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2013年11月

2013年11月30日 (土)

モーツァルト ピアノ協奏曲第20番

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鎌倉にて。教会の庭らしい。


内田光子のピアノ、ジェフリー・テイトがイギリス室内管弦楽団を指揮したモーツァルト ピアノ協奏曲第20番ニ短調K.466を聞いた。これまでと違うピアノの響きに、一瞬「あれっ」と思いました。

アシュケナージがピアノ演奏、指揮するCDを持っているのですが、アシュケナージの演奏が平板で色あせて感じるほどです。モーツァルトのピアノ協奏曲なら内田!といわれるわけが分かります。内田は第一楽章のカデンツァにベートーベンのものを採用しています。いやいや、これも楽しめます。

モーツァルトのピアノ協奏曲は27曲あるが、短調はこの20番と24番ハ短調K.491だけです。哀愁を帯びたモーツァルトを内田が柔らかく豊かに弾いています。

評論家の中野雄氏によると、この演奏でのピアノの調律法が違うのだと言います。平均律ではなく、ヴェルクマイスター第3といわれる18世紀の古典調律法に、日本の名調律師である辻文明が手を加えた独特の調律法だとか。なるほど、それであの豊かな響きが生まれるのか。(といっても、音律の理論的なことになると頭が混乱してくるので自信がないが)

ジェフリー・テイトの指揮するイギリス室内管弦楽団の演奏もメリハリがあって素直な演奏です。オケとピアノと調律師の三者がいてなしえた演奏ですね。

第21番ハ長調K.467も同じコンビだとか。

AndroidのアプリにgStringsというチューナー・アプリがあります。私がチェロの弦をチューニングするときに、ちょっこっと便利に使っているアプリですが、これにはちゃんとヴェルクマイスターの1~4までの音律設定がありました。優れものです。

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オーケストラも同じような調弦をしたのでしょうか。彼らのようなレベルのプロなら、弦楽器ではちょっとした弓の重みの載せ加減、指の抑え加減で数セントの違いなどは弾きわけられるのでしょう。オケとピアノのハーモニーも美しい録音です。

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2013年11月29日 (金)

鎌倉の紅葉

今日は天気の良いし、ちょっと遠出して鎌倉まで紅葉狩りに行ってきた。
平日だからあまり人もいないだろうと予想していったのだが、北鎌倉駅に着くと狭いホームに人があふれていて、次の電車が来るまでの間に改札を出ることができないほどだった。

紅葉の名所、円覚寺。ちょうど見頃であった。次が建長寺。鎌倉宮、瑞泉寺を経て獅子舞までの予定をしていたのだが、時間切れで切り上げ。

とりあえず、何枚かをアップしておきます。今日もよく歩きました。六時間くらいは歩いただろうか。歩いて、きれいな紅葉風景を見て、写真三昧に明け暮れた一日。自己免疫力も確実にアップした。

しかし、鎌倉は食事が馬鹿高くなったなぁ。一見の観光客相手にぼったくりの感じ。今日は北鎌倉駅前で蕎麦を食ったが、鶏肉が三きれで、蕎麦はゆで太郎の方が旨いくらいだった。それで850円。どこか良心的な店はないのか。

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2013年11月23日 (土)

ガンさん、死ぬときは一緒に死にましょう

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先日の宝登山での一枚。稲荷神社があり、白壁に木漏れ日がスポットで照らしていた。きれいな写真もいいが、それは有り体にいえば「きれいだね。」で終わってしまう。誰が撮っても良いような写真だ。しかし、この一枚は私でなければ撮れない一枚だ。ここには「私」がいる。だから、結構気に入っている。


Imageyositakapc002 今日の東京新聞に「がんサバイバー急増」という記事があった。高齢化でがんになる人が増え、多くのがんが治るがんになってので、がんサバイバーが急増し専門病院がパンク寸前だという。広島県の調査では、がんの5年生存率が66.6%という数字が出ている。その中でも膵癌は最悪で、5年生存率はわずか8.5%だ。

前立腺がんや甲状腺がんなら「死」を意識することは少なかろうが、膵臓がんでは「死」は身近な存在だ。他のがんでも転移したがんは「治らない」から、いずれは「死」に向き合うことになる。人は皆死ぬのだから、早いか遅いかの違いだが、そこまで達観することができるかできないか、それは人それぞれ。

だた、自分の「死」と巧くつきあう心持ちができた患者の方がどうやら長生きしそうだ。

二度の千日回峰行を満行した天台宗大阿闍梨 酒井雄哉さんが2ヵ月前に亡くなった。その最期のインタビューが『この世に命を授かりもうして』として出版されている。ステージⅣの頭頸がんで余命1~2ヵ月と言われたが、余命を過ぎても元気そのもの、亡くなる数週間前まで顔色も良く、インタビューに応じていた。

この世に命を授かりもうして (幻冬舎ルネッサンス新書 さ-5-1) わし、この本ができるころにはもう生きておらんのやないかなあ?

坊さんのくせにな、
年がら年中、人には「感謝しなさい、感謝しなさい」と言うときながらな、
当の自分自身が、
毎日当たり前に行動していることに感謝する気持ちがたりなかったんだな。
こんなになって初めて、
自分が人生を不始末にしていたことに気づいた。
感謝を忘れて、すべてが当たり前だなんて思っていると、
自分に反動が返ってくるんだよ。

今日もこうして生かしてもろてることをありがたいと思わんとな。

余命宣告ってあるやろ、医者の先生の。
わし、先生の言う余命をもう過ぎとるらしい。
だから、今日こうしておられるのも儲けもんだ。
こうして声が出せること、笑っておられること、
ほんと儲けもんだと思うよ。

医学のことはようわからんけどなあ、
ガンがからだに棲みついちゃっているんだから、しょうがないよ、これ。
まあ、ガンじゃなくたって人間死ぬしな。
たまたまその道がガンだっただけ、
思っていたよりちょっと早くそのときが来た、くらいのもんだよ。
「ガンさん、死ぬときは一緒に死にましょう」ということだな。怖くはないよ。

素敵な笑顔ですよね。

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がんとつきあうには、「焦らない、迷わない、あきらめない」がだいじなことだ。抗がん剤も手術も拒否して放置することを薦める医者もいるが、がんが見つかってもっと生きていたいと思うのだったら悩むことはないんだよ。自分の心と体に聞いてみれば良い。やるかやらないか、イエスかノーか。自分の「気持ち」を決めてしまえば良いんだよ。まれには「がんもどき」もあるさ。でもね、自分のがんが本物か「がんもどき」かなんて、あとにならなきゃ分からないだろう。あとになっても分からないけど。だったら、決めればいいんだよ。自分の責任で。

いつまでも「生」に執着することも見苦しいよね。希望と努力は大事だよ。でもね、いずれ人間にはどうにもできないことがあるんだと受け入れなければ。でなければ、いつのまにか「希望」が「執着」になってしまう。執着は煩悩だよ。

頭の中に余計な知識が一杯つまって、ウワーと渦巻いているから煩悩が生じるんだよ。治療の知識を集めるのは大事だよ。免疫療法だろうが代替医療だろうが、知識は集めた方が良い。しかし、集めた知識をいったん捨てることも肝心だね。そして自分に聞いてみる。どんな人生を送りたいのか、残された時間をどのように過ごすのが幸福かとね。頭の中に少しは「空き」がないとね。老子も言ってるよ。器は中が空っぽだから器としての役にたつのだと。部屋をいろいろな家具でいっぱいにしたら部屋としての役を果たせなくなる。頭の中の知識だって同じさ。そりゃ少しはがんの知識も要るけどね。頭の中をがんの知識でいっぱいにしてどうするの。

行き道は いずこの里の 土まんじゅう

いつどこで死ぬかなんて、誰にも分かりはしないのだから、そんなことで悩まないで、歩くこと。歩くことは生きること。

死ぬことは怖くはないけれど、痛いのはいやだな。なかにはほとんど痛まない人もいるようだが、膵臓がんの最期はひどい痛みを伴う人も多い。痛みがあれば人生の最期の時間を満足に楽しめない。モルヒネの使用に経験豊富な緩和医療の先生に頼るしかないかなと思っている。

酒井雄哉大阿闍梨の言葉には納得する点が多い。なんだかこのブログで日々書いてきたことがそのまま言われているような気もする。

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2013年11月20日 (水)

秩父・長瀞、桜山公園。温泉と紅葉撮影の旅:その2

朝霧の荒川の幻想的な眺めを部屋から一望できた。

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朝食後、宿をチェックアウトして再び宝登山へ。今年の紅葉は、カエデ・モミジなどの赤が少ない気がするが、ここは結構穴場かもしれない。

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参道の途中にある重要文化財「旧新井家住宅」は残念だが時間がないのでパス。

長瀞ライン下りへ。11:40ごろにこの鉄橋をSLが渡るので、すでに沢山のカメラマンが待機していました。SLの撮影ポイントとしても有名なようです。

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県境を越えて群馬県富岡市へ。桜山公園の冬桜と紅葉を目指します。

鮮やかなもみじと小滝。シャッター速度を遅くして手ブレしないように木の幹にもたれて慎重に一枚。

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冬桜は春のようにボリューム感がある咲き方はしませんね。これでも花が多く咲いている方です。

このあたりが一番の見所でしょうか。紅葉と桜の白が淡いパッチワークを作っています。

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帰りも育樹祭の軽微の影響を受けて、本庄・児玉で関越道に乗るつもりが、花園ICまで渋滞していた。サービスエリアで休憩していると「まもなく本線に侵入できなくなります。その後は大規模な渋滞が予想されます」とパトカーがアナウンスする。追い立てられるようにして帰ってきた。夜遅くまで長い渋滞が続いたようです。

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2013年11月18日 (月)

秩父・長瀞、桜山公園。温泉と紅葉撮影の旅:その1

土日に秩父・長瀞に行ってきました。がん患者には温泉はやっぱりいいですね。心が癒されます。加えてきれいな紅葉を見ることで「今年の紅葉も見ることができた」と、また来年の紅葉も見たいという気になります。娘たちは「埼玉だから旅行はないだろう」と言いましたが、秩父は結構遠いです。

ちょうど土日の2日間、寄居町で「全国育樹祭」が開催されるとかで、皇太子が出席して天皇・皇后の植えられた檜の手入れをされたようです。皇太子の警護のためと事故も合って16日の関越道は大渋滞。環七を走っているうちから愛車のカーナビは「所沢で降りて一般道」にルート変更するように執拗に提案してきました。川越インター出口でさえも1キロの渋滞だというので、練馬から五分程だけ関越道を走り、カーナビに従って所沢ICで降りて、西武池袋線、西武秩父線に沿うように一般道を抜けて秩父まで。

3d36b2d3aa11422f8e72cbb689272fd5 予定よりも1時間遅く着いたので、先に昼食。予定は「手打ち蕎麦 武蔵屋」店に入ろうとする踏切でちょうどSLに遭遇。

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「武蔵屋」で天ざるを注文。評判の蕎麦屋でもあって昼時は順番待ちでした。蕎麦は田舎蕎麦に似た黒目の蕎麦に大きめに切った海苔がたっぷりと載っていました。天ぷらはカラッと揚がっていてエビもぷりぷりとして良い食感です。

最初の紅葉の見所、「金蔵落し」へ。断崖絶壁にモミジが映えます。

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陽が傾いてきたので中津峡は断念して宿へ。

部屋からの長瀞の眺め。いちばん良い時期に来たようです。

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近くの「月の石もみじ公園」で紅葉のライトアップがあるというので、ホテルの送迎バスで行きました。ライトアップはこの土日の2日間だけというのは勿体ないような、きれいな紅葉を堪能。

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月とライトアップされた紅葉。満月ではなかったような・・・

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翌朝は、朝風呂に入るという妻を残して、夜明け前にひとりで近くの「宝登山」へ。6時半から神主さんのお祓いがあり、熱心な近所の方が集まっていました。朝霧も出てきたようで、空がもやっています。

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長くなるので、長瀞の川下りと冬桜と紅葉の共演する桜山公園の写真は次回に。

いや~、きれいな風景と温泉は、下手な抗がん剤よりもよく効く。

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2013年11月15日 (金)

チェロレッスン「白鳥」

チェロのレッスンは今週からサン・サーンスの「白鳥」。チェロの定番であり、かつプロの演奏者も難しいという曲。弾くのは決して難しくはないが、音楽的に表現することが難しい。ま、こちらは素人だから、取りあえずは楽譜通りに弾くことが目標である。2年前にすみだトリフォニーホールで一度弾いている曲だが、今回の運指の指示はそのときとはずいぶんと違っている。開放弦を極力使わず(つまりビブラートをかけよという指示)に、となるとハイポジションや親指ポジションを使わざるを得なくなる。

PIONEERの新しいBlu-rayドライブを使ったCDの再リッピングも徐々に進んでいます。PureRead2+でパーフェクトモードでリッピングすると、ずいぶんと音が変わるものだと、わくわくしている。背景のノイズがなくなり、透明感のある空間が広がってきます。音の輪郭がよく分かるが、かといってぎすぎすした音ではない。楽器の位置がはっきりと定位し、ソロは目の前に立っているように、バックのオーケストラはホール一杯に広がり、立体的に音が飛びだしてきます。小さなシンバルの音も決して埋もれることがなく、聞き逃さない。目の前に演奏会場のジオラマがあるように感じます。

見た目がきれいなCDでも、結構読み取りエラーがありPureReadががんばっています。逆にひどい傷があるCDがすんなりとリッピングできたりと、外見だけには分からないものですね。

イタリアのバロックバイオリニスト、ジュリアーノ・カルミニョーラが弾くヴィヴァルディの「四季」がすごすぎますね。「四季」の新しい解釈、超越技法満載のCDです。イ・ムジチの「四季」ももちろん楽譜に忠実な素直な演奏で、万人向けの名演奏ですが、アーノンクールの解釈も斬新でした。しかし、カルミニョーラの演奏はヴィヴァルディにはまだ多くの可能性があることを示しているように思えます。

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2013年11月13日 (水)

「死」は科学で解明できるか?

数年前、立て続けに二人の友人をがんで亡くし、さらにもうひとりの友人が乳がんになり、仕事仲間の12歳の子どもが小児癌で亡くなったというひとりの女性が、死は科学で解明できるのだろうかという疑問を持った。そこで彼女はひとりの理論物理学者、佐藤文隆氏に手紙を書いた。

宇宙の誕生や進化について研究を進められ、なおかつ人間の存在について深い洞察をお持ちの佐藤先生は、人間の生と死をどのような実感を持って感じておられるのだろう。「死と生の意味」についてどんなお考えをおもちだろう。ぜひそのお考えをうかがいたいのです。

「科学にすがるな!」――宇宙と死をめぐる特別授業 そして3.11をはさんで約1年間の「特別授業」の結果をまとめたのがこの本『「科学にすがるな!」――宇宙と死をめぐる特別授業』です。

しかし彼女の期待は、初対面から打ち砕かれる。科学に「死」の答えを見つけようとするな、と諭されるんだ。

佐藤氏は実在には3つあるという。第一は「外界」。目の前にあるコーヒーカップなどであり、第二は「内界」、カップからの光が目にはいり、それが電気信号になって脳に伝わってカップだと認識する。これも実在である。第三の実在とは、人間が社会的に受け継いできたもの、言語・慣習・文学も科学も宗教も再三の実在であるという。この第三の実在は、新しい科学的知見によって変化していく。

脳死判定が話題になるように、確かに「死」は社会的な問題ですね。生物学的には細胞も日々死んで交代しているし、肉体的に死んでも分子や原子として環境に戻るだけです。

「私」が死んだあとの「永遠の時間」において「私」は存在しなくなることが怖いのかもしれない。これについて佐藤氏はは、「時間」にもいくつもの「時間」があり、社会的な時間があるのだという。ビッグバンの前には時間も空間もなかったのだから、「永遠の時間」という考え方も錯覚です。そして偶然に、生命のできやすい環境を持った地球ができて、偶然に人間に進化した。進化の過程で人間は「けなげ」に生きてきたのです。論語に「鬼神を敬して、これを遠ざく」があるが、「死」は鬼神なんです。「死」を語るなんて無意味です。これが佐藤氏の考え方。

宗教学者の岸本英夫氏は『死を見つめる心』で、死の恐怖=自分が存在しなくなるという恐怖に打ち勝とうと格闘している。佐藤氏にいわせれば、偶然生じたものが法則に従って消滅するだけ。しかし悔しいことに原子や分子としては残るのだとなる。死んだあとは、自分が死んだと認識する自分はいないのだから、そのような馬鹿げた問題を考えることは止めておけという。

「死」があるからこそ「生」が輝いて見える。この一瞬の時間が貴く思える。仮に不死の命を貰ったとしたら、それはそれでおぞましいでしょう。死ぬことができないのですから。永遠に生きるすべはある。それは佐藤氏は、

第三の世界に名を残したいという努力です。人間を磨いて、完全に自分がなくなったあとも、第三の世界で生き続けたいと思うことです。こういう気持ちを持つことは、非常にポジティブでいいことやと思うね。死ねば物体として戻ってくることはないでしょう。でも、第三の世界は残る。死んだあとも第三の世界に伴走することが、幸せでもあり救いでもあると思うね。そのために人間を磨くのです。

だと思っている。立派な業績というわけでなくても、家族やまわりの人の記憶という第三の世界に自分が生きることができる。もちろん家族も周囲の人も100年後には誰もいない。それで良いのだ。宇宙の大きな仕組みの壁に這いつくばって進化してきた人類の、自然のなかでのみの置き方を考え」て、「今」この瞬間に与えられている奇跡のような時間を「けなげ」に生きなさい。これはもう老子や禅の世界ですね。やはりそうするしかないのです。

量子力学の第一人者である佐藤文隆氏だから、本の中では量子力学、量子宇宙、場の量子論なども分かりやすく語ってくれる。そして、そこなら「どう生きるか」という答えは、読者が探すべきだろうと思う。

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2013年11月 9日 (土)

デジタルオーディオの奥は深い

パソコン内蔵のBlu-ray・DVDドライブが故障した。先月は外付けのNASディスクが不調になり交換したばかり。音楽CDをリッピングしようとしたら、まったく認識しなくなった。まだ購入後1年半なのに。ドライバの設定を見直したり、再インストール、レンズの清掃をしたがダメ。トホホである。仕方なしに購入を考える。LG日立のドライブはダメだなぁ。

PIONEERの「PureRead」が音楽CDのリッピングには最適だとか。通常CDドライブは、傷があって読み込めないデータを前後のデータから補間して読み取るのだが、このとき音が歪んでしまう。酷いときにはプチッという音が入ったりする。「PureRead」は補間をしないで、速度を変えたりと可能な限り原音の音をビット単位で正確に読み取るという機能だ。最新のものは「PURE READ3+」となっている。でも最新のものをそなえたBlu-rayドライブは内蔵のもので2万5千円以上と高すぎる。「PureRead2+」を備えた外付けのポータブルドライブBDR-XD04がAmazonで7500円だったので、1年前に発売されたものだが、これにした。

パーフェクトモードで中断なく終わったら、CDのデータが1ビットの違いもなくリッピングできたということ。シュレベールが臨終の際に流したというモーツァルトのピアノ協奏曲第23番をリッピングして以前のものと聞き比べをした。録音時の場の雰囲気が豊かになった。低音の深みがまして輪郭もはっきりと再現できる。これほど違うとは驚いた。一見傷のないきれいに見えるCDでも、演奏時間の5分の1ほどでリッピングできるものと、演奏時間と同程度の時間が掛かるものとがある。円心の狂いとか盤の歪みがあるのだろう。

デジタルオーディオだから、原音に忠実に再現できるとは限らないわけだ。スピーカーの再現性とか、DACをNOSDACにする、あるいはWASAPIの排他モードでPC内部のオーディオエンジンを迂回することも大事だが、もともとの音が正確に記録されていなければそれなりの音しか出てこないという当たり前のことだった。

所蔵しているCDを全てリッピングし直そうか。知ってしまったからには不完全なリッピングの音を聞くのは精神衛生上良くないなぁ。ま、来年にかけて徐々にやれば良いだろう。

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2013年11月 8日 (金)

がん患者とサプリメント

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厚生労働省の研究班の実態調査によると、がん患者の45%が健康食品を含む補完代替医療を利用していて、その96%を健康食品が占めているそうです。1人あたり平均月5万7千円を費やしているにもかかわらず、効果を実感している人は22%に過ぎずません。また、78%の人が、家族や友人からの勧めで代替医療を始めた、とされています。

このブログでは、補完代替医療はエビデンスがないのだから全てダメ、という立場は取っていません。詳しくは過去の記事を読んでいただくとして、「エビデンスがない=効果がない」とは言えないからです。

サプリメントに関しては『健康食品の安全性・有効性情報』の中の「素材情報データベース」が参考になります。これを使って、自分に適切なものを見つけるのか、その一つの例を「食事と運動は、がんの治療にも効果がある」に書いたことがあります。

その結果、現在私はマルチビタミン&ミネラル、ビタミンD、オメガ3、メラトニンのサプリメントを服用しているのです。

サプリメントの正体 「がんが治る」かのように宣伝するサプリメントも存在しますが、サプリメント業界の裏事情を知る田村忠司氏が『サプリメントの正体』を出版しています。田村氏は、医療機関専用サプリメントメーカー「ヘルシーパス」の創設者で、この業界の裏事情をよく知っているのです。

「どこぞの秘薬」などといった特殊なサプリメントに安易に手を出すのはお勧めできません。ガンの種類や進行度にもよりますが、やはりお勧めなのは、基本的な栄養素の補給でしょう。がんと闘う免疫細胞がしっかりと働くためには栄養素を必要とします。リンパ球は必要十分な抗酸化物質がないと活性化しません。リンパ球ががん細胞の掃討作戦を行うと、活性酸素が大量に発生して、リンパ球自身もダメージを受けます。それを防ぐためにも活性酸素を消去する抗酸化物質が大事なのです。特にビタミンCはしっかりと摂取すべきでしょう。

サプリメントを摂るとしたら、がん患者に不足しがちな基本的な微量栄養素の補給のために、高性能のマルチビタミン&ミネラルを第一に選択すべきでしょう。

メーカーの選択も重要です。田村氏によれば、国内にサプリメントの製造工場は4000~5000カ所もあるそうです。このなかでGMPという医薬品レベルに準じた管理基準でサプリメントを製造している工場は120カ所程度しかないそうです。田村氏があるサプリメント工場の方と会ったときの会話で、「いろいろなサプリメントをただで飲めていいですね」とお愛想を言ったら、「まさか・・・。何が入っているのか、知っているのですよ。そんなものを飲むわけないじゃないですか」との返事が返ってきたと言います。

ラベルに書かれた栄養素の含有量は「努力目標」であり、書かれている通りに含有されていることの方が希、アミノ酸の原産国が中国で、原料に人毛と書かれていれば、大気汚染の深刻な中国の「人の毛」が使われているのです。人体に蓄積された重金属の多くは、髪の毛としてデトックスされるのです。それをサプリメントの原料として使用しているとしたら・・・・。いまやサプリメントの原料の90%以上が中国で生産されているのです。

ビタミン Cを例に取れば、天然物由来のものはわずかです。ほとんどが人工的に化学合成で製造されます。そのとき、目的の栄養素と「よく似た物質」ができることは避けられません。なかには「光学異性体」といって、構造がそっくりと反転している分子ができることもあります。これらの「よく似た物質」の体内での働きはよく分かっていません。悪さをすることもあります。この不純物は製造過程で取り除かれるのですが、どこまで精製するかは工場の判断に任されているのです。原価を安く抑えようとすれば、適当なところで精製を止めることになります。こうして、1kgのビタミンCの原料価格が、数百円から30万円までと、違ってくるのです。

当然ですが、サプリメントに関しては、安いものに良いものはない! のです。

たくさんのサプリメントを飲んでいるのなら、少し考え直してみる方が良いかも知れません。

ビタミン業界の事情が分かっておもしろい本ですが、高濃度ビタミンC点滴療法を好意的に紹介していることは問題です。医者からの聞きかじりだと言っているのですが、医療者でもない彼の限界でしょう。

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2013年11月 2日 (土)

シュレベールが、がん患者に残した「大切な遺言」

シュレベールは、自分の最期の時に流して欲しい音楽を決めてあったのです。それは、ダニエル・バレンボイムが指揮・ピアノ演奏する、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 第2楽章でした。この曲に送られて、2011年7月24日にあちらに旅立ちました。

シチリアーノのリズムで、最後のピチカートの部分も大好きです。

シュレベールは、1990年に偶然前頭葉に脳腫瘍が見つかり手術を受けました。その後、西洋医学だけに頼らない統合医療の有効性と自然治癒力を高めることの重要性に気づき、『Anti Cancer』(邦訳『がんに効く生活』)として出版しています。

さよならは何度でも ガンと向き合った医師の遺言 19年後の2010年にがんが再発します。それは、がんの中でももっとも凶暴なⅣ期の神経膠芽腫で、その平均余命は14ヵ月です。残りの半分は14ヶ月以上生き延びることができますが、シュレベールのように再発の場合では、18ヶ月以上生き延びる確率は「ゼロ」です。膵臓がんとほとんど同じ悪性度です。

シュレベールは死の4週前まで、自分の人生やがんとの闘いをふりかえり、検討を加え、すべてのがん患者への「遺言」として書き残しました。それが先日邦訳が出版された『さよならは何度でも ガンと向き合った医師の遺言』です。

この本で、シュレベールは自分の戦略上のミスも反省しつつ、がんとの闘いで重要な点をいくつか指摘しています。シュレベールは自分自身に対して、こう問いかけます。

  1. 『がんに効く生活』で擁護してきた方法は、再発した自分から見て、それでも有効だと言えるだろうか? 彼はきっぱりと「有効だ」と言い切ります。
  2. それでは再発したのはどうしてなのか? 実は『がんに効く生活』のライフスタイルをきちんと守ってこなかった、と反省しています。
  3. 死を前にしてどのように立ち向かえば良いのか?

がんの「奇跡的な治療法」は存在しないし、100パーセントの成功はありえない。私の例は、それだけでは科学的実験にはなり得ない。『がんに効く生活』で提示しているのは、何万にも上る統計的データ、科学的文献に基づいているのだから。自然治癒力を高める方法はいくつかあるが、その切り札を全てそろえたからといって、あらかじめ勝負に勝つことが保証されているわけではないのです。

脳腫瘍では99%の人が6年以上生存できないのですから、20年近く生存したシュレベールの例は、彼の擁護する統合医療の有効性を示していると考えてまちがいないでしょう。彼が再発したのは、講演会のためにヨーロッパや北米を頻繁に移動して、仕事がハードであった直後でした。時差は免疫システムに大きなダメージを与えるのです。この点を『がんに効く生活』のライフスタイルを守ることができなかったと反省しているのです。

シュレベールは『がんに効く生活』では、食事のことに重きを置きすぎたようだとふりかえっています。優先順位を示すべきだったかもしれないというのです。彼の示す優先順位は、

  1. 第一に重視すべきは「心の平穏」を見出し、それを継続すること。これは決定的に重要です。そのために、瞑想心臓コヒーレンシー・ストレスを最小限に抑えるバランスのとれた生活
  2. 第二番に重視すべきは、「運動」です。運動の大切さは強調しすぎるということはない。
  3. 運動と同じく「栄養」を挙げることができる。

です。

自分自身と和解すること、自分はいずれ死ぬんだという事実を受け容れること。こうした和解と受容のおかげで、人間が本来そなえている治癒のメカニズムに、全エネルギーを投入することが可能になるのです。心も平穏になります。バランスのとれた生活には、睡眠・休息・バカンスが必要です。

がんを告知されると、多くの患者が特定の効果のありそうな食物や「魔法の水」を探そうと必死になります。その一方で「心の平穏」や「運動」については軽視しがちです。このブログでも何度か書いてきたように、心の平穏が私たちの身体に与える影響は、考えている以上に強力なのです。瞑想と運動に無関心ながん患者は、本当に勿体ないことをしているのだと思います。

心の平穏を保つためには「足るを知る」ことです。人生には「足りない」ことばかりです。足りないことに目が向いていては、いつまで経っても心は満たされません。あれもこれも欲しがらないことです。もっと生きていたいという煩悩も捨てることです。「ま、これでいいか」という気持ちでいるのです。老子はその大切さを教えてくれます。

瞑想をし、人生や死について自分なりの考え方を整理しておくこと。そのために老子や道元や良寛など、先達の思想も紹介してきました。食事や栄養も大切です。がんと闘うためには「体力」が必要です。結局がんと闘うのは、精神と肉体の全エネルギーを有機的に働かせて、総動員した「総力戦」なのです。

シュレベールは、多すぎる仕事が再発の引き金になったのだとしても後悔はしていないと言いきります。なぜなら、そのことで自分の人生がより充実したものであったからです。『笑いの治癒力』のノーマン・カズンズも、最初の病気を治した後も、ケロイドを負った原爆乙女をアメリカに招いて治療するなどの活動に奮闘し、再び病で亡くなっています。彼らにとっては、がんが治ることも重要ですが、どのような人生を送るかの方が、より重要だったのです。

エコロジーにも関心の深かったシュレベールは、死の4ヵ月前の福島第一の原発事故と人々の被曝にも、「地球が病んでいるのに、そこに住んでいるわれわれが健康に生きることはできない」とマイケル・ラーナーの言葉を引用して深い憂慮を示しています。がん患者であるからこそ、福島の子どもたちへの放射線の影響を憂慮して発言し行動すべきではないだろうかと、私もそのように考えているのです。

モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の、同じく第2楽章はスウェーデン映画「みじかくも美しく燃え」に使われています。彼の駆け抜けた人生にはこちらでも良かったのかも、などと考えながら、今日はシュレベールを偲んで、21番と23番を全曲聴いています。

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2013年11月 1日 (金)

13/10月 ツイートのまとめ

中日新聞医療サイト「つなごう医療」 @chunichi_medi  
 シリーズ「医人伝」、今回は名古屋大教授時代、卒業生の投票で4年連続「ベスト教授賞に選ばれた名物先生。膵臓がん手術の第一人者で執刀数は世界でも有数の700例以上です。 「膵がん克服の挑戦続く 名古屋セントラル病院院長 中尾昭公さん」 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20131030144010094

島薗進 @Shimazono  
4[福島の子どもの初期被ばく問題①](前編)原子力災害現地対策本部の3月24-30日、飯館村等の児童1,080人を対象とした甲状腺線量調査。とても調査とは言えないものhttps://twitter.com/cyborg0012/status/394148718577848320/photo/1 参)今中氏や早川正美氏http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear/kou228Hayakawa-report.pdf  

島薗進 @Shimazono  
1[福島の子どもの初期被ばく問題①](前編)@cyborg0012 さんhttp://togetter.com/li/583189 要約(1)「政府、弘前大学などによる事故時の被ばく検査は極めて杜撰なものであり、実証的価値をもたない」これは今中哲二氏もつとに指摘したことだがここに簡潔なまとめ。 

祭谷一斗 @maturiya_itto  
ちなみに今年、大手免疫療法クリニック関係者が出してた数字を検証したことがあります。丁寧に本の数字を追っただけですが、何よりも雄弁です。まあ後は各自でお考え頂ければ。※データ使いたい方はご自由にお使い下さい。 http://d.hatena.ne.jp/maturiya_itto/20130328/1364463400 

Chieko K @chiekok21  
この手の免疫療法や民間療法は訴えられてしかるべきなのですが、気付いた時には手遅れで被害者が亡くなってしまう。家族も、本人の選択だから、と諦めてしまう。 そこまで見越している、本当にあくどい商売です。

祭谷一斗 @maturiya_itto  
亡くなる前日まで一回30万の無意味な処置を受けておられたとか、症状が悪化すると処置の頻度をUPさせるとか、いくら何でも、な例には事欠きませぬ。皆様自身は無論、ご身内ご友人にもお気をつけ下さい。薦められることも、止める羽目になることもあるでしょうから……。

Chieko K @chiekok21  
免疫療法クリニックに「もう当院では診れないので、他の所に行きなさい」との一言で紹介状もなしに追い出されて、困って受診する患者には時々遭遇します。 民間療法に傾倒して、皮膚転移が出ても「癌が体の外に出て行こうとする良い徴候」と言われて騙され続けていた患者もいました。 本当に悲しい。

勝俣範之 @Katsumata_Nori  
ただし、民間療法も何もやっていないのに、進行がんの自然退縮した患者さんは、これまで2例経験があります。乳がんと子宮体がんの患者さんです。このように、不思議と自然退縮する、という症例報告が多数あります。http://ow.ly/qjutO 世界でも年間約20例の報告がある。 

勝俣範之 @Katsumata_Nori  
末期癌が治ったということなら、1例報告でも価値があるものと思います。いつでも学会で発表したい、論文にしたい、とその日を待ち望んでいるのですが、20年癌治療に関わってきて、数千人の進行がん患者さんを診てきていますが、残念ながらまだその日が来ていません。

キノシタ @Oncle1316 
局所進行切除不能膵癌に対するTS-1併用放射線療法で、17例のうち、現在も3例が「長期生存」とは、すばらしい治療成績ですね。鹿児島大学医学部の新地洋之氏らが発表。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jsco2013/201310/533277.html&cnavi=1 

キノシタ @Oncle1316 
【癌治療学会2013】局所進行切除不能膵癌に対するS-1併用化学放射線療法は、生存期間および無増悪生存期間を改善。生存期間中央値(MST)は14.3カ月、1年生存率62%、2年生存率28%、5年生存率8%。現在も3例が長期生存。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jsco2013/201310/533277.html&cnavi=1 

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