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2015年3月21日 (土)

NICE アブラキサンの保険承認を拒否

イギリスの政府機関NICE(国立医療技術評価機構)が、転移性膵がんにアブラキサンを保険承認することを拒否した。

NICE rejects pancreatic cancer regimen over cost concerns

ジェムザールにアブラキサンを上乗せした場合に、ジェムザール単独に比べてわずか2ヶ月の延命効果しかないことで、費用対効果が低すぎるというのが拒否の理由である。

NICEはこれまでにも「医学的効果(患者にとっての最適選択)」と「経済的コスト」の両面から評価を下している。近年の抗がん剤の分野での分子標的薬の登場によって、治療費用が著しく高騰するようになった。野放しにすれば保険財政が破綻するだろう。もちろん日本でも同様だ。

こちらで書いたように、アブラキサン(nab-パクリタキセル)とパクリタキセルの比較試験は世界のどこでも行われたことがなく、効果に違いがあるのかさえも不明である。つまり製薬企業はより高価な薬剤だけを供給したがっているように見える。

ひとりの患者にとってアブラキサンを選択することは最適解であったとしても、多数の患者が最適解を選択することで、国家としての保険制度が維持できないとすれば、将来の患者にとっては不幸である。製薬企業の横暴を抑制するという点では評価できる決定とも言える。

一方で、今回のNICEの決定に対して、英国の膵臓がん患者団体 Pancreatic Cancer Action (PAC) は反対している。膵臓がん患者にとっては、耐性ができた後の抗がん剤の選択肢が減ることは、命を削られることに等しいからだ。

難しい問題だ。月100万円の薬剤費がかかる患者が、今後急激に増えていくことも、また困ったことに違いない。城山三郎だったか、はっきりとした記憶ではないが、膵臓がんで亡くなる前に、抗がん剤治療費の高さに「私の命なんぞにこんな高価な薬を使うことは勿体ない」と言って治療を拒否しようとしたとか。その気持ちもよく分かる。

もっと議論が起きても良い問題だと思うのだが。


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