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2012年2月

2012年2月29日 (水)

【続報】がんワクチン有効性確認できず

オンコセラピーサイエンス社のウェブにエルパモチドの試験結果についてアップされています。

2012年2月29日  新生血管阻害作用を期待したがん治療用ワクチン OTS102(Elpamotide、エルパモチド)第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(PEGASUS-PC Study)の進捗に関するお知らせ 

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OTS102(Elpamotide、エルパモチド)の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(PEGASUS-PC Study)は期待はずれの結果になりました。このブログでも「ビックリするような効果はない」と書いてきましたが、その一方で、もしかしたらジェムザールやTS-1以上の生存率、生存期間延長が得られるのではないかとの期待もしていました。中村教授に直接質問したときも「手応えが感じられるから継続している」と言っていたし、千葉徳州会病院の浅原副院長も「手応えを感じている」と先日の講演会で述べていました。(それぞれ別のペプチドですが)

NHKのあさイチで放映されて以来、「がんワクチン・免疫療法」との言葉だけに期待して、違いが分からない患者が、リンパ球療法、免疫療法を標榜する市井の病院に殺到していると噂されていましたが、これらの病院にとっても打撃かもしれませんね。

  • OTS102では残念な結果だが、OCV-101他のペプチドを使ったワクチンはどうなのか?
  • 4月から予定されているOCV-C01の臨床試験は実施されるのか?
  • 第4の治療法(免疫療法)には、本当に有効性があるのだろうか?

が気がかりです。

今から思えば、OTS102にあまり自信が持てなかったから、次々に新しいペプチドを開発したのかもしれませんね。

「免疫」という、いわば宇宙の神秘以上に神秘的なものを、われわれはやっと少しだけ分かってきた段階なのです。がんについても同様で、さらに免疫とがんとの関係ともなれば、ほとんど何も分かっていないのです。放射能・放射線のように、人間には制御できない、すべきでないものを相手にしているのかもしれません。

 

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2012年2月28日 (火)

【衝撃】がんワクチン有効性確認できず NHK

衝撃のニュースですね。取りあえず第一報。NHKのスクープでしょうか。

がんワクチン有効性確認できず
2月28日 22時2分

患者の免疫を活発にしてがんを治療する「がんワクチン」の臨床試験で、各地のすい臓がんの患者に投与して延命効果があるかどうか効果を確かめたところ、有効性が確認できなかったことが分かりました。

東京大学医科学研究所の研究者らが設立したベンチャー企業、オンコセラピー・サイエンスは、28日夜、NHKの取材に、全国の25の医療機関で行ったすい臓がんに対するがんワクチンの臨床試験の結果を明らかにしました。
臨床試験が行われたのは、大学の研究成果をもとに開発したがんワクチンで、がん細胞の表面にあるペプチドという物質を人工的に合成して患者に投与し、免疫の働きを活発にしてがんを治療するのがねらいです。
進行したすい臓がんの患者153人を、抗がん剤に加え、がんワクチンを投与したかどうかで2つのグループに分け、比較したところ、延命効果に統計上の差はなく、がんワクチンの有効性は確認できなかったということです。
この結果を受けて、ベンチャー企業とともに臨床試験を行ってきた製薬会社では、がんワクチンの開発計画を見直すことにしています。

ビックリするような結果は出ないと思ってはいましたが、まさか「有効性確認できず」とは。 リンパ球バンク(株)の藤井さんがブログで言っていたことが本当になりました。

株で大損する人も出るでしょうね。それは自己責任でしょうが、期待していた膵臓がん患者は落胆です。それにしても徳州会などの臨床試験はなんだったのでしょうか?

詳細な結果が早く知りたいです。

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がんの補完代替医療ガイドブック 第3版

20120227210246cdb 1週間ぶりです。確定申告(青色申告)を必死で作成していましたが、やっと終わりました。1年分をまとめてこの時期にやるので、例年のことですが疲れます。昨年も3.11の前に提出しておいて助かった。3月15日までおいてたらたいへんだったと思います。医療費控除のための領収書の分厚さには驚きますが、金額はたいしたことはなくて還付されるのは13万円程度でした。

『がんの補完代替医療ガイドブック』の第3版が公開されました。

3ページの「補完代替医療とは」の内容が変更されています。

第2版Ws0087 第3版
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米国NCCAMによる分類方法も一部変更され、ホメオパシーはエネルギー療法(気功、レイキ)などと一緒に「その他」に一括りにされています。

20ページに「科学的根拠に基づいた医療とは?」のコラムが付け加えられており、

補完代替医療の利用について判断する際には、エビデンスだけでは決まらず、他の要素も考慮するために、ときにエビデンスの示すものとは異なった判断をすることがあります。決してエビデンス通りの判断をすることが科学的根拠に基づいた医療(EBM)ではありません。

と書かれています。エビデンスがないから補完代替医療は取り入れるべきではないという、一面的な解釈に注意を促していますが、かといって、何でもかんでも良いと言うことではありません。

「がんの補完代替医療の有効性」のページは多くの改訂があります。「強く薦められる(質の高い科学的根拠あり)に「定期的な運動」などが追加されています。また、がん予防のために健康食品・サプリメントは推奨できない、とも書かれています。

資料編の「AHCC」の分析なども、PubMedでの文献が、第2版の2例から4例に増えて、有効性のある研究も紹介されています。

第2版と比較しながら第3版を読んでみるのも、この間の研究成果を知る上で有効だと思います。

医療従事者向け

医療従事者向けの『がんの補完代替医療診療(CAM)手引き』も公開されています。

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2012年2月22日 (水)

日本一被曝している医者だから、内部被曝の脅威が分かる

先日の「市民のためのがん治療の会」講演会における、北海道がんセンターの西尾正道院長の講演について紹介します。

20120221navi 放射線治療機器メーカーの日本アキュレイの調査では、がん治療経験者の半数近くが、自分のかかったがんが放射線治療の対象なのかどうか知らなかった、と発表しました。放射線治療を受けた患者は20%(複数回答)しかしません。欧米ではがんの種類によっては手術以上に放射線治療が選択されています。

西尾先生の講演も、放射線治療の成績はこんなに良いんだよとスライドで紹介し、がん拠点病院ですら半数以上の病院で放射線治療専門医がいない現状を訴えていました。リニアック・サイバーナイフ・強度変調放射線治療(IMRT)などの高度な放射線治療機器が登場しているが、日本におけるがん治療はそれを無視している。手術一辺倒になっています。

陽子線治療、重粒子線治療もがんの種類によっては大きな効果があるが、それらを使うまでもないがんもたくさんあるのです。

市民のためのがん治療の会の推薦書籍ページには、西尾先生の著作の一部と、ニュースレター(会報)の全てがPDFファイルとしてアップされています。放射線治療の最新情報とともに、ペプチドワクチン・温熱療法などの紹介、代替医療との付き合い方まで、有益な情報がたくさんあります。講演会で話された内容をより深く理解するためにも、また自分の今後のがん治療を考える上でも、これらを読んでおくことは有益でしょう。最新の放射線治療に関する知識は、一般向けに販売されている書籍にはないものです。(内部被曝を軽視し無視している中川恵一氏の著作が推薦図書になっているのは不満ですが・・・)

がん医療の今 第1集

●主な内容
  第1章 がん医療の今
  第2章 最新のがん治療
  第3章 最適ながん治療
  第4章 再発がん治療と特殊な放射線治療
  第5章 安心して治療を受けるための環境整備
  第6章 かしこい患者になるために
  第7章 がん予防と政策提言

放射線治療医の本音

●主な内容
  がん部位インデックス
  第1章 がんは怖くない
  第2章 まだまだ理解されていない放射線治療
  第3章 日本の医療のおかしさがよく見える
  第4章 がん医療は社会の縮図
  第5章 医療情報は誰のものか?
  第6章 医者の本音と患者の本音
  第7章 がんと賢く闘う
  がん医療10年間の推移と今後

西尾先生はご自身は「日本で一番(外部)被曝している医者だ」と言います。放射線治療では外部照射(X線、ガンマ線、陽子線など)と小線源による内部照射の両方が揃っていなければ真の放射線治療とは言えない。日本に放射線治療のできる施設は800カ所あるが、小線源治療が可能なのはそのうちの100カ所で、それなりに治療の腕があると思えるのは20カ所にすぎない、と言います。日本の定額制の診療請求制度では小線源治療はやればやるほど病院の持ち出しで赤字になる。だからどこもやりたがらない。やりたがらないから放射線治療医も育たない。

講演の後半は福島原発事故による内部被曝の問題について触れられていました。がんの骨転移の疼痛治療に使う塩化ストロンチウム89の注射薬があります。70%の患者に有効で、原発腫瘍がどこであっても効果があります。モルヒネよりもよく効くといわれています。しかもストロンチウムは骨にだけ蓄積し、余分なものは速やかに尿として排出されます。半減期も51日と比較的短いので、人体への影響は抑えられます。この薬剤を日本一使ってきたのも西尾先生です。

難治性B細胞リンパ腫に有効な、イットリウム90(Y-90)を使った放射線免疫療法というものもあります。ストロンチウム90がβ線を出してイットリウム90に壊変します。特殊なタンパク質にこのY-90をくっつけたものを注射すると、リンパ腫細胞に特異的に集まります。そこでY-90から出る高エネルギーのβ線は、水中でも10mmほど進むことができるほどの228万電子ボルトというエネルギーでがん細胞を死滅させることができるのです。しかも半減期は2.68日と短い。このように、体内に治療目的で入れる放射性同位元素はみな半減期の短いものを使用しているのです。

ホウ素中性子補足療法(BNCT)という新しい治療法が実用化に向けて研究されています。

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これなども、アルファ線とリチウムの原子核ががん細胞の直径程度しか飛ばない(その周囲だけに集中的にエネルギーを与える)ことを利用しているのです。

ところが、ICRPの内部被曝線量の計算は、放射線が与えたエネルギー(ジュール)を臓器全体の重量(キログラム)で割って求めます。細胞のごく近くだけにしか影響しないアルファ線やベータ線の影響は、臓器全体に”平均化”されて被曝線量を小さく見せかけることになるのです。臓器全体にエネルギーが平均化されるのなら、放射線免疫療法もホウ素中性子補足療法もがん細胞をやっつけることはできないでしょう。

西尾先生はこうした実際の体験から、内部被曝は臓器全体で平均して被曝線量(シーベルト)を計算するのは間違っている、御用学者らはICRPのフィルターの掛かった本だけを読んで発言していると言っているのです。

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西尾 結局、内部被ばくと外部被ばくの人体影響の差はまったくわかっていないので、とりあえず線量が同じなら同等と考えましょうというのが今の世界のコンセンサス。何の根拠もなく、わからないから1対1にしようということです。
――ものすごく乱暴な結論ですね。
西尾 ですから、内部被ばくの1ミリシーベルトと外部被ばくの1ミリシーベルトが同等の健康被害かどうかということすらわかっていない。内部被ばくは近くにある細胞にしか影響を与えません。局所的にアルファ線やベータ線の影響は強いわけですが、それを体全体の線量に合わせてしまうと60兆個の細胞のうちの局所的な個数ですから、見かけ上ものすごく少ない線量しか出てこない。そういうトリックがあります。
 そもそも国は、国民の被ばく線量もはかっていないのに、新たな規制値をつくるのは何の目的なんだということですよ。自分がどれだけ被ばくしているかもわからないのに、ただ数字だけが踊っている。

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2012年2月18日 (土)

「市民のためのがん治療の会」講演会 『がん医療への新たな挑戦』

「市民のためのがん治療の会」講演会『がん医療への新たな挑戦』に参加しました。

会場に着いたのは13時前なのに、既に席は9割方埋まっていました。モニターを置いた別会場を用意したがそれでも足りずに、ロビーにまで参加者が溢れて、結局100名の予定に500名以上が来られたとのことでした。がん患者のみなさんが、がんペプチドワクチンにどれほど期待しているかを、ひしひしと感じました。千葉徳州会病院の浅原副院長の講演内容を、要点のみを紹介します。

千葉徳州会病院の臨床試験、NHKの朝市でも紹介された症例は、正式には「標準療法不応、進行・再発膵癌に対する新規腫瘍抗原KIF20A由来A2402拘束性エピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法第I/Ⅱ相臨床試験」という名称です。リンク先にUMINの登録情報をリンクしてあります。

長たらしい名称ですが、日本人の60%の方がもっている白血球の型がHLA-24で、それにKIF20Aというペプチドが選択的に結合する。二つでセットになってがん細胞を認識して破壊するワクチンの臨床試験、とまぁ簡単に言うとこうなります。

で、肝心の生存率などは次の通り。対照群が平均生存期間93.3日に対してワクチン投与群は177.2日と約2倍の生存期間となっています。

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あさイチで紹介された佐々木さん(仮名)の例は、たったひとつの非常によく効いた症例ということもわかります。決して膵臓がんが治るわけではないが、治ったもどき(寛解)もありうると言うこと。

で、どのような患者に効果が出やすいかというと、

P1010999 このように、リンパ球数が20%以上と以下では明らかに生存期間が違っています。また、皮膚の紅斑反応が出る患者のほうが同じように効果があります。

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がんペプチドワクチン療法 CTL(細胞障害性T細胞)が反応した患者が良い効果を上げている。これもあたりまえですが、逆に言えばワクチンを投与してもCTLが誘導されない患者もいるということです。これらは既に中村祐輔教授の著書『がんペプチドワクチン療法』で明らかにされていることです。

私なりに解釈すれば、結局は患者個人のもともとの免疫力が高い方が、がんワクチンを投与しても良い結果になるというわけです。白血球数、リンパ球の割合など、免疫力の指標となる数値が良くなるような日常生活、食生活、運動、これらの重要性は免疫療法をやる上でも当然その結果を左右するのだろうと思います。抗がん剤治療であれ代替医療であれ、最終的にがん治療の成否を決めるのは、自分の免疫力と体力ではないでしょうか。

4月から予定されているカクテルワクチンの臨床試験については、3月中旬頃に千葉徳州会病院のHPに出るだろうから、それを見て欲しいとのこと。詳細はまだ告げることはできないそうです。(徳州会病院も実施期間にまちがいなく入っている)

北海道がんセンターの西尾院長の講演も興味深いものでしたが、これは別の機会に。内部被曝に関する西尾院長の新著が3月に出版されるそうです。

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2012年2月17日 (金)

中村研究室、千葉徳州会病院の更新情報

中村祐輔研究室

中村祐輔研究室の「がんペプチドワクチン療法臨床研究実施施設リスト」が更新されました。

前回と大きな違いはないですが、食道がんの項目がなくなり、固形がんの川崎医科大学の備考欄に「膵癌」対象と明記されました。

九州大学先端分子・細胞治療科は、固形がんのうち現在は胆がん患者を対象と書かれていますが、問い合わせていればよろしいでしょう。九州大学の場合、附属病院・別府病院・生体防御医学研究所など、複数の学内組織が複雑に関与しているようで、情報が集まりません。

なお、膵癌に関するこれらの臨床試験は、OCV-101または4月から第Ⅲ相試験が予定されているOCV-C01の、第Ⅱ相臨床試験だと思われます。(施設ごとの種類は未確認)

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2012年2月15日 (水)

川崎医科大学のがんワクチン-更新

川崎医科大学のがんワクチンのページ「ワクチン希望の患者さまへ」が、本日更新されています。たぶんあさイチの放映後に問い合わせが殺到してきたからでしょう。

2月6日のブログにも書いた通り、更新後もやはり膵臓がんも対象になっています。関心のある方はお問い合わせください。九州大学も同じように固形癌として膵癌が含まれています。

対象

  1. 年齢20歳以上80歳以下
  2. 進行・転移・再発の胃がん、大腸がん、食道がん、膵臓がん、非小細胞肺がん、乳がんで、標準治療が無効の方(標準治療とは:日本や世界で認められガイドラインに掲載されている治療です)
  3. CT検査で測定可能な1cm以上の病変を有している方
  4. 胸水・腹水や黄疸がなく、外来に歩いて通う体力を有している方
  5. 心臓・肝臓・肺・腎臓・脳などに持病がないかあっても安定しており、機能が十分維持されている方(喘息やアレルギー、間質性肺炎をお持ちの方は対象外です)
  6. HLAという血液型がA-24の方
  7. その他、ご病気によって併用できる抗がん剤など、さらに種々の条件があります

1,2,4,5に合致されましたらまずは下記の手続きをご覧ください。主治医とやりとりさせていただき、HLA測定や受診についてご相談いたします。

条件が合致されない場合は、治療に参加していただくことはできませんので、予めご了承ください。

費用

  1. がんワクチン・・・無料(研究費)
  2. それ以外の部分は通常の保険診療(例.初診料、検査代など)
  3. 血液型のひとつHLAの測定は実費となります。

参考:HLA研究所(がんワクチン用検査適用HLA-Aアリル型有無 \6,300/検体)

なお、HLA-A-24の測定をすでに実施されている方は、結果をご提供ください。その場合再度の測定は実施いたしません。

手続き

  1. ご自身が対象と合致することをご確認ください。
  2. 対象となられる方は、主治医の先生より「がんワクチン希望」と明記のうえ、下記まで紹介状を送付して頂きますようご相談ください。
  3. 対象に合致しておられる場合、主治医にご連絡致しますので、主治医よりご確認ください。受診予約については改めてご連絡致します。

なお、HLA-A-24の測定をすでに実施されている方は、結果をご提供ください。その場合再度の測定は実施いたしません。

連絡先
郵送、FAX、メールにてお受けいたしております。

〒:701-0192 岡山県倉敷市松島577 川崎医科大学附属病院 臨床腫瘍科 山口佳之
FAX:086-464-1134
メール:vaccinekawasaki@yahoo.co.jp

また、3月10日には岡山県第10回公開市民講座として「がんの免疫療法」が川崎医科大学で開催されます。(PDFはこちら

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2012年2月14日 (火)

ペプチドワクチンのまとめ

NHKのあさイチで紹介されるなど、ペプチドワクチンが話題になっています。しかし、オンコセラピー・サイエンスのワクチンだけでもいくつもの種類があり、混乱します。自分用にと現時点でもまとめをしてみました。

まず、下記にがんペプチドワクチンに関する参考記事をリンクしておきます。
ロハス・メディカルの、がん研有明病院消化器内科ペプチドワクチン療法担当副部長の石井浩先生が監修された「がん⑨ がんワクチンなぜ効くのか」はがんワクチン一般の知識をわかりやすく、問題点も指摘した上で解説しています。まずはこれを読んで全体像を把握します。

          など、免疫療法に関する情報が網羅されています。

中村祐輔教授が登場している

も参考になります。

WT1ワクチンに関しては久留米大学がんワクチンセンターのサイトがあります。ここの

がんワクチンに否定的な見解

以上は(がん)ペプチドワクチン療法に好意的な評価をしているサイトですが、(たぶん)唯一がんワクチンに否定的な見解を述べているのが、NK細胞によるがん治療を行なっているリンパ球バンク(株)の代表取締役社長 藤井真則さんのブログ「がん治療と免疫」でしょう。

藤井さんのブログにもたくさんの情報があるので、検索の手間を省くために「がんワクチン、WT1、樹状細胞療法」のキーワードで検索した結果をリンクしておきます。このような批判的意見も知っておくことが役にたちます。

藤井さんのブログを読む際には、「WT1または東大(OTS)のがんペプチドワクチン療法=樹状細胞療法の一種」(樹状細胞を体外に取り出さないだけの違い)であることを理解しておけば、より分かりやすいはずです。樹状細胞は次のような役割を果たしています。

体に侵入した病原体などの抗原は、樹状細胞等の免疫細胞によって発見されます。樹状細胞は抗原に出くわすと、食いついて丸呑みにし、小さく分解します。細菌などの病原体も人間の体と同じで、要はタンパク質でできていますが、タンパク質はもともとアミノが数百~数千個、長くつながったもの。それが細かく断片化されると、アミノ酸8~10個の短い鎖(=ペプチド)ができます。
そのペプチドを、樹状細胞は自身の表面上に提示します。するとようやく、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)等のリンパ球が抗原の存在に気づき、その抗原特異的に攻撃を始める、というのが一連の流れです。

がんペプチドワクチン療法では、体に注射したがん抗原ペプチドをうまいこと樹状細胞が見つけて食べ、抗原提示するかどうかは、出たとこ勝負でした。
それに対し、樹状細胞ワクチン療法では、まず、患者自身の樹状細胞を血液中からいったん取り出して、患者自身のがん組織や、がん細胞から調製したがん抗原タンパク質と混ぜ、取り込ませます。そうしてがん抗原ペプチドを提示させた状態で、その樹状細胞を再び体の中に戻すのです。

藤井さんは、原理的に樹状細胞療法なんて驚くような効果があるはずがないよ、と一刀両断にしています。

がん細胞が増殖しているんですから、がんの情報を体に教える意味は、やっぱりないのです。 がん細胞は沢山いるんですから。沢山いるから、困っているんですから。がん細胞情報は、ゴロゴロ転がってるのです。

問題は、がん細胞を攻撃すべき免疫力が、がんの勢いに押されている、ことにあります。がん細胞が沢山いても攻撃しない免疫システムに、がん細胞の情報を教えて、何になるのでしょうか。
がん患者さんの体内では、NK細胞も、がん細胞を攻撃するパワーが落ちている状態、活性が下がった状態にあります。

ANK療法は、活性を高めたNK細胞が直接がんを攻撃する第一段と、体内の免疫システムを活性化する第二段と、二段階の作用をもっています。 第二段の作用で、免疫を強く刺激するからこそ、熱が出るのです。
樹状細胞も、がんワクチンも、「他の物を混ぜない限り」熱は出ません。免疫刺激が弱い、ということです。

このあたりの考えは、中村祐輔教授もよく知っていて、だからがんペプチドワクチンは手術後の再発予防などの方が効果があるはずだ、と言っているわけです。ペプチドワクチンと同時に免疫抑制を抑えるアジュバントを投与します。このアジュバントの選択もペプチドワクチンの効果を左右する大きな要因です。

膵臓がんのペプチドワクチン

ともあれ、いやが上にも期待の膨らむペプチドワクチンですが、現状での膵臓がんのペプチドワクチンの開発状況、ワクチンの種類などを、オンコセラピー・サイエンスの「開発パイプライン」ページを参考にしてまとめておきます。

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OTS102(エルパモチド)
あさイチで取り上げられたのはこのペプチドワクチンです。主要評価項目、副次評価項目などの最終解析を実施中で、今年の秋頃には認証されるだろうと言われています。予定よりも遅れたのは、予想以上に患者の生存期間が延びてしまった結果、治験実施計画書(プロトコール)で定めた全ての患者の観察期間が終了しなかったからだと、株式関連のサイトでは噂になっていました。新生血管阻害作用を期待したがんワクチンです。

腫瘍の継続的な増殖や転移には,血管新生が重要な役割を果たしています。その血管新生を促進する最も強力な物質のひとつが血管内皮増殖因子 (vascular endothelial growth factor:VEGF)であり,その主要なシグナル伝達を担う主要な受容体は血管内皮増殖因子受容体(vascular endothelial growth factor receptor:VEGFR)-2/キナーゼドメイン受容体(kinase domain receptor:KDR)であることが知られています。 KDRを特異的に認識する細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte:CTL)を誘導できる数種類のHLA-A*2402拘束性エピトープペプチドのうち,最も強いCTL誘導能をもつペプチドが KDR169です。
本治験で用いるOTS102は有効成分としてKDR169を含有する注射剤です。OTS102をHLA-A*2402を有する 癌患者に皮下投与することにより,有効成分であるKDR169が抗原提示細胞のHLAに結合しCD8陽性細胞に提示され,これを認識したT細胞が活性化さ れてKDR特異的CTLが誘導されます。誘導されたCTLはKDRを発現している腫瘍新生血管内皮細胞を特異的に傷害し,これにより抗腫瘍効果を示しま す。

OCV-101(旧OTS11101、第Ⅱ相臨床試験より治験薬コード名変更)
腫瘍新生血管内皮細胞を標的とするがんワクチンです。第Ⅱ相試験は既に終了しています。

OCV-C01
複数のペプチドを混合して用いています。米国では10種類以上のペプチドを混ぜたワクチンの研究も行われているそうですから、日本が進んでいるわけではありません。先頃第Ⅲ相試験を開始するとニュースになりました。国内40施設で4月から臨床試験が開始されます。実施施設については現段階では明らかにされておりません。

OCV-C01は、ゲノム包括的解析などにより見出された、正常組織にはほとんど発現せず、膵臓がんに高頻度に高発現する腫瘍抗原と腫瘍新生血管内皮細胞を標的とするものです。
OCV-C01は、膵臓がん細胞や腫瘍新生血管を障害することにより膵臓がんの増殖・進展を抑制することが期待される複数のペプチドワクチンを含む製剤です。

OCV-105  (OCV-C01に変更?)
Ocv105 このペプチドワクチンは上の図には見当たりません。しかし、2011年10月の開発パイプライン(右図)には第Ⅰ相試験中とでておりました。現在でも、UMIN(臨床試験登録情報)のサイトには「参加者募集終了-試験継続中」となっています。2011年8月には千葉徳州会病院など4施設で臨床試験をすると発表されていたはずです。

昨年12月5日付でオンコセラピー・サイエンスから「がんワクチン療法剤 OCV-105 第Ⅰ相臨床試験(治験)の進捗に関するお知らせ」が出されており、

がんワクチン療法剤 OCV-105 第Ⅰ相臨床試験(治験)の進捗に関するお知らせ

当社が大塚製薬株式会社と契約を締結し、共同で開発を進めておりますがんワクチン療法剤OCV-105の膵臓がんに対する第Ⅰ相臨床試験(治験)において、治験実施計画書で定める安全性に関する評価が終了し、安全性が確認できましたのでお知らせいたします。
OCV-105は、正常組織ではほとんど発現せず、膵臓がんに高頻度に高発現しております腫瘍抗原を標的とするがんワクチン療法剤です。膵臓がん細胞を直接的に障害する細胞障害性T細胞を誘導・活性化することにより膵臓がんの増殖・進展を抑制することが期待されます。

最新の開発パイプラインから漏れている理由がわかりません。しかし、二つの図を見比べると、どうやら腫瘍抗原ペプチドだけだったOCV-105に、腫瘍新生血管を阻害するペプチドを混合してOCV-C01としたのではないでしょうか。インターネット上では情報を見つけることができませんでしたし、そのようなニュースが流れた記憶もありませんが、OCV-C01に関しては第Ⅰ相、第Ⅱ相臨床試験の情報がなくて、いきなり第Ⅲ相試験の発表だったこともこの予想を裏付けているようです。

しかし、別のペプチドを混合したら別の薬でしょう。新たに安全性評価の第Ⅰ相試験をしなくても薬事法違反にはならないのでしょうか。ならないからやっているのでしょうが、安全性は担保されているのか心配です。

匿名希望さんが下にコメントされているように、OTS102,OCV-101,OCV-105の三種混合がOCV-C01のようですね。(C01はCocktailの"C"でしょうか)第Ⅱ相臨床試験も進行中のようです。

結局、オンコセラピー・サイエンスの膵臓がん用ペプチドワクチンは、標的の種類によって次の3種類になります。

  1. OTS102(エルパモチド):新生血管に特異的なタンパク質を標的とする。
  2. OCV-101:腫瘍新生血管内皮細胞を標的とする。
  3. OCV-C01:腫瘍抗原と腫瘍新生血管内皮細胞および新生血管に特異的なタンパク質を標的とする。OTS102,OCV-101+OCV-105の三種混合らしい。

これらの情報だけからは、OCV-C01が最も期待できそうな気がしてきますが、さてどういう結果になるでしょうか。

OTS101第Ⅱ相試験の結果が出た時点での「がんペプチドワクチン療法」に関する私なりの評価はこちらに書いてあります。

その他たくさんの関連記事は「サイト内検索」にキーワード(「ペプチドワクチン」や「WT1」など)を入れて検索してください。

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2012年2月12日 (日)

サイモントンジャパンは変質したのか?

あいかわらずサイモントン療法も続けています。もっとも、「サイモントン療法」と名乗って治療をするのは認定されたセラピストにしかできないとのことなのですが、個人がこの療法を自由に実行することには問題にはならないようです。

しかし、久しぶりにサイモントンジャパンのホームページを見てギョッとしました。

スピリチュアリティとエネルギーケアの理解を深めよう! スピエネット連続フォーラムⅢートランスパーソナル学とサイモントン療法からみた“スピリチュアリティ”と“エネルギーケア”

と題した公開講座の案内がアップされています。「★“スピエネット”とは、下記の団体による「スピリチュアリティ&エネルギーケアネットワーク」の略称です。」とあって、下の団体がリストされていますが、似非科学・オカルト団体総揃いのようそうです。

<主催>NPO 法人日本ホリスティック医学協会関東フォーラム委員会

<共催>NPO 法人日本スピリチュアルケアワーカー協会、日本トランスパーソナル学会、ヒーリングタッチ東京、NPO法人日本エドガー・ケイシーセンター
<協力>日本アントロポゾフィー医学のための医師会、NPO法人サイモントンジャパン、サトルエネルギー学会

エドガー・ケイシーは予言者・心霊診断家としてよく知られた人物で、1998年に日本沈没を予言とか、2011年の3.11の東北地方太平洋沖地震を予言していたとかと支持者らが騒いでいる。

アントロポゾフィーはミヒャエル・エンデも信奉していたシュタイナーの「人智学」、ヒーリングタッチとともに神秘主義的な思想といってよい。

サトルエネルギー学会は、例の帯津良一氏が会長を務めている自称"学会"で、最近は「秘教科学」を提唱している。

サトルエネルギー学会は、「物質や生体のもつ微細エネルギーを、産・学・官の協力のもとに究明し、新しい科学と産業を育成することにより、地球環境の保全と、人類の未来に貢献すること」を目的に1995年に設立されました。活性水やヒーリングの現象解明、微弱エネルギーを利用した新科学の工業及び農業への応用、医療への応用など、幅広い分野で活動しています。

だそうだ。次のような分科会がかつてあり、

  • ヒーリング分科会
  • 水活性分科会
  • 波動能力開発分科会
  • 健康食膳農業分科会
  • 秘教科学分科会
  • バイオレゾナンスリフレクソロジー分科会
  • 意識科学研究会
  • 超エネルギー研究分科会

死後世界、シンクロニシティ、ダウジングなどのセミナー、イベントを実施しているそうな。江本勝(この学会の名誉理事である)の『水からの伝言』で名を知られた「波動」を”科学的”に研究しているらしい。もちろんここでいう「波動」は物理学の「波動」とはなんの関係もない。

この”学会”は、1995年に波動測定器の関係者によって設立されている。学会という名前がついてはいるが、実際のところは、MRA(磁場共鳴分析装置)などのいかさま機器販売関係者による互助会である。

さも専門用語らしく装った意味不明のカタカナ語を羅列しているのも、こうしたエセ医療・似非科学・自称"学会"の特徴です。帯津先生も「場のエネルギー」などと、量子力学の概念をちゃっかりと盗用して恥じません。

サトル・エネルギーの世界を語るとき、エーテル・アストラル・メンタル・コーザルといった言葉が今では一般的に使われていますが、それらの概念は神智学で使われていたものです。アリス・ベイリーの伝えた情報によって、それがさらに体系的・緻密に整備されましたが、その中で最近翻訳された『秘教治療』は、エネルギー医学の原典として、欧米で高く評価されておりますので、その概要をご紹介させていただきます。

エドガー・ケイシーは20 世紀前半に米国で活躍したサイキックとして有名ですが、その驚異的な透視能力は病気の診断や人間の霊的本性の解明に向けられ、彼の残した医学情報は「ケイシー療法」と呼ばれるようになり、今日もさまざまな疾病の治療や研究に活用されています。今回の講座では、ケイシー療法の概要と、卓越した成果をあげているいくつかの分野(乾癬、神経疾患)についてご紹介いたします。

こんな説明、私にはまったく理解不能です。

サイモントン博士がサイモントン療法をはじめた頃は、治療には患者の精神的なありようが大きく影響することを、曲がりなりにでも科学的にとらえようとしていたと思う。それなりのエビデンスも科学的に証明しようとしていた。しかし博士が亡くなってからの(海外の事情は知らないが)サイモントンジャパンの方針は、どうやらずいぶん博士の意志とはかけ離れつつあるように感じる。いつまでも二十歳代の(と思われる)写真を掲載している川畑伸子女史の運営方針なのに違いない。若い頃の美貌は忘れがたく後生大事に使い続けるが、サイモントン博士の思想はさっさと投げ捨てて、オカルト団体と手を組もうとしている。サイモントンジャパンには近づかない方が無難なようだ。

帯津良一氏は金と名を得るためなら何にでも頭を突っ込む人だが、そろそろ「老害」を自覚する時期だろうに。

続きを読む "サイモントンジャパンは変質したのか?" »

2012年2月11日 (土)

ココログ最強検索 ブログパーツを追加しました

ココログには既定の検索ブログパーツがあり、このブログも右のサイドバー下に設定しています。これでブログ内検索ができます。しかし、検索結果が全て表示されるわけでもなさそうだし、表示が見づらい。しかも、月別データと日付ごとデータがダブって検索結果に表示される、コメントや本の紹介記事の内容まで検索対象となるなど、困った状態でした。

暴想さんが「自分のココログを全文検索するブログパーツ」を公開されているので、それを使ってみましたが、これはなかなか良いです。右サイドバーの一番上に設定してあります。

Ajaxで動的にその都度全文を検索している(GoogleのようにIndexを前もって作るわけではない)ので、最初は少し時間が掛かりますが、検索結果は見やすく検索キーワードもハイライトされていて一目瞭然です。

早速「中村祐輔 がん ワクチン」(スペースでAND検索)で検索してみましたが、34件の記事がヒットします。結構書いたものです。それだけ興味と関心があったということですが。
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このブログも記事数が700件になります。膵臓がんに関するデータベースとして、この最強検索を活用できるのではないかと思います。

2012年2月10日 (金)

膵がんのブラックジャック 永川裕一医師

東京医科大学病院(東京都新宿区)消化器外科講師 外来医長永川裕一医師が偶然二つの記事で紹介されていました。

2月2日のZAKZAKの連載「ブラックジャックを探せ」で「“膵がん”撲滅に情熱ささげる外科医」として紹介。週間がん もっといい日では「膵がんの術前化学療法で手術の適応範囲を拡大し出血量の少ない手術で治療成績向上をめざす」として紹介されています。

早期発見が難しいこのがんは、見つかった時点で「手術不可」と判断されることが多い。しかし、積極的な姿勢を崩さない永川医師は、抗がん剤や放射線を組み合わせた術前治療を行うことで、「手術に持ち込める方法」を模索し、実践する。他院で「手術不可」と診断された患者でも、永川医師の治療によって手術が実現したケースも少なくない。

術前補助放射線療法については大阪府立成人病センターの50年を取材した本『難治がんと闘う―大阪府立成人病センターの五十年 (新潮新書)』の記事でこのブログの2010年9月25日で紹介しています。東京でも切除不可の膵がんを積極的に手術できるように頑張っている医師がいるのです。

週間がん もっといい日のTOP記事は、1週間後には「過去の記事」欄に移動され上のリンクは切れます。ここに全文を掲載しておきます。

☆☆☆「週刊がん もっといい日」VOL.287☆☆☆

治療最前線

膵がんの術前化学療法で手術の適応範囲を拡大し出血量の少ない手術で治療成績向上をめざす――

東京医科大学病院(東京都新宿区)消化器外科講師 永川裕一医師

永川裕一医師
1969年金沢市生まれ94年東京医大卒業。消化器外科入局。東京医大八王子医療センター、同大病理学教室に二年間、米・ジョーンズホプキンス大学外科留学二年間、戸田中央総合病院を経て6年前より現職。

東京医科大学病院
東京都新宿区西新宿6-7-1
電話:03-3342-6111
http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/

 早期発見が難しく、また技術的にも高度なテクニックが求められる膵がんは、あらゆるがんの中でも最も治療が困難で、かつ予後も悪いがんとされる。その膵がんと闘うために消化器外科に進み、日々膵がんの「根治手術」をめざして治療にあたっているのが東京医科大学病院の永川裕一医師だ。父親から二代続いての「膵臓外科医」。術前に化学療法と放射線療法を組み合わせることで、他では手術不可能とされた膵がん患者を、手術が可能な状態に持ち込み、治療成績の向上を実現している。普段も気が付くと「どうすればもっと効果的な手術ができるのか――と考えている」という永川医師に、膵がん治療の現状と展望を取材した。

膵がん手術の成績向上のために病理で学んだ知識を生かす――

 「たちの悪さ」では、すべてのがんの中でも突出した存在とされる膵がん。早期発見が難しく、見つかった時点で手術が可能なケースは全体の半分にも満たないのが実情だ。
 しかも、運よく手術ができたとしても、5年生存率は1-2割といったところ。医学の進歩でがんの治療成績が高まる中、膵がんについてはいまも苦しい戦いを強いられている。
 そんな中で、東京医科大学病院の膵がん5年生存率は3割程度をキープしている。数字で見れば僅かな差でも、膵がん治療に携わる者にとって、そして誰よりも患者とその家族にとって、この差の持つ意味は大きい。
 同院の膵がん治療の中心的立場にあるのが消化器外科講師の永川裕一医師。父親も膵臓外科だったこともあり、子供の頃から膵がん治療の難しさはよく知っていた。それだけに、「医者になるなら膵臓外科医」との思いを強く持ち、医学部卒業後も初志貫徹で肝胆膵担当の消化器外科に入局。外科的手術はもちろん、内科的アプローチにも精通し、あらゆる角度から効果的な膵がん治療を検討し、実践してきた。
 「膵がんの治療成績を劇的に向上させることは現状では難しいのは事実。でも、それを少しでも高めることはできるかもしれないし、それを目指さなければ、自分がこの道に進んだ意味がない」
 同院の5年生存率が全国平均より高いのは、そんな永川医師の「こだわり」にも似た膵がん治療に対する熱い思いが反映されてのものなのだ。
 実は永川医師、外科医デビューを果たしたのちに、2年間「病理学教室」に身を置いた経歴がある。病理とは患者から採取した組織を観察し、その発生や成長のメカニズムを検証し、診断やその後の治療に役立てていく仕事だ。一見外科とはかけ離れたセクションにも見えるが、永川医師は病理で学んだ経験の重要さをこう語る。
 「そもそも外科医として病理には興味があったのですが、実際に学んでみて、その重要性を痛感しました。がんがどのようなプロセスで進行していくのかを知る上でとても勉強になったし、その知識を持たずに根治手術はできません。また、膵がん手術は合併症の危険性が高いけれど、それを回避する上でも病理の知識が役に立ちます」
 その後、移植の研究で渡ったアメリカのジョーンズホプキンス大学も、膵がん治療では世界的に有名な病院。「医師としての分岐点」に立つたびに、「膵がん治療に役立つほう」を選んできた。夢の「膵がん征服」に向けて、確実に歩みを進めてきた。

無輸血手術も可能な高い安全性術後管理までトータルでフォロー

 「膵がんから生還するには、根治手術が大前提」と語る永川医師。通常は膵臓の周囲を走行する重要血管への浸潤の程度で手術の可否が決まるのだが、永川医師は「ちょっと血管に接している程度なら術前の化学療法と放射線療法でがんを小さくして、手術に持ち込める可能性はある」と言う。事実、他院では「手術不可」とされた患者が、永川医師の下で化学療法を受け、実際に手術が行われるケースは珍しくない。
 「膵がんとわかった時点で患者にも、また医療者側にも“あきらめムード”が漂うものなのですが、それでは治療のスタートラインにさえ立つことができない。まずはスタートラインに立つことが重要であって、そのためには医療側が熱意を持って取り組むことが大事。その患者に合った抗がん剤と放射線の組み合わせ方を考えながら実践していくことで、効果は大きく変わってくるもの。医師の熱意とあきらめない姿勢が、このがんの生存率を高めてくれるのです」
 「手術可」となっても、その先にはまだ高いハードルがある。手術そのものの難度の高さだ。消化器がんの手術の中でも、食道がんと並んできわめてハイレベルの技術を必要とする膵がん手術は、根治手術が重要な鍵となる。とはいえ、根治性のみを優先すると、術後の生活の質が大幅に低下する危険性もある。加えて、膵液漏などの重大な合併症を回避するためには、安全性と積極性のバランス感覚が重要になるのだ。
 永川医師による膵がん手術にかかる時間は平均して6時間ほど。一般的なそれより1-2時間短い。しかし永川医師は言う。
 「単に『時間が短い』というだけではなく、根治性を考えた手術が必要。丁寧さと慎重さを忘れるといい手術はできません」と語る永川医師の手術は、根治手術となる率が高いにも関わらず、出血量は平均700cc。無輸血手術が可能な出血量の少なさは、まさに丁寧かつ慎重な手術の証だ。
 さらにもう一つ、永川医師がこだわるのが「術後のフォローアップ」。
 術後退院して安定したあとの外来は、極力永川医師自身が担当するという。
 「術後の栄養状態の把握はきわめて重要。特に消化酵素剤をきちんと飲んでもらうことが予後の生活の質を大きく変えることになる。このあたりのことは、膵臓を専門に診ている医師でないとあまり気にしないことでもあるので……」
 将来は膵がん手術にも腹腔鏡手術の導入を視野に入れており、すでに良性疾患の手術では腹腔鏡手術を取り入れている。また免疫治療との融合など、患者への侵襲の小さな膵がん手術を模索する永川医師。
 根治手術、低侵襲、術後のQOL向上――の三枚看板に高く掲げて、永川医師の挑戦はさらに続く。

消化酵素剤は私もときどき飲み忘れます。しかし、栄養状態は悪くないので大丈夫だと思います。野菜と果物だけのゲルソン療法風の療法は、少なくとも膵がんでは効果がないというのは、こんなことも理由のひとつでしょう。

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2012年2月 6日 (月)

【追記】ペプチドワクチン臨床研究実施施設&NHKあさイチ

中村祐輔研究室にアップされている「がんペプチドワクチン療法臨床研究実施施設リスト」が更新されました。

以前のリストに比べてずいぶんと実施医療機関が少なくなっています。Pegasus-PCも終了したのだから当然ですね。膵癌では2施設(和歌山県立医大、山口大学)だけになりました。しかし、本日時点でホームページを見ると、「固形癌」の欄の川崎医科大学・九州大学でも膵癌は対象になっています。関心のある方は直接問い合わせてください。

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今朝のNHK「あさイチ 驚き!がんワクチン治療最前線」に中村祐輔教授が出演。ペプチドワクチン、久留米大学のWT1ワクチンが紹介されました。実は録画予約してあったのですが、パソコンの電源を入れ忘れて(PCテレビなので)録画に失敗。番組を見た妻が「膵臓がんが肝臓に転移した人が、がんが消えたそうよ」と。千葉徳州会病院での例らしいですね。(千葉徳州会病院に関するこのブログ記事検索結果)

 

千葉徳州会病院副院長 浅原新吾先生の、2月18日の「市民のためのがん治療の会」講演会はますます聞き逃せなくなります。

 

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膵癌に対するがんペプチドカクテルワクチン臨床試験開始

オンコセラピー・サイエンスのプレスリリースです。<PDFファイルをダウンロード

がんペプチドカクテルワクチン療法剤OCV-C01 第III相臨床試験(治験)開始のお知らせ

当社は、大塚製薬株式会社(以下、「大塚製薬」)と共同で、がんペプチドカクテルワクチン療法剤OCV-C01の膵臓がんに対する第III相臨床試験(OCV-C01による標準療法不応膵癌に対するプラセボ対照ランダム化第III相臨床試験)を開始いたしますので、お知らせいたします。当社は、本臨床試験の開始に伴い、大塚製薬から契約に基づくマイルストーンを受領いたします。

OCV-C01は、ゲノム包括的解析などにより見出された、正常組織にはほとんど発現せず、膵臓がんに高頻度に高発現する腫瘍抗原と腫瘍新生血管内皮細胞を標的とするものです。
OCV-C01は、膵臓がん細胞や腫瘍新生血管を障害することにより膵臓がんの増殖・進展を抑制することが期待される複数のペプチドワクチンを含む製剤です。
開始いたします臨床試験は、標準療法が効かないと診断された膵臓がんの患者さんを対象とする二重盲検比較試験(検証試験)として実施いたします。承認申請を目指した第III相臨床試験で、膵臓がん患者さんの生存期間を延長できるかどうかを検証いたします。本試験をCOMPETE-PC Study(コンピートピーシースタディー;COMbined PEptide ThErapy forPancreatic Cancer)と名付け、全国40施設で臨床試験を施行いたします。

2012年2月 3日 (金)

原子力ムラの”勘違いした”逆襲

このブログでも取り上げた、年末に放映されたNHK 『追跡!真相ファイル:低線量被ばく 揺らぐ国際基準』の内容に対して、原子力研究開発などに携わってきた原子力関係者110名が連名で、NHK宛に抗議文を送付したことが話題になっている。 『「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」への抗議と要望について 』と題した抗議文に、もとの所属機関などを追記したPDFファイルがこれである。原子力ムラで結構な生活を保証されてきた面々である。

彼らの主張を検討した結果、彼らの方こそDDREF(線量・線量率効果係数)に関して、ICRP勧告の内容すら理解できていないことを明確にしておく。

2月1日の東京新聞「こちら特報部」でもこの話題を取り上げていた。

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NHKのこの番組については、30分未満という限られた時間の中で、専門家ではなく一般の主婦にでも理解できる内容となるように努めていると理解している。当然専門用語を避けることにより、一定程度の不十分さは存在します。また、ナレーションと取材対象者の話している英語の内容が一致していない部分があることも確かです。

しかし、番組の全体を見ればICRPが多くの原発推進組織からの資金を受けていることなどの重要な情報を伝える良い番組であった。DDREFについても、専門家は知ってはいても、一般には知られてはいないことであり、それを明らかにした点で評価できる。

DDREFに的を絞って、彼らの次の主張の間違いを検討してみる。

(1)論旨の意図的なすり替え
 報道では、オタワのICRP事務局でChrisClement氏が「低線量のリスクを半分にしていることが妥当なのか議論している」と日本語音声に翻訳していますが、録画を見直したら同氏は該当部分を「DDREF」(線量・線量率効果係数)とハッキリ言っています。線量(時間積算値)が同じでも線量率(単位時間当たりの線量)が違うと「放射線の生物影響」が異なる、即ち「高線量率・短時間」と「低線量率・長時間」の照射で効果が異なり線量・線量率効果係数(DDREF)が導入されています。原爆のような1度の大量被ばくでの評価結果を「低線量率・長時間」に適用するためにDDREF値により補正を行うのは常識になっています。彼が述べているのは線量・線量率効果係数(DDREF)についての不確実性であり、NHK報道ではそれをリスクを低く見ているかのごとく意図的に意味が全く異なったものにすり替えてしまっています。

と抗議文では主張している。

DDREFとは何か?

虎の巻 低線量放射線と健康影響―先生、放射線を浴びても大丈夫? と聞かれたら まず、DDREFとは何かという点を明確にしておく。放医研が出版している『虎の巻 低線量放射線と健康影響―先生、放射線を浴びても大丈夫? と聞かれたら』には、DDREFの説明として次のように書かれている。

急性の放射線被曝による影響を記述する理論的一般式である直線二次式(1)において、1次項は単一の飛程により生じる効果を、2次項は2つの飛程の相互作用で生じる効果を示す。線量が低くなると単一飛跡で生じる事象のみが問題になるが、このような条件で生物効果は線量率に依存しない。また線量率が低いと2つの飛跡は時間的に異なって与えられることになり、その間の修復により2飛跡事象は起こらないことになる。このような理由から、低線量や低線量率では1次項のみの式(2)で生物効果は記述できることになる。このような考えに基づいて、高線量と高線量率から得られたリスク値を低線量・低線量率のリスク値に変換する補正係数として線量・線量率効果係数(doseand dose rate effectiveness factor: DDREF) を理論的に求めることが可能である。すなわち下記の式(3)で示したように、直線二次式を直線項で割り算したものがDDREFになる。このDDREFは現行のリスク評価体系の重要な基盤となっている。ただこのDDREFは本来異なる2つの概念(DEFとDREF) を上記の議論に基づいて同じに扱うことで得られた係数で、あり実際の生物過程を十分記述できるかは問題がある。ただDDREFは、低線量・低線量率放射線の防護を考えるために必要な係数とされている。

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このように、原子力ムラの一員でもある放医研の出版物ですら、DDREFは仮説の1つにしかすぎないと疑問を呈しているのである。

はじめてDDREFの考え方を導入したICRP 1990年勧告には、NCRP(米国放射線防護審議会)の1980年報告からの図を引証して、DDREFの説明をしている。曲線Aが(1)式に、曲線Dが(2)式にあてはまる。曲線Aが高線量域で下がっているのは、細胞死により見かけ上発生率が小さくなるためである。

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Dna_2 簡単に言えば、高線量ではDNAの二本鎖切断が起こりやすく、低線量では一本鎖切断が起こりやすい。したがって高線量では(1)式、低線量では(2)式が理論的に考えることができるとするのがDDREFの理論的基礎である。

しかし『虎の巻』も書いているように、この理論式が生物学的に妥当かどうかは疑問が多い。ペトカウ効果、バイスタンダー効果は、むしろ低線量域で生物効果が高くなるとする仮説である。放医研が開発したマイクロビーム細胞照射装置によって、バイスタンダー効果は概ね証明されている現象であるが、DDREFにはそれらは反映されていない。(放医研ニュース No.84

ICRPはDDREFに関してどう言っているか?

ICRPはこのDDREFを2としている。つまりE1/E2=2だから、E2(低線量被ばく)はE1の1/2となる。これがNHK番組での「リスクを半分に見積もっている」という意味である。

抗議文は「彼が述べているのは線量・線量率効果係数(DDREF)についての不確実性であり、NHK報道ではそれをリスクを低く見ているかのごとく意図的に意味が全く異なったものにすり替えて」いると説明している、と非難している。ICRP 1990年勧告では、

附属書Bの議論に基づき、委員会は、高線量・高線量率における観察から直接に得られる確率係数を1/2に減らし、必要ならば細胞死の効果を考慮して修正することに決定した。データには大きな散らばりがあり、委員会は、この数値を選んだことはやや恣意的であり、たぶん保守的かもしれないと認識している。
もしも新しい、もっと決定的な情報が将来利用できるようになれば、この勧告の変更は当然予想できる。

と書いている。大きなばらつきのある数値の中から「えいっ、やっ」で決めたということだ。

BEIR Ⅶ委員会は、ベイズ統計解析によって、疫学的証拠と生物学的証拠を組み合わせてDDREFを求めている(ICRP 2007年勧告)。それによと、DDREFの最頻値は1.5で、1.1~2.3までの値を取り、結局BEIRⅦ委員会はDDREFの値として1.5を採用している。DDREF=1.5は、低線量域での効果は高線量域のそれの2/3になり、ICRPの1/2よりも17%多くなるということである。しかし、ICRP 2007年勧告(Pub 103)は、1990年勧告で採用したDDREF=2を変更する必要は見いだせないと結論づけている。そして、

不確実性を認識しながら、ICRPは2というDDREFを放射線防護の目的で引き続き用いることを勧告する。(ICRP 2007年勧告 Pub 103 A132)

BEIRⅦはDDREFの選択に内在する主観性の要素について論じており、当委員会は、放射線防護のために、DDREFの総括値2を維持するというその勧告は、主観性と確率的不確実性の両方の要素を具現化した大まかな判断であることを強調しておく。(ICRP 2007年勧告 Pub 103 A133)

と、ICRP自身が不確実性だけではなく「主観性の要素がある」、つまり恣意的に決めたと言っているのである。そして番組の出演している元ICRP委員は、その原因が政治的圧力にあると述べているのであって、以前から指摘していたこの事実が、元ICRP委員の口から出たと報じたことが画期的な内容なのである。元委員の証言とICRP勧告の文章は符合している。

抗議文の言う「NHK報道ではそれをリスクを低く見ているかのごとく意図的に意味が全く異なったものにすり替えてしまっています」の指摘は、ICRPによるDDREFの根拠と導入の経緯を知らない”勘違い”であり、「NH報道は、リスクを低く見ていることを正しく報道した」と言うべきです。

原子力開発の光と影―核開発者からの証言 ICRPの創設時からのメンバーであったカール・Z・モーガンはその著書『原子力開発の光と影―核開発者からの証言』で「NCRPの利害紛争」と題して、

私の親友であり当時保健物理学会の会長であった、D・W ・メラーが、就任声明を発表し、「私たちは皆、お金のあるところに私たちの口を置こうではないか」と言った。私は、彼の意見は次のような意味であると解釈した。すなわち、保健物理学会は、AEC 、DOEおよび原子力産業を、彼らの失策に対する債務および責任について保護することに焦点を置くことになるであろうと解した。

今私は、電離放射線に被ばくすることによる有害な影響から一雇用者あるいは公衆の構成員を保護することは原子力産業界にとっては単に二義的な目的にすぎなかったという悲しい事実を知った。

私たちの職業に与えられた物惜しみしない経済的な支援の代償として、私たちは、法廷および議会での聴開会で有利な証言をおこなうことを期待されていた。私たちは、放射線障害の程度を低めに考えるであろうと思われていた。

NCRPと同様ICRPは、原子力産業界の支配から自由ではない。
1970年の中ごろから、ほとんどの会員は、あがきながら進んでいる原子力発電事業を保持することを重要な目的としてきた。ICRP の活動あるいは出版物を少し検討すると、この組織がかつて持っていた崇高な立場を失いつつある理由がわかる。

など、ICRPが当時既に原子力産業の支配下にあったことを生々しく証言している。今回のNHKの番組は、今でもその支配が続いており、その実体を当事者の証言として明らかにした画期的な番組である。

抗議文は番組のサポーターである作家の室井佑月さんに「もっと勉強しろ」と八つ当たりしているが、DDREFについて科学的に確立したものであるというのなら、彼らがわかりやすく説明してみせれば良いではないか。室井さんに「放射線総合医学研究所の放射線被ぱくに関するQ&A」などのサイトを読むようにという前に、彼らこそ放医研の『虎の巻』を読んでみれば良い。この本には、前半は「放射線は安全」との説明で終始しているが、より詳しい後半には、世界の放射線研究の最新情報、ペトカウ効果、ゲノム不安定性、バイスタンダー効果などについても紹介されているのだから。ICRP勧告は、これらの近年の分子生物学の研究成果が得られる前の、物理学的モデルによる20世紀の古い体系のままであることがよくわかるはずである。

ICRPの線量単位などは、とにかく複雑でわかりにくい。普通の人が理解することは難しい。古い物理学モデルの内容を近年の生物学的研究に合わせようとするから、複雑難解な用語を乱造した学問体系になるのである。ICRPの用語の乱造と意味内容の変化の激しさには、専門家ですらついて行けないほどである。

福島の子どもたちが測定に使ったガラスバッチを供給している千代田テクノルという会社が出している「放射線安全管理総合情報誌 FBNews」の415号「福島原発事故の報道に現われた放射線関係用語と数値を理解するための勘所」加藤和明氏の記事があります。

「放射線の量と単位がなかなか分からない」という声は、実は3.11以前から、世間が『放射線の専門家』と見倣す方々の中からも出ていたのであって、例えば敬愛する岩崎民子学姉(放射線生物学)からは、会議などで席をご一緒したようなときに何度となく“何とかしてよ"と苦言を頂戴していたのであった。
原子力安全の専門家と放射線防護の専門家が、特に縦割りとなっている日本の社会では、通常は“全くの別物"である。放射線影響と放射線安全管理は学問としても職業としても“別物"であり、世間が両者を“イッパヒトカラゲ"に「放射線の専門家」として括ってしまうことにも、用語の理解を困難にしている一因があるように思われる。

抗議文は「DDREF値により補正を行うのは常識になっていますというが、こんなに複雑で難解な用語や定義で構成された学問には、きっとどこかに嘘があるのではないか、と考えるのが健全な一般大衆の「常識になっている」のである。

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