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2015年6月

2015年6月30日 (火)

ステージ0の膵がんも発見可能

膵臓がんは早期で発見することが難しいがんなので、初期に発見できたとしたら生存率の向上が望めるのではないかと、膵臓がんの新しいバイオマーカーの研究が盛んです。ジャック・アンドレイカの話題もありましたね。しかし実用化までには早くても数年~10年はかかるでしょう。

6月25日の『Nature』に掲載された研究論文は、臨床で実用化されれば非常に頼もしいバイオマーカーになると期待できます。

スタンフォード大学の研究チームは、すい臓がんの診断や予後予測に使えそうなバイオマーカーを新たに発見したとの研究成果を発表します。がん細胞が血液中に放出する小胞(エキソソーム)に内包されるグリピカン1(GPC1)を調べるという手法。

【論文概要リンク】
Sonia A. Melo et al.,‘Glypican-1 identifies cancer exosomes and detects early pancreatic cancer’, in Nature.
http://nature.com/articles/doi:10.1038/nature14581

 

この研究に対しての日本の専門家のコメントが紹介されています。

すい臓がん、より精度の高いバイオマーカーを発見

広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 田原 栄俊 教授

  • がんの転移には、細胞が分泌する細胞外小胞(エクソソーム)が関係している。
  • これまでの腫瘍マーカー(CA19-9)を上回る精度で膵臓がんと相関する。
  • MRIの画像検査では捉えることのできない段階でも、血液中のGPC1+crExos の量が腫瘍の大きさと相関して上昇する。
  • 画像では発見できない初期段階(ステージゼロ)で、膵臓がんを発見できる可能性を秘めている。

国立がん研究センター研究所 落谷 孝広 主任分野長

  • GPC1陽性エクソソームが膵臓がん細胞株由来エクソソームにも多く存在する。
  • GPC1陽性エクソソームは、膵臓がん患者の血中に感度、特異度の高いマーカーとして確認されている。
  • 本研究は、細胞外小胞を利用した、膵臓がん由来エクソソームマーカーの発見をした点で注目すべきもの。
  • このマーカーは、良性疾患との鑑別にも有効であることに加え、膵臓がんの前がん病変でも血液中に検出されるという点が重要です。
  • 膵臓がんの最大の問題点であった、「発見が遅れることによる治療困難な状態」を回避するという観点からも朗報です。

臨床で利用できるようになるには、数多くの課題を克服しなければならないでしょうが、ステージ0の膵臓がんが見つかるようになれば、手術適用できる割合が飛躍的に増えるわけです。

一日も早く、膵臓がんで亡くなる人がせめて他のがん並みになることを願っています。

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2015年6月29日 (月)

デジカメ 試し撮り

25日発売のCanon PowerShot G3 Xが届いたので、昼休みに試し撮り。

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1.0型センサーで広角24mmから超望遠600mmまでカバーするという優れもの。5000台限定のEVF KITとアクセサリーで109,000円也。購入資金はないので、使っていたSONY α6000とツァイスの通しでF4のレンズをヤフオクで売って充てることにした。

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解像度もまぁ合格レベルというか、シグマのMerrillと比較しての合格レベルだが、コンデジと比較すれば雲泥の差。さすがは1.0型のセンサーだけのことはある。上の写真で、トラックの屋根の上に虫がいるのが分かる。手ぶれ補正もよく効いている。

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いつもの「美人林」を想像させる自動販売機だが発色もよい。

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200mm相当の望遠域でもキッチリと解像している。

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細部までよく描写できている。壁と金属の質感も良い。

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散歩カメラには、これ1台で済むからちょうどよい。さて、撮影旅行を計画しなければ・・・。あっ、そうだ。甲状腺がんのことも調べなきゃならんのだった。

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2015年6月28日 (日)

今日の一冊(7)『病の皇帝「がん」に挑む』

病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘 上 2週間かけてやっと読み終えた。上下2巻で800ページのこの著作は、2011年のピュリッツアー賞の他数々の賞を受けたのもなるほどと思わせる、インド系アメリカ人医師シッダールタ・ムカジーによる満身の労作である。

副題に「人類4000年の苦闘」とあるように、がんの存在は古代エジプトの頃から知られていた。ギリシャの医聖ヒポクラテスによって「がん」と名付けられたが、「治療法はない」と一言書かれるのみであった。

病の皇帝「がん」に挑む ―人類4000年の苦闘 下 20世紀に入り、ハルステッドの乳がんに対する拡大手術、疑わしいものは全て切除するという考えのもと、乳房はもちろん、大胸筋、小胸筋、さらに、わきの下のリンパ節も全て除去するというものが全盛の時代を迎える。脳以外はすべて切除するという究極の手術すら考えられるほどだったが、やがてその治療法には効果がないと判明する。

抗がん剤の歴史も苦難に満ちている。小児白血病の抗がん剤の開発は、地獄のような苦しみを子どもたちに与えながら、まったく効果がなく、多くの子供が治療の甲斐なくなくなっていった。「ジミー」という名の一人の悪性リンパ腫の子供を救うために「ジミー基金」にたくさんの資金が集まり開発が進むが、その薬の多くは望ましい結果を得ることができなかった。

ならばと、最大用量の抗がん剤の投与、いくつもの抗がん剤の多剤併用療法へと突き進んでいく。

21世紀を目前にしてハーセプチンやグリベックなどの分子標的剤に開発によって、驚くような延命効果が得られるようになった。今は、がん細胞遺伝子解析による「効果が期待できる患者」が特定できるようになり、がんとの闘いにも大きな進歩があるが、このことはとりもなおさず、がん細胞の多様性、同じ癌腫でも個人によって遺伝子変異は異なっていることの証しでもある。

がんとの闘いの歴史を学ぶことで、今人類はどの地点に立っているのか、私たちが直面しているがん治療は、どこから来てどこへ向かおうとしているのかが見通せるようになる。

しかしムカジーは、がんとの闘いに勝利はないだろうと考えているようである。

概念上、がんとの闘いはテクノロジーをその限界まで押し進めたものである。なぜならその介入の対象は、われわれ自身のゲノムだからだ。悪性と正常の増殖を区別するような介入が可能なのかどうかすら分からない。支離滅裂で多産で侵略的で適応能力の高いがんを、我々の身体から切り離すのは、ひょっとしたら不可能かもしれない。もしかしたらがんは、われわれに本来備わった生存の限界といったものを規定しているのかもしれない。

だが、紀元前500年の、40歳の乳がん患者であったアケメネス朝ペルシア帝国の女王アトッサが現在にタイムワープしたとしたら、ハーセプチンによる分子標的治療を受けることになる彼女は60歳まで生きることができるだろう。「魔法の弾丸」はまだ見つからないし、見つかることもないだろうが、がんとの闘いは確実に進歩している。

残念なことに、膵臓がんに関してはアトッサの時代とほとんど変わりがないとも述べている。確かに手術法は進歩したし、術後の抗がん剤によって5年生存率は大きく向上したが、手術できない膵臓がんの治療成績は、紀元前500年前とほとんど変わらない。

いくつかの興味深い記述を紹介しておく。

次の飛躍的な進歩はがん遺伝学の向こうにあるいくつかの分野を巻き込んだものになると予想しています。ほんの一例を挙げると、たとえば、これまで正当な評価を受けてこなかったがんにおける微小環境の役割の研究は、今後拡大する分野だと予想されます。がんのエピジェネティクス? それもまた、今後発展していくはずの興味深い分野です。がんの生物学と幹細胞の関係? これもまた、遺伝学と微小管京都にまたがる非常に込み入った分野です。

腫瘍生物学における4つの重要な分野

  1. 免疫システムの役割
    臨床医は、がんの自然寛解という非常に希な現象があることを知っていました。これは免疫システムが腫瘍を攻撃しているからだと考えました。実際免疫システムの再活性化は悪性黒色腫などのがんに対して効果的だと分かり、患者自身の免疫システムの役割への研究が進んでいます。
  2. がんの代謝
    がん細胞は無酸素下でもエネルギーを発生させることができるのですが、その代謝に特異的に影響を及ぼす遺伝子を特定しています。それらの遺伝子に働きかける薬を見つけられたら、がん細胞のアキレス腱を攻撃することも可能になります。
  3. がん細胞における遺伝子制御
    細胞はDNAに変化を及ぼさないエピジェネティックな方法で制御をすることがあるが、がん細胞はこの機能を中断させたり変化させることも利用して、正常細胞とは異なる働きができるようになっている。この分野の研究が進めば新たな治療法の解明が進むに違いない。
  4. 微小環境の役割と増殖・転移との関係
    膵がんはなぜ他の臓器ではなく肝臓や肺に転移しやすいのか。前立腺がんはなぜ骨転移するのか。「安全地帯」があるとすれば、それはがんの微小環境との関係を究明することによって明らかになるだろう。

最後に、亡くなったと信じられていた悪性リンパ腫の「ジミー」は今も生存してて、50歳のトラック運転手として子どもたちに囲まれて元気に暮らしていることが明らかになる。

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2015年6月27日 (土)

『患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説』

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このたび膵癌診療ガイドライン改訂委員会では、膵癌診療ガイドライン2013の市民向け解説書として『患者さんのための膵がん診療ガイドラインの解説』を2015年6月25日に金原出版(株)より発刊しました。

膵がんの患者さんやそのご家族が、いま知りたい病気・治療の知識について、正しい情報を得るための一冊。最新の医師用ガイドラインをもとに25のQ&Aを設け、わかりやすく解説した。難治がんといわれることの多い膵がんだが、近年は研究が進み、新たな化学療法が登場するなど、さまざまな治療のアプローチが可能となっている。本書でご自分の病気や治療法をよく理解し、主治医と共に病気に立ち向かうための武器としていただきたい。

はじめに
 厚生労働省の平成25年度人口動態統計では、わが国の膵がん死亡数がついに3万人を超えたと報告されました。悪性新生物による死亡順位も肝がんを抜き、肺がん、胃がん、結腸がんに次いで第4位になっています。膵がんは高齢化によって近年急速に増加していますが、死亡率は年齢を調整しても上昇しています。また膵がんは、診断時には膵臓を越えて周りの臓器に広がっていたり、遠くの臓器にも転移していることが多く、極めて悪性度の高いがんです。その克服は医学上も、今世紀の大きな課題の一つにあげられます。

 膵がんの早期診断は難しく、外科手術で完全に切除できる例は少ないため、周りの臓器に広がった膵がんや外科手術で切除しきれなかった膵がんに対する治療法の開発が求められています。抗がん剤を用いた化学療法としては、1997年にゲムシタビンの膵がんに対する有効性が示されました。その後、ゲムシタビンとエルロチニブの併用療法、さらに内服薬であるS- 1(エスワン)の有効性が示されました。最近は、複数の抗がん剤を組み合わせたFOLFIRINOX(フォルフィリノックス)療法やゲムシタビンとナブパクリタキセル併用療法の有効性が明らかにされています。放射線照射法の改善、また化学療法や放射線療法によってがんを小さくしてから外科手術を行う補助療法の効果も期待されています。

 このように、難治がんである膵がんに対する治療も近年はさまざまなアプローチが可能となり、治療の選択肢が増えました。しかし、これらの治療法は開発されてから歴史が浅く、いまだに研究段階のものや、有効性について検証段階のものもあります。日本膵臓学会は、わが国における膵がん診療の向上と均質化、最新情報の提供を目的として、2006年に医師向けの「科学的根拠に基づく膵癌診療ガイドライン」を刊行しました。その後、膵がん診療の急速な進歩により、2009 年と2013 年に改訂が行われています。

 このように膵がん診療はいまだに発展途上にあり、診療にあたっては患者さんやご家族の理解と協力が極めて重要です。膵がんの手術は難度の高い外科手技であり、抗がん剤を用いた化学療法の多くは強い副作用を伴います。本書は、膵がんに不安をおもちの方、膵がんの治療を受けられる患者さんやご家族の皆様に役立つことを願って作成された解説書です。患者さんやご家族が最も知りたいと思われる25の質問を設定し、それぞれの質問にできるだけわかりやすく、かつ、最新の信頼できる情報に基づいて解説しました。

 最後になりますが、膵がん診療における患者さんとご家族の理解の重要性を強く感じ、本書の作成にご尽力されました作成委員長の山口幸二先生、副委員長の奥坂拓志先生、そして作成委員の皆様のご努力に心より敬意を表します。

 2015 年5 月                               日本膵臓学会理事長  下瀬川 徹

【目次】
■膵がんとは/科学的根拠(エビデンス)に基づく診療ガイドラインとは
 Q 1 膵臓はどこにあるのですか? どんな働きをしているのでしょうか?
 Q 2 膵がんとはどのような病気なのでしょうか? 教えてください。
 Q 3 なぜ膵がんになったのでしょうか?
 Q 4 科学的根拠(エビデンス)に基づく診療ガイドラインとはどういう意味ですか?
 Q 5 臨床試験はどうして必要なのですか?
■膵がんの診断法
 Q 6 膵がんになるとどのような症状が出るのでしょうか?
 Q 7 膵がんの診断や検査方法について教えてください。
 Q 8 膵がんの病期とは何ですか? どのようにして決めるのですか?
 Q 9 最近、ボ-ダ-ライン膵がん(Borderline resectable膵がん)という言葉を聞きますが、これは何でしょうか? 
 Q10 早期に膵がんを診断するためにはどうしたらよいですか?教えてください。
■膵がんの治療法
外科手術
 Q11 手術の方法について教えてください。
 Q12 拡大手術の意義はありますか? 教えてください。
 Q13 内視鏡手術の方法、利点と欠点について教えてください。
 Q14 バイパス手術とはどのようなときに行うのでしょうか?どのような方法ですか?
 Q15 手術例数の多い病院で治療を受けたほうがよいのでしょうか?教えてください。
補助療法
 Q16 膵がんで切除できそうですが、手術に先立って化学療法や放射線療法を行い、その後に手術を受ける方法を勧められました。この方法は効果があるのでしょうか?
 Q17 手術の後にも治療をすると聞きました。どのような方法でしょうか?
放射線療法
 Q18 放射線療法の方法について教えてください。副作用も心配です。
 Q19 骨転移に対して放射線療法は有効でしょうか?
化学療法
 Q20 化学療法(抗がん剤治療)の方法について教えてください。副作用も心配です。 
 Q21 一次化学療法とは何ですか? 教えてください。
 Q22 現在、膵がんに対して化学療法を受けています。いつまで化学療法は続くのでしょうか? 教えてください。
 Q23 二次化学療法とは何ですか? 教えてください。
ステント療法
 Q24 胆道ドレナ-ジについて教えてください。
 Q25 胃・十二指腸が閉塞したときの治療法について教えてください。
編集後記
索 引

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百田尚樹、人格の乖離

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百田尚樹って、文筆業で飯を食ってる人間だろう。それが気に入らないマスコミはつぶせばよい、と言うのだから、もう文化人のレベルでもないし、ペンで飯を食う資格もない。しかし、いろいろと話題を提供してくれる人物ですね。やしきたかじん氏の闘病を題材にした『殉愛』で捏造疑惑、裁判沙汰になったのはつい昨年のこと。当事者に取材もしていなかったのだから呆れる。

で、今回の「沖縄の二つの新聞社は絶対つぶさなあかん」との発言を批判された百田氏、二紙について「関西にいるのでほとんど読んでいない」と釈明した。

なるほど、当事者に取材する能力もないし、つぶしたいと思う新聞も読んだことがないのだ。なんでこんな人物が「本屋大賞」になるのかな。この賞、もしかしたら日本会議とかが裏で操っているってことはないだろうか。

自民党から見ると小林よしのり氏が「リベラル」だと。これにはビックリした。それほどまで日本の右傾化が進んだということだ。

ベストセラー作家と、やくざまがいの下劣な人格との乖離に唖然とする。

作家としての基礎的な資質も、民主主義についての知識も「永遠に0(ゼロ)」な人物だ。

2015年6月25日 (木)

甲状腺がんの疑い?

今日は1年ぶりのがん研、定期検査でした。
血液検査の結果:

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HbA1cがまた高くなっている。7.8%。先月地元の病院では7.0だったので徐々に悪くなっている。治療方針を変えるべきか?

CEAが5.8ng/dLと基準値越え。これは術後初めてのできごとだ。ま、時系列でみると若干の上下を繰り返していて、その範囲内だと言うこともできるが、気になる。

CA19-9は問題なし。

CT画像の結果は、局所再発、遠隔転移の兆候はなし。肝臓も肺もきれいです。しかし、放射線医の指定で「甲状腺に腫瘤の疑い」と書かれていた。確かに三年前の画像と比較すると影が大きくなっている。三年前には気づかなかったか。膵がんの転移ではありません。膵がん細胞ならこんなにゆっくりと進行するはずはない。

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来月超音波で検査することになった。

甲状腺の腫瘍のうち大部分は「良性」で、がんではない。しかしながら、中には大きくなったり、ほかの臓器に広がる「悪性」の性質を示す腫瘍があり、これを甲状腺がんという。甲状腺がんでは、通常、しこり(結節)以外の症状はほとんどないが、違和感、痛み、飲み込みにくさ、声のかすれ(嗄声)などの症状が出てくることがある。

下線の部分に引っかかる自覚症状があります。

甲状腺がんの中でも髄様がんの場合には、特にカルシトニン(甲状腺から分泌されるホルモン)やCEAなどの腫瘍マーカーの値が上昇する

もしかするとCEAの上昇は甲状腺がんのせいかもしれない。仮にがんだとしても、3年でこの程度の増大なら、ごく一般的な進行が緩やかなタイプだろう。外科手術で完治することが多いし、取り切れなくても天寿を全うすることが多いと言われている。ということで、まったく心配はしておりません。

万が一甲状腺がんだとすれば、3.11の福島第一原発の事故によって放出されたヨウ素131の影響という可能性も否定できないと思っています。セシウム137の放出経路はだいたい分かっているようですが、study2007さんの『見捨てられた初期被曝』にも書かれているように、ヨウ素131の放射能がどういう経路で、どこに、どれだけ流れていったのかはほとんど分かっていないのです。

「100歳まで生きてがんで死ぬ」が望みですが、そのがんが甲状腺がんになるかもしれないね、というわけですね。

      喜びも 半ばごろの 八年目

【面会の掛け持ち】
診察が終わって、たまたま入院していたhdさんと面会の約束をしていたので、病室へ。さらに、私の高校時代からの古い友人(この2月に膵がんのステージⅣbを告知された)も、急遽同じフロアに入院することになったので、ダブル面会。3人でデイルームで懇談しました。
hdさん、頑張っていますね。本人は「病院から見ると瀕死の状態」と言っていましたが、見た目は元気でした。私の友人も、彼からたくさんの勇気を戴きました。

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2015年6月21日 (日)

「患者申出療養」は早い者勝ち

昨年の6月13日、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会の3師会が記者会見を行い、日本医師会会長の横倉義武氏らは、「患者申出療養」制度について、安全性や有効性、将来的な保険収載などについて「最低限の担保がされた」と評価して、患者申出療養の受け入れを表明しました。その時点でこの制度の実現が確実になったのでした。私に言わせれば「裏切り」です。

そして今年の5月27日、医療制度改革関連法案が参院本会議で可決され、成立しました。

これが本当に難病患者の希望に添ったものなのか。ここにきて大きな問題も持ち上がっています。

これらの法律は、厚生労働省の専門家会議などから提案されたのではなく、政府の規制改革会議 「規制改革に関する第2次答申」で提言され、昨年6月24日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014年の中に創設が明記されたのです。

閣議決定された成長戦略には次の文章が潜り込まされているのです。

  • 費用対効果が低いとされた医療技術について、継続的に保険外併用療養費制度が利用可能となる仕組みを検討する
  • 有効性は認められたものの、保険適用が見込めない医療技術についても同制度上の在り方を検討する

1点目は、今の評価療養の中にも高額であるため塩漬けしたまま保険適用をしていない医療技術はありますが、それを半永久的に保険適用外に置こうということです。2点目は、有効性が証明されたからといって、かならずしも保険適用になるとは限りません。も高価な薬は保険適用しません。お金のある人が混合診療で使ってください、ということでしょう。

「患者申出療養」制度は、未承認の薬を使いたいと希望する患者が、治療や薬を医療機関に申し出る仕組みです。その医療技術が「前例のない診療」の場合は安全上のリスクがあるため、申し出先は全国15カ所の臨床研究中核病院などに限られます。中核病院は国に申請し、国は専門家会議を招集し、安全性などに問題がなければ原則6週間で了承します。一方、患者の希望する治療が「前例のある診療」なら、身近な医療機関にも申し込めるのです。

「患者申出療養」制度は、臨床研究中核病院が実施計画を作成して行うとされていますが、適格基準外へは個別に実施計画を作成するものの、プロトコルは「含まない」と国会で答弁しています。つまり、プロトコルを逸脱した患者のデータが集まるのです。バイアスてんこ盛りのデータは役にたちません。単に症例データにしかなりません。症例データは科学的統計学的に意味がない症例報告にすぎず、統計的判定にはまったくなじまない代物です。幾ら症例を集めても保険収載には繋がらないのです。

プロトコルとは、治験を実施にするにあたって、治験実施者(治験を実施する医療機関)及び治験依頼者(製薬メーカー)が遵守しなければならないその治験に関する要件事項を全て網羅記載した実施計画書です。「その治験の全てを記述した絶対的な法律」です。これを逸脱したら「治験」とは言えない。

保険収載に必要とされる「安全性・有効性・汎用性」が科学的・統計的に証明されるはずがないから、多くの治療技術・薬剤が「有意差を証明できない」として保険収載されないことになります。

一旦その薬が保険対象外となってしまうと、それ以降「安全性・有効性・汎用性」が証明されなかったその薬は一切使えなくなってしまうのです。それでも使いたいという患者は、一切の医療行為・薬が全額自己負担になります。

つまり、未承認の抗がん剤を「患者申出療養」で使いたいのなら「早い者勝ち」です。もたもたしてて保険収載されないと決まったら「患者申出療養」は使えなくなり、全額自己負担の混合診療となってしまうのです。

こんな悪法を無理矢理成立させたのは、がんなどの難病患者の「思いに応える」ふりをして、本当の狙いは別だからです。社民党の福島瑞穂議員の質問に対して、安倍総理が「困難な病気と闘う患者の思いに応えると同時に、成長分野としての我が国の医療のイノベーションにも資するものであると考えております。」と応えたとおり、経済復興が第一の目的だからでしょう。成長戦略として「規制改革会議」が打ちだしたのであって、「患者の思いに応える」というのは、後から付けたオブラートに過ぎないのです。

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2015年6月19日 (金)

今日の一冊(6)『見捨てられた初期被曝』

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明月院のアジサイ

見捨てられた初期被曝 (岩波科学ライブラリー) 本書は、3.11の原発事故による、主にヨウ素131の初期被曝から子どもたちを守るために何が足りなかったのか。被害を小さく見せるために政府や行政、御用「科学者」達によってどのようなすり替えが行われたのかを、入手できる範囲の測定データを使って検証しようという試みです。

私は、著者のstudy2007さんとは2007年からのお付き合いです。とは言っても、ネットのブログ上での知り合いで、実際にお会いしたことはありません。彼は『転移性肺癌の1寛解例に関する研究』というブログを書かれています。2007年3月に、両肺に転移した最大直径10㎝の腫瘍が見つかり、ステージⅣの告知を受けます。しかし彼は、原子核物理の研究者らしく、自分のがんを科学的に捉えようとします。『抗がん剤治療もそれなりに大変でしたが、「人体実験を主導できて面白い」としか捉えることができず、自分としては結構楽しんでやれていました』と科学者らしく闘っていました。

臨床試験を英語では clinical study/trial と呼ぶので、告知が2007年だからペンネームを study2007としたというわけです。彼よりも3か月後に膵がんの告知を受けた私は、彼のブログの熱心な読者になっていました。

study2007さんは、抗がん剤治療によって一旦寛解しますが、主治医からは「折り返し点ですよ」と釘を刺されます。そして同年の10月にはPET検査による再発の疑いが分かります。

再PETの結果を検討。胸骨辺SUVmax=5.61に上昇。5mm×10mmくらいの領域に集積が見える。

  • 核医学の医師所見:「再発の可能性有り。要経過観察」
  • 主治医所見:「CT画像上は異常なし。しかし再発する可能性大。局所治療要検討」
  • 私の判断:「再発。直ちに再治療の段取りを開始したい」

もともとのSUV値は12程度だった事から考えると半分くらいの活性度になった可能性がある。あるいはFDG放射性同位元素F18から生じる陽電子の平均自由行程(飛距離)が生体内で約5mmである事を考慮すると、100%の活性度になった部分が2~3mm程度存在する恐れもある。
(PETは通常6ピクセル程度の移動平均値を用いるので平均化されて「5」になっているだけ?)
仮にPETという手段が無ければこの「再発」が見つかるのは半年後だったハズである。
僅かではあるが時間的猶予がある。私は「重粒子線治療」を選択した。

再発したというのに、このように分析する科学者魂は健在です。そして重粒子線治療を選択し、あわせて抗がん剤TS-1、ジェムザール、シスプラチンを投与して、現在はアブラキサンで治療を続けているのです。

彼のブログからは、必要な情報を集め、知識を総動員し、可能性と選択肢を科学的に分析することの重要性、そして、与えられた不十分な条件の中で果敢に決断することの必要性を教えられます。

そして2011年3月11日の福島第一原発の事故が起きました。原子核物理者である彼は、断片的な情報の中でも彼なりに分析して、政府や東電が「メルトダウン」を否定するにもかかわらず、3月15日には、

格納容器の一部が破断したと思われます。
あくまで自己判断ですが、
100km以内の妊婦、幼児は、圏外に出ることを推奨します。

と書いているのです。実は私も3月12日には、

大災害です。福島原発の情報が小出しにされている印象を受けます。管総理が現地に乗りこんだり、原発内で行方不明や数人が亡くなっているなど、大きな被害を予想させますが、「安全だ」という情報が流されています。本当か???

原発は、電気を作る設備でありながら、緊急時に外部からの電力を断たれると炉心の冷却もできないという不可思議な弱点を持っています。M8.8という超巨大地震を想定した設計にはなっていないはずです。
大事にならないことを祈るばかりです。

16:00 やはりメルトダウンか? チェルノブイリ並みになるかも。政府は真相を隠しているに違いない。

冷却する行為が、格納容器を損傷する(可能性)という、過去に例のない危険な賭となる。賭をするということは、炉心溶融(メルトダウン)が始まっているからだろう。

と書きました。そして3月15日には『政府は、妊婦と乳幼児を直ちに避難させよ!』と書き、3月16日には

政府はパニックを怖れて真実は小出しにする。本当の危険が迫ったときには脱出は不可能である。政府が避難勧告を出そうとしないのなら、妊婦、子供は直ちに、なるべく遠くに疎開すべきである。

と避難を呼びかけました。私のブログでの避難の薦めなど何の効果もなかったとは思いますが、この時にもstudy2007さんや牧野潤一郎氏のブログに励まされました。政府がことさらに「安全」を強調するときは「危険」が迫っていると考えた方が良い、この事故からの私の教訓です。

そしてご存じのとおり、SPEEDIの情報を活用されず、住民は無用な被曝を強いられ、避難の混乱の中で多くの病気を抱えた老人が死亡しました。「安全神話」にどっぷりと浸かった政府、御用「科学者」達は、自らが作成した緊急時のマニュアルすらまともに実行できず、被曝線量を推定するために必要な放射性降下物などの測定データを取得する体制にもなっていませんでした。

死の灰をかぶった避難者達のスクリーニングでは、身体除染や安定ヨウ素剤を服用するかどうかの基準値が1万3000cpmだったはずが、いつのまにか10万cpmに引き上げられます。現場では「水がない」「着替えがない」、この寒さの中で「将来のがんのリスクを取るか、今すぐの凍死を取るか」という二者択一を迫られたのです。「二者択一」を迫られること自体が、原発事故の怖さであり、被害なのです。

10万cpmというのは、サーバーメータの針が振り切れる測定値です。つまりそれ以上は測定できない、どれほど危険な放射線がでているのか「測定できない」ということなのです。昔、放射性同位元素が科学技術庁の管轄だった頃の話です。本庁の検査官がある施設の立入検査に行きます。管理区域の扉を入ったとたんに、彼のサーベイメータの針が振り切れたそうです。その担当官は、「顔色が真っ青になって飛び出した」そうです。針が振り切れるとは、それほどの「危険事態」なのです。

事故の初動体制の遅れもあって、初期被曝、特にヨウ素131による被曝線量を推定するデータがほとんどないため、住民・子供の被曝線量は過小評価されている恐れが十分にあります。

子どもたちの甲状腺検査の結果、悪性または悪性の疑いが127名と報道されても、「御用医師」たちは、「まだ発生する時期ではない、過剰に診断したから将来の甲状腺がんを見つけてしまっただけだ。原発の影響とは考えにくい」と繰り返しています。しかし、本書が解き明かしているように、初期の被曝線量は過小評価されている可能性が大きいのです。

study2007さんは、自分が治療している病院で、たくさんの小児がんの子どもたちの姿を見て「中にはベビーカーの小さな子供に抗がん剤の点滴がつながっているケースもあります。私の使っている薬よりも辛いとされる薬もあります」と衝撃を語ります。

お母さんは子供ががんに罹った理由を自分の中に探し、そして責めます。先進医療に望みを託し、家計をやりくりして大金も支払います。自宅に介護ベッドを用意し、最期のときまで寄り添い、愛情を尽くします。そして子供は、自分自身が親の負担になっていることを気にかけながら、心と身体の痛みに耐え続けます。

避けることのできるがんリスクが非科学的で理不尽な理由により、多数の子どもたちに押しつけられるのを、私は許すことができません。

原発事故によるリスクをコスト・ベネフィット論(利益と不利益)で計算する試みもあります。しかしながら、子どもたちの命や苦痛を電力会社の利益に換算する係数を私は知りません。

がん病棟の小児がんの子どもたちと、福島の甲状腺検査で「悪性」と診断された子どもたちの姿が二重写しになって見えているのです。自身ががん患者であるstudy2007さんの抑えられた怒りが、ふつふつと伝わってきます。

ご自身のがんに対して科学的に考え、対処してきた彼は、福島原発事故による初期被曝線量に対しても、限られた、故意に隠されたデータの中から真実を探ろうと努めています。必要な情報が常に十分あることは希です。不十分な情報の中から真理をすくい取って問題の解決にあたることこそが「科学的」態度でしょう。「健康管理のあり方に関する専門家会議」の長瀧重信座長や山下俊一氏らは、これとは逆の「反科学的」だと言ってもよいでしょう。

がんとの闘いも同様です。「魔法の弾丸」が存在しない以上、より正しい治療法はどれなのかを、総力を挙げて考えなければなりません。study2007さんはがんとの闘いにおいても、初期被曝線量を推定するという喫緊の課題に対しても、同じ姿勢で臨んでいるのです。

一般には取っつきにくい内容を、図とグラフをたくさん使って分かりやすく説明する努力をされています。次に原発事故が起きたなら、緊急避難の携行品の一つとして本書が役にたつことがあれば幸いです、とstudy2007さんは最後に書いています。

困難ながんと闘いながら、このような良書を上梓されたstudy2007さんの回復と治癒を願っております。

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2015年6月17日 (水)

ボクの妻と結婚してください

『ボクの妻と結婚してください』最終回をビデオで見た。このドラマ、膵臓がんの方のブログではほとんど触れられていません。気にはなるけど、切実すぎる問題だからでしょうか。

あらすじは・・・。

バラエティ番組の放送作家の三村修治は、「楽しい」ことを追及して仕事一筋でやってきたが、膵臓がんで余命が6か月と宣告されてしまう。遺される家族を支えてくれる人を探すことを最後の企画として立案し、妻に替わって再婚相手を探すこととなる。信頼できる仲間の手を借りながら、妻の再婚相手を探すため、三村は奔走する…。

私の場合は、余命を宣告されたわけではなかったが、手術後の病院のベッドの上で「膵臓がんは、たぶん助からない。遺される家族の生活をどうするか」と、やはり考えたよな。それで、元気なうちに田舎の墓を東京に移転しよう。妻の両親の墓がこちらにあるから一つにしよう。もう一つは、退院したら業者を呼んで、自宅をマンションに建て替えよう。そのようなことを考えていた。二つとも実行したが、墓にはまだ入っていない。妻の再婚? 考えもしなかった。

修治は、死への恐怖を紛らわせるために「妻の再婚」というプロジェクトに没頭することを選んだのではないだろうか。そんな気がする。いや、紛らわせるのではなく、自分が生きた証しとして何かを残したかったのだろう。「何か」とは遺された家族の幸せだ。

最後の場面で、彩子と立木、息子の陽一郎が歩きながら話すシーンで「本当に信じていたかな、私と立木さんが結婚するって」という彩子のセリフがある。3人は修治の思いを知って、再婚するふりをすることにしたのだった。原作も同じストーリーになっている。

原作には、彩子が次のように言うところがある。

「最初は腹が立ってしかたがなかった。なんで妻の私に内緒で余命を生きるのか。でもね。わかったんだ、私が腹を立てれば立てるほど、悲しみが減るってことを計算してたんでしょ。さすがだね。一流のバラエティ放送作家だね。

だからね。私も考えたんだ。放送作家の奥さんとして一生懸命に考えたんだ。伊東さん、本当にありがとうございます。今日まで私の結婚相手を何一つ文句を言わず演じてくださって心から感謝しています。

私はあなたとの想い出だけでこれからずっと生きていけます。陽一郎をしっかり育てるからね。」

彩子の方が一枚上手だった。

修治のプロジェクトは失敗だったのだろうか。そうではないと思う。家族と友人の記憶の中に、修治の優しい生き様がしっかりと刻まれたはずだ。

修治の遺骨を灰にして、バルーンで打ち上げるシーンでは誰も泣いていないで笑っていた。このバルーン葬、実は私も気になって以前に調べたことがある。「バルーン宇宙葬」となっている。気象観測用のラジオゾンデを打ち上げるバルーンを使っているようだ。一式188,000円。

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バルーン宇宙葬とは
遺灰を特殊な方法で巨大なバルーン(直径1.5m~2m)に詰め、大空へ飛ばし、散骨いたします。
大空へ悠々と旅立ったバルーンは約90分後、成層圏に達し、高度約30㎞付近で粉々に飛散し、自動的に散骨されます。
そして偏西風に乗り地球上空を回り続け、自然に還ることが出来るのです。

こういうのもいいなと。でも、墓を浅草に移しちゃったんだよな。

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2015年6月16日 (火)

免疫の不思議

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例えば『心が免疫系に与える影響(3)』などに、

心の有り様ががん、がんの予後に影響することは「経験的」には確からしいと思われている。多くの医者もそのように言う。いまでは、心(脳)から、からだ、細胞、遺伝子にいたる情報が「情報伝達物質」によってコントロールされていることが分かっている。これこそがホメオスタシスの実体である。

などと書いて、脳と免疫系との関係を図で示したりしてきました。しかし、その図では、脳は情報伝達物質を使って胸腺に働きかけ、リンパ系に作用するように書かれています。脳とリンパ系とは直接つながっていないと思われているのです。

ところが、『脳はリンパ系とつながっていた』に書かれているように、アメリカのバージニア大学の研究により、

髄膜を構成する3つの膜(硬膜・クモ膜・軟膜)のうち最も外側の硬膜静脈洞に網状に配置する免疫系細胞が見つかった。分子マーカーの検出や生体観察による構造や機能同定の結果、この網状構造は深頸リンパ管に接続する未知の毛細リンパ管であることがわかった。

そうです。脳とリンパ系がこれまで知られていなかったリンパ管構造で<直接>つながっていることがわかったのです。やはり「脳(精神)」と免疫は深い関係性を持っているのはまちがいない。

がん患者を診ている多くの医師が一様に、ものごとにこだわらない人、性格の明るい人が長生きするし、予後がよいと言います。

しかし、「免疫」は摩訶不思議な現象です。免疫チェックポイント阻害剤が話題になっていますが、副作用がないわけではありません。

大津医師が『免疫療法が予後を悪くする可能性もあるのでは?』と、このように書いていました。

(免疫クリニック等で施行される免疫治療を併用する)患者さんの中に、予測以上の増悪を見せる事例がちらほらとあります。むしろ早く・・・というような事例があるのです。

「免疫を上げる」というと悪いはずもなく、常に併用しただけの効果がありそうな魔法のような治療に「一見」みえます。本当なのでしょうか?

  • がんの高度進行期には、腫瘍や「自分の免疫細胞」が分泌する炎症性サイトカインという物質により、栄養の代謝障害が起こる悪液質が形成されることが多い。
  • 炎症性サイトカインが、腫瘍だけではなく、腫瘍を倒そうとする自身の免疫細胞からも分泌される
  • 樹状細胞は炎症性サイトカインのILー12(インターロイキンー12)を分泌します。
    NK細胞は炎症性サイトカインのTNFーα(腫瘍壊死因子α)を分泌します。
    T細胞も炎症性サイトカインのインターフェロン―γやTNFーαを分泌します。

全身状態がよい末期のがん患者においてはTNFーα(腫瘍壊死因子α)が増えた方が免疫力の一つとして重要だが、悪疫質を許ない死期が迫ってくると、このTNFーαが異常に増える。そうした状態の患者にはTNFーαを抑える薬を投与すると全身状態が改善する。

このように、TNFーα一つだけを見ても、同じ物質が腫瘍と患者の容体の状態によって異なる働きをする。

人間の身体も宇宙と同じくらい神秘に満ちていますが、その中でも「免疫」はまだまだ分からないことだらけです。「免疫信仰は危ない」のです。

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2015年6月13日 (土)

医療費に関するウソ

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明月院門前のアジサイ、クラシックブルーで現像


国保の保険料通知が届いた。年収は減ったはずなのにまた上がっていた。

医療費について政府やマスコミが流している嘘について考えてみる。

【高齢化が医療費を破綻させる】
世界一の高齢化社会が来るから、医療費で破綻する。そのためには消費税を上げて社会保障を守らなくてはならない。患者にもっと自己負担をしてもらわなければ国民皆保険制度は破綻する。

これは正しいのか。高齢化により毎年1兆円の医療費が上がると大騒ぎするが、高齢化による医療費の自然増1兆円は諸外国と同程度である。医療技術の進歩で寿命が延びているのだから医療費が増えるのはあたりまえなのだ。

実際には、日本は諸外国と比べて医療費はかなり低く、逆に患者の自己負担率はとても高い国なのです。

日本の医療費が30兆円を超えて増え続けていることがマスコミで宣伝されますが、世界第2位の経済大国の国力からみてどうなのか。国内総生産(GDP)に占める医療費の割合を見れば、先進29カ国のなかで18位です。国力に見合った医療費を出していない。医療費30兆円は国際的に比較するなら、けっして多くない額なのです。

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そして、こうした宣伝のもとで患者の自己負担率はどんどん上げられてきたのです。

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【医療財政はなぜ赤字になったのか?】
理由は単純です。高齢化社会を迎え、医療費が高騰することが明かなのに、政府は国庫負担率を減らしてきたからです。当初は45%だった国庫負担率を、1980年に39%に、更に1998年に24%に減額し、その責任を自治体に押しつけたのです。年間1兆5千億円も減額しているのです。さらに子供の医療費を無料化する自治体への補助金も減額してきたのです。

なぜ国交負担率を減額したのか? 日本は借金が増えて医療費に回す金がない。医療費を減らすか増税しか道はない、というのが政府の言い分です。しかし、ここにはトリックがあります。「財政赤字が1000兆円」という政府の数字は、資産の部分を考えていないのです。経理の貸借対照表で借金の額だけを見せているようなものです。実際に企業が赤字かどうかをいうときには<借金>ー<資産>=赤字額でしょう。諸外国ではそうしています。日本の財務省は「資産」は無視して借金の額だけを見せて騒いでいるのです。企業会計や諸外国と同じ方法で計算すれば、日本の借金は256兆円にしかなりません。

【消費税は全額社会保障に使われているのか?】

政府広報オンラインにある『消費税率の引き上げ分は、全額、本当に社会保障に使われるのでしょうか?』とのQ&Aには次のように説明されています。

<A>消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化の財源となります。
消費税率引上げによる増収分は、全て社会保障の充実・安定化の財源となります。消費税率が10%まで引き上げられた際には、消費税率5%引上げ分のうち、約1%分(2.8兆円程度)は子ども・子育て支援、医療・介護、年金の各分野の充実に、残りの約4%分(11.2 兆円程度)は社会保障の安定化のための財源となります。  
これにより、子や孫といった後世代への負担のつけ回しを減らすことにつながります。

これもトリックですね。この「社会保障安定化のための財源」というのがミソです。8%に増税されたときの国と地方の税収は5兆円とされています。そしてその「使途」を見ると、

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8割以上が「年金国庫負担分2分の1の恒久化」と「既存の社会保障の安定財源確保」です。これはすでに実施している分の財源を消費税に置き換えただけです。「恒久化」という言葉はそういうことです。一方、「社会保障の充実」として「子育て支援」に約0.3兆円、「医療・介護等の支援」に約0.2兆円、計0.5兆円を充てるとしていますが、行おうとしているのは、保育水準の引き下げによる詰め込みや入院患者の追い出しなど制度改悪のための経費です。「充実」とは真逆です。

結局のところ、実際に家計の負担減となるのは、5兆円のうちの0.2兆円だけ! 4%に過ぎません。世間の常識ではこういうのは「詐欺」と言います。

がん患者しての実感でも、消費税が上がる度に医療費が増えてきたと感じます。

で、これまで実施してきた分の財源に消費税で充てて、浮いた財源はどこに行くのかというと、主に法人税の減税です。

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ごらんのように、過去22年間の消費税増収額と法人税減収額はみごとに一致!しかも、税率が10%になったときにも、消費税11兆円のうち9兆円は法人税の減額に回せと要求しているのです。

福島の復興予算が自衛隊のヘリの修理や沖縄県の道路整備に使われたのと同じ構図です。官僚がどうにでも解釈できる文言を埋め込んでおくのです。

【なぜ医療費は上がっていくのか】

結論を言えば、高い薬価です。

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ドイツ、フランス、イギリスに比べて日本の薬価は最大で3.5倍ほどの違いがあります。アメリカが日本よりも高いのは、アメリカ政府には製薬企業との「薬価交渉権」がないからです。つまり、言い値で買わざるを得ない法制度に「製薬企業のロビイスト」が変えたのです。

C型肝炎薬「ソバルディ」に関して6月4日の記事で書きました。

C型肝炎の画期的な薬「ソバルディ」が承認されたとき、全米各州の知事たちはパニックになった。なんと1錠が1000ドル、1クール2週間で84,000 ドルだったのです。1ドル120円として約1000万円。この薬は先月5月20日に日本でも承認されて健康保険でも使えるようになった。一錠が「アメリカ より安い!」6万円である。

『アメリカより安い!6万円』と皮肉を書きましたが、日本で一瓶840万円で仕入れるこの薬は、イギリスでは500万円、エジプトではなんと10万円で取引されています。

世界人口の1.4%しかない日本で、世界の薬の40%を消費するという最大の顧客です。しかし、製薬企業の言いなりで決めているアメリカの薬価を参考にしているようでは、日本の薬価が高いのは当然でしょう。

【開発費がかかるのだから薬価は高くて仕方ない?】

分子標的薬などは巨額の開発費がかかるのだから、薬価が高くてあたりまえ、は本当でしょうか?

ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実ビッグ・ファーマの真実』でも書きましたが、マーシャ・エンジェル氏は、ランセットと並び世界的権威を持つといわれるニューイングランド医学雑誌(NEJM)の元編集長。著書『ビッグ・ファーマ』で製薬企業のあくどいやり方を告発しています。

「新薬が高いのは研究開発費を取り戻す必要があるからだ」という製薬会社の主張に対して、ほとんどの新薬が「ゾロ新薬」といわれる化学構造式を少し変えただけのものである。数少ない新薬は、そのほとんどが大学、バイオ企業、NIHなどの資金を使って行なわれた研究が下地になっているのであって、製薬企業が独自でゼロから開発した新薬はほとんど存在しないこと。マーケティング費用が研究開発費の2.5 倍を占めており、なおかつビッグ・ファーマはこの半世紀間莫大な利益を上げ続けていること、等です。

図で示しましょう。

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研究開発費と営業・マーケティング費の比は、せいぜいが同額か、もしくはマーケティング比の方が数倍になっています。製薬企業は研究開発よりもマーケティングに熱心なのです。しかも、研究開発費の中には、マーケティング費とするのが妥当な、市販後臨床試験の費用もちゃっかりと入っているのです。利益率は10~43%と、笑いが止まらない数字です。

儲けてはいけないとは言いませんが、利益率を10%下げれば薬価はもっと安くなるのです。適切な利益と暴利とは違うのです。

世界のトップ腫瘍学者100人以上が、2013年、米国血液学会発行誌「ブラッド・ジャーナル」に、高すぎるがん治療薬の値段を下げよという内容の声明を発表しています。

私たちは政府やマスコミの言うことを鵜呑みにするのではなく、「その根拠は?」「どういう条件での数字なの?」と問いかけることが大切です。「あなたの言うことはエビデンスがあるのですか? 」ということです。

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2015年6月12日 (金)

ふるさと納税しました。

ふるさと納税制度を使って、我が生まれ故郷高知県奈半利町に納税しました。テレビのふるさと納税特集でも取り上げられたそうで、今人気の町です。でも人口は全国の町で下から2番目の3,417人だとか。返礼を目当てにふるさと納税をする人も多いけど、私はこの制度の趣旨を尊重して、自分を育ててくれた町に納税することにしました。でも、やはり返礼の品に魅力を感じたのも事実か・・・。

ふるさとチョイス 奈半利町』人気のためか、「品切れ中」の返礼が多いですね。朝の定置網で捕れた魚をそのまま送ってくれます。新鮮で大きな魚が9kgほど入っている。他には何が入っているか楽しみな「福袋」も。

日経にもこんな記事が載っていました。

ふるさと納税 四国で急増 高知・奈半利町、食品加工場を新設
    2015/5/9    日本経済新聞 電子版
高知県奈半利町は14年度の寄付額が2億2800万円と13年度の約4倍に急増した。寄付者に返礼として贈る特産品などの不足が懸念され、町は15年度中の完成を目指して加工場の新設を決めた。地元農産品などを生かした菓子などの製造施設を鉄道の駅構内に、水産加工品向けを漁港周辺に整備する計画だ。

一般会計歳入歳出額が27億円ほどの赤字自治体としては、2.3億円の寄付額は大きいですね。

まず『ふるさと納税の控除上限計算ソフト』で納税上限額の確認。サラリーマン向けの計算サイトが多いなか、このサイトは個人事業主も対象になっています。で、上限額が6.3万円とでました。

初めてなので取りあえず2万円をふるさと納税にしました。カードで払えます。来年の確定申告で所得税と住民税が減額される仕組み。

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返礼に選んだのはこれ。
「なはりごはん土佐あかうしセット」
土佐あかうしは、褐毛(あかげ)種高知系という高知県独自の和牛です。現在、飼われているのは2,700頭。国内の和牛177万頭のうち、わずか0.15%という希少な牛です。土佐あかうしの特徴は、赤身のおいしさ。濃厚なうまみと甘みがあり、熟成によってさらに味わいが増します。細かいさしが入ったしっとりきめ細やかな肉質で、融点が低い脂はさらりとした口どけ。のど越しの良さと、香ばしい風味が赤身のうまさを引き立てます。
赤身と脂のバランスがよく、もっちりとやわらかくジューシー。高知が誇る和牛です。
発送時期6月下旬

今から楽しみだなぁ。

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2015年6月11日 (木)

鎌倉のアジサイ

今日6月11日は、私の「がん記念日」。2007年の今日が、膵がんの疑いが生じた日であり、このブログを開設した日でもあります。あれから8年かぁ、あっという間だった気もするし、長かったなぁという気もする。

鎌倉、めぐりあいたい風景 (集英社be文庫) 昨日は鎌倉のアジサイの撮影に。6時半に家を出て北鎌倉の紫陽花寺=明月院へ。8時半からの開門なので8時頃着いたが、既に10人ほどが開門を待って並んでいた。開門すると、鎌倉石の参道の両側の紫陽花を目当てに、人物が入らない用の撮影しようと、カメラマンたちが先を競って走る。土日にはここから北鎌倉駅まで列が並ぶそうな。

鎌倉、めぐりあいたい風景 (集英社be文庫)』を一冊持って行った。でも、表紙の写真、成就院は今年からアジサイの植え替え工事のため3年間はアジサイを見ることができない。

アルバム『鎌倉のアジサイ』に全部のショットを載せています。(下にもスライドショーがあるけど)

平日だったのに、鎌倉の街は人と車で大混雑。車はなかなか動こうとしない。

【明月院】明月院ブルーと言われる、日本古来の姫アジサイが大部分を占めている。青いアジサイがきれいに咲いていた。

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「アジサイに つるべ取られて・・・」って洒落ですか?

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つぎは浄智寺へ。

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東慶寺も門前まで行ったが、時間の都合で割愛。お昼は『鎌倉、めぐりあいたい風景』で紹介されていた、北鎌倉駅の自然食料理「笹の葉」で。アジサイの時期は特別メニューで2種類のみ。お目当てだった「玄米菜食膳」に近いのでまぁ許すか。

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玄米は柔らかくて美味しかった。もう少しもちもち感があれば良いけど。満腹になったので、北鎌倉から鎌倉駅に行き、江ノ電で長谷寺へ。

【長谷寺】

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アジサイ坂はこんなにすごい人です。

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続いて近くの光則寺に行ったが、被写体に魅力がなくシャッターは押さなかった。本殿の縁側で30分昼寝。

本わらび粉を使った、こ寿々の「わらび餅」を買って16時に帰宅しました。今日もよく歩いたなぁ。

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2015年6月 9日 (火)

今日の一冊(5)『近藤理論に嵌まった・・・』

近藤理論に嵌まった日本人へ 医者の言い分(祥伝社新書) 高知に高齢の独り暮らしの母親を残した3人の登場人物の対談方式で書かれた「近藤理論批判」との触れ込みにつられて買った。十数年前、私も肺がんの手術をした母をひとりで高知に残していたので他人事ではない。

「近藤理論に科学的に反論するのは結構難しい」と、端から白旗を揚げるように言う。相手は「抗がん剤は効かない!」と断定的にひと言で済むが、それに反論しようとすると、医療は個人差があり不確実性に満ちているから、統計的に反論していくしかない。ところが多くの医者は医療統計に関してほとんど無知である。なかには生存期間中央値と平均余命を混同している医者もいる始末である。

リードタイムバイアスだのクロスオーバー試験だのと続けられたら、普通の患者に理解しろという方が無茶というものだ。勝俣範之医師の『「抗がん剤は効かない」の罪』が科学的に反論し、抗がん剤の延命効果は「確かにある」としているのだが、話が専門的になる。これはしかたのないことなのかもしれないが、がん患者が聞きたいのは「抗がん剤で私はどれくらい長く生きられるか」なのだ。抗がん剤治療をすれば「統計的に」生存期間中央値が2か月延びます。と言われても、わずかに数ヶ月なのかと思ってしまう。がん患者としては「数年、2年は生きのびたい」と考えている。しかし、辛い副作用に耐えても数ヶ月。しかも、本当に自分は数ヶ月延命したのだろうかと考えてもその実感はないだろう。患者が亡くなったあと、遺族も「抗がん剤よ、ありがとう」という気持ちにはとてもなれないという。

著者も書いているように「抗がん剤に延命効果があるのは、一般に認められたコンセンサス」があるという。コンセンサスは科学的根拠ではなかろう。実際に近藤氏が言う「無治療」と抗がん剤治療を比較した大規模臨床試験は、存在しない。倫理的に許されないからだ。ある抗がん剤と新しい抗がん剤の比較だけである。だから、原理的に近藤理論に対して科学的な反論は無理である。

「標準治療が、現時点で最良の治療法である」を一応認めましょう。「再発転移したがんは完治することはない」も渋々ながら認めるとしましょう。「抗がん剤の延命効果は数ヶ月程度」も我慢しましょう。しかし、がん患者である私にはどのようなことをすれば良いのでしょうか?何かできることがありますか? という問いに、医者は何も答えてはくれません。がん患者だって「自分の命」だから自分の治療に参加したいのですよ。怪しげな代替療法は「これで末期がんから生還した」と断定してくれるから、つい騙されるのです。

抗がん剤で治らないことが分かっていても、まれにがんが消える患者がいたりするから、きつい副作用に耐えながら奇跡を信じて治療をしているのです。でなければやってられません。それでつい、止め時も考えられないで死の直前まで抗がん剤を投与する。しかし、誰が「馬鹿な患者」だと責めることができるでしょうか。

がんは複雑系だから(詳しくはこちら)、原理的に未来は予測できないのです。それを予測しようとするから悩みが尽きない。まれに奇跡的に治る人もいるが、じゃあどうすれば奇跡が起きるのかが分からない。医者に「治りますか?」と尋ねると「統計的には・・・」という答えがかえってくる。もちろん、そう答えるのが正しい。しかし、患者としては納得できない。

著者の村田幸生先生は最後に秀吉が柴田勝家を言い負かした『清洲会議』に例えて、「プレゼンテーションの優劣で勝負が決まっている」と言い出す始末です。近藤誠のプレゼンがちだと。まぁ、いいか。

私の考えは、標準医療は無視しないし多いに利用するが、ある程度のエビデンスがあれば代替療法も採用する。場合によっては抗がん剤も拒否することもある。やるべきことをやったなら、結果(死)を受け入れる準備をしておく。だって複雑系の未来を予測しようなどという努力はムダだから、そのエネルギーを別のこと、趣味や仕事や社会的な貢献に割けば良いと考えている。そのような生活をする方が、助かる確率が少しでも高くなると信じている。

「ボクの妻と結婚してください」の主人公、膵臓がんで余命6ヶ月と告知された三村のように、残される妻のことで必死になるのも良いかも知れないね。ところで、このドラマの最終回はハッピーエンドだというのだが、どんなになるんだろうか?もしかして誤診だったとか。日曜日が楽しみだ。

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2015年6月 7日 (日)

ピアノコンチェルトはもう聞こえない

大塚博堂の「ピアノコンチェルトはもう聞こえない」にはこんな歌詞が付いている。

あの日は君の誕生日
学生街の名曲喫茶で
心おきなく話そうと
涙をこらえて約束したね
君はいつもきまって
チャイコフスキーをリクエスト
少し苦めのコーヒーも
一年前と変わらない

ゴールデン☆ベスト 大塚博堂 シングルス 私の学生時代は、自分でレコードなど買う金もないから、クラシックを聴きたければ「名曲喫茶」へ行くか、FMをエアーチェック(こんな言葉、今の若者には理解できないだろうなぁ)するしかなかった。お茶の水や神田当たりには何軒かの名曲喫茶があり、ときどき仲間と行ったが、なかなかリクエストのチャンスが回ってこなかった。やっとリクエストすることができた最初の曲は、モーツァルトの交響曲第40番だった。

心なしか君が小さく見えた
いつの間にか僕は強くなっていた
風花舞う冬枯れの街に
ピアノコンチェルトはもう聞こえない

肩までのびた髪を切り
耳に光ったピアスまで
大人らしくはなったけど
しぐさやくせは変わらない

もちろん、博堂の歌詞で言う曲は、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。歌の最後にこの協奏曲の主題がピアノで演奏される。

チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、他 今日聴いたのは、マルタ・アルゲリッチのピアノ、アバド指揮のベルリン・フィル。チャイコフスキーのこの曲は激しいバトルのような名曲だが、アルゲリッチが弾くと、更に火花を散らす格闘技のような激しさである。それぞれ父親が違う3人の娘を持つ彼女の奔放な性格に似てか、一層激しい演奏である。

第2楽章はゆったりとした出だしで、柔らかなピアノの音色にオーケストラの各楽器がソロを奏でる。チェロのソロにも思わずほろっと聞き入った。が、またまた激しい演奏になっていく。

しかし、なんだなぁ、博堂の曲の少女のイメージとこの激しい曲、アルゲリッチの激しい演奏、印象がぜんぜん違う気がする。

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2015年6月 6日 (土)

膵臓がんとビタミンD

昨年のMedエッジに『「暴れる膵臓がん」ビタミンDの刺激で治める』という記事がありました。元になった論文は、2014年9月25日号の有力科学誌セル誌に掲載された「ビタミンD受容体により膵臓の間質細胞がリプログラムされると膵臓炎を押さえ、がん治療を増強する(Vitamin D receptor-mediated stromal reprogramming suppress pancreatitis and enhances pancreatic cancer therapy)」とのタイトルの論文です。

  • ビタミンD受容体は間質の細胞で発現している。炎症に関係していると考えられている。
  • ビタミンD受容体は膵臓星状細胞の活性化を押さえると分かった。炎症も抑える働きがあると分かった。
  • がんで起こる膵臓の炎症のほか、無用な組織が増えてくる線維化も強く押さえられる。
  • 膵臓がんを既存の抗がん剤の一つゲムシタビンで治療しながら、ビタミンD受容体を刺激すると生存期間が約50%伸ばすことも成功した。

膵臓星状細胞の活性化で、炎症を引き起こし、周囲の間質を刺激する。結果として炎症が悪化し、がんが進行する。これをビタミンD受容体の刺激で抑えられる。がん細胞が炎症反応を利用して増殖することは『がんに効く生活』でも詳しく書かれているとおりです。マウス実験レベルの研究ですが、非常に興味深いですね。早急にヒトでの臨床試験が望まれます。

次にWikipediaの「ビタミンD」から抜き出して紹介します。ビタミンDとは、ビタミンD2とD3の総称です。

  • ビタミンDの分子的特質は、癌の防止に関して癌の増殖の主たる細胞メカニズムに幅広い範囲で潜在的に関わっていると考えられている。
  • これらの効果は、癌細胞でのビタミンD受容体を媒介している可能性がある。
  • 女性におけるビタミンD受容体遺伝子の変異は、乳癌のリスクを増加させている。
  • 悪性黒色腫細胞や白血病細胞にビタミンD受容体が存在し、活性型ビタミンDが腫瘍細胞の増殖を抑制する。
  • 13カ国の400万人以上の癌患者のデータを用いた2006年の研究では、日照の少ない国での特定の癌のリスクの顕著な増加が示され、その他の関連研究でもビタミンD濃度と癌の間の相関関係が示されている。
  • 毎日 1,000IU(25μg)のビタミンDの追加摂取はヒトの大腸癌のリスクを50%減少させ、乳癌と卵巣癌のリスクを30%減少させると示唆している。
  • 2つの長期健康調査による12万人以上の調査対象者でビタミンDの米国摂取基準(400 IU/日)の摂取により、膵臓癌のリスクを43%減少させたとする。
  • カナダ癌学会(全国規模の有志による組織)は、成人は1日1,000IU(政府の発表した必要量の5倍)を摂取すべきと2007年に勧告している。
  • アメリカ国立癌研究所は、ビタミンDの摂取が大腸癌及びその他の癌の予防効果について限定されているか証拠が不十分なので、大腸癌及びその他の癌の予防のためにビタミンDサプリメントの摂取を勧奨はしないとした。
  • ヒトにおいては、午前10時から午後3時の日光で、少なくとも週に2回、5分から30分の間、日焼け止めクリームなしで、顔、手足、背中への日光浴で、十分な量のビタミンDが体内で生合成される。
  • ビタミンDは免疫システムにも影響を及ぼしているし、ビタミンD受容体は、単核白血球、活性化T細胞及びB細胞を含むいくつかの白血球で作用している。
  • ビタミンDの長期にわたる安全摂取量はわかっていないが、健康な成人においては250μg (10,000IU)/日までは安全とされている。
  • ビタミンD受容体結合体は、ナチュラルキラー細胞の活動とマクロファージの食作用を活発化させることが示されている。
  • 最近の疫学的な証拠は血管機能を最適化するためにビタミンD濃度が狭い範囲に限定されていることを示唆している。ビタミンDの自然の恒常性よりも高い濃度あるいは低い濃度は死亡率を増加させる。

今話題のビタミンDですが、肯定的な研究が増えて飽きている反面、摂りすぎに注意を喚起する内容の研究もあります。

ヒトの臨床試験の結果を待つ時間はないし、10,000IU/日までは副作用の心配はないとのことだから、私は術後からすぐにビタミンDのサプリメント1000IU/日を摂取しています。一人の症例では効果があったのかどうかは分かりません。他にメラトニンや緑茶も摂っていますし。仮に数年後の副作用があったとしても、膵臓がんの余命を考えれば無視できるリスクかと思っています。(ビタミンDサプリメントを勧める意図はありません。念のため)

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近年まれな痛快事

あったりまえでしょ。4日の衆院憲法審査会で、自公の推薦した長谷部恭男・早大教授も含めた3人の参考人の全員が安全保障関連法案について「憲法違反」との意見を述べた。長谷部教授は明確に「憲法違反。従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と指摘した。

安倍さんに言わせると、「後から弾が飛んできた」感じだろう。

「戦争を始めるかどうかは、政府が判断するから任せなさい」というのは立憲主義に反するし、中学生程度の知識があれば誰でも同じ結論になる。「○○事態」等の造語を乱発して分かりにくくしておけば、馬鹿な国民は「よく分からないのでお任せします」となると思っているのだろう。

安倍首相が特別委で説明した外国軍の”後方支援”を許容する「重要影響事態」の判断基準は、

事態の個別具体的な状況に即して、主に、当事者の意志、能力、事態の発生場所、または事態の規模、態様、推移をはじめ、当該事態に対処する、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍、その他の外国の軍隊等が行っている活動の内容等の要素を総合的に考慮して、我が国に戦火が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害等の影響の重要性等から、客観的、合理的に判断することとなる。

ですと。

何を言っているのか、こんな文書が「分かる」方がいたらお目にかかりたい。「的」「等」「その他」が多用された分かりにくく、いかようにも解釈できる官僚文書の典型だ。ただ、「戦争を始めるかどうかは政府が決める」という意志は伝わってくる。冗談じゃない、3割の得票率しか得ていない自民党にそのような権限を渡した覚えはない。

「後方支援」とは英語ではロジスティクス。Wikipediaによれば「もともとロジスティクスは兵站を表す軍事用語であり」とあるように「兵站」とするのが正しい。

「兵站」を断つのが、自軍の犠牲を最小にして戦争に勝つためには有効な戦略である。秀吉が備中高松城を水攻めしたのは水や食糧の供給を断ち、敵が戦えなくなることを図ったのだ。この時に外から「後方支援」で水や食糧を届けようとしたら、情け容赦なく殺されるのはあたりまえだ。猿にも分かる。

「後方支援」と言えばなんとなく「安全地帯」にて戦闘には巻き込まれる恐れが無いかのような響きだが、相手からみれば兵站を叩くのが一番効果的な戦略になる。

「後方支援」の矛盾を云々するよりも、責めてきてもいない相手を攻撃するのは憲法違反だとう根源的な問題があらためて浮き彫りになった。

近年まれな痛快事である。

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2015年6月 5日 (金)

多摩川台公園のアジサイ

アジサイの季節です。この時期になると膵がんを告知された月がまた巡ってきたのだなぁとの感慨があります。6月11日は私の「がん記念日」。月末の定期検査で術後8年になります。造影CTと血液検査の予定ですが、まっ、たぶん問題はないでしょう。

今日は肩の術後リハビリで奥沢に行ったので、帰りに多摩川台公園に寄りました。アジサイがきれいに咲いていました。数人のカメラマンと絵筆を走らせているご婦人が何人か。今年は暖かいせいなのか、開花が早い気がします。来週は鎌倉のアジサイを撮りに行くつもりですが、この分では早く行った方が良さそうです。

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上は公園の入口。広角レンズがなかったのでスマホで撮った写真ですが、わりとまともですね。以降の写真はDP3 Merrillで撮ったものです。

久しぶりにMerrillを持ち出したのですが、予備のバッテリーを持っていかなかったので30分ほどでバッテリー切れ。Merrillは電池の消耗が早い。日を変えてもう一度行ってみようか。

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2015年6月 4日 (木)

年間1億円のがん治療費

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おどろおどろしいような昨日の夕焼け。


シカゴで開催されていたASCO 2015が2日に終わりました。膵がんに関する新しい話題はなかったようですが、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法が大きく取り上げられていたようです。

しかし、これらの新薬の価格は、患者一人当たり年間100万ドルにもなり、保険財政でも個人で負担するにも「持続不可能な価格」とこちらの記事で紹介されている。

アメリカでの自己破産の6割はがん患者だという。さらに増えるかもしれない。でも、画期的な効果があるのなら「土地と家を売ってでも助かりたい」と思うのは人情だよね。そうした患者の重いにつけ込んでいるのか。

オリックスグループのCEO(最高経営責任者)であり、規制改革・民間開放推進会議の議長を務めている宮内義彦氏は、混合診療が目指す姿を、「国民がもっとさまざまな医療を受けたければ、『健康保険はここまでですよ』、後は『自分でお払いください』というかたちです。金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも、高度医療を受けたければ、家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう」(週刊東洋経済二〇〇二年一月二十六日号)と説明している。

これが彼らのいう「選択の自由」という言葉の中身だ。そしてオリックスは莫大な利益を上げることができる。

かといって、これらの新薬がどんどん保険に収攬されたら、小さな自治体で一人のがん患者がこの新薬を使っただけで、財政が破綻しそうです。問題は、なぜがんの新薬がこれほど効果なのかという点でしょう。研究開発に莫大な費用がかかる、と説明しているが、本当にそうなのか。

米食品医薬品局(FDA)と製薬企業の間では「回転ドア」と言われる人的交流が密です。帰省する側にいた人間が、製薬企業に行く。その逆もある。さらにオバマケアによって、製薬企業は自由に薬の価格を設定できるようになった。政府の裁量の余地がないのです。

C型肝炎の画期的な薬「ソバルディ」が承認されたとき、全米各州の知事たちはパニックになった。なんと1錠が1000ドル、1クール2週間で84,000ドルだったのです。1ドル120円として約1000万円。この薬は先月5月20日に日本でも承認されて健康保険でも使えるようになった。一錠が「アメリカより安い!」6万円である。

混合診療解禁の問題を考えるとき、論点のすり替えには注意が要る。真の問題は、必要な治療が保険診療に含まれていないという点であって、差し迫って必要な患者がいるからではない。経済的に余裕のある患者は、個人輸入という形で、今でも未承認の抗がん剤を使えている。

混合診療解禁で喜ぶのは、なんとか免疫療法とか、石原結實などのいかがわしい治療を行っている連中だろうな。(ムラキテルミが2冊目の本を出した。石原メソッドの断食の次は「煮あずき」なそうな。関係ない話題だけど)

我が国の国民皆保険制度は「保険」という名が付いてはいるが、生命保険などの民間保険の「相互扶助」とは本質的に違うものだ。本質は憲法25条の「生存権」に基づいた社会保障制度なのである。相互扶助という考えからは、財源がないから皆で少しずつ我慢しましょう。痛み分けでお互いにお金を出しましょうという、政府の今の社会保障を後退させる考えに反論できない。弱い立場の国民をすくい上げるという、憲法25条に基づく国の責任を曖昧にさせる。

国保の財政危機を招いた一つの要因は、1984年からの国による国庫助成金の引き下げが決定的な要因になっている。国は同年、被保険者の保険料と保険者による拠出金のみを財源とする退職者医療制度を創設するとともに、国保財源の国庫補助を医療費ベースで45%から38.5%へと削減したのです。足りない分はサラリーマンの健康保険から<相互扶助>の精神で戴きなさい、という政策を進めてきたのです。

あ~しんど。長生きしちゃいけないのかなぁ、この国では。

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2015年6月 2日 (火)

15/5月ツイートのまとめ

Medエッジ @mededgejp  
散歩が効果的です。 つらい「がん関連疲労」、自分の体力に合った毎日の散歩で改善 多すぎず少なすぎず、適度に歩くのがポイント ⇒ http://www.mededge.jp/a/canc/12381?src=pc_sn_twt_150430_12381

キノシタ @Oncle1316 
運動と野菜と緑茶、私のがん克服の三種の神器 RT @deoanzai 緑茶を飲むと総死亡リスク、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患などの死亡リスクが減る (Carenet医療ニュース)  http://www.carenet.com/news/general/carenet/39874 

安西英雄 @deoanzai  
前立腺がんのサバイバーには散歩が有用 (世界の最新健康・栄養ニュース) http://www.nutritio.net/linkdediet/news/FMPro?-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=49110&-lay=lay&-Find 

安西英雄 @deoanzai  
肺がんの人は運動が有効、死亡のリスクを下げる効果も (Medエッジ) http://www.mededge.jp/a/canc/12383 

Medエッジ @mededgejp  
果物の記事を振り返ります。 「飲み物は“サプリ”です」がんを予防!飲み物に含まれる植物由来天然物質に多彩な効果 緑茶、コーヒー、フルーツジュースからビールに赤ワインまで ⇒ http://www.mededge.jp/b/heal/7258?src=pc_sn_twt_150504_7258 

Medエッジ @mededgejp  
膵臓がんとの関係も指摘されています。 アトピー性皮膚炎だと大腸がんが減る、ぜんそくや花粉症なども悪いばかりではない 大腸がんを予防する働き ⇒ http://www.mededge.jp/a/canc/12494?src=pc_sn_ggp_150503_12494 

キノシタ @Oncle1316 
抗がん剤治療でステージIVの大腸がん、胃がん、膵がんなどで治ってしまった人は何人もいます。少ないのは事実ですが、絶対治らないとも言えません。← とは言っても諦め時の判断が難しい。多くは死ぬ直前まで抗がん剤をやるようになる。 http://ameblo.jp/miyazakigkkb/entry-12022762027.html 

キノシタ @Oncle1316 
がん研究センターのコホート研究に影響されたわけではないが、今日も深蒸し茶をお茶ミルで挽いて、モーツァルトを聴いている。 https://twitter.com/Oncle1316/status/596480870409576448/photo/1 

キノシタ @Oncle1316 
16年でも再発するとは! RT @KID___hiyoko 16年前、祖母はすい臓がんの手術をしました。 奇跡的に命は助かり予後良好でした。 半年前、すい臓付近に影があるとのことで検査をしたら、リンパへの転移を伴って再発していました。 

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