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2017年4月18日 (火)

近赤外線免疫療法

ネットで近赤外線を用いてがん細胞を特異的に攻撃する新しい研究の話題が話題です。

アメリカ国立がん研究所(NCI)・国立衛生研究所(NIH)主任研究員の小林久隆氏の研究です。オバマ大統領が一般教書演説で取りあげられた、NIH長官賞を受賞したなどと話題を提供しています。

がん患者の中でも、この研究に大いに期待しているようですが、結論を先に書きますが、私の感想を率直に言えば「実用化は無理」。

近赤外線でがん細胞を殺すことはできません。近赤外線はリモコンに使われるなど、どこにでもあります。しかし、これでがん細胞が殺せるなら、テレビのリモコンは怖くて使えません。

従って、この研究の核心は、

がん細胞だけに特異的に結合する抗体と言われる化学物質に、フタロシアニンとも呼ばれるIR700という染料をくっつけておき、700nmの近赤外線をこれに照射すると「起爆」してがん細胞の表面(細胞膜)を破壊する、というものです。

トロイの木馬方式ですね。起爆スイッチに近赤外線を使うのが新しいだけのことです。

ところが、がん細胞だけに特異的に結合する抗体というものは存在しません。がん細胞がその表面に抗原と呼ばれるものを出していて、抗原と抗体は鍵の鍵穴のようにぴったりと結合するのです。

しかし、がん細胞にある抗原は、多くの正常細胞にもあります。また、がん細胞は利口なので、この抗原を引っ込めて隠すことができます。

抗体は、米国食品医薬品局(FDA)ががん治療に使うものを20数種類認可しており、毒性が少ないことが証明済みなので、現在は、まずこの中から選んで使っています。

と説明されていますが、この抗体ががん細胞”だけ”に結合するのなら、それになんらかの毒薬(抗がん剤)をくっつけてがん細胞に送り込めば良いでしょう。実際DDS(ドラッグ・デリバリー・システム)として開発をしていますが、成功したものはありません。「副作用のない抗がん剤の開発」で取りあげられたP-THPも同じ発想ですね。

これらがいつまで経っても実用化されないのは、がん細胞だけにくっつく抗体が存在しないからです。

つまり、機序や発想は画期的でも、この研究は上手くいきません。ある程度の効果が認められたとしても、統計的有意差が出るかどうか、疑問です。

試験管のなかのがん細胞なんて、台所の洗浄剤をぶっかければ死にます。免疫不全マウスにヒトの腫瘍をくっつけて抗原を発現させたら、そりゃ、マウスの正常細胞には影響なく、ヒト腫瘍の抗原だけに抗体がくっつくに決まっています。

第一相試験は順調に終わったらしいですが、これは安全性の評価だけで近赤外線は照射していません。第二相試験は実施中で、まだ結果は出ていません。

マスコミはこうした話題が好きですが、騒ぎすぎですね。

仮に全て上手くいったとしても(そうあって欲しいとは思いますが)膵臓がんには使えません。なぜなら、ホウ素中性子捕獲療法(BNCT)の熱中性子と同じで、近赤外線は体の深部まで届くとはいっても、せいぜい6mm程度です。”遠赤外線よりは深く”ということですね。

だから臨床試験の対象を頭頸部の扁平上皮がん患者にしたのです。

膵臓がんの手術時に、お腹を開いた状態でこの治療法を適用するということは考えられますが、手術不可あるいは術後で再発した患者には適用できません。

近赤外光線免疫療法は、短時間の近赤外光照射で広範に散らばったがん細胞を消滅することができるので、例えば手術で取りきることが難しかった膵臓癌や悪性中皮腫、卵巣癌の腹膜転移などのがんに対して縮小手術を行って、手術終了前に、近赤外光線免疫療法で取り残し部分のがん細胞を完全に消滅させて治療を終わることも可能であろう。

と言っているとおりです。

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コメント

やすさん。
素人の勝手な推測ですから無視して、外れることを期待してください。

Merrillは良いでしょ。私は3台の中でDP2の使用頻度が一番高いです。しかし、パシャパシャと撮るカメラではない。中判カメラのようにじっくりと構図を考えて撮るカメラですね。
同じ構図をフルサイズ一眼とMerrillで撮ったとき、いつも採用するのはMerrillの方なんです。等倍での解像度はすごいですが、それ故になのか、縮小した絵でもだんぜんフルサイズを超えています。
写真のどこに価値を見出すかは、人それぞれですが、解像感のある画像は捨てがたい。

いいえ、自分はこの治療法が出来上がるまでは生きていこうと思っております
期待しておりますです
で、dp2 merrillを引っ張り出して写真撮っています
中毒性のある解像感ですね!

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