膵臓癌の知識・情報

2017年2月20日 (月)

膵癌細胞診のミスで胃に転移したAさん

先々週の出張で40mのタワーに垂直のモンキー梯子で上り下りして宿に帰ったら、ある方から自宅に連絡したいのだがとの伝言があった。

仮にAさんとしておくが、『すい臓がんカフェ』にも参加された方です。昨年ステージⅣaで手術ができ、再発もなく過ごしていたのだが、このところCA19-9が100を越えてわずかに上昇気味。同じ病院では月に1回しかマーカーの検査はできないので、別の病院で更に検査すると148まで上昇。

この程度のマーカー値ならほとんどの医者が「心配しないで様子を見ましょうか」と言うでしょうね。

「病院が違い、検査試薬が違うと値も変わるから、あまり心配しない方が良いのでは」とも医者は言ったのだが、Aさんは虫が騒ぐというか、納得できないので自分で申し出てPET-CTを撮ってもらった。

そうしたら胃に赤く光る部分があった。医者の話では、超音波内視鏡下穿刺吸引生検法(EUS-FNA)で細胞を取ったとき、胃に空けた穴の部分に細胞を取った針からがん細胞が付着したようなのです。というのは、細胞診で穴を空けた場所とPETで光っている場所が同じだったからです。

Aさんは、この病院で膵癌の確定診断に検査、検査で数ヶ月もかけることが納得できず、がん研有明なら細胞診なしで手術するのに、それならⅣaでなくⅢであったかもしれないのにと、医者にも苦情を言って、自分でもそう思っていました。

それが、さんざん時間をかけた確定診断のためのEUS-FNAで逆に胃に転移したのですから怒りが収まりません。「何万人に1人はそういう例もある」と説明されたそうですが。幸い胃の転移部は、Aさんが早期にPETをしたおかげで極小さく「今なら簡単に切除できますよ」と言われても納得できません。「もうこの病院はいやだ」と私に相談があったのです。

当然セカンドオピニオンを勧めました。そうしたら、その病院からの紹介先が「胃外科」になっていた。膵臓がんが胃に転移したって胃がんではないので、紹介先は肝胆膵外科だろう。この医者、大丈夫かなと思いました。しかたなくがん研有明で胃外科を受診したら、肝胆膵外科の部長先生を呼んで協議してくれたのです。そして、私の主治医でもある肝胆膵外科の先生が手術してくれることになったのです。先生からは「早く手術しましょうね」とのことでした。\(^o^)/

がん研有明は、膵臓がんの患者には特別枠で手術室と病室を用意してあると言います。膵臓がんは「足が速い」から細胞診もしないで手術に臨む。2~3ヶ月待っていると手術不可になることもあるからです。5~10%あるという「良性腫瘍」であったときには「ごめんなさい、でも良かったね」となりますけどと私の主治医も笑って言う。実際に10人に1人くらいはそうした不幸(幸運?)な患者もいるけど、苦情は出たことはないそうです。患者第一の考えには好感が持てますよ。「早い、安い、上手い(旨い)」吉野家のようになるのだと元院長が言っていたなぁ。

Aさんも今週に術前の再検査でCTを撮って早期の手術ができそうです。

私の友人の場合もこんなことが。十二指腸に近い膵頭部の膵癌が肝臓に転移していたのですが、都内のある病院では内視鏡が十二指腸近くの腫瘍まで届かないために細胞が取れずに確定診断ができなかった。何度かトライしている間に時間は経つ。仮に細胞が取れても病理検査は外に出すから2週間はかかるという。こりゃダメだと、セカンドオピニオンでこれも有明に連れて行ったら、皮膚から針を刺して、転移した肝臓から細胞を取って「膵腺癌ですね」と、二日後には診断が確定した。専任の病理医がいる病院は結果が早い。

無理に原発巣から腫瘍細胞を取ることはないのですよ。転移先の細胞も膵臓がん細胞の性質を持っているのだからそこから取れば良い。それに思い至らない医者というのは、経験不足、知識も思慮も足りないということ。時間を浪費して患者を苦しめるだけでした。

なぜ細胞診をしたかというと、前の病院の医師がGIST(消化管間質腫瘍)だろうとの診断だったからです。しかし、有明の先生は「肝転移の画像からも、 GISTにしては形が丸く整いすぎている。​20例/月ほどのGIST患者を見ている私の目には、GISTや肉腫は考え難い。GISTならもっとべたっと している。膵腺癌の顕著な特徴を持った画像である」との所見でした。

こういうこともあるのですね。がんもいろいろ、十人十色。医者もピンからキリ。膵臓がんは手術症例の多い病院で経験豊富な医師に診察してもらわなければ後悔することになります。教科書的な知識しかない医者ではダメです。

医者任せではなく、自分で情報を集めてよく考え、経験者にも相談し、納得のいく治療をしたいですね。

2017年2月18日 (土)

膵臓がんの最新治療法

膵臓がんの治療も最近進歩が著しい。Medical Noteに名古屋大学大学院医科学系研究科 消化器外科 准教授 藤井 努先生のインタビュー記事が載っており、最近の膵臓がん治療を要領よくまとめてある。

膵臓がん手術の常識を見直す−転移や合併症から膵臓がん患者を守る

膵臓がんは手術だけでは根治しない−さまざまな種類の治療を組み合わせた最先端の膵臓がん治療方法

  • 膵臓がん手術で最も多い合併症である「膵液の漏出」を防ぐこと
  • 「胃の切除範囲」は極力抑える
  • 激しい下痢や体重減少を引き起こす神経叢郭清は行わないか小範囲にする
    上腸間膜動脈に巻きついている神経には腸の働きを調節する役割があるため、少しでも傷ついたり、切除されてしまえば腸をコントロールできなくなり、食べた途端、下痢になってしまいます。
    手術後に食事ができなくなれば、回復もそれだけ難しくなります。この合併症により10〜20kg体重が落ちてしまう患者さんもおり、このような事態に陥ると、術後治療を受けることが難しくなります。
  • 「術前治療」-膵臓がんは手術を行う前に化学治療や放射線治療をしっかり行うと、手術後に再発しにくくなる
  • 「切除可能境界」と診断された患者さんにはデータをお見せし、手術を急ぐのではなく、まずしっかりと術前治療を行ってから手術に臨む

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  • 「フォルフィリノックス」と「ナブパクリタキセル」という2種類の新しい抗がん剤の登場により、膵臓がんの術前治療に大きな進歩が起こりました。
  • 膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」の可能性
    膵臓がん治療における「腹腔内化学療法」はテスト段階で、日本全国の実施件数も33例と少ないものですが、すでにその成績には目を見張るものがあります。33例のうち、半数の患者さんは浮遊しているがん細胞が消失し、3分の1の患者さんは腫瘍マーカー(血液検査時にがんの有無を示す数値)が正常値に戻りました。さらに驚くべきことは「腹腔内化学療法」の効果が腹膜播種の消滅だけでなく、その大元である膵臓がんにも現れ、膵臓にできた腫瘍が小さくなって手術を行えるまでになった件数が33件中8件、つまり4分の1の患者さんは手術ができるまでに病状が改善しました。
  • 効果があるとされている「パクリタキセル」という抗がん剤に保険適用の認可が下りていないため、この治療が行える施設が限られている
  • 「膵臓がんは手術だけでは根治しない」なぜなら、膵臓がんは再発率が非常に高いがんであり、たとえ手術で全てのがんを摘出することができても、再発してしまうことがしばしばあるからです。

     

私も「上腸間膜動脈神経叢郭清(しんけいそうかくせい)」をしたため、主治医からは「アヘンチンキは一生飲むようになる」と言われましたが、最近は神経叢郭清はやらないで下痢になる患者も少ないようです。

膵癌の腹腔内化学療法は、以前に紹介した放医研の岡田直美医師の著作『このまま死んでる場合じゃない!』でも取りあげられていたが、オリゴメタ説との関連してもっと積極的に考えたい治療法です。やれる施設は限られているけど。

膵癌の国内未承認薬はひとつ

国立癌研究センターが「国内で薬事法上未承認・適応外である医薬品について」を更新しています。

それによると、膵癌で国内未承認薬はひとつだけ。

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「イリノテカン水和物リポソーム注射剤」一般名「Onivyde」だけのよう。適用はゲムシタビンによる治療歴がある転移性膵癌とのこと。

ドラッグ・ラグは膵癌に関しては解消されたのでしょうか?

2017年2月17日 (金)

林さんのサバイバーストーリー

次回の『すい臓がんカフェ』で体験談を講演をしていただく予定の林正男さんのサバイバーストーリーが、パンキャンのサイトに掲載されています。

サバイバーストーリー:林 正男

2017年2月16日 (木)

がんの10年生存率 膵臓がんは少し改善

全がん協から、がんの生存率調査が発表されましたね。マスコミでも報道されています。

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昨年に続いて2度目の調査です。あいかわらず膵臓がんの生存率は低いですが、昨年の膵臓がんの全症例10年生存率は4.9%でした。今回は5.1%ですから、徐々によくなっています。10年前に告知された患者が対象の調査ですから、現在の患者さんではもう少しよくなっているはずですね。

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ステージⅣでも1000人に3人(0.3%)は10年生存しています。昨年は0.9%でしたから、こちらは悪くなっていますが、統計的変動の範囲内でしょう。手術率は37.3%から39.9%へと、良くなっています。

少しずつですが、長期生存する患者は確実に多くなっています。

中村祐輔先生が、これに関して記事を書いておられます。
中村祐輔のシカゴ便り「肝胆膵がんの治癒率向上のための戦略

肝胆膵癌は、早期発見も重要だが、早期に発見しても予後が悪い。画像で再発が確認されてから、次の手を打っても手遅れであることは、数字から明がである。もっと現実的なのは、画像で検出されないが、血液を利用したリキッドバイオプシーでがん遺伝子異常が確認された段階での、治療介入だ。

微量の血液からがんの遺伝子変異を早期に捉えて、治療を開始する。パンキャンでもその研究が進んでいるようです。

2017年2月 1日 (水)

『すい臓がんカフェ』満席です。すみません

驚きました。一日も経たないうちに『すい臓がんカフェ』への申込みが殺到して、あれよあれよという間に満席となりました。

夕方ゆっくりと申込みをされようとしていた方、申し訳ございません。

毎日新聞の「医療プレミア」で取りあげられて影響でしょうか、あるいは林正男さんの重粒子線治療で手術不可の膵臓がんが5年後も安定しているという講演を予告したためでしょうか。

いずれにしろ、膵臓がん患者の切実な思いがひしひしと伝わって参ります。

もっと頻繁に、大きな会場で開催できればよいのですが、気楽に情報交換できる「カフェ」という形態を崩したくないのと、マスターの二人とも現役で勤めを抱えた身でのボランティア、ハマリョウさんは抗がん剤の副作用とも奮闘中ですので、過度の負担になる催しにはしたくないとの思いがあります。無理なく長く続けることも大切です。

4月23日にも予定していますので、ご予定ください。

第4回『すい臓がんカフェ』開店します。

~ 現在の申込者数:患者(37) 家族(33) 遺族(0)
    初めて参加(43) 2回目(15) 3回以上(12) ~

      申し訳ございませんが満席になりました

Kaiten

【日 時】2017年2月26日(日) 13:00~16:30 (開場12:45)
【場 所】JR京浜東北根岸線 大森駅東口から徒歩4分
       Luz大森 4階 入新井集会室(大集会室)
【参加費】300円
【定 員】70名

申込みの受付は2月1日より開始します。

参加を希望される方は、こちらのオフィシャルサイトからお願いします。(『すい臓がんカフェ』のオフィシャルサイトは引っ越しました。)

前回から会の冒頭に、数名の方の自己紹介・体験談を披露していただいております。次回は林正男さんに「重粒子線治療ですい臓がんを狙い撃つ」と題して、重粒子線治療の体験をお話しいただく予定です。

標準治療やガイドラインに従えば、膵臓がんのステージⅣa、Ⅳbで手術ができない場合は延命治療の抗がん剤が唯一の選択肢です。しかしオリゴメタ説によれば、30~50%の患者は10ヶ所以下の少数転移であり、放射線などの個別化医療で治癒も可能になります。林さんの場合は、その典型的な症例ではないかと思われます。「膵臓がんで手術できなくても諦めることはない」、そうした希望のメッセージをお届けします。

2017年1月31日 (火)

ウコンは効くのか効かないのか?

ウコン(クルクミン)に関する話題が二つありました。

こちらはミネソタ大学のチームによる否定的な記事です。

健康食品「ウコン」(ターメリック)には薬効はないことが判明

黄色い見た目が特徴的な「ターメリック」、またの名を「ウコン」は、日本では二日酔いに効くとされ、本場インドでは傷薬や虫刺され、ひいては「ガンに効く」とまで言われています。カレーの原料としても知られるウコンは民間療法にも用いられる万能プレイヤーとして認識されているのですが、実は医学的な効能は認められていません。

クルクミンの化学組成には、実際にはタンパク質に作用していないにもかかわらず、あたかも効果があったかのような結果「False Hits (偽の結果)」をもたらす効果があることが明らかになっています。

False Hitsは偽陽性、偽陰性のことなのでしょうか? よく分かりません。プラシーボではないよなぁ。

一方で、こちらは最近精力的に膵臓がんの記事をアップされている佐藤典宏先生のサイト「あきらめない!がんが自然に治る生き方」の記事です。

クルクミンは膵臓がん(膵癌)の転移を抑える:間質(かんしつ)細胞を標的にした新たな抗癌作用

クルクミンの膵臓がんに対する抗がん作用の新たなメカニズムが報告されました。
クルクミンはがん細胞だけでなく、まわりに存在するがんの進行を手助けする細胞にも効果を発揮し、がんの転移を抑制しているとのことです。

クルクミンは線維芽細胞に対して直接作用し、がん細胞と協力して転移を促進する作用をブロックすることが示されました。
これは、これまでに報告されている、クルクミンのがん細胞自体の増殖制効果や、アポトーシス導入効果に加えて、まわりの細胞にも効果を発揮するという新しい抗がんメカニズムであると考えられます。

こちらも佐藤先生の別のブログです。同じ話題ですがより詳細に書かれています。

試験管やマウスレベルの研究ですから、すぐにヒトに効果があるとは言えませんが、期待はあります。

このブログでもクルクミンについてはいくつか書いていますが、もう情報が古いのかも知れません。黒コショウといっしょに摂るとクルクミンの吸収がよくなるなど。ちなみに私はもうすでにウコンは摂っていません。

ただ、春ウコンと秋ウコンではクルクミンの含有量は秋ウコンのほうが多いと認識しているのですが、どうなんでしょう。

ウコンは摂り過ぎると肝臓障害を起こすことがあるので、肝機能に異常のあるがん患者は要注意ですね。

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2017年1月23日 (月)

膵臓がんのオリゴメタ説(2)

「私の膵臓がんもオリゴメタ転移型かもしれない」と考えられるとき、どうすればよいでしょうか?

岡田医師の勤める放医研病院でセカンドオピニオンをお願いするという方法もありますね。放医研病院は重粒子線治療だけでなく、一般の放射線治療、小線源治療にも対応しています。

次にはオリゴメタ説に関心を持っている医者や病院(その多くは放射線治療)を探してみることです。主治医の先生に相談する。あるいはネットで調べて自分の足で探す。この「自分の足で」が大切です。ネットで調べても、実際に自分で電話してみる、足を使って確実な情報を入手することが必要です。

以下は私が検索して、ここならと思われるものです。大阪ですが、

オリゴメタ(Oligometastases:少数転移)の治療
医療法人新明会 都島放射線科クリニック 副院長 呉 隆進

現在のがん治療は、科学的な根拠に基づき根治を目指した初期治療や、終末期の患者さんへの対症的な緩和ケアにより、至適な医療が受けられる環境が整備されつつあります。しかし、その中間に位置する再発がんに対する放射線治療の役割は旧態依然としており、まだまだ積極的な発展が見られない状況です。
大腸・直腸がんの肝転移に対する手術の有用性については、多数の報告があります。最近では転移巣に対する手術適応の拡大などが徐々に浸透し、再発がん(転移)に対する臨床が少しずつ変貌しつつあります。放射線治療においても例外ではなく、近年急速に進化している高精度な放射線治療により、以前は照射適応外であった症例に対しても治療可能となってきました。しかし、現状はステージⅣという枠組みの中に入れられ、放射線治療のような局所治療は意味がない(生存期間が延びるという科学的根拠がない)ということで、漫然と化学療法だけに頼った治療が標準治療として行われています。
以上述べてきましたように、長期生存を目指せる条件を備えたオリゴメタであれば、潜在的な大きさの転移巣に対しては、全身療法として化学療法や分子標的療法の効果を期待し、化学療法などでは制御できない画像上明らかな転移巣に対しては、局所療法として放射線治療を補助的に施行する価値は十分にあると考えられ、当院では適応となる患者さんを積極的に受け入れています。
今後、科学的な根拠を示すには臨床データの集積が必要となりますが、まだまだがん治療医の間でもオリゴメタに対する認識は高いとは言えず、きちんと検査され当院へ紹介される患者さんは非常に少ない状況です。

オリゴメタ転移型には重粒子線が有効ですが、自費診療になると数百万円の医療費を負担しなければなりません。しかし、サイバーナイフやIMRT(強度変調放射線治療)などの定位放射線治療でも同等の効果が見込まれると考えられます。

このまま死んでる場合じゃない!』に登場する患者の善本さんも、岡田医師からはIMRTを勧められてのですが、先方の病院が「できません」となって、しかたなく重粒子線治療を選択したのでした。

サイバーナイフはほとんどのがんに保険適用となっているので、導入する民間の医療機関がどんどん増えていますから、東京や大阪でなくても治療の敷居は高くないと思われます。しかし、機器は導入しても使う技術者が経験を積んでいるか、医師がオリゴメタ説を理解して適格な放射線治療計画を立てることができるのかどうかは、わかりません。ここでも「自分の足で」情報を集めることが重要ですね。

IMRT(強度変調放射線治療)は、前立腺がんと頭頸部がんだけが対象でしたが、平成28年度の診療報酬改定で、限局性(散らばっていない)の固形悪性腫瘍が対象となり、ほとんどのがんについて適用となりました。

Ⅳ期の患者でも長期生存を目指せるオリゴメタ説に対する放射線治療や手術への認識は、患者のみならず医師でも認識度は非常に低いが、オリゴメタ説に対する認識を深めた治療を積極的に受け入れてくれるクリニックもポツポツ存在します。

しかし、緻密な臨床データーの解析が個々の患者に対して必要となるので、くれぐれも胡散臭いところは排除し、注意する必要があります。大病院でも主治医によっては、患者の可能性を的確に判断し、このような医療機関へ紹介されるケースもあるようですので、主治医との良好な信頼関係を築いているかどうかが鍵となるでしょう。

2017年1月20日 (金)

膵臓がんのオリゴメタ説

前回の続きです。膵臓がんにもオリゴメタ説は考えられるのでしょうか。考えられるとすれば、転移・再発した膵臓がんでも治癒の可能性があります。

オリゴメタ説(少数転移説)正確には(オリゴメタスタシス(oligometastasis)、少数転移するタイプの腫瘍をオリゴ転移型と言います。

ちょうど1年前のブログの記事で膵臓がんのオリゴ転移型について紹介しています。

記事では、関連した二つのサイトを紹介しています。

膵がんは予後が悪いがんの筆頭だ。しかし中には遠隔転移しにくいがんがいる可能性が強まった。こうしたタイプの膵がんには「その生物学的な特性に応じた独自の治療法が必要」という声があがり始めた。「非手術適応症例には化学療法」だけでよいのか。

と述べる、国立がん研究センター研究所難治がんユニットの谷内田真一氏も岡田医師と同じ問題意識を持っています。

************以後、日経メディカルからの要約**************

谷内田氏が米国留学の経験から学んだのは、一つには膵臓がんで亡くなった患者を死亡直後に解剖すると、15%には転移が認められないという。

2つ目は、膵臓がんの終末像は「局所破壊型」と「全身転移型」の2つに分類できるというものだ。全体の約30%を構成する局所破壊型の多くは遠隔転移の総数が10個以下。一方で残り70%を占める「全身転移型」では、その多くで遠隔転移の総 数が100個以上と桁違いに多い(図1)。

図1●膵臓がんの2つの終末像
C.A.lacobuzio-Donahue,S.Yachida et al.,J Clin Oncol 2009から引用。

3つ目は、たとえ手術ができたとしても75%は再発してしまうという。つまり手術が有効な症例は極めて少ないことを示唆している。

「膵がんは必ずしも1種類の単純ながんではなく、少なくとも2つのタイプに分けることができる。その特性に応じた治療法を考案すべきときに来ている」と谷内田氏は結論づけている。

オリゴメタ説の仮説の傍証となるような報告が日本から出された。東京都健康長寿医療センターの病理診断科のグループがストックしてあった8339の生物検サンプルを解析したところ178の膵がんを発見した。そのうちの8%の膵がんが無症候のうちに進展していることが明らかになった。

第53回日本癌治療学会学術集会のシンポジウム「膵がん治療の個別化による予後向上」では、山口大学医学部放射線治療学教授の澁谷景子氏が「膵がんの非手術適応の患者でも経過をみていて転移が出てこない方がおられ、そのような患者には化学療法ではなく放射線化学療法を選択すべきだと思うが、その選別が難しい」と講演している。

全身転移型と局所破壊型(オリゴ転移型)を分けるのは、膵癌特有の遺伝子変異である。膵癌の遺伝子変異はKRAS、P16/CDKN2A、TP53、SMAD4のわずか4つに集中していることが分かっている。そして、TP53とSMAD4、あるいはTP53に変異があると転移する傾向が強く、予後も悪い。対照的にTP53とSMAD4双方に変異がない場合は転移する傾向も弱く、また予後も比較的良好だ。

**********引用、ここまで**********

後者の場合はオリゴ転移型である可能性が高く、抗がん剤による延命治療ではなく重粒子線を含めた放射線治療、化学放射線治療、動注塞栓療法などあらゆる手法を使った個別化医療を進めることで治癒が期待できる。

これを実際に患者に適用しているのが、前回の記事で紹介した岡田直美医師なのですね。そして前回の記事にコメントをいただいた林さんも、たぶんオリゴ転移型の膵臓がんだったのでしょう。

「膵臓がんです。転移しているから手術はできません。抗がん剤治療で延命し、耐性ができ使える抗がん剤がなくなれば、あとは緩和です」と、標準治療のエビデンスだけに乗っかると、助かる可能性のある命を捨てることになりますね。

「迅速解剖プログラム」がある

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