膵臓癌の知識・情報

2017年4月25日 (火)

岡山大、肝転移の膵臓がんで治験

山陽新聞の記事ですが、『岡山大「REIC」で肝がん治験 医師主導で5月にも開始』によれば、肝転移した膵臓がんも対象になっているようです。

この記事を書いた記者、肝転移した膵臓がんを「肝がん」と書くなど、知識が不足していますね。ま、それは措いといて、

 岡山大は24日、がん抑制遺伝子「REIC(レイク)」を用いたがん治療の製剤について、肝がん患者を対象にした臨床試験(治験)を5月にも岡山大病院(岡山市北区鹿田町)で始めると発表した。製薬会社が主体ではなく、医師主導で行う。
 REICは同大が2000年に発見。がん細胞のみを選んで自滅させるとともに、がんに対する患者自身の免疫を活性化させる働きがある。同大などは、がん細胞への運び役「アデノウイルス」とREICを組み合わせた製剤を開発。実用化に向け、前立腺がんを対象にした治験を米国で実施しているほか、悪性中皮腫に対する治験に岡山大病院など国内3施設で取り組んでいる。
 今回は肝がんのうち、肝細胞がんと、膵臓(すいぞう)がんから転移した患者を対象に行う。病状が進行した12~18人を3人ずつのグループに分け、同大発の創薬ベンチャー・桃太郎源(岡山市北区柳町)が提供する製剤を2週間おきに計3回、腫瘍に直接注入する。グループごとに製剤の濃度を変え、安全性や治療効果を評価する。治験は1年程度で終わる見込み。

次のファイルををダウンロード

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REIC遺伝子を強制発現させると、がん細胞選択的に細胞死(アポトーシス)が誘導されることが実証されました。REIC遺伝子の異常は、ヒトの前立腺癌ではほぼ100%に、近年社会問題化している悪性中皮腫を含む多くのがんでも高率に認められ、がんをターゲットとする遺伝子治療として幅広い運用が可能です。この遺伝子を細胞に導入すると、正常細胞には影響がなく、がん細胞だけを選択的にアポトーシスに導きます。

とのことですが、がん細胞だけを細胞死(アポトーシス)させるとは、前にこのブログ「今日の一冊(71)」で紹介した小説『がん消滅の罠 完全寛解の謎』に使われた方法ですね。小説では、アポトーシスをコントロールすることで、政治の舞台の中枢にいる患者たちを思い通りに操ろうとしたのでした。

小説の世界が現実の治療法になるとは、おもしろい。

岡山大学 「私たちの取り組み」
全ての臨床試験は終了となっていますので、5月には新たに医師主導治験が始まるのでしょう。

アデノウイルス製剤の開発 : REIC

2017年4月23日 (日)

第5回『すい臓がんカフェ』の報告

今回もたくさんの患者さん、家族が参加されました。
皆さん、お疲れさまでした。

ハマリョウさんの講演『初回の手術から7年、2度の再発・再手術から学んだこと』は、手術、放射線、抗がん剤の具体的な治療法のできる施設の紹介もされ、参考情報として保存版にもなり得る内容でした。当日のスライドをこちらにPDFでアップしてあります。

「がん治療の虚実」の押川先生は、大人気で、たくさんの方に囲まれて、一つ一つ丁寧に答えていただきました。あまりに大勢なので、私などは近寄ることも遠慮して、お話が良くは聞き取れませんでした。でも皆さん、納得されていた様子でした。

「このまま死んでる場合じゃない」の共著者、患者である善本さんも、みなさんに囲まれて、具体的な治療法の相談に乗っていらっしゃいました。驚いたのは、肝転移、腹膜播種の患者の相談に対して、その場で治療可能なお医者さんに電話でコンタクトを取り確認をしていたことです。岡田先生を「ジャンヌ・ダルク」と評していた善本さんですが、善本さんもジャンヌ・ダルクですね。

押川先生、善本様、たいへん有意義なカフェになりました。お礼を申し上げます。次回以降も、機会がありましたらぜひお越しください。

参加申込みができなかったという方も多いので、次回は定員を増やして二部屋をぶち抜いて開催する予定です。

2017年6月25日(日)  定員 120名
時間と場所は同じです。
申込みの受付は、6月2日と3日と、2回に分けて行います。時間などは後日ご案内します。

2017年4月20日 (木)

膵臓がんの生存率の改善

Medical Noteに静岡県立静岡がんセンター 上坂克彦先生のインタビュー記事が載りました。

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  1. 膵臓がんの生存率を大きく変える「JASPAC 01試験」とは 膵臓がん手術の名医が解説
  2. 膵臓がんの生存率とは 大きく変容した膵臓がんの予後 生存率・再発率に関する最新エビデンスを解説

記事1は、膵臓がんの術後抗がん剤治療としてTS-1(S-1)を投与することによって、膵臓がん患者の予後が劇的に良くなった経緯を紹介しています。

10年前まで、膵臓がん手術後の5年生存率はわずか「約10%」だった

そうなんですね。私が手術をした10年前はそのように説明されました。ジェムザールを使えばそれが20%になるといわれたのです。当時のブログにはこう書いていた。

手術した場合の生存率は、あくまでも統計的に言えばだが、5年生存率20%、2年生存率50%。 あとの30%はどうなるのか聞き忘れた。5年以上あるいは2年未満?

私は幸運にも手術可能な20%に入っているわけだ。 手術自体は99%成功するから大丈夫ですよ、との説明に妻も納得。最後に先生から「がんばりましょう」と言われて診察室を出た。手術後の5年生存率はこれも20%ということにはお互いに触れず。まぁ、2年生存率50%に入ることを目標にがんばるさ。

TS-1とジェムザールの比較試験、JASPAC 01はそもそも非劣性試験(TS-1がジェムザールよりも優るとも劣らない)の予定だったが、実験を進めてみると予想外の結果が出た。中間解析でTS-1の方が生存率が2倍になっていることが分かった。

この結果を受けて「膵癌診療ガイドライン2013」を発表延期して、改定された。

記事2では、JASPAC 01後のJASPAC 04、JASPAC 05、JASPAC 07についての解説だ。

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JASPAC 04は、膵臓がんの術前治療として抗がん剤治療+放射線療法、抗がん剤単独のどちらの治療アプローチがより有用であるかを検討する研究で、結果は2年後に報告される。

JASPAC 05は手術が難しい症例(切除可能境界[ボーダーライン・レセクタブル])をいかに手術できるようにするかということに焦点を当てた研究です。切除可能境界と判断された日本人患者50例を対象に、手術の前にS-1(抗がん剤)と放射線治療を併用することによってその治療成績を明らかにしようとしている。

2012年にアメリカのMDアンダーソンがんセンターが発表した論文で「手術前に放射線療法や抗がん剤治療など何らかの治療をすることで、切除可能領域の患者さんの約60%は根治切除が可能になる」という結論を受けての研究。

JASPAC 07では、切除可能境界の患者さんに対して、S-1だけではなく、そのほかの抗がん剤での治療成績を明らかにしようとする研究。

膵臓がんの治療法は、日々進歩しています。特にJASPAC 05は手術不可の患者にとっては非常に重要で希望の持てる研究です。

2017年4月15日 (土)

膵臓がんを対象とした【先進医療B】

先日の記事「膵臓がんのTS-1とパクリタキセルの腹腔内投与が先進医療に」の関連です。

先進医療Bで膵臓がん関係は3つの医療機関。GEMとパクリタキセルの腹腔内投与(64)は、まだ東大病院だけですね。関西医科大学病院でTS-1とパクリタキセルの腹腔内投与(73)が新たに加わっています。

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先進医療を実施している医療機関の一覧」より。

2017年4月 9日 (日)

ドクターGを観たけど・・?

録画しておいたドクターGを観ました。なんだかなぁ?という感じ。
膵臓がんの発見は、こうして遅れていくんだなぁという感想しか持てなかった。

吐き気がある60歳代の女性。病名の診断がつかない。
腹部CTで十二指腸が狭窄していることがわかる。

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結局は膵臓がんだったのだが、十二指腸が狭窄するほどの腫瘍がCT画像に写らないとは考えづらいと思うんだが? 単純CTだったからだね。造影CTなら腫瘍が見えたはずですね。

だから、膵臓がんの可能性も考えて造影CTをやるべきではなかったでしょうか。

超音波検査で膵臓付近に黒い異常部分がある。これ、肥大化したリンパ節ですね。

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この時点でなぜ膵臓の超音波を見せないのだろう? 私でもこの時点で膵臓がんを疑うよね。

確定診断のために胃カメラ(内視鏡)を考えるが、十二指腸まで届かずに腫瘍の細胞が取れない。結局は大腸内視鏡を使って細胞診をして確定診断となるのですが、ずいぶんと時間がかかったのですね。

大腸内視鏡を試す前に、造影CTかMRIをやるべきではなかったですか?それですい臓がんと確定できると思います。大腸内視鏡を飲むのは辛かったでしょうね。

結局は膵臓がんから転移したリンパ節が肥大化して、十二指腸を圧迫。そのために閉塞して嘔吐をするようになったわけです。リンパ節に転移するほどの膵臓がんが造影CTで判断できないとは考えづらい。

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腫瘍が「良性か悪性か?」もナンセンス。リンパ節に転移して肥大させるほどの腫瘍が良性であるはずがないでしょ。

なんだかなぁ? という感じを持った番組でしたね。肝胆膵の専門医ならもっと迅速に診断できますよ。

次回からは観ません。

2017年4月 6日 (木)

転移性膵臓がんの長期生存例

佐藤典宏先生のブログー必見!

転移性膵臓がんの長期生存例:オリゴメタ治療後12年無再発の症例報告

このような症例は、もう少し多いようにも思う(希望的観測)

2017年4月 2日 (日)

福島で膵臓がんの死亡率が増加

福島で膵臓がんの死亡率が増加(福島民有新聞)

高齢化の影響などを取り除いて算出した12年の「年齢調整死亡率」(人口10万人当たり)は男性179.3人(08年比4.7人減)、女性85.7人(同2.9人減)でいずれも減少。ただ部位別では、男性が膵臓(すいぞう)13.5人(同2.2人増)、女性は大腸12.5人(同1.3人増)、膵臓9.5人(同1人増)、子宮5.2人(同1人増)などでわずかな増加がみられた。

セシウム-137は膵臓や心臓に集まりやすいのです。福島第一原発の事故が影響しているのかどうかは分かりませんが、気になるニュースですね。現在の東京も3.11以前よりははるかに汚染が残っているのですが、皆まったく気にしなくなりましたね。

近年膵臓がんが増加しているのは、食事の欧米化以外にも大気圏核実験と福島原発事故がある程度寄与しているのか? 分からないし、統計的にも証明などできないでしょう。

極わずかの違いに対して統計的な有意差を求めることは非常に難しい。しかし、極わずかな増加であっても多数の住民が対象ですから、決して無視はできないのです。

統計の限界というか、所詮、統計とは「極わずかな違いしかないときに相手を説得するためのツール」ですから、P値ばかりをあがめ奉るのは決して「科学的」とは言えません。

バンダジェフスキーの病理解剖データ

バンダジェフスキー氏は先に挙げた著作で次のように述べている。

とくに、心血管系疾患で死亡した患者の心筋には、消化器の疾患で死亡した患者より、確実により多くのセシウム137が蓄積していた。感染症で死亡した患者の肝臓、胃、小腸、膵臓には、心血管系、消 化器系の疾患(おもに胃潰瘍や十二指腸潰瘍)で死亡した患者に比べて、はるかに多くのセシウム137が蓄積していた。感染症の子どもは、先天性欠損のある子どもより多くのセシウム137を骨格筋に蓄積していた。

チェルノブイリ事故で汚染されたゴメリ州 (37~185kBq/平方メートル)の生後14日から14歳までの子どもを対象に心電図検査をおこなったところ、年齢層により55.9~98.1%の子どもに心電図異常が認められた。おもに不完全右脚ブロック洞結節伝導系の自律神経障害による異常であった。
ゴメリ医大に在籍する18~20歳の大学生では48.7%に明確な心電図異常が認められ、この学生たちのセシウム-137の平均濃度は26.00±2.00Bq/kgであった。
突然死した患者の部検標本を検査したところ、99%に心筋異常が存在し、心筋にはおよそ26Bq/kgのセシウム-137が取り込まれていることが分かった、としている。

体内に取り込 まれた放射性セシウムが平均40- 60Bq/kgの場合、心室の心筋細胞に微細だが明確な損傷が認められた。全細胞の10- 40%が非代償性の病変を起こし、規則的収縮ができなくなった。心筋の収縮機構が破壊され、組織溶解を伴わない萎縮性病変が観察された。筋小胞体網の細管が拡張し、ミトコンドリアの膨隆、巣状の筋小胞体の浮腫が認められたが、これらの病変は、細胞膜の浸透性の異常とイオン代謝の重大な変化を意味する。

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  1. セシウム137の体内放射能(1)
    を小さく見せたいという思惑が感じられる。セシウム137を経口摂取した場合の、ベクレルからシーベルトへ換算するための「実効線量係数」は1.3×10^-5とされており、...
  2. セシウム137の体内放射能(2)
    飲料水の分20Bqを加えると、新基準値のセシウム137を含んだ食品の一日のベクレル数が計算できる。計算過程は省略するが118Bq/日の摂取量となる。13~18歳のセ...
  3. セシウム137の体内放射能(3)
    、実効半減期=100日とする。最初の体内セシウム137はともに1000Bqで、1Bq/日、10Bq/日を摂取したときの1000日間の推移をグラフ化した。確かに小児は...
  4. セシウム137の体内放射能(4)
    11の図2-2を出発点としている。そしてセシウム137の実効半減期と1日の摂取量だけを使って計算をした。摂取量と排泄量とがある拮抗点(飽和値)になることは、これらを...
  5. 福島で激増する心筋梗塞
    感想である。掲載された図を見ると、確かにセシウム137の汚染濃度と急性心筋梗塞による死亡率には相関関係がある。直ちに「因果関係がある」とは言えないかもしれないが、福...

【重要】膵臓がんのTS-1とパクリタキセルの腹腔内投与が先進医療に

腹膜播種のある膵臓がん患者に、嬉しいニュースです。

【追記】加藤隆佑医師がこの件でブログに紹介されています。

私は、この治療を、以前に、胃がんで行っていました。とても効果がでる方が、多くいらっしゃいました。膵がんでも、同じように、効果がでるであろうと思います。

膵臓がんへのTS-1併用パクリタキセルの腹腔内投与が先進医療Bとして承認されました。「H170331S0030.pdf」をダウンロード

【S-1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法】
平成29年3月31日厚生労働省告示第112号により、「膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る)」に対する併用療法が、第3項先進医療技術 【先進医療B】に追加されました。4月1日適用です。

厚生労働大臣の定める先進医療及び患者申出療養並びに施設基準(平成二十年厚生労働省告示第百二十九号)の一部を次のように改正し、平成二十九年四月一日から適用する。

七十三 S―1内服投与並びにパクリタキセル静脈内及び腹腔内投与の併用療法  膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。

実施医療機関は厚生労働省の「先進医療を実施している医療機関の一覧」に記載されますが、現在は3月1日付の情報でまだ更新されていません。このページの中ほどより下(第3項先進医療技術【先進医療B】)に記載されるはずです。

現在では胃がんに対して29施設が対象となっていますが、これらがそのまま膵臓がんの対象医療機関となるのではないかと思われます。

第3項先進医療技術【先進医療B】とは・・・

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第5回『すい臓がんカフェ』参加者概要

第5回『すい臓がんカフェ』は早々に満席となりました。皆さん方の熱い期待を感じます。

参加者概要をアップします。(マスターと受付担当者を除く)

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2017年3月27日 (月)

ゲムシタビン+カペシタビンで10年以上生存

以前に書きかけてアップを忘れていた記事です。

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英国での臨床試験です。(英文ですが)

薬の組み合わせが膵臓がんの生存期間を延長する

この臨床試験では、(ゲムシタビンとカペシタビン)2つの化学療法薬を併用した患者の29%が少なくとも5年間生存していましたが、依然としてNHS(国民保険サービス)の標準治療薬である1つの化学療法薬(ゲムシタビン)を受けた患者は16%でした。

この結果は、最も一般的な21種の中で最も低い生存率を有し、年間8,800英国人を殺す膵臓癌を発症する人々の見通しを改善する可能性があるため重要である。 100人中1人だけが診断後10年以上生存しています。

英国、スコットランド、ウェールズ、ドイツ、フランス、スウェーデンの92の病院からの732人の患者が参加した。 ゲムシタビンとカペシタビンの両方を投与された患者のうち28.8%が少なくとも5年間生存していましたが、ゲムシタビンのみを受けた患者はわずか16.3%でした。

「短期生存率の差は控えめに見えるかもしれないが、長期生存率の改善はこのタイプのがんでは革新的である」とNeoptolemos氏は付け加えた。

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手術できずに抗がん剤だけなら10年生存率は1%、ということですね。統計的には確か6年生存率で0%のはずですから、画期的に結果とも言えます。

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