免疫・ワクチン療法

2016年10月29日 (土)

ニンジンジュースと免疫

DP2M5422


リンパ球バンクの藤井さんが興味深い記事をアップしています。

小林真央さんも飲まれるというニンジンジュース

リンパ球バンク(株)のANK自己リンパ球免疫療法がよいのかどうか、よくは知りませんが、社長の藤井さんのブログは興味深く読ませてもらっています。

免疫細胞には動物性タンパク質が必要なのです。肉を食べないとがんと闘うはずの免疫細胞がつくれません。

たまにニンジンジュースだけでがんが治った、元気に生きている人がいますが、消化器内に特殊な「原生動物」がいて、それが野菜ジュースから動物性タンパク質をつくるのだそうです。

つまり、こういう特殊な腸内生物をもっている方の
場合は、野菜ジュースだけを採っていても
腸内で、牛肉の元に近いものがたくさんつくられるのです。
結局、たくさん、肉を食べているのと同じだから
元気に生きられるのです。

ニンジンジュースだけでがんが治った!は確かにいるのでしょうが、その真似をしても自分の体内に特殊な腸内生物がいなければ、免疫力が弱ってがんの方が元気になるだけです。

ゲルソン療法にしても同じです。肉ばかりを食っている欧米人への「肉を減らせ」との提言が、食生活の違う日本人に余計なことを伝えてしまったと謝罪しているそうですから、ゲルソン療法(その亜種の済陽式なども)はよく考えた方がよい。

もっともゲルソン療法はアメリカでは違法なので、国境に近いメキシコに病院を開設しているそうです。

何を食べればよいかは、身体がよく知っているはずです。しかし、最近はそうした”動物としての感覚”を失ってしまった人間が多すぎます。

がんを生きよう―あなたのT細胞が治療の主役です 久留米大学がんワクチンセンター長の伊東恭悟先生も『がんを生きよう―あなたのT細胞が治療の主役です』で、次のように述べています。

がんと食べ物

  • 食事でがんが治ることはありません」しかし、適切な食事によってがん周囲の炎症が改善されるので、T細胞機能が復活してがんの増殖が抑えられる可能性が高くなる
  • がんを抑える食品
    緑茶・キャベツ・生姜・ブロッコリー・ニンニク・大豆・ラズベリー・ブルーベリー・ブラックチョコレート・ターメリック
  • がんを育てる食品
    精製糖・精白小麦粉・精白米など糖質の多い食品
  • 野菜ジュースの大量摂取は体が冷えて血流が悪くなって体調不良の原因になり、T細胞の機能を阻害する。(これなど、だれか小林麻央さんに伝えてあげれば)
  • 厳格すぎる食事療法は、かえってがんの再発の原因となることがある
  • がんは炎症反応を利用して増殖するのだから、慢性炎症を引き起こさない食事が、がんの進行を遅らせる
    • 糖分の過剰摂取を控え、精製食品とトランス脂肪酸を控え、運動と禁煙をする
    • 精製食品を少なくし、運動をしてストレスを少なくすると核内因子カッパBという炎症遺伝子のスイッチを切ることができる
    • 炎症を減らすハーブなど:緑茶・生姜・ターメリック・乳酸菌食品

2016年8月22日 (月)

本庶佑:がんは治る

台風9号が関東を直撃。八王子付近はすごかったらしいが、大田区はそれほどでもない。こんな日はバロックを目一杯音量を上げて効くに限る。

トレバーピノックのバロック名曲集。バッハのオルガン曲、そしてヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「海の嵐」

科学 2016年 07 月号 [雑誌] 岩波の『科学』で本庶佑さんが「がんは治る」を連載している。本庶佑(ほんじょ たすく)さんとは、いま注目を集めているオプジーボ、免疫チェックポイント阻害剤の作用機序となるPD-1抗体を発見した方。4月号からの連載でまだ続いている。

いくつか気になった記事の内容を紹介する。

PD-1抗体は、特定のがんだけに効くのではなく、すべてのがんに効くであろうということです。 多少の有効性の違いはあったとしても、原理的にすべてのがんに効くであろうと思 っています。

免疫チェックポイント阻害剤は膵臓がんには効かない、と言う先生もいますが、断定するのはまだ早いでしょう。

米国国立癌研究所(NCI)が運営する診療試験の登録システム「National Cancer Institute|Clinical Trials」で、「PD-1 Pancreatic Cancer」で検索するといくつかヒットします。ざっくりと検索しただけで、内容までは確認していないが、相当数の臨床試験が登録されていると思われます。期待しましょう。

ほぼ例外なく、抗がん剤の治療では、がんの転移と再発がおこってしまいます。これが大きな課題として残り、それを説明するものとして、がんの幹細胞があるのではないかといった考えもあります。 がん幹細胞があるかどうかはいまだ論争が続いていますが、私の考えでは、この考え方自体が、化学物質の抗がん剤ではがんを完全には治すことができないということを示しているとみえます。個々の抗がん剤ではあれほど効果があるにもかかわらず、がんを根治できないジレンマからでてきた説明ではないかという気がします。

抗がん剤ではがんは治らない。症状の緩和とわずかな延命効果があるだけ。それを受入れない患者もいて、最期の最期まで抗がん剤を打ち続ける。返って寿命を縮めているのだろうが、抗がん剤を打つことが「希望」になってしまっている。免疫チェックポイント阻害剤が膵臓がんにも効果があり、保険適用できるようになれば、こうした馬鹿げた悲劇も少なくなると思われる。

従来の免疫療法の多くは、免疫系ががんによって抑えこまれているのを、もう一度元気にするために、自動車でいうところの“アクセル"をより踏み込む、という努力をしてきました。ところが、どうも免疫系の“アクセル"のほうに問題があるのではなくて、“ブレーキ"が目いっぱいに踏み込まれている状態が免疫寛容であって、その“ブレーキ"をはずすことが重要であるということに気づいたのです。それが、PD-1抗体治療の発見です。

がんペプチドワクチンも”アクセル”を目いっぱいふかすことも目指していたのですが、効果が実証できませんでした。

オプジーボもメラノーマ患者の30%には効果がありません。その原因を追及するとともに、さまざまな方法が研究されているようです。

他のがん腫においては、正確にはわかりませんが、半分くらいの人には効かない可能性があります。現在、多くの研究者がこの問題を認識して、解決に当たろうとしています。すなわち、いわゆる不応答性の人に対して、どのような対処方法があるのか、という問題です。

PD-1抗体治療に加えて、別の種類の免疫系のブレーキをさらに阻害する方法、あるいは、低用量の抗がん剤を投与する、あるいは、低い線量の放射線治療を組み合わせるといった、さまざまな組み合わせによる新しい治療法を多くの研究者が検討しています。

低容量抗がん剤との併用も研究されているのですが、日本では民間の病院において、低容量のオプジーボと抗がん剤の併用が行なわれています。オプジーボが高価だから、保険適用外のがんに対して、低容量で対処しようというわけですが、多くの問題を孕んでいます。

爆発的に研究が進んでいるけど、はたして第4の治療法となるのか「夢」で終わるのか。それにしても、PD-1抗体を発見したのは日本人なのに、日本の研究は出遅れている。

2015年11月 9日 (月)

今日の一冊(21)『がんを告知されたら読む本』

ブログのテーマを変更しました。これまではココログの既製のものでしたが、バナーの写真も含めて「シンプルに」、一から自作してみました。


がんを告知されたら読む本―専門医が、がん患者にこれだけは言っておきたい“がんビオセラクリニック院長の谷川啓司医師の本です。ビオセラクリニックは東京女子医科大学病院の関連施設で、活性化リンパ球療法、樹状細胞療法などの免疫細胞療法、局所・全身温熱療法(ハイパーサーミア)を提供している病院です。

標準治療は女子医科大病院で、代替医療はビオセラクリニックでと、同じ患者に対して連携することで、別の法人ですから「混合診療」ではなくなりますね。そのための施設でしょう。「国に政策があれば、民には対策がある」わけだ。

病院の紹介ページにもあるように、

免疫細胞療法を行っている医療機関によっては、他治療と併用しながらでも縮小していることを、あたかも免疫細胞療法の治療効果のごとく宣伝し紹介していることがあります。しかし上に示した通り、免疫細胞療法単独で、新たな転移を抑えるような効果はよくありますが、出来上がったがんを縮小させることは基本的に難しく、縮小は併用している抗がん剤の効果に大きく左右されています。
免疫細胞療法では“がんの縮小なき延命効果”という現象で、また世界的に評価を受け始めているのです。

と、決して免疫細胞療法でがんが治るとは宣伝していません。あくまでも癌と闘う主役は免疫であり、これらの治療法は免疫の働きを助けて「元気で長生きして、できれば本来の寿命を全うするまで生きる」ことが目的だと述べています。手術ができないがんの場合、抗がん剤で完治することはまずありません。延命効果が期待できるだけです。どれだけの時間延命できるかの鍵は、自分の免疫力をどれだけ高く保つことができるのかにかかっているのです。

この本でもその主旨は貫いています。決して樹状細胞療法を一方的に宣伝して勧める本ではありません。(実は読むまではその手の本かと想像していた)とは言っても、自分の信じている治療法にはバイアスがかかるのはある意味仕方がないでしょう。近藤誠氏も手術・抗がん剤は止めろと言いながら、自分が放射線医だったから放射線治療に対してはある程度勧めています。ま、バイアスをさっ引いて読めばよろしい。

読んでなるほどと思ったことがいくつかあります。

一つは、抗がん剤はがん細胞を殺しているのではなく、がん細胞の分裂をじゃまして増殖を抑え、その間に自分の免疫力ががん細胞を退治する手助けをしているのだということです。抗がん剤の耐性ができるまでに、できるだけ免疫をあげて丸剤棒の数を減らすことが、長生きできる鍵です。主役はあくまでも「免疫」なのです。

抗がん剤の効果が無くなったら、治療を止めることで免疫力が上がり、返って長生きできることも多いのです。

代替医療・サプリメントに対する考えも、私のこれまで書いてきたことと共通しています。確実にプラスになるかどうか分からなくても、有害でなく(そして高価でなければ)今やっているの治療に悪影響がないのなら、それを利用するのは患者の権利です。むしろ能動的に前向きな姿勢が患者自身の免疫力を高め、治療の補助をし、がんに対して抑制的に働くはずです。だから、副作用がなく「有害でない」確証があれば可能は範囲で一つでも多く利用すれば良いのです。
(できれば小規模であっても、ヒトに対するエビデンスがある方が望ましいのは言うまでもない。ただ、代替医療だから当然「効果あり」と「効果なし」の研究が混在している)

温熱療法は免疫療法

がん細胞を含んだ部分を暖めると、がん細胞の表面に変化が生じます。「私はがん細胞ですよ」という目印=抗原が表面に現れてくることがあるのです。樹状細胞などの免疫細胞ががん細胞を見つけやすくなるのです。正常組織は機会のスイッチを切るとすぐに元の温度に戻りますが、がん細胞は1~2日ほど温度の高い状態が続きます。その間に免疫細胞が働いて効果が出るものと考えられています。

また、全身温熱療法では血液中のリンパ球がリンパ管の中に移動して、免疫系からの情報を受け取りやすくなります。(実は運動によってもリンパ球が移動して、同じ効果あると言われている)攻撃モードになりやすくなるのです。

温熱療法によって抗原を提示しやすくなったがん細胞を攻撃するのは免疫細胞です。ここでも自分の免疫力を上げることが重要になります。

そのためには第一に、心理的ストレスをなるべくなくし、ポジティブ・シンキングになること。がんのことは考えないことですね。考えないことが難しければ、一番最後に考える。そのためには楽しいこと、やりたいことをたくさん作ることですね。認知症の方は自分ががんであることを忘れてしまっているから、治療成績が良く生存率が高いという研究もあるくらいです。

がんのことは忘れましょう。最悪なのは四六時中がんのことで頭がいっぱいで、「どうしよう、どうしよう」と前向きではない考えに囚われていることです。そういうときには瞑想やマインドフルネスが効果的です。

「治りたがる患者は、治ることは希である。」

ぜひ読みなさいとは言いませんが、免疫療法や温熱療法に興味があれば、手に取ってみることは良いかも。でもビオセラクリニックのサイトに同じようなことが書かれていますから、そちらを読まれるのもいいかもしれません。

2015年5月19日 (火)

Eテレ:登場!がん治療を変える新薬

17日に放映されたEテレ サイエンスZERO『登場!がん治療を変える新薬 免疫のブレーキを外せ』を録画してあって昨夜観ました。

免疫チェックポイント阻害剤「ニボルマブ」が国内でもメラノーマに対して承認されて、新しい免疫療法として話題になっている。4月にフィラデルフィアで開催されたAACR2015でも免疫チェックポイント阻害剤に関する発表が相次いでいる。

20150518_22_24_10

T細胞はがん細胞を見つけると、パーフォリンという物質を出して攻撃し、破壊する。しかし、がん細胞もその攻撃から逃れるために、自分の細胞表面にPD-L1と呼ばれるタンパク質を出し、T細胞のPD-1と結びつく。PD-1はいわば免疫のブレーキ。ブレーキがかかるとT細胞はがん細胞を攻撃できなくなる。そこでこのPD-1に「ふた」をして、がん細胞のPD-L1とくっつけないようにするのが今回の免疫チェックポイント阻害剤です。

ニボルマブはこの結合に割って入り、T細胞のブレーキを解除して、がん細胞への攻撃を再開させる作用がある。国内での臨床試験(治験)の35例では、がんが小さくなった割合は23%で、一時的な縮小を含めると半数を超えたという。

効果が長期間持続することも特徴です。通常の抗がん剤では、いずれがん細胞が耐性を持つようになって効かなくなりますが、そうしたことがありません。

20150518_22_37_32

ただ、すべての患者に効果があるわけではなく、2~3割の患者にしか効果がない。

このPD-1という分子を発見したのは日本人です。京都大学の本庶佑名誉教授らの研究チームが発見したのは1992年です。しかし、大手の製薬企業はどこも相手にしてくれなかった。「免疫なんて効果があるはずがない」と思っていたのです。

20150518_22_36_26

ただ、小野薬品工業だけが共同開発に乗り出したのです。詳しいことは日経新聞「15年間諦めなかった小野薬品」に書かれています。

画期的な新薬には違いないですが、過度の期待はできません。PD-1以外にも免疫抑制機構はあるのだし、がん細胞は利口ですからそれを利用することもあるでしょう。正常な細胞にも免疫抑制が解除されて、自己免疫疾患が生じるはずです。番組でもそれらに少し触れられていました。膵臓がんでも早く臨床試験をやってもらいたいと思います。

番組の影響で、巷の「免疫クリニック」へも問い合わせが殺到しているようです。しかし「免疫療法」と言っても玉石混淆。科学的の証明されたものはほとんどありません。効果もはっきりしないのに自由診療で高額な費用を請求するような免疫療法には近づかない方が無難でしょう。研究段階だというのなら、高額な費用を患者に負担させるのではなく、多くても実費程度にしてあとは施設が負担すべきではないでしょうか。

2015年3月 2日 (月)

がんワクチンの話題

膵臓がんのペプチドワクチン「エルパモチド」の第三相臨床試験で有意差が出なかったことで、急速に期待感がしぼんでしまったがんペプチドワクチン。最近はその情報にもあまり接することがなくなっている。プレジデントOnLlineに『がんワクチンは個別型から汎用型へ』と題した記事が載り、最近の事情を紹介している。

がんワクチンは個別型から汎用型へ。決定版は「再生医療」か

現在でも、膵臓がんのワクチンは国内で2つ(OCV-C01とOCV-101)が、海外(ノルウェー)でTelovocの臨床試験が進んでいる。このうちOCV-C01とTelovocは第三相試験である。エルパモチドも胆道がんの臨床試験が進行中である。

Img_58

オンコセラピー社はエルパモチドと新たに開発したがん特有抗原「オンコアンチゲン」など複数の成分をブレンドした「カクテルワクチン」の臨床試験を進めている。膵臓がんを対象とした「OCV-C01」は第III相試験が進行中。昨年の中間解析では大きな副作用は認められず、安全性が確認されている。あとは朗報を待つばかりだ。

私としては、京都大学再生医科学研究所の河本教授らの、iPS細胞から大量の元気なT細胞を誘導するという研究に注目している。

理研、iPS細胞技術で同じがん抗原のT細胞を大量に分化誘導することに成功

免疫クリニックが自由診療で行っている、リンパ球を体外で増殖させる「活性化自己リンパ球療法」や樹状細胞に自身のがん細胞を体外で取り込ませる「樹状細胞療法」などがあるが、これらは科学的に効果があると証明されているものではない。

卵巣癌で亡くなった米原万里さんの『打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)』には「癌治療本を我が身を以て検証」という章があり、「活性化自己リンパ球療法」の体験談を辛らつに書いている。簡単な内容の紹介はこのブログ「代替療法について考える(1)」でも書いているが、治療費は高いけどこの程度の効果である。担当した医師がリンパ球療法よりも手術を薦めるのは、ある意味では良心的とも言えるし、自信のなさの表れとも言えようか。

2014年10月23日 (木)

大阪大学:WT1ペプチド免疫療法エントリー再開

大阪大学:WT1ペプチドを用いたガンの免疫療法

永らくペプチドワクチン臨床試験へのエントリーを停止していましたが、再開したようです。
膵臓がんもしっかりと対象になっています。

新着ニュース
    WT1ペプチドワクチンの臨床試験の新規エントリーを再開しました。

再開となる対象疾患は下記の通りです。
(血液疾患) 急性白血病 ・ 骨髄異形成症候群
(固形腫瘍) 膵臓癌 ・ 胸腺癌・胸腺腫
お問い合わせは臨床試験事務局までお願いします。
              (2014年10月)

2014年10月 1日 (水)

がんペプチドワクチン臨床研究:和歌山医大以外でも

「市民のためのがんペプチドワクチンの会」公式ブログ10月1日付によると、

①従来、HLAの型が不一致で臨床研究に参加できなかった患者さんも救う
HLAの型が不一致であるなど、現行の臨床研究の適格基準に合わない患者さんに対するがんペプチドワクチン療法の探索的臨床試験を多施設共同の試験として展開し、より幅広い患者さんに向けたペプチドワクチン治療の開発に取り組というのが、今回の画期的な試みで、私たちが市民支援型の臨床研究を押し進めた大きな意義の一つです。具体的には、HLA-A24陽性の患者さん(日本人の60%)のみならず、HLA-A02陽性の患者さんも臨床試験に参加頂けます(日本人の80%)。

全国多施設共同研究を進める
今回は和歌山県立医科大学において臨床研究を行っているため、治療を受けたい患者さんは和歌山県立医科大学まで通わなければなりません。これではこの臨床研究に参加できる患者さんは限られてしまいます。
そこで、全国の施設での臨床研究を行い、近くの施設に通えるようにすると共に、研究のレベルアップを図るために、全国多施設共同研究を開始いたしました。具体的には、全国を北海道・東北・関東・中部・近畿・中国/四国・九州のブロックに分け、各ブロックに拠点病院を設立します。

現在までの共同研究開始状況
膵臓がん
 手稲渓仁会病院(北海道)
 神奈川県立がんセンター
 岡山大学

・食道がん
 東北大学
 川崎医科大学臨床腫瘍学
 神奈川がんセンター

ということで、多施設共同研究が始まるようです。参加施設もこれから増えると期待しています。

しかし、寄付金が目標に達していないため”会”として借入金で凌いでいるそうです。

がんペプチドワクチンも数年前の大きすぎた期待感から、臨床試験の結果が芳しくなかったため、最近は下火になっている気がします。しかし、「もう打つ手がありません」と言われた患者にとっては、残された唯一の希望でもあります。一人1万円の寄付が1000人あれば良いのですがね・・・。

寄付のご案内などはこちらです。

Imageyositakapc004

2014年9月 9日 (火)

罪作りな「安保免疫学」

首ひねる独自マッサージ後乳児死亡 NPO代表任意聴取
      朝日新聞デジタル 9月6日(土)13時14分配信

大阪市内で今年6月、乳幼児向けのマッサージを提唱しているNPO法人の代表から施術を受けた乳児が、施術中に意識不明になり、死亡していたことが捜査関係者への取材でわかった。大阪府警は遺体を司法解剖し、代表らから任意で事情を聴くなどして死亡の経緯を慎重に調べている。

捜査関係者によると、6月2日、生後4カ月の男児が大阪市淀川区の事務所内で代表の女性からマッサージを受けた。女性は男児を床にうつぶせに寝かせて首をひねったり、ひざの上に乗せて首をもんだりしていたが、施術中に男児の呼吸が止まり、スタッフが119番通報したという。病院に救急搬送されたが、6日後の同8日に死亡した。

府警は病院から連絡を受けて捜査を開始。遺体を司法解剖した結果、死因は脳に酸素が十分に行き渡らなくなる低酸素脳症による多臓器不全だったという。

NPO法人の理事の男性は取材に対し、昨年も代表の施術を受けた幼児が死亡したことを明らかにしたうえで、「亡くなったのは不幸なことだが、2件とも施術と死亡との因果関係はないと考えている。警察の捜査に協力したい」と話した。

子育ての免疫学 このNPO法人の代表者とは、子育て支援ひろば「キッズスタディオン」の姫川裕里氏ですね。

免疫学者の安保徹先生との出会いから、免疫力をつけることの裏付け情報を得て社会に情報発信しよう!と一念発起してNPO法人としての活動をはじめたことが、このようにたくさんの人の応援がいただけるようになり、感慨無量です。

と、ご自身のブログに書いています。(いちいち突っ込みどころ満載のブログです)また、安保徹氏とのコラボの講演会も何度か開催しています。安保氏の監修・編集で『子育ての免疫学』という本も出しているようです。NPO法人の設立も安保氏が後押ししたそうな。

その乳幼児向けのマッサージの様子ですが、施術を受けたママさんが写真付きで紹介しているブログがありました。

Fc2blog_20130814221713686

この赤ちゃんは絶叫しているそうです。これはやり過ぎですね。生後4ヶ月のまだ首の据わらない乳児なら本当に危険です。

出産時に臍帯が腕に、どのように巻き付いてたのかが分かるのだそうです。
とにかく不思議です。
巻き付いてた通りに、
一旦腕の形を戻さないと、治らないそうです。。。
すごい形に曲がってた様です。
ぼく、言葉が喋れたらなんて言うかな
やめてーー
もぅ無理ーーー
かも。。。

子宮内での様子が赤ん坊の体に触れるだけで分かるという、何とも非科学的なことをのたまう先生ですね。それを信じるB層IQレベルの方が簡単に騙されるのです。しょうもないおばさんの戯言に、”安保免疫学”という権威付をすることで商売繁盛という、よくある詐欺商法です。

暖めるのも、対面だっこも悪くはないですよ。しかし、暖めれば免疫力がアップしてがんが治る、対面だっこで免疫力がアップしてアトピーになることがない、こうなるとエセ科学です。免疫力はまか不思議な力で、宇宙の神秘以上の神秘、人間の神秘の最たるものです。がん細胞はこの免疫力を味方に付けて増殖することもあるのです。暖めれば治るなどという単純なものではない。確かに人間には免疫力、自然治癒力が備わっていますが、こうすればああなる、という単純な因果関係ではありません。人間の精神と身体は「複雑系」ですから。

安保先生、最近はがんの分野でお見かけしないと思っていたら、こんな分野でご活躍だったんだ。

2014年4月 9日 (水)

ミクロの大冒険

録画を取ってあったNHKスペシャル『人体 ミクロの大冒険』をやっと観終わりました。CGをふんだんに使った興味深い内容でした。1回目。遺伝子は受精の瞬間に決まるが、細胞は周囲の環境を察知しながら働かせる遺伝子を選択しているのであり、これはまさにエピジェネティクスの考え方です。2回目はシステムとしての人体内で情報伝達をになっているホルモンの役割でした。3回目の最後が特に印象に残りました。「老い」とは、「死」とはどういうことなのか。なぜヒトはがんになるのか。それを免疫系の反乱として解明します。

「老化」とは「免疫細胞の暴走」として理解することができます。T細胞をはじめとする免疫細胞が本来の働きをしなくなるのです。
Imageyositakapc035
免疫システムの司令塔であるT細胞が判断能力を失い、マクロファージは正常な細胞を攻撃し、異物を攻撃するはずの炎症性サイトカインの不必要な放出が、動脈硬化や糖尿病の原因だったのです。
Imageyositakapc014 Imageyositakapc021
これらの老化に伴うとされてきた多くの病気の共通の原因として「免疫系の反乱」があると分かってきたのです。

では、どうして免疫細胞の司令塔であるT細胞はなぜ判断能力を失って暴走するのか。骨髄で作られたT細胞は、胸腺という小さな組織に送られて、そこで司令官となるための教育を受けます。「非自己」である異物や微生物を正しく識別して、「自己」である正常な細胞は攻撃しないための教育です。そして卒業試験に合格するのはわずか5%です。95%は役立たずとして破壊されるのです。非常にムダの多い仕組みですが、こうして免疫システムが正しく働くようになっているのです。

ところが、この胸腺は思春期を過ぎると退縮してほとんどなくなるのです。
Imageyositakapc048
その結果、20歳ごろから後は、新しいT細胞はほとんど作られなります。T細胞は非常に寿命の長い細胞ですが、それでも70歳ごろになると、正常な判断力を持ったT細胞は非常に少なくなるのです。
Imageyositakapc052
こうして老化が進むのです。さまざまな病気に罹りやすくなります。しかし、私たちは残ったT細胞でやりくりしていくしかないのです。

希望はあります。山中教授の発見したiPS細胞を使うと人為的に新しいT細胞を大量に作ることができるのです。将来的には成人病、生活習慣病と言われるほとんどの病気が、たったひとつの方法、人工T細胞を補充することで治療が可能になるかもしれません。

現状でも、運動をすることで免疫力を高めることができるのです。わずか5分の強い運動だけでも、免疫細胞が活発に動くことが分かっています。これは筋肉から分泌される物質が免疫細胞を活発化させるためです。
Imageyositakapc060  

続きを読む "ミクロの大冒険" »

2013年12月20日 (金)

【衝撃】がんペプチドワクチン、再び有効性示せず

「サイエンス」誌の、今年の最重要研究成果に「がん免疫療法」が選ばれたとのニュースがあった同じ日に、がっかりする否定的なニュースです。

オンコセラピー・サイエンス社のC01を用いたがんペプチドカクテルワクチン第三相診療試験が中止勧告を受けたようです。

臨床試験も中止です。膵臓がん患者には衝撃です。

20131220_01_2 OTS102(エルパモチド)第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(PEGASUS-PC Study)も2012年2月に有効性が確認できず、と発表されて、それに変わるものとしてCOMPETE-PC Studyが期待されたのだが、第Ⅲ相試験でこれも有意差がないとなった。

たぶんこれでがんペプチドワクチンへの期待は一挙にしぼんでしまうだろう。私もエルパモチドの例があるから大して期待はしていなかったが、もしかしたら? という思いはあった。膵臓がん患者としては誠に残念です。

今後は術後再発予防を目的とするとのことですが、ペプチドワクチンは本来そうした目的に適しているのだと、中村教授が述べていました。そちらに期待したいと思います。

大々的に効果を報道してきたNHK等のマスコミの対応が見物だ。

より以前の記事一覧

がんの本-リンク

  • がん患者が選んだがんの本

サイト内検索

膵臓がんブログ・ランキング

膵臓癌 お勧めサイト

アマゾン:商品検索

がんの本「わたしの一押し」

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想
無料ブログはココログ