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2012年9月 8日 (土)

植松稔『抗がん剤治療のうそ』(1)

SDIM0919

DP2 Merrill F5.6 1/200 ISO200


近藤誠氏が『抗がん剤は効かない』で、効かない例として挙げたベクティビックスの臨床試験があります。

ベクティビックスは治癒切除不能な進行・再発結腸・直腸癌への適用が認められた分子標的薬です。全生存率(OS)の延長効果がないのに、無憎悪生存率(PFS)が改善しとの理由で新薬として承認されたものです。近藤誠氏は全生存率(OS)に差がないのであるから承認すべき薬ではない、と主張しています。グラフを見れば、確かに延命効果はなさそうです。

Besthi

この近藤氏の主張に対して、この臨床試験はクロスオーバー試験であり、そのことを説明しない時点で近藤氏の主張はアウトだ、との反論がありました。SHO先生のブログなど。 臨床試験中に、BSC(ベスト・サポーティブ・ケア:緩和治療とほぼ同じ)群に振り分けられた患者が再発した場合、何もしないということは人道上問題があるので、その時点で新薬を投与する場合があります。本来新薬投与の予定がない患者に途中から新薬を投与するので、クロスオーバー試験となるわけです。

ベクティビックスの「審議結果報告書」P.51 を見れば、

本試験には463 例(BSC 群232 例、本薬群231 例)が登録され、本薬群で投与が行われなかった 2 例を含む全例が有効性及び安全性の解析対象とされた。なお、BSC 群の177 例(76.3%)が継続投与試験に移行し、176例で本薬が投与された。

と書かれています。BSC群の76.3%の患者にベクティビックスが投与されたわけです。

しかし統計処理上のITTルールというものがあって、後で新薬を投与しても最初の振り分けのままで統計処理をする必要があるらしいのです。76%の患者に新薬を投与したBSC群と、100%投与した本薬群を比較してグラフ化しているのですから、グラフが接近するのは当然だとなります。ただ、この臨床試験がクロスオーバー試験なら、次のことが言えると思います。

クロスオーバー試験でOSに差がないということは、最初から抗がん剤を使っても、腫瘍が大きくなったことが確認されてから使っても、生存率は変わらない。

SHO先生らの反論は的を射ていると思います。しかし、素人考えですが、どうしてこのような処理をするのでしょうか?。3つのグループに分けて考察すれば良さそうなものです。そうすれば実際の効果も明らかになるはずです。

U抗がん剤治療のうそ ~乳がんをケーススタディとして~ (ワニブックスPLUS新書)SAオンコロジーセンターの植松稔先生の新著『抗がん剤治療のうそ ~乳がんをケーススタディとして~ (ワニブックスPLUS新書)』は、臨床試験の「クロスオーバー試験」という性質を巧みに利用して、抗がん剤は急いで使う必要もないし、ほとんどの患者には効果がない、ことをわかりやすく説明しています。

植松先生には、PET検診の結果膵臓がんの転移が疑われたとき、サードオピニオンを受けたことがあります。そして「PET検診はあまり信頼性がないから、もう一度造影CTを撮ってから判断した方が良い」と助言をいただきました。その結果、転移ではなくアーティファクトだと判断されました。おかげで鹿児島まで行って放射線治療をする必要が無くなったのです。こうした経験から、植松先生は自分の病院の経営よりも患者の利益を優先する立派な先生だという印象を持っています。そのときのブログ記事はこちらです。↓

  1. 転移ではなかった
    ポイントの放射線治療をする予定だったが、植松先生の提案でもう一度CTを撮ることになった。昨年のすい臓がんを見つけたときにお世話になった山王の伊藤医院でお願...
  2. サードオピニオン
    接場所へ。「明るいがん治療」の著者である植松稔先生の直接の面接。どことなく若いころの堀内孝雄に雰囲気が似ていました。部屋に入るなり、「元気そうなのでびっく...

(つづく)


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