« 2017年2月 | トップページ | 2017年4月 »

2017年3月

2017年3月30日 (木)

サプリメントでがんは治らないけど・・・

興味深い記事を、とくに膵臓がんに関する記事が多いので参考にさせていただいている佐藤典宏先生のブログに「すべてのがん患者さんへすすめる厳選サプリメント5種」が掲載されています。

  1. マルチビタミン → 抗酸化作用
  2. EPA → 抗炎症作用
  3. クルクミン → 血管新生阻害作用
  4. ブロリコ → 免疫力の向上
  5. ホエイプロテイン → 筋肉(筋力)維持、サルコペニア/カヘキシア予防

の五種類が簡単なエビデンスの紹介とともに推奨されています。ま、こうした記事に詳細なエビデンスを求めるのは野暮でしょう。

ブロッコリーは我が家では頻繁に食卓にあがるのでサプリメントとしては必要なし。これらに、

  • 緑茶
  • ビタミンD
  • メラトニン

を付け加えればなお良いと思います。

私のこのブログでもサプリメントは紹介していますが、1、2,3と同じです。もっとも私のサプリメントの基本的考え方は、

  1. ある程度のヒトでのエビデンスがある
  2. 重篤な副作用が報告されていない
  3. 小遣いで賄える

ですので、月に総額で何万円にもなるような高品質だが高価な物は選択しません(できません)。

クルクミンについては、いくつかのブログで「春ウコン」ががんに効く、と紹介されています。しかし、クルクミンの含有率の多いのは秋ウコンです。(ただし、肝機能が悪化している場合や肝転移がある場合は禁忌でしょう)

  1. ウコンは効くのか効かないのか?
    ウコンは摂っていません。ただ、春ウコンと秋ウコンではクルクミンの含有量は秋ウコンのほうが多いと認識しているのですが、どうなんでしょう。ウコンは摂り過ぎると肝臓...
  2. ウコン、ターメリック、クルクミン
    ジェリー・ボヌール)でいつも買う。これに秋ウコンをたっぷり塗って、ひとつまみの黒コショウをかけ、さらにオリーブ油で重ね塗りをして食べる。以前はウコン(ターメリ...
  3. ウコンの品質、安全性・副作用
    はクルクミンはほとんど含まれていません。秋ウコンには多く含まれていますが、この他に「原種ウコン」という野生のものもあります。これがいちばんクルクミンの含有量が...

春ウコンががんに効く根拠として、春ウコン研究会のサイトにに記載された論文を挙げるブログがありますが、ここで紹介されているNatureとNEJM(The New England Journal of Medicine)に投稿されたという二つの論文はともに掲載を拒否されている代物なんですね。「掲載論文」と言わずに「投稿原稿」と書いているのがミソです。

ま、原稿の最後のほうに【却下通知】【NEJMによる掲載不可の通知】と書いているのは正直とは言えると思いますが。

Google博士に翻訳してもらうと、

親愛なる松井教授「癌と糖尿病に対するクルクマ・アロマの治癒効果」と題して原稿を提出していただきありがとうございます。原稿の大部分を審判に送付せ ずに辞退するのはネイチャーの方針です。遅滞なく他の場所に送ってください。このような決定は、限られたスペースの競争で論文が成功する可能性が低いと思 われる時に、編集スタッフが決定します。現時点では、あなたの調査結果が現場の他の人にとって興味深いことは間違いありませんが、あなたの発見が自然界で の出版を正当化するための十分に優れた科学的進歩であると私たちは説得されていないと言います。特に、私たちは、結論を立証するために必要と思われるはるかに大きく制御された臨床研究がないことに注意します。私はこの機会にもっとポジティブになることはできません、ご迷惑をお掛けします。

題目:New England Journal of Medicine 08-09155松井教授、「ウサギのアロマが癌と糖尿病に及ぼす治療効果」の提出は、このジャーナルには掲載されません。編集スタッフの評価を受けました。その焦点、内容、興味を考慮した上で、あなたの提出をさらに検討しないという編集上の決定でした。私たちはこれを速やかにあなたに通知しており、 他の場所に提出することができます。あなたの提出を検討する機会を与えていただきありがとうございます。

基礎研究が足りない、科学的進歩に貢献しないなど、完全な拒否です。

投稿原稿の中をちらっと見ると、

癌および糖尿病が感染性である可能性があることを示唆している。 これは他の感染症も治癒したことから考えられた。 外来物質としてのこれらの病原体は、ウイルスのような物質、すなわち裸のRNAまたはDNAであり得る。

  • 春ウコンが、なぜ免疫レベルを上げると考えられるのか?
  • 成人病の多くは感染症か
  • 免疫系が抑えることができた“異物”(感染源)は何か?

などと、癌が感染症? 糖尿病も感染症とは、まさに「トンデモ博士」ですね。春ウコンのどの成分ががんに効果があるのかも明らかにされていません。

こんなエセ学者のデタラメなサイトに振り回された何人かの膵臓がん患者(多くは効果がなくて、すでに亡くなっている)がかわいそうです。これ以上の犠牲者を出さないことを願っています。

サプリメントでがんが治ることはありません。免疫力を高めたり、炎症を抑えたりする、増殖や転移を抑える、あくまでも補助療法なんです。

さくら、桜、サクラはまだか?

三寒四温で桜の開花がゆっくりです。今日はずいぶん暖かかったから一気に開花が進んでくれるとありがたい。ソメイヨシノの満開が待ちきれない。

欲求不満を解消すべく、またまた「陽光」の並木をぶらぶらカメラ散歩です。

早咲きで色も鮮やかな「陽光」だったからいいんだよね。これがソメイヨシノだったら、どこにでもある桜並木になってしまう。樹が大きくなればたぶん桜の名所に育つのではなかろうか。

とはいえ、ソメイヨシノのあちらこちらの桜名所に行きたいが、花が元気な期間は3.4日ほどしかないのです。南から北に追いかければ良いのだが、その余裕も暇もない。一箇所に決めて撮影ドライブを計画中です。行き先はひ・み・つ。秘密保護法によって対象に指定されていますので・・(^Д^)

   こちらはスライドショーです(19枚)⇒「東邦医大通りの桜

********************************************************

XT2F3358_1

XT2F3375

XT2F3431

XT2F3383

XT2F3399

XT2F3410

XT2F3437

XT2F3400

XT2F3389

XT2F3376

2017年3月29日 (水)

今日の一冊(70)『悪の製薬:製薬業界と新薬開発がわたしたちにしていること』

デタラメ健康科学---代替療法・製薬産業・メディアのウソ 読み終えるのに少々エネルギーが必要でした。同じ著者の『デタラメ健康科学』はわりとすらすらと読めたが、翻訳者が違うせいでしょうかね。しかし、内容は詳細でしっかりと根拠があり、しかも「驚く」内容です。

過去記事 ⇒『デタラメ健康科学』代替療法・製薬産業・メディアのウソ

悪の製薬: 製薬業界と新薬開発がわたしたちにしていること 臨床試験の多くが製薬業界の試験援助で行われるが、外部資金に頼らない臨床試験に比べて実際以上に見える肯定的な結果を生みやすい。コレステロール低下薬スタチンの例(この薬がたびたび取りあげられている)では、192件の臨床試験のうち、業界の資金援助を受けた臨床試験は、そうでない試験に比べて好意的な結果を出す割合が20倍も高かった。スタチンが特別なのではない。精神治療薬でも抗がん剤でも糖尿病治療薬でもほとんど同じ傾向である。

そうした試験では、肯定的な結果を出すためにあらゆる手法を使う。臨床試験の対象患者は、既往症のない、若い、大量の薬を服用していない、アル中ではない、身体状況(PS)のよい「理想的」な患者ばかりであり、現実の治療現場の患者とはかけ離れている。既に効果が認められている治療薬があるにもかかわらず、試験対象の薬とプラセボとを比較する。つまり、「無いよりはまし」な薬でも統計的有意差が証明できる。

さらには、否定的な臨床試験の結果は公表されない可能性が高い。これは「公表バイアス」と言われるものだ。抗うつ薬レボキセチンとプラセボとの比較臨床試験は7件あったが(これを探すのに一苦労した様子)、1件だけ肯定的な結果が出て学術雑誌に発表された。しかし、その10倍の患者を対象とした試験では否定的な結果となり、これはどこにも発表されなかった。抗がん剤、タフミル、コレステロール低下薬、肥満治療薬など、どの薬でも同様であって、レボキセチンが特殊なのではない。否定的な論文を公表しないことで、本来なら死ななくても良いはずの何十万人もの患者の命が奪われている。実際他人事ではなく、あなたにも起きうることです。

エビデンスレベルの最上段はランダム化比較試験の得たアナリシスとされているが、そもそも否定的な論文が隠されていれば、メタアナリシスは肯定的な結果にならざるを得ない。関連死などの副作用も考慮することができない。

先日インフルエンザに罹ったとき、私は医者にも行かず治療もしなかったが、受診していれば多分タフミルが処方されただろう。しかし、ロシュ社は、規制機関の要求を無視し、タフミルの臨床試験の結果の公表をあれやこれやの理由でしぶり、2014年になってやっと全てを公表した。その結果はロシュ社が宣伝したこととはずいぶん違い、当初の服用の目的である入院や合併症を減少させるという十分な証拠はなかった。成人での発症時間を7日から6.3日へと減少させる程度であり、副作用も含めて見直しが必要であると報告された。(本書の執筆の時点では公表されていなかった)

医学会のオピニオンリーダーとされる医者には、講演料などの名目で多額の金が製薬企業から渡っている。彼らは資金提供元の企業の薬を「より多く勧め、肯定的に論評」する傾向がある。世界的に権威があるとされる学術誌「ランセット」や「JAMA」「NEJM」誌に対して、製薬業界は広告として一社当たり年間1000~2000万ドル支出している。業界全体としては年間5億ドルを学術誌に広告費として支出しているのであり、「権威のある」これら雑誌の収入の多くが広告費に依存しているのである。

規制機関と業界の癒着の深刻さ、治験結果の改ざんと隠ぺい、研究論文の多くが製薬会社が雇ったゴーストライターによって代筆され、内容がねつ造されている。

高血圧薬のディオバン事件で明らかになったように、日本でも例外ではない。臨床試験のプロトコルを計画し、患者を集め、結果の統計解析をする(場合によっては論文を書く)のは多くは製薬会社の人間である。

臨床試験のアウトソーシング化、巧妙なマーケティング戦略などなど、目を覆いたくなるような実態が次々と披露されている。

ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実 元NEJMの編集長が出版した告発本『ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』は2003年の出版だが、それ以後もこの業界の体質は変わっていない。むしろ酷くなっているのではなかろうか。

「エビデンス、エビデンス」と声高に叫んでいる腫瘍内科医やがんの患者団体には、今のエビデンスがいかに歪められているか、ぜひ読んでもらいたい本である。

患者としてはどうすれば良いのか。この本の各項目の最後には「あなたにできること」としていくつかの提案が記されている。例を挙げれば、

  • 診察室に製薬会社のロゴの入ったボールペン、USBメモリ、マグカップ、カレンダーなど小物類があふれていないか観察する

これらであふれていたら、医薬情報担当者(MR)の訪問を頻繁に受けているのだろうから、エビデンスよりも、その会社の治療薬を勧めてくる確率が高い。医者には「先生、本当に私にはその薬が最適で、効果があるのですか、別の薬ではなぜダメなのですか」と訊いてみると良いだろう。

2017年3月27日 (月)

ゲムシタビン+カペシタビンで10年以上生存

以前に書きかけてアップを忘れていた記事です。

*************************************

英国での臨床試験です。(英文ですが)

薬の組み合わせが膵臓がんの生存期間を延長する

この臨床試験では、(ゲムシタビンとカペシタビン)2つの化学療法薬を併用した患者の29%が少なくとも5年間生存していましたが、依然としてNHS(国民保険サービス)の標準治療薬である1つの化学療法薬(ゲムシタビン)を受けた患者は16%でした。

この結果は、最も一般的な21種の中で最も低い生存率を有し、年間8,800英国人を殺す膵臓癌を発症する人々の見通しを改善する可能性があるため重要である。 100人中1人だけが診断後10年以上生存しています。

英国、スコットランド、ウェールズ、ドイツ、フランス、スウェーデンの92の病院からの732人の患者が参加した。 ゲムシタビンとカペシタビンの両方を投与された患者のうち28.8%が少なくとも5年間生存していましたが、ゲムシタビンのみを受けた患者はわずか16.3%でした。

「短期生存率の差は控えめに見えるかもしれないが、長期生存率の改善はこのタイプのがんでは革新的である」とNeoptolemos氏は付け加えた。

****************************************

手術できずに抗がん剤だけなら10年生存率は1%、ということですね。統計的には確か6年生存率で0%のはずですから、画期的に結果とも言えます。

2017年3月26日 (日)

そぼ降る雨に満開の桜

今日は一日雨の予想です。朝からモーツアルトとバッハ。

なんと言うこともないけど、自宅前、東邦医大通りの雨にしっとりと濡れる桜です。

XT2F3317 XT2F3328 XT2F3323

ブログを巡回していたら、同じ桜の並木を大津秀一先生がアップされていた。

O05400960138983942181



2017年3月25日 (土)

第5回『すい臓がんカフェ』開店します。

すみません。1時間半ほどで満席になりました。(m_m)

Kaiten

【日 時】2017年4月23日(日) 13:10~16:30 (開場12:50ごろ)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分
       Luz大森 4階 入新井集会室(大集会室)
【参加費】300円
【定 員】70名
【体験談講演】ハマリョウ『初回手術から7年、2度の再発・再手術から学んだこと』~抗がん剤の副作用、代替医療と選択方法~

このまま死んでる場合じゃない』の岡本直美先生との共著者である善本考香さんが特別参加されます。オリゴメタ説、重粒子線治療についてお話を伺うことができると思います。

A6e800_b5ada75ef6874fe1ad9a496bbe2e

申込みの受付は4月1日17時より開始します。

参加を希望される方は、こちらのオフィシャルサイトから申込みをお願いします。

2017年3月24日 (金)

国会中継がおもしろかったな

久しぶりにテレビに釘付けでした。例の籠池氏の国会での承認質問の実況中継。午前中の参議院、午後の衆議院、夜の外国特派員協会での記者会見もニコニコ動画で、ずっと録画しながら見てました。

下手なドラマよりはよほど手に汗握る展開でしたね。ロッキード事件以来じゃないだろうか。

もちろん籠池氏の思想や主張には、まったく賛同できません。園児に教育勅語を暗誦させて、運動会で安倍総理がんばれ!なんて、思想教育であり、ここは北朝鮮か?美しい瑞穂の国って、こういう未来なのかと思うばかりです。

しかし、証人としての籠池氏は立派だったね。なにかもう「これ以上失うものはない」と踏ん切れたのか、発言によどみがない。普通何かをごまかそうとしているときには、言葉がつっかえたり、言いよどんだりするものだが、彼の態度にはそれが感じられない。

編集されたニュース番組ではなく、生の映像の怖さでしょうね。誰が嘘を言っているのか、一目瞭然ですわ。この感覚が大事です。官僚たちの木で鼻を括ったような答弁には、理路整然とはしていても真実も誠意も見えない。

一方で自民党や維新、公明党の議員の質問は劣悪の極み。頭が悪くて程度が低い。恫喝するだけ。籠池氏を「変な大阪のおっさん」と印象づけようとしたが頓挫。

しかし、不思議な光景だ。籠池氏の思想に反対する立場の民進党や共産党の議員が、証人の人格を尊重して紳士的に適格に質問をし、籠池氏の思想に近いはずの与党の議員がやくざのように恫喝する。

トカゲの尻尾にも意地があるということだろう。

「松井知事が梯子をかけてやったのに、あんたが勝手に梯子から落ちた」は、傑作でしたね。「梯子をかけた」かどうかが、いま問題になっているのに、自爆スイッチを押してしまった維新の下地議員、今頃仲間から袋だたきに遭っているんじゃなかろうか。

いやー、痛快でした。NHKの受信料、払ってやろう。

2017年3月22日 (水)

【訃報】田中雅博師死去

末期の膵臓がんであり、医師で僧侶でもあった田中雅博師が、21日に亡くなったと報じられています。

2014年10月にステージⅣbの膵臓がんと診断され、手術はしたが、肝臓への転移も見つかった。抗がん剤治療を続けたが効果は芳しくなく、「来年の3月の誕生日を迎えられる確率は非常に小さい。もう少しで死ぬという事実を直視しています」と述べておられた。それが3度目の誕生月までがんばってこられた。

もう少し生きられそうだと、この間精力的に死と仏教について連載を続け、末期のがん患者に生と死、生きる意味を自らの体験として語り続けてこられた。

医師でもある田中師に、善意から民間療法を勧めてくる人もいたそうだ。

私が現代医学では治癒不可能な状況だと知って、民間療法を奨めて来られる方がいました。善意からでしょうが、民間療法には効くという証拠がありません。「西洋医学でダメなら東洋医学で」という方もいますが、それも古い話で、現代医学に西洋も東洋もありません。東洋医学由来でも臨床試験を行なって効果が認められれば、すぐに現代医学に取り入れられるのです。

いのちの苦しみは消える: 医師で僧侶で末期がんの私 田中師は『いのちの苦しみは消える: 医師で僧侶で末期がんの私』において”いのちの苦しみ”との向き合い方を説いている。

「人は誰でも100%死にますが“いつか”であって、すぐではありません。ですが、限られたいのちだとわかると、死にたくない、死ぬのが怖いという気持ちが出てきます。それが、“いのちの苦しみ”です。“スピリチュアル・ペイン”ともいいます。人間誰しも生きていられるなら生きていたいと思いますし、いのちがなくなることに苦しみは感じます。でも、人の死は思い通りにはなりません」

いのちの苦しみをやわらげるひとつの方法として、田中さんは“生きることへの執着を捨てる”ことを説く。人には“思い通りにしたい”という欲求があり、思い通りにならないことに対して苦しみを感じる。だからこそ、“生きたい”“死にたくない”といった欲求をコントロールすれば、苦しみがなくなるという。

いのちの苦しみは非科学的な領域だから、医者では治せませんと、臨床宗教師の活動に力を注いでこられたのです。

この本の巻末には、田中師の般若心経の現代語訳が載せられている。

お釈迦様は一切の苦しみを五取蘊苦(ごしゅうんく)にまとめられた。この身体が我であり我がものであるという執着、自分の感覚、表象、意志、意識という執着をも空っぽにすれば知恵が完成し、心が自由自在になり、恐れがなく、生死の輪廻を離れ、大河を超えて涅槃の彼岸に渡ることができるのだと。

医療には限界があり、死はいずれやってくる。だから、いつまでも「もっと生きたい」は希望ではない。「執着」なんだ。執着を捨てれば心は自由自在になる。

田中師のご冥福をお祈りし、感謝を捧げます。<合掌>

2017年3月21日 (火)

樋口強「いのちの落語独演会」受付始まる

樋口強さんが年に1回、がん患者とその家族だけを招待して開催している「いのちの落語独演会」の開催要領が公開され、受付が始まりました。

私も毎年楽しみにしています。今年の出し物はなんだろう?今年は事前に案内はがきも届いています。常連だからかなぁ。

1609018_vui_0964motto1768x5121

「第17回いのちの落語独演会」ご案内

○日時:2017年 9月17日(日)13時~ (約3時間)
○場所:東京・深川江戸資料館小劇場
○木戸:ご招待 (対象は、がんの仲間とそのご家族に限定 優先枠内で先着順)
○申込要領:「いのちの落語独演会」ページから

津波もがんも笑いで越えていのちの落語家が追った3.11

今年もまた、元気で深川江戸資料館でお会いしましょう。

深川江戸資料館と江戸東京博物館を間違えて、そっちに行ってしまう人もたまにいるそうです。

今年も早々に「満員御礼」になりそうな気がします。申込みは早めが良さそうで。

再発した膵癌でも完治することがある

NPO法人「肺がん患者の会 ワンステップ」のブログに押川勝太郎医師の講演動画がアップされています。(こちら

孤独を克服するがん治療〜患者と家族のための心の処方箋〜 押川医師は「がん治療の虚実」ブログで有名ですよね。役立つ記事満載で、私もよく参考にさせていただいています。

紹介の動画も、がんとの付き合い方など、主治医からはなかなか聞けそうにない話題です。その中で、膵がんの再発した60歳台の女性の例。毎週抗がん剤を投与して104回で完治した。しかし、「毎日退屈でしょうがない・・・」と贅沢な悩みをいう。(6分20秒ころから)

また先生の主催している患者会の中でも、膵がんの再発患者で2人くらいは完治しているという話しです。

あるんですよね。固形癌は抗がん剤では治ることはない。延命効果だけ。これは真実です。しかし、どのがんにも必ず「例外的患者」がいる。治らないはずのがんが完治したり、治療もしないのに腫瘍が忽然と消えたりする。1万人にひとつ、あるいは1000人に1人くらいはあるのではないかともいわれています。

がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと どうすればそうした「例外的患者」になれるのか? それが分かれば苦労しないのだが、たぶん患者それぞれで「完治に到るスイッチ」の場所が違うのだろう。この女性の例でも、抗がん剤以外に何か代替療法をやっていたのかどうか不明だが、仮に〇〇療法をやっていたとしたら、「私はこれでがんが消えた!」ってことになるのでしょうね。

2017年3月20日 (月)

すい臓がん診断アプリ

iPhone版だけど、こんなアプリがあるんだ。私のスマホはAndroidだから確認していないが、初期症状に乏しい膵臓がんをどうやって診断する? 血糖値? 過体重?
どれも決定打じゃないよなぁ。

Image_002

桜咲く

自宅前の桜並木で「陽光」が開花しました。まだ蕾も多いですが、ここ数日の暖かさに誘われて、一斉に咲き始めています。

XT2F3300

XT2F3313

XT2F3310

2017年3月18日 (土)

次から次から、よいうもまぁ

森友学園問題、1ヶ月前には「なんでマスコミが取りあげないのだ?」と文句を言ってたのだが、このところ話題沸騰です。絵になるしキャラが立っている。視聴率を稼げるとなると、政府の恫喝も効果なしだね。

「アンダー・コントロール」から始まって、「嘘も百編繰り返せば真実だ」とのごとく、政治家の言葉に重みがなくなった。「嘘ではない、記憶に従って述べただけ」でごまかせると思っているわけだ。それが弁護士資格を持った防衛大臣だと言うから呆れる。

政治の右への流れに上手く乗っかって、旨い汁を吸おうとした連中が、いざ旗色が悪いとなると、籠池氏に全てをなすくりつけて遁走しようとしている。「自称愛国者」はなんとも逃げ足は速い。膵臓がんも足が速いが、彼らの足元には及ばないよな。

「100万円の寄付をした記憶はありません」って、おいおい、庶民は曖昧な言い方はしないよ。「100万円? 寄付なんぞしてません」だよね。一般論として、断定した物言いをしないときにはなにがしかの後ろめたさが有るものだ。自衛隊の日報しかり、都合の悪いものは隠せ、なかったことにしろ。嘘をつくときには堂々と自信たっぷりに嘘をはけ、というわけだ。

昨今の状況をひと言で言えば、安倍政権の考えていそうなことを、先回りして忖度すればポイントが付与され、いずれおこぼれが回ってくるという、「政治のポイント化」ではないか。

こんな風潮、長く続くはずがない。オリンピックは安倍総理で開催できないかもしれんな。

石原慎太郎の百条委員会出席が霞んできた。

それにしても、ニュースを見る度に脱力する。

2017年3月16日 (木)

「自然療法でがん治癒」に有罪判決

オーストラリアでの話しだけど、日本でも似たようなことがあるよね。

オーストリア連邦裁判所は15日、脳腫瘍があったが自然療法で治癒したとうそをつき、書籍などを出版していたブロガーの女に対し、人々を欺いたとして有罪の判決を言い渡した。

食事によって脳腫瘍が治癒したと、そのレシピやアプリを販売。しかし、知人らから病気への疑問が寄せられ、嘘がばれた。

日本でも似たようなものでしょ。ムラキテルミのオフィシャルサイトなんて、その手の商品の販売サイト。その販売促進のために「煮あずき」だの”奇跡”の食事療法を次々とでっち上げている。

治療前と治療後のCT写真を並べるという、手垢のついたがんクリニックのコマーシャルも掃いて捨てるほど出てくるね。

藁をも掴みたい末期がん患者を騙している。こういうのは優しいが、切羽詰まると気持ちはよく分かる。

なにしろ標準治療の抗がん剤にしたって、「転移再発したがんは治らない」「延命効果と症状緩和が抗がん剤の目的」という真実を患者に告げないで、延々と抗がん剤を投与する医者が多いのだから、これも藁を掴まされていることには違いない。

がんを治そうなんて無理な”執着”を捨て去れば、もっとゆったりと貴重な時間を過ごせるのではなかろうか、と思うこのごろだ。

2017年3月13日 (月)

DDSで膵臓がんの治験

今日から出張、インフルエンザがほぼ治ってくれたのでほっとしています。

日経の記事「膵臓がん新治療法を開発 東京女子医大など、微粒子と超音波で」、興味深いですね。

東京女子医科大学と東京医科大学などは膵臓がんの新たな治療法を開発し、4月にも臨床試験(治験)を始める。抗がん剤を含む微粒子と超音波を組み合わせ、がん細胞をピンポイントでたたく。

投与する微粒子は既存の抗がん剤「エピルビシン」を高分子で覆った。
 直径約50ナノ(ナノは10億分の1)メートルで、患者に点滴で投与する。1日後に体外から患部を狙って超音波のビームを当てる。微粒子はがん細胞に多く取り込まれる性質があり、微粒子から活性酸素が出て、がん細胞を殺す。
 抗がん剤の濃度は通常の治療時の半分以下で正常細胞にはほとんど取り込まれない。超音波の強度も低く、正常細胞に当たった場合も活性酸素が出て副作用が起きる恐れは少ないという。がんの超音波照射は現在、保険対象になっていない。
 微粒子はバイオベンチャーのナノキャリアが開発し、興和を通じて提供を受ける。超音波を絞り込んで当てる装置は日立製作所と東北大学が共同で開発した。
 第1段階の治験を終えた後は東京女子医大病院も加わり、効果を確かめる治験に進む予定だ。

エピルビシンは急性白血病、悪性リンパ腫、乳癌、卵巣癌、胃癌、肝癌、尿路上皮癌、乳癌などに適用されていますが、既に特許の切れた抗がん剤です。あまり利益になりそうもない抗がん剤を提供する製薬会社も懐が深い。『副作用のない抗がん剤』に取りあげられていたP-THPは儲からないからと製薬企業が及び腰なのに比べてずいぶん考え方が違います。

ナノキャリアは膵臓がんのDDSで最終段階の治験を台湾で続けている。まだ創薬段階で赤字が続くナノキャリアは、この技術の成否に社運をかけているそうだ。興和との関係も紆余曲折している様子だ。

4月から12人の患者を対象に第一相の安全性確認試験、その後数年かけて第二相試験、実用化されるまでにはやはり10年ですかね。

DDS(ドラッグデリバリーシステム)の話題が最近続きますね。

膵臓がんの腫瘍には血管がほとんどないため、抗がん剤を入れても腫瘍そのものには薬がほとんど届くことはなく、効果は限定的なものとなってしまうのです。これが膵臓がんの予後が悪いひとつの原因です。DDSなら直接腫瘍まで抗がん剤を届けることができるのです。

うまくいってほしいものですね。

2017年3月11日 (土)

食事療法、運動療法そのつぎに薬物療法

インフルエンザもやっと峠を越えた感じです。熱はほとんどなく、喉の痛みと発汗、咳がある。明日には普通の状態になるだろう。

先日の糖尿病内科の診察でした。HbA1cは 6.6% でした。前回は8.8だったから大幅に改善。
先生も「いいね、いいね」と連発。

低血糖のデータを見せて、インスリンを8単位から基準7単位、血糖値を見ながら6、8へと自分で微調整することになった(既にやっていたのだが)

「地域の糖尿病医の中であなたのことが話題になっているよ。手術で膵頭部しかないのに9年間もインスリンなしで管理できてきて、インスリンを初めても極少量で済んでいる。こんな患者はめずらしいんだよ」

ってことらしい。

「不思議なんだよなぁ?」といつものように異邦人でも見るような眼で私を見る。

カロリー制限食だったらこんなに良好な血糖値管理はできなかったはず。糖尿病医の先生方もそろそろカロリー制限食の限界を認識してほしいものだ。

ま、いいじゃないですか。管理できているのだから。それなりに努力しているんだよね。私は。医療は第一に「食事療法」、「運動療法」それで足りない部分を「薬物療法」だと考えている。薬が快刀乱麻の如く一切の症状を治してくれるなんて、期待してはいけない。薬は少なければ少ないほどよいという、私はミニマリストである。がん治療でも基本は同じ。

2017年3月 9日 (木)

今日の一冊(69)『サイレント・ブレス』

サイレント・ブレス 久しぶりの小説の紹介です。作者の南杏子さん(ペンネーム)は都内の終末期医療専門病院に勤める現役の内科医師で、この小説がデビュー作です。この病院では、末期の患者にはタバコもアルコールも夜更かしも制限なしだそうです。

サイレント・ブレス」とは
静けさに満ちた日常の中で、穏やかな終末期を迎えることをイメージする言葉です。多くの方の死を見届けてきた私は、患者や家族に寄り添う医療とは何か、自分が受けたい医療とはどんなものかを考え続けてきました。人生の最終末を大切にするための医療は、ひとりひとりのサイレント・ブレスを守る医療だと思うのです。

と著者が語るように、治すための医療だけで本当に患者は幸せなのか、人はどのようにして死を受け入れるのか、あるいは受け入れることができないのか。親を介護している家族、あるいは自分自身がまもなくそうした問題に対処せざるを得なくなるがん患者にとっては、重く切実な問題です。小説という形でリアルに説得力を持って訴えてきます。

大学病院の総合診療科から都内三鷹の訪問クリニックへの異動を命じられた水戸倫子は「左遷」かと意気消沈して、それでもクリニックでの勤めを始める。

「私、医者なんて全然信じてないから」と言い放つ末期乳がんの女性ジャーナリスト綾子。彼女はかつてキューブラー・ロスの『死の受容』への五段階、否認と孤立・怒り・取引き・抑うつ・受容を翻訳したことがあり、自分もそういう段階を踏むはずだと考えていた。しかし、「あんなに上手くいくものではなかった」と綾子は言う。

綾子の元には革ジャンを着てヘルメットを持ったスキン・ヘッドの怪しげな男が頻繁に出入りしている。一緒に外泊もしたりする。倫子も家族も不信感を募らせているのだが・・・。
綾子がいよいよ最期かと思われたとき現れたそのスキン・ヘッドの男は、実は臨床宗教師で、キューブラー・ロスの『死の受容』によっても受容できない綾子が、「家族に知られないように変装してくるように」と依頼した住職だったのです。住職との対話によって綾子はおのれの死をなんとか受容しようとする。

綾子の臨終に際して日高住職は「臨終勤行」を執り行います。

仏教の教えには死への苦悩の対処として、まず「死に至る原因と闘う」段階があり、それが無理なら「死を受容する」段階へ移るという。さらにそれも困難なときは臨床宗教師に導いてもらい、「受容できない自分を受容する」ことによって真の心の安寧が得られると説明されていた。

22歳の筋ジストロフィー患者の保は、母子家庭である。介護に疲れた母親が保を捨てて失踪する。しかし、保はその母親を許し、自らの死をも素直に受け入れている。

倫子が研修医時代の病院長であった権堂勲は、消化器癌で著名な外科医であった。わずかでも治る可能性があれば積極的に手術に臨み、多くの医師にとっても最後の砦であった。『諦めないガン治療』等の著作もあったその権堂が、ステージⅣの膵臓がんと診断される。「医者は自分の専門分野のがんになる」というジンクスそのものである。しかも緩和医療も受けない「完全な医療拒否」を宣言し、死亡診断書だけ書けば良いと倫子を指名したのである。周囲は唖然とするが、権堂は意に介さない。

その権堂が「もう少し生きてみようかな」と治療を受けるようになり、いぶかしがる倫子らを連れて、大井競馬場、とげ抜き地蔵、多摩動物公園に出かけて誰かと会おうとする。実は権堂は、過去に自分が手術して20年以上生存している”スーパー長期生存者”を訪ねて、世間に報告することを最期の自分の役割と考えての行動だった。その一部始終は週刊誌に掲載され、権堂はそのインタビューの中で、

医療にはおのずと限界があるが、多くの医師は闘いをやめることを敗北と勘違いしている。ところが、闘うだけではいずれ立ちゆかなくなる瞬間が来る。そのときに求められるのは別の医療だ。死までの残された時間、ゆったりと寄り添うような治療がいかに大切かを私は身をもって知った。

と語る。

大河内教授の「医師には二種類いる。死ぬ患者に関心のある医師と、そうでない医師だ」「死ぬ人をね。愛してあげようよ」「治らないと分かったとたんに患者に関心を失う。しかし放り出すわけにもいかないから、ずるずると中途半端な治療を続けて、結局病院のベッドで苦しめるばかりになる」

すとんと胸に落ちる言葉だと思うのは、私ががん患者だからだろう。私自身も両親と義父を介護した経験がある。自分の父親のときは、肝硬変から肝臓がんになったのだが、介護保険もない時代で私も若くて二十歳台だった。自宅での10年もの介護は、本当に先の見えない長くて暗い時間だった。

老後は自宅での介護が理想だといい、政府もそれを推進しようとしているが、本当にその体制があるのだろうか。著者も香山リカ氏との対談(こちらこちら)で、

「病院死」よりも「在宅死」のほうが正しい、好ましいとしても、家族にとっては負担が大きい。誰もがそれを実行できるわけではないと思うからなんです。

何年間も在宅で看ていると、やはり家族が疲弊しきってしまいます。ご本人やご家族が在宅を望み、それができる環境ならばいいとも思いますが、それ以外の選択肢として、最期のときを笑顔で安らかに過ごせる、信頼できる病院が理想なのかなと思います。

実感としてその通りだと思う。子どもたちには私と同じ思いはさせたくはないから、私は主治医に「先生、膵臓がんが再発・転移したら積極的な治療はしません。経過観察と苦痛を取ってくれるだけで良いですから」と言い続けてきた。そのときが来ないで10年経ってしまったが。

前の記事で紹介した『決められない患者たち』にも書かれていたが、終末期における事前指示書(リビング・ウィル)が必ずしも役にたつとは限らない。「治療効果がないと思われるとき、死期が近いと思われるとき」と書いたって、そこにはグレーソーンが存在する。なにを持って治療効果がないと判断するのか、そもそも治療効果って何か。医師も家族もグレーゾーンの中で決断できず、ずるずるとムダな延命治療をすることになりがちである。

幸いなことに、膵臓がんは最期も「足が速い」。運が良ければベッドで寝たきりになるのは数週間くらいだ。この程度なら、もしかすると在宅介護でもいけるかもしれない。ブログでも実際にそうした膵臓がん患者が何人もいた。

  • いずれ何かで死ぬのなら、がんで死ぬのは決して悪い「何か」ではない。
  • 治りたがる患者が、必ずしも幸福になるとは限らない。

わずかな延命効果しかない抗がん剤にいつまでも「奇跡」を期待することはない。もういちど「やめどき」を考えてみることも大切です。医療に唯一の正解はないのだけども、結局最後は「患者が何を望むのか」ってことです。

追記:ブログでソラさんが治療を断念して家に帰る決断をしたと知る。なかなかできることではないですよね。ソラさんの英断に敬意を賞します。

2017年3月 7日 (火)

インスリンとインフルエンザ

どうやら何年ぶりかでインフルエンザに罹ったようです。息子がB型と診断されて会社を休んでいるのですが、それを移されたのかもしれない。

37.3度の微熱と関節の痛み、咳とたん。私は重症にならなければ病院には行かない。インフルエンザ・ウイルスに効く薬はないから。

気になるのは血糖値。今朝の空腹時血糖値が88mg/dL。低血糖のぎりぎりの線か。先月は71mg/dLで低血糖の症状が出た。インスリンを8単位から6単位に減らしてみた。食後に測ったら212mg/dLだった。

インフルエンザなどの感染症は体にとって大変なストレスになる。感染するとウイルスを退治する働きが起こる。血糖を上げる作用のあるホルモン(インスリン拮抗ホルモン)や炎症性サイトカインが増加し、血糖を下げるホルモンであるインスリンの作用が低下し血糖が上昇する。

  • 主治医に連絡し指示を受ける。医師はインスリン注射を行っている患者が病気のときに、インスリン注射量を調整するようアドバイスすることがある。
  • インスリン注射で治療をしている人は、食事をとれない場合でも注射を中断しない。
  • 少なくとも4時間ごとに血糖自己測定を行い、血糖の変動を記録し医師に伝える。
  • 水分を十分にとり脱水を防ぐ。通常の食事を続けるか、それができない場合は消化の良い食物をとる。なるべく炭水化物を通常量通りとるようにする。
  • 体重を毎日はかる。体重が減っている場合は高血糖が疑われる。
  • 朝晩に体温をはかる。発熱している場合は感染症が疑われる。

インフルエンザや風邪に感染すると「血糖値は上昇する」とされているが、私の場合は下がっている。どうなっているんだろう。

前日の総歩数が16000歩、速歩時間が70分だったから、強度(私としては)の運動による血糖値低下かもしれない。

症状が治まるまで「糖質制限食」は中止だ。それに3食前に自己血糖測定値を測ってみよう。それでインスリンの量を細かく調整する。

明日は鎌倉に相棒と写真撮影に行く予定だったが、仕方なくキャンセル。桜はどこへ行こうかと思案中。

2017年3月 6日 (月)

今日の一冊(68)『決められない患者たち』

決められない患者たち 医療において、患者の意志決定はどのようにされているのか、治療において唯一の正しい答えはあるのだろうか。

治療をすべきかどうか、いくつもの治療法があり、それぞれにリスクとベネフィットがあるとき、患者はどのようにして選択しているのかを、ルポルタージュした本です。

EBMに従うのが最良の医療だといっても、

Image_001

エビデンスが常に「最善」とは限らない。いろいろなバイアスがある。患者の状況も常に変化し、全てが把握できるわけではない。医師の技能もピンからキリである。要するに、医療には多くのグレーゾーンがあり、将来起こり得る状況を予測することは難しい。

患者の価値観もときによって異なる。高血圧の薬を飲むことを拒否する「自然主義派」の患者でも、がんともなると手術や放射線も拒否しないで最善の治療を受けようとする。

患者の多くが、治療法の意志決定に際して「隣人のアドバイス」を最も重視していると統計的には示されている。「〇〇でがんが治った」などもこれに含まれるだろう。これを「可用性バイアス」と言うのだが、その治療法で失敗した多くの患者がいたとしても、成功した一人の患者のニュースが記憶に残り、治療の意志決定に影響する。

インフォームドコンセントと称して、患者に「A,B,Cの抗がん剤のうちどれを選びますか?」と問う腫瘍内科医が有名な国立がん病院にいるという。こんなのは患者の価値観を尊重しているように見えて、医師の役割を投げ捨てているだけではないのか。これは決して「患者中心の医療」ではない。

著者らは、多くのエピソードを説明した上で、賢い患者となるための「結論」として次のように述べている。

  • 医学は不確実な科学だ
  • ある特定の医療行為が患者の人生にどのような影響を与えるかを予測できるはずもない
  • 医療のグレーゾーンでの選択は、単純でもなければ明快でもないことが多い
  • したがって、患者と医師の両方によって、微妙に調整された意志決定がされなければならない
  • ガイドラインという作業マニュアルに従って医療を提供するのが望ましいという医師や専門家がいるが、それは「患者中心の医療」ではなく「システム中心の医療」である
  • どの治療を望むかという点で、最大限主義者と最小限主義者がいる
  • 自然主義指向と新しい革命的な治療法が最善とする技術主義指向の患者がいる
  • 信じる者と疑う者というカテゴリーも存在する
  • 自分がこれらのカテゴリーのどれに当てはまるのかを検討した上で、熟考のプロセスを見直すことをお薦めする
  • 治療による利益よりも害のほうを重視する患者には「隣人のアドバイス」、親戚や友人の経験やメディアやインターネットでの経験談=「可用性バイアス」も指向を決定する最大のファクターになる
  • しかし、可用性バイアスの害を避けるためには、治療のリスクと利益に関する数字、治療必要数と有害必要数といった情報をたくさん集めて、その中に他人のエピソードを落とし込んで考えることが最善である
  • 意志決定において自分がどの程度の自律性と主導権を発揮したいかも考慮しておくべきである。主治医との信頼関係を構築し、それを確かめながらどの程度の主導権を発揮すれば良いのか、軌道修正していくことが理想である

治療必要数:一人の患者の治療効果を得るために、何人の患者に治療をしなければならないかという指標。小さいほどよい。

有害必要数は、100人の治療によって有害症例(副作用や死亡)する患者が1人増えれば、有害必要数=100となる。この数字は大きいほどよい。

これって、大事なことですよね。例えば「ウコンでがんが治った」という情報があったとき、そのためには何人の患者がウコンを摂っていたの?(分母) これを摂った結果症状が悪化した患者は何人いたの? をよく考えるということですね。ウコンは肝機能を悪化させることがあるのです。治った患者は標準治療など、他の治療法はやっていなかったのかも確認しなければいけませんね。

2017年3月 4日 (土)

ムッシュかまやつ氏逝去

ムッシュかまやつさんが膵臓がんで亡くなりました。私の世代には「ザ・スパイダース」のメンバーとして活躍していたことがなつかしい。

「肝臓がんの他に膵臓がんを患っている」「肝臓がんなのか、膵臓がんなのか?」と、週刊誌の記事でもネットでも混乱しています。所属事務所が昨年に「肝臓がん」と発表したので一相混乱に拍車をかけている。

膵臓がんが肝臓に転移したというのが真相。

肝臓などに転移したがん細胞は、もとの原発巣の細胞(この場合は膵臓がん細胞)の性質を持っているので、治療も肝臓がんの抗がん剤ではなく、もとのがん=膵臓がんの治療をします。

これ、がん患者でも間違って理解している方が結構多い。ブログでも「膵臓がんなのに、肝臓がんにもなっちゃった」などという記述を時々見かけます。かまやつ氏本人も事務所も誤解していた節がありますね。トークショーでもコメンテーターがその程度の知識で発言している。

稀には、多重癌といって、同時に別のがんになることもありますが、細胞診をすればわかります。

先月には奥さんががんで亡くなり、後を追うような最期だったとか。ご冥福をお祈りします。

門司港レトロ

小倉での講演を終えて、翌日ぶらりと門司港へ。レトロな門司港駅の駅舎は工事中でその姿を見ることができなかった。

スライドギャラリー『レトロ門司港

門司港には2005年に一度行っている。膵臓がんになる前だなぁ。

そのときの駅舎の写真。

_MG_4734

XT2F3198

こちらの店も昔の場所にあった。小綺麗に店構えが変わったか?

下が2005年当時のもの。

_MG_4702

変わらないものと変化の激しいものが同居している。私の2007年告知後の人生も、大きく変わった部分と変わらなかった部分がある。

港周辺をぶらぶらと。早い時間帯なので観光客もまばら。 ファミマも周囲の景観に配慮している。

XT2F3264

「旧門司三井倶楽部」の雛人形

三井倶楽部 三井倶楽部 三井倶楽部

日本唯一の歩行者用の跳ね橋。ちょうど開くところだった。奥に見えるのが関門橋。

跳ね橋

駅舎工事中の塀はギャラリーになっていた。

門司港ドリームギャラリー

門司港ドリームギャラリー

_MG_4506

門司港

門司港

2017年3月 2日 (木)

森友事件

クロだよね。誰が見たって。安倍晋三を支持するかしないかには関係ない。権力の中枢に近い人物だけが得をするようなのがだめなんだ。韓国の朴大統領はそれで権力停止になっている。

森友幼稚園の運動会での園児の宣誓は「北朝鮮か?」と思うくらいにおどろおどろしい。いったんことあれば国のために命を捨てよという教育勅語の信奉者、自称愛国者が、実は自己の利益だけを考えているのだから、教育勅語をもう一度読みなおした方が良くはないか。これ皮肉だが。

ロッキード事件ならぬ「アッキード事件」と言われだしたが、安倍昭恵さんって不思議なキャラクターだなぁ。

反原発らしきことを言い、沖縄辺野古の基地反対運動を視察し、曾野綾子氏とカンボジアの地雷撤去を見に行ったり、ミャンマーに寺子屋を作る運動に関わり、居酒屋「UZU」を経営するかと思えば、「水にありがとう」の江本勝氏に共鳴したり、大麻の国内栽培を合法化せよという運動に関わったり。

それらが戦前の軍国主義を支えた教育勅語肯定とどのように関わるのか、さっぱり理解できない。

企業でもバカでなければ出世できないし、政治家になろうということが既に一般人の感覚とはかけ離れている国だから、堂々とウソをつけるバカが政治家になってしまう。

善意の謀略

出張で小倉です。新幹線にするか飛行機にするか、小倉は微妙な距離ですね。今回は新幹線にしてゆっくりと本を読み音楽を聞きながらにしました。

寡黙なる巨人

多田富雄さんの『寡黙なる巨人』を読んでいて、おもしろい話に出くわした。

サプレッサーT細胞の発見で世界的に知られる免疫学者 多田富雄さんは、詩人でもあり、能の作者でもある。その多田さんが2001年に脳梗塞に倒れ、右半身不随となった。嚥下障害もあり話すこともできない。多 田さんはそんな悪条件に果敢に挑戦して、出版や原爆をテーマとした新作能「原爆忌」を創作するなどの活動を続けていた。その闘病の姿をNHKが取材してドキュメンタリー「脳梗塞からの再生」を放映したのだが、それを見た視聴者から励ましや激励の電話やメールが殺到したという。健康食品や民間療法を紹介した善意のものや、「免疫を高めるために・・・」と称して世界的な免疫学者に、万病に効くという商品の紹介まであったという。

電話が一段落すると、今度は直接訪問が始まった。突然訪問してきて居間に上がり込み、「この食品は免疫を高める効用がある、その作用は・・・・」という講義を延々と始める。

私は曲がりなりにも免疫学の専門家だ。素人の講義が間違っていることなど分かる。相手が善意でやっているだけに、追い出すわけにもいかず、しゃべれないから苦情を言い立てることも出来ない。ナンセンスな話を延々と聞かされることになる。

私は民間療法を馬鹿にしているわけではない。それを医療に取り入れるために、「補完代替医療学会」という学術団体も組織されている。私も去年、その学会長を務めた。
民間療法を含め、代替医療の治療効果は、個別性が高い。一人に効いたからといって、誰にも応用できるわけではない。ましてや万病に効くなどと信じるわけにはいかない。薬の効果には科学的検証がなされなくてはならない。そうした配慮のない善意の押し売りを、「善意の謀略」というそうだ。(「寡黙なる巨人」-善意の謀略から)

補完代替医療に対する私のスタンスは、患者に対しては「効果が感じられるのなら続ければ」である。しかし、それを提供する側に対しては「エビデンスを示しなさい」だ。

がん患者に対して善意から「○○が効くそうよ」とか「あのひとが○○で治ったらしい。あなたも試してみたら」とか知人から勧められる。そんな話をよく聞く。幸いにして私にはそうした"善意の贈り物"はなかったが、中には入院中のがん患者のベッドに○○の現物を持って来て「試しに飲んでみたら? ダメ元で・・・」などと、不謹慎なことを言う見舞客もあるそうだ。

多くの代替療法は高額である。中には1ヶ月に数十万円もかかるものもある。「高価なものだから効果があるに違いない」と錯覚する。善意の知人は1ヶ月分を自分の小遣いで買って持参してくれるかもしれない。

患者の立場を考えて欲しい。せっかく持って来てくれたのだからと、勧められた○○を飲んだとしよう。そして幸いなことに彼のがんが進行しなかった、 あるいは体調が良くなったとしよう。彼は、自分のがんが良くなったのは病院での治療が効いたのか、あるいは勧められた○○が効いたのか分からなくなる。 ○○を中止することは怖くてできない。死ぬまで○○を飲み続けなければならなくなる。

だから、善意でがん患者に○○の食品、がんに効くという○○を勧めるのであれば、当座飲むだけの量ではなく、一生涯飲み続けることができる量なり、お金を持参するべきである。そうできないのなら、これも「善意の謀略」と言うことができよう。

ある膵臓がん患者の例だが、ブログで紹介した治療法に対して相談を受けたので、善意でいろいろと情報を提供して、積極的に勧めたそうだ。しかし効果がなく、末期状態に。相手から「あなたが勧めた治療法で命を縮めた」と厳しい苦情の電話が来たそうである。

がん患者は「標準医療+α」を探している。特に予後の悪い膵臓がんでは+αを探すことに真剣である。しかし、医療は不確実性に充ちている。万人が納得する唯一の正しい選択肢などない。ましてや同じ膵臓がんでもAさんとBさんでは遺伝子変異の下図も箇所も違う。抗がん剤の副作用も人それぞれなのだから、誰にでも効く代替医療なんぞあるわけがない。

『すい臓がんカフェ』でもそのことは重々留意するように言っているのだが、厳しい現実に対して、ついつい患者の集まりは+α探しの「代替医療相談」の様相を呈する。そこから先には「善意の謀略」が待っているのかもしれない。

« 2017年2月 | トップページ | 2017年4月 »

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

膵臓がんブログ・ランキング

膵臓癌 お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ