補完代替医療

2017年9月18日 (月)

代替医療を考えるなら、今でも『がんに効く生活』

標準医療だけでは皆さん不安になります。そこで代替医療を探すことになるのですが、本屋に行けばたくさんのがん関係の本が並んでいます。たまたま棚にある本を選んでしまいがちですが、本当にそれがあなたのがんに役立つのでしょうか。

代替医療(統合医療)を考えるのなら、シュレベールの『がんに効く生活』はぜひ手にとって欲しいと思います。

シュレベールとは

シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

内容紹介(Amazon)
31歳のとき脳腫瘍が発見された精神科医の著者。自分の命の期限を知ってしまった著者は、「生きる」ことに望みをかける。摘出手術、化学療法を受けながら、がんのメカニズムを研究し、食事・心のケア・運動による「がん克服」メニューを導き出す。自らその方法を実践した著者は、がん発見から15年、いまも現役医師として活躍している。
本書では、がんのメカニズムを解きながら、がんを育てない、たとえがんになっても成長させない、がん治療に効果的な体質にする生活術を具体的に紹介していく。さらに、脳腫瘍により、著者の人生も人生観も大きく変っていった。そのエッセイも随所に盛り込まれている。
がんと闘っている人、治癒してもなかなか不安が消えない人、身近な人ががんと告知された人、そして健康を維持したい人への、がん体験記と克服法の両方を併せ持つ新しい「抗がん(anticancer)」本。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

目次

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私も「がんに効く生活」を実践してきた

この本に書かれている「がんに効く生活」のほとんどが、私が「@私のがん攻略法」に書いて実行していることと共通しています。この方向でよいのだと、更に確信を与えてくれる著作でした。巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。

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2017年9月13日 (水)

がんとの闘いは総合戦

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がんの術後抗がん剤治療と、食事と運動の影響を調べた研究がある。

大腸がん(結腸がんの3期)で手術を受けた患者さんを対象に、術後補助化学療法の効果を調べた臨床試験である(06年)。「5-FU(一般名フルオロウラシル)+ロイコボリン(ホリナートカルシウム)」群と、「5-FU+ロイコボリン+イリノテカン(商品名カンプト/トポテシン)」群を比較している。

その結果、イリノテカンを加えても生存期間は延びず、副作用が増加することが明らかになった。この3剤併用療法は進行再発大腸がんの治療では有効だが、術後治療には適していなかったのだ。そしてこの臨床試験が興味深いのは、食事や運動の影響についても調べている点だ。

食事に関しては、補助化学療法中と6カ月後の食事内容について質問に答えてもらい、その影響を調べている。野菜、果物、鶏肉、魚などの「理想食」と、牛肉、脂肪、精製穀類、デザートなどの「欧米食」を、どのくらい摂取しているかが、生存期間にどう影響するかを調べた。

結論は、欧米食を多くとるほど生存期間が短くなるというものだった。欧米食を食べる程度で4段階に分けると、最も欧米食が少ない群に比べ、最も欧米食の多い群は、再発のリスクが3.25倍に増加していた。

運動に関しては、1週間に3MET時間(軽いウォーキングなら1時間)以下の運動しかしない人に比べ、18MET時間(同6時間)以上運動する人は、再発のリスクが45~49パーセント低下していた。

抗がん剤は、期待するほど大きな効果を発揮しないかもしれません。一方、適切な栄養や運動は、ときに抗がん剤治療に匹敵するほど大きな影響を示すことがあります。がんの患者さんは、そのことをぜひ知っておいてほしいと思いますね。

1週間に6時間のウォーキングを継続することは少し難しいかもしれないが、室内でもスクワットや腕立て伏せを加えればそれほど困難なことではない。

がん患者は代替医療に「魔法の弾丸」を求めようとするが、近代医学に対しても「魔法の弾丸」を求めようとしているかのようだ。今回のすい臓がんへのタルセバ承認についてもそのような傾向があると思う。

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この図を見ると、野菜と果物をたくさん摂って、適当な運動をすることの重要さがよく分かる。食事と運動は抗がん剤の効果をしのぐこともあるのだ。

また、“がんを防ぐ食事” と“がん療養中の患者さんの食事” を分けて考えることもない。がんの増殖メカニズムは一緒なのだから、がんを防ぐ食事は、既にがん山房を持った患者にも有効なはずである。

がんのサバイバー(がん治療経験者)を対象にした研究は、あまりありませんが、がん予防に関するエビデンスは非常に多いのです。有効に活用すれば良い。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がん予防のエビデンスは、がん患者の治療法にも採用してよいのである。緑茶のEDCGにがん予防効果があるのなら、がん患者は治療効果を期待しても良いのだから、私は毎日飲んでいる。

がん患者に治って欲しいから何度でも紹介するが、『がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」』はこれと同じことがさらに詳細に紹介されている。シュレベールは「がんを作らない、育てない、あきらめない」ことが大切であり、そのために必要なことをもらさず書いている。

ともすれば一つの食材に「魔法の弾丸」を期待して取り入れようとするが、そんなものがあればとっくに治療に採用されている。

食事と運動の目的は「がんを作らない、育てない」体内環境をつくることにある。現在医学でがん治療をするのは、あくまでも補助手段であって、抗がん剤で小さくなったがん細胞を寛解にまで持っていくのは、患者の体内環境、免疫の働きである。

がん治療の目的でサプリメントを摂ることはムダである。サプリメントは食事で不足しがちな栄養素を補充するためには利用しても良いだろう。

私マルチビタミンを摂っているのは、がん患者比はビタミンが不足しがちであることと、日本人には圧倒的に不足しているビタミンDの補給が目的である。ビタミンDの抗がん作用については過去に何度も書いている。

サプリメントの膵臓がんに関しての情報を探すのであれば、『「健康食品」の安全性・有効性情報』に次のようなキーワードでサイト内を検索すれば良い。

その結果をこちらにリンクしておく。

膵臓がんでは、

  • 緑茶(カテキン)
  • 魚油(EPA、DHA)
  • シイタケ
    ーアガリクスよりよほどましー
  • メラトニン
  • ビタミンD:多くても少なすぎてもリスクが高くなる。これについては「米国統合医療ノート」を参照してください。
  • ウコン(クルクミン)

に少し期待が持てる。

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2017年9月 4日 (月)

なぜ患者は夢の治療法に惹かれるのか?

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パンキャン・ジャパン静岡支部の石森恵美さんのインタビュー記事がBuzzFeedに掲載されています。

「夢の治療法」「副作用なし」 怪しい免疫療法になぜ患者は惹かれるのか?

末期の膵臓がんを告知されたご主人は、主治医の対応に不満を募らせます。

「若い主治医だったのですが、告知の場所も個室ではなくナースステーションの片隅で、『手術はできない状態です。月単位の命だと考えてください』と重大なことを機械的に告げられたと感じました。ショックを受けている私たち夫婦に何の配慮もなく、サクサクと用件を済ませるという印象で、特に夫は不信感を持ったようでした」
主治医を替えてほしいとお願いしたが、「チーム医療をしますから」とやんわり断られた。結局、夫はたった5ヶ月となった闘病中、最期まで主治医と信頼関係を築くことはなかった。
「『外泊していいですか?』と尋ねたら、『外泊して何が楽しいんですかね』と言われるなど主治医の一言一言に傷つけられました。主治医への不信感も、私たちが代替医療に向かった大きな要因の一つだと思います」

そして、標準治療だけでは心配だからと、免疫細胞療法を「外車を一台買ったと思えば良い」と、石森さんはご主人に勧めます。

効果はなかったわけですが、しかし、後悔はしていないと言います。それは、

夫は免疫療法のクリニックに行くのを楽しみにして、帰る時はいつもニコニコしていました。こうした怪しい免疫療法を批判する医師は、『そんなお金があったら世界一周旅行でもしたらいい』とよくおっしゃるのですが、患者や家族が求めているのは、普段と変わらない日常が続くこと。免疫クリニックは医師から受付の女性まで皆、夫の日常を支えるという姿勢を見せてくれました。

からです。

「代替療法をやる金があったら旅行にでも行った方が良い」はよく聞かれる言葉ですが、標準治療では統計にしたがって自分の残された時間が分かっているのですから、「上乗せの治療法」は何かないのか? このまま死んでいくのはなんとしても納得できない。もう少し普通の生活がしたいという患者の思いとはかけ離れています。

患者が標準治療以外の代替療法を使いたいと思うのは、科学的に証明されているからではなく、西洋医学=標準治療では手が届かない身体の不調にも対応して欲しいと願い、そして「あわよくば治りたい」と考えるからです。

大規模臨床試験で示されたエビデンスが臨床の現場にそのまま反映されているわけではない。セカンドラインの抗がん剤治療には明確なエビデンスが乏しくても実臨床では使われている。高齢者に対する抗がん剤治療をどのように考えるべきかも最近話題になっている。

西洋医学にも科学では証明しきれていない部分が多々存在し、それを無視して「エビデンスのない治療法は人体実験だ」と言ったって、それでは実際の治療の現場は回らないし、救える命も救えないだろう。

確かに金儲けの悪徳クリニックは多数存在する。その被害だけを強調するが、そこに追いやっているのは「インフォームドコンセント」とカタカナで強調される「責任を取らない、訴えられないための説明手続き」に安易に乗っかって、患者の生活や価値観にまで思い至らないがん拠点病院の医師の責任が大きい。

正しい医学知識を患者に教えさえすれば解決する問題ではない。確かに人間をある程度は標準化してモノとみなし、標準的な治療法を確立することは可能であり、医学はそうして多くの人命を救ってきた。しかし、個別の患者はモノではなく、「わたしの病気にはこのエビデンスは効果があるのでしょうか?」を知りたいし、私に効果がある治療を求めているのである。

多くの末期がんの患者は、自分たちが末期であることで、今までの病院から見放されてしまうことをもっとも恐れている。関係があり続けるということが彼らにとっての希望となるのだ。

医学を目の前の患者にインストールすることではなく、標準化が不可能なそれぞれの患者の人生の文脈に、医学という知をどう混ぜ合わせていくか、医療者の持つ専門知と患者の人生の間にどのような再現性のない知を立ち上げ、実践し続けていくかである。

医療者の仕事の根幹は、モノとしての人間を徹底的に標準化することで体系づけられた医学という知を、それぞれの患者の人生にもっとも望ましい形でつなぎ合わせ、オーダーメイドの新しい知を患者と共に作り出していくことにある。そこで作り上げられる知は、標準化されることもなければ、再現されることもないが、人間の営みが本来そのような再現性のないものである以上、医療という知もまた再現性のなさをはらむ。

医療者の仕事は医学を医療に変換することである。

磯野真穂『医療者が語る答えなき世界』より引用)

患者をモノとしか考えない標準治療至上主義では、永遠にがん患者からは信頼されることはないだろう。

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2017年9月 3日 (日)

統合医療を考えるなら、『がんに効く生活』を

海外 癌医療情報リファレンス」の7月28日付でこんな記事が載っていました。M.D.アンダーソンがんセンターで、7月22日に次のような教育セミナーが開催されたという記事です。

M.D.アンダーソンがんセンターがシュレベール氏の講演をおこなった際の案内にはこう記されています。

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターは、ベストセラー『がんに効く生活』の著者ダヴィド・S.シュレベール医師(医学博士)を迎え、教育セミナーを7月22日(水)に開催。

S.シュレベール医師は著書を引用し、日々の生活やがん予防に関する人々の考え方に変化を与え、次の事柄について実践の方法を分かちあう。

・ 科学的根拠にもとづく抗がん食を取り入れる
・ ストレスがいかにがんに影響するかを認識する
・ 運動、ヨガ、瞑想のメリットを享受する
・ 環境有害物質への曝露を最小限に抑える
・ 従来の健康法と代替的な健康法のバランスをとる

S. シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

シュレベール博士の『がんに効く生活』は、NHK出版から2009年の2月に翻訳されて出版されています。内容の多くは現時点でも大いに参考になるものです。

がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」 がんに効く生活―克服した医師の自分でできる「統合医療」
ダヴィド・S. シュレベール David Servan Schreiber

日本放送出版協会  2009-02
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  1. 統計や数字でわからない、本当の「余命」
  2. がんの弱点を知る
  3. がんに効く生活―環境を知る
  4. がんに効く生活―効果のある食物
  5. がんに効く生活―心の力
  6. がんに効く生活―運動
  7. まとめ―(がんを)作らない、育てない、あきらめない

からだの見張り番である免疫細胞をどのように活性化するか、がんを防ぐこころのあり方の秘訣、死の恐怖を乗り越える秘訣。著者自身の実体験に基づく内容ですから説得力があります。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

日本でも同様でしょう。多くの医者は代替療法なんて興味もないし、知識もない。

現代医学のエビデンス至上主義では確かに断言できるようなデータは存在しないかもしれません。でも、一方で同じ病期で、同じような治療をしても再発する人もいれば再発しない人もいる。そうした結果になるには何かが違うはずです。<エビデンスがない=効果がない>ではないのです。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。間違いなく。

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2017年8月16日 (水)

今日の一冊(77)『免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ』

『すい臓がんカフェ』でも何人かの方から質問されましたが、ケトン食に挑戦しているがん患者も多いことと思います。

ケトン食については、以前の記事『今日の一冊(61)「ケトン食ががんを消す」』でも取りあげている古川 健司さんの著作『ケトン食ががんを消す』がベストセラーになっています。

ケトン食=スーパー糖質制限食ですが、私自身はずっと糖質制限を続けてきました。その経験からも、私がもし再発・転移してしまった場合には、低用量抗がん剤治療とケトン食を試すことになろうと思います。(どちらもエビデンスはないが、さりとて再発した膵癌に対しては一切のエビデンスはありませんので)

まだ症例研究の段階ですので、過大な期待は禁物ですが、希望の持てる治療法だと受け止めています。しかし、患者が個人で行うには敷居が高いですね。(セミナーがある)

さまざまな代替療法を、根拠を示して紹介しているのも特徴です。

  • 「免疫栄養ケトン食」は短期決戦。3ヶ月以上続けてはいけない
  • EPAには、がん細胞が増殖するために、自ら血管を増やす「血管新生」を抑える働きがあり、転移を起こしにくくしたり、がん細胞のアポトーシス(自然死)を誘導したりする効果があることも確認されました。  ようするに、EPAには、がん細胞の炎症反応(CRP値)を抑制し、悪液質を改善させる力があるだけでなく、がんの進行をブロックする働きもある。
  • 体内の深部にあるすい臓のがんは、固い繊維芽細胞で覆われており、これによってがん細胞への抗がん剤や免疫細胞の侵入がブロックされたりするのです。すい臓がんの治療が難しいとされる理由です。
    しかし、この繊維芽細胞の質を変えることで、すい臓がんと言えども、抗がん剤や免疫細胞の侵入をスムーズにすることが可能になります。たとえば、ハイパーサーミア(局所温熱療法。後述)には、すい臓がん細胞周辺の繊維芽細胞同士の結合を緩めて隙間を生じさせる働きがあります。
  • ゲルソン療法(その亜流が済陽高穂らの食事療法)に限って言えば、抗がん剤がまだ開発されていない戦前に産声を上げたものです。
  • ニンジンニュースは糖質が多く含まれている。ケトン食とは真逆です。(ニンジンジュースとケトン食を併用するのは愚かな試みですね)
  • 現在のゲルソン療法でも、抗がん剤治療後のすい臓がんの患者さんには、ゲルソン療法そのものを中止しています。
    (私も何度も記事で注意しているが、いまだに済陽式を信じている患者がいる)
  • がんができたら肉を食いなさい。
  • ビタミンDは一日5000IU以上が必要。
  • 私の患者の中には、TS-1との併用ですい臓がんの進行がほぼストップしている患者が数人います。
  • 牛蒡子のサプリメントとリポトール(スタチン製剤)を勧めた余命1ヶ月と宣告されたすい臓がん患者では、腹水が消え、2年経った現在でも元気です

のようなことが書かれています。

話しが脱線しますが、一日にニンジンを3本以上摂ると、βカロチンを取り過ぎて、肺がんのリスクが高くなります。がん情報サービスには、

1980年代に入って開始された、βーカロテンによるがんの化学予防の効果を検証する無作為化比較試験については、これまでに少なくとも4つの結果が示されています。いずれも2〜3万人を対象とし、5〜10年に及ぶ研究が行われました(表2) 。まず中国で行われた試験で、β-カロテン、セレニウム、ビタミンE投与群で、胃がんリスクが21%低くなりました。しかし、それ以外は期待していた結果が得られず、逆に高用量のβ-カロテン(20〜30mg)を投与した喫煙者で、肺がんリスクが20〜30%高くなることが明らかになりました。

と書かれています。ニンジン3本で20mg以上のβカロテンを含むのですから、済陽高穂のニンジンジュース療法は危険でしょう。それにニンジンには糖質が多く含まれているので、インスリンの少ない膵臓がん患者には逆効果です。

さて、本題です。

今回古川さんの監修により、麻生れいみさんが『免疫栄養ケトン食で がんに勝つレシピ』を上梓されました。

【内容紹介】
ガン細胞の主な栄養源は、炭水化物から合成されるブドウ糖。
「炭水化物摂取→ガン細胞の増加」という流れを断ち切るためには、ブドウ糖に代わるエネルギー「ケトン体」を体内で産生し、がんに負けない体をつくる必要がある。
数多くのヒット作を持ち、自身の経験を基にした糖質オフレシピの第一人者である著者が、臨床の現場で数多くの成果を上げ、学会からも注目を浴びているがん治療のエキスパートとタッグを組んだ、がん治療サポートのためのレシピ集。
「ケトン体」を効果的に産生でき、家庭でも手軽に再現でき、さらにおいしいレシピを60品紹介。
食の楽しみをあきらめないで、がんに負けない体を作る!

ケトン食に関心がある方には気になる一冊でしょう。

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2017年8月 9日 (水)

がん免疫療法、週刊現代の記事について

週刊現代が、がん免疫療法の批判記事を第1弾、第2弾と出して話題になっていますね。

第1弾では、免疫細胞療法の最大手、瀬田クリニックグループがやり玉に挙がっています。しかし、週刊現代の2016年2/6号では、免疫チェックポイント阻害剤に関する特集記事の中で、滉志会瀬田クリニックグループ統括院長 後藤重則氏のコメントが掲載されています。

まぁ、売れればなんでもありの週刊誌(読賣にも登場しているが)ですから、深追いすることは止めておきます。

経済的に許されて、本人が効果を実感しているのなら続ければ良いでしょう。私はやらないけど、というのが私の考えです。命には替えられないと、家や財産を売り払ってでもやるべきだどうかは、本人の価値観で決めること。その際には実績やエビデンスをしっかりと見極めるように勧めます。

免疫細胞療法は高額ですが、抗がん剤のような重篤な副作用がないだけまだましです。標準治療と併用している方が多いのでしょうから、何が効いたのかは「分からない」ということになります。

第2弾では高濃度ビタミンC点滴療法も取りあげています。2度のノーベル賞を受賞したポーリング博士が提唱した治療法との触れ込みです。ライナス・ポーリング博士は量子陸学を化学に応用した功績でノーベル化学賞を、地上核実験に対する反対運動の業績で平和賞を受賞しています。1950年代に電気自動車の開発を手がけたという先駆性もある尊敬すべき方ですが、だからといってがん治療に業績があったわけではないのです。ポーリング博士は前立腺癌で亡くなっています。

カナダの研究グループによって、高用量ビタミンCを点滴投与した3人のがん患者が予想よりも長く生存していたことを確認し、第I相臨床試験を予定していると報道され、可能性は示している。これからの研究課題だろう。一方で高用量ビタミンCの点滴投与は腎不全や下痢などの副作用が確認されている。

巷のクリニックでは、高濃度ビタミンC点滴療法を、30gで1万円から3万円の範囲で治療している。ところでビタミンC(アスコルビン酸)注射液の薬価は86円程度ですから、ぼろ儲けですね。

こちらの日経バイオテクの記事「高額薬剤は単価の議論だけでよいのか?」で、1つの新薬が研究開発から臨床試験を経て承認されるまでに、

開発効率のよいスイスNovartis社でも1つの新薬の承認を得るのに50億ドル、米AbbVie社では310億ドル掛かっていた計算になるそうです。

と書かれています。

ざっと5500億円から3兆4000億円ですよ! オリンピックが開催できる金額です。

結局弱小製薬企業では新薬の開発・承認は望めないし、巷のクリニックではぜんぜん手に負えません。ビッグファーマーでも、患者の少ない希少がんの薬は開発したがらないのも当然です。

代替医療には「エビデンスがない」は一件まともな批判ですが、仮に効果がありそうな薬剤でも、二重盲検法による臨床試験なんてできるはずがないのです。

本当にエビデンス史上主義者の「エビデンスがない治療は人体実験だ」は、「どうせ臨床試験などできっこないだろう」との思いで言っているんでしょうな。

今回の週刊現代の記事はまともだし評価できますよ。じゃあ、標準治療で効果がない患者、効く抗がん剤が尽きたがん患者はどうすれば良い? 「緩和も治療です」と腫瘍内科医は言うが、それで納得できる患者はどれだけいる?

がんセンターで「あとは緩和です」と言われて、諦めきれずに〇〇クリニックに行ったら、がんセンターの偉い先生方がたくさん顧問などになっているなんて、喜劇ですか、怪談ですか?

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2017年7月29日 (土)

EPA/DHA摂取でがんの生存率向上

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魚油成分 生存率に効果 伊賀市立病院チーム

魚油成分(EPA=エイコサペンタエン酸、DHA=ドコサヘキサエン酸)を含む市販の栄養剤を毎日摂取したところ、治療効果が上がったとする内容。生存率向上にもつながる。

がん悪液質の患者でも栄養剤を摂取した人の生存率が向上したという。

EPA/DHAの抗がん効果はすでに実証済みだし、商品名まで記事には書かれていないが、「プロシュア」でしょう。健康保険でも処方されます。

Amazonでも買えますね。2ダースで9,400円。1日2パック引用するとして12日分、1ヶ月23,500円か。これは自費では無理だね。

医者さんに相談してプロシュアの処方箋をもらうべきです。

プロシュアは栄養成分も補給できるのですが、EPA/DHAだけで良いのなら、私は術後ずっとサプリメントで摂ってきました(プロシュアなんて当時はなかったし)。これなら安価で、朝晩2カプセルで1ヵ月1,000円もかからない。本来ならイワシやサバを食べれば良いのですが、新鮮な魚は「高い」ですよね。毎日は食べられません。

プロシュアは、以前の長方形のパックはキャラメル味で、とても飲めたものではなかったが、新しいパックはバナナ味。飲みやすくなっているのだろうか?

【追記】名古屋市立大学病院が考案したプリシュアを飲みやすくするレシピ

【関連記事】

進行膵癌患者にゲムシタビンとEPA含有栄養剤の併用が有用な可能性【臨床腫瘍学会2013】

悪液質の仕組みと対処法

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2017年7月25日 (火)

京セラ「お茶ミル」値下がり

カテキンの抗がん作用は広く知られています。このブログでもさんざん書いているとおりです。

緑茶のカテキンを摂るのに、お茶ミルで粉末茶にすると、お茶の成分を全て摂ることができます。この際必須なのは「お茶ミル」

Amazonで京セラのお茶ミルが激安になっています。希望価格5400円が約半額の2682円。

冬は暖かく、夏は水出し茶にして毎日カテキンを摂りましょう。私はこのお茶を携帯ポットに入れて持ち歩いています。

私のは約10年前に買った旧タイプですが、毎日使ってきてもまだ現役で働いています。すごい耐久性ですね。このお茶ミルを10年後も使い続けられるよう、がんに立ち向かいましょう。

セラミックの臼歯がそろそろ減ってきたから、買い換えても良いかなと思案中。

そうそう、お茶は深蒸し茶が良いですよ。茶葉が細かくて茎茶の少ないものを選ぶ。深蒸し茶はカテキンの含有量が一番多いです。

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2017年7月 5日 (水)

水素水に騙された?麻央さん

          水素水は
   がんには効きません!

小林麻央さんが行っていたらしい代替療法が話題になっている。
ご主人の市川海老蔵さんの“スピリチュアル信仰”も影響したのかと書かれている。

祈禱だの、「水素温熱免疫療法」だのにも通っていたようですが、ある意味お金があるからこうしたエセ治療法に手を出すのでしょうね。その点、騙されることを貧乏人は杞憂する必要がない。

水素水は以前に調べてブログにも書いたけど、がんに効くというデータはありません。もしかすると副作用の低減効果があるかもしれない、という程度。

それに数十万円も出すのはちょっと??

2017年6月20日 (火)

今日の一冊(74)『がんに効く最強の統合医療』

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がんに効く最強の統合医療』(日本統合医療学会 監修)

がん研有明病院漢方サポート科元部長の星野惠津夫先生の近著です。
がん研を退職されたのですね。空海記念統合医療クリニック院長の肩書きになっています。

日本統合医療学会は、ちょっと評価に迷う団体ですね。ホメオパシーの帯津良一氏やエネルギー療法の川嶋朗氏がいるかと思えば、『がんの補完代替医療ガイドブック』の大野智氏もいる。そこが力を入れている空海記念統合医療クリニックに院長として行かれたわけだ。

されはさておき、本書の内容を先入観なしに紹介してみます。

がんで闘病中の皆様に申し上げたいことは、主治医の提案する治療法以外にも、有用な治療法はいろいろあるということです。
しかし、「がんが消える」と自称する本や治療法には、効果に乏しいものや、詐欺まがいのものも多数含まれています。
ですから、情報をしっかりと集めたうえで、正しいものを見極めて、治療法を組み立てる必要があります。
(「はじめに」より)

と、カバー裏に書かれています。日本統合医療学会が「患者のための統合医療ガイドブック」という位置づけで出したということです。

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第6章はそれぞれの専門医が執筆していて、膵臓がん患者にも気になる、血管内治療・ラジオ波焼却療法・KM-CART・ガンマナイフ・サイバーナイフ・ハイパーサーミア・腹腔内投与療法などの治療法が丁寧に紹介されています。骨セメント注入療法は知らなかったですね。

星野氏が本書で訴えたいことを端的に言えば、次の図のように

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なろうか。

わが国のがん治療医のほとんどは、自分の知っている治療法しか示しません。実際には化学療法しか知らない「化学療法専門医」や、手術の片手間に化学療法を行う外科医が多いのです。

自分の知っている抗がん剤の中に有効なものがなければ、「医学の限界」として、「もはや治療法はない」といってさじを投げ、患者さんを緩和ケアにゆだねます。しかし、それは「医学の限界」ではなく、その医師の「知識・技術・治療ネットワークの限界」です。実際には他に治療法のある場合が多いのです。

実際、私ががん研有明病院で診療したがん患者さんのなかには、担当医から「余命数ヶ月」と宣告されたにもかかわらず、本書に書かれたような統合医療により、長期間元気に人生を楽しんでいる方が少なくありません。

こうした考え方は、以前に紹介した『このまま死んでる場合じゃない』の放医研の岡田直美医師にも通じるものです。

カイジ顆粒などは、もっとがん患者にしられてもよいものだと思うのですが。最後の瞑想療法は、私も勧めているのですが、本気で取り組む患者は稀ですね。効果があるのだけど。

膵臓がんに関してもいくつか触れられています。手元に置いておきたい推薦できる新刊です。

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