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2012年7月

2012年7月31日 (火)

Eテレで『夜と霧』

SDIM0336

DP2 Merrill F5.0 1/200秒 ISO200


夜と霧 新版 NHK Eテレの「100分 de 名著」、8月はヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』が4回にわたって放映されます。初回は明日、8月1日(水)午後11:00~11:25。再放送もあります。

精神科医だったフランクルが、ユダヤ人がゆえにナチスの強制収容所に収容された3年間の体験記です。アメリカでは「私の人生に最も影響を与えた本」のベストテンに入ったこともあり、今でも多くの人に感動を与えている作品です。

私も膵臓がんを告知されたのち、しばらく経ったとき、この絶望的な状況から生還するにはどのような方法があるか、と迷っていたときに読んで感動した記憶があります。

私がもっとも感動したのは、苛酷な収容所生活の中で、死ぬほど疲れて薄いスープだけの椀を手に、床にへたり込んでいたとき、仲間が突然飛び込んできて「疲れていようがとにかく点呼場に出てこい」と叫ぶ。だた、地平線一杯を赤く染めて沈んでいく太陽を見せる、ただそれだけのために。そんな場面だ。

霜山徳爾訳の旧版と池田香代子(3.11後ブログ、HPで積極的に発信している)訳の新版があり、若い人には新版が読みやすいと思います。

3.11後、1年余を経て、この作品を取り上げる意味をプロジューサーNは、

今、日本では自殺者が14年連続で3万人を超えています。震災に見まわれ、全てを失ったという人も少なくありません。
運命に打ちのめされたという人、将来に希望が持てないという人が、世の中にあふれています。そこで8月のシリーズでは、人間の生きがいとは何かを追求した名著「夜と霧」を取り上げることにしました。
***************
フランクルは「人生はどんな状況でも意味がある」と説き、生きがいを見つけられずに悩む人たちにメッセージを発し続けました。彼が残した言葉は、先が見えない不安の中に生きる今の私たちにとって、良き指針となるはずです。
収容所という絶望的な環境の中で希望を失わなかった人たちの姿から、人間の“生きる意味”とは何なのかを探ります。そして苦境に陥った時の“希望”の持ち方について考えていきます。

と書いています。治る見込みのないがんを宿している患者にとっても、フランクルの体験と彼の希望を見失わない生き方は、多くの学ぶ点があるのではないでしょうか。

シュレベールの『がんに効く生活』にも、「恐怖を克服する」というところに『夜と霧』について述べられています。同年代の若い医師で悪性リンパ腫にかかっていたデニスとシュレベールは一緒に『夜と霧』を読み返すのでした。

デニスは、のちに彼が”魂”と呼ぶものを発見しつつあった。彼の人生の一つひとつの選択、一つひとつの行動が、無限の波紋を投げかけ、世界の運命の中に永遠にその痕跡をとどめる・・・・。カオス理論で見られる「北京で超が羽ばたくと、ニューヨークで嵐が起きる」という例えと同じだ。デニスは、自分の一つひとつの思いや言葉の重みを意識するようになった。そして周りの人々に対してだけでなく、大地に対してさえも、愛情を持って接するようになった。

デニスは、こうした体験を通じて死への恐怖を克服していったのでした。

フランクル『夜と霧』 2012年8月 (100分 de 名著)苛酷な収容所から生きて帰ってきた人と、亡くなった人との違いは何だったのでしょうか。フランクルは「未来に対して希望を持ち得ているか否か」がそのひとつだと言います。「クリスマスには休暇が出て家に帰ることができる」という希望が幻想だと分かったとき、多くの収容者が落胆して力尽きていった、そのようなエピソードも紹介しています。

また、体の頑丈な人が生き延びたのではなく、感受性の豊かな人が生き延びたのでした。信仰を大切にする人、あるいは人間を超えた崇高なものとの繫がりを大切にする人が多く生き延びたのでした。

幸福は求めようとすればするほど逃げていくものであり、仕事に没頭する、愛する人を愛し続けていれば、自ずから幸福になるのだと、考え方の視点を転換することを述べています。がん患者の場合を考えれば、がんが治ることだけを願っても治癒は逃げていく。体に良いと思われること、がんを育てない体内環境を作る生活を続けていくことで、「成りゆき」としてがんが治ることもあるのです。フランクルの言葉を借りれば、収容所から生きて生還できるかどうか、それは分からない。自分で決めることはできない。しかし、それまでの時間を「自分らしく」生きること、かけがえのない人のために生きること、はできるのだと。

諸富祥彦氏の解説でテキストも出されています。テキストには、諸富氏の中学3年生の頃の「不思議な」体験、”何か他の力”によって立たされているという体験も述べられています。同じような体験は、柳澤桂子さんも『いのちの日記』に書いています。こちら

このブログで『夜と霧』に触れた記事がいくつかあります。↓

  1. 治すのはあなた自身です
    学者であったヴィクトール・フランクルの『夜と霧』からの一節強制収容所において人々の生死を分けたのは、多くの場合、ものごとへの対処の仕方を決めるのは自分だとい...
  2. あなたじゃ無理だよ、山下さん
    す。アウシュビッツを描いたフランクルの『夜と霧』を読んで、最も印象に残ったのは、絶望的な状況の中で希望を持つと、それがかなえられなかったときに、人格が破壊さ...
  3. メラトニンの副作用?
    ュビッツの強制収容所の例(フランクルの『夜と霧』を指している-キノシタ)でも分かるように、生き延びた人たちは「想像力豊かで、あいまいさや不確実性とともに生き...

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2012年7月29日 (日)

国会事故調報告書

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DP2 Merrill F5.6 1/200秒 ISO200 ハーレー・ダビッドソン。この金属の質感、たまりません。


Imageyositakapc001 3つの福島原発事故の調査報告書が揃いました。朝日新聞の元主筆・船橋洋一が主催する組織が作成した民間事故調の報告書なんかは最初から胡散臭いと思っているので問題外。政府の事故調は”責任を問うものではない”と言う。会議の公開もしない。こちらも大して期待できない。国会に設けられた事故調査委員会には、石橋克彦・大島賢三・崎山比早子氏らが参加している。いずれも「反原発」の立場を明確にしている人たちである。少しでも内容に信頼がおけそうなのはこの報告書だけである。

ダウンロードが多くて国会事故調査委員会報告書はミラーサイトまで設定する状況のようです。市販の予定もあると言われています。

ダイジェスト版と要約版、それに本編、参考資料があるという膨大な内容です。本編だけで650ページもある。とうていすぐには読めないが、この報告書には目を通すべきだと思い、取りかかっている。気になる点をいくつか抜き出してみた。

想定できたはずの事故がなぜ起こったのか。その根本的な原因は、日本が高度経済成長を遂げたころにまで遡る。政界、官界、財界が一体となり、国策として共通の目標に向かって進む中、複雑に絡まった『規制の虜(Regulatory Capture)』が生まれた。

そこには、ほぼ50 年にわたる一党支配と、新卒一括採用、年功序列、終身雇用といった官と財の際立った組織構造と、それを当然と考える日本人の「思いこみ(マインドセット)」があった。経済成長に伴い、「自信」は次第に「おごり、慢心」に変わり始めた。

入社や入省年次で上り詰める「単線路線のエリート」たちにとって、前例を踏襲すること、組織の利益を守ることは、重要な使命となった。この使命は、国民の命を守ることよりも優先され、世界の安全に対する動向を知りながらも、それらに目を向けず安全対策は先送りされた。

『規制の虜』という言葉は、この報告書の随所に出てきます。

【事故の根源的原因】
事故の根源的な原因は、東北地方太平洋沖地震が発生した平成23(2011)年3月11日(以下「3.11」という)以前に求められる。当委員会の調査によれば、3.11時点において、福島第一原発は、地震にも津波にも耐えられる保証がない、脆弱な状態であったと推定される。地震・津波による被災の可能性、自然現象を起因とするシビアアクシデント(過酷事故)への対策、大量の放射能の放出が考えられる場合の住民の安全保護など、事業者である東京電力(以下「東電」という)及び規制当局である内閣府原子力安全委員会(以下「安全委員会」という)、経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という)、また原子力推進行政当局である経済産業省(以下「経産省」という)が、それまでに当然備えておくべきこと、実施すべきことをしていなかった。

東電の「想定外の津波」が原因という主張を、完璧に否定しています。

平成18(2006)年には、福島第一原発の敷地高さを超える津波が来た場合に全電源喪失に至ること、土木学会評価を上回る津波が到来した場合、海水ポンプが機能喪失し、炉心損傷に至る危険があることは、保安院と東電の間で認識が共有されていた。保安院は、東電が対応を先延ばししていることを承知していたが、明確な指示を行わなかった。

このように歴代の規制当局と東電との関係においては、規制する立場とされる立場の「逆転関係」が起き、規制当局は電気事業者の「虜(とりこ)」となっていた。その結果、原子力安全についての監視・監督機能が崩壊していたと見ることができる。

1号機の運転員の中に1号機のSR弁の作動音を耳にした者は一人もいないことも分かった。以上から、実は1号機のSR弁は作動しなかったのではないかという疑いが生まれる。もしそうであれば、1号機では地震動による小規模のLOCA(冷却材喪失事故)が起きていた可能性がある

もちろん、マスコミでも報じられていないことがまだまだたくさんあるが、このブログで扱えるようなボリュームではない。

興味深いことを付け加えれば、おしどりマコ・ケンの「脱ってみる? 国会事故調報告書、電事連のロビー活動の件」が非常に興味深い。マコちゃんたち、本当によく頑張るね。こんなことが曝露されています。

国会事故調に対して非協力ということで、いわゆる「12条請求」されたのが、東電、文部科学省、原子力安全委員会、電気事業連合会だった。この電事連は、ICRP 2007年勧告の内容を国内法規に取り入れるについて、委員に対してロビー活動を展開して、電事連の意に適う方向を押しつけようとした。

ICRPの国内委員(大分看護大学の甲斐倫明氏ら)がICRP の会議へ参加するための旅費なども電事連から出ていたという。ICRPはもはや公衆の安全を守るという組織ではないのだが、日本の委員でも原発推進側からの財政的支援を受けているのだ。

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2012年7月28日 (土)

鳥の歌

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DP2 Merrill F6.3 1/250秒 ISO200   ビルの谷間が海底のようで・・・


チェロレッスンは先々週からカザルス編曲のカタルーニャ民謡「鳥の歌」。カザルスのホワイトハウスでの演奏、マイスキー、藤原真理などの演奏をCDで聞き比べたが、私にはやはりカザルスのゆったりと情感を込めた演奏がいい。

チェロの石黒先生の演奏指導も、カザルスやマイスキーに近いものをという要求。出だしの、ミ-ラ-シ-ド-レ-ミとゆっくりオクターブ駆け上がる部分、同じフレーズが6小節後に出てくるが、最初はD線で1ポジションから4ポジションへ、2度目はG線の4ポジからD線の4ポジで弾くようにという指示を受ける。音色が違うことがはっきりと分かるように弾くこと。

ビブラートもたっぷりとかけて、カザルスの平和への想いが再現できる(?まだ無理だが)ように弾きたいなぁ。

この曲、私は大好きですね。フォーレの「夢のあとに」もですが。

DP2 Merrillで写真を撮るのも楽しいし、Celloも少しうまくなったので練習が楽しい。こうして楽しいことばかりをやって生きている。ま、仕事もきちんとしていますよ。

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2012年7月24日 (火)

健康不安と過剰医療の時代

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DP2 Merrill F4.0 1/100秒 ISO200


テレビの梅ちゃん先生も、開業してなんとかやっているようです。先週は肝臓がん末期の早野さんが、最期は自宅で過ごしたいと勝手に退院する話から。梅子や松岡は、わずかながらも治癒の希望があるからと病院での治療を勧めるのですが、早野さんは頑として聞き入れない。

その当時は、私は高知の田舎にいたが、がんの最期に治療を拒否する患者は余りいなかったのではないだろうか。経済的理由で治療できなかった人はいたと思うが、経済的に可能であってしかも治療をしないことは考えられなかったはずだ。もちろん抗がん剤などない時代ではあったが。

いっぽうで現在のがん治療を考えてみれば、当時と比較して使える薬や抗がん剤は格段に増えた。しかし、それで治る患者が増えたのかどうか、はっきりとは分からない。小さい腫瘍でも見つける技術が進歩したから、治癒率が上がったのだとも考えられるからだ。長生きするようになったからがんになる人も増えている。それやこれやで、当時と今を単純に比較することは難しい。難しいが、今の医療を巡る状況はどこか変だ。変だと多くの人が思っている。

わずかな延命効果があるからと、地獄の副作用に耐えることを強いられる。これって「がん細胞をやっつけるためなら、命は要らない」ということか? 原発を巡る論議でも「快適な生活をするため(金のため)なら、命は要らない」という意見がまかり通っているようにみえる。あるいは「治療費が払えなくて自殺する」事件が報道されたりもする。命が惜しいのか惜しくないのか、よく分からない事件だ。当人にとっては切実なんだろうが、何かが変だ。

健康不安と過剰医療の時代 そのような医療を巡る「何かが変だよね」を集めた本を読んだ。先日のブログに書いた浜六郎氏や近藤誠氏も執筆している。日本高血圧学会などが血圧の基準値をどんどん下げて、1987年には180/100mmHgから2008年の特定健診の診断基準では、130/85mmHgと変遷している。この結果「高血圧症」という「病人」が大量生産されることになった。しかし、血圧は高いことよりも低いことの方が危険なのであり、また降圧剤の使いすぎで脳血栓が起きやすくなっていると指摘する。

いまや医療はサービス業になり果て、サービス業だから患者は大切な顧客であり「患者さま」と呼ばれるようになった。「患者さま」と呼ばれる客にとっては、よりよいサービスを、どこよりも廉価に受けることが合理的選択だとなってしまう。モンスター・ペイシャントは医療の側がつくりだしたのである。教育の世界も同じだ。教育の目的が「良い大学、良い就職先、安定した会社」となった。つまり、苦労せずに、良いサービス、経済的利益を受けることが最善の合理的目的となったから、同級生の足を引っ張ることは、もっとも合理的に自分の利益を最大化する手段となった。いじめでその生徒が自殺してくれればもっとも効果的だということにもなる。

医療の世界では「よりよい医療」を提供することが良いことだと信じられ、微塵も疑うことなく「善意の下で」進められている。

「子宮頸がんワクチンは無意味で効果がない」や「生活習慣病」というときの、病気は自己責任だという厚生労働省の狡猾な罠がひそんでいる話や、『検診病』にならないようにして、細かな数値よりも自分の体の感覚を大事にしなさい、など、「何かが変だ」という疑問に対して「これが変だよ」という一つの回答を示してくれる。

以下の内容である。

目次

はしがき 誰のための、何のための「健康」なのか、「医療」なのか/井上芳保
第1章:なぜ、診断被ばくの危険性が見過ごされているのか 近藤誠
            原発事故よりも怖いCT検査
第2章:「虫歯予防にフッ素」はなぜ危険か 浜六郎
           公表データを科学的に再検証して
第3章:「生活習慣病」の正体を探る 村岡潔
           なぜ生活習慣が病気の元にされたのか
第4章:「健診病」にならないためにはどうすべきか 松本光正
           細かな数値よりも自分の身体の感覚を大切に
第5章:なぜ、この国の医者は平気で患者を見捨てるのか 名取春彦
          ムラ社会に支配された医療、そしてその改革への模索
第6章:精神医療の権力性とどう向き合うべきか 井上芳保
          なぜ、「よりよい精神医療」ではなく「精神医療よりよい何か」をめざすべきなのか
第7章:健診/検診という商品はどう消費されているのか 梶原公子
         パラメディカルの位置から見えてくる医療の実態
第8章 なぜ、スポーツクラブに通い続けるのか? 竹中 健
        「不健康」というラベルに抗う人びとの調査から

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2012年7月22日 (日)

医者にかからないのは、良い医者にかかったのと同じ

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DP2 Merrill F9.0 1/400秒 ISO200


3.11福島原発事故の後では、「専門家」と言われる人たちが、実際には専門的知識に乏しく、現場で役にたつ知識を持ち合わせていなかったことが明らかになった。テレビに出たがる学者・専門家ほど胡散臭い者はいないと思ってきた。金に目はないのに、責任は取ろうとしない。中央官庁の役人も同じだ。3.11後はそれが誰の目にも明らかになった。一方で、地位や研究費や名誉などに見向きもしないで、学者・専門家としての使命を果たそうと努力してきた人たちがいたことが、日本にとって救いであった。

医療の世界でも同じだろうと思います。マスコミに頻繁に登場し、厚生労働省の何らかの委員をしている医者と聞いただけで、私は一步引いて構えてしまう。もちろんまじめな先生もたくさんいるには違いなかろうが、だいたいが胡散臭い医者だと考えておいた方が無難。そんな医者と対局にいるのが近藤誠氏や梅澤医師だろう。このふたりは「抗がん剤は効く」「抗がん剤は効かない」と逆のタイトルの本を出しているが、世間の常識を鵜呑みにしない、反権力という点では一致しているように見える。

NATRONの日記」など、インターネット上では近藤誠、新谷弘実、養老孟司らと並んで「トンデモ浜六郎」と言われている浜六郎氏も、私から見ればまともな医学的情報を流してくれる大事な情報源だ。イレッサの承認を取り消すべきだと主張してきたことを非難されてきたのだが、米国FDAが今年4月25日付の官報においてイレッサの承認を正式に取り消したことは、彼の主張の正当性の証しだろう。しかし、日本のマスコミも医学会もFDAのイレッサ承認取り消しは一切無視しています。

抗インフルエンザウイルス剤「タフミル」の副作用で「突然死」する子供が増加したと、一次ニュースになりました。浜六郎氏は一貫してタフミルは危険だと言っています。これにも「トンデモさんだ」との非難があります。しかし、タフミルに関してはコクラン共同計画のグループが2009年12月に解析結果を発表しており、2012年1月には肺炎を防止する効果はなく、突然死を招くなどの「危険な薬」と発表しています。(浜氏もこのレビューアーのひとり)

コクランレ・ビューを評価して取り上げているがん情報サービスやその他の日本の「信頼のおけるがん情報サイト」では、こうしたニュースが取り上げられることはありません。

がん患者のために活動している組織であっても、多額の寄付金を出している製薬企業の不利益になる情報は決して載ることはないのです。CNJは日本で唯一HON認証を取得しています。認証基準には「8.もし、広告がその資金源である場合は、そのことを明確に宣言すること。広告に関する方針を、そのサイトに表示すること。」となっています。しかし、利益相反が起きたときに、どのような基準で判断をするのかは明確ではありません。患者の利益のためなら広告主に不利益な情報も載せるとは言っていないのです。

新版のんではいけない薬 都合の悪い情報を流さないのは原子力ムラだけではないということです。浜六郎氏の新著『新版のんではいけない薬』は、世間の常識、専門家たちの常識には、結構危ない知識が多いと考えている人には参考になるでしょう。少数の反対意見も取り入れて、自分なりに分析・評価しておくことが、わが身を守る最善の方法です。

本の内容から一つ紹介すれば、今政府やがんの情報サイトが熱心に勧めている「子宮頸癌ワクチン」。未だに子宮頸癌を予防したというエビデンスはない。国立がん研究センターは「30代女性の子宮頸癌が増加している」というが、その原因がHPウイルスだという証拠がない。ウイルス感染防止ではなく、ウイルスによる細胞の異型が防止されたかどうかで判定しているのだが、62%で防止できなかった。100種類もあるウイルスの型のなかで、16型と18型以外のHPウイルスには効果がない。

抗がん剤についても一章が設けられているが、近藤誠氏の主張とほぼ同じ。効果のあるがんは10%程度で、大部分のがんは化学療法で腫瘍は少し縮小したとしても延命効果がないか、証明されていないかであり、逆に寿命が縮まることさえあります、と。

中国のことわざに「医者にかからないのは、中くらいの医者にかかったのと同じ」というらしいが、浜氏は、今の時代は「医者にかからないのは、良い医者にかかったのと同じ」になってきたのではないかという。世界一の長寿国に住んでいて、まだそれでは足りないと、ますます健康志向に走っている日本人。いったい何歳まで生きれば満足するのだろう。

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2012年7月21日 (土)

Merrillで撮った写真展『根岸』

増田雄彦氏の写真展「根岸」を見に、EIZOガレリア銀座まで。TwitterのDP2Merrill関連で、発売されたばかりのDP2Merrillで撮った写真展があると流れていたので、行ってみた。ついでに西銀座チャンスセンターでサマージャンボ宝くじを購入。当たりますように。

台東区の根岸界隈を丹念に歩いて撮影した作品が、デジタルプリントと3台のEIZOディスプレイで展示されていた。「写真は印刷して始めて作品だ」との主張もあるが、デジタル時代にはディスプレイでも良いなぁ。もちろんディスプレイのカラーマネジメントがしっかりできていることが前提だ。大画面ならなおさら良い。

東京都台東区根岸。「根岸」と一口では括れないほどたくさんの顔を持つ町だ。旧くは江戸の時代から栄え、多くの文化人からも愛された。関東大震災、戦災をも逃れ、現在でもあちこちに昭和の香りが残っている。三代目、四代目が守っているお店が看板を掲げ、頑なに伝統を守る職人さんが仕事をしている。観光化されていない生粋の下町「根岸」を記録するために、時間の限りSIGMA SD1 MerrillとDP2 Merrillを手にして歩いています。

益田氏の案内はがきにも使われたこの作品、交差点を渡っている学生の両足が浮いている。ブレッソンの「決定的瞬間」を意識?

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作品は、さすがにSD1・DP2のFoveon X3だ。隅々まで精細で、下町の雰囲気が伝わってくる。一部が観光地化した谷中とはまた違って、どこかに取り残されたような風情を感じる古い建物の質感も良く出ていた。欲を言えば、住んでいる人々の表情が欲しかった。猫は出ていたが人物がほとんど写っていない。モノクロの3作品は、これもエプソンのデジタルプリント。これは人物である。印象的な作品だ。インクと紙の解良でどんどん銀塩に近づいているなぁ。

2005年のエプソンのカラーイメージングコンテストに「モノクロプリント賞」が設けられたことがある。エプソンがモノクロもジタルも銀塩と同等に印刷できるはずだと宣言した年である。この賞はその後はなくて、最初で最後のようだが、私の作品『 河川敷の映画看板絵師』が受賞している。その頃を思い出しても、当時はまだまだ銀塩と比較するのも恥ずかしいような印刷だった。しかし今日拝見したモノクロデジタル出力は格段に良くなっている。世の中日進月歩だ。

DP2Mの貸し出しとその場での印刷も行っていた。私も一枚現像して印刷してもらった。用紙はCANSONのフォトグロス・プレミアムRC。がんとの闘病でしばらくデジタルプリントの情報にアクセスしない間に、いろいろなものが出ているようだ。今回購入したDP2 Merrill で密かにモノクロデジタルの作品作りを狙っているのだ。この写真展を見に来た最大の目的が、Foveonで撮ったモノクロ作品のできばえを観察することだった。これならいける。また楽しみと時間を食う作業が増えた。癌になんか、かまっていられない。

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プリントと画像、マラー・マッチングはとれている。

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DP2 Merrill F6.3 1/125秒 ISO200

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2012年7月18日 (水)

低コレステロールはがん死を増加させる

本当に暑いです。熱中症を心配しながらウォーキングする季節になりました。ま、あまり無理せずに気温の高い日にはウォーキングは休むことにします。

メタボの罠―「病人」にされる健康な人々 (角川SSC新書) 少し古い本ですが、大櫛陽一さんの『メタボの罠―「病人」にされる健康な人々』には、2008年から始まったメタボ健診は、産官学の癒着が生んだ「医療費無駄遣い」の政策だと断定しています。原子力ムラで明らかになった同じ構図が、厚生労働行政にも、あたりまえのようにあるんです。メタボの定義、ウエスト周囲径が男性は85センチで女性が90センチ以上。世界的にも不思議な男女逆転の基準です。どうして女性が大きいのかという秘密は、骨盤。臍の位置で測るから骨盤の大きい女性は・・・。中年男性の半数が「病人」になるというメタボ健診は、医療、製薬企業にとってはありがたい政策に違いない。メタボ健診の根拠となった論文の統計のカラクリや学者の論文ねつ造事件も明らかにしていておもしろい。

同じ著者に『コレステロールと中性脂肪で薬は飲むな』もあり、コレステロールを目の敵にする最近の状況を批判している。「善玉」「悪玉」コレステロールという命名にも批判的だ。コレステロールは細胞膜、神経細胞、ホルモンの材料であり体にとって必要なものです。近藤誠氏も『成人病の真実』で同じようなことを書いていた。

総コレステロールが高くなるにしたがって、確かに心血管系疾患による死亡率は高くなるが、逆に総コレステロールが低くなると、がん、肺炎、不慮の事故などによる死亡率が高くなる。(下記の上のグラフ)

結局日本人では、総コレステロールが低くなるほど総死亡率は高くなる。これは総コレステロールが低くなると、がんによる死亡率が高くなることによる。

コレステロールを極力摂らない野菜ジュースだけのような代替療法が、かえってがんによる死亡率を上げているのだろう。

「コレステロールを下げる」とか「中性脂肪に、○○茶」とかの効能を謳っている特保なども本当に必要なのか、御用学者が都合良くでっち上げたデータを元にしているのではと疑ってみた方が良い。

2007年の出版だが、そのころにすでに糖質制限食を勧めるなど、先見性のある著者である。

がんと闘うには体力が必要なんだよ。

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2012年7月17日 (火)

DP2 Merrill で撮った「さようなら原発10万人集会」

この日のもうひとつの目的は、新しく買ったコンパクトデジカメの試写をすること。今使っていいるコンデジは膵臓がんの術後1年に買ったパナソニックのLUMIX LX3。レンズも明るくて良い画像を出すのだが、CCDが小さすぎてノイズが多い。メモ用に使うのなら十分だが、作品とするにはちょっと力不足。術後無病生存期間5年の記念にと、新しいコンデジを探していた。

2月にSIGMAからDP2 Merrill の発表があってからずっとこの機種に決めていた。予約をして7月12日の発売日に入手した。

このカメラの特徴(というより欠点):

  1. コンパクトデジカメで10万円弱は高い。
  2. 内蔵フラッシュは付いていない。
  3. 手ブレ補正機能も付いていない。
  4. 35ミリ換算で焦点距離45ミリの単焦点レンズ。ズームじゃない。
  5. 画像の書き込みが遅い。なにしろ1枚が50MByteもある。
  6. 背面の液晶がきれいではない。屋外では確認しづらい。
  7. オートフォーカスの合焦が遅い。動体撮影など無理だ。
  8. ハイビジョン動画も撮影できない。
  9. バッテリーの持ちが悪い。50枚撮れば「交換しろ」と言ってくる。なにしろ購入時にバッテリーが2個付いているのだから。
  10. コンデジにしては大きい。
  11. レンズが沈筒式ではないからポケットには入りそうもない。

と、ない無いづくしである。なぜこんなに不便なカメラを買う気になったのか。それは、出てくる絵が凄いから。これらの欠点があっても気にならないほどすばらしい画像が手に入るからである。

前のブログの写真も、2枚を除いて DP2 Merrillで撮ったものである。サイズが大きいからココログの1MB制限にはとうてい収まらないので、キヤノンのサイトにアップした。ピクセル等倍の絵を見たら溜息が出るはずである。例えば、この鯨の絵。DP2Merrillから”撮って出し”のままのフルサイズのJPEG画像を等倍で見ると、コンクリートの質感、白髪の微細な濃淡、色の深みに「これがほんとうにコンパクトデジカメの絵?」と驚くはずである。

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この画像の一部を切り取って等倍で表示したものが下の画像。

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コンデジにAPS-Cサイズの一眼レス並みのCCDを、しかもそのCCDは1個のピクセルがRGBの3原色を取り込むことができるFoveon素子である。ベイヤー方式のCCDと比べてカラーフィルターが要らない、ローパスフィルターが要らないから、理想的な素子である。それをコンパクトデジカメで実現してしまったのだから、SIGMAの技術陣に拍手を送りたい。まるで数百万円する中判カメラにデジタルパックをつけた画像とほとんど違わない。

こちらの焼き鳥の大提灯看板。継ぎ足して貼った紙の質感がリアルだし、メニューの文字さえも読める!!

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風呂屋の画像では、左下で腰掛けている人が吸っているタバコの銘柄すら分かりそうなくらいだ。とんでもなく高解像度のカメラである。

ついでにもう一枚。この磨りガラスの質感と左側の目隠しの黒、シャドーの階調の豊かさと照かり具合。何でもない風景・被写体がしっかりと絵になってくれる。持つ者の感性と表現力が試される、怖いカメラでもある。

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さようなら原発 17万人集会

Twitterではリアルタイムでいくつかアップしましたが、昨日の代々木公園で開催された「さようなら原発10万人集会」に参加しました。いや~、楽しかったです。それにしても太陽エネルギーのすさまじさを改めて実感です。昨夜は風呂に入ってひりひりしました。

昨年9月の明治公園に懲りて、早めに出かけたのだが、それでも甘かった。原宿駅から改札を出るにも長い時間がかかり、会場までの歩道は延々と人、人の波。警察も早々に欅通りを車両通行止めにして解放区となってしまった。主催者発表で17万人。こんな規模の集会は40年来(と昨年9月にも書いたっけ)。今日は労組や団体の旗も多い。しかし、私のような個人参加の若者(に限らないが)の姿もたくさん。彼らの特徴は、集会に参加しながらスマホでTwitterをしていること。現場からの実況をネットにアップしているのだ。デモや集会も様変わりしつつある。

坂本龍一さん「福島の後に沈黙しているのは野蛮である」
大江健三郎さん「大事故が収束していない中、再稼働するとは侮辱されているのだ」

その通りだと思う。侮辱されているのに沈黙はないだろう。何かができるはずだとの思いで参加した。官邸前の集会をずっと無視し続けてきたNHKも、さすがに足元の代々木公園で大集会をされたら無視できないと観念したのか、7時からのニュースで1分40秒だけ放映していた。他の民放では詳しく紹介し、中には「とにかく参加してみなさい」とまでいうコメンテーターもいた。

パレードや上空からの写真は「毎日JP」のこちらのサイトをリンクしておきます。

刺青をタツゥーと言うのか。こんな若者も参加している。

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霞ヶ浦の放射能汚染が深刻になっていると、あさざ基金のみなさん。身長は2.6mだよと、のっぽな女性。再稼働に怒れる空飛ぶ鯨?

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<リンク先の画像は、クリックして等倍で表示することができます。ファイルサイズは7MBほどあります。>

2012年7月12日 (木)

親鸞は桂枝雀だ

低線量被曝のモラル低線量被曝のモラル』という本が2月に出版されている。東京大学での討論にいくつかの論文を付け加えたものだ。もちろん福島原発事故による低線量被曝をどのように考えるのかという論考を集めたもの。この中で中川恵一氏は島薗進、影浦峡氏らに反論されて、まともな論陣を張ることができなくて、たじたじになっている。この共著者の中に伊東乾氏がいる。

伊東乾氏は、低線量被曝の問題に、量子力学における不確定性原理の矛盾を突いたシュレーディンガーの猫と、『ふしぎの国のアリス』のチェシャー猫を組み合わせて論考している。その内容はいずれ紹介することにする(つもり)。で、この伊東乾氏は何者かと調べてみたImageyositakapc010 ら、一時期「題名のない音楽会」のディレクターをしたり、つまり指揮者でもあり作曲家でもある。もともとは物理学を学んでいる・・・らしい。先月24日の「題名のない音楽会」は、日本人で始めてロストロポーヴィチ国際チェロコンクールで優勝した宮田大が、ドヴォルザークの「チェロ協奏曲」を弾いていた。いや~、いい演奏だった。

笑う親鸞 ---楽しい念仏、歌う説教 話が脱線したのでもどるが、伊東乾氏の『さよなら、サイレント・ネイビー』は私も読んだ。地下鉄サリン事件の実行犯となった同級生のことを書いたものだ。読んだがあまり同感はできなかった。ともかく多彩な才能のある方だ。この伊藤乾氏が『笑う親鸞 ---楽しい念仏、歌う説教』を出版している! となると放っておくわけにはいかない。

今年に入ってから、親鸞に関する書籍をいくつか開いてみた。『現代語 歎異抄 いま、親鸞に聞く』東大話法の安冨歩氏の『今を生きる親鸞』、田口ランディらの『親鸞 いまを生きる (朝日新書) 』『ほっとする親鸞聖人のことば』。他にも吉川英治と五木寛之の小説『親鸞』、マルクス主義哲学者の林田茂雄による『たくましき親鸞-共産主義者による再発見』などなど、私の書棚にも20冊くらいの親鸞に関する本があって自分でも驚いた。しかし、どうも親鸞の具体的人物像が浮かばない。

69448346v1341931444_2 伊藤乾氏は、小沢昭一さんのビデオの中に「節談説教(ふしだんせっきょう)」という不思議なものを見つけてしまった。ビデオでは坊さんが歎異抄の一節を厳かに歌い語り始めた。と見る間に、落語家桂枝雀のように、高座で飛び跳ねだした。目の前のおばあさんに向かってギャグを連発する。とつぜん人情噺になり、ほろりとさせておいて、歎異抄や教行信証の総序を歌うご讃題とつなげてゆく。

このようにして親鸞は「笑いの元祖」であったという伊藤乾の仮説が提示されていくのだが、この節談説教こそが、落語・講談・浪花節、あらゆる寄席芸の大本であった。

ホワイトボードもPowerPointもない時代に、話だけで聴衆を魅了するには、何らかの仕掛けがいるだろう。それが話芸であり、寺院の建築構造だった。お寺は床下に「魂柱」を入れ、ヴァイオリンやチェロと同じ構造で音が共鳴するようになっていた。その高座で親鸞もきっと笑いながら飛び跳ねていたのではなかろうか、と考えると歎異抄にも親近感が湧く。浄土和讃の中の「宮商和して自然なり」をとりあげて、雅楽の音階である「宮商角微羽の5音」があるのは、親鸞が雅楽の楽器である笙の名手だったかもしれない、少なくとも笙について造詣が深かったはずだという説もおもしろい。

悪人正機説  善人なほもて往生をとぐ、いはんや悪人をや

がん患者はみんな治りたいと思っている。他人はともかく、自分には奇跡が起きて欲しいと願っている。お坊さんも、自分とこの報恩講だけは雨が降りませんように、と願っている。これが「罪悪深重」だ。人間は存在すること自体が罪悪を積み重ねているのである。それをありのまま抱きしめて救ってくださるのが阿弥陀仏である。他人は治らなくても良いが、自分だけは治りたいという、欲深い我々が「悪人」なのであり、その悪人でさえも救われる、それで良いのだと親鸞は教えるのです。

親鸞が笑いながら、飛び跳ねながら説教したのだと想像するのも楽しい。

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2012年7月 8日 (日)

低炭水化物の食事で心血管障害??

日経メディカルオンラインや読売新聞の7月8日付と朝日新聞アピタルに、糖質制限食に否定的な論文が紹介されている。

ハーバード大などのグループが英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表したこの論文について、坪野吉孝氏 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》と江部康二氏がそれぞれコメントを書いている。

ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルの元論文
坪野吉孝氏によるアピタルの紹介記事
③江部康二先生のブログ 7/3 及び 7/8

アピタル上で坪野氏はこの論文を無批判に、肯定的に採用しているようです。日経メディカルオンラインの記事も坪野氏とほぼ同じ内容です。

米国とヨーロッパの追跡調査のうち、肥満者の割合が少ないヨーロッパの結果(心血管疾患リスクが高まる)のほうが、日本人にはより当てはまるのではないか。日本人を対象とした研究が必要だ。
かりにダイエット目的で炭水化物を減らしてたんぱく質を増やすなら、短期間にとどめておいた方が、現状では無難だろう。

一方で江部先生のブログによると、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の公式サイト上に複数の異論が掲載されているそうです。

  • 栄養分析が登録時の1回のみで、15年以上その食生活が継続しているという仮定に無理がある。
  • アンケートによる栄養分析はそもそも怪しい。
  • 塩分摂取量での調節がなされていない。
  • 脂質(の質)をもっと重視すべきなのに全く考慮されていない。

また、北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟医師による「糖質制限食をめぐる議論の沸騰<1>」がMTProから抜粋で紹介されています。こちらも非常に丁寧に反論した内容です。

私が双方を読んだ感想は、坪野先生は該当の論文とBMJに掲載された反論を詳細に読んだのだろうかという疑問です。栄養分析を登録時にアンケートで1回だけ行い、その後15年間は同じ食生活をしたという仮定ですが、素人でもおかしいと首をかしげます。スウェーデンではそのようなこともあり得るでしょうか? 交絡因子が十分に考慮されていないという反論に分があるなぁ、という私の印象です。

糖質制限食がにわかに脚光を浴びてきたところへ、それを否定する論文ですから、マスコミとしては飛びついたということではなかろうかと推測します。坪野先生もそれにうまく乗せられた(乗った?)

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2012年7月 7日 (土)

がん患者の経済的困難

一件公平な報道のようでいて、結局はがん患者の負担はがまんしろと言うのがNHK!

昨夜のNHK特報首都圏は「命の薬が使えない ~がん患者の苦悩~」と題して、鳥越俊太郎、岸本葉子氏が出演していた。

今回NHKが独自に行った2500人の患者と家族に向けたアンケート調査で、治療の経済的な負担が大きいと答えた人が70%以上にものぼった。
医療の進歩でがんは、「長くつきあえる病気」になってきた一方、それを支える最新の抗がん剤などの投与で医療費は高騰。高額医療費を支える制度を利用しても毎月10万円もの薬代を、背負わなければならない患者もいる。また途中で治療を断念してしまう患者も少なくない。

2011年の癌治療学会のアンケートでは、癌臨床医1人あたり1カ月に約1.5人の癌患者が経済的理由で薬物治療を変更・中止を経験していると報じられていました。また、山形大学の調査ではがん患者の4人に1人ががんに罹患したことを理由に失職しているとされています。

医学の進歩によってがんであっても長く生きられるようになった。分子標的薬などの開発には莫大な費用がかかるために、高価な抗がん剤を長く使用することになり、患者の負担が耐えきれないほどに膨らんでいる、こんな趣旨の番組であった。

1錠が9000円の抗がん剤を毎日飲まなければならない。自分の治療費を捻出するために子供の将来に備えた貯金を取り崩している。それも限界なので治療を断面する患者たち。あるいはがんになったために職場を追われ、派遣社員として月8万円の収入、治療費は4万円。結局二つの仕事を掛け持ちして治療費を捻出している。高額療養費制度を利用しても、多くの患者が月に10万円負担している。こんな状態を長く続けられる患者がどれほどいるのか?

月額2万円のつばさ支援基金が紹介されていたが、わずかに50人の患者を支援しているだけだ。なぜ生活保護の「医療単給」を番組で紹介しないのか。

鳥越俊太郎のコメントにはビックリだ。医療費はもう国からは出せないから、お互いに助け合う文化を創ろうだと。3%の消費税が導入されたとき、将来の福祉のためだと説明されたんだよ。それが5%になったときも、公明党は「これで100年安心」だと宣伝した。いま消費税を10%に、つまり200%もの大増税をするという法律が成立しようとしている。消費税を上げる口実に使われてきた社会保障は、いつまで経っても良くはならずに悪くなる一方。それをがん患者が長生きしたからだと言って欲しくない。

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↑ 政府の責任は放置か? 鳥越俊太郎も岸本葉子も、もういなくてよい人物だ。

分子標的薬などの抗がん剤には開発費用がかかるし、特許があるから高額だというのも表面的な分析だ。製薬企業の財務諸表を見れば、開発費用よりも宣伝費用、教育関連費という名の医者や大学、関連学会や患者団体への寄付がより大きい金額を占めていることが簡単に分かるはずだ。それに分子標的薬を自前で開発した大手製薬企業は少ない。新薬の多くはアメリカ政府関連機関が開発したか費用を援助してきたもの、あるいはベンチャー企業がリスクを負って開発し、成功したものを企業ごと買収したものが圧倒的に多いはずだ。

こうした新薬の薬価も、製薬企業からの寄付を受けている医者である審査委員らが、企業の良いなりの薬価を定めている。ここにも原発と御用学者の間にあったのと同じ関係が存在する。

わずか10日ほどの延命効果しかないと証明されている、膵癌に適用されたタルセバが1錠で7000円ほどだ。この程度の効果しかない薬に、これほどの高い薬価をつけることが果たして妥当なのか? なんでもかんでも未承認薬は承認すべきなのか?患者団体もよく考えた方が良い。

標準的ながん治療を受けることすら年々困難になっている状況だ。その一方で、重粒子線治療施設「佐賀ハイマット」を九州電力の寄付を頼りに作るんだとか、しかも中国の富裕層をターゲットにするとかのニュースがあります。何を考えているのだろうか。まだ実験段階の治療法に莫大な税金を含めた金を投入するよりも、金がなくて標準治療も受けられない患者のことを考えろと言いたい。確か国立がん研究センターの、どうしようもない無能な前理事長、嘉山氏も山形大学の重粒子線施設「準備室」の室長として赴任している。

重粒子線・陽子線共に現時点では通常のエックス線による放射線治療を上回る治療成績があるとは言いがたい。陽子線と放射線の治療成績を比較した論文が植松先生のUASオンコロジーセンターに紹介されている。(原文はこちら

  • 陽子線治療は、肺がん、頭頚部がん、消化器がん、小児腫瘍、などで、X線治療に劣る。
  • 陽子線治療は、肝がん、前立腺がんで、X線治療と同等の効果である。
  • 陽子線治療は、小児の脳腫瘍で、X線に勝るようである。
  • 陽子線治療は、大きな眼のメラノーマ(黒色腫)、コルドーマ(脊索腫)で、X線治療に勝る。

大多数のがんではエックス線治療と同等かそれよりも劣るとされている。マスコミが持ち上げる情報とはずいぶんと違う。先日重粒子線治療が先進医療として認められたと報じられたが、エックス線と同程度の効果しかないものを保険適用すれば、また保険財政を悪化させるだけの無駄になる。もっとしっかりと科学的裏付けを取りながら進めるべきだろう。

先日のNHKスペシャル「日本の癌医療を問う」にNPO法人 がんと共に生きる会の濱本滿紀氏が出ていたが、その会の「混合診療解禁についての当会の考え」には次のように書かれている。この会は国民皆保険制度を指示するが、緊急避難的に「混合診療」を、薬剤費のみを自己負担とする「部分的解禁」を要望しているのだという。そうすれば、この会の佐藤均会長の場合ならば、解禁前なら1ヶ月の自己負担金100万円となるものが、半額の50万円となるから「より多くのがん患者が試すことができる」のだという。

これには驚いた。何らかの公的助成を設けることをあわせて要望しているが、実現したとしても全額であるはずがない。となると、いったい1ヶ月に50万円の自己負担を続けられるがん患者がどれほどいるというのだろうか。ずいぶんと金に余裕のある患者が集まったNPOなのかと思ってしまう。

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2012年7月 6日 (金)

がん患者だって原発の再稼働に抗議する

今日は私の膵癌を発見するきっかけとなった先生、いつもインスリンが出ていることを「おかしいなぁ?」と言ってくれる糖尿病専門の先生のところで、5年生存の報告。「あなたの場合は、本当にすべてが良い方にいった。あと3ヶ月遅かったら結果が違っていたよ。」「実は2年も生きるはずがないと内心思っていた」と言われてしまった。ま、いいか。「がんばってくださいよ」と言うから、「いやせっかく拾った命だからがんばるなんてことはしません。のんびりやります」と応えた。

昨夜のチェロレッスンに続いて連日外出。今日は大飯原発の再稼働に抗議する総理官邸前の抗議集会に「がんばって」じゃなくて「のんびり」と参加した。
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国会事故調の報告書では、

報告書は最初の揺れで原子炉が緊急停止後に最大の揺れがあったことなどを根拠に、「安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えない」と指摘。特に1号機では、原子炉内の高圧蒸気を格納容器内に逃す装置が動かなかった可能性があるとし、配管に開いた小さな穴から時間をかけ冷却水が漏れた可能性を否定できないと結論付けた。

と東京新聞が報じている。これが自動車だったら、事故原因すらもはっきりしないうちに欠陥自動車を走らせるようなことはしないだろう。

国会議事堂前駅などは地上に出るにも30分以上かかったとの情報があったので、銀座線の溜池山王駅で降りる計画にした。8番出口から首都高に沿って六本木通りを東進。5時半だというのに、もう歩道は歩けないほどの参加者で一杯。霞ヶ関交差点から国会議事堂前の衆議院南門まで行くのがやっとで、そこから先には大勢の参加者がいて前に進まない。
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この雨だというのに、参加者が減りそうになく、どんどん増えている。この勢いは止まらないで7月16日の代々木公園の10万人集会につながるだろう。亀井静香と志位和夫、福島瑞穂という変な取り合わせの3人が白い風船と並んで演説していた。

がん患者だって、可能な限り行動で意思を表明しなければね。
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2012年7月 5日 (木)

奇跡のデンプン療法は低用量抗がん剤治療だった

千葉徳州会病院の副院長 浅原新吾先生のことは、NHK「あさイチ」のがんペプチドワクチンの報道でよくご存じでしょう。このブログにも何度か登場しています。

全国民必読・医療大特集 がん生還者の告白 元ダウン・タウン・ブギウギ・バンド 相原誠(60歳)「でんぷん療法」で肝臓がんが消えた

現在ビジネス「賢者の知恵」に、元ダウン・タウン・ブギウギ・バンドのドラマーだった相原誠さんの記事が載っています。相原さんが余命3ヶ月の肝臓がんと診断されたとき、奥さんが国立がんセンターと間違えて、その当時は大塚にあった癌研病院でセカンドオピニオンを受けた。その時の主治医が浅原先生。肝臓に抗がん剤を注入したあとデンプンで蓋をする「デンプン療法」で末期の肝臓がんが完全に治癒してしまったという症例が紹介されています。

相原氏が受けた「でんぷん療法」は、おおまかに説明すると次のとおりだ。鼠径部(脚の付け根)からカテーテルという細い管を肝動脈まで挿入して抗がん剤を注入し、薬を閉じ込めるためにでんぷんで肝動脈に蓋をする。でんぷんが溶けるまでの約1時間、肝臓のがんへの血流が止まるため、抗がん剤の局所濃度を高めることができるのだ。
効果が高く、副作用がない

 標準治療の「肝動脈塞栓療法」は、溶けにくいゼラチンスポンジを肝動脈に詰めるため、一度蓋をすると数週間血流が途絶えることになる。それと比較すると、でんぷん療法は短時間の血液遮断で済むので肝機能へのダメージが少なく、繰り返し抗がん剤治療が可能となる。また、点滴や経口投与の抗がん剤治療に比べ、局所的に薬を注入できるので、治療効果が高く、副作用が軽い。

これは一種の低用量抗がん剤治療法ですね。局所には大量に、しかし全体量は少なく、しかも繰り返し行えるから副作用も小さい。「デンプン療法」は少し誤解を受けそうな命名ですね。

がんには時として「奇跡」が起きるから不思議です。ただし、「私に奇跡が起きて欲しい」と願っている人にはやってきませんね。相原さんも「どうでもいいや」と思っているとそれがやってくる、ようです。

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2012年7月 2日 (月)

NHKスペシャル「日本のがん医療を問う」

土曜日のNHKスペシャルは「日本の元利用を問う」。がん基本法が制定されて5年、がん医療は少しは良くなったのか?

がん登録が実施されていないので、施設をまたがって治療を受けるような患者を追跡することができず、治療効果が把握できない。つまり、日本のがん医療においては手術後の5年生存率、抗がん剤治療の5年生存率などのデータが不十分。院内登録でさえ60~70%の患者補足率。統計的に意味のあるデータを出そうとすれば補足率は90%以上なければならない。

これじゃまともな「科学的戦略」は考えることができない。エビデンスや標準治療を標榜したって、データがないのにEBMは無理でしょう。
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抗がん剤の知識を持つ「薬物療法専門医」の数も増えているとは言え、716人。それも大都市などに偏在しているので、地方ではまともな抗がん剤治療が行なわれていない。

Ⅲ期の大腸がんの術後、標準治療として推奨されている補助化学療法を実施していない医療機関が相当数ある。たとえば40~60%の患者にしか実施していない医療機関が109施設もある。

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シカゴ大学に行ってしまった中村祐輔先生も登場していたが、がんペプチドワクチンが、政府・文部科学省が推進してきた「日本の創薬イノベーションプログラム」の目玉だったはずだが、これが拒否されたことが中村教授が日本の政府を見限った理由だろう。日本では研究と新薬承認の間には「死の谷」がある。

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たくさんの問題が未解決だが、出席した小宮山厚生労働大臣は、政府が約束した責任を果たしていないことに対して「縦割り行政が・・・」とか、他人事のようなコメントをしている。そうした大臣に対して、出席したNPO患者団体の2人はまったく抗議する様子もない。がん患者団体は政府・厚労省の下請け機関に成り下がったのか。むしろNHKの若い取材記者が「これまでも計画倒れだが、これから計画通りにいく保証はあるのか?」と突っ込んだ質問をしていた。これは患者の代表との触れ込みで出席している患者団体の2人が言うべきことだろう。

彼らを患者の代表に選んだ覚えはない。がん患者団体が、かってに「患者を代表して」というのには少々辟易している。標準治療を受ければさもがんが治癒するかのような伝え方にも問題がある。

国内未承認の抗がん剤を1年半で使えるようになったと成果を誇示していた。9ヶ月では安全かどうかの確認はできるのか? 国内での臨床試験なしで使えるのは製薬会社にとってはめんどうで金のかかることをしなくて良いから願ったり叶ったりだ。

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