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2016年9月 7日 (水)

今日の一冊(56)『名僧たちは自らの死をどう受入れたのか』

「死は受入れられない」。釈迦が説く生老病死から人間は決して免れることができないのだから、たとえ悟りをひらいた名僧、高僧だって死は恐怖であるはずだ。

しかし、死はやってくる。受入れたくなくても受入れざるを得ない。治らないがん患者にとっては、名僧、高僧のような悟りの心境に達するには時間もない。まさかがんの告知と同時に修行をはじめるわけにもいかない。

親鸞、一休、良寛、西行、空海、一遍、最澄、それに鉄舟と山頭火。彼らが迷い悩みながら辿り着いた人生の終い方とは。

臨済宗の高僧 仙厓は、死の間際に「死にとうない」と呟いたそうな。生の中に死があり、死のなかに生があり、両者はひとつと説く臨済宗である。弟子たちはおろおろしたに違いない。

一度地獄を見た者の生き方には二通りある。「生」にすがりつくか、助かったいのちは余生として開き直るか。

「生」にすがりつけば、二度と地獄に落ちまいと必死の努力をする。だが、眼下の地獄を見すえるこの生き方は、常に地獄の影がつきまとうため、心の平静は得られまい。開き直ったものは眼下の地獄に目もくれない。失うものはないと腹をくくれば、恐いものはない。

僧籍を剥奪された親鸞は、己の運命に絶望もせず、わが身の不幸を嘆くこともせず、逆境を受入れ肯定し、現状に身を投じていく。

逆境に対して「今に見ておれ」と踏み台にする生き方は、「今ある自分」を否定することである。親鸞にとって死を受入れるとは、臨終の瞬間まで「今を生ききる」ことであった。

「人生は借用書」と喝破した一休、自分の生きてきた人生そのものが形見だと遺した良寛。出家することで悟りをひらきたいと思うその心が「執着」であり、それすらも捨てよという西行。「明日」を捨てよ、捨てて捨てて、その果てに平静があるとする一遍。

「明日」のことを考え、何かを「獲得」しようとするから悩みが生じるのである。生も死も、地位もお金も思い通りにならないのがあたりまえ。親も子も、伴侶も思い通りにはならない。自分の身体でさえ同じこと。コントロールできないことをコントロールしようとするから悩みが生じる。

現代医学には限界がある。治るものなら直す努力をすれば良い。治らない病まで治そうとするから迷いが生じて、オタオタする。希望を持つのは良い。しかし、いつしか「希望」が「執着」になってしまう。

一遍はこう言う。「死ぬときは死ぬがな。それまでは生きているがな」そして、「明日」への思いを捨てさえすれば、すべては捨てられる」

捨てれば、身軽になって、「ただ今のこの日」に命を集中して生きられる。

この身体は借り物。借用書には「必ず返すべし」とは書かれているが、「いつ返せ」とは書かれていない。返す期限は誰にも分からない。身体もがんも「複雑系」だから、原理的に「未来は予測できない」。それを予測しようとするから要らぬ悩みが生じる。返す期限が来たら返せば良い、ただそれだけのこと。


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コメント

hanamaruさん。
カタツムリのようにですか。
笑える本ばかり探して読んでいます、<-これは本当にカラダに良いですよ。
私の場合は落語です。

>人生は借用書
>コントロールできないことをコントロールしようとするから悩みが生じる。
>治らない病まで治そうとするから迷いが生じて、オタオタする。
>返す期限が来たら返せば良い。

お・お・お・・・
この言葉、胸にしみます。
しばらくご無沙汰していますが、カタツムリのようにのろのろフラフラ暮らしています(笑)。
先日最悪の日には「死は苦痛からの解放でもある」とふと思いました。そんなたいそうな病気ではないのに、たまに、脳がショートするようで(苦笑)。
残り時間はプラプラ・フラッカでいこうかな・・・と。笑える本ばかり探して読んでいます(笑)。何にも考えず本や漫画を楽しめるのは55年ぶりぐらいです。嬉しいです。

アセットさん、バカ建築屋さん。
膵臓がん患者にとって死は身近な存在です。生と死に対して自分なりの考えを持っておくべきでしょうが、名僧のようにはなかなか参りません。
激しい痛みと抗がん剤に副作用に苦しんで死を迎えた方が、死の恐怖を考える暇もないのかもしれませんね。
一方で、死の間際まで抗がん剤をやることが「がんばる」ことなのか、賞賛されることなのかと、私は疑問に思っています。
ま、人それぞれです。
死ぬ瞬間、死んだあとはどうなるのか、だれも報告をした人はいませんが、光の輪の中に入っていくイメージだという説もあります。今から死ぬ瞬間が楽しみです。報告はできませんが。

キノシタ様
いつもありがとうございます。
ご紹介の本、とても興味が湧きました。積ん読だらけですが…
うどん県では「医者と先生とおじゅっさん(住職)は往生際が悪い」とよく聞きます。長尾氏のネタ元のようです。
その一方で「死ぬまで大丈夫」と下手な大工みたいなお呪いも聞きます。(だからか、その後の儀式が忙しい)
死後は仏様でも在るまいし、チベットの「体験談」だけ。と思ってるのと、どう違うんだろうか?との疑問が湧きました。
多分真剣に考え出すと不安が増すのでしょうけど、ワクワクしといた方が良さそう!とも言い切れない気になりました。

キノシタさん

いつも役立つ情報ありがとうございます。

メラトニンも始めました。
しばらく続けてみたいと思います。

落語会も参加を予定しています。

アセット

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