連の報道」を選定したのも当然と言えます。最近の調査では他紙が部数を減らしている中で東京新聞だけ現状維持だということです。昨今の全国紙の報道を見ていれば、ま、当然でしょう。

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2012年1月14日 (土)

未来は予測できない

糖質制限食をつづけていますが、私の場合はプチ糖質制限食で、1日のうち1回だけ主食を抜くという方法です。正月はお餅を雑煮にいれて結構食べたので、糖質制限にはなっていませんが、まぁこんなもので良いかと思っています。

糖質制限食による抗がん効果があるのかないのか、江部先生のブログでも触れられていますが、現状では動物実験や少人数のヒトに対する臨床試験の結果があるだけであり、効果は期待できそうだが確かなエビデンスはありません。

一方、最近Sho先生が「がん治療の虚実」で「糖質制限食とがん」シリーズで触れられています。

      炭水化物摂取とがん⑧がん治療で糖質制限食を推奨できない理由 など

人間に対する確かなエビデンスはないという点では江部先生とほぼ同じ考えですが、現時点では「推奨できない」との考えを述べられています。背景となる科学的事実に関してはお二人ともたぶん同じですが、がん患者としてどのように対処すべきかとの点では異なっています。

お二人のご意見のどちらが正しいとか、ここで申し上げるつもりはありません。これらの意見を参考にご自身で考えてください。

私の代替療法に対する姿勢は、以前にも書いたように

  • ある程度のエビデンスがある
  • 重篤な副作用がない
  • 続けるためには高額であっては無理

というものです。代替療法ですから当然きちんとしたエビデンスはありませんが、それでも少人数のヒトに対するデータやマウス実験程度のものは必要でしょう。

きちんとしたエビデンス通りの治療しか受けなければ、エビデンス通りの結果が待っているだけです。治らないがんではいずれ緩和医療へ行ってください、ということになります。

がん患者が願うのは「治りたい」、この一心です。標準治療である程度の治癒が見込める場合はそれに従って治療をすることがベターでしょう。しかし、治らないがん、再発・転移した場合や膵臓がんのように治癒率が悪いがんの場合は、標準治療を行なっていても他に「自分にもできることがあるはずだ」と考えます。少しでも可能性のある方法を選択することは、がん患者の心理として当然です。

ある代替療法に「効果がない」というエビデンスがあったとしても、それを別の代替療法と組み合わせたときのエビデンスは未知数です。人間が複雑系である以上、多くの要因が絡んだがんという現象を、たったひとつの因果関係で説明できるはずはありません。あたりまえですが、未来は予測できません。確実に治る方法などはありませんし、エビデンスも「私が治る」ことを保証してはくれません。しかし、未来は予測できないとは言え、人間は予測をしながら生きています。

シュレベールが『がんに効く生活』で言っているように、「効果が実証された代替療法はひとつもない。しかし、全てを拒否することは勿体ない」のです。結局は「やってみなければ分からない」のですから、前もって「どれが正しい」とは言えません。どのような治療法を選ぶかは、それぞれの患者の価値観、生き方の問題になるでしょう。

エビデンスは大事ですが、それだけでは患者の意志決定はできません。結果は自分で引き受けるしかないのですから、自分が考えて責任を持って選択するだけです。

私自身のことを申せば、玄米魚菜食・ビタミンDをはじめとしたマルチビタミン・EPAサプリ・メラトニン・深蒸し茶・イメージ療法・ウォーキング運動・落語を聞いて笑うなど、実に多くのことをやってきました。この中でどれが効果があって、どれがなかったかなんて、分けて証明することなど不可能です。

効果がある程度期待できそうなもので、今行なっている療法に影響しなければやってみれば良いのです。エビデンスなどの統計データは参考程度に考えておけば良い。その意味ではホメオパシーですら、少なくともプラシーボ程度の効果はあるのですから、一概にダメだとは考えません。最近話題の牛蒡子などは、再発の恐れのある膵臓がん患者ならやってみれば良いのです。糖質制限食に対しても同じ考え方です。

がん患者はエビデンスが揃うまで待っていられないのです。

エビデンスがでる頃にはもう遅い、というのは福島原発事故による発がんも同じですね。内部被曝はよく分かっていない。専門家はいろいろと言うが、結論は数10年後にならなければ分からない。それでは今どうするべきか? 現在分かっている科学的事実を自分なりに考えて、リスクをどの程度と見積もるか、最後は価値観と生き方の問題です。

がんに限らず、不完全なデータを元にして絶えざる意志決定をしていかなければならないのが人生というものです。

明日は一日中、パシフィコ横浜での「脱原発世界会議」に参加します。主に内部被曝のブースに参加するつもり。写真展にも期待しています。

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2012年1月12日 (木)

OTS102の臨床試験が終了

オンコセラピー・サイエンス株式会社の1月11日の発表によると、がん治療用ワクチンOTS102(エルパモチド)の膵臓がんに対する第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(PEGASUS-PCStudy)が終了したようです。

どのような試験結果が出るか、気になります。

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2012年1月10日 (火)

親鸞と複雑系科学

昨年の4月25日の東電・保安院の外国人記者向けの会見に、一人も記者が出席しなかったとの報道がありました。普通の人間の感覚なら、記者会見を中止するのでしょうが、原子力保安院の方々は、一人もいない会場に向けて30分間延々と予定の発表を行ない、最後には「質問はありませんか?」と椅子に向かって問いかけたのでした。

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今を生きる親鸞 どうすればこのような奇怪な行動をとれるのか不思議でしたが、その謎を説明してくれた人がいます。安冨歩さんという経済学者ですが、彼が『今を生きる親鸞』という本で、「人間知性における闇、人智の闇」とのテーマで本田雅人氏と対談し、次のように言っています。

東大の人はおかしさが表面に出ないようにする技術に非常に長けている。彼らはそういうことがやれる。どうしてかというと、それが仕事だから、やらなくてはいけないと思っているからです。やればきちんと仕事をした、と褒められるからやっているのです。彼らは自分の感情と思考を切断するということをしているからそれができる。

実は安冨歩氏のことは最近まで知りませんでした。どこで知るようになったかというと、ICRPのことで中川保雄氏の『放射線被曝の歴史』という本のことを調べていたときに、この本の復刊に努力されていた宗教学者の島薗進氏のTwitterで知ったのでした。Twitterでこのように紹介されていました。

安冨歩氏『原発危機と東大話法』。なお原発は必要と強弁したり、放射線リスクで騒ぐ人は愚かという言説の背後に、責任をけして引き受けず他者を貶め自らを引き上げる「話法」がある。全体が動いていくためのある「立場」に自分はいると位置づけているので、他者に対する責任を負う構えがない、と。

安冨歩氏『原発危機と東大話法』。独自の経済学的世界観・自然観をもち、そこから原発問題を長く考えてきた著者が、日本社会史の分析を踏まえ「御用学者」が活躍する必然性を解明している。続編もあるそうなのであわせて読みたい。分析される病理は暗いが、学的信念によるビジョンに元気づけられる。

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』の本の紹介でしたが、この本は発売されたとたんに入手困難なほど売れているらしいです。私も正月早々に予約したのだが、まだ手元に届いていません。そのうちに内容を紹介したいと思います。安冨氏のブログには内容が少し紹介されています。

安冨氏の本では、2006年に『複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)』が岩波書店から出されています。宮澤賢治の詩、「春と修羅」の冒頭部分

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち その電燈は失はれ)

を引きながら、

生命は、錯綜する「因果交流電燈」のただなかに取り込まれながら、今日まで進化しつづけてきた。われわれもまた、同じ複雑な諸関係の中で、さまざまのリスクに取り囲まれながら、日常生活を営んでいる。なぜこのようなことが可能なのか。

複雑系科学から得られる智慧を駆使しつつ、その不思議を理解する論理を構築する

としています。安冨氏はバブル景気の真っ最中に銀行員であり、そこでも矛盾の解決法を探究する中で、要素還元主義の経済学ではダメだと思うようになります。そして数理科学の中の非線形科学、複雑系科学にその解決の可能性を見出すのです。そして研究の結果スピノザに行き当たり、更にはスピノザは親鸞の思想的影響を受けているのではないかという大胆な仮説を提起するまでになります。

こうして、経済学者である安冨氏が上に紹介した『今を生きる親鸞』という対談本を出すようになったわけです。

スピノザ、親鸞、宮澤賢治らが「複雑系」科学というキーワードでつながってくる。これが実は私にとって一番驚きであり、わくわくするような発見であったのです。

「無目的・無計画・無責任」でなければ、目的をもって計画通りにすすめることはできない

目的を計画通りに責任を持って実現しようとすると、「目的を計画通りに責任を持って実現した」ことにするために、巨大な「やっているフリ」をすることになる

これなんかは、福島原発事故における東電や保安院の姿を書いたのではと思えるほどです。世界は複雑系であり、膨大な要素が相互に関連しているのであるから、前もって計画し、実行しという方法、つまりPDCA(Plan,Do,Check,Action)のサイクルなんかを回したって無駄だというのです。

七百五十回御遠忌にあたり、今年は少し親鸞について考えてみようかと年末に書きました。このブログで「癌と複雑系」について考えてきたことでもあり、安冨氏の考えを学びながら、親鸞と複雑系的思考について勉強してみようと思います。

複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく) 複雑さを生きる―やわらかな制御 (フォーラム共通知をひらく)
安冨 歩

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2012年1月 6日 (金)

のんびりと

今年の正月は、雑煮を食って糖質ゼロの酒を飲み、昨年中に「ツンドク」に加わった本のいくつかを読み、それに飽きたらチェロを弾き、また本を読みの繰り返し。テレビはほとんど見ずにパソコンの電源も極力入れないようにして過ごした。

ブログの更新は、今年は慌てずのんびりとやっていきます。週1回くらいのペースがちょうど良さそうです。

科学は今どうなっているの? 「生かされるままに生きる」「のんびり生きる」はずが、3・11以降はそうも言っていられなくて、どうして日本人はこんなに怒らないのか? と不思議でしようがない。周囲を見回すと「おかしいのはもしかして俺自身か?」と思うほどに日常の生活が営まれている。池内了の『科学は今どうなっているの?』は2001年の出版だが、3・11のことを書いたのかと思うほどに今読んでも新鮮である。95年のもんじゅのナトリウム漏れ事故、99年のJCOの臨界事故後に書かれたものである。

チェルノブイリにしろ、スリーマイルにしろ、発端は落雷や火災であった。それだけで止めていれば軽微なトラブルに過ぎなかったが、処理を誤ったり、これまで気付かれなかった設計ミスがあらわになったりして、連鎖的に事故レベルが拡大していったのだ。これらの経験は、人間は必ず間違いを犯す存在であること、全てが万全に予見できるわけではないこと、だから、宣伝されるほどフェイル・セーフが信頼できるものではないことを示している。

つまり、私たちは危険なものを扱っており、予期しない展開が起こりうる、という基本的な認識を欠くと、必ず事故は拡大していくのだ。当事者たちは、安全を宣伝しているうちに、本当に安全であると自ら信じるようになっている。その意識が恐ろしいのだ。

事実を隠し、嘘をつき、発表を遅らせ、平気でデータを改ざんする。放射能汚染を知らせないまま消防隊員を現場へ向かわせる。

今回の事故のことを述べているかのようです。ということは、電力業界も政府も10年前の教訓なんかはすっかり忘れているというわけです。

池内了の論理は単純明快です。人類は5万年の間、せいぜい1000度の化学反応の世界で生きてきた。火の発見がもっとも画期的な発見であった。しかし、原子力は太陽とおなじ核の力をエネルギーに変えるのであり、1000万度の世界を子の地上で再現しているのである。こんな温度領域の世界を完全にコントロールできると思うのが傲慢であろう。

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2012年1月 1日 (日)

2012年 本年もよろしくお願いします

Tatu
大変な1年が過ぎ、新たな、なが~い放射能との闘いの年が明けました。

新年おめでとうございます。 東北の被災者、福島をはじめとした原発事故の被災者の方が、少しでも安心できる年にしたいものです。

昨年のNHK-ETV特集で玄侑宗久さんと吉岡忍さんの対談がありました。玄侑さんが「人間は、この地球に仮住まいの身なんだから、龍を飼うことをしてはいけなかったんだ」と言われていました。もちろん、福島第一を含めた原子力発電所のことです。

元旦にはふさわしくない話題と思われるかもしれませんが、1年の初めだからこそ、敢えて書いておきます。福島原発の危機は終わっていません。特に4号機の使用済み核燃料プールが危ない。M8級の余震が来たら持ちこたえられるだろうか。東電は補強はしたに違いないが、健全な建物でさえも不安なのに事故による大きな損傷を受けている建物である。これが万一崩壊すれば、3月のように、再び東京から脱出するかどうかを考えなければならない。

「放射能の半減期は長いが、人間の記憶の半減期は短い」

福島原発は終わってはいなくても、大きな危険はないと考えている人が大多数だ。あのぼろぼろの原発の建物を、M8という巨大な余震が襲ったらひとたまりもないはずだ。運良く倒壊しなくてもプールに穴があけば万事窮す、使用済み燃料棒は全て溶融して放射能をまき散らす。そうならないことを願うが、このリスクが現実化する確率は相当高いはずだ。

********************************

6月で術後5年になります。思えば遠くまできたものだ、いやいや、まだまだ道半ば。どちらも正直な気持ちです。同じく6月には「アンサンブル フェスティバル 2012」が、すみだトリフォニーホールであります。80台のチェロアンサンブルで、私もサン・サーンスの「白鳥」他に挑戦です。福島で何事もなければですが・・・。

焦らず、慌てず、くよくよせず、明日のことに悩まず、他人を羨まず、まあ、こんなものかと今のままで良いと思い、ただ一人の伴侶を愛し、子供らを慈しみ、弱者・隣人の災難に思いを馳せ、たくさんの犠牲者の魂安かれと念じ、被ばくしたであろう子供らにやがてやってくるであろう辛苦におののく。

威張る奴らには威張らせておけば良かろう、俺は俺。

      おい、癌よ、我が64年の人生に 何ら恥じることなし

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