がん一般

2017年5月30日 (火)

がん患者だって働きたい!

日経ビジネスの川井薫氏の記事、いいですね。身につまされます。

膵臓がんで余命1年を宣告されたが、抗がん剤が効いて3年生存している。しかし、嬉しいはずなのだが、貯金も使い果たして、働こうにも、こんながん患者を雇ってくれるところはない。いまは生活保護を申請している。

がんに勝ったのに生活破綻、そんなのあり?!

「がん患者は働かなきゃいい」と言い放った大西英男議員。発言は撤回せずに言い訳ばかりです。全がん連宛に「がん患者・元患者の皆様へのお詫び」という文章を送ってきたそうだが、内容はまったく反省なしの言い訳ばかり。「極めて限定された小規模零細飲食店での話しでした」というが、そうした店が飲食店の8割以上を占めていることをご存じないのだろうか。がん患者はもっと規模の大きな店で働けば良いという意味なのだろうか。

働き盛りの人ががんになったとき、治療費と生活の療法を心配しなくてはならない。家族の生活のために治療を断念する患者もいる。私の存じ上げている膵臓がん患者は、大手建設企業の社員だったが、がんになったことを告げるととたんに解雇されたんです。その会社は「健康長寿社会を実現するまちづくり」を提案している会社ですが、健康な市民しか要らないってことですかね。

膵臓がん患者の離職率は、他の癌腫に比べて2倍だという調査もあった。余命が短いことを覚悟して退職するのだろうが、なまじ治療の効果があって長期生存すると、それはそれで大変になる。せめて生活の心配をしないで、短い命を生ききりたいと思うのだろうが、この国はそうはさせてくれない。

政府の言う「働き方実行計画」も「がん患者が働くことのできる日本」も、まだまだ絵に描いた餅です。

2017年5月26日 (金)

今日の一冊(73)『ここまできた重粒子線がん治療』

ここまできた重粒子線がん治療 重粒子線治療だけではなく、一般の放射線治療と陽子線、重粒子線治療の違い、重粒子線治療の特徴が、これまで出版された書籍よりも、より詳しく書かれています。

患者としては混乱しやすい専門用語、

  • トモセラピー:強度変調放射線治療(IMRT)の装置名。直線加速器(リニアック)からの高エネルギーエックス線を使う
  • 定位放射線治療(SRT):コバルト60の放射線を物理的に線量を集中させる「高精度照射技術」を使った治療法。その専用装置が「ガンマナイフ」
  • サイバーナイフ:画像処理技術との融合で患者の呼吸に合わせて照射野を移動させる「動体追尾放射線治療」の装置名称
  • 呼吸同期照射、画像誘導放射線治療(IGRT)

など、開発の歴史と概略が解説されています。

重粒子線の特徴も詳細に書かれていますが、膵臓がん患者にとっては、膵癌の腫瘍内部は低酸素状態になっているために、通常の放射線では効果が限定的です。しかし、重粒子線は拡大ブラッグピークという現象もあって、膵癌の腫瘍細胞を効果的に死滅されることができるのです。

たくさんの患者さんたちのインタビューは、実際の治療を受けた患者ならではの感想、実態が分かるに違いありません。

『すい臓がんカフェ』でも講演された林さんのインタビューも載っています。「がんとの戦いは、とにかく情報収集。総括的に見て、情報を取って、優先順位を決める。それがすごく大事です。」との言葉は、余命1年を宣告されながらも、抗がん剤治療を拒否して重粒子線治療を選択した林さんならではの重い言葉です。

がんとの戦いは情報戦。情報が命を救い、人生を変えることもあるのです。

2017年5月24日 (水)

HBMの勧め

虎の門病院臨床腫瘍科 高野利実先生の著作『がんとともに自分らしく生きる』は以前に紹介しましたが、先生ご自身が著作とHBM(Human-Based Medicine)について書かれています。

市民のためのがん治療の会
Human-Based Medicine(HBM)とは『がんとともに、自分らしく生きる』

ここでは、HBM実践のための15箇条を紹介します。
    ① 医療は自分のものであると心得る
    ② 生老病死ときちんと向き合う
    ③ 自分の想い、価値観や大事にしていることを医療者や家族に伝える
    ④ 治療目標を明確にし、医療者や家族とも共有する
    ⑤ イメージに惑わされず、うまく情報の波に乗る
    ⑥ 最低限のエビデンスとEBMのルールを知る
    ⑦ リスクとベネフィットのバランスを考える
    ⑧ 自分にプラスとなる治療を受け、マイナスになる治療は受けない
    ⑨ 医学の進歩と限界を知る
    ⑩ 緩和ケアを積極的に活用する
    ⑪ 医療者や家族とよく語り合う
    ⑫ しんどいときは、まわりに頼る
    ⑬ がんとうまく長くつきあう
    ⑭ 希望を持って生きる
    ⑮ 自分なりの幸せをめざす

どれも大切なことですね。②はなかなか達観することは難しいにしても、いずれ訪れる「死」に対して、自分なりの価値観で整理しておくことです。私は良寛や老子など多くの先達に教えられました。

⑧も言うや易く行うは難し、でしょうか。副作用を我慢して最期の最期まで抗がん剤を打ち続ける。

がんであっても、自分なりの幸せを見つけ、充実した時間を過ごしたいものです。

2017年5月22日 (月)

Kindle本-出版しました

Hyosi

やっと完成しました。
がん患者のためのインターネット活用術

最初にお断りを。
この本には治るための必殺技とか、「魔法の弾丸」のような代替療法、これでがんが必ず治る、というようなことは書いてありません。どうすれば悪徳な広告に騙されずに、信頼のおける情報に早くたどり着けるのか、集めた情報をどのように整理し、活用するのかというパソコンのスキルとノウハウを紹介した本です。私が10年間実行し、がんとの闘いに役立つと確信しているスキルを”惜しみなく”紹介しています。

Kindle端末を持っていなくても、パソコンやスマホで読むことができます。

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2017年5月19日 (金)

臨床試験の「治療開発マップ」

日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)では「治療開発マップ」をホームページに掲載しています。

このマップは、臨床試験を実施しようと計画している医師たちが、重複がないように利用するためのものですが、がん患者にとっても、今どのような臨床試験が行われているのか、考える上で参考になります。

16の専門領域別に、主ながんの種類ごとに作成されています。膵臓がんについては、対象を、

  1. 切除可能
  2. Borderline Resectable(切除限界)
  3. 局所進行
  4. 遠隔転移再発

に分類し、それぞれに「標準治療」「JCOG試験」「他組織の試験」「適用外薬」と分けられています。

20170519007

これを参考にして、がん情報サービスの「がんの臨床試験を探す」や、「臨床研究情報ポータルサイト」で検索して詳細を知ることができます。

自分が参加できる臨床試験かどうかは、まず主治医に聞いてみましょう。患者本人の進行度、体の状態、これまで受けてきた治療などを一番よく分かっているのはあなたの主治医だからです。

も参考にしてください。

2017年5月15日 (月)

医者ががんになっても先輩患者の助言は役立つ

西村元一さんの5月12日付コラムがヨミドクターにありますが、こんなことを話しています。

患者同士が交流する意義

 今回、自分自身が患者の立場となり、今まで医師として患者に説明してきたことや、自分が患者として説明してもらったことだけでは不十分だとよく分かりました。「胃切除を受けた人は、生活の上でどのような工夫をしているのか」「実際に治療を受けたらどうだったか」などを知りたくなり、実際に自分より闘病生活が長い「先輩患者」のいろいろな話を聞いてみると、それが結構役立ちました。
 ある程度の知識がある自分が、そのような状況であったということは、一般の患者さんならば、もっと情報が必要であることは間違いありません。おそらくこれも、患者会やピアサポーターの意義の一つなのだと思います。

 就労や金銭的なこと、家族の負担など、がんの種類に関係のない問題も数多くあります。つまり患者は、たくさんの情報を必要としているのです。昔から見るとかなり良くなったとはいえ、まだまだ病院で情報を得ようと思っても、縦割りの壁が厚く、下手をするとたらい回しに遭うこともあります。全てが正しく、かつ必要なものとは限りませんが、経験者からのアドバイスは、少なくとも必要な情報を得る足がかりになる可能性が結構あるものと思います。

そうなんですよ。がん拠点病院の「がん相談支援センター」でも、がんになったことのない方が相談に乗ってくれても、なかなか納得できる答えも得にくいでしょう。医者も看護師も忙しいから、なかなか具体的な生活上の相談などできないし、がんになったこともないのですから、適切な答えなど望むべくもないです。

『すい臓がんカフェ』も、患者同志の情報交換の場であることを目指していますから、多くの膵臓がん患者がリピーターとして参加されるのだと思います。

次回は6月25日(日)に開店します。ぜひたくさんの方に参加していただきたいと思います。
そうそう、私が経験談などを少しお話しする予定です。6月はちょうど告知・術後10年の節目なので計画したわけです。

2017年5月12日 (金)

奇跡のシェフ-がんと14年間共存

がんで余命ゼロと言われた私の死なない食事 昨年このブログ「気になる本『奇跡のシェフ』」でも紹介した神尾哲男さんが亡くなったそうです。

2002年に前立腺がんの末期で余命ゼロを宣告されながらも、独自の食餌療法でがんと14年間も共存をして活躍されていました。考案した食事のレシピも出版されていました。

私は14年間、食事の力で末期がんを抑えています。
本業はフランス料理のシェフです。医者から「生きているのが信じられない」と驚かれながら、死なずにずっと生き続けているので、"奇跡のシェフ"とも呼ばれています。
頼ったのは、生きるエネルギーの源、「食」の持つパワー。
人の体は、その人が食べたものでできています。そして、身体の大部分の細胞は、それぞれ一定の期間ごとに新陳代謝を繰り返しています。
ならば食事の徹底的な改善が、自分の体のがん細胞の勢いをそぐ一方で、健全な他の細胞たちを元気づけ、命の日延べにつながる可能性もあるのではないか……。
食事で命のリセットに挑戦してみよう。そう思ったのです。

奇跡のシェフべ物は、本来人間にとって「異物」です。もちろん食べなければ生きていけない。その異物を消化して分解する過程で「情報」が消されます。元から持っていたエネルギーや物質としての役割が細かく分解されて、再利用されます。しかし、そこに不純物や毒物があれば、エネルギー代謝にも影響しますね。

シュレベールの『がんに効く生活』でも食餌のことが大半を占めています。シュレベールも彼の考え出した「統合医療」で、治るはずのない脳腫瘍と共存して25年間生きたのでした。

食餌でがんは治らないが、がんを育てないことは可能です。シュレベールも神尾さんも、身をもってそれを証明してくれたのでしょう。がん患者はがんでは死なない。多くの患者は栄養失調で亡くなるのです。

特定のひとつの食品で「これを取ればがんが消える」なんてことはありません。

自然のものを摂り、要らないものをデトックスする。美味しくバランスよく食べる。これが一番です。

2017年5月 8日 (月)

セカンドオピニオン・アドバイザー

がんと診断された患者が、自らの病状や治療方針について他の医師の意見を求める「セカンドオピニオン」へのニーズが高まっています。しかしながら、主治医を疑っていると思われたくないなど主治医への気遣い、いざ「セカンドオピニオン」を受けようとしても、探す方法が判らないなどの理由から、「セカンドオピニオン」を受けないまま不安を抱え治療に進む患者も多いのが現状です。
そんながんと診断された患者が、簡単に最適な「セカンドオピニオン」を探すことの出来る新サービス『セカンドオピニオンアドバイザー』が、5月10日(水)よりスタートすることになりました。

って記事が。こちらにリンク

しかし、アドバイザー料金が5万円とはちょっと。セカンドオピニオン料金3万円を足したら8万円ですからね。金額はともかくとして、築地のがんセンターの患者ががん研有明を紹介されても、同じ標準治療しかないのだから、同じ診断しか出ないでしょう。

どういう基準でどうのような医療機関を紹介してくれるのかが肝心ですが、それへの言及がない。

確かに主治医にセカンドオピニオンを受けたいと申し出にくい患者には、あるていど敷居が低くなるのかもしれない。

2017年5月 7日 (日)

GWはKindle本の出版準備で

GWも今日で終わり。国営ひたち海浜公園に行ったきりで、あとは家でごろごろ、でもなく、Kindle本の出版を目指して執筆に費やしていました。

来月で膵臓がんの手術後10年になるので、何か記念になることをしようと思い立ち、最初は闘病記を出版しようかと。でも、闘病記は売れない。闘病記の売れる条件というのは、『悲劇の花嫁』とか、主人公が亡くなって、こんなにがんばったけど最期は悲劇のヒロインで終わる。主人公は女性がよい。これでないと売れません。古稀に手が届くまで生き残った爺さんではダメなんです。

それで、ありそうで、なかった本

Hyosi_3

がん患者が、インターネットを活用してがんと闘うためのノウハウとスキルを詰め込んでいます。私がこの10年間、がんに関する情報を集めてきたスキルです。ほとんどはこのブログで紹介済みの内容ですが、インターネットの世界はすぐに情報が古くなることもあり、あちらこちらに分散している記事を見直して、書き加えたものです。

タイトルは『がん患者のためのインターネット活用術

「どうしてこんなに情報が早いのか?」とか、「こんな本をよく探してくるよなぁ」、「一日中ネットサーフィンでもやってるの?」と言われることがありますが、そんなことはありません。現役で仕事をしながらの闘病でしたから、ネットを徘徊する時間も多くは取れません。しかし、この本で紹介したスキルとツールを活用すれば、短時間で目当ての情報にたどり着けます。必要な情報は向こうからやってくるのです。情報の保存と活用もツールに任せています。しかも全て無料のサービスしか使っていません。

原稿も9割方できあがったが、なにしろKindle本の出版は敷居が高い。原稿書きと校正、表紙のデザインに図の挿入と配置、Amazonへのアップロードと価格の決定・・・。紙の本なら、原稿を渡せばあとは出版社がやってくれる作業を、全て自分でやらねばなりません。

なんとか5月中には完成して出版にこぎ着けたいと思います。ミリオンセラーは望んでいません。(あり得ないけど)

がんとの闘いは情報戦。情報戦にはそれなりの優れた武器が要るのです。

2017年4月27日 (木)

高齢のがん患者は早く死ねか?

毎日や読売が報じていますが、高齢がん患者には抗がん剤治療の効果が疑わしいから、調査をするとの方針だ。

毎日新聞「高齢がん患者 抗がん剤治療の効果調査へ 延命効果検証
読売新聞「抗がん剤、進行がんの75歳以上に効果なし」...不要  投薬抑制に向け指針

確かにガイドラインやエビデンスの元となる臨床試験の対象者は、身体状況の良い70歳以下の患者が対象だから、高齢がん患者についてのエビデンスはない。

しかし、暦上の年齢だけで一律に治療を受ける、受けさせないと決めるのは、最近の個別化医療の考え方とも相容れない。要するに高齢者で進行がん患者には何もしないで緩和ケアを受けさせておけば良いという考えらしい。年齢ではなく、遺伝子解析など個別化されたがん医療によって、効果のあるなしが判断できる時代がすぐそこまできているというのに。

堀田知光・がん研究振興財団理事長の話「抗がん剤治療に適した高齢患者と適さない患者を見極め、それぞれに合う治療法を確立するべきだ。高齢者によく見られる、遺伝子の働き方を分析し、新治療法を開発することが重要になる。

という、国立がん研究センター 前理事長の堀田氏の指摘がもっともだ。

確かに抗がん剤でQOLを落として、延命どころか命を縮める患者もいるに違いない。しかし、治療への希望を奪われた高齢がん患者はどうなる。治療効果を検証するというが、治療効果とは時間の長さだけの尺度で測れない。生活の質×時間の長さではないのか。

あるいは、高齢がん患者を対象にした低用量抗がん剤治療の臨床試験か調査をするのいうのはどうだ。副作用も抑えられるし、もしも効果が確認できたならば、医療財政も削減でき、高齢がん患者にも希望を与えられる。一石二鳥だろう。

低用量抗がん剤治療にはエビデンスがない、という非難に対して、政府の予算でエビデンスを確認するわけだ。これは我ながら名案だ。

私も戦後の団塊の世代である。必死でこの国や家族を支えてきたという自負がある。そして高齢になれば、当然がんなどの病気になる。若いころに無理をしているからなおさらだろう。国民が高齢化すれば医療費が増えるのはあたりまえだ。優秀な官僚たちが、それを予測できなかったはずはあるまい。だとしたら、長期的に財政的対策を考えておくべきではなかったのか。要するに、今日の事態を招いたのは政府や厚労省の「無策」が原因である。

それを、枯れ木に水をやるのはムダとばかりに、医療費削減の思惑が透けて見える対応を押し進めようとする。厚労省の思いを忖度して旗振りをしている国立がん研究センターは、理事長が替わってからひどくなった。患者中心の医療ではなく、厚生労働省の方ばかりを向いていないか。噂では厚労省から来ている事務方のトップが理事長よりも強い権限を持っていて、逆らえないと聞く。

昔の「がん難民を作るがん研究センター」に逆戻りしてしまったようだ。

【記事の元になった報告】
国立がん研究センター「高齢者へのがん医療の効果にかかる研究報告

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