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2016年7月 9日 (土)

院内がん登録全国集計での膵癌

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巾着田の曼珠沙華


既にマスコミでも、「すい臓がん患者の4割 発見時にはすでにステージ4」などと報じられています。じゃあ、6割は手術できるの?と受け取りかねません。

国立がん研究センターから「がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計」が発表されたので、詳細を見てみました。

PDFファイルがん診療連携拠点病院院内がん登録全国集計 2014年全国集計報告書(PDF:5,410KB) new!

すい臓がんのステージ分類として、国際的に使われているものが「UICC(国際対がん連合)分類」です。日本膵臓学会の「膵癌取扱い規約」にもとづく分類とは、やや異なっています。この集計はUICCに基づいている点に注意が必要です。

膵癌のUICC分類

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「膵癌取扱い規約」による分類

Pancreas02_2

UICCと日本膵臓学会の「膵癌取扱い規約」の病期分類には、おおよそ以下のような関係があります。

20160927_16_30_55

つまり、膵癌取扱い規約では0~Ⅲ及びⅣaの一部が手術可能であるが、UICC分類では0、Ⅰ~Ⅱが手術可能なのです。私たちは一般に膵癌取扱い規約の分類を用いているので、錯誤が生じます。(0期は上皮内がんとも呼ばれています。異常な細胞が形成され、膵臓の内層に限局して認められます。これらの異常な細胞はがんになり、近くの正常な組織に拡がる可能性があります。 )

  • 2014年に受診した患者(自施設で診断または他施設で既に診断されたのちに自施設を初診した、全悪性新生物及び頭蓋内の良性及び良悪性不詳の腫瘍の登録患者)の腫瘍データである。
  • 治療を行わない経過観察例も含まれる。セカンドオピニオンのみを目的とした初診を登録対象とするか否かは各施設の判断に任されている。

重複して登録されている患者がいるのです。匿名のデータベースなので重複チェックができないのです。

ステージも治療前ステージ術後病理学的ステージ総合ステージの3つがあります。手術ができた場合は病理検査でステージが確定しますが、できない場合はCTの結果などからステージを決定します。また放射線治療を選択した場合も同様ですね。統合ステージは、

治療開始時点でのがんの状態をより正確に表しているとされる術後病理学的ステージを第一優先とし、術前治療が行われた術後病理学的ステージの適用外及び術後病理学的ステージが不詳であった例、腫瘍切除を行っていない例では、治療前ステージを用いてがんの治療開始時点での病期を示す指標として総合ステージを算出した。

となっています。

そうした目でこの集計の膵癌の部分を眺めてみます。UICCステージ分類(総合ステージ)では次のようになっています。

20160927_16_41_19

なぜⅢ期よりもⅡ期が多いの?との疑問も、UICCだから膵癌取扱い規約のⅢ期とⅣaが含まれているとしたら疑問は解消ですね。Ⅲ期は膵癌取扱い規約のⅣaのみだからです。

手術ができないと言われるⅢ~Ⅳが13.0+45.3%で合計58.3%。じゃぁ42%は手術できたのかというと、

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術後病理学的ステージ集計が30.0%であるので、手術可能は30%が真の値に近いでしょう。

しかし、詳細はもっと複雑です。

20160927_16_48_58

Ⅳ期でも手術のみが1.6%、手術+他の組み合わせが合計で13.2%もあります。全症例の6%です。Ⅲ期も同様に4.7%です。

一方で0~Ⅱ期でも「薬物療法のみ」というのが、0.6、4.1,9.4%で全症例の3.2%もあります。

マスコミの「4割は手術ができないステージ4で発見される」という不十分な報道は、ICCと膵癌取扱い規約の区別がついていない。また、詳細な報告の中身を読んでいないことに原因がありますね。

膵臓がんで手術できるのは15~25%、と言われてきましたが、着実にその割合は増えています。ステージⅣb(UICCではⅣ)でも6%は手術にチャレンジしています。

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