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2016年8月23日 (火)

今日の一冊(54)『期待の膵臓癌治療─手術困難な癌をナノナイフで撃退する! 』

久しぶりの「今日の一冊」ですが、まだ発売前の本です。膵臓がんへのナノナイフ手術の第一人者森安史典医師へのインタビューをまとめた本です。

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森安史典(もりやす・ふみのり)1950年、広島県生まれ。75年、京都大学医学部卒業後、倉敷中央病院、天理よろづ相談所病院、京都大学医学部附属病院で勤務。米国エール大学への留学を経て、96年、京大助教授となり、2000年より東京医科大学病院消化器内科主任教授(現職)。最先端技術を導入した肝臓疾患の診断、治療に定評がある。09年より瀬田クリニック東京非常勤医師として、がん免疫細胞治療の診療にも取り組む。趣味はゴルフ。

森安医師は、瀬田クリニック東京の非常勤にとして免疫療法にも取り組んでいる。← これ、ちょっと気になる経歴。

期待の膵臓癌治療─手術困難な癌をナノナイフで撃退する! (希望の最新医療シリーズ) *******************************************

内容紹介
手術できない膵臓癌に対して唯一の治療法「不可逆電気穿孔法」(通称ナノナイフ治療)

ナノナイフといってもメスではなく、開腹しない治療法で、開腹のような体力の低下が起きない。アップル社のスティーブ・ジョブズさん、坂東三津五郎さん、横綱の千代の富士・九重親方の膵臓癌に関する報道で、膵臓癌の難治性が改めて注目された。

初期の膵臓癌に特徴的な症状はなく、受診し膵臓癌と診断された時には、多くは手術不可能、何も治療しなければ平均生存率が半年といわれ、最後の難攻不落の癌である。

その膵臓癌に対しナノナイフ治療という最先端治療が、2015年4月よりやっと日本で始まった。先陣を切って治療を行なっている森安史典医師に、この最先端治療について、インタビューを行ない、まとめた本である。

森安史典医師は、東京医科大学病院消化器内科主任教授として長年消化器癌治療に携わり、今年3月退官後、4月より山王病院で精力的にナノナイフ治療を行なっている。

現在、肝細胞癌の標準的な治療として位置づけられている「ラジオ波焼灼術」も、日本で最初に始めた医師の一人。「森安先生が認めて導入した診断法や治療法は、10年後には必ず日本の医療現場で主流になる」と言われているという。

<はじめに>より引用

2016年1月、国立がん研究センターが癌患者の10年生存率を初めて公開した。胃や乳癌のステージI(最も軽度)では9割以上が10年以上生存していることに対し、膵臓癌はステージIの患者でも3割以下しか生存できない。膵臓癌は自覚症状もなく進行し、早期発見も極めて難しい。癌が発見されたときにはすでに手術不可能である場合が多く、患者に突然の余命宣告する「難攻不落の癌」といわれている。ゆえに患者は一刻も早く新たな治療法が開発されることを待ち望んでいる。

この最も困難な膵臓癌に、『ナノナイフ』と呼ばれる全く新しいアプローチで挑んでいるのが森安史典医師である。その詳細は本書で解説するが、ナノナイフという電極針を癌患部まで刺し、高圧電流で癌細胞を撃退するというものである。切除不可能の膵臓癌に対し、残された最後の望みといえる最新治療である。

この治療の画期的な点は、第一に開腹手術ではなく、皮膚から数本の針を刺すだけで身体への負担が少なくて済む点である。第二に電流が流れた場所の癌は細胞死するので癌の取り残しが極めて少ないことである。癌が複雑に血管に絡みついて、数年前までは打つ手がなかったような膵臓癌に対しても、このナノナイフで治療が可能になった。

欧米では、わずか3日後に退院するほど画期的な治療法である。 ナノナイフ治療は日本ではまだ始まったばかりである。アメリカでは外科手術とナノナイフを組み合わせる治療がされている。癌を取り残すことなく、再発を防ぐ効果をあげているという。森安医師は、膵臓癌以外にすでに肝臓癌へのナノナイフ治療を実施しているが、今後、さらに適応範囲は肺癌・乳癌・胃癌・大腸癌・前立腺癌と広がることが期待される。

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パンキャンの「膵癌治療の最前線2016 in 東京」でも紹介されていました。

今年2月の週刊ポストの記事も紹介しておきます。

 近年になり、早期発見が難しい膵がんに対し、特異的なタンパク質が発見され、腫瘍マーカーとして早期発見の有力な手段となっている。しかし、今のところ手術可能なステージ3までの膵がんの発見は約15%で、残りの約85%は手術不能である。だが、抗がん剤しか治療選択肢のなかったステージ4Aの膵がんに対し、ナノナイフ治療の臨床研究が始まっている。
 これは、がん細胞に体外から針を刺し、針の先端の電極に3000ボルトの電流を短時間通電させることにより細胞に孔(あな)を開け、がんを死滅させる治療だ。東京医科大学病院消化器内科の森安史典主任教授に話を聞いた。
「ナノナイフ治療については、18例の肝がんに対して臨床研究を実施し、有効性と安全性が確認できました。そこで、昨年4月から局所進行性で遠隔転移のないステージ4Aの膵がんに対し、8例を目標として臨床研究を行なっています。現在6例に実施しましたが、その多くの症例で腫瘍が小さくなっています。この治療は転移のあるステージ4Bには適応しません」
 膵がんのナノナイフ治療は、全身麻酔を行ない、身体の表面から超音波の画像を見ながら針を刺す。膵臓の周りには胃や十二指腸があるが、それらを貫通して注射針程度の太さの針を、がんを取り囲むように刺す。
 例えば3センチの膵がんの場合、がんを取り囲むように2センチの間隔で4本の針を刺す。針の先端の1.5センチだけ電気が流れる構造で、プラスの針からマイナスの針に向かって電気が流れる。3000ボルトの高電圧で、1対の針の間に1万分の1秒という短時間で80発から160発通電すると、がん細胞にナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の孔が開き、細胞質が溶け出す。
 これで臓器を壊すことなく、がん細胞だけをすべて死滅させられる。ナノナイフ治療は、2008年にアメリカで始まり、当初は肝がん治療が主だった。
「ケンタッキー州ルイビル大学のマーチン博士のグループは、ステージ4Aの膵がん200例にこの治療を実施しました。50例で腫瘍が縮小し、手術可能となり、残り150例は抗がん剤併用で延命が得られています。
 平均生存期間は、抗がん剤単独に比べて約2倍の24か月に延びています。局所の再発は3%で、ナノナイフ治療は膵臓にとどまっているがんを強く抑える効果(局所制御能)があることも実証されました。そのためアメリカでは、膵がん治療に使われる例が多くなっています」(森安主任教授)
 膵がんのナノナイフ治療は、10日から2週間程度の入院を要する。通電範囲では、がん細胞と周辺の正常細胞も死滅するため、胃や腸の粘膜に潰瘍が生じたり、膵炎が起きたりするからだ。これらの回復のため安静と絶食が必要で、肝がん治療よりも若干入院期間が長い。欧米では肺がん、前立腺がん、腎がんなどの治療に用いられており、今後は日本でも導入されることが期待されている。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年2月19日号


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