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2016年5月18日 (水)

オプジーボ難民

免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が非小細胞肺がんに対して使えるようになりました。それ自体は喜ばしいことなんですが、あまりにも高い薬価で、肺がん患者の85%を占める非小細胞肺がん患者は年間10万人の、仮に半分がこの薬を使えば、一人当り年間3500万円の薬剤費になり、年間で1兆7500億円。これでは保険財政が破綻するのではないかとの懸念が、日本肺癌学会学術集会でも出ています

「その薬剤費は税金で賄われている。しかも国内総生産額の2倍の1035兆円に膨れ上がった財政赤字の最大の要因は社会保障費である。そのツケは子どもや孫などの将来世代の負担となり、これはある意味国家ぐるみのネズミ講に等しい」と厳しく指摘した。

それ以上に問題なのは「オプジーボ難民」が発生するだろうと予測する『ロハス・メディカル』編集発行人 川口恭氏の記事です。

Vol.116 難民と医療不信が大発生~オプジーボの光と影(2)

  • 標準治療を最善と確信できない患者や、希望してもオプジーボ投与を受けられない患者が「難民」と化して、皆保険の網から漏れ始めている。
  • 非小細胞肺がんの診療ガイドラインでは、オプジーボを試す前に1次治療として白金併用療法を行うことが定められています。そこで用いられる殺細胞系の抗がん剤は、副作用として免疫抑制を起こします。簡単に言うと、リンパ球を含む血液系の細胞が大量に死んでしまうのです。
  • 免疫が健全な薬物治療の最初からオプジーボを使えば、もっと効くかもしれないし、薬の量が少なくて済む可能性もあります。
  • しかし、薬物治療の最初からというのが認められるためには、現在の標準治療と比較する臨床試験を行って、少なくとも劣らないという結果が出なければなりません。
  • 従って、現段階ではオプジーボを最初から使うことは不可能
  • 巷の自由診療クリニックでは、免疫治療と少用量のオプジーボを投与できるとして宣伝しているところがたくさんある。(セルメディシンなど)容量を減らしてより廉価にオプジーボが使えるというわけだ。
  • 抗がん剤で免疫抑制が起きる前にオプジーボを使い、他の免疫療法とも組み合わせるというのは理屈から言うと正しい可能性があるので、その量が適切かどうかはともかくとして、標準治療より成績で劣るとは断言できないものがあります。
  • 自由診療での「生還者」たちが「体験談」を出版したりしたら、一体どうなるでしょうか。「オプジーボの投与を遅らせるため無駄な抗がん剤を受けさせられた」と邪推しかねない患者の割合が半分以上なのですから、標準医療に対して今以上に社会の不信が高まることは間違いありません。
  • 自由診療クリニックで行われている治療は、自己負担額そのものは高額ながら、費用総額を見れば、オプジーボの投与量が少ない分、ガイドラインと添付文書通りの治療を受けるより、はるかに安いからです。医療界に対する社会の不信は爆発し、取り返しのつかないことになるでしょう。

などなど。この問題は非常に難しい、今後の日本の医療制度を震撼させかねない問題だと気づきました。

川口恭氏は、この記事の(1)でもオプジーボの薬価の問題でも、新たな問題を提起していました。製薬企業の策略と厚生労働省の不可思議な対応が問題で、高い薬価になってしまったという。患者数の少ないメラノーマの場合で、原価を計算したので、高くなったが、最初から非小細胞肺がんの患者を対象としていれば、このような薬価にはならなかったと。

免疫チェックポイント阻害剤は、将来的にはすい臓がんにも使われるべきだと思うのだが、こうしたさまざまな要因を考えていると、期待感がしぼんでしまいそうです。

抗がん剤で保険財政が破綻するという主張にも注意が必要です。

日本のがん医療費は平成25年度約3兆9000億円と、年間の医療費(歯科、薬局調剤費を除く)の13%程度=グラフ。もっとも割合が大きいのは「循環器系疾患」の5兆9千億円(20・5%)だ。がん患者だけが医療費をつり上げているわけではないのです。

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さらに、医療費が国の財政を滅ぼすと言われているが、総医療費対GDP(国内総生産)でみると、G7諸国の中で日本は高齢化率は第一位であるが、総医療費の割合では下位の方である。税金から医療費はまだ増やせる予知があるはずなんだ。なぜ増やせないのか、もんじゅなどへの無駄遣い、大企業への大幅な減税措置、ようするに、国民の命と健康を守ることを第1に考えたら、医療費抑制などという政策は出てこないと思うのだがいかがなものでしょう。

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國頭英夫・日赤医療センター化学療法科部長の

「2兆円は幻となった新国立競技場8個分。いかにとんでもない額か理解できるだろう。オプジーボの適応は今後も広がり、オプジーボ以外にも高額薬が続々登場するはずだ。一刻も早い対処が必要と思うと、黙ってはいられなかった」と危機感をあらわにする。

などという高薬価となった理由などは無視して、患者だけに我慢を強いるような主張は、鵜呑みにせずに批判的に捉えるべきであろう。

國頭英夫氏は、里見清一のペンネームで『偽善の医療』『医師の一分』などの著作があり、私は彼のファンなんですが、今回の件ではちょっと首をかしげている。

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