« 2013年7月 | トップページ | 2013年9月 »

2013年8月

2013年8月31日 (土)

ビタミンDの必要量:国立環境研究所

8月30日付の毎日新聞に「ビタミンD不足:北日本は長時間の日光浴を」との記事が載りました。国立環境研究所の研究によれば、厚生労働省の基準で成人に最低限必要な1日5.5μgを日光浴で作るためには、12月の晴れた日の正午に顔と両手を露出した状態で、那覇7.5分▽つくば22.4分▽札幌76.4分と、札幌ではつくばの3倍以上の時間がかかることが明らかになった、とのことです。

国立環境研究所の記者発表資料はこちらにあります。要点は、

  • ビタミンDについて、現代の日本人の多くは慢性的に不足している
  • 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」では、成人について1日のビタミンDの摂取目安量として、最低5.5μg、上限50μgを推奨している
  • 諸外国では、もっと多くのビタミンD摂取を推奨する研究者もいる
  • ビタミンD欠乏は世界的に問題となっており、高緯度に位置する北欧諸国などでは、日光浴不足によるビタミンDの欠乏を補うためにサプリメントの摂取が積極的に行われている
  • 紫外線は有害であるとの考え方が浸透し、太陽光をなるべく浴びないようにするという風潮が広まってきたことも、近年のビタミンD不足の一因
  • ビタミンDには、骨の生育に必須な血中のカルシウム濃度を高める作用のほかに、免疫作用を高めたり、さまざまな病気の予防効果があることが判ってきている
  • ビタミンDが不足すると、骨へのカルシウム沈着障害が発生し、頭蓋ろう、くる病、骨軟化症、骨粗しょう症などの病気が引き起こされるほか、高血圧、結核、癌、歯周病、多発性硬化症、冬季うつ病、抹消動脈疾患、自己免疫疾患などの疾病への罹患率が上昇する可能性が指摘されている
  • ビタミンDは魚やキノコなどの食物や、場合によってはサプリメントによっても体内に補給することが可能です。また、1日に消費される以上に得られたビタミンDは体内で蓄積され、ある程度はその効果が持続することが判っています。

Imageyositakapc001

関東(つくば)では7月なら5~10分で最低必要量を確保できるのですが、12月の15時なら270時間も必要です。日光浴だけでは全体的に不足しがちだと言えます。カナダ癌学会では成人の必要推奨量を1000IUとしています。厚生労働省の基準は低すぎるような気がします。

2006年の研究では、2つの長期健康調査による12万人以上の調査対象者でビタミンDの米国摂取基準(400 IU/日)の摂取により、膵臓癌のリスクを43%減少させたとする[73][74]。しかしながら、男性喫煙者では、25-ヒドロキシビタミンDの血中濃度が最大の群と最小の群(5分割群)を比較して3倍の膵臓癌のリスクがあるとした[75]

2007年6月に発表された無作為に抽出された1200人の女性を対象とした研究では、ビタミンDの摂取(1,100 IU/日)は、4年間の臨床試験で、癌の発生率を60%減少させ、最初の1年後では77%減少させたとしている(なお、ビタミンDの投与前に起因していた と思われる癌は除かれている)[76][77]。ビタミンDの摂取の別の研究で発見された長期間にわたる癌全般の増加を考慮に入れていないことを含め[78]、幾つかの点でこの研究は批判されているにもかかわらず[79]、カナダ癌学会(全国規模の有志による組織)は、成人は1日1,000IU(政府の発表した必要量の5倍)を摂取すべきと2007年に勧告している[80][81]

摂取基準をIU単位に直すと、5.5μg(220I.U.)~50μg(2000I.U.)となります。私は大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(1000I.U.) 90粒」を毎日摂っているので、必要量は満たしています。ただ、この猛暑のおかげで日光浴も十分だと思った日は服用はしていません。基本は食事から、さらに外に出て歩くなどの運動で紫外線を浴びることです。運動もがんの再発転移防止に効果が証明されていますから、一石二鳥です。ただ、5.5μgは最低の必要量ですから、摂りすぎない範囲でサプリメントで補充するようにしています。

魚やキノコ類には豊富に含まれているのですが、3.11以降は心配です。市場に出回っているキノコからも未だに100Bq/kg以上の放射性セシウムが検出されています。検出限界以下であったとしても、3.11以前に比べれば数百倍の放射性核種を含んでいることはまちがいないです。

例によって、ビタミンDに関する過去の記事は右上の検索窓で「ビタミンD」と入力すれば表示されます。

続きを読む "ビタミンDの必要量:国立環境研究所" »

2013年8月30日 (金)

弱者いじめに熱心な政府

久しぶりに体重を量ったら58.7kgになっていた。6月は60.9kgだから、2kgの減。猛暑だったから夏ばてのせいかも。ま、変動の範囲内。食欲は落ちていない。昼間は今日も36度の猛暑だが湿度は低く、朝晩は過ごしやすくなったので、ウォーキングを再開している。空はもう秋の雲だから、写真も撮りに行きたい。

来年4月からの消費税増税が予定されています。社会保障の充実のためだそうです。一方で70~74歳の高齢者の自己負担割合を2割に戻そうと考えているようです。産経新聞の試算でも、平均で45,000円から74,000円に負担が跳ね上がると報じています。抗がん剤を投与しているがん患者では、高額療養費制度を使っても相当な負担増になりそうです。

生活保護費も予算が1.5%減の670億円を減らすとか。生活保護費は減らして、国防費はその2倍の1400億円増額するとは、オスプレイを買うための生活保護費を削減だろう。軽自動車税を上げることも予定されている。全部弱いものいじめではないか。

消費税増税の一方で法人税は下げるそうです。これって、お金に色はついていませんから、社会保障費を消費税でまかない、余ったお金で法人税を下げるということですよね。200兆円もの内部留保を積み上げた大企業に大盤振る舞いです。これは食うや食わずの人から取り上げたお金を、多額の貯金のある人に差し上げるということですね。黄門様なら悪代官を懲らしめてくれるのでしょうが。

紹介状なしで大病院を受診したら10,000円を別に徴収することも計画しているそうです。私は腸閉塞で2回大学病院に駆け込んだのですが、これからは10,000円を余分に取られるということか。救急車を呼ぶほどもないと歩いてERに行ったのだが、これからは遠慮せずに救急車を呼んだ方が良いのかも知れません。(救急で行っても1万円なのかどうか調べていませんが)

『9割の病気は自分で治せる』とか『医者に殺されない47の心得』などの「医療否定本」が売れているのも、医療費の自己負担増と関係があるのかもしれません。アメリカでは医療費が高額なためにCAM(補完代替医療)がさかんだという側面があります。ドクターショッピングや薬漬けは避けたいけど、必要な医療を控えたり、症状が重くなるまで病院に行かない(行かれない)ために助かる命が助からなかったり、重病になって返って医療費がかかるということもあります。『がん放置療法のすすめ』に従っていれば、少なくとも医療費は少なくて済む、こう考えている患者も多いのだろうと推測しています。

2013年8月25日 (日)

タイムドメインのDACを交換した

タイムドメインスピーカーに繋いであったONKYOのDAC-SE-U55SXの調子が悪くて、プチプチ音がするようになった。2008年9月の購入だから、まもなく5年になる。寿命かもしれない。同じ型番で後継機が14,000円ほどで買えるのだが、迷っていた。

タイムドメインシステムの開発者である由井啓之氏のTwitterに、タイムドメインスピーカーにはNOSDAC(Non-Over-Sampling-Digital-Analog-Converter)が最適だとつぶやいていた。なかでもDevilsound DAC V2.1 が最高だと書いていた。

At_2

一般のDACはオーバーサンプリング回路が使われている。オーバーサンプリングとは、デジタルデータを元に信号を再生するときに、実際の周波数より数倍の高いサンプリング周波数を用いて処理を行うこと。余計に多くデータを取り、間引いたり補完したりして必要なデータや信号を得る。ノイズを除去するためのフィルタの設計が簡素で済み、ノイズを除去する際の信号への影響も少なくなるが、余分なデジタル処理が必要となるため高い処理能力が要求される。こう聞けば良いことづくめのように思えるが、実際には余計な処理をすることで、CDに記録された元のデジタルデータをそのまま取り出すことにはならない。

タイムドメインは、記録された音楽信号を、余計な処理をせず「何も足さない、何も引かない」再生を目指しているのであり、そのためにはオーバーサンプリングはじゃまになる。

しかしこのDAC、写真のように如何にも簡単な構造だ。小さなケースの中にすべての回路が収まっているだけ。これで本当にきれいな音が出るのだろうかと半信半疑で、ノートパソコンとアンプの間に接続してみた。

P1020686
foobar2000にwasapiでこのドライバを設定して、カフェ・ツィマーマンのバッハを流した。驚いた。音の解像度は良いが、かといって高音がキンキンするわけでもなく、長く聞いていても疲れない。低音も輪郭がはっきりしている。チェロの通奏低音でC弦の立ち上がりさえもピシッと聞き取れる。これまで聞こえなかった音が、例えばごく小さなハープの奏でる音が明瞭に聞こえる。

一般のスピーカーで女性のボーカルを再生するとサ行の音が強調され、破裂音が気になるが、タイムドメインのスピーカーではもともとそれが少ない。このDACに変えたらさらに小さく、注意して聞かなければわからないほどになった。

次に「松任谷由実40周年記念ベストアルバム」3枚組 ~日本の恋とユーミンと~ を試聴。昨年発売されて話題になったアルバムだ。
NOSDACを介して出てきたのは、懐かしい青春時代を思い出させるような、心地よい音。荒々しさがなく自然で優しい音だ。そう、この雰囲気はアナログレコードの音だ。

CDのリッピングはExact Audio Copyを使って高忠実度でflacで保存。再生はfoobar2000にwasapi排他モードを入れて、PCのオーディオエンジンは迂回させている。1bitも落とさないぞというつもりだ。さらにこのNOSDACで、タイムドメインにはCDに記録されたデータを「そのまま」伝達することができる。秋の夜長が楽しみになってきた。

続きを読む "タイムドメインのDACを交換した" »

2013年8月24日 (土)

米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』(3)

米国対がん協会ガイドライン『「がん」になってからの食事と運動』では、がんの食事療法の有効性をきちんとした科学的方法で評価することは難しい、と言っています。第一版が発行されて以来新たな知見は増えているが、十分とは言えません。また、薬の開発と違って、食事の有効性を証明したところで企業としての利益は見込めませんから、民間企業が食事を対象とした大規模な臨床試験を行うことはありえません。

したがって現時点では、多くの食物や食事成分のがんに対する有効性は「統計的有意差がない」とされています。この「統計的有意差がない」とはどういうことなのでしょうか。食事も含めた、有意差のない代替療法は、がんに対して有効ではないのでしょうか。

少し回り道をして、福島第一原発事故による放射線の影響で、100mSv以下では「がんの過剰発生は見られない」という説明について考えてみます。なぜなら、これも「統計的に有意差はない」とはどういう意味なのかを問われているよい例だからです。

7月25日付の朝日新聞デジタルに「被曝早見表、説明せずに改訂」という記事が掲載されました。放射線医学総合研究所が2011年3月以降に作成して公表している「放射線被ばくの早見図」では従来「100mSv以下ではがんの過剰発生は見られない」としていたものが、「100mSv超ではがん死亡リスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」と改訂したのです。小野先生のサイトから拝借すると、次の図ように改訂されたのです。

Imageyositakapc001

放医研は次のように説明しています。(放射線被ばくの早見図について

100mSv以上の部分の、「がん死亡のリスクが線量とともに徐々に増えることが明らかになっている」との表現は、専門家の立場から放射線防護に関する勧告を行う国際学術組織である国際放射線防護委員会( ICRP )の2007年勧告(Publication.103)の記述に沿ったものです。2011年4月にホームページで公開した早見図では、(100mSv以下では)「がんの過剰発生がみられない」と記載していました。これは、100mSvより低い線量では、がん死亡のリスクの増加が統計学的に検出されない(注:がんの過剰発生がないことが証明されたわけではない)という趣旨でしたが、「がんが過剰発生しないことが科学的に証明されている」かのように誤って解されることを避けるため、2012年4月の改訂時に表現を改めました。

言い訳めいていますね。「がんの過剰発生がみられない」と書けば一般の人は「がんは発生しない」と解釈するでしょう。それをよいことに「直ちに影響はない」「100mSv以下は安全」だと2年半まえから大宣伝したのですから。

続きを読む "米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』(3)" »

2013年8月20日 (火)

米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』(2)

「がん」になってからの食事と運動』には、オメガ-3サプリメントについて次のように書かれています。

膵臓がんの場合は、オメガ-3系脂肪酸サプリメントが、短期の体重、日常生活動作などの要因に好影響を与えるという科学的根拠が増えてきています。

この手の権威のあるガイドラインで、サプリメントが好意的に書かれることは非常に珍しい。もちろん私はオメガ-3サプリメントを以前より毎日摂っています。詳しい経過を紹介すると、3.11の津波で、近所の魚屋の本店・工場が流されて、もちろん福島第一原発の放射能で福島近海で捕れた魚が流通しなくなったこともあり、なじみの商店街の魚屋さんが店をたたまざるを得なくなりました。それまでは魚を結構食べていたからオメガ-3のサプリメントは必要ないと考えていたのですが、3.11以降は毎日摂るようにしたのです。

サプリメント全体では、がんを予防するとか、生存期間を延長するとかの科学的根拠は、現在では存在しない。特定の栄養素、食品成分の効果を、がん発症リスクや病気の進行に影響を及ぼしうる生活習慣(運動、肥満、食事の好み)などから区別して評価することは、統計的にも非常に難しいからでしょう。

むしろ食生活の一定のパターンと生存率との関係に注目すべきだと言います。最近の複数の研究によると、食生活や食物の選択が、がんの進行や再発リスク、全生存率に影響することが指摘されています。乳がんと診断された女性の研究では、果物と野菜、全粒穀物、鶏肉、魚類を含む食生活パターンと、精製穀物、加工肉、赤肉、デザート、高脂肪乳製品、フライドポテトを多く含む食生活パターンの人と比べて、前者の死亡率が低いことが分かっています。他の研究でも総死亡率の43%の低下と関連していました。

私の食生活は、今朝はブランパン、豆乳、目玉焼き、トマトサラダでした。ときには玄米ご飯に変わることもあり、そのときは焼き魚や味噌汁になります。ブランパンは小麦のフスマが主になっているので、精製した小麦のいちばん栄養価の高いところで、糖質もごく少ない。夕食は、ご飯抜きの糖質制限食ですので、鶏肉、魚類、野菜の煮物やサラダ、それにもちろん焼酎・六台目百合です。目玉焼きにはオリーブオイルを少量、サラダにもオリーブオイルです。トランス脂肪酸の多いマーガリン類は使わない。

こうしてみると、血糖値管理の必要な膵臓がんサバイバーとしては、ガイドラインに対して90点以上与えてもよいのではないかと自己採点しています。

続きを読む "米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』(2)" »

2013年8月18日 (日)

米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』

「がん」になってからの食事と運動―米国対がん協会の最新ガイドライン 2012年、米国対がん協会の最新ガイドラインが発表され、その翻訳『「がん」になってからの食事と運動―米国対がん協会の最新ガイドライン』が6月に出版されています。「がんになり、初期の治療が一段落した後、どんな食事や生活をすればよいか。がん体験者と家族の方々がかならず直面するこの問題について、最新の科学的根拠に基づくアドバイスを提供する」ことを目的にしています。

  • 現時点で、がんの再発率や生存率を改善することが科学的に充分確認されている食事療法はありません。「科学的に充分確認されている」とは、複数の臨床試験の評価で有効性が確認されているという意味です。
  • 一方で、最近の10年間の研究の特徴として、運動ががん体験者の死亡率を改善する可能性を示すデータが増えています。ただしこれも「追跡調査(前向きコホート研究)」がほとんどであり、食事療法と同じように、運動が死亡率を改善する効果が科学的に充分確認されているわけではありません。しかし、運動は概ね安全で、生活の質を高めることに加えて、がん以外の病気の予防になることははっきりと分かっている。そのため、運動を「標準的がん治療」の一部に取り入れることは理に適っている。

としたうえで、非常にシンプルなガイドラインを提唱しています。

がん生存者の栄養と運動に関する米国対がん協会のガイドライン(2012年第4版)

健康的な体重を維持しましょう。

  • もし過体重や肥満の場合は、高カロリーの食物や飲料を制限し、減量するための運動量を増やしましょう。

定期的に運動しましょう。

  • 運動不足を避け、診断後もなるべく早く通常の日常生活に戻るようにしましょう。
  • 1週間に150分以上運動することを目標にしましょう。
  • 1週間のうち2日以上は筋力トレーニングを運動に含めましょう。

野菜、果物、全粒穀物が多い食事パターンにしましょう。

  • 「がん予防のための栄養と運動に関する米国対がん協会ガイドライン」に従いましょう。

続きを読む "米国対がん協会『がんになってからの食事と運動』" »

2013年8月16日 (金)

ビタミンC

Linuxの開発者リーナル・トーバルズは、彼の父親がライナス・ポーリングの信奉者だったことから命名されたそうです。ポーリングは個人で二つのノーベル賞(化学賞、平和賞)を受けた数少ない人物です。後年、ビタミンCの超高用量療法を提唱し、一部の専門家からは似非療法と非難されました。

  • 1968年、サイエンス誌(PMID 5641253)に「分子矯正精神医学」と題した簡単な論文を書き、1970年代に流行し物議を醸したビタミン大量療法運動の原理を与えた。
  • 1970年、イギリスの癌外科医ユアン・キャメロンと長期間の臨床協力を開始し、末期癌患者の治療にビタミンCを点滴及び経口投与した。
  • Moertelらが無作為化試験、プラセボ対照試験を3回に渡り行ったが全て失敗し、超高用量のビタミンCの投与が癌の患者に効果があるという証明は得られなかった。
  • 2006年、高用量ビタミンCの効能に関する新事実がカナダの研究グループによって提示された。同グループは、高用量ビタミンCを点滴投与した3人の患者が予想よりも長く生存していたことを確認した。
  • 高用量ビタミンCの点滴投与は患者に重要な毒性を与えることが分かっており、腎不全や下痢などの副作用は十分に立証されている。
  • ビタミンCの癌細胞への選択毒性も、2005年に in vitro (ペトリ皿を使用した細胞培養)で実証され、米国科学アカデミー紀要に報告されている。

以上はWikipediaからの抜粋ですが、ビタミンCの一定の効用は見直されているようですね。

『笑いと治癒力』のノーマン・カズンズも膠原病の治療に「笑い」と、実に1日25gというビタミンCの大用量静脈点滴を行ったのでした。ポーリングがビタミンCに関する最初の論文「ビタミンCと通常の風邪」を発表した1970年の6年も前の1964年でした。

続きを読む "ビタミンC" »

2013年8月15日 (木)

ゴボウでがんが消えた話

DP3M0728

山あじさい 紫陽花ももう終わりかなぁ。今年は早いような気がする。


サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS) 【書籍データを修正】

以前の記事で「うろ覚えですが、がんを告知された方が、八百屋のゴボウをすべて買い占めてきて食べていたらがんが消失したと、どれかの書籍で読んだ記憶があります。」と書きました。その本が分かりました。川畑伸子著『サイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO BOOKS) 』でした。私の持っているのは平成17年の初版ですから、現在の版とは内容が異なるかもしれません。

強い信念ががんを消す

前立腺がんから肺転移を起こし、余命数ヶ月と宣告された坂田昇さん(60代・男性)は、既存療法ではなす術がなく、免疫療法、温熱療法、解毒療法等の自然療法を試みる私の知人の医師を訪れ、いくつかの積極的なアドバイスを受けることになりました。

ところが、医師が自信を持ってすすめたいくつかの治療を、坂田さんはことごとく拒否し、結局、何の治療も受けないことを決意して診療所を去りました。医師は、「可能性は十分にあるのに残念だ。何もしなければ数ヶ月の命だろう」と思ったそうです。

約2ヶ月後、坂田さんは再度、同医師を訪ねることになりますが、検査の結果、がんは消えていました。医師が、いったい何をしたのかと尋ねると、とくに何の治療もしなかったが、毎日ゴボウを食べたと言うのです。そして彼は、医師から初めて診断を受けた際、雑談の中で「ゴボウには抗がん作用がある」という言葉を耳にしたとき、「これだ!」という揺るぎない確信を得たと言うのです。

坂田さんは診療所を後にして家に戻ると妻に、毎日八百屋に行き、ありったけのゴボウを買い占めて料理するように頼み、毎食山盛りのゴボウを食べたと言うのです。こうして、強い信念とともに独自の食事法を編み出して、見事にがんを消してしまったのです。

心に響くものに本気で取り組む

これは、医師のすすめる治療がどんなに合理的で効果が期待できるものであっても、彼の心に響かなかったということです。
一方、たとえ抗がん作用があっても、医師の目から見れば、彼の病気を治すことなどとうてい不可能と思われる「ゴボウ」が彼の心に響いたのです。

ここで注意すべき点は、ゴボウ療法をはじめなさいということではありません。また、その医師がその後のがん患者への治療方針をゴボウ療法に切り替えたわけでもありません。ここで大切なことは、自分にとってしっくりくる、または心に響くものを見つけて、本気でそれに取り組むということです。
坂田さんが、毎日ゴボウを食べてがんが消えたということは、本人の内から沸き上がってくるメッセージを信じ、本気で取り組んだ結果、その信じる力が、治癒に導いたということなのです。(P.131)

前立腺癌なら、こんなこともあり得るのかと思いますが、末期の前立腺癌ですからね。

がんとの闘いで心の有り様はとても重要だと、このブログでも何度も書いている通りです。サイモントン療法については、「治療に積極的な患者、サイモントンの元まで元気で行ける患者が対象だから、患者に偏りがある。エビデンスとしては欠点がある」などの批判があります。その通りなのかもしれません。

しかし、がん患者の立場から言えば、患者に偏り(バイアス)があるのなら、自分もその偏った患者になればよいのです。治療効果の出やすい患者群として参加し、それで治って何か不都合はありますか? 私の場合はサイモントンのセミナーなどには参加せず(高額すぎて無理)、本に付いているCDを聴くだけでしたが。

サイモントン療法」のサイトに講演会の案内などがあります。興味のある方は参加を検討してみては。直近の無料講演会では ↓

「がんと心の関係」無料市民講演会(講師:川畑伸子)
【日時】平成25年9月14日(土)午後13時開場 13:30開演 15:00終了
【会場】日本大学医学部 リサーチセンター4階ホール
【アクセス】・東武東上線大山駅より徒歩15分 ・池袋より国際興行バス4番「日大病院行き」終点下車
【入場料】無料
【主催】日本大学医学部板橋病院 後援:日本大学医師会 NPO法人サイモントン療法協会
【お申込・お問合せ】NPO法人サイモントン療法協会

続きを読む "ゴボウでがんが消えた話" »

2013年8月14日 (水)

生き甲斐が遺伝子の活性化に影響する

ストレスとがんの関係については、シュレベールの『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』にも書かれているし、最近のこのブログの記事「心が免疫系に与える影響」でも書いたところです。それじゃ逆に、幸福感のある生活をしていたら、がんにはどのような影響があるのでしょうか。

この疑問について「サイエンスあれこれ」さんのおもしろい記事がアップされています。『幸せの中身が活性化する遺伝子を左右する』。米カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)と米ノースカロライナ大の共同研究でPNAS電子版に発表された論文の紹介記事です。

ストレスを受けたときには炎症関係の遺伝子群が活性化し、抗ウイルス・免疫関係の遺伝子群が不活性化する。彼らは、これらのCTRA遺伝子群を見出しました。がん細胞は炎症作用を利用して免疫からの攻撃を巧みにかいくぐって成長するのでした。ストレスがこれらの遺伝子群に影響を与えることが、がん細胞の成長に関わっているのです。

そして、幸せには、向上心や目的意識をもって生きている自分に生きがいを感じているときの幸せ(生きがい追求型の幸福)と、好きなことをして欲求を満足させているときに感じる幸せ(快楽追求型の幸福)があり、活性化される遺伝子群には明確な違いがあるそうです。そしてなんと「快楽追求型の幸福」感ではストレスを受けたときと同じCTRA遺伝子群の活性化傾向を示したということです。

興味深い研究ですね。一つの研究だけで断定はできませんが、「俺はがんなんだから、これからは好き勝手に生きてやる」ということは必ずしも免疫系によいとは言えないようです。自己以外の他人(家族も)の幸福のためにというような目標を持ち、そのために時間とエネルギーを使うこと、生き甲斐を持った生活が、よりよい影響を与えるのでしょう。

仕事に生き甲斐を感じるのなら、可能な限り仕事をすればよい。旅行などの趣味に生き甲斐を感じるのなら、旅先で倒れようとも旅に出ればよい。向上心や目的意識が大切というのですから、チェロやカラオケが巧くなりたいでも良いのかも知れません。

でも、快楽追求と生き甲斐追求は微妙な、紙一重の差ということもありますね。このブログを書くことは、とても快楽とは言えませんが、少しは膵臓がん患者の役にたっていると聞かされたとき、”書き甲斐”を感じます。

続きを読む "生き甲斐が遺伝子の活性化に影響する" »

2013年8月12日 (月)

混合診療のなし崩し的な解禁に反対

7月18日に、日本難病・疾病団体協議会(JPA)が『混合診療のなし崩し的な解禁に反対する~必要な医療は保険適用が原則~』との見解を発表しています。(こちら

政府は6月14日、規制改革実施計画を閣議決定し、再生医療の推進のために、先進医療(保険外併用療養費)の対象範囲を大幅に拡大することを発表しました。(こちら)その中の「3 健康・医療分野」の①再生医療の推進の項に、

4 先進医療の大幅拡大
保険診療と保険外の安全な先進医療を幅広く併用して受けられるようにするため、新たに外部機関等による専門評価体制を創設し、評価の迅速化・効率化を図る「最先端医療迅速評価制度(仮称)(先進医療ハイウェイ構想)」を推進することにより、先進医療の対象範囲を大幅に拡大する。このため、本年秋をめどにまず抗がん剤から開始する。

と書かれています。

いわゆる先進医療制度は、先進医療部分は全額自己負担だが、その他の健康保険が適用された検査や手術などを受けた場合は、健康保険が利用できます。つまり、法律では禁止されている混合診療を、一定条件のもとに行えるようにしたものです。しかし、陽子線治療・重粒子線治療を例にとると、先進医療部分の自己負担は300万円ほどになります。「見解」は次のように訴えています。

再生医療などの高度先進医療は、多くの国費を投じた研究の成果でもあり、事実上、一部の経済的な余裕のある裕福な患者だけが受けることができる医療となるのは、同じ国民として極めて不公平であり、公正性を欠く施策と言わざるを得ません。

重粒子線治療は、放射線医学総合研究所が巨額の国費(税金)を投入してHIMACという世界初の装置を開発したのです。陽子線治療についても同様に少なからず税金が使われています。それを一部の富裕層だけが利用することには疑問があります。

政府の閣議決定は、この方向をもっと進めようとするものです。

自由診療が安易に認められるのは、十分な安全性と治療としてのエビデンスが確立していない段階で治療が行われる道を公的に認めるものであり、治療の効果の確認だけではなく、患者の生命や健康に大きな危険をもたらしかねないものである

NHK特集などでも、乳房の再生医療で大きな後遺症が残ったという報道されたように、再生医療が100近くのクリニックで実施されており、健康被害が続出しているといます。治療費も自由診療ですから、クリニックの言い値です。

厚生労働省は、いったん保険診療との併用を認めた自由診療の技術も、あらためて保険適用を検討する。「混合」は一時的なもので、いずれは保険適用し、国民等しく受けられるようにするという原則だ、と言いますが、「規制改革実施計画」では、先進医療を幅広く併用できるようにすると書かれているだけで、保険収載の迅速化には一切触れていません。

また、保険適用の対象になれば国が薬価などの公定価格を決めます。製薬企業にすれば自由に価格を設定できる自由診療対象のまま保険診療と併用できるほうが利益が出ると考えるでしょう。本来保険が利くはずの薬も自由診療のまま残り、低所得の患者は服用できなくなる恐れがあります。TPPでアメリカが要求してくるのは「自由競争」「政府の介入・規制の撤廃」であり、医療分野では薬価の決定に製薬企業を参加させろということです。なおさら高額の医療費を払わさせることになります。

仮に膵臓がんの抗がん剤「タルセバ」が自由診療だったとすれば、1ヶ月で30万円になります。高額療養費制度がありますが、自由診療部分には適用されません。全額自己負担でタルセバを毎日服用することのできる膵臓がん患者がどれほどいるのでしょうか。

アメリカでは膵臓がんに使える抗がん剤が10種類ある、それに比べて日本は・・・との議論もありますが、10種類の抗がん剤を使うことのできるのは、高額な健康保険に加入することのできる高所得の市民だけでしょう。そのような制度が理想だというのでしょうか。

「見解」は最後に、

私たちは、政府が混合診療の原則禁止の方針を堅持し、わが国が到達した高度な先進医療が、その効果と安全性が確認されたのち、速やかに医療保険の適用となり、みんなが等しく必要な治療が受けられることを強く願うものです。

と締めくくっています。抗がん剤も「効果の証明された薬を、早く、公平にでなければなりません。この問題に関して、がん患者団体からは賛成とも反対とも声が聞こえてきませんが、どういう立ち位置なのでしょうか。(私が知らないだけかもしれないが)

ま、お金がなくて新しい抗がん剤を使えなかった。あの程度のエビデンス、延命効果しかない標準治療を受けなくて、返って余命が延びた、ということも多いにありえますが・・・。

続きを読む "混合診療のなし崩し的な解禁に反対" »

2013年8月10日 (土)

シーシュポスの神話

東電福島第一原発の汚染水の問題は、まるでシーシュポスの神話ですね。神々の怒りをかったシーシュポスが大きな岩を山頂に押し上げるという罰を受ける。しかし、山頂に運ぶあげた瞬間に、岩は谷底に転げ落ちてしまう。それを永遠に繰り返す。カミュは『シーシュポスの神話』で、人は死ぬ運命にあるにもかかわらず生き続けなければならないと書いたのだが、神々の怒りをかった原発は、これ以上の再稼働も新規建設もすべきではない。

事故直後から小出裕章氏らが「山側から建屋を囲むように地中に遮へい壁を」と提案してきたのだが、それを2年半も無視して、場当たり的に海側だけに地中壁を作るという。地下水の貯めるダムができあがることは、小学生にでも分かる道理だ。いずれダムが一杯になってあふれる。

201104286623611n1 2011年4月には建屋の周囲を地下コンクリート壁で囲む構想があったが、いつのまにか立ち消えになった。東電が費用を惜しんだのだろう。

今後何十年にもわたってタンクを増設できるはずもにから、いずれは海に放流することを前提に対応してきたのだろう。「これ以上どうにもなりません」という状態になるように、対策を引き延ばしにしてきたのだ。

メルトダウンした燃料がすでに地下水脈にまで達している可能性もある。そうなると、もう打つ手はない。日本の国家予算ほどの数十兆円をつぎ込んでも、廃炉は困難になる。何十年、何百年と地下水の汚染が続き、海に流れ、やがて雲となり雨となって地上に還ってくる。

海に近いトレンチからは、1リットルあたり23億5千万ベクレルのセシウム137が検出されたという。あまりに多すぎてピンと来ない。チェルノブイリ原発事故の直後、1平方キロメートル15キュリーに汚染された区域の住民40万人が、着の身着のままでバスで強制避難させられた。トレンチの高濃度汚染水が家庭のバスタブ1杯で約10キュリーになる(1キュリー=370億ベクレル)。バスタブの1.5倍、約240リットルの汚染水を1キロメートル四方に散水すれば、チェルノブイリの「強制避難区域」と同じになる。この汚染水が何万トンとある。海に流して薄めるという行為がいかに馬鹿げているか分かろうというものだ。規制委員会の田中委員長は比較的低濃度の汚染水を海に流さざるを得ないと公言している。薄めて大量に流すことと、高濃度で少量流すことは、魚から見れば同じことだろう。

事故を起こせば「水を掛けることしかできない」技術が、どうして世界最高の技術なのか。その水の処理すらもまともにできない。震度7の地震がふたたび来て、あの応急処置でボルトでつないだ膨大なタンクのいくつかでも倒壊したら、もう人間は近づけない。

我々はもっと「絶望」すべきだ。「絶望」が足りない。何とかなると思っている。福島原発が何とかなるはずがない。IAEAですら「人類が経験したことのない危機」と言っている。「未経験の海洋汚染」が始まろうとしている。もっと真剣に絶望すべきである。

原発を”岩”に例えれば、まさにシーシュポスの神話である。

続きを読む "シーシュポスの神話" »

2013年8月 6日 (火)

原爆の日に

クミコ 『INORI~祈り~』

別れがくると知っていたけど
本当の気持ち言えなかった
色とりどりの折り鶴たちに
こっそりと話しかけていました
愛する人たちのやさしさ
見るものすべて愛おしかった
もう少しだけでいいから
皆のそばにいさせてください
泣いて泣いて泣き疲れて
怖くて怖くて震えていた
祈り祈り祈り続けて
生きたいと思う毎日でした

この曲は、クミコが2010年2月シングル盤としてリリース。広島平和記念公園にある「原爆の子の像」のモデル・佐々木禎子の甥で被爆二世シンガーである佐々木祐滋が禎子と平和への想いを綴った歌で、クミコに歌って欲しいと申し出た。当初は、広島出身でもなく原爆という難しい内容を扱った歌を私が歌ってよいものか悩み一度は断った。しかし依頼してきた佐々木の「こんな青年を未だに不安にさせる一個の原爆の怖さ、そしてそのことを後世に伝えたいという佐々木の熱い気持ちに、私の歌で伝えていく手助けになれば」と依頼を引き受けた、という。

禎子さんは、発病してから亡くなるまでの間、ずっと小さな折り鶴を折った。そして12歳で白血病で亡くなった。

ニューヨークで行われた日米文化交流の『ジャパン・デー』で、クミコはこの歌を歌うことになった。主催者からは曲のモデルが原爆の被爆者、禎子であることはいわないようにと、釘を刺された。しかし、クミコは「戦争で傷ついた白血病の少女が平和を祈った歌です」と紹介した。通訳はきちんと説明してくれなかった。その場にいたのが、禎子と同じように13歳で広島で被爆した笹森恵子さん。この歌を聴いてその場で号泣した。

笹森さんは被爆して身体の3分の1がケロイド状になった。そんな彼女たちを、平和活動家で『笑いと治癒力』のノーマン・カズンズが呼び寄せて、当時では世界最高レベルの形成外科手術を何度も繰り返し受けさせた。ケロイドは人並みに生活できるまで回復した。カズンズは笹森さんに『笑いと治癒力』の内容を繰り返し聞かせたという。笹森さんも、原爆の後遺症だと思われるがんに3回なった。しかし、その度に適格な治療と笑いで克服してきた。

『笑いと治癒力』の「訳者のことば」には松田銑氏が次のように書いている。

Imageyositakapc001しかし、カズンズ氏は決して雑誌編集者だけの人ではない。彼はクエーカーの信仰に裏づけられた進歩主義者として世界連邦運動、平和運動、核兵器廃止運動、環境汚染反対運動の先頭に立ち、世界的な活動をつづけ、その功績によって内外の多くの賞を受けている。彼の事業の中で日本人にもっともよく記憶されているのはおそらく、一九五五年「広島の被爆乙女」二十五人をアメリカに連れて行き、形成外科手術を受けさせたことであろう。

58年も昔のことだから、ほとんどの日本人は記憶していないだろうが、当時としてはたいそうなできごとだったらしい。

クミコは、2011年の東日本大震災発生時には石巻市民会館でコンサートのリハーサルをしていた。その後、津波が押し寄せてくる中で、ホール近くにある裏山へ必死に避難し命からがら助かったと、ブログやインタビューで明らかにしている。機材は全て失われ、身一つで日本海側経由で東京に戻ったという。

石巻の老舗のサルコヤ楽器店では、津波によって27台のピアノが流された。社長の井上晃男は、泥の中からグランドピアノを掘り出し、修復を始めた。潮水と砂につかったピアノを分解して、組み立てた。しかし中から錆が出てくる。何度も何度も分解と修復を繰り返し、ねじを巻き、弦を張り替えた。その話を聞いたクミコは「再生したら、買いたい」と申し出た。

そして石巻で再生されたグランドピアノによる「再生ピアノコンサート」が開かれた。

再生ピアノで唄う”心の復興”コンサート「一歩だけ前へ…」~石巻のみなさんとごいっしょに~

原爆と原発、同じ原子力エネルギーであり、人類に災いをもたらすことでもまったく同じものです。

続・笑いと治癒力―生への意欲 (岩波現代文庫) カズンズが言っているのは、笑っていればがんが治るとか、ビタミンCが膠原病に効くとかではない。笑いの力であらゆる病気に打ち勝てるなどと、非科学的なことを言っているのでもない。(山下俊一のように「笑っている人のところには放射線はやってこない」とか、安保徹のように「身体を温めればすべての病気は治る」と言うのでは、もちろんない)

人間には「死」が避けられないものであり「命」は有限であることをあるがままに受け入れ、それ故にこそ最後の瞬間まで生きる努力・希望を持てと説く。その努力が予想外の奇跡を生む可能性を決して忘れるな、人間に宿る神秘、なかでも自然治癒力の大きな力を尊重せよ、と説いているのだ。それは彼自身が二度にわたってそれが真実であると証明したからだ。明るく、強い精神的情緒(生への意欲、希望、信頼、愛、快活さなど)が、伝達物質を通じて瞬時に細胞、遺伝子に「情報」として伝わるのであり、治癒的効果をもたらす生化学的反応を引き起こすことに確信を持てと言っているのだ。(前回の記事でも説明した)

治りたいと思う前に「死」を受け入れること。受け入れた上で「今を楽しく」でなければ、心のありようでがんが「治ることは希」なのだ。

続きを読む "原爆の日に" »

2013年8月 4日 (日)

心が免疫系に与える影響(3)

精神生物学―心身のコミュニケーションと治癒の新理論』では、「肉体の病気を、心や精神的な方法を用いて治療することが本当に可能なのか」という疑問に、現在得られている科学的知識をもとにして応えようとするのである。しかし、まだ答えへの道のりは遠い。

心の有り様ががん、がんの予後に影響することは「経験的」には確からしいと思われている。多くの医者もそのように言う。いまでは、心(脳)から、からだ、細胞、遺伝子にいたる情報が「情報伝達物質」によってコントロールされていることが分かっている。これこそがホメオスタシスの実体である。IL-2などの伝達物質を大量に投与すれば「魔法の弾丸」のように効果があるだろうとする説は、残念ながら効果がなかった。それは混雑する劇場で「火事だ!」と叫ぶようなものだった。複雑系である人体に対して、大量の情報を与えれば良いというものではない。では、どうすれば心の有り様でがんをコントロールできるのか。イアン・ゴウラーやノーマン・カズンズがその実例を示している。また、シュレベールは『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』で、よりわかりやすく解説してくれている。彼もまた奇跡的回復の事例を体験したひとりの患者であった。彼らの著作から多くのことを学ぶことができるだろう。

01img

本書から重要だと思ったことを抜き書きしておく。

  • 「精神的」ストレスのもとでは、脳の大脳辺縁ー視床下部系は、心からの神経信号をからだの神経ホルモンである「伝達物質」に変換する。この伝達物質が内分泌系に指令を出して、ステロイドホルモンを放出させる。ステロイドホルモンはからだの各種細胞の核内に達し、遺伝子の発現を調節する。そしてこの遺伝子が細胞に命じて、代謝、成長、活動レベル、性衝動を調整し、また病気のときも健康なときも免疫反応を調整する、種々の分子をつくらせるのである。心と遺伝子のつながりは本当に存在するのだ! 心は最終的には、生命をつかさどる分子の創出や発現に作用を及ぼしているのである!
  • これまで無視されてきたプラシーボ反応が、じつは、心身のコミュニケーションと治癒に関する新たな認識を気付く有効な手段だった。
  • ライト氏の事例が私たちに語るのは、役にたたない薬クレビオゼンの効き目に対する絶対的な信頼こそが、心身のコミュニケーションと治癒に関わるこれら全ての主要なシステムを活性化し、治癒をもたらすプラシーボ反応を高めたということである。
  • すべてのホルモンはからだのある部分から他の部分へと情報を運ぶ「伝達物質」として機能することが分かっている。これらの伝達物質の多くは、生物学的な代謝や成長とともに記憶、学習、行動、人格といった心理学的プロセスをも調整している。
  • 交感神経と副交感神経の二つの神経系に分かれる自律神経系は、病気あるいは治癒をもたらす心身のコミュニケーションやプラシーボ反応の主要なシステムの一つなのである。
  • 否定的な生活状態と態度が、自律神経系、内分泌系、免疫系による心への作用を介して、人を病気や死に至らしめる可能性がある。鋭い医師には、その逆もまた真であることが分かっている。。肯定的な考え方が非常に重い病気に対してさえ治療効果があることに気付いている。ノーマン・カズンズほど、自らの経験から詳細かつ雄弁な実例を示してこの真実を描き出した人は他にはいない。
  • カズンズは、前向きの態度と感情は、元気を取り戻し健康を促進する肉体の生化学的作用に影響を及ぼすことを強調している。これらはプラシーボ反応の核心なのである。プラシーボは身体の内部に住む医師なのだ。
  • 薬の治療効果の55%はプラシーボ反応によるものであり、この数値は一貫している。
  • すべてではないにしても、多くの治癒プロセスに55%のプラシーボ反応があると思われる。このことは、障害、症状、病気のいかんに関わらず、心身のコミュニケーションによる治癒を説明する共通のメカニズム、あるいはプロセスが根底にあることを暗示している。
  • 伝達物質は、健やかなるときも病めるときも、心、情動、行動、そして遺伝子の発現を結ぶ心身のコミュニケーションの、究極の「核心」なのだ。
  • 伝達物質と細胞のレセプターとのコミュニケーション・システムが、心身相関的な治癒、催眠療法、ホリスティック医学全般の精神生物学的な根拠なのである。信じられないかもしれないが、心が遺伝子の活動を調整する多くの精神生物学的な経路については、すでにある程度分かっている。
  • いわゆる自発的治癒、奇跡的ながんの緩解というものは、がん成長因子の活動の精神神経学的な調整によるものかもしれない。
  • リンパ球のT細胞とB細胞の表面にはレセプターがあり、細胞の免疫機能を始動させ、方向付け、修正する。このレセプターが、心がリンパ球に影響を与えるにあたっての、分子レベルでの基板である。レセプターは鍵であり、この鍵を開けるのは心身間の伝達物質、すなわち自律神経系の神経伝達物質、内分泌系のホルモン、免疫系の免疫伝達物質である。
  • がん細胞が常につくられているにもかかわらず、ほとんどの人はがんを発症しないというのは、からだに生まれつきそなわった免疫の監視システムがあって、がん細胞が臨床的に見て明らかな腫瘍へと成長する前に発見し、それを破壊するからである。一般にストレスに誘発された副腎皮質ホルモンの放出は、この自然な免疫学的監視システムの抑制を招いてしまう。このシステムにわずかな抑制が加わるだけで、特に体内に存在している患者のからだの統合性を脅かしている病原(例えば内発的に形成されたがん細胞)への罹患率は大きく高まる。
  • 生活に大きな変化をもたらすあらゆるストレス(家族の死、転職、引っ越しなど)は、大脳皮質ー視床下部ー脳下垂体ー副腎という軸を活性化して、コルチコステロイド(副腎皮質ホルモン類)を産生させ、これが免疫監視システムの活動を抑える。不安、抑うつ、自尊心の低下はすべて免疫系の活動不全をもたらす。
  • 視覚化とリラクゼーションを組み合わせたサイモントン療法では、がんが強い破壊力を持った細胞だという「誤った」考えを再構築する。がん細胞を「弱く」「うろたえた」ものと思い描き、白血球を獲物に襲いかかるサメのように「強く」「たくましい」ものと描くのである。ホールらの研究によれば、この方法が細胞の免疫力を高められることを明らかにした。
  • 伝達物質とレセプターを分子生物学という学問によく見られる還元主義的な見方ではなく、心、からだ、細胞、遺伝子にいたる、環境から分子レベルにいたる情報変換の自然なループの一部としてとらえるべきである。

続きを読む "心が免疫系に与える影響(3)" »

2013年8月 2日 (金)

13/7月 ツイートのまとめ

キノシタ @Oncle1316 
膵臓を切除した私の血糖値が悪くないのは6年間メラトニンを飲んでいるためかも RT @deoanzai ■ メラトニンとインスリン抵抗性:健康な女性で、夜間のメラトニン分泌が高い人はインスリンレベルが低く、インスリン抵抗性になりにくい。 http://aje.oxfordjournals.org/content/178/2/231.abstract.html?etoc 

安西英雄 @deoanzai  
(オメガ3の抗炎症作用は、アラキドン酸に置き換わることでプロスタグランジンE2の産生を減らす、というだけじゃない)(安全だし、オメガ3いいなあ) 

若杉 徹 @lou66jp  
インクレチン関連薬の膵炎・膵がんリスクに「新たな懸念なし」/欧州医薬品委員会 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1307/1307082.html 

キノシタ @Oncle1316 
米国立がん研究所:「検診で見つかったが、死に至らない腫瘍を、「がん」と呼ぶべきではない。」乳癌、前立腺癌では過剰診断の割合が高い。近藤誠氏の「がん検診不要論」の一つの根拠になっているのだが、早期発見を否定する根拠にはならないだろう。 http://www.asahi.com/national/update/0730/TKY201307300304.html 

キノシタ @Oncle1316 
抗がん剤を入れて使う、粒径10万分の3ミリメートルというウイルスサイズの極小カプセル。「トロイの木馬」で「難治がんの中の難治がん」として知られるすい臓がんで、生存期間が、1年以上に大幅に延長される。副作用もない。 http://toyokeizai.net/articles/-/16438 


安西英雄 @deoanzai  
■ 緑茶と血糖:緑茶の摂取が多いと糖尿病にはいいんじゃないか(空腹時血糖は低く、HbA1cも低く、空腹時インスリンも低い)というメタ解析論文 http://ajcn.nutrition.org/content/98/2/340.abstract?etoc 

キノシタ @Oncle1316 
日本膵臓学会は26日、親や子、きょうだいに膵がん患者がいる人の登録制度を始めると発表した。家族に患者がいると、膵がんになりやすいため、定期的に検査をし、早期発見につなげる。特有の遺伝子の特徴も調べ、治療法の確立も目指す。 http://www.asahi.com/tech_science/update/0726/TKY201307260429.html 

続きを読む "13/7月 ツイートのまとめ" »

2013年8月 1日 (木)

久しぶりの休肝日

DP3M0880

国営アルプスあずみの公園にて


暑いですね。今日は更に蒸し暑い。暑さに慣れてきたのではないかと、今週からはまた朝夕の通勤を徒歩で再開しているのだが、昨日は気分が悪くなった。歳も考えずに無理をしたのかもしれない。で、昨夜は晩酌の焼酎を止めて休肝日にした。術後しばらくは酒も旨くなかったが、その後は、2回の腸閉塞での入院期間を除いて1日も休まず飲んでいる。昨年の10月に腸閉塞で入院したとき以来の休肝日だ。疲れやすいのは総ビリルビンが少し上がっているから肝機能に異変の兆候があるのかも。先週採血して検査は依頼してある。

「しばらくは晩酌は週に1回にする」と宣言したが、家族の誰も信用してくれない。もちろん私も守れるとは思っていない。今夜はチェロのレッスンでヴィヴァルディのチェロソナタ第五番「アンダンテ」だ。ヴィヴァルディ-ボーイングをうまく弾くには、少し飲んだ方が「脱力」ができるし弦もよく走るのだと、今から飲む理由を探している。

こちらでも書いたが、甑島の「六代目百合」が旨すぎるのだよね。25度と35度があるが、私は35度だな。ラベルに書かれた李白の漢詩「将進酒」もぴったり。「酒のシミズヤ」が一番安いね。

人生得意須尽歡  人生意を得れば すべからく歓を尽くすべし
古來聖賢皆寂寞  古来 聖賢は皆寂寞(せきばく)
惟有飮者留其名  惟(た)だ飮者のみ 其の名を留むる有り
呼兒將出換美酒  児を呼び将き出だして 美酒に換えしめ
與爾同銷萬古愁  なんじとともに銷(け)さん 万古の愁いを

大・大往生 休肝日も久しぶりだが、本を読んで涙が出るほど笑ったのも久しぶりだ。鎌田實さんの『大・大往生』である。まじめ?に、ユーモアたっぷりと「死」を語った本で、自分らしく死ぬための準備をしなさい。エンディングノートも自己流で良いから書いておきなさい、鎌田さんのエンディングノートも公開されている。

末期の膵臓がんの男性が、最後に湯布院に行きたいとの希望を叶えようと、医者と看護師が計画を立てる話。その旅立ちの予定の日に、容体が急変してあの世に旅立ったのだが、湯布院で着るはずだった和服を看護師たちが着せてあげた。なんだか『神様のカルテ』に出てきた話とそっくりだ。主人公の栗原一止が勤める本庄病院は、松本市の相澤病院がモデルだそうだから、茅野市にある鎌田医師の諏訪中央病院とは違う。

息子にも先立たれたおばあさん、困難な人生を歩んできたこの方が末期がんで、車山に一面に咲いているはずのニッコウキスゲを見に行ったが、三輪しか咲いてなかった。でもおばあさんは「先生、もう十分なの」と、末期がんと死を受入れて、車山のきれいな青空を写した写真を見ながら静かに旅立っていった。このような話が続くのだが、永六輔さんと鎌田さんが福島に講演のボランディアに行ったときの話が、テンポのよい書き方もあって、泣くほど笑えた。

続きを読む "久しぶりの休肝日" »

« 2013年7月 | トップページ | 2013年9月 »

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

膵臓がんブログ・ランキング

膵臓癌 お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想