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2014年8月25日 (月)

糖質とがん、ニンジンジュース療法

がんの食餌療法として、果物やニンジン・ジュースを提唱している医師が(済陽高穂とか石原結實)いる。糖分の多いこれらのジュースを一日に1.5リットルも摂取することが、逆にがん細胞にエネルギーを供給することになっているとしたら、こんなに怖い食餌療法はない。特にすい臓がんの場合には、彼らの言うがままにやっていると、逆に命取りになりかねません。

ブロッコリーなどの野菜や果物に含まれるファイトケミカルには抗がん作用があることが知られています。しかし、最近の研究で、赤ワインに多く含まれるポリフェノールには抗がん作用がないという、否定的な研究も出てきたりして、まだまだ不明確な部分が多いようです。もちろん、ニンジンもショウガも、ファイトケミカルを多く含む野菜としてはあげられていません。

  • がん細胞は、基本にブドウ糖しかエネルギー源にできないということは、科学的な事実です。
  • 糖尿病患者は、がんになりやすい。発がん後の死亡率も高い。血液がんは10倍、膵臓がんは4倍も罹りやすい。
  • 正常な細胞は、ブドウ糖以外にもケトン体や脂肪酸をエネルギー源にすることができます。

炭水化物(糖質)が分解されてブドウ糖になるわけで、糖質を多く摂ることでがん細胞を勢いづかせることになります。

ニューヨーク・メモリアル・スローン・ケタリング癌センターのセンター長トンプソン博士は、「脂質を過剰摂取させてもがん発生率は全く増えません。 炭水化物を過剰摂取させると、がん発生率が劇的に増えます。 タンパク質はその中間です」と述べています。

これらの文献を見たとき、がんと糖質との関係はほぼ明らかだと思うので、済陽式だの石原式で提唱する糖質の大量摂取が、なんでがんの治療法となり得るのか、私にはさっぱり理解できません。

ニンジンジュース療法はゲルソン療法の二番煎じですが、ゲルソン療法の流れをくむゴンザレス療法では、化学療法よりも生存率が悪かったという結果が出ています。

ゴンザレス療法とは:ゴンザレス療法では、豚の膵臓から抽出した膵酵素をカプセル剤で4時間おきに、また食事の際にも服用する。加えて、毎日クエン酸マグネシウム、パパイヤ、ビタミン、ミネラルなど150種類といわれるサプリメントを患者により使い分ける。さらに、1日2回コーヒー浣腸を行ない、有機食材のみという厳しい 食事療法を行う。 治療の鍵となる膵酵素は、体内に溜まった毒素を排泄する作用があるといわれる。また、コーヒー浣腸で大腸内の神経を刺激し肝機能を活発にし、解毒パワーをアップ。患者の病態に合せたサプリメントや食事療法で体のバランスを整え、免疫力を高めてがんを撃退する。

ゴンザレス医師による膵臓がん患者を対象とした臨床試験で、11例中5例が2年以上生存し、平均生存期間は化学療法の3倍の17.5ヶ月という結果を得たとの報告を受けたアメリカ国立衛生研究所(NIH)は、その信頼性を検証するためにコロンビア大学医学部と共同で、無作為化臨床試験を実施する計画を立案しました。(このゴンザレス博士らの試験にはネスレ(株)が資金を提供しています。当然ネスレのコーヒーで浣腸をしたのでしょうね)

ちなみに、現在多くの膵臓がん患者が服用している「リパクレオン」は豚の膵臓から抽出された消化酵素ですが、がん治療を目的として処方されているのではありません。

ゴンザレスプロトコルに関する質疑応答

ゴンザレス・プロトコル臨床試験の症例は平均で17.5ヵ月生存しました。この数字は進行膵臓癌患者の生存期間のほぼ3倍です。この治療を受けた患者の腫瘍の侵襲性が低かった、または試験の初期には症状がより良好であった可能性があります。しかし、この一連の試験で見られた生存期間だけで、Columbia Presbyterian HospitalのグループがNIHと共同で前向き無作為化臨床試験を実施するのに十分でした。

ということで、米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完・代替医療局 (NCCAM)部門が全額資金を提供して無作為化臨床試験を行ったのです。この臨床試験の目的は、外科手術で摘出できない進行膵臓癌の標準治療(当時はゲムシタビンだった)と、ゴンザレス・プロトコルとして知られている膵酵素と栄養補助食品を組み合わせた療法とを比較して検証することでした。

さすがにアメリカはすごいですね。ゴンザレス医師も自分の主張をきちんと臨床試験というデータで示そうとし、それを受けたNIHも資金を用意して無作為化臨床試験で博士の実験結果を検証したのです。代替療法に対してもきちんとしたエビデンスを求めて検証するのです。一方で我が国の済陽氏、石原氏らのやっていることは、自分に都合のよい論文だけを拾い集めて、学会などに出しても相手にされないからと、一般のがん関連本として出版し、それを広告塔にして自由診療で儲けるという構図です。石原結實なんぞは、自分のHPで、これまでに出版した本が270冊だと豪語しているが、それほどたくさんの治療実績があるのなら、論文のひとつも書いて発表しろよ、と言いたい。

エビデンスのない治療法を「がんに効く」とするのは、先に書いた「強命水 活」と同じやり方ですが、医師免許を持っているから違法にならないだけです。それに自由診療だから、健保組合のチェックも入る恐れが無い。リスクゼロのぼろ儲けです。

安倍晋三も「日本版 NIH構想」などとぶち上げてたが(もう文言としては消えちゃったみたい! 大言壮語の彼らしいわ)、こんなところは見習って、日本でも済陽式と石原式の臨床試験をやってみせろよ。<ちょっと興奮気味(ё_ё)>

脱線しちゃったが、その無作為化臨床試験の結果は、「Pancreatic Proteolytic Enzyme Therapy Compared With Gemcitabine-Based Chemotherapy for the Treatment of Pancreatic Cancer」と長いタイトルです。急いでいる方のために、結論だけを要約すると、

  • 手術不能の膵臓がん患者55人を、ゲムシタビン群に23人、ゴンザレスプロトコル群に22人と、無作為に割り付けた。
  • ゲムシタビン群の生存期間中央値は14ヶ月で、ゴンザレスプロトコル群は4.3ヶ月と、9.7ヶ月の差があった。ハザード比6.96(P<0.001)
  • 1年生存率は、ゲムシタビン群は56%であったのに対して、ゴンザレス群は16%であった。

さんざんの悪成績ですね。結局ゲムシタビン群はゴンザレス群の3倍以上長生きし、その間のQOLも勝っていたとの結論です。

どうですか、これでもまだゲルソン療法や石原結實式や済陽高穂式を続けますか?石原結實は1999年にはメキシコ・ティファナにある「ゲルソン病院」を視察しています。れっきとしたゲルソン療法の流れを継いでいる人物です。

済陽高穂も同じだが、最近売れなくなったね。石原結實に食われているのか?なにしろ、ムラキ テルミの『がんは自宅で治す』が売れに売れているからね。

末期の肝臓癌で余命3ヶ月と言われ、三大療法を拒否して断食とニンジンジュースの石原メソッドで完治したと、最近はでかでかと新聞広告も出しているからご存じの方が多いと思う。ただ、末期のがんでも完治することがあるのはよく知られている。毎月のように医学誌にはそんな症例紹介がある。たまには無治療で腫瘍が消えたというような例もある。ムラキ テルミ氏が特別な例ではない。無治療で治った患者が「たまたま」石原メソッドをやっていただけのこと。

ようするに、たんなる症例紹介ではエビデンスにはならないということです。石原メソッドがそんなにすばらしいのなら、もっとたくさんの「無治療で治った」さんがいるはずだろう。たったの一人かよ。何十年間この治療法を提唱しているのか?

がんが転移した、そんな患者の「夢のような治療法があるはず」という切実な思いはよく分かります。私自身も初期にはそうだった。しかしね、ムラキ テルミが治ったからといって、あなたも同じ方法で治るとは限らないのですよ。それを確かなものにするためには、分母がいくつなの?と聞かなくてはならない。つまり、何人がこのメソッドを行って何人が治ったのかということ。「何人が」の分母と分子が分かって初めて検証に耐えるかどうかという話になる。治らずに死んでいった患者のことを、彼らは教えようとはしません。

しかし、石原クリニックの東伊豆にあるのが「ヒポクラティック・サナトリウム」とはふざけているね。ヒポクラテスも泣いて笑っているだろう。
都内のビジネスホテルのような狭いシングルで、バス・トイレなしで一泊15,000円とは!(ニンジンジュース3回付には笑っちゃいました。断食だから食事はなくても良いわけだ)

本の中身など読む必要もない。似たようなテーマで同じような本を270冊だの100冊だのと出版する医者は、それだけで「詐欺師か?」と疑ってかからなくては。⇒ 安保徹・済陽高穂・石原結實ら。まだ何人かいるな。

藁をも掴みたいがん患者を、食い物にするのもいい加減にせんか!


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コメント

石原さんが言うニンジンジュースとは、生のニンジンと飲料水のみですよ。ジュースと書いてあるのを見て勘違いされたのかな?それと果物などは薦めていませんよ。生姜と海塩です。ちなみに海塩と食塩を一緒にしないで下さいね。さらに石原さんは癌の利権等には一切触れていませんよ。

個人的な考えですが、癌の治療で怖いところは、どれもたまに効果があるのと、生還より圧倒的死亡しているのが多いところと思っています。わずかな延命も死亡と考えています。

癌治療の望みは、手術と免疫療法ですかね。
なので、石原氏に頼りたいと思っています。

ちなみにこの記事は、癌 石原 嘘でググり拝見しました。

くろさん。
ま、いろいろな考え方があるので、自分でしっかりと吟味してください。
ゲルソン療法も、自分には合っていると感じられるのなら続ければ良い、私ならやりませんが。
というのが代替療法に関する私の基本的スタンスです。

大腸がん手術後7年、たいした酒も飲まないのに膵炎をわずらっている者です。
がん予防のためににんじんジュースでも飲もうかと思っている所でこちらの記事にたどり着きました

私のまわりの元がん患者という人たちは朝1杯のニンジンジュース
という方が結構いらっしゃいます。
すい臓が悪いなら、にんじんの水溶性食物繊維で血糖値が下がる=すい臓への負担も軽くなるなんて話も聞いたりして何てすばらしい!と思いましたが
実際すい臓がんサバイバーの方のブログに、にんじんジュースは命取りになると書かれていると怖くなって飲みはじめようと思っていた気持ちも失せますね

自分で本を買ったりしてよく調べれば良いのですが何でも知人のやっている事を真似したり
ネットで簡単に済ませようとするとこの様に右往左往
これと信じる道を探すのは難しいです

これからブログを通読させて戴きます。貴重な情報ありがとうございました。

まみさん。ご指摘ありがとうございます。

ただ、『がんは自宅で治す』の本の帯には「余命半年といわれた末期がんを克服、4年後の今、こんなに元気」と書かれています。
http://goo.gl/oBFyjR

本文に「ステージ2の肝臓がん、開けてみれば三か月かも」というのであれば帯とずいぶん違いますね。ま、帯に対しては著者は責任はないのかもしれませんが、それにしても内容と違うのならブログで訂正なり、謝罪なりをすべきでしょう。

ステージ2の肝臓がんで手術でいたのなら、何もしなくても治ることが多いのではないでしょうか。
ますます彼女の言っていることに不信感が募ります。

ムラキさんは、末期がんじゃありませんよ。
「がんは自宅で治す」にステージ2の肝臓がんときちんと書かれています。
「手術で開いてみたら、あと3ヶ月ということもあるから」と手術を勧められたそうです。
何故か、新しい本にはそのくだりが無くなって、ただ余命3ヶ月と言われたとなっていますね。

ババリーナふじこさん。
がん患者団体がムラキ テルミ氏を招いて講演会を開催したり、膵臓がんのブログでそれを肯定的にとらえて石原メソッドに走ったりする方を見て、これはなんとかしなければ、との思いでつい興奮してしまった。

仰るように何の治療法もしなくても「1万人に一人位は治る人がいる」ものなのですね。人間は、時間的に連続した現象があると、そこには因果関係があるものと錯覚してしまうのです。連続して起きたからといって因果関係の証明にはならないのですがね。

奇跡的に治るのは、私は1000人に1人くらいでは、と思っています。1万に1人では自分は無理だと思えても、1000人に1人なら、もしかしてと希望が持てるでしょ。寺田寅彦の随筆に「椋鳥には千羽に一羽の毒がある」と書いたものがあります。
http://pancreatic.cocolog-nifty.com/oncle/2011/05/post-e578.html

「百に一つ」での「一万二一つ」でのまずい。「千に一つ」でなければならない・・・・という主旨のことを書いた随筆ですが、奇跡的治癒例は実際に千に一つくらいあるのでは、と思います。なかなか統計的に証明することが難しいでしょうが。

ムラキ氏も断食療法をした、治った、だから石原メソッドのおかげで因果関係があるのだと短絡的に考えているのでしょうね。それだけで石原結實の広告塔を務めたり、自分のネットショップに誘導したりとは、罪深いと思います。

沈着冷静なキノシタさんが興奮してる!

そりゃそうですよね~。藁どころかクモの糸だって掴みたい気持ちに付け込んで...
最初の診察で「あなたの場合は手術ができそうです」と言われ、それがいかに幸運な事か分かっていた私でさえ、「一度も退院することなく1ヶ月以内に術中死、なんていうのはイヤだ~」とか、「1年以内に半数が再発? じゃ、手術しなければ、少なくとも再発はしないよね」とかいう罰当たりな考えがチラッと頭をよぎりましたもの。

だから、特に膵癌の場合「手術できません」と言われた方の気持ちを思うと、胸が締めつけられます。そして、とんでもない療法に突き進むことなく、自分に合った真っ当な方法が見つかるよう祈っています。残り時間が少ない、と焦っている方もおられるかもしれません。でも、信頼できる医師は口を揃えておっしゃいます。「余命なんて、神様じゃないから分かりません」と。私自身、再発したら厳しい状況になることは必至です。その時は、あと何日と数えるのではなく、「ああ、今日もなんとか無事に過ごせた」と、カウントアップしていこうと思っています。〈欲張らない! がんばらない! あきらめない!〉

長くなりましたが、あと一つだけ。高濃度ビタミンC療法についての裏話をしてくださったM医師から伺ったお話を紹介させてください。「どんな治療法に関しても、1万人に一人位は治る人がいるものなんですよ。ただ、その一人を取り上げて効果を誇張するか、正直にあとの(残念な結果に終わった)患者さんたちのことに触れるか。それは医師の姿勢にかかっているんです。少なくとも、この療法は僕の仕事ではないと思っています」

今回、ゲルソン療法に関しては、金魚さんが適切なコメントをしてくださったので、私は別の角度から考えを述べさせていただきました。それにしても、ゲルソン療法、ツッコミどころ満載ですね。

金魚さま。
いつも適切で的を射たコメントをいただき、ありがとうございます。

ゲルソン療法は抗がん剤治療中の患者、特に膵臓がんには禁忌だと、ゲルソン娘さんが著書に書かれています。

ゲルソン療法の亜種でも似たようなものでしょう。がん患者の「魔法の弾丸」を期待したい気持ちはよく分かりますが、それにつけ込んだ似非療法の餌食になっている患者が多いのは困ったものです。石原メソッドの断食療法も予約で3ヶ月待ちだとか。

医者も患者がどのような代替療法をやっているかを聞いて指導すべきでしょうが、忙しい医師に代替療法のすべてを勉強しろというのも現実的ではないだろうし・・・。何かあったら告訴されかねない、面倒なことには首を突っ込みたくないという気持ちも分かるし・・・。

キノシタ さま
いつも歯切れの良いコメント、スカッとしますね。
ちなみに、私は補助化学療法中ですが、色素沈着予防に人参、レモン、林檎のジュースを400ml程度飲んでいます。
整腸にも効いているようです。
ただ大量摂取やこれだけで一食を終了するのは微妙ですね。

人参ジュースは、低ナトリウム高カリウムにする食事療法とセットらしく、一日の塩分2.6gが目標らしいですね。
ゲルソンさんは、癌細胞がこれで死滅すると言ってますが、一方術後間もない人や化学療法の人は生命の危険があるので止めましょう・・・とも書いてますね。
βカロチンは生人参では吸収率が悪いし、フィトケミカル等を取るのに低速ジューサーを使用すると食物繊維はほぼ破棄されて、ブレンドによっては急な高血糖→低血糖と糖尿の人に勧めるのは意味不明な感じは否めません。

化学療法中の身なので、1クールやると体重が2kg落ち血中総蛋白が下がるので、キノシタさま同様、私は高蛋白食をとり、3分の2来ましたが一度も白血球や血小板低下で投与不能になったことがありません。
もっと多くの人が化学療法前に適切な指導を受けられるようにしないといけないのでは?と化学療法室のと隣の患者さんと看護師さんの会話を聞いていて思います・・・

追伸
この記事もうご覧になりましたか?
低血糖と運転についても、指導が進むと良いですね
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/sped/1408dm/201408/537908.html

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