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2013年1月

2013年1月29日 (火)

ビタミンDの電車内広告

チェロのレッスンの行き帰りで、電車のドア横に張ってあるビタミンDのサプリメントの車内広告が目につきました。大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(1000I.U.) 90粒」で、「カゼの季節の働く人に・・・」などと書かれています。健康食品としてのコマーシャルです。

Naturemadevd

このブログでもビタミンDの話題を頻繁に取り上げてきましたし、がんに対するエビデンスも世界的に多数出てくるようになりました。私自身も、もうかれこれ4年以上、膵臓がんの手術後から一日に1000IU(最初のころは2000IU)のビタミンDを摂ってきました。

ビタミンDに関する最近のニュースでは次のようなものがありました。

Dr.中川のがんの時代を暮らす:/66 日本人向けの予防策
中川恵一先生、原発・放射線被曝に関しては問題の多い方ですが、がんについては傾聴に値する発言もありますね。

ビタミンDと糖尿病、関連する状況証拠が次々
2型糖尿病(膵臓を切除した膵がん患者も)患者には気になる内容です。ビタミンDの血中濃度が低いと2型糖尿病のリスクが高くなるらしい。しかし、摂りすぎても悪影響があるかもしれない。ここにも一日の摂取量は1000IUだと書かれています。

●太陽光を浴びることがすい臓がんのリスクを低下する
太陽光の曝露が多い地域で生まれた人は、少ない地域で生まれた人よりも24%もすい臓がんになるリスクが低いことが明らかになりました。また最も太陽光の刺激に敏感な肌タイプの人は、太陽光の刺激に敏感でない人に比べて、50%もすい臓がんのリスクが低いということです。さらに皮膚がんの病歴がある人は、ない人に比べて、40%もすい臓がんのリスクが低いことも明らかになりました。

がん患者の4分の3以上は、ビタミンD欠乏症を持っている

Wikipedia ビタミンD 日々更新されているようです。
ビタミンD受容体は、細胞の増殖分化に関わっていることが知られている。ビタミンDは免疫システムにも影響を及ぼしているし、ビタミンD受容体は、単核白血球、活性化T細胞及びB細胞を含むいくつかの白血球で作用している[14]。 ビタミンD受容体以外の様々なメカニズムの作用が知られている。これらの作用のうち重要なものの一つとして形態形成に関わるホルモンなどシグナル伝達経路によるシグナル伝達の天然の酵素阻害剤としての作用がある[15][16]

ビタミンD受容体遺伝子の変異マーカーが膵癌患者の全生存期間延長と関連/米国癌学会
ビタミンD受容体の発現増加と関連する遺伝子マーカーを有する膵癌患者では全生存率が高いという。
「今回の知見を受け、われわれは膵癌におけるビタミンD経路の役割にもう一度着目すべきでしょう。なぜなら、癌患者の生存に影響を与える可能性があるからです
CALGB 80303試験に参加した患者とメイヨークリニックで治療を受けた患者の全生存期間に対する影響が共通していたのがビタミンD受容体をコードする遺伝子のSNPであった。
本研究の結果がただちに臨床に応用されるものではないとしているが、ビタミンDの生物学と膵癌の関連について新しい情報をもたらすものと確信している。

このブログの2009年の記事「ビタミンDの腫瘍予防効果」でも書いているように、

ビタミンDの健康効果に関するエビデンスの増加を受け、米国小児科学会では、最近、小児のビタミンD推奨摂取量を これまでの2倍に増やし、またカナダがん協会では、秋冬期間の成人のビタミンDの一般的な推奨摂取量を1000IU/日に引き上げた。

Anticancer_2 海外ではビタミンDの摂取推奨量を大幅に引き上げています。シュレベールの『がんに効く生活』の原書『Anticancer, A New Way of Life』は改訂版が出ています(翻訳はされていません)が、それにもビタミンDに関する内容が大幅に追加されています。

  • New information about how vitamin D strengthens the immune system

本日付の「日経メディカル:記者の眼」に「ビタミンDサプリメントの広告表示とエビデンス」と題した記事が載っています。

ビタミンDは「サンシャインビタミン」とも呼ばれ、紫外線を浴びることでヒトの皮膚でも合成されるほか、魚類や干しシイタケ、卵などにも多く含まれます。カルシウムの吸収を促進して骨の形成を助けるだけでなく、近年さまざまな予防医療分野での研究報告が相次いでいる注目の栄養素であり、より健康であるための摂取量として1日当たり20~25μg(800~1000I.U.)が必要といわれています。

日本では近年、過剰な紫外線対策 や食生活の変化に伴う魚類の摂取減少によりビタミンDが不足しがちで、予防医療の観点で必要とされる血中濃度に達していない人の比率は日本人全体では4人に1人に達するといわれています。そのうち女性に限ると3人に2人が達していないとのことです。

と書かれています。

ビタミンDは魚類とキノコに多く含まれていますが、これらはもっとも放射性セシウムに汚染されている食品です。だからよけいに避けている人が多いのでしょう。私もキノコ類は、関西のものであれ、極力避けています。

一方で、厚生労働省のこちらのページでは、

平成21年の国民健康・栄養調査では男性で平均8.0μg、女性で平均7.0μg摂取しています。男女とも目安量を充たしています。

と、世界的にエビデンスが揃っているにもかかわらず、未だに5.0μg(200IU)を上限としているようです。大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(1000I.U.) 」には25μg=1000IUのビタミンDが含まれていて、200IUの5倍となっているため、栄養機能食品としての宣伝ができません。前の「記者の眼」氏も、厚生労働省の対応にやんわりと注文を付けています。

みなさんご存じの通り、サプリメントや健康食品は、広告表示に厳しい規制がかかっています。その必要性については十分理解していますが、これからは、世界的に発表されている信頼できる論文情報を踏まえた最新のエビデンスを、消費者に直接、分かりやすく伝えることができる仕組み作りこそが必要なのではないでしょうか。

私はこれまで国産のビタミン剤は含有量が低くてコストパフォーマンスが悪いので、海外から代行業者を通じて個人輸入をしてきました。Dr.ワイルのデイリーマルチビタミン(オプティマム・ヘルス)ですが、これがアメリカ以外には発送できなくなったので困惑していました。「スーパービタミンD」ならAmazonからも買うことができ、90日分で762円(送料無料)ですから、個人輸入に頼る必要はなくなります。今飲んでいる在庫が切れたらこれにするつもりです。

大塚製薬「ネイチャーメイド」「ネイチャーメイドスーパー」シリーズ

<私の個人的考えであり、推奨するものではありません。サプリメントに関しては自分で判断して、自己責任で> サプリメントに限らず、がんに関してはすべて自己責任ですが・・・。

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2013年1月27日 (日)

多忙につき

「がんとエピジェネティクス」もあと何回か書かなければならないのだが、ちょっと多忙です。チェロのレッスンには通っているが、自宅での練習は毎日というわけにはいかない。写真を撮りに行きたいのだが、行けずにこれもストレスがたまっている。

原因はパソコンへのインストール作業。JAVAのプログラム開発環境を構築しているのだが、これに手こずっている。

以前にEclipse 3.2 でJAVAのプログラムを作ったことがあったが、その後ご無沙汰している。膵臓がんが見つかる前だから、相当の昔だ。Eclipseが大幅にバージョンアップして4.2となったのを機会に再挑戦しようというもくろみだ。

OracleのサイトからJDKをインストール。Eclipseは日本語環境のセットとなっているPleiades all in one で、これにはEclipse 4.2 JUNOとその他のプラグインがすでに入っている。ここまでは簡単だったが、Android SDKをインストールするところがうまくいかない。書籍やネットに書かれている情報が古いのだ。いや、Android SDKの更新が頻繁で、本がついて行けないのが真相だ。GoogleはAndroidに相当力を入れていると感じる。

私のPCのOSがWindows7 64ビットなので、JAVAもEclipseもすべて64ビット用をインストールしたのだが、これも悪かったらしい。どうやら64ビット用はまだ不安定なようだ。アンインストールして32ビットのものを再インストールした。

書籍の発行元のサイトにある「正誤情報」を見つけ、それにしたがって実行したらやっと動いてくれた。それやこれやと、何度もアンインストールを繰り返しているうちに、パソコンの調子が悪くなった。

システムの「復元」をしようとしたら、これがまた不調。システムデータが保存されていない!!。いつのまにか消えている。Cドライブの容量不足かもしれないと、パーティションを切り直してDドライブを減らしてCに持っていった。

レジストリをいじったり、あれこれ試行錯誤の挙げ句に、ほぼ元通りになるまでに丸三日を費やしてしまった。

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Androidの携帯とタブレットで、あるアプリケーションを開発することを念頭に導入した。以前から「命があればやってみたい」と考えていたものです。幸いなことに再発のリスクは相当低くなった(ゼロではない)と思われるので、今のうちにやりたいことをやってみようと、一大決心したのです。好きなことができるのは一番幸福だと思います。チェロも写真も、忘れないようにしなければ・・・。

「エピジェネティクス」はおもしろいですね。これも複雑系的思考でしょう。

2013年1月24日 (木)

膵臓癌の術後生存期間、GEMよりもTS-1が優位

膵臓がんの術後補助化学治療としてゲムシタビン(GEM、ジェムザール)とTS-1の比較を、日本全国の33施設でおこなった第Ⅲ相試験の中間解析結果がニュースで流れています。

日経メディカルオンラインの「膵臓癌の術後生存期間がTS-1で改善」が、もっとも詳細に述べられています。

予後が悪い癌の筆頭である膵臓癌の生存期間が手術後の補助化学療法で改善することが、日本全国の33医療機関が参加した第3相試験の結果、明らかになった。この試験の名称は「JASPAC 01」。

日本では現在、進行再発・手術不能膵臓癌にはゲムシタビン(GEM)とTS-1が使用されるが、その延命効果は同等であることが証明されている。GEMとTS-1はともに、癌細胞のDNA合成を阻害することによって、効果を発揮する抗癌剤だ。

今回報告されたJASPAC 01試験は、手術で切除可能と診断されたI期~III期の膵臓癌患者385人を手術後に、既存の標準治療薬であるゲムシタビン(注射薬)を投与する群(GEM群)、TS-1(経口薬)を投与する群(TS-1群)の2群に割り付け、全生存期間、2年生存率、無再発生存期間を比較するというもの。

症例の登録は2007年4月から2010年6月までの3年3カ月にわたって実施された。2012年7月までの追跡データに基づいて中間解析を行った結果、第三者評価機関である「効果・安全性評価委員会」から中間解析の結果を早期に報告するように勧告され、今回の発表となった。

その結果、全生存期間はTS-1がGEMより優れていることが統計学的に証明され、ハザード比は0.56(95%信頼区間:0.42-0.74)だった。2年生存率は、GEM群の53%に対して、TS-1群は70%。また無増悪生存期間(中央値)はGEM群の11.2カ月に対してTS-1群は23.2カ月でハザード比は0.56(95%信頼区間:0.43-0.71)であった。

膵臓がんの術後補助化学療法においてGEMが標準治療となったのは、ASCO 2008におけるCONKO-001の最終報告で、手術単独群よりもGEM6ヶ月投与した群の方が全生存期間を有意に延長したというものでした。このブログではこちらこちらに紹介。

それ以後、いろいろの抗がん剤の試験が行なわれましたが、GEM以上の成績を出すことはできなかったのです。

このJASPAC 01試験については、Sho先生のブログで、「膵癌術後補助化学療法の転機?」と題して、昨年の9月時点ですでに感想を述べられています。(情報が早いですね!)

Sho先生が、早速このニュースを受けて「膵癌術後補助化学療法の転機?(2)」を書かれています。

大鵬薬品:膵がん切除例を対象としたTS-1臨床試験(JASPAC 01)に関するお知らせ

   

ASCO2011のGEST試験では、「進行膵癌にゲムシタビンとS-1の併用療法はゲムシタビン単剤をOSで上回れず、S-1はファーストラインで利用可」として、TS-1の非劣性が証明されていたのです。今回の試験は術後補助化学療法においても「非劣性」を証明する目的で行なわれたようです。しかし予想に反して(思いがけなくも)期待以上の結果が出たというわけです。今回は、より詳細なデータを付けてマスコミに向けて中間発表を行なったものです。

ASCOの結果とあわせれば、膵臓がんの術後補助化学療法では、

     手術単独 < GEM < TS-1

となります。今後はTS-1が標準となるのではないでしょうか。2年生存率で単純にみれば、GEMでなくTS-1を投与していたならば、13%の患者が生存できたということになります。5年生存率はどのくらいになるのでしょうか。CONKO-001の結果では、GEMで15%程度ですから、20%以上あるいは30%にまでなってくれると良いですね。

(メディアによっては「S-1」と書いている場合もありますが、正確には「TS-1」です。「T」は大鵬薬品のT。最初の商品名は「S-1」であったものを、商標登録の問題でTS-1とした)

TS-1の開発者である白坂哲彦氏のインタビューなどが載っています。

2013年1月23日 (水)

がんとエピジェネティクス(4)がんの原因は?

エピジェネティクス 操られる遺伝子 以下は『エピジェネティクス 操られる遺伝子』の第11章「デビルに幸いあれ」からの要約です。

細胞が変質してがん細胞になる過程については二つの仮説がある。ひとつは、がん細胞はニューロンや皮膚細胞などのように完全に分化した細胞が、脱分化して幹細胞のような増殖能力を取り戻したのががん細胞だという説である。(脱分化説)

もうひとつの「幹細胞説」では、正常な体性幹細胞であったものが、何らかの原因でがん幹細胞に変化したのだとする。このがん幹細胞が分裂するときには、一個のがん幹細胞と一個のがん細胞になる。つまり、がん幹細胞は分裂を繰り返してもその数は増えないが、がん細胞は二個、四個と倍々になっていくので、最終的には少数のがん幹細胞と、おびただしい数の分化の進んだがん細胞で構成されるようになる。

現在は「幹細胞説」の方が多くの支持を集めているように見える。しかし、がん細胞はどのようにしてがん化するのであろうか。そのダイナミックなメカニズムはどのようなものなのか。

これまで40年以上にわたって正解とされてきたのは、「体細胞突然変異説(SMT)」と呼ばれている説明である。一個の細胞の遺伝子が変異を起こし、それが主な原因となって細胞が異常に増殖する。増殖する細胞集団の中で、さらなる変異が蓄積し、多様に変異した遺伝子が混在するようになる。それらが競い合ってますます悪性になり、ついには転移能力を獲得するようになる。つまり、がんは発生から転移にいたるまで、常に遺伝子の変異の問題として語られる。

「体細胞突然変異説(SMT)」はまた、がん遺伝子とがん抑制遺伝子の問題であるとして、アクセル(がん遺伝子)とブレーキ(がん抑制遺伝子)の例に例えられる。(「がん情報サービス」細胞ががん化する仕組み

第二の理論は「がんの異数性理論」と呼ばれる。細胞分裂の歳に完全な染色体を維持するはずの遺伝子に欠陥が生じ、染色体の数が多すぎたり少なすぎたりして、遺伝子の制御が混乱し、がんが進行するとする。

SMTも「異数性理論」も、最初の異常が体性幹細胞で起きるのか、分化した細胞で起きるのかについて答えを出すことはできない。何か別の治療法を提供するものでもない。

エピジェネティクス 操られる遺伝子』には、タスマニアデビルという肉食有袋類に発生する特殊な腫瘍、「デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)」が紹介されている。寄生性のがんであり、食物を通じて直接伝染するがんである。

タスマニアデビルのDFTDでは、多くの染色体異常が起きているが、すべての細胞で同じ異常が、しかも長期的に続くのである。これは「異数性理論」のシナリオと矛盾する。一方で、体細胞突然変異説(SMT)によってもこの謎は説明できない。

多段階発がん説をはじめとする現状の「細胞のがん化」理論には多くの説明できない謎が存在し、いまだにがん化の原因は明確になっていないのである。つまり、すべてが「仮説」の段階なのだ。

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2013年1月21日 (月)

ウィルコ・ジョンソンの選択

ロックのギターリスト、ウィルコ・ジョンソン(65歳)が末期の膵臓がんだと公表し、余命は10ヶ月とか半年とかだとのニュースが流れています。Twitterで「膵臓がん」で検索すると、最近ではウィルコ・ジョンソンの話題ばかりの状況です。先日1月10日からの日本における最終演奏ツアーもすごい盛況だったようです。あいにくと私はロックには興味がないので、彼の演奏も聴いたことがないし、名前も最近知ったばかりです。

私が興味を惹かれたのは、ウィルコ・ジョンソンのマネジャーが「化学療法は受けない。延命治療はしない。残された数か月の人生を意義ある活動に専念していく。ニューアルバムも出します」とFacebookで公表したことです。抗がん剤治療を拒否するにいたった心境を知りたいと思ったのですが、本人からの発言はまだ見当たりません。

2004年に愛妻のアイリーンが大腸がんの告知を受け、わずか4ヶ月後に亡くなっています。そうした経験が影響しているのでしょうか。また、彼は若いころにピッピ-としてインドやネパールを放浪しています。無神論者ですが新約聖書、旧約聖書に精通し、仏教やヒンズー教にも造詣が深いとのことです。そのような下地があって延命治療はしないという選択をしたのでしょう。

末期がんでどのような治療をするか、正解はないと思います。人それぞれの価値観にしたがって選択するしかありません。奇跡的に治癒すること(ほとんどありえない)を期待してつらい抗がん剤治療を続けるのか、治らなくても、副作用がつらくても、1日でも長くこの世に生存したいのか。QOLが大事だから、最後まで清明な意識を保って人生をまっとうしたいのか。副作用が出ない程度の少ない抗がん剤を投与して、がんを騙し騙し共存していくのか。どれが正しくてどれが間違いだということではないと思います。

でも、抗がん剤治療をしないという選択をするには勇気が必要でしょうね。膵臓がんなら茶長さんという方がいました。乳がんなら渡辺容子さんがその闘病記『乳がん 後悔しない治療──よりよく生きるための選択』を出版しています。

2013年1月19日 (土)

その後の血糖値推移

昨日はいつもの糖尿病治療専門病院に。
血糖値は135mg/dlで、HbA1cは8.0
血糖値:305 → 170 → 135
HbA1c:8.5 → 9.2 → 8.0

と、まぁ徐々に下がってきています。HbA1cは高いが、これは数ヶ月の血糖値の平均を反映しているので今後は下がってくるはずです。

HbA1cの目標値である5.8~6.4%というのは、空腹時血糖値を100~110mg/dl、食後2時間血糖値120~169mg/dlの範囲内に収めれば達成できる、と言われていますから、135mg/dl程度で推移すれば可能です。いまの糖質制限食を継続するつもりです。ただ、3食とも主食を摂らないスーパー糖質制限食である必要はないので、摂りすぎないように気をつければ良いでしょうとの、先生の助言でした。

主食を抜いているためなのか、血糖値が高いせいか、体重が60kgを切って、59.8kgまで落ちました。60kg以下となったのは手術以後では初めてです。

アメリカ糖尿病学会がHbA1c(NGSP:%)を、過去の平均血糖値(eAG:mg/dl)に換算する式を発表しています。    

eAG=28.7×HbA1cー46.7

これと、下の日本糖尿病学会の管理基準

20120306honki1
および、私の最近の血糖値を一枚の表にしました。
Imageyositakapc032 今回の血糖値135mg/dl程度を維持すれば、HbA1cは6.3%位になります。120mg/dlを目標とすれば、HbA1cは5.8%になりそうです。

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2013年1月14日 (月)

がんとエピジェネティクス(3)放射線の影響

ドーキンスの『利己的遺伝子』に代表される「生命は遺伝子によって支配されている」というセントラル・ドグマを否定する科学者が増える一方で、ICRPなどの放射線影響に関する国際的組織は、いまだに遺伝子がすべてを決めていると信じているようだ。放射線がDNAを切断し、その結果がんを発症するの一つ覚えです。しかも彼らが放射線の影響としてカウントするのは、がんによって死亡した場合だけです。

チェルノブイリ原発事故による影響は、子どもの甲状腺がんだけであるとして、それ以外の心臓血管系の疾病を含めた、他の病気による県境への影響は無視してきた。ベラルーシで被曝者の間に起きているたくさんの身体の異常、不健康な子どもが圧倒的に多いという事実も「疫学的に証明されていない」として、原発事故の影響ではないとしてきた。たぶんフクシマでも同じことが起きるだろう。そして「疫学」のもとに無視されるに違いない。

重イオンマイクロビーム放射線によって数個の細胞にだけ放射線を照射しても、その周囲の細胞が影響を受けることが発見されている。これがバイスタンダー効果である。ゲノム不安定性も含めてエピジェネティックな現象とされている。また、ペトカウ効果もエピジェネティックな現象と考えられるかもしれない。

放射線によるエピジェネティックな影響については、綿貫礼子氏が先駆的に指摘している。『放射能汚染が未来世代に及ぼすもの: 「科学」を問い、脱原発の思想を紡ぐ 』で、

一方、放射線はゲノム不安定性やバイスタンダー効果などを通して、DNAメチル化などエピジェネティックなパラメーターを変化させ、遺伝子の発現を変化させている。バイスタンダー効果は、細胞レベルだけでなく、組織、器官、そして生物個体でも現れることが示されている。頭部へ局所的にX線を照射したマウスでは、総体的なDNAメチル化レベルが減少することが明らかになっている。また、照射された頭部から離れた脾臓内で、メチル化パターン変調の鍵となるタンパクのレベルを変化させることが示されている。

次のような仮説(懸念)も提示している。

  1. セシウム137の体内蓄積による放射線の内部被曝によって、エピジェネティックな変化が生じる。その結果、女性の生体内でホメオスタシスのアンバランスを介して生殖の健康が損なわれる。
  2. その女性が妊娠したとき、胎児は子宮内に蓄積しているセシウムによって被曝し、発生の重要な時期にエピジェネティックな変化が生じ、生後の外的要因(新たなセシウムの外部・内部被曝を合む)に対して非常に脆弱となり、病気に罹りやすい体質となる。

2章では、『放射能汚染が未来世代に及ぼすもの(チェルノブイリの未来世代に何が起ころうとしているのか―手探りの調査から「仮説」までの研究アプローチ;仮説ポスト・チェルノブイリ世代の非ガン疾患増加に対する放射線影響―エピジェネティクスの観点から)』としてチェルノブイリの影響をエピジェネティクスの視点から捉えようとの試みを提案している。

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2013年1月13日 (日)

がんとエピジェネティクス(2):エピジェネティクスとは?

遺伝子の実態はDNA(デオキシリボ核酸)で、ワトソンとクリックが発見したように二重らせんの構造をしています。しかしDNAは二重らせんのままむき出しになっているのではなく、そのまわりに多様な有機分子を結合しています。いわば腕をワイシャツの袖で覆っているようなものです。DNAは衣服をまとい装飾品で飾りたてているのです。

この有機分子が、遺伝子を活性化(タンパク質を作る指令)させたり不活性化させたりするのです。遺伝子には自分自身を活性化させることはできません。どういうタイミングでどの遺伝子を活性化させるかは、細胞核の外からの情報として与えられます。しかもこれらの有機分子は長時間同じ遺伝子にくっついている、場合によっては子孫にまでその状態が引き継がれるのです。遺伝するのは遺伝子だけではないのです。

「エピジェネティクス」とは、遺伝子の働きを調整するこれらの分子が、どのようにして遺伝子をコントロールしているのかを研究する学問分野で、21世紀のこの十年間で急速に発展している分野です。特にがんに関するエピジェネティクスはよく研究されています。がん細胞内では多くの遺伝子がメチル基を失って「脱メチル化」していることが知られています。これによって遺伝子活動の異常が生じます。細胞増殖を抑制できなくなるのです。がんは遺伝子の突然変異によっても生じますが、多くが遺伝子の脱メチル化なのです。突然変異は元には戻せませんが、脱メチル化は、エピジェネティックなものなので元に戻すことができるのです。この点に将来への大きな希望があります。

細胞をパソコンに例えることができるでしょう。遺伝子あるいはゲノムはハードディスクです。ここに基本的なOSや動作の設計図であるプログラムが書かれています。しかしこれだけではパソコンは動きません。プログラムを起動し、キーボードやLANを経由したインターネットの情報を整理して(環境の情報を取り入れて)、次にどのような動作をするべきかを指令する装置が必要です。パソコンではCPUです。細胞では、実は細胞膜がその役割を果たしているのです。

遺伝子は単なる設計図の格納庫です。重要な設計図ですが、例えれば、ハードディスクがなければパソコンとしてほとんど機能しないでしょう。しかし、ハードディスクだけでパソコンが動くと考える人はいないはずです。

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2013年1月10日 (木)

がんとエピジェネティクス(1):「がんもどき」理論

近年、生物学あるいは遺伝学の分野で「エピジェネティクス」が話題になっています。私はこの分野では門外漢ですが、がん患者としての立ち位置から、がんとエピジェネティクスの関係について考察してみます。勘違いや間違いもあるかもしれませんが、がん患者が関心を持つ一助になればとの想いです。導入部として近藤誠氏の「がんもどき」理論を取り上げます。

近藤誠氏の「がんもどき」理論(というよりは仮説)には賛否両方あるようです。こちらのブログにも書いたように、中村祐輔氏は最近の著書『がんワクチン治療革命』で、「がんもどき」は存在しないのだから、仮説の前提が間違っている、荒唐無稽な話だと一蹴しています。返す刀で、国立がん研究センターが、がん難民を大量につくりだした元凶だ、とも批判しています。

「平穏死」10の条件』や『胃ろうという選択、しない選択 』の著書のある長尾和宏氏は、アピタル「町医者だから言いたい!」の「近藤誠先生の功績」で次のように言っています。

私は、基本的に近藤先生のファンです。
近藤理論に賛成できる点が多いのです。
7割賛成、3割反対みたいな感じです。

2 がんもどき理論の本質
「がんもどき理論」の本質を私なりに解釈すると、
「治らないものは治らない」に尽きると思います。
すなわち医学・医療の全否定ということになります。

しかし、本物のがんとがんもどきに完全に二分できません。
現実はそんなに単純ではなく、現実との乖離がありすぎます。
考え方は面白いですが飛躍があるので埋める作業が必要です。

3割の「反対」のなかに”現実との乖離がありすぎ”る「がんもどき」理論も入っているというわけです。「がんの放置療法」には賛成の長尾氏も、「がんもどき」理論は現実とあわないと言っているのです。1月8日付の「近藤理論の反省すべき点」では、更に具体的に批判しています。

近藤誠氏は『あなたの癌は、がんもどき』のなかで、「そもそもがん細胞の性格は、遺伝子セットのプログラムで決まります」「各臓器の細胞から発生するがん細胞は、各臓器の細胞と(したがって受精卵と)同じ遺伝子セットを持っている。異なるのは、発生臓器の細胞とは違うプログラムが作動しているという点です」と書いています。(P.51)

近藤氏の、遺伝子のプログラムがすべてを決めている、というのは20世紀の生物学・遺伝学です。遺伝子が指示を出し、細胞がそれを実行するという理論、遺伝的プログラムの概念には致命的な欠陥があります。それは遺伝子をソフトウェアとみなし、細胞をハードウェアとするものだが、遺伝子はハードウェアの一部であり、指示も出すだけではなく、指示を与えられているのです。相互に複雑に関連している「複雑系」として考えなければなりません。

一個の細胞の遺伝子が変異を起こし、それが主な原因となって細胞が異常に増殖する、というのが、これまでの40年間にわたって信じられてきた説明でした。そして増殖する細胞集団の中で、更に変異が蓄積してさまざまに変異した遺伝子が混在するようになる。この多様な遺伝子は互いに競い合うように悪性となり、ついには転移能力を獲得するようになる。がんは発生から転移にいたるまで、すべて「遺伝子の変異の問題」だというのが、「体細胞突然変異説」といわれる、近藤氏も「遺伝子プログラム」論を信じているようです。

しかし21世紀になって、がん研究者は、がんのエピジェネティックな変化に注目しています。この理論によれば、末期がんの「自然緩解」も、エピジェネティックなプロセスの逆行として説明できるのです。

「エピジェネティクス」については、福岡伸一氏の

              エピジェネティクス入門

が、3回の連載でやさしく解説されています。

愛知県がんセンター研究所の近藤豊先生の、

              がん細胞を制御するエピジェネティクス

は専門的ですが、図解を多く用いて解説しています。

私のおすすめの書籍を上げておきます。

2013年1月 5日 (土)

正月の墓参り

今日は墓参り。ご先祖さまに新年のご挨拶ということで、台東区竜泉にある菩提寺の西徳寺へ行きました。西徳寺は浄土真宗仏光寺派のお寺であり、歴史的にも親鸞の流刑の地である越後とのつながりの深い寺です。八百屋お七による「振袖火事」などにより3度も火災に見舞われています。

竜泉は吉原も山谷も間近である。歌舞伎も昔は「河原乞食」といわれたころから代々受け継がれているのだが、現代の人気俳優並み、裕福な有り様とはずいぶんと違っていたようだ。そうした縁もあり、中村勘三郎などの墓所が、この西徳寺にあります。

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昨年亡くなった十八代目中村勘三郎さんもここに眠ることになるのでしょうね。納骨の儀があるのでしょうか、境内ではなにやらテントなどの設営をしていました。

竜泉は樋口一葉の「たけくらべ」の舞台でもありますね。一葉ゆかりの祈念碑などがたくさんあります。

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道路の反対側には鷲神社があります。ついでだから、(ついでじゃ罰が当たるか?)初詣をしました。お寺の次が神社とは御都合主義ですが、日本人なら気にしない。正月の「浅草七福神」巡拝の観光バスが何台も止まっていた。

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鷲神社の鳥居の向こうにはスカイツリーもチョコッと頭を出していました。

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「なでおかめ」は、おでこをなでれば、賢くなり、目をなでれば、先見の明が効き、鼻ならば金運が、向かって右の頬は恋愛成就、左は健康になるという。私はもちろん左の頬。

若いカップルが何組もいたが、右の頬をなでているカップルはいなかったなぁ。いいんだろうか。

恋路にも知恵大事と初詣

2013年1月 3日 (木)

福島菊次郎「ニッポンの嘘」

今日は正月三が日の最後。キネカ大森に映画を見に行った。「ニッポンの嘘=報道写真家 福島菊次郎90歳」。

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広島の被爆者を撮り、その受賞を機会に上京してプロの報道写真家を目指した福島さんの半世紀が、作品を通して描かれている。原爆で生き残った者に対してさえも、拳銃を突きつけてABCCの検査を強制するアメリカと、それに唯唯諾諾と追随する日本政府。天皇の戦争責任を問い、三里塚成田闘争の現場に駆けつける。

そして3.11以後、福嶋の現場で、ときによろめきながらもシャッターを押し続ける。津波で首のとれたお地蔵さまを、丹念に撮る。

ヒロシマもミナマタも、そしてフクシマも「すべて嘘で固められていた」、いやニッポン全体が嘘なのだ、という口調は彼の生きた人生から得た確信だろう。

そうに違いない。昨日まで放射線管理区域からは汚染された物は持ち出せはしなかった。管理区域内では一切の飲食は禁止であった。その旨を「掲示しなくてはならない」と法律に書かれていた。放射線管理区域を廃止するときには、例え汚染の可能性のまったくない、密封された固体の金属同位元素を使っていた施設でさえも、スミヤ法での拭き取りとサーベイメータによる測定で「汚染がないことを証明する」ことが要求されたのだった。私の放射線管理業務に関わった30年の経験では、こういうことは幾度もあった。「密封線源だよ。汚染されているはずはないじゃないか。これだから役人は杓子定規だと言うんだ」と、ばかばかしいとは思いながらも、ふきんで床を拭いてはサーベイメータで測定し記録をしたものだった。もちろんほんの少しでも汚染が見つかればたいへんな騒ぎになる。徹底的に除染することを要求されるのだ。

放射線障害防止法では、放射性同位元素を「密封線源」と「非密封線源」の大きくふたつに分ける。「密封」とは通常の使用状況では中の放射能が漏れる恐れの無い物のことをいう。金属製のカプセルに入れられて溶接されているような場合だ。「非密封」とは気体の放射性同位元素、液体でガラス瓶に入っているものなどをいう。密封線源だけを扱う施設では、非密封のそれに比べて施設基準も管理基準もはるかに緩やかなのである。

ところがどうだ。3.11後は東京都内の多くの場所が、非密封の放射性同位元素で汚染されている。1平方メートルあたり4万ベクレルという管理区域の設定基準を超えているのだ。密封されていない核種が生活の場に存在するという異常事態である。「直ちに健康に影響はありません」と枝野は言った。直ちに影響がなければ許されるのなら、3.11以前の文科省や経済産業省の対応はいったいなんだったんだ。都合が悪くなったら法律を変える、新たな法律を作る。これを世間では「後出しじゃんけん」という。一方で放射線を扱う施設では、これまで通りの法律と管理基準と役人の「ご指導」が変わることなく続いている。これが嘘でなくて何を嘘という。

もちろん、これも「ニッポンの嘘」のひとつだ。「本音と建て前」ということではないんだ。そうではない。彼らの本音は、国民をコントロールするためなら嘘をついてもよいのだ、ということだ。

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