« 千葉徳州会病院市民講座「膵臓がんに関するペプチドワクチン療法の現状」 | トップページ | OCV-C01の臨床試験情報 »

2012年6月 4日 (月)

セシウム137の体内放射能(2)

食品の新基準値

厚生労働省の「食品中の放射性物質に係る新たな基準値について」によれば、新基準値を決めるに当たり、もっとも厳しい年齢層である13~18歳男性の限度値:120Bq/kgを採用したとしている。

Imageyositakapc007

「食品中の放射性物質に係る新基準値の誘導の考え方」には基準値を定めた詳細が記載されている。あいかわらずシーベルトへ換算してあるので、ベクレル数に直す。

その中の「表 食品分類ごとの摂取量と対象核種合計線量換算係数」の13~18歳の平均摂取量に基準値と流通食品の汚染度(50%)を掛けて合計し、飲料水の分20Bqを加えると、新基準値のセシウム137を含んだ食品の一日のベクレル数が計算できる。

Imageyositakapc001

計算過程は省略するが118Bq/日の摂取量となる。13~18歳のセシウム137の実効半減期を70日として、新基準値限界の食品(50%が汚染されているという前提)を毎日摂取したとして計算したものが下のグラフである。

A70

年間の内部被曝線量は1mSvを超えないとして決められた新基準値の限界値(といっても半分の食品しか汚染されていないという仮定)の食品をとり続ければ、500日後には体内放射能は12,000Bqにもなってしまう! 13~18歳の体重を45kgとすれば、270Bq/kgとなり、バンダジェフスキーの病理データから推定した危険域の約10倍である。心電図異常、腎機能障害など深刻な影響が出るレベルである。

新基準値は「安全」にはほど遠いと言わざるを得ない。

実際の家庭の食事の汚染度

では実際に毎日摂っている食事の汚染度はどの程度なのか? コープふくしまが調査した結果と、朝日新聞と京都大学が共同で調査したデータがある。

コープふくしまの調査結果は、「最も多くの放射性セシウムを検出した家庭の食事に含まれるセシウム137とセシウム134の量は1キログラムあたりそれぞれ6.7ベクレルと5.0ベクレルでした。」と、ほとんどの家庭の食事では1Bq/kg以下であったとしている。

一方、朝日新聞と京都大学の調査は、「福島でもっとも多かったのは、1日あたり17.3ベクレル。この水準でも年間の推定被曝線量は0.1ミリシーベルトで、新基準の10分の1になる。」としている。両者とも年間1mSvよりも十分に低いとし、カリウム40による内部被曝と比較して無視しうる程度だと(不当にも)強調している。

Tky2012011808071

53家族中で、10Bq/kgを超えるのが3家族(5.7%)、5Bq/kgを超えるのが10家族(18.9%)ある。西日本のデータを除いて関東・福島だけに限れば、10Bq/kgを超える3家族は42家族中の7%であり、単純計算では首都圏と福島の300万人が10Bq/kg以上の食事を摂っていることになる。人口200万人の福島県だけなら14万人が同程度の食事を摂っている計算だ。バンダジェフスキーが警鐘を鳴らしたレベルで、これだけ多数の人が内部被曝の脅威に曝されている。これが無視できるほど小さいと言えるだろうか。

5月15日に南相馬市が『市民の内部被ばく検診「ホールボディカウンター(WBC)による」の結果(2)』を発表している。

昨年の9/21から今年の3/31までのWBCによる検査結果で、それによると20Bq/kg以上が高校生以上の大人で2.28%(前回測定では3.56%)、中学生以下の子どもでは20Bq/kg以上が0.24%(同 0.67%)であったとしている。

Kekka_03
Kekka_04

測定時期がまちまちなので単純に比較はできないが、20Bq/kgを超える者が数%いることは確かである。

問題は、福島原発事故から数ヶ月、半年以上経った時点でセシウム137のベクレル数を測定し、そこから1年間の推定被ばく線量を計算していることである。測定結果からは単純に被ばく線量は求めることはできない。初期の放射能値が分からない、継続して何ベクレル摂取しているのかが分からないからである。

仮に3.11から9ヶ月(270日)後の体内放射能が20Bq/kgとしたとき、体重が60kgの人ならば1200Bqの体内放射能となる。次の3つを例はいずれも270日目で1200Bqとなる。

  1. 最初の値が7000Bqで1Bq/日の継続的摂取
  2. 同じく4000Bq、5Bq/日
  3. 同じく2400Bq、7Bq/日

(下の図を参照)もちろん他の無数の組み合わせを考えることができる。

After270

内部被曝線量は曲線とX軸、Y軸に囲まれた面積に比例するつまり、3.11後から測定時点までの被ばく線量は誰にも分からないのである。

この場合(コープふくしま、南相馬市)でも、やはり毎日の継続的摂取量を可能な限り少なくし、毎日の食事から摂取するセシウム137は10Bq以下としなければならない。そして飽和点をゼロに近づける努力が必要だ。そのためには、全食品の放射能検査とベクレル表示が求められるのである。

Kekka_10

次のグラフでは、40Bq/kg以上検出した大人の1回目の測定値が示されている。なんと5000Bq以上が3名いる。この方たちの初期の値はどれくらいだったのだろう。10000Bqは優に超えていたはずだ。これは実際には新聞の一面トップのニュースし、チェルノブイリと比較して報道されるべき数字であろう。

Kekka_09

2名の方が増加しているが、自家栽培の野菜などを食べていたという。10Bq/kgを超える継続摂取をしていたのだと思われる。

このように新基準値以下の食品でも、初期の体内放射能によっては減少せずに増加する。(1)に書いたように、増減の境となる一日の摂取量は実効半減期と初期の体内放射能値に依存する。初期の多くのセシウムを取り込んだ人ほど、1日の摂取量を少なくする必要がある。

こうしたことは、シーベルトで示された内部被曝線量からは決して見えてこないのである。

ベクレルをシーベルトに換算することは、内部被曝の過小評価に通じる。

(続く)

« 千葉徳州会病院市民講座「膵臓がんに関するペプチドワクチン療法の現状」 | トップページ | OCV-C01の臨床試験情報 »

@地震・原発」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 千葉徳州会病院市民講座「膵臓がんに関するペプチドワクチン療法の現状」 | トップページ | OCV-C01の臨床試験情報 »

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

膵臓がんブログ・ランキング

膵臓癌 お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ