がん一般

2017年2月21日 (火)

人工知能(AI)によるがん診断

日本病理学会が人工知能(AI)を使った病理診断技術の開発をし実用化を目指すと報じられた。

がん病理診断、AIが支援…画像を比較・判定

病理医不足は深刻だから、これでがん患者の治療が良い方向に向かうことを願うが、人工知能を果たしてそこまで信頼して良いものだろうか。囲碁や将棋でディープラーニングによるAIが勝利したことはすばらしいが、人間の身体は囲碁や将棋よりもはるかに複雑で精密である。私はAIには懐疑的だ。

IBMのワトソンが一時もて囃されたが、ここにきて暗雲が立ちこめだした。

IBM「ワトソン」に暗雲 有名がん研究所がプロジェクトを離脱

MDアンダーソンがんセンターがこのプロジェクトから脱退するというのだ。資金面でも契約面でも不可解なプロジェクトらしい。

2017年2月20日 (月)

オプジーボの臨床試験

千葉ポートメディカルクリニックがオプジーボの臨床試験参加者を募集しています。ただ、高額なオプジーボの費用はクリニックが負担してくれますが、併用の抗がん剤の費用は自己負担。150~240万円かかるようです。

免疫チェックポイント阻害剤併用試験についての概要

固形癌のすべてが対照なので、膵臓がんも可能。詳しくはリンク先で。

オプジーボ、膵癌には効かないといわれますが、気になりますね。

2017年2月18日 (土)

放射線はがん細胞をワクチンにする

前回の記事で「化学療法や放射線療法などの術前治療」とあったが、関連しておもしろい記事がある。放射線治療によってがん細胞が「がんワクチン」になるというのだ。

米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新のがん研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌『OncoLog』2017年1月号の記事。

放射線は固形がんに対する免疫療法の効果を増強

放射線療法を免疫療法と併用してがんと闘うという論理は明白なようである。放射線は、がん細胞のDNAを傷つけることによってがん細胞を殺傷するが、これは局所に対する治療である。一方で、免疫療法は、免疫系を増強することによる全身に効果のある治療である。だがこれは、両者の併用がなぜ劇的な効果を示すのかといった疑問に対する説明の一端でしかない。一方の治療が疾患の局所コントロールだけをもたらし、他方が全身コントロールだけをもたらすというよりも、両者が相乗的に働いている可能性がある。

放射線は免疫原性細胞死を誘導したり、また主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスI分子やその他のアポトーシスを誘導するタンパクの発現を促進することによってがん細胞の免疫療法への感受性を上げることができる。

放射線は、照射した腫瘍細胞を免疫療法に対して感受性にすることに加え、腫瘍細胞に腫瘍抗原を放出させることができる。この腫瘍抗原の刺激によってT細胞が活性化され、放射線照射を受けていない遠く離れた部位も含めて体中の腫瘍細胞を攻撃するようになる。「放射線は、効果的にがんをワクチンに変えることができるのです」

放射線が局所では腫瘍を縮小させる一方で全身では免疫応答を誘導するこの現象は、アブスコパル効果として知られている。

******************引用終わり*****************************

免疫療法と放射線療法の併用に関する臨床試験も、多くの癌腫で行われているようです。

2017年2月17日 (金)

RCT・エビデンスってなんぼのものじゃ

RCT(ランダム化比較試験)でなければエビデンスではないとか、エビデンスがない治療は人体実験だとか、最近かしましいが、こんな記事がある。

RCTのエビデンスにバイアスの可能性を指摘

米Oregon Health and Science UniversityのRosa Ahn氏らは、臨床試験の主任研究者と治験薬製造会社との金銭関係は、ポジティブな結果を報告する独立した要因になるという仮説を立て、2013年に発表されたランダム化対照試験(RCT)の論文を検証し、金銭関係がある場合は実際にポジティブな試験結果が多かったと報告した。結果はBMJ誌電子版に2017年1月17日に掲載された。

要するにざっくり言って、製薬企業が金を出している臨床試験は、治療に効果があるという結果が出やすいということ。

ま、想像していたとおりで、今さらながらのことだ。

ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実ビッグ・ファーマ―製薬会社の真実』 という本にはもっと赤裸々に書かれている。

著者のマーシャ・エンジェル氏は、ランセットと並び世界的権威を持つといわれるニューイングランド医学雑誌(NEJM)の元編集長。彼女が製薬会社のあくどさにやむにやまれず書いたというこの本は、当時大きな衝撃を与えたと言います。「有名医学雑誌の編集長という仕事 は、・・・医学界をリードする医学の守護神のはずだ。その医学の守護神が、こんな奴らは信用なりませんよと、医学界、製薬業界、臨床医たちを激しく追求する。」とあとがきにある。

東邦大学の学生と卒業生の医者が10代の女性に性的暴行をしたとか、京都の大学病院の学長が暴力団幹部と仲良くしすぎて家宅捜索を受けたとか、一部の医者の堕落ぶりには目に余る。

日本でも同じだろう。「ワセダ クロニクル」にこんな記事がある。

買われた記事 電通グループからの「成功報酬」

買われた記事 「国の看板」でビジネス

今やブラック企業の代表格となった電通の子会社が事務局を勤める「健康日本21推進フォーラム」が金を出して、共同通信配信の記事を書かせた。書いたのは共同通信の論説委員だ。

掲載されたのは脳梗塞を予防する「抗凝固薬」に関する記事だ。効き目が強すぎると脳内で出血し、死に至ることもある難しい薬だ。因果関係は不明なものの数百件の死亡事例が公的機関に報告されている。この記事に金が払われていた。しかも「広告」などの表示はなく一般の記事としてである。

抗凝固薬だけではない。内部資料や関係者の証言によると、医薬品の記事の見返りにカネが支払われるという関係は、電通側と共同通信側の間で少なくとも2005年から続いていた。

この「健康日本21推進フォーラム」の理事長は高久史麿・東京大学名誉教授である。2004年から日本医学会の会長を務めている重鎮だ。

医療の世界におけるエビデンスって言ったって、所詮この程度のものですよ。今ではエビデンスそのものが商売道具になっているんじゃなかろうか。


2017年1月26日 (木)

笑いでがんを治す

ヨミドクターにこんな記事が載っていました。

「笑い」でがん退治できる?…患者に漫才や落語、吉本・松竹の協力で実証研究

大阪府立成人病センター(移転、改称して「大阪国際がんセンター」となる)が吉本興業などの協力を得て、月2回程度、漫才や落語を見る前後で血液と唾液の検査を実施。患者にかかるストレスや免疫細胞の変化を調べるという。

このブログでも「笑い」についてはいろいろ書いてますよ。

ずいぶん昔ですが、「すばるクリニック」伊丹仁朗医師が、同じく吉本興業の協力で、「なんば花月」で同じような実験をやってますね。25年前の伊丹医師の実験と今回と、どのような結果が出るのでしょうか。楽しみです。ただね、がん患者はそんな結果やエビデンスを待たずとも、笑えばよいのですよ。副作用はないんだから。

1992年、大阪なんばの「グランド花月」で、落語や漫才を3時間観た19人のリンパ球を調べたら、14人が免疫活性が高くなったという調査が、日本心身医学会で発表されています。倉敷の「すばるクリニック」伊丹仁朗医師が行った事件です。このとき調査したのは、NK細胞の活性と、免疫力に関わるリンパ球、CD4とCD8の比率。NK細胞の免疫活性は14人が上昇。免疫力のアクセル役を果たす CD4、ブレーキ役のCD8 も共に正常値に近くなることが分かったそうです。(CD8抗原が発現しているT細胞は、キラーT細胞、CD4を発現しているT細胞はヘルパーT細胞と呼ばれています。)

笑いと治癒力 (岩波現代文庫―社会)ノーマン・カズンズの『笑いと治癒力』では、10分間大笑いしたあと、2時間は激しい痛みも感じることなく、ぐっすりと眠ることができたと紹介されていました。笑いはこころの深呼吸、こころのジョギングとも言われています。樋口強さんも「笑いは最高の抗がん剤」と言っています。

『臨床瑣談』の著者、中井久夫さんのガン患者への助言が三つある。

  1. 睡眠を十分に取りなさい
    正常な細胞が細胞分裂をするときに、最も危ない時期を午前2時から4時くらいの時間帯に迎える。細胞ががん化しないためにもこの時間帯は熟睡して体力を回復しておくことだ。
  2. おいしいものを食べなさい
    これは栄養をとることと、病院食などはストレスがたまる一方で治癒には悪影響だという話。
  3. 笑いなさい
    ノーマン・カズンズの「笑いと治癒力」を例にとって、笑いは免疫力を高める。無理にでも笑いなさい。脳をだましてでも笑っていれば効果がある。

こんな記事がお薦めです。「親鸞は桂枝雀だ」なんて、??って思うでしょ。

  1. 心が免疫系に与える影響
    た書籍として、おおいに参考になります。『笑いと治癒力』などの著者、ノーマン・カズンズが次のような序文を書いています。初版への序文   ...
  2. 笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ
    の病と言われた膠原病から、ビタミンCと「笑い」を武器に、五百分の一という奇跡的な回復をした人です。有名な書評誌『サタデー・レビュー』の編集長であり、核兵器...
  3. 臨床瑣談 中井久夫
    がたまる一方で治癒には悪影響だという話。笑いなさいノーマン・カズンズの「笑いと治癒力」を例にとって、笑いは免疫力を高める。無理にでも笑いなさい。脳をだまし...
  4. 笑いとナチュラル・キラー細胞
    の4月下席は柳家喬太郎師匠の「松竹梅」。笑い転げてしまいました。柳家喬太郎師匠は、インターネット落語会の人気投票で第一位という人気者です。ノーマン・カズン...
  5. 金馬師匠から笑いの治癒力をもらった
    しまったんです。」ノーマン・カズンズの『笑いの治癒力』をそのまま実行して治った、腫瘍が消えてしまったということですね。こんな例はもっとたくさんあるのではな...
  6. 親鸞は桂枝雀だ
    題とつなげてゆく。このようにして親鸞は「笑いの元祖」であったという伊藤乾の仮説が提示されていくのだが、この節談説教こそが、落語・講談・浪花節、あらゆる寄席...

 

2017年1月22日 (日)

湯島聖堂と神田明神、免疫細胞療法のセミナー

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神馬の「あかりちゃん」

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日差しが暖かく、梅もそろそろほころぶかなという神田川界隈を散策して、湯島聖堂と神田明神に行ってきました。まだ初詣の余韻の残る神田明神の境内は、人混みをかき分けて歩かねばならないほどでした。

今回もモノクロに挑戦です。


写真散歩はついでで、「免疫の力でがんを治す患者の会」セミナーに西村元一先生が登壇されるというので行ったのですが、これがトンデモないセミナーでした。西村先生は体調を崩されたとかでキャンセル。そしてセミナーの実態は瀬田クリニックの患者集めのための宣伝でした。

いやね、瀬田クリニックや免疫細胞療法がダメだというのじゃないですよ。中には効果を実感している患者もいます。しかしねぇ、院内の患者会を使って、実際には費用も瀬田クリニックが出しているのだろうが、主催者としてクリニックの名前はない。しかも会場は東京医科歯科大学の講堂。フェアじゃないです。

会のオフィシャルサイトをすべて閲覧しても、瀬田クリニックの名がない。(今日のプログラムに神垣隆先生:瀬田クリニックグループ 臨床研究・治験センター長の名があるが)これじゃ詐欺同然でしょう。

三重大学の珠玖洋(しく ひろし)教授が免疫チェックポイント阻害剤と免疫の話をして、免疫療法が脚光を浴びているという講演でした。しかし、その後に登壇した医者で患者でもある講師の先生たちは、自分も関わっている瀬田クリニックの活性化リンパ球療法の話です。

活性化リンパ球療法にも免疫チェックポイント阻害剤と同等の効果があるかと、参加者を誤解させるような話しぶりのセミナーでした。勘違いした患者もたくさんいたでしょうね。

免疫細胞療法は、抗がん剤と併用すれば副作用を低減して抗がん剤の効果を高めるという研究もあります。唯一の副作用は、自由診療だから高額だということです。しかし、あくまでも標準治療の補助という位置づけです。

活性化リンパ球療法を含む免疫細胞療法は、免疫チェックポイント阻害剤とは別物ですからね。勘違いしないように気をつけましょう。

瀬田クリニックがダメだというのではないですよ。今日の開催方法はフェアじゃないというだけです。

ま、おかげで神田明神でお参りもできたから、いっか。

2017年1月19日 (木)

今日の一冊(66)『このまま死んでる場合じゃない!』

なんともすごい女医さんがいるものだ!

エビデンス至上主義では、再発・転移したがんは治せない。抗がん剤でがんを治せないのは、治せるように使っていないだけだ。エビデンス至上主義の考え方ゆえに、標準治療こそが、エビデンスに基づいた最善の治療と思っている医師も大勢います。

と堂々と言うのだが、この女医さん、岡田直美医師は、重粒子線治療を行っている放射線医学総合研究所(放医研)病院の医長です。国の機関である病院の医師がここまで言って大丈夫か?と心配になるくらいです。

このまま死んでる場合じゃない!

しかし、多くの再発・転移したがん患者を、標準治療で使われる抗がん剤や重粒子線を含む放射線治療、ラジオ波焼却、動注塞栓治療などさまざまな治療法を駆使して”治して”いる。

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がんが再発したり、転移していると、多くのお医者さんがあきらめてしまいます。これが現代医学の常識です。でも本当は、現在の医学なら十分治すことができるのです。

がんの治療には、がんができた臓器とその進行度ごとに治療が決められている「標準治療」というものがあります。今は、この標準治療でがん治療をすることが常識で、それ以上のことをやろうとすると、とたんに異端児扱いされてしまいます。

岡田医師の治療で、子宮頸がんの多発転移が治った善本考香さんの治療歴がすさまじい。

①子宮頸がんと診断され手術、②傍大動脈リンパ節に再発。抗がん剤と放射線治療で、傍大動脈のがんはなくなったけど、今度は、③両側の縦隔と肺門と左鎖骨上窩に再々発。東京に出て、岡田先生と出会う。調べてみたら、肺転移も見つかる。そこで、全身抗がん剤治療をおこない、肺のがんが消えました。次に、動注塞栓で左鎖骨上窩のがんが消えて、両側の縦隔・肺門リンパ節の手術。そして、その後の精密検査の結果、④左の縦隔、左鎖骨上窩に再びがんが現れ、肝臓、腸骨リンパ節に新たながんが見つかる。

再々々々発?

手術後に残った4ヵ所のがんは、肝臓、腸骨リンパ節、左鎖骨上窩リンパ節、左縦隔リンパ節。⑤肝臓と腸骨リンパ節は動注塞栓で消え、⑥左鎖骨上窩と左縦隔のリンパ節は重粒子線で退治できた。がんとの闘いは7ヵ月で、がんの残存はゼロ。最終の治療となった重粒子線治療から約3年経っていますが、残存ゼロのままです。

どうしてこのような治療にチャレンジできるのか? そのカラクリは「オリゴメタ(少数転移)説」にあると言う。正確には「オリゴメタスタシス(oligometastasis)」。

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2017年1月16日 (月)

EBM神話の罠(2)

Medical Tribune誌に、東海大学循環器内科学教授 後藤信哉氏の『EBM神話の終焉とPrecision medicineの裏側』という記事がある。正月中に読みたいと思っていたが、医療関係者しかアクセスできない。長尾和宏先生がブログでPDFをアップしてくださった。

EBM神話の終焉

まことに素晴らしい文章。
それを掲載したお薬の宣伝紙も、ある意味凄い。
意味が分かって載せたのか、それとも分からずに載せたのか。
それでも「「EBMを信じるぞ、これが一番」というメデイアの方や一般の方は、拙書「薬のやめどき」で分かり易く解説したので、是非とも立ち読みしてほしい。

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長尾先生も皮肉たっぷりですね。

タイムリーで素晴らしい考察記事です。 記事をダウンロード 

  • RCTとは、人体も疾病も複雑過ぎて理解できないので、外部からの介入結果で判断しようという方法論である
  • しかし、 EBM の対象は忠者集団を構成する平均的患者であり、個別患者ではない
  •  薬剤AB を比較するRCTにおいて 4951で薬剤 B の有効性、安性が統計学的に証明されれば、薬剤 B が次の標準治療となる平均的症例に対する
    標準治療を無限回の
    RCTで改善するという概念がEBM

「100人の内51人に効果があれば標準治療になるが、49人ではダメ」は私もよく例えとして書いていますので、励まされる思いです。

  • 英文で発表されたRCTを重視するEBM思想、医療の正解は全て論文の中にあるという誤解を招いた
  • たとえRCTで優劣を付けられても、その結果を「自の前の患者」に応用できるか否かが不明となった平均的患者に標準治療を行うべきという考え方自体も揺らぎつつある個々の患者は均質でなく、高齢化で個人差は拡大するからだ

 ビッグデータやディープ・ラーニングによる人工知能の進歩で、人間の医師よりも高速で正しい判断ができる時代がもうすぐ目の前に来ようとしている。今は囲碁や将棋の世界でだが、医療の世界にもIBMのワトソンが登場している。

そのとき、マニュアル化されたファストフードの店員と同じことしかできない医師は、IT企業の下僕となっているかもしれない。

個別化医療への転換を前にして、RCTの基板の上に構築されたEBMやガイドラインは、どのように変容するのだろうか。

EBMprecision medicineが解き明かせない部分を重視すること。医師の手が触れることの治療効果や、患者の表情を見ることの診断的意義はデジタル化できないそうした仕事を大事にして、“病気や患者の分からなさ”と悪戦苦闘することが、マニュアル化の対極にあるのだ

EBM原理主義の腫瘍内科医や、メガファーマの広告宣伝部となり果てた患者団体に読ませたい文章ですね。

EBM神話の罠(1)

ハマリョウさんのブログで紹介されている「免疫の力でがんを治す患者の会」発足記念 市民セミナーのパネリストには、金沢赤十字病院 副院長の西村元一先生が登壇しています。

西村先生は、このブログ「今日の一冊(59)『余命半年、僕はこうして乗り越えた!』」でも紹介したように、がんの外科医であり、肝転移を伴う根治が難しい進行胃がんのがん患者です。

死を覚悟しながらも「金沢マギー」の設立に尽力するなど、素晴らしい活動をしている方です。ところが、先生の「余命半年」というタイトルや、免疫療法をも受けていることが気に入らない患者団体があるようです。こちら

タイトルを見て引き寄せられる人は少なくないだろう。私もその一人である。しかし、下記の記事を読むと、余命半年ではない。治療をしないと余命半年とある。
治療をしなければ余命半年・・・の、治療をしなければという文言を、記事のタイトルにきちんと、付け加えなければフェアーじゃない。

この西村医師が、これからなさろうとされることは素晴らしい。しかし、次のフレーズを読み愕然とした。

西村医師は免疫療法も受けている。エビデンスがない免疫療法には賛否両論があるが、さまざまな情報から「毒にはならない」と確認し始めた。

免疫療法?まいったなぁ~。申し訳ないけど、本当にがん治療医ですか?と疑いたくなる。

しかし、ここに書かれてある免疫療法とやらは、如何わしい詐欺まがいの例の治療だ。こういった副院長ともあろう方が、公然と、発信しちゃ~いけないんじゃないかな。
これじゃ~まるで、詐欺の片棒かつぎ!

相当厳しい非難ですね。ま、いろんな考え方があるから、こういう記事を書くのも自由ですが、現在がんといわれて治療しない患者はほとんどいません。ということは、「治療しなければ余命半年」というエビデンスなどあるはずがない。

ステージⅣの胃がんの生存期間中央値は1年程度であり、「何もしなければ半年」というのは、この数字からの医者の推測に過ぎない。本のタイトルは通常は編集者が考えるのだろうから「フェアじゃない」と難癖付けるのも大人げないなぁ。

免疫療法も、金沢大学の先進医療センターで治験がすすんでいてその情報をもとに選択したのであるから、「サギまがい」と一概には言えないだろう。

ちなみに西村先生は、全国のがん封じ寺も回っているし、近くの神社に朔日参りも欠かさないそうです。これらも批判するのでしょうかね。「医者ががん封じ寺を回るなんてけしからん。影響が大きすぎる」って。私は人間臭くていいなぁと感じるのですが。

「エビデンスのない治療を受けることはまかりならん」とは、なんと傲慢な方かと感じる次第です。「エビデンスがない=効果がない」とは限らないのですがね。EBM神話にどっぷりと浸かった方の耳には念仏でしかないか。

EBM神話=EBM原理主義と言ってもいいけど、確かに歴史的には大きな役割を果たしたことはまちがいありません。しかし、現在はその弊害も見過ごせないほどになっている。

EBMは世界的製薬企業のグローバル戦略の手段となり、莫大な利益を上げるための手段となり果てている。EBM原理主義を振りかざされたら、RCT(ランダム化比較試験)には莫大な費用がかかるために、効果が確かめられた古い薬や安価な薬、希少がんなどの薬に対するエビデンスは出てこない。利益にならない試験はやるはずがない。良心的な製薬企業があったとしてもRCTの費用が賄えない。

2017年1月15日 (日)

家族なら"完治"を願うべきか?

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小林麻央さんが出演したテレビの視聴率が20%越えだと話題ですね。私は観てませんが。
で、その中で市川海老蔵さんが語ったことばで”炎上”しているらしい。末期がんを抱えた家族が言うべき言葉ではないという非難らしい。

「海老蔵さんは昨年10月に、麻央さんについて『早かったら3、4、5月で、今年の夏は絶対無理だと思った』と語っていた。しかし、こういった表現は完治したか、もしくは亡くなった方について語るときの言葉でしょう。麻央さんがいま現在も死の恐怖に立ち向かっていることを海老蔵さんは自覚しているのか、はなはだ疑問ですね」

「患者にとっても身内にとっても望むのは常に“完治”のはず。しかし海老蔵さんの言葉は、“延命していること自体が奇跡”だと言っているのも同然です。しかもテレビで発言したら麻央さんに伝わるのは確実。それとも海老蔵さんは同じ言葉を、麻央さんに直接伝えたりできるのでしょうか?」

ある医療系ライターの非難らしいが、トンデモおかしいね。患者も家族も、治りたいという希望と同時に死にも向き合っている。あわよくば完治したいのはがん患者なら誰でも思っている。しかし、治らないものは治らない。

最悪を想定して最善を尽くす。

それが家族としての務めだろう。こんなときには、遠くの親戚が出しゃばってきて、代替食品やら怪しげな壺などを押し付けたりもする。病院を替えさせようとする強者もいる始末だ。

患者はもう抗がん剤は止めたいのに、身内が「どうか止めないでくれ」というので、仕方なく体がぼろぼろになるまで抗がん剤をやる人も絶えない。"完治"を願う身内の思いが、患者には拷問にもなる得る。

小林麻央さんのがんは遠隔転移しているのだから、抗がん剤では治らない。延命効果だけ。それを認めてよりよい時間を過ごそうと考えるのが身内としての優しい対応だろう。私には、二人ともその点は分かっているように思える。

しかし誤解を恐れずにいえば、小林麻央さんのように、余命幾ばくかで乳がんと闘っている患者はたくさんいます。抗がん剤の治療費を稼ぐためにパート務めをしている患者もいる。なぜ彼女だけが注目されるのか分かりません。有名人で視聴率が稼げる、週刊誌が売れるからというのが最大の理由ではないでしょうか。

麻央さんも、他のがん患者さんも、みんながんばってください。

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