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2017年2月18日 (土)

膵臓がんの最新治療法

膵臓がんの治療も最近進歩が著しい。Medical Noteに名古屋大学大学院医科学系研究科 消化器外科 准教授 藤井 努先生のインタビュー記事が載っており、最近の膵臓がん治療を要領よくまとめてある。

膵臓がん手術の常識を見直す−転移や合併症から膵臓がん患者を守る

膵臓がんは手術だけでは根治しない−さまざまな種類の治療を組み合わせた最先端の膵臓がん治療方法

  • 膵臓がん手術で最も多い合併症である「膵液の漏出」を防ぐこと
  • 「胃の切除範囲」は極力抑える
  • 激しい下痢や体重減少を引き起こす神経叢郭清は行わないか小範囲にする
    上腸間膜動脈に巻きついている神経には腸の働きを調節する役割があるため、少しでも傷ついたり、切除されてしまえば腸をコントロールできなくなり、食べた途端、下痢になってしまいます。
    手術後に食事ができなくなれば、回復もそれだけ難しくなります。この合併症により10〜20kg体重が落ちてしまう患者さんもおり、このような事態に陥ると、術後治療を受けることが難しくなります。
  • 「術前治療」-膵臓がんは手術を行う前に化学治療や放射線治療をしっかり行うと、手術後に再発しにくくなる
  • 「切除可能境界」と診断された患者さんにはデータをお見せし、手術を急ぐのではなく、まずしっかりと術前治療を行ってから手術に臨む

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  • 「フォルフィリノックス」と「ナブパクリタキセル」という2種類の新しい抗がん剤の登場により、膵臓がんの術前治療に大きな進歩が起こりました。
  • 膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」の可能性
    膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」はテスト段階で、日本全国の実施件数も33例と少ないものですが、すでにその成績には目を見張るものがあります。33例のうち、半数の患者さんは浮遊しているがん細胞が消失し、3分の1の患者さんは腫瘍マーカー(血液検査時にがんの有無を示す数値)が正常値に戻りました。さらに驚くべきことは「腹腔内化学療法」の効果が腹膜播種の消滅だけでなく、その大元である膵臓がんにも現れ、膵臓にできた腫瘍が小さくなって手術を行えるまでになった件数が33件中8件、つまり4分の1の患者さんは手術ができるまでに病状が改善しました。
  • 効果があるとされている「パクリタキセル」という抗がん剤に保険適用の認可が下りていないため、この治療が行える施設が限られている
  • 「膵臓がんは手術だけでは根治しない」なぜなら、膵臓がんは再発率が非常に高いがんであり、たとえ手術で全てのがんを摘出することができても、再発してしまうことがしばしばあるからです。

     

私も「上腸間膜動脈神経叢郭清(しんけいそうかくせい)」をしたため、主治医からは「アヘンチンキは一生飲むようになる」と言われましたが、最近は神経叢郭清はやらないで下痢になる患者も少ないようです。

膵癌の腹腔内化学療法は、以前に紹介した放医研の岡田直美医師の著作『このまま死んでる場合じゃない!』でも取りあげられていたが、オリゴメタ説との関連してもっと積極的に考えたい治療法です。やれる施設は限られているけど。

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膵臓癌の知識・情報」カテゴリの記事

コメント

ババリーナふじこさん。
いやー、お久しぶりです。
放射線治療もそれなりにリスクがありますね。医療全体に何らかのリスクがあるのですが、患者はリスクを推定することが難しい。
医療は不確実ですが、一歩いっぽ進歩しています。

私は4年8か月前、大阪府立成人病センターが術前抗がん剤・放射線治療によって生存率を著しく高めていることを知り、セカンドオピニオンを受けました。しかし、ステージ3までが対象とのことで、石川先生から「取敢えず、抗がん剤から始めてはいかがですか?」との助言をいただきました。

何しろ当時の状況では、手術が成功したとしても4aである私の5年生存率は2%程だったと思われます。色々調べて考えた末、放射線治療は受けずTS-1の隔日服用のみで手術に臨みました。お陰様で、術後4年5か月、今のところ再発を疑われることもなく過ごせています。

術後しばらく経ったころ、成人病センターでの術前治療が4aも対象になり、術後の成績も良好という情報を得、「多くの4aの患者さんが救われるようになってよかったな」としみじみ思いました。

ただ、やり方によっては放射線や抗がん剤によって体力を奪われ、手術どころではなくなったり、術後の回復に多大な悪影響を及ぼす可能性もあると思います。ですから、術前治療を受けられる場合にはその点を心に留めていただけたら幸いです。

やすさん。
大阪府立成人病センターなど術前治療に力を入れて、膵臓がんの術後5年生存率を50%まで高めています。

「膵癌診療ガイドライン 2013」には、
Q3-1 膵癌に対する術前治療(①化学放射線療法 ②化学療法)は推奨されるか?

A:術前治療の有用性を支持する論文が増加傾向にある。しかしこれが長期遠隔成績を向上させるか否かについては、今後の臨床試験や研究の蓄積によって明らかにされるべきである。グレードC1

としています。グレードC1は「科学的根拠はないが、行うよう勧められる」なので、ガイドラインに従った標準治療としては足を踏み外しているわけではないです。

やるかやらないかは、医者の匙加減というところでしょうか。

こちらの記事にもあるように、世界的には術前化学療法で治療成績が上がるので、日本でもその方向になるでしょう。

http://satonorihiro.xyz/post-1038/

すい臓がんカフェにお邪魔したときに聞いたんですが、関西は術前に抗がん剤治療すると言っている方がいました。
関東と関西で標準治療に違いはないと思うのですが、、、、

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