膵臓癌の知識・情報

2009年11月 6日 (金)

千葉徳州会病院 がんペプチドワクチンの経過

6月9日のこのブログでも紹介したが、中村祐輔教授の開発したがんペプチドワクチンを使った千葉徳州会病院の膵臓がんの臨床試験について、その後の経緯がmsn産経ニュースに載っています。(11月6日付)

 「すごい効果が出るとは思ってなかったが、何らかの手応えは感じている」。千葉徳洲会病院(千葉県船橋市)の浅原新吾副院長(消化器内科)は、ペプチドワクチン療法の印象をこう話す。

 同病院は3月から、日本のゲノム(全遺伝情報)解析研究を率いてきた東京大学医科学研究所(東京都港区)の中村祐輔教授(同研究所ヒトゲノム解析センター長)が開発したペプチドを使い、既存の治療法が尽きた膵(すい)がん患者を対象に臨床試験を行っている。

 膵がんは診断から1年以内で亡くなる人も多く、治療法が尽きた患者の余命は一般的に数カ月とされる。同病院が臨床試験を行っている患者の中には腫瘍(しゅよう)が縮小したり、マーカーが下がったりした患者もいたという。

 浅原副院長は約10年にわたり、癌(がん)研有明病院(江東区)で消化器がんの治療に携わってきた経験を持つ。肝がんなどの患者ではごくまれにがんが自然消失するケースがあったが、膵がんではそうしたケースはみたことがなく、臨床試験の経過を驚きながら見守っているところだという。

まだ途中経緯で、びっくりするような結果は出ていません。腫瘍が縮小したりマーカーがさがったりという程度ですね。抗がん剤と違ってQOLは非常によいはずです。

中村教授の新刊著作『がんペプチドワクチン療法』をやっと入手しました。出版社が中山書店ですから、医者をターゲットとした本でしょう。内容も結構専門的です。まだぱらぱらとしか見ていないので、これからです。

がんペプチドワクチンも現状では決して「魔法の弾丸」ではないですね。過大な期待は禁物ですが、膵臓がんでもう治療法がないといわれた患者にとっては、早く一般的に使えるようになってほしいと願っています。

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2009年11月 2日 (月)

血液検査の推移 がんとの闘いに金をかけない

いつもの病院でアヘンチンキと消化剤。血液検査の結果をもらった。
白血球数:5280
リンパ球比率:53.6%
HbA1c :5.3

『リンパ球比率がちょっと多いね』といわれたが、正常範囲の50%を少し超えている程度。むしろリンパ球を増やすように努力してきたのだから、私としては目標達成という気持ち。HbA1cもまったく正常で、反って『低血糖に気をつけた方がよいですよ』といわれるくらい。膵臓が半分以上なくてもインシュリンも十分分泌しているし、膵臓の機能もほぼ満足だ。血液検査の他の結果もまったく悪いところがなくて、”健康そのもの”の体だ。

2年前の手術のころからの血液検査の結果をグラフにしてPhotoみた。手術前の白血球数は4000前後。最初のデータは2005年のものであり、これが私の通常の値である。一般的にいえば、平均より少ないのが正常値ということになる。

膵臓切除の手術をしたとたんに急増して7000を超えるときもあった。手術後の炎症反応に体が対応した結果ではないかと思われる。そして術後補助化学療法でジェムザールを始めたとたんに白血球数が減り始めている。リンパ球の実数はさらに減少割合が大きい。抗がん剤が、分裂が活発なリンパ球をも攻撃している様子がよく分かる。

抗がん剤の投与が終わると徐々に白血球数もリンパ球実数も増加しつつあったが、さらにこのころマルチビタミンを服用しだした。主に抗酸化作用と腫瘍抑制作用のあるビタミンを多く含んだマルチビタミン剤である。これも結果的には効果があったように思う。そしてメラトニンを就寝前に服用しだした。一点おかしなデータがあるが、全体的には徐々に右肩上がりに増加している。

このようにして今の私の体にはこれまでの人生では最大のリンパ球攻撃部隊を傭することになった。小さな目には見えないほどのがん細胞を退治してくれているだろうと期待している。癌との闘いの帰趨を決めるのは、最後は『自己の免疫力』だ。それに体力。体力のない患者が長生きできるはずがない。気力に精神力も必要だ。要するに闘いは総力戦である。一つのサプリメントや魔法の特効薬ががんを治癒することなどあり得ない。この点に関してはがんペプチドワクチン療法などの免疫療法も同じだろう。戦争を遂行するとき、その国の経済力が戦略を決定づけるように、がんとの闘いにおいては免疫力・体力・気力・精神力などの総合力が闘いを決定づける。仮に一発の核弾頭を持っていたとしても長期戦においては経済力を初めとする総合力が帰趨を決める。北朝鮮を見よ。

30分以上の散歩を週5回以上、十分な睡眠を取る、ストレスを溜めない、玄米菜食(時には肉も食らうが)、たくさんの野菜と果物(昼食は果物だけというときも多い)などなど、どれもが効果があったに違いない。どれが効いたとはいうことができない。メラトニンの効果も不明だ。

今日の朝日新聞の夕刊に、夜勤の人にはがんの発生が有意に多いという記事があった。寝るべき時間に明るい環境にいると、メラトニンの分泌が減って来ることが知られている。それによって抗酸化作用は抗腫瘍作用が少なくなるためにがんが増加する。これは乳がんの患者の分析で統計的に明らかになっているが、他のがんでも同じことだろう。副作用のない安価なメラトニンだ。服用を続けることに問題はないと思う。

膵臓がんを再発・転移させない。そのためにできることは何でもやる。という気でやってきたが、金をかけないということも大事なこと。高価なサプリメントなら効果があるに違いないというがん患者の無邪気な誤解に、私は挑戦してきた。高ければ効くというものでもなかろう。ビタミンとメラトニンでは高価な薬を探す方が難しい。散歩には金はかからない。湯たんぽで暖めてはいるが、湯たんぽではしれたもの。ドイツ製だという少し高価な湯たんぽを買ったのではあるが、それでも3000円くらいだった。サプリメントよりは本代の方に金を使っている。

拾った命だから、のんびりいく。拾った命を、楽しんでいる。

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2009年11月 1日 (日)

物理学者・戸塚洋二 がんを見つめる

31日(土)15時から1時間のNHKヒューマンドキュメンタリーで、このブログでも先に書かせていただいた戸塚洋二さんのことが取り上げられた。戸塚さんのブログの内容に沿っての番組だったが、佐々木閑氏が対談のテープを残していて、肉声を聞くこともできた。

迫り来る死への恐怖に、佐々木閑氏との対談では『科学者として、死んだときどのようになるのか、その観察結果を報告できないのが残念だ』との趣旨に発言をされていた。がんのCT写真をデジカメで撮影してその大きさを測定し、時系列のグラフにして、抗がん剤の効果を判定しようとしていたのは、「実験屋の悲しい性です」という。しかし、ちょっと疑問なのは、CTは輪切りにして断面を撮影するわけで、輪切りにする位置が毎回微妙に違えば、腫瘍の大きさ(断面)も正確には撮影できないのではないかという疑問だ。そのあたりはどのように解決したのだろうか。

死ぬときは全ての人が大往生なのです。「壮絶な死」などいうものはない。自然現象であり、美しくもないし醜くもない。死ぬ瞬間は脳には大量のドーパミンが放出されるらしいので、外見は苦しそうにしていても本人はほとんど苦しむことはないという。
死ぬ瞬間は、トンネルの向こうに光が見える、すばらしい花園があり、とても幸せな気分になる。臨死体験をした人はそのように言う。

人はいずれ「無」に帰る。もとの宇宙を構成していた原子にばらばらになっていく。そのときにはこの「自分」は存在しないのであるから、存在しない自分は、自分が「無」になったことを知ることはできない。古代ギリシャの哲学者エピクロスは、

死は、もろもろの悪いもののうちで最も恐ろしものとされているが、じつはわれわれにとって何ものでもない。なぜかといえば、われわれが存在する限り、死は現に存在せず、死が現に存在するときには、もはやわれわれは存在しないからである。

と言っている。なるほどと思うが、いやそれでも死を恐れるのはどうしてか。それは生きている間に「死」を想像することができて、しかも死んだあとに自分が死んだということを認識できない。つまり、睡眠から目覚めたあとでは、自分がこの間寝ていたということを認識することができるが、自分が死んだということを自分では認識できない、ここに死の恐怖があるのではないか。これは、睡眠からはいずれ目覚めるが、死から目覚めることはないということと同じ意味になる。エピクロスのいうことは、逆に死を恐怖する理由になっているのではないか。 いずれもう少し考えてみよう。

戸塚さんは、ニュートリノに質量があることを発見して、世界を驚かした。ニュートリノに質量があるかないかは、この宇宙の未来を左右する。この宇宙は「無」から誕生し(ビッグバン)、それ以来膨張を続けているのであるが、宇宙の全質量がある値以上であればいつの日か収縮に転じる。これはアインシュタインの相対性理論から出てくる結論である。そしてニュートリノに質量があれば、宇宙の全質量はいずれ収縮する可能性がある。ということは、収縮してまた「無」に帰るということになる。われわれは「無」から「無」にいたる時間の間の、本の一瞬にたまたま生を受けているに過ぎない。戸塚洋二さんが成し遂げようとしたことは、このようなことなのだ。

だからどうした、と言ってしまえば身も蓋もないが、がん患者であろうがなかろうが、人は体力の続く限りやりたいことをやるのが、避けられない死、無に帰る死を穏やかに迎える秘訣なのかもしれない。

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2009年10月24日 (土)

中村祐輔教授の新著

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中村教授の新著『がんペプチドワクチン療』が出版されている。10月6日が発 売だが、購入を躊躇しているうちに(価格が・・・)アマゾンでは在庫切れ・入荷待ちになっているようだ。

やはりそれだけワクチン療法ががん患者の期待を集めているということだろう。この本の帯は「どのようにはたらき、どのくらい効くのか? 臨床医とがん患者の疑問に答える」となっているので、ある程度専門的な内容だと思われる。値段からしてそんな感じだ。

毎日新聞の昨日の夕刊(23日付)でも中村教授へのインタビュー記事があった。中村教授がヒトゲノム研究を自分の仕事と決めたいきさつなどが語られている。

大阪大学医学部を卒業後、外科医として大阪府内の病院に勤め、がん患者たちと向き合うことになった。「若い女性でしたが、私の白衣の袖をつかんで、泣いて訴える患者さんもいました。誰もが病気の回復を願っていますが、やはり全員を助けられるわけではなかったんです」。無力感が中村医師を襲った。 こうしたがん患者との出会いがきっかけで、アメリカで5年間、人間の遺伝子暗号と言われるヒトゲノムの研究に没頭した。<中略>
食道がんや、膵臓(すいぞう)がんなどに対して、これまでに行われた臨床研究の結果は、被験者の4割でがんの進行が止まり、2割でがんが小さくなったとの こと。これは、既存の抗がん剤と同程度かそれ以上の効果であり、副作用も抗がん剤より圧倒的に軽い。現在は、より早期のがん患者でも臨床研究を続けてい る。

月曜日の「クローズアップ現代」のがんワクチンの放送予定もある。ワクWshot00036 チン療法への期待が高まっている。

これもがんワクチンに関する情報だが、FDAが「企業向けガイダンス-がん治療用ワクチンのための臨床学的考察」(ドラフト版ガイダンス)を出している。和訳はこちら

がん値ようようワクチンは、従来とは異なる臨床試験方法を採用すべきだという内容。しかし養子免疫療法(NK細胞療法など)とは一線を画す必要もあるとの提言である。

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2009年10月23日 (金)

がん難民コーディネーターとホメオパシー:似非治療に騙されない

『ガンに打ち勝つ患者学』という本をWshot200054以前に紹介したことがある。肺がんになり余命1ヶ月と告げられたグレッグ・アンダーソン氏が、末期癌にもかかわらず10年以上も生存している全米の15000人の人たちに会い、その中からガンに打ち勝つための共通点を書いた本。この本を翻訳したのが藤野邦夫氏だった。

藤野氏はこの本の翻訳を機会に、自らを「がん難民コーディネーター」と 称して、無償のボランティアとしてがん患者と医者との橋渡し役として活躍することになった。彼の活動は2009年1月22日の「報道ステーション」でも『見放された患者と共に闘う "がん難民コーディネーター"』のタイトルで放映された。

この藤野氏は、『がん難民コーディネーター』と、最近に『ガンを恐れず- ガン難民にならない患者学』の2冊の本を出版している。これらの著作の内容は、基本的 には『ガンに打ち勝つ患者学』のWshot200053延長線上にあるものだと言えよう。がんと闘うための基本戦略として、①伝統的な西洋医学を中心にした治療を受ける ②進行したがんに対しては西洋医学では限界があるので、統合医療も求める ③大切なのは自己免疫力を高めることであり、ライフスタイルによる「非特異的免疫療法」を維持する、と紹介している。「非特異的免疫療法」は彼の造語であり、NK細胞活性化免疫療法などの従来に免疫療法に対して、ライフスタイル改善により自己免疫力を高める療法を「非特異的免疫療法」と呼んでいる。

非特異的免疫療法として

  1. 定期的な運動をする
  2. 十分な水分を摂る
  3. 毎日ぬるめの風呂に20分から30分、のんびりとつかる
  4. からだを冷やさないようにする
  5. イメージ療法をする
  6. 医師の予想や検査データに一喜一憂しない
  7. どんな時間帯でも寝るようにするWshot200052_2
  8. 食事を大切にする
  9. 強い抗がん効果がある加熱した野菜を摂る
  10. フルーツ・シード類・ナッツ類を摂る

を述べている。これらの彼の独創といったものではなく、いろいろな人がこれまで書いてきたことを彼なりにまとめたというだけのものである。藤野氏もそう書いている。当然だが、私が手術後に実行してきたがん攻略戦略とも多くの点で合致しているし、書かれていることの一つ一つは概ね合点がいく内容だ。(中には首をひねるようなものもあるが)

しかし、見逃せない点がある。それはホメオパシー療法を勧めている点だ。2点の著作にはホメオパシー療法をはっきりと勧めて書かれているわけではない。『がん難民コーディネーター』に帯津良一氏との対談で、帯津良一氏がホメオパシーで自分の患者を治療したということが述べられているだけである。

ホメオパシー療法は、すでにランセット論文などでもプラシーボ効果程度の効果しかないことがはっきりと示されて、決着済みの問題である。ようするに似非治療の最たるものがホメオパシー療法である。(こちらに詳細に紹介されている)2点の書籍の内容とは何の脈絡もなく、報道ステーションではホメオパシーが奇跡の治療法のようにナレーションされていた。単なる砂糖粒にすぎないレメディーを高価な治療費を取っているのは詐欺に等しいといわざるを得ない。

また、『ガンを恐れず-ガン難民にならない患者学』では、最後の「あとがき」に突然「協和のアガリクス茸仙生露」や第一酵母という会社の「コーボンマーベル」等の健康補助食品を、免疫力を上げる食品として積極的に勧めている。「これらは僕とは利害関係はありません」とは書いてあるだが、これが効果があるという根拠も、治ったという症例も一切説明抜きで、本の内容ともちぐはぐに書いてあるから驚いてしまう。

協和のアガリクス・・・は、「この製品は2003年に、NCI(アメリカ国立癌研究所)で、日本の健康食品素材として始めてガン予防剤開発研究に採択され、前臨床試験の結果、肺がん、大腸がん、乳がんに対する予防効果が認められています。」と書いてあるが、そのような事実がないことがいくつかのブログでも紹介されている。20億円の研究費が付いたということだが、

アガリクス茸については、ある大企業が、ある大学教授と組んで、米国の国立がん研究所(NCI)から20億円も研究予算を取った、ということが、センセーショナルに健康産業関係のニュースで流れたことがあります。

 米国は、あくまで自らの国益にかなうことに対して、予算を出すのが建前ですから、米国事情にくわしい私は、ややおかしいな、と思いました。

 そこで、ワシントンDCを訪問した折に、以前より親しくしている米国国立がん研究所でがん相補・代替医療研究調査局の局長をたずねて、事実かどうか、真偽を、直接、あちらのVIPにたずねてみました。

 「20億円もの予算が出たのなら、まっさきに、そういう情報は私のところに来るはずだけど、聞いたことないな。また、米国では、アガリクス茸については、あまり関心をもたれていないのが実情だ。臨床試験に関してなら、必ずこちらに情報が入る。どうも、このプログラムは、予防に関してのものらしいが、それなら、アガリクス茸のがんについての効果についての研究にならないし。20億円もの予算が予防の研究で獲得できるとは思えないな。」

 局長は、はっきり、こういったのでした。それなら、あの日本の健康食品業界のフィーバーは、一体、なんなの?といった感じです。

私が少し調べただけでもこのような記事が出てくる。まして藤野氏は翻訳家であり、英文の検索などお手の物のはず、NCIの該当する論文なり、研究結果なりを載せて説明するべきであろう。

ハーネマンがホメオパシー療法など自身の主張をまとめた著作『オルガノン』が出版したのが1810年である。この時代の西洋医学は、病気を治す医学にはほど遠い状態であり、瀉血が唯一の治療法といってもよい状態であった。消毒という概念すらないのである。消毒の概念は、ハンガリー人の医師であるゼンメルワイスが1847年に始めて提唱している。一方我が日本では、すでに戦国時代のころには焼酎で傷口を洗うという知恵を持っていたのだ。経験知識としてアルコール消毒をしていたのである。当時の日本の方がよほど進んでいたのだ。こんな時代のヨーロッパのホメオパシーを、21世紀の日本でありがたく高い金を出している患者が哀れでもあり、滑稽でもある。

ホメオパシーにはこんな逸話がある。ナイチンゲールの書いWshot200051 た『看護覚え書―看護であること・看護でないこと』にあるホメオパシーの薬についてだ。当時の一般大衆の医療知識について、

男性たちはよく、これら健康に関する法則を女性に教えることは賢明ではない、なぜなら彼女たちは自分勝手に薬を使うようになるからであり、そうでなくても現に見かける素人療法には目にあまるものがあるではないか―これは事実である―と主張する。ある有名な医師の話によると、医師の処方としては経験上考えられもしないほどの多量の甘汞が、急病時に、また常備薬として、母親や女家庭教師あるいは看護婦などの手で、子供たちに与えられているということである。また別の医師によれば、そのような女性が身につけている薬の知識といえば甘汞と緩下剤だけである、という。

つまり、素人判断で大量の薬を大人子供の区別もなく与えたり、ロンドンから取り寄せた薬の効用や副作用もろくに知らないのに、善意のつもりで貧しい人々に施したりする”立派なご婦人”がたくさんいたという。
(現在だって、●●が私のガンに効いたから、あなたも飲んでみたら、と勧める御仁はいますね。これを「善意の謀略」といいます。ナイチンゲールの時代並みの知識しか持ち合わせない方がたくさんいるということですが)

で、ナイチンゲールは皮肉っぽく次のように書いている。

ホメオパチー療法は素人女性の素人療法に根本的な改善をもたらした。というのは、その用薬法はまことに良く出来ており、かつその投薬には比較的害が少ないからである。その「丸薬」は、どうしても善行を施して満足したい人たちが必要とする一粒の愚行なのであろう。というわけで、どうしても他人に薬を与えたいという女性には、ホメオパチーの薬を与えさせるとよい。さしたる害とはならないであろう。

毒にも薬にもならないものだから、素人に与えても安心だというわけである。帯津良一先生や藤野邦夫氏よりもナイチンゲールの方がよほど科学的な考え方をしているということだ。

もちろん、藤野氏も活動を善意で始めたことには違いないと思う。ある強烈な経験=自分の癌が治ったという経験が、善意から、多くの人にもこのことを知らせたい、と考えることはよくあることに違いない。がんの患者学研究所の川竹氏もそうした一人だろう。しかし、善意も、組織を作って運営をしていくうちに変わってくる。善意だけでは組織と運動は維持できない。そしていつの間にか、最初の目的とはなんだか違うようになってくることもよくある話しだ。

「がん患者のあきらめない診察室」の「臨床医のひとり言」では、藤野氏に公開討論を申し込んだり、批判の文章がアップされている。こちらも一読の価値有り。

今朝の食卓にレンコンが出てきた。「テレビで新型インフルエンザに蓮根が効くといっていたわ」と妻が言う。別にそうだから出したわけではなく、我が家では朝によく出されるというだけのことだが、蓮根が八百屋で品切れ状態だったそうだ。ホメオパシーが新型インフルエンザに効くというニュースか番組かもあるらしい。私は知らないが。

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2009年9月18日 (金)

タルセバを膵がんの治療薬として申請

中外薬品が、タルセバを膵がんの治療薬として申請すると発表しました。ジェムザール以外の有効な抗がん剤として治療の選択肢が増えることはありがたいことです。

抗悪性腫瘍剤「タルセバ(R)」
膵がんに対する効能・効果追加の承認申請について

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 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治](以下、中外製薬)は、上皮増殖因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤 -販売名『タルセバ(R)錠25mg、同100mg』(以下、「タルセバ(R)」)の、膵がんに対する効能・効果追加の承認申請を厚生労働省に行いましたのでお知らせします。

 「タルセバ(R)」は、がんの形成・増殖に重要な役割を果たすたんぱく質の働きを抑制する薬剤です。日本では、「切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌」を効能・効果として承認されています。

 進行・再発膵がんに対しては、海外で行われた主要な第III相臨床試験(PA.3)において、「タルセバ(R)」を標準的な化学療法であるゲムシタビンと併用することで、主要評価項目である全生存期間ならびに副次的評価項目である無増悪生存期間が統計学的に有意に延長することが示されました。これにより、海外では既に膵がんに対する一次治療薬として承認されています。

 中外製薬は、がん領域を重点領域の一つとして位置付けています。膵がんは治療薬の選択肢薬剤が非常に少ないがんの一つであり、年間の国内死亡者数は23,000人以上と推計されています。中外製薬は、この治療の難しい膵がんに対する新たな治療選択肢を患者さん・医療関係者に提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。
                                           以上

●タルセバ(R)について
 「タルセバ(R)」は、がんの形成・増殖に重要な役割を担う上皮増殖因子受容体(EGFR)を標的として開発された低分子の医薬品です。2004年11月に進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として米国で、2005年9月には欧州で承認されています。また、膵がんでは、2005年11月に米国、2007年1月に欧州で承認され、がん治療に貢献しています。
 国内では、「切除不能な再発・進行性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺癌」を効能・効果とし、1日1回の経口投与による治療薬として2007年12月に発売されました。

関連情報
エルロチニブ(タルセバ)Wikipedia
http://prw.kyodonews.jp/prwfile/release/M000010/200704269957/_prw_open.html
やぶいぬ応援団

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2009年9月 5日 (土)

砂糖はがんの栄養

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白壁の伝統的な商家で薬局。(高知県奈半利町)


一時はがんの早期発見の切り札であり、がん検診の革命かといわれたPET(陽電子放射断層撮影、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー)ですが、国立がんセンターの内部調査で、がんの85%を見落としていたと報道されて衝撃を与えました。

同センター内に設置された「がん予防・検診研究センター」では、2004年2月から1年間に、約3000人が超音波、CT、血液などの検査に加えPET検査を受け、150人にがんが見つかった。ところが、この150人のうち、PETでがんがあると判定された人は23人(15%)しかいなかった。残りの85%は超音波、CT、内視鏡など他の方法でがんが発見されており、PETでは検出できなかった。(2006年3月3日 読売新聞)

PETががんの早期発見に有効だとされたのは、がん組織がほかの部位よりも多くブドウ糖を消費していると考えられたからです。放射化されたブドウ糖を体内に注入し、放射線の多く出ている部位、つまりブドウ糖がたくさん消費されている部位を見つければ、そこに腫瘍ができている可能性が高いということです。つまりブドウ糖=砂糖はがんを育てる栄養であるということ。

ノーベル生理医学賞を受賞したドイツの生物学者ヴァールブルクは、悪性腫瘍の代謝がブドウ糖の消費量に左右されることを発見しました。

精白糖や精白小麦粉を食べると、血液中のブドウ糖の割合=血糖値が急速に上昇し、ブドウ糖を細胞に吸収させるためにインスリンが分泌されます。そしてインスリン様成長因子(IGF)が分泌され、細胞の成長が促進されます。

さらに、インスリンとIGFはともに炎症性因子を刺激する作用があり、炎症性因子は腫瘍の成長を促進する働きをします。大量のインスリンとIGFが分泌されると、がん細胞の成長が促進されるだけではなく、がん細胞が隣り合う組織を浸食する力を高めることが知られています。
糖尿病患者はがんになる確率が高い(膵臓がんになる確率も高いことが知られている)ことや、東南アジア人が欧米人に比べてホルモン依存性のがん(乳がん・前立腺がん)に罹る確率が5分の1であることなどより、この仮説はほぼ確かなようです。

喫茶店でアイスコーヒーを注文するとシロップが付いてきます。トウモロコシから抽出した果糖のシロップ(果糖とブドウ糖の混合物)です。20世紀後半に登場した新しい食品原料であるシロップは、今や多くの加工食品に使われています。砂糖だけでももてあましている私たちの体は、シロップの登場で完全に限界を超えてしまったのです。

私たちの遺伝子は、糖分を年間で2キログラムしか消費しない栄養条Img002 件のもとで形成されたのですが、20世紀の終わりにはその消費量は一人あたり70キログラムというとんでもない量になっています。これが先進国で第二次世界大戦後に急速にがんの発症率が上昇した一つの原因だと考えられています。

私たちがん患者が食事療法に取り組む場合、まずは精白糖や精白米を摂ることを止め、全粒粉で作ったパン、玄米を主食にし、血糖指数(GI値)の高い食品を遠ざけることから始めるべきでしょう。最近の研究では、肥満とがんには共通の原因があることが分かってきました。「カロリー制限は寿命を延ばす」という研究結果も報告されているのです。

GI値はシドニー大学が研究の中心地となっています。何度か取り上げた『がんに効く生活』にも代表的な食品のGI値が載せられていますが、日本語の主な食品のGI値はこちらにあります。この表のピンクの食品は避ける方が無難です。

穀類では玄米・五穀米、パン類はほとんど駄目で菓子パンはもってのほか。麺類はうどんもだめで蕎麦だけ。野菜・芋類ではジャガイモ・ニンジン・カボチャが高い。ニンジンは食べるなということではないです。野菜にはそのほかの栄養素もあるからGI値だけで判断できません。量が問題だということです。

GI値(グリセミック指数)よりも大事なのは、GL(グリセミックロード)です。炭水化物の量も含めて通常食べる量を比較したときに、どれだけ血糖値を上げやすいかの指標がGLです。バナナ一本とリンゴ一個をGLで比較すると、バナナはリンゴの2倍以上血糖値を上げやすいと言えます。GL値を記載した日本語のサイトはほとんど無いのですが、「米国統合医療ノート」により詳しい話が書かれています。

GL値を計算するのは面倒ですので、おおざっぱに言ってしまえば、がん患者は玄米菜食に変え、ケーキなどの甘いもの(ケーキには不飽和脂肪酸も多く含まれている。これもがんの栄養)を避け、コーヒーには砂糖を入れないでブラックする(緑茶にした方がもっとよい)。要するに、糖尿病食は健康食であり、がんに栄養を与えない食事だということです。

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2009年8月28日 (金)

直腸がんの検査を受けました

10年前に手術をした直腸がんで、毎年術後の定期検査を受けていたのですが、2年前の検査は膵臓がんになり入院していたため受けることができませんでした。予後の悪い膵臓がんになった時点で直腸がんの再発なんかを心配する必要もないので、そのままにしておいたのですが、6月に癌研で2年目の定期検査を受けたとき、主治医の先生がこのように言われたのです。

「前に直腸がんをやっていますよね。3年くらい放っておくとポリープが育ってがんになる可能性もあるから、一度大腸の検査をやっておいた方がよいですよ。癌研でなくても良いから近くの病院で受けておいたらいかがですか」

2年経って膵臓がんの転移も再発もないので、もしかすると長期生存例になるかもしれない、主治医の先生はこのように考えて言われたのかもしれませんね。私の希望的観測かな、やっぱり。

まぁ、せっかくだから、直腸がんの手術をした大学病院でCTと肛門からの内視鏡の検査を受けました。一昨日がその結果を聞く日でした。結果は異常なし。ついでに肝臓と肺も診ていただいたのですが、問題なさそうでした。やれやれです。

しかし、気になるのが腫瘍マーカーの値です。CA19-9が始めて基準値を超えていました。37の基準値に対して41.0。CEAは問題なく基準内です。ちょっと気になります。

手術後の膵臓の病理検査は、静脈侵襲:V2、リンパ管侵襲:ly2という結果で、セカンドオピニオンでは「肝臓への転移が高い確率で起こる可能性がある」と言われたのでした。あれから1年半ですが、いつまで経っても検査数値には神経を尖らせています。

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あまり頼りにならない腫瘍マーカーの中で、CA19-9は膵臓がんに対して陽性的中率90%という比較的精度の良いマーカーです。それだけにこのアップは気になります。しかし、基準値を超えたといってもごくわずかです。進行膵癌では10000程度にもなるマーカーですから、41程度でオタオタしているのはみっともないです。これまでも結構上がり下がりもありましたし、試験機関によって数値が違うことは良くあるそうです。別々の病院での数値を比較することに意味があるかどうか疑問です。

次回の検査は12月です。それまでは自分で決めたがん攻略法に従って自己治癒力を高めることに専念するのみです。

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2009年8月22日 (土)

金馬師匠から笑いの治癒力をもらった

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夏休みも終わって今週からはチェロのレッスンが毎週連続します。練習曲も新しくなって、「私のお気に入り My Favorite Things」。ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」の挿入歌でしたよね。原曲は8分の6拍子ですが、ジャズにアレンジして4分の3拍子にしたものを練習します。ジャズのノリで弾くのがなかなか難しいです。(私にとっては)

レッスン前にチェロの先生がこんなことを。「私の知り合いで、肺がんで6センチぐらいの腫瘍が見つかったのですよ。でもその方、思いっきり笑って過ごす。大声で笑って治すという気でやったら、ほんとうに腫瘍が消えてしまったんです。」

ノーマン・カズンズの『笑いの治癒力』をそのまま実行して治った、腫瘍が消えてしまったということですね。こんな例はもっとたくさんあるのではないでしょうか。がん患者のブログでも、悪い情報はインターネットにアップされがちですが、治った情報というのは少ないです。治ってしまったらブログなんか書く必要もないというわけでしょうね。仮にいきなりブログで「私はこうして笑って治しましたよ」なんて書かれても、信憑性がないですし、何かのサプリメントの宣伝かと疑った方がよいようなものです。一年、二年と闘病記を書いてきて、その結果「治ったよ」というブログなら信憑性も高くなろうというものです。 そんなブログになるようにと願っているのですが、5年は経たないと自慢にはなりません。

リンクしてあるU医師のブログにも笑いの効用が書かれていました。引用は御法度ということですから、リンクを張っておきます。こちら。毎日多くのがん患者さんに会っている医師ならこうした感想を持つのは至極当たり前のようです。先日の講演会で講師として呼ばれた際にも、何人もの先生方から同じことを伺いました。

チェロを弾くことも笑いと同じような効用があるように思います。証明はできませんが、自分でそのように感じています。自分が感じればよいのです。自分の体ですから。いろいろなサプリメントについても同じことが言えるのではないでしょうか。やってみて、自分の体に聞いてみる。いいと思えば続ければよいし、3ヶ月ほどやってみてあまり効果がないと感じたら止めることです。でも私なら、高額なサプリメント(高いサプリメントはほとんど偽物と思って間違いない)に金を出すのなら、その金で落語のCDでも買いますね。あるいはチェロのCDでもいい。

今日もチェロのレッスンのあとインターネット落語を聞きました。久しぶりに三遊亭金馬師匠の顔を拝見しました。ずいぶんとご高齢になってしましました。落語会では最長老だそうです。たくさん笑わせていただき、治癒力がアップしたに違いありません。
インターネット落語会はこちらです。 今は「圓朝まつり2009奉納落語会」から三題が出されています。

何でもいいから、たくさん笑ってください。無理にでも笑っていると、ほんとうに愉快になってくること間違いないです。こんな安上がりの治療法はないですよ。

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2009年8月 7日 (金)

糖尿病治療薬が膵がんのリスクを高める

がんナビに報道された記事によると、

糖尿病の治療薬であるメトホルミンが、糖尿病患者の膵がんリスクを低下させることを示す、米テキサス大学M. D.アンダーソンがんセンターのDonghui Li 氏らによる研究結果が、Gastroenterology誌8月号(2009,137,482-488)に掲載された。
この研究では、 1838 人の膵がん患者(うち 973 人は腺がん)と、がんではない863 人の対照群を比較した。膵がん群には 259 人の、対照群には 109 人の糖尿病患者が含まれている。
面接調査で、がんの家族歴、生涯の喫煙歴、飲酒歴、BMI(体格指数)などの情報を、また糖尿病患者の場合は使用した治療薬と投薬期間の情報を入手した。
糖尿病の患者でメトホルミンを服用していた場合、単独か他の治療薬との組み合わせかに関わらず、メトホルミンを服用しなかった人々と比べて、膵がんのリスクが 62 %低減することがわかった。喫煙歴など、他の糖尿病のリスク要因は、この関係に影響しなかった。
一方、インスリンまたはインスリン分泌促進薬を使用した糖尿病患者では、それらを使用しなかった患者と比較して、それぞれ、膵がんのリスクが 4.99 倍と 2.52 倍に増加した。その他の治療薬については、患者数が少なく結論が出なかった。
「さらなる検証が必要だが、今回の結果によって、メトホルミンが膵がんに予防的に働く可能性が示された」とLi氏は述べている。

日本では糖尿病の内服薬としてはメトホルミン次いでスルホニル尿素(SU)薬の使用が多いWshot200013そうで、私が服用しているアマリールもSU薬の一種です。メトホルミンは一時次のような副作用がアルトいわれました。

日本においては、一般医家に「メトホルミン恐怖症」というのが染みついているようである。だが、米国糖尿病協会などの最近の動きを見ると、糖尿病患者には初期からのメトホルミン投与がスタンダードになりつつあり、単に忌避するだけではどうかな、という気がしてくる。

乳酸アシドーシスは、 1000人年当たり0.06程度で、頻度としては少ないが、その恐ろしさがメトホルミン恐怖症を招いているようである(Journal of the American Board of Family Practice)。乳酸アシドーシスは、頻度は稀だが重大な副作用である。症状・兆候はケースにより様々で非特異的、吐き気、嘔吐、意識変容、易疲労 感、腹痛、口渇などを訴える。重篤で生命危機に至る場合は、透析によって急激に除去し得る。血中重炭酸の低下、anion-gap(陰イオンギャップ)の 増加、乳酸値の増加のほか、「anion-gap metabolic acidosis」として知られている所見を示す。メトホルミン中止後、症状とともに検査所見も改善するのが通常。

しかし、この副作用は懐疑的ということで、最近ではまたよく使われているようです。
膵ガンのリスクが5倍から2.5倍になっているとしたら、こちらのリスクの方が「怖い」のではないだろうか。糖尿病患者は膵がんになるリスクが高いという研究も報告されているが、治療のために服薬したSU薬などの結果でそのような高リスクになっているのかもしれない。つまり、糖尿病治療が膵がんを誘発している可能性がある!かもしれない。

現在糖尿病で治療をしている人は、定期的に超音波検査で膵臓の検査をすることが大事です。超音波検査では、「膵臓をよく見てください」といわないと、一般的な検査では見落とすことが多い。超音波で膵臓をよく見えるようにするには、寝そべって検査を受けるだけではだめで、体を45°にして超音波を当てる必要がある。

自分の服用している薬を知り、主治医の先生とよく相談した方が良いでしょう。


主な糖尿病の内服薬 ()内は商品名

スルホニル尿素(SU)薬
すい臓からのインスリン分泌を促進して、血糖降下作用を発揮しWshot200012 ます。低血糖に対する注意が必要です。

グリベンクラミド(オイグルコン)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)、アセトヘキサミド(ジメリン)

フェニールアラニン誘導体
速効・短時間にインスリン分泌を促進させて、食後血糖値を降下させます。必ず食直前に服用します。また、薬の服用直後から薬の効果があらわれます。したがっ て、この薬を飲んだ後10分以内には、食事をとってください。食事をはじめるまでに時間がかかってしまうと、低血糖を起こす可能性があります。

ナテグリニド(スターシス)、ミチグリニド(グルファスト)

α-グルコシダーゼ阻害薬
小腸粘膜に存在する二糖類分解酵素(α-グルコシダーゼ)の作用を阻害し、糖の消化を抑制し吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制します。必ず、食直前に服用します。食後では効果がありません。副作用として、腹部膨満感、放屁の増加、消化器症状などが認められます。まれに肝機能障害が報告されており、定期的な肝 機能検査が必要です。低血糖に対しては、必ずブドウ糖を服用してください。砂糖では吸収が阻害されてしまいます。

ボグリボース(ベイスン)、アカルボース(グルコバイ)

ビクアナイド(BG)薬
肝臓での糖の産生の抑制、消化管からの糖の吸収の抑制、末梢組織でのインスリン感受性の改善などにより、血糖降下作用を発揮します。インスリン分泌促進作用はなく、血糖降下作用は穏やかです。高齢の患者さんで肝機能障害、腎機能障害や心機能障害のある場合には、乳酸アシドーシスを起こす可能性があります。

塩酸ブホルミン(ジベトスB)、塩酸メトホルミン(グリコラン)

チアゾリジン誘導体
インスリン抵抗性を改善して、血糖降下作用を発揮します。副作用として、貧血、浮腫、血液検査値の上昇などが認められる場合があります。肝機能障害が報告されているので、定期的に肝機能検査を行います。

塩酸ピオグリタゾン(アクトス)


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2009年7月30日 (木)

米国医療は「こころ」の重視へ

「心と癌と量子力学の関係」などと、いささか「とんでも本」的な内容を書きましたが、量子力学はともかくとして、心と癌の関係はもはや常識になっているようです。

右の「膵臓癌おすすめサイト」にリンクを張っている安西英雄さんの「米国統合医療ノート」には数回にわたってアメリカの統合医療の現状が紹介されています。鍼灸・カイロプラクティック・ハーブを代表とする初期の補完代替医療と現代医療を組み合わせた「統合医療1.0」から、「こころ」の重要さを認識した「統合医療2.0」に変わってきた。現在のアメリカの医療は統合医療2.0にはっきりと変化して来たのだというお考えです。(Web 2.0 を借用して 統合医療 2.0 と命名されています)

「統合医療」は日本ではまだ医療の世界の片隅で一部の医師が行っている「変わった医療」にすぎません。しかし米国では、医学の主流が真剣にテーマとしている一大潮流なのです。(米国統合医療ノート 2009/5/25

 

これほどこころに関心が向かうようになったのには2つの理由があります。心身のストレスの蓄積がおよぼす健康への深刻な悪影響が広く認識されるようになったこと。それから、心身相関についての医学研究が近年目覚しく進んだことです。

90年代にImmuno-neuro-endocrinilogy(免疫神経内分泌学)という言葉がはやりました。免疫系・神経系・内分泌系とも、生体が恒常性(ホメオスターシス)を維持するための重要なシステムですが、それらが互いに影響を与えあっていることがわかり、そこに研究者の関心が集まったのです。

いま医学の世界では、それと似たPsycho-neuro-immunology(心理神経免疫学)、あるいはPsycho-neuro-endocrinology(心理神経内分泌学)という言葉がもてはやされています。いうまでもなく、心理状態も免疫系・神経系・内分泌系と影響をおよぼしあう、という概念で、この分野の研究はいますごい勢いで進んでいます。

こころが重要ならば、こころの主体である患者を大切に扱うのは当然のことです。Body・Mind・Spiritという発想を常識として持ち、患者の主体性を尊重した優しい医療を目指そうとしている統合医療が、この心身医学の流れと合流するのはきわめて自然なことでした。

そしてこころのはたらきを考えた治療法を取り入れてみると、実際に治療効果があがることが次々に示されました。こうして基礎研究と臨床研究の裏づけが蓄積するとともに、心身医学は米国統合医療の重要な必須科目になったのです。(米国統合医療ノート 2009/5/31

7月22日のブログ「心と癌と量子力学(4)」で紹介した『こころと治癒力』のような本が百万部のベストセラーを続けているということにもアメリカの現状が現われています。この本でも、医師は患者を一人の人間としてみること、患者の家庭状況まで知らないと本当の医療にはならない、この方向が結局はローコストの医療改革になるのだと主張していました。

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海外 癌医療情報リファレンス」の7月28日付でこんな記事が載っていました。M.D.アンダーソンがんセンターで、7月22日に次のような教育セミナーが開催されたという記事です。

7月22日(水)午後5:30~7:30(プログラム 6:00開始)
M.D.アンダーソンがんセンター、South Campus Research Building 7435 Fannin Street at Old Spanish Trail

テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターは、ベストセラー『がんに効く生活』の著者ダヴィド・S.シュレベール医師(医学博士)を迎え、教育セミナーを7月22日(水)に開催。
サウスキャンパス・リサーチ・ビルディング(7435 Fannin Street at Old Spanish Trail)にて5時30分に開場、その後6時からイブニングプログラム。一般入場無料。

S.シュレベール医師は著書を引用し、日々の生活やがん予防に関する人々の考え方に変化を与え、次の事柄について実践の方法を分かちあう。

・ 科学的根拠にもとづく抗がん食を取り入れる
・ ストレスがいかにがんに影響するかを認識する
・ 運動、ヨガ、瞑想のメリットを享受する
・ 環境有害物質への曝露を最小限に抑える
・ 従来の健康法と代替的な健康法のバランスをとる

S. シュレベール氏は熱意ある科学者・医師であり、文筆家としての評価も高い。そして自身もがんサバイバーである。臨床精神医学教授、ピッツバーグ大学メディ カルセンター内総合医療センターの共同創設者にして、国境なき医師団の創立メンバーであり現在も国際的危機への介入に尽力している。

シュレベール博士の『がんに効く生活』は、NHK出版から今年の2月に翻訳されて出版されています。あまり話題にはならなかったようですが、内容はまさに「統合医療 2.0」です。目次を紹介します。

  1. 統計や数字でわからない、本当の「余命」
  2. がんの弱点を知る
  3. がんに効く生活―環境を知る
  4. がんに効く生活―効果のある食物
  5. がんに効く生活―心の力
  6. がんに効く生活―運動
  7. まとめ―(がんを)作らない、育てない、あきらめない

からだの見張り番である免疫細胞をどのように活性化するか、がんを防ぐこころのあり方の秘訣、死の恐怖を乗り越える秘訣。著者自身の実体験に基づく内容ですから説得力があります。

シュレベール博士が最初の外科手術と化学療法を受けたあと、担当のがん専門医に、今後どのような生活をした方がよいのか、再発しないためには何に注意するべきかと質問した。がん研究の第一人者でもある担当医は、「これといってすべきことはありません。普段どおりの生活を続けてください。定期的にMRI検査をしましょう。再発してもすぐに分かりますから。」と答えた。「でも、自分でできるエクササイズとか、食べた方がよいものや食べてはいけないものとかがあるのでは? 精神的には何に気をつけた方がよいでしょうか?」と食い下がったが、「日常生活のこういう点に注意すれば再発が防げると断言できるような科学的なデータなど存在しないのですから」とにべもない。

私の場合も同様でした。患者は再発するかもしれないと思いながら、何もしないで過ごすことには耐えられないのです。しかし、現代医学のエビデンス至上主義では確かに断言できるようなデータは存在しないかもしれません。でも、一方で同じ病期で、同じような治療をしても再発する人もいれば再発しない人もいる。そうした結果になるには何かが違うはずです。

彼は最終的には次のような結論に達します。「私たちは誰でも、体内にがん細胞の芽を持っているだけでなく、体自体がその芽ががんに育つプロセスを妨げるように作られている。それを活用するかしないかは、本人次第である

この本に書かれている「がんに効く生活」のほとんどが、私が「私のがん攻略法」に書いて実行していることと共通しています。この方向でよいのだと、更に確信を与えてくれる著作でした。内容を良く吟味して、私の攻略法に足りないものがあれば付け加えて修正したい、そうすれば一層の希望が持てると思います。巻頭にある次の言葉は、こころ(精神)の働きの重要さを改めて確認しているようで印象的でした。

「私はかねがね、科学としての医学の唯一の問題点は、十分に科学的でないところにあると考えている。医師と患者が、自然の治癒力を通じてからだと精神のもつ力を引き出すことができるようになるまでは、現代医学が真に科学的になることはないだろう」 ルネ・デュボス(抗生物質の発見者)

医師であり、研究者、ピッツバーグ大学統合医療センターの院長でもあった著者が、自分のがんを合理的・科学的に考え抜いてサバイバーになったのです。統合医療に興味がある人ならばぜひ読んでおきたい一冊です。間違いなく。

ダヴィド・S・シュレベール氏のインタビュー動画がこちらにあります。

About ANTICANCER, a new international best-seller by David Servan-Schreiber

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2009年7月25日 (土)

講演会用紙料をアップしました。

Photo_2城南緩和ケア研究会主催の『がんになったら「緩和ケア」』講演会にはたくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。

講演に使用したPowerPointファイルをこちらにアップしたのでメモを取り損なった方、保存しておきたい方はダウンロードしてください。

講演会資料「がんと共に生きる-インターネットを活用してがんサバイバーになる」
「がんと共に生きる(1).pdf」をダウンロード  「がんと共に生きる(2).pdf」をダウンロード  

講演会は準備は万端のつもりでしたが、予想通りに時間が足りなくなり、二つ目のテーマについてはほとんど触れることができませんでした。

このブログにもコメントをいただいていますが、講演の内容を少しずつブログにアップをしてまいりたいと思っています。

まずは『がん患者のためのインターネット活用術』等というテーマで構成してみます。

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2009年7月23日 (木)

手術前後の腫瘍マーカーで膵がんの予後が予測できる

25日の講演の準備のためにしばらくブログの更新をサボっていました。準備万端とはまいりませんが、何とかなるでしょう。興味のある方は是非ご参加ください。

膵癌切除手術を行った症例を解析したところ、腫瘍マーカー「CA19-9」の数値が、予後を予測する重要な因子であることが明らかになったと、第64回日本消化器外科学会総会で、東北大学消化器外科学の元井冬彦氏がアンケートの結果として発表しています。
がんナビの記事

切除前に四つの腫瘍マーカーの数値を調べたところ、このうちCA19-9の上昇度(測定値を基準値上限値で割ったもの)が最も高かった患者は222人だった。手術の前・後でのCA19-9値によって、陰性(-/-)、正常化(+/-)、非正常化(+/+)の3群に分けて調べたところ、生存期間中央値は腫瘍マーカーの上昇がなかった患者61人が全員生存だったのに対し、正常化群で787日、非正常化群で505日と明らかに短かった(p<0.0001)。

さらに、CA19-9値非正常化群では、術後の再発も正常化群の65%に比べて79%と高かった。術後の正常化の有無について、膵癌の病期別および組織型別にみたところ、特に相関はみられなかった。一方、切除前のCA19-9値を37~99 IU/mL、100~999 IU/mL、1000 IU/mL以上の3群に分けて検討したところ、術後の正常化の有無は明らかな相関を示した(p<0.0001)。

CA19-9の上限値は35.0ですから、陰性(-/-)とは、手術前後で上限値以下、正常化(+/-)とは手術後に上限値以下ということでしょうね。

私の場合、手術前のCA19-9が25.1、手術後が13.9でした。ですから陰性(-/-)に該当すると考えられるのですが、今回のレポートに照らすと生存期間中央値で生存していた61人に当てはまるということになります。術後の再発率でいえば、正常化群が65%、非正常化群が79%ですが、陰性群の再発率は書かれていません。当然65%以下のはずで、50%位かもしれません。

先月の検査でCA19-9が32.6でした。しかし白血球数とリンパ球がともに増加しており、免疫力が良くなっているという印象があります。今回のレポートとも合わせて考えると、良い方に向かっている気がします。

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2009年7月17日 (金)

久留米大のがんワクチン 良好な成績

「がんナビ」に久留米大のがんワクチン療法フィーズ2試験の報告があります。

 久留米大学がんワクチングループによって開発されたテーラーメイドがんペプチドワクチン療法は、ゲムシタビンとの併用で切除不能な膵がんに有効とする可能性が示された。19人の患者を対象に行われたフェーズ2試験の結果について、7月16日から18日まで大阪市で開催されている第64回日本消化器外科学会総会で、関西医科大学枚方病院外科の柳本泰明氏が発表した。

 フェーズ2試験は、切除不能膵がん患者(ヒト白血球抗原のHLA-2または24が陽性の患者)を対象に、8週間を1コースとして行った。ゲムシタビン1000mg/m2は1週目から3週目と5週目から7週目に投与し、ワクチンは1種類当たり3.0mgを毎週投与した。主要評価項目は1年生存率。病期はすべて4期だった。

 試験の結果、1年生存率は42%、全生存期間中央値が9.5カ月、奏効率37%、疾患制御率84%となり、ゲムシタビンの単独投与で得られる数値を上回っていた。

 一方、副作用は、グレード3/4の血液学的毒性は、好中球減少症が6人(35%)、ヘモグロビン減少が4人(23%)だった。非血液学的毒性では全グレードで94%にあたる16人に食欲不振が見られた。ワクチン関連毒性ではグレード1/2の皮膚炎症反応が71%、リンパ浮腫が41%の患者に見られた。

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2009年7月 8日 (水)

久留米大のワクチン療法 国の委託事業に

本日の西日本新聞によると、久留米大のがんペプチドワクチン療法が文部科学省の委託事業に選ばれたそうです。

「がんワクチン療法」研究 国委託事業に決定 久留米大など産学官連携 九州唯一

  がん患者それぞれに最適なワクチンを処方する久留米大(久留米市)の「がんペプチド(タンパク質)ワクチン療法」を核とした産学官事業「久留米高度先端医療開発クラスター」が、文部科学省の委託事業に選ばれた。本年度から5年間、年間約3億円の委託費が支給される。全国で4件が採択され、九州では唯一。県や久留米市が7日に発表した。

 同事業に参加するのは久留米大や九州大、県や県内企業など。肺がん、肝臓がん、ぼうこうがんに有効ながんペプチドワクチン療法の実用化研究▽大学や製薬企業の技術者などを迎えた講座による人材育成事業▽海外との人材交流や技術開発による国際展開の強化‐ などの事業を展開する。

 久留米大のがんペプチドワクチン療法は、患者への負担が格段に軽い「第4のがん治療法」と注目される技術で、全国初の取り組み。患者やがんの種類によって異なるがん細胞の表面に存在するペプチドを識別。化学合成した30種類のペプチドの中から、患者の免疫機能を最も活性化させるペプチドを選び注射することで、免疫細胞にがん細胞を認識させ攻撃するという治療法だ。

 県庁での会見に出席した久留米市の江藤守国市長は文科省の委託事業採択を受け「われわれのプロジェクトに大きな弾みがつく。将来的には世界から治療に来るような都市になれば素晴らしい」と期待を込めた。

=2009/07/08付 西日本新聞朝刊=

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2009年7月 6日 (月)

WT1で膵がんが縮小し、手術可能となった例

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癌掲示板の「膵臓癌ステージ4ーbはもう完治は不可能ですか?」にこんな投稿がありました。

193 名前: Hayama 投稿日:2009/07/05(日) 23:32

40歳半ばの会社員ですが、約1年ほど前、腹部の痛みで入院し、その際のCT検査で、膵臓癌が発見されました。その際のステージは4でした。
その後、さまざまな病院をセカンドオピニオンで回りましたが結局、手術は不可能と去年の8月に結論がでました。
ただ、その際WT1の免疫療法の治験があることを知り、WT1とジェムザールの投与を2008年10月から受けた際、4か月で腫瘍が80%の縮小がCTでみとめられ、3月に急遽、膵臓の一部、十二指腸、胃の一部の摘出をしました。
まだ、術後4か月ですが、十分な回復がみられました。
現状、腫瘍マーカーは正常値で、CTでも転移や腫瘍は見つからない状況です。 術後もWT1とジェムザールの投与を続けています。

一度は、あきらめていたのですが、病院の先生方、また、WT1のおかげで、何とか一命をとりとめました。
他の方の参考情報になればと、投稿致します。

WT1ワクチンで切除不能膵がんステージ4が縮小し、切除可能となった例です。WT1ワクチンが膵がんに効果的だということの新たな例ですね。

切除できない膵臓がん患者にとっては希望の持てるすばらしい治験例です。

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2009年7月 5日 (日)

ゲルソン療法では膵臓がんは治らない

がん患者の中にはゲルソン療法をやっておられる方も多いのでしょう。星野式ゲPhoto ルソン療法などは結構人気があるようです。『今あるガンが消えていく食事』という済陽高穂氏の書籍の帯には「膵臓がんが1/3に縮小した」と書かれています。

ゲルソン療法は厳格な食事療法です。コーヒー浣腸、大量の野菜ジュース、塩分は禁止などを厳格に守るように指導されます。私としてはコーヒー浣腸や自分のおしっこを飲むということにはとても抵抗があります。ですからゲルソン療法にはほとんど関心を抱いていませんでした。しかし、シュバイツアー博士が激烈に推奨している方法とはどんなものかという程度の興味はあります。

そこで試しにとジューサーを買ってきて、人参とレタスのジュースを作って飲みました。500ccのジュースを一回で飲み干したのですが、数時間後に気分が悪くなりました。下痢と悪寒がするし、早々にベッドに潜り込んで寝てしまいました。それ以来ジューサーも埃をかぶったままです。Photo_2

マックス・ゲルソンの書いた『ガン食事療法全書』は読んでいません。しかしゲルソンの娘であり、シュバイツアー博士の主治医でもあったシャルロッテ・ゲルソンの『決定版 ゲルソンがん食事療法』が2002年に出版されています。今日の知見に合わせて新しく出版されたものです。この本では、ゲルソン療法の基本を解説したのち、「第11章 ガンのためのゲルソン療法(基本編)」、「第12章 化学療法中の修正治療」と続きます。

そして、12章には驚くようなことが書かれています。

どの程度であれ、また最後に受けた抗がん剤治療からどんなに時間が経っていようとも、化学療法を受けたことのある患者が、基本のゲルソン療法のまま忠実に実行することは大変危険である

一度でも抗がん剤をやったがん患者は基本のゲルソン療法はやってはいけないというのです。抗がん剤をやったことのないがん患者を探すのは、不透明な政治献金をもらったことのない政治家を探すよりも困難ではないでしょうか。そこで修正版のゲルソン療法が登場します。ひまし油は禁忌だ、人参ジュースは作用が強いから一日に3杯飲まないように。私が人参ジュースで寝込んだのは1年前の抗がん剤のせいだったのか! とてもじゃないが信じられませんね。

12章の最後の段落にはこんな記述があります。

膵臓がん患者で、以前に化学療法を受けたことがある場合には、残念ながらゲルソン療法でも良い結果が出せない。抗がん剤で膵臓があまりに激しく損傷を受けるからである。

第16章「治った人たち」に「膵臓ガンが消えて15年」と紹介されているエイニーさん(46歳)の場合、1985年当時は膵臓がんのステージ4に有効な抗 がん剤はなかったので、抗がん剤は投与していない。そしてゲルソン療法で完全に消失して、15年間生存しています。彼女の場合抗がん剤の治療をしていな かったのでゲルソン療法が有効だったということでしょう。

ジェムザールのある現在、これを止めてゲルソン療法だけの治療法を選ぶのは勇気の要ることです。抗がん剤をやったことのある膵臓がん患者には、ゲルソン療法は危険なだけでなく、効果は望めないとゲルソン療法の権威が言っているのですね。
済陽高穂氏の著作はトンデモ本ということ。

【結論】他のがんはともかくも、少なくとも膵臓がんの患者はゲルソン療法には期待しない方がよいということです。ゲルソンの娘が「効かない」と太鼓判を押しているのですから。しかし、ゲルソンの主張したこと、がんの原因は食事を初めとする生活および環境汚染にあるということは正しいと思います。マクガバンレポートに代表されるように、アメリカでも日本でも新鮮な野菜をたくさん食べることの必要性は、ゲルソン療法を信じるかどうかにかかわらず、多くの人々が認めていることです。

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2009年6月26日 (金)

講演会のご案内

城南緩和ケア研究会主催の「第2回城南緩和ケア 市民のつどい」の講師Sympo7_2として招かれ、講演をすることになりました。
私の講演内容としては以下のようなものを予定しています。

がん患者のためのインターネット活用術

  • 検索にはFirefox、Googleを使う
  • Firefoxのアドオンで広告をブロックする
  • AND,OR,NOT,ドメイン指定検索など
  • 「ワンダーホイール」でキーワードを探す
  • Googleニュースでがんのニュースを効率よくチェック
  • Googleリーダーで気になるブログの更新を知る
  • ブックマーク(お気に入り)の自動巡回
  • 英文情報を効率よくチェックする:Firefoxのアドオンと英辞郎
  • 東京都図書館の横断検索、患者図書館
  • 情報の保存:紙copi
  • 情報の整理:マインドマップ
  • 意志決定   :AHP(階層化意志決定法)で治療方針を決める

私のがんと闘う戦略

  • 自分が作ったがんは自分が治す:責任を取る
  • 「魔法の弾丸」を探して人生の時間を浪費するな
  • がんと如何に向き合うかは、人生を如何に生きるかということ
  • 良寛や老子から学んだ死生観
  • 高価なサプリメントは偽物だと思え。安価なものならダメモトで使ってみる
  • 心の有り様ががんの予後を左右する最大の要因である
  • 実存的転換が奇跡的な治癒を起こすことがある
  • ファイティングスピリッツは大事だが、つまずいたときには脆い
  • 治ることに希望を持つ。しかし「希望」が「執着」にならないように

このブログを書くために、インターネットでいろいろな情報を検索していますが、そうしたいわば裏のテクニックを紹介して、がん患者がインターネットから有益な情報を効率よく拾い出すための参考になるような方法を紹介します。
また、膵臓がんになってから2年間の活動を通して、がんと共に生きる心構えをどのようにして築くことができたのか、そうした内容のお話をしたいと考えています。(時間が足りないと思うけど)


城南緩和ケア 市民のつどいのお知らせ

日 時:2009年7月25日(土)14:00-16:30(開場13:30)
          先着200名 *事前申し込み不要
          参加費:1,000円

会 場:142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8
    昭和大学 4号館 6階600講義室 03-3784-8000(代表)
 交通案内 東急池上線・大井町線 旗の台 下車池上線ホーム端の東口より徒歩10分
 アクセス
 旗の台駅立体図
 大学構内地図

開催趣旨:市民の方と城南地域での緩和ケアについて考えてみたいと思います。
    緩和ケアを正しく理解し、上手に緩和ケアを利用しましょう。

プログラム
 第1部 14:00-
    特別講演1「がんについての情報活用」
     川上祥子 NPO法人キャンサーネットジャパン広報担当理事
     がんに関するあらゆる情報の入手方法や様々なリソースの利用

    特別講演2「がんと共に生きる~がんの診断を受けさまざまな選択の中で~」
     木下義高
 第2部 15:20-
    模擬相談会「緩和ケアを考えるとき」
     ある病院でがん治療をうけていたところ、「積極的な治療は難しく、近くで
     緩和ケアを受けられるところを探してください」と病院スタッフに言われ困
     っている事例を想定し、城南地域の各窓口の専門家のアドバイスを聞いてみ
     たいと思います。
    コメンテーター
     市民代表 藤原瑠美 ホスピタリティ☆プラネット
    模擬アドバイザー
     がん相談支援センター 小澤桂子 NTT東日本関東病院 がん看護専門看護師
     緩和ケア病棟相談窓口 川畑正博 東京厚生年金病院 緩和ケア科部長
     町のお医者さん    鈴木 央 鈴木内科医院 副院長
     ケアマネージャー   池田麻理 おもて参道ケアプランセンター所長    
主 催:城南緩和ケア研究会

お問い合わせ:FAX 03-6362-3546
茅根義和 東芝病院 緩和ケア科科長
梅田恵    緩和ケアパートナーズ

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2009年6月24日 (水)

オンコセラピーが膵臓がんのワクチン承認申請へ

オンコセラピー・サイエンス <4564> が高い。一部で、2010年末にも膵臓がん向け治療用ワクチン「OTS102(開発番号)」の承認を申請する、と報じられており、手がかり材料となっている。臨床試験(治験)で安全性を確認できたため、有効性確認の治験に移行する。早期承認されれば日本初のがん治療用ワクチンとなるという。
オンコセラピーの株価は、6月24日15時00分現在17万0400円(△20,400円)。

こんなニュースが株式関係を駆け巡っています。膵臓がん患者にとっては株価はどうでも良いのですが、ペプチドワクチンとして早期に承認され保険で使えるようになればと期待しています。

2010年末まで頑張って生きていましょう。

OTS102に関する情報はこちらこちら

OTS102は、がんに酸素や栄養を供給する異常な血管の内皮細胞に多く発生するが、正常な組織にはほとんど見られない「VEGFR2」と呼ぶたんぱく質 を製剤化したワクチン。接種したOTS102により免疫機構がVEGFR2を攻撃。異常な血管の増殖を抑えてがん細胞を“兵糧攻め”にできる。

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2009年6月17日 (水)

ビタミンDの腫瘍予防効果

このところビタミンDが心臓病やがんの予防に有効であるというエビデンスが急増しているようです。「海外癌医療情報リファレンス」を翻訳したものが「がんサポート情報センター」に「ビタミンDと癌に関する最新研究発表」としてアップされています。

近年ビタミンDが心臓病やがんをはじめとする疾患の予防効果を示すというエビデンス(科学的根拠)が急増している。特にこの5年ほどの間に、がんの発症率とビタミンDとの関連を検討する多くの大規模臨床試験が実施されており、注目が高まっている。(中略)

これまで最も有力なエビデンスは、ビタミンDと大腸がんとの関連を立証したものである。数多くの優れた臨床試験において、ビタミンD値が高い人は、低い人 に比べて大腸がんになるリスクが半減し、ビタミンD値が高い人々は、低~中程度の人々と比べて、大腸がんで死亡するリスクが約75パーセント低くなること が報告された。 (中略)

その他、口腔がん、食道がん、膵臓がんおよび白血病のリスクが大幅に減少することも複数の試験で示唆されている。 (中略)

さらに、ビタミンD値が高いと、特定のがんの生存期間を延長することも示唆されている。ビタミンDの供給源が、食品やサプリメント、あるいは日光(紫外線)であるかどうかにかかわらず、いずれの供給源も有用であったという。 (中略)

ビタミンDの有効血中濃度を得るためには、多くの人はビタミンDを1日約1000IU(国際単位)、ビタミンD値が低い傾向にある人は、おそらく 1500IU摂取する必要があるとみられる。これまで推奨されてきた米国成人のビタミンD摂取量200~600IU/日では低すぎて、がんの予防はもちろ ん骨の保護効果を得ることすらできない。ビタミンDの健康効果に関するエビデンスの増加を受け、米国小児科学会では、最近、小児のビタミンD推奨摂取量を これまでの2倍に増やし、またカナダがん協会では、秋冬期間の成人のビタミンDの一般的な推奨摂取量を1000IU/日に引き上げた。(中略)

ビタミンDは、一般的に食品にはあまり多く含まれていないが、サケ、サバ、イワシ、マグロなどの魚類は比較的豊富である。

カナダの小児科学会も、ビタミンD摂取を劇的に増やすべきだという勧告を発表しています。妊娠中・授乳中の女性は2,000 IU/日、新生児は最初の1年は400 IU/日、未熟児でも200 IU/日必要というものです。厚生労働省の安全性・有効性情報では「妊婦と授乳婦は経口摂取で400Uまでならぼ安全であるが、それ以上の大量摂取は避けるべきである。」と書かれているのとは驚くような違いです。日本の行政のデータは、世界よりも数年遅れて更新されるのが常識ですから、驚くことではないでしょうが。

さまざまな細胞がビタミンDのレセプターを持っており、ビタミンDには免疫を調節したり、細胞の増殖や分化を抑制する作用があるとのことです。こうした作用が癌の抑制効果に繋がっている可能性があります。<PubMedのデータ

日本人の平均摂取量は316IU/日ということですから、低すぎます。日本のビタミンDの推奨量はわずか100 IU/日(米国は400 IU/日)、許容上限量は日米とも2,000 IU/日です。ASCO 2008でもビタミンDに関するたくさんの報告がありましたが、いずれも現在よりも大量の摂取が腫瘍抑制効果のためには必要だというものです。「1」「2」「3

ビタミンDを多く含む食品としては、アンコウの肝、イワシ、ニシン、スジコ、イクラ、サケなどで、100g中に110-30μg(4,400-1,200 IU)含まれます。キノコ類も豊富に含んでいます。
100gの乾シロキクラゲ中に970μg(38,800 IU)と、桁違いに豊富に含まれています。乾キクラゲ100g中には435μg(17,400 IU)です。

マイタケは、D-フラクションを多く含み、アメリカではアガリスクなんかはほとんど販売されていなくて、マイタケの腫瘍抑制効果に関する研究が、有名なアンダーソンがんセンターなどで行われているようです。さらにビタミンDを多く含んでいるのですから、高額なアガリスクを買うよりも、せっせとマイタケやキクラゲを食べた方が利口だということです。

しかし、食事だけから1000、2000IU/日のビタミンDを摂ることは難しいでしょうからサプリメントに頼らざるを得ないでしょう。私が摂っているマルチビタミンにはビタミンDが1000IU/カプセル含まれており、これを朝晩2錠飲んでいますから、十分足りています。(国産のマルチビタミンは含有量が低く、コストパフォーマンスが悪いです)

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2009年6月 9日 (火)

千葉徳州会病院で「がんペプチドワクチン療法」 募集中

中村祐輔教授の研究室にあるPDFファイル「がんペプチドワクチン療法」が更新されており、膵癌に対するワクチン療法の病院に、千葉徳州会病院が追加されています。

千葉徳州会病院のHPを見ると、

今回私どもが行う研究は、東京大学医科学研究所との共同研究であり、膵癌の細胞に発現するペプチドを用いたがんペプチドワクチン療法です。
正式な名称は標準療法不応、進行・再発膵癌に対する新規腫瘍抗原KIF20A由来A2402拘束性エピトープペプチドを用いたペプチドワクチン療法;第I/Ⅱ相臨床試験」です。

今回は試験全体で約30名の参加を予定しています。
ただし、対象となる方をかなり限定させていただいています。

最も重要な参加条件は、

  • これまで手術や化学療法、放射線治療などをお受けになり、いずれも最終的に効果がないと言われ、他に治療方法がなくなってしまった方   
  • HLA(白血球抗原)のタイプが “A2402” である方   
  • 通院で治療が可能な方

ジェムザール、TS-1の治療薬を継続中の方はお受けできませんのでご注意下さい。

千葉徳州会病院の臨床試験は予定の30人に達したので、7月9日で募集を締め切っています。

その他の膵癌対象病院は下記です。

・ 膵癌に対するワクチン療法
千葉徳洲会病院 消化器内科 TEL: 047-466-7111(施設HPをご参照下さい。)
      責任者 浅原 新吾
札幌医科大学 第一内科 TEL: 011-611-2111
      責任者 篠村 恭久
      担当医 細川 雅代
九州大学 先端分子・細胞治療科 TEL: 092-641-1151
      責任者 谷 憲三朗
      担当医 伊賀 睦了
川崎医科大学 臨床腫瘍科 TEL: 086-462-1111(施設HPをご参照下さい。)
      責任者 山口 佳之
東北大学 がん診療相談室 TEL: 022-717-7115
      責任者 森 隆弘

(臨床研究準備中)
福島県立医科大学 第一外科 TEL: 024-547-1111
      責任者 後藤 満一
      担当医 木村 隆
東京女子医科大学東医療センター 外科 TEL: 03-3810-1111
      責任者 小川 健治
      担当医 塩澤 俊一、金 達浩
東京女子医科大学 消化器外科 TEL: 03-3353-8111
      責任者 山本 雅一
      担当医 有賀 淳

(治験実施中)
和歌山県立医科大学 第二外科 TEL: 073-447-2300
      責任者 山上裕機
      担当医 谷眞至、宮澤 基樹

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2009年6月 8日 (月)

ASCO 2009 膵臓癌関係の発表

ASCO2009も終わったようです。今年はすい臓がんに関するビッグニュースはなさそうですが、パンキャンによると74題の演題があったようです。

  • 術前・術後補助化学療法     7
  • 局所新興膵癌                  12
  • 進行膵癌(1st Line)          32
  • 進行膵癌(2nd Line)           3
  • 免疫療法                         2
  • 治療効果・予後予測          10
  • 腫瘍マーカ                        4
  • 研究                                4

との内訳が出されていました。

ASCOの今年のテーマは「がん治療の個別化」で、ASCO会長のオープニング基調報告では、がん治療のオーダーメイド化(個別の患者にあった治療法を選択する)を訴えています。
「がん患者は、一人一人が生物学的・臨床的に異なり、また、社会的・経済的にも異なるなかで、すべての患者をひとつの方法でマネジメントすることは適切ではない」。新しい診断ツールにより、患者の薬物代謝など予後に関連する特性で容易に分類できるようになったことが指摘された。こうした薬物代謝の違いは遺伝的な多様性からきていることもわかってきた。血液検査を行うことで、副作用が少なく、予後が改善される治療へと患者を誘導することが可能だ。

年齢や性別、がんの進行状態に関わりなく、一律に抗がん剤を投与して副作用で苦しませる治療方法は、もはや見直されるべきだということでしょう。がん患者個別の状態に応じた『さじ加減』が必要だということです。こんなことは本来当たり前のことであり、これまでの「標準的抗がん剤治療」が患者の立場に立っていなかったということです。日本での今後の治療法にも影響することを期待したいと思います。

膵臓癌に関する発表では以下のものが注目されます。

  1. このブログの4月21日で紹介したセレンクリニックの樹状細胞療法がASCO2009でも発表されています。「The 2009 ASCO Annual Meeting」参加のご報告 ~膵がんに対する樹状細胞ワクチン療法について報告
  2. 膵がん術後の補助化学療法、ゲムシタビンと5-FU/FAの間で生存期間に差なし (がんナビ)
  3. ESPAC-3(v2) 試験:膵管腺癌切除後患者において術後補助化学療法としての5-FU/LV療法とgemcitabine療法を比較する国際的多施設共同非盲検無作為化第III相試験
  4. 進行膵臓がん患者に第一選択薬とエノキサパリンを併用で静脈血栓塞栓症リスクが有意に低下  (がんナビ)
  5. 進行膵癌に対する化学療法±低分子量ヘパリン(エノキサパリン)同時併用のランダム化比較試験: CONKO 004試験

2と3、4と5は同じ発表のリンク先が違うものを挙げてあります。

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2009年6月 7日 (日)

すい臓がん患者 希望のニュース

先日も作家の栗本薫さんがすい臓がんで亡くなったというニュースがありました。私のブラウザではGoogleニュースの検索オプションに「 -訃報 -葬儀 」を設定してあり、通常ではこれらの語句が含まれる記事は表示されないようにしてあります。この設定で見たくない記事はほとんどカットされるのですが、先日の栗本薫さんの死亡記事はこの設定をくぐり抜けて表示されてしまいました。

Web上の闘病記もなるべく読まないようにしています。がんに徐々にむしばまれていく様子を書き記した闘病記は、読んでも私に希望を与えてくれません。そしてしばらく更新がないなぁと思っていると、患者の伴侶か子供が「○○は先日闘病の末、亡くなりました。ブログで応援してくださった皆さんに感謝します」などと書かれています。もちろん、当の患者にとってはすばらしい闘いであったのかもしれませんし、悔いのない最期だったのかもしれませんが、私としては、すい臓がんに打ち勝って今も健康だよという、そんな話題が欲しいのです。希望を与えてくれるニュースが。

そんな望みをかなえてくれるようなニュースがありました。読売新聞の鹿児島版に載った記事です。短期間で削除されると思うので全文を掲載しておきます。

がんと闘う命の調べ

がんと闘いながら活動を続けている作曲家が7日、鹿児島市でオリジナル曲の発表会「自然と命のコンサート」を開く。鹿児島女子短期大名誉教授・斉藤正浩さん(77)(鹿児島市玉里団地2)。「来年できるとは限らない」との思いでタクトを振る。(梅野健吾)

 斉藤さんは鹿児島大教育学部音楽科を卒業し、高校や短大などで教べんをとった。その傍ら、鹿児島市や転勤先の宮崎市などで、地元の人を集めて合唱団、吹奏楽団を結成。作曲家として手がけた曲は300曲を超える。

 膵臓(すいぞう)がんを発症したのは1987年。94年には脳出血で倒れた。後遺症のため、歌うこともピアノを長時間弾くこともできなくなった。 2年前には直腸にもがんが見つかった。それでも、「病気になって、逆に良かったかもしれない」と話す。「自然の中で生かしてもらっていることを実感できたから」

 発表会は60年から開いてきた。今回は2003年以来、11回目。しかし、4月から5月初めにかけて、リンパ浮腫で静脈が詰まり、足が膨れ上がっ て入院した。「発表会は今回が最後になるかもしれない」。そんな思いが頭をよぎった。しかし、妻律子さん(69)が「いいコンサートにしましょうね」と笑 顔で励まし、出演者の手配など事務作業の一切を取り仕切ってくれた。

 発表会では19曲を披露する。ニュージーランドの大自然を歌った組曲「美しき雲ニュージーランド」は、脳出血で倒れる前日に書き上げた作品。律子 さんが作った詩を基にした「皆既日食」や、歌人与謝野晶子の詩「白樺」などに曲をつけ、日本女性の感性を表現した歌もある。地元の女性たちでつくる合唱団 「アンサンブル・シャンテ・フォー」や高校生の合唱団らが歌う。

 斉藤さんは「作曲家、演奏家、聴衆の心が一つになった、安らぎのある内容にしたい。お世話になった人たちへの感謝の気持ちも表現できればいい」と話す。

 発表会は鹿児島市の宝山ホールで午後2時開演。一般2000円、学生1000円。問い合わせは斉藤さん(099・220・1700)へ。

(2009年6月6日  読売新聞)

1987年にすい臓がんを発症したと書かれていますから、20年以上も生存しているサバイバーなんですね。しかも2年前に直腸がん。 私は直腸がんが先でしたから、私とは逆ですね。すい臓がん・脳出血・直腸がん、今はリンパ浮腫。こんな状態で「病気になって良かった」と言える斉藤さん。すばらしい生き方です。多くのサバイバーが斉藤さんと同じように「がんになって良かった」と話していますね。いや実際は、「がんになって良かった」と思えるような心の状態を持てるかどうかが、サバイバーになる条件ではないかと思います。

再発するか転移するかと、明日のことを心配しながら生きるのではなく、今日のこの日を生かされていることに感謝し、楽しいこと、やりたいことを精一杯やる。命を楽しむ。これがサバイバーに近づく一つの道でしょう。

元気の出るニュースでした。

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2009年6月 6日 (土)

メラトニンについて(3)

メラトニンについては前回で終わるつもりだったのですが、「米国統合医療ノート」にメラトニンに関する記事があったので紹介します。

メラトニンとがん治療

このブログでは、文献データを見る限りは、現状でがん治療と併用してサプリメントを摂るのなら、メラトニンが第一推薦だろうと書かれています。論文として発表されたデータを元にして、数字で客観的に評価をされています。説得力があります。 こちらこちら

もしもがん治療と同時並行して何らかの抗酸化サプリメントを服用するのなら、現時点ではメラトニンを第一推薦にすべきではないかと思います。

メラトニンは脳の松果体(図)から分泌される睡眠を司るホルモンとして知られていますが、このところがんとの関連が注目されています。検索すると、高名なテキサス大のMDアンダーソンがんセンターやスタンフォード大が、メラトニンを用いたがんの臨床試験をいま何件も平行して進めています。

このブログはアメリカ在住でAnzai & Associates 代表 安西英雄氏のものですが、アメリカにおける統合医療(補完代替医療と通常医療の統合)、サプリメントの状況に非常に詳しいようで、示唆に富んだ記事がたくさんあり、たいへん勉強になります。

メラトニンに関しては、キャンサーネット・ジャパンが三省堂から出版してPhoto_2 いる『抗がんサプリメントの効果と副作用 徹底検証』にも記載されています。

こちらは安西氏とは違って否定的な印象です。一般に公的な機関の出すものは、はっきりとした科学的なエビデンスがない限りはサプリメントを勧めるはずがありませんから、当然このような書き方になってしまいますね。

メラトニン
「俗に期待されている効能」 免疫力を高め、抗がん作用があると考えられている。

「科学的に検証すると・・・」 がん患者を対象とした複数の臨床試験があり、その中には興味深いデータもあります。

「副作用と禁忌」 安全性については十分なデータがありません。副作用についても明らかではありません。

動物実験や試験管内の実験では、がん細胞に対する増殖抑制効果を示すことが確認されています。メラトニンは,まともに議論するに足る健康食品の一つだと言えるでしょう。しかし、現状ではがんへの有効性を示す臨床試験やエビデンスの数、質は十分とは言えず、現段階で無条件に「がんの治療や予防に有効」という結論を引き出すには無理があると思われます。

この本を読んでサプリメントを選ぼうと考えている読者はがっかりすることでしょう。なぜなら「科学的検証」というくくりで、ほとんどすべてのサプリメントが切り捨てられていますから、厳密に安全や効用を証明されたものを選ぼうとしても、この本からはそのようなサプリメントを選び出すことは難しいからです。

メラトニンに「安全性については十分なデータがない」といわれても、特許の取れないものに対して企業が積極的にデータを取るはずがないことは既に書きました。10年以上もアメリカでは大量に服用されており、FDAにも重大な副作用が報告されていないということは、これが、安全性のデータだと言えないでしょうか。サプリメントに対して、医薬品と同じようなエビデンスを求めることに問題があるように思われます。

抗がん剤の有効性を証明するのに、二重盲検法による統計的な手法がどうして必要なのか、考えてみてください。ある事象について統計的な手法を使って説得しなければならないということは、その事象が統計的な手法を使わなければならないほど不確かだからだ、ということなのです。ある抗がん剤が、誰が見てもすべての患者のがんに有効だということであれば、統計的な手法を使って説得する必要などはないのです。効果があるのかないのか一見して分からない。あるにしても、ごくわずかの違いしかないから統計的に処理せざるを得ないのです。心臓冠動脈のバイパス手術にはエビデンスはありません。しかし、手術しなければ死んでしまう患者が大勢いたから適用されてきたのです。また、FDAは、「CT検査に関しては、何らの有効性を証明するデータは持ち合わせていない」と言っています。6月は雨が多く降るということを統計的に証明する必要はありません。経験的にみんなが知っているのです。

サプリメントに対して抗がん剤と同じようなエビデンスを要求することは、愚かなことです。安全で、ある程度科学的に効用が期待でき、高額でなければ、「何もしないでいることは不安だ」というがん患者は使ってみればよいのだと思います。ダメモトでよいのです。

今話題のがんペプチドワクチンにしても、中村裕輔教授などは、「このワクチンに対して抗がん剤と同じようなエビデンスを要求することはできない。エビデンスの考え方を変えなくてはならない」という趣旨の発言をしています。

決してメラトニンを勧めているわけではありません。私が調査し、考え、今の時点で思っていることを書いているだけです。書かれた内容についても、素人の判断ですから鵜呑みにしないでください。

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2009年6月 3日 (水)

メラトニンについて(2)

メラトニンとストレス
マエストロらのマウスに対する実験では、マウスにウイルスを投与したのち、Melatonie 空気孔のあいた筒に閉じ込められたマウスにメラトニンを与えたところ、与えられなかったマウスは1週間以内に死亡したが、メラトニンを投与されたマウスはウイルスを撃退し、82%が生き残った。
コーネル大学のウータモーレンがおこなった二重盲検法の実験では、被験者の唾液中の免疫グロブリンAの値が、250%増加し、学内で流行していた風邪に対する免疫が確認された。

マエストロらは、ヘルパーT細胞にメラトニンのレセプターがあることを突き止めた。メラトニンがこのレセプターに結合するとインターロイキン-4と同種のサイトカインが放出され、NK細胞、細胞障害性T細胞、食細胞、B細胞らの主要な免疫系の細胞に刺激が連鎖的に伝達される。

メラトニンと癌
モントリオールに住むドーラは、甲状腺癌が肺に転移したことを1993年に知らされた。手術を拒否した彼女は、地元の医師の薦めで、毎晩6ミリグラムのメラトニンの服用をはじめたら、翌年の春の検査では肺の腫瘍は1センチ以上も小さくなっており、転移も見られなかった。奇跡的治癒の例としては、16歳の骨原性肉腫になった少年の例がある。メラトニンと放射線療法との併用で、すっかり腫瘍が消失した。
乳癌にメラトニンを投与する研究はPubMedでもたくさん見つけることができる。化学療法、放射線療法との併用で有意な結果を得たことが報告されている。51pq9x9hczl_ss500_

また、メラトニンは糖尿病を防ぐ効果があるとの研究もあります。グラナダ大学のCastroviejo教授らの研究では、メラトニン生産を停止した時点(マウスでは5ヶ月)からメラトニンを長期投与すると、加齢に関連したすべてのプロセスの影響を弱めると明らかにしている。 人間の場合は、30歳あるいは40歳ぐらいから毎日メラトニンを摂取すると、神経変性疾患(例えばパーキンソン病)そして糖尿病などの病気に関連した合併 症などの加齢に関連した病気、やフリー・ラジカルと炎症プロセスに関連した病気を予防したり遅らせる可能性があるとしています。PubMedで検索したこちらの論文でも、メラトニンがインシュリンの分泌に影響を及ぼすことが示されています。

否定的見解

メラトニンの服用に否定的な意見もあります。メラトニンはこれまでのと ころ重篤な副作用は全くないとはいっても、長期間の服用による影響は未知数であることが主な否定的意見です。また、メラトニンが人体で生産されるホルモンであるがゆえに、長期間の服用は慎重にするべきだという意見もあります。遅れてから副作用が知られることとなったサリドマイドのことを考慮すべきだということです。もっともサリドマイドは今ではがん治療にも使われて効果を上げていることは知られるべきでしょう。薬はいつの場合も毒になり得るということです。

アンドルー・ワイルは、彼の処方するサプリメントにメラトニンを含めていませんが、メラトニンを勧めない理由を次のように言っています。

メラトニンはごく少量で効果のあるホルモンであることに留意すべきである。大容量を服用した場合の副作用に関して、私たちはまだ少しのことしか知らない。メラトニンは化学療法との併用で生存率に一定の効果があることは示されている。また化学療法の副作用も低減することも知られている。標準的治療では助けられなかった進行癌患者に対して、残された選択肢の一つであることを信じている。しかしながら、高容量、長期間の服用についての安全性はもっと研究されるべきである。


メラトニンを服用すべきか?

  • 優れた抗酸化作用がある
  • 重篤な副作用は報告されていない
  • IL-2とメラトニンとの併用で腫瘍縮小効果・延命効果がある(主として乳がん)
  • メラトニン単独では、腫瘍縮小効果は少ない、あるいはほとんどない

長期服用による副作用があるかもしれないが、膵臓癌患者にとっては5年後、10年後の副作用は考える必要はないでしょう。なぜならそれまで生存している可能性は非常に小さいからです。再発予防効果についての大規模なエビデンスはないし、今後も出てこないでしょう。先に書いたように、特許の取れないメラトニンの大規模な治験がおこなわれる可能性はほとんどないからです。

健康な人がメラトニンを長期に服用することは、慎重に考えるべきでしょうが、癌患者が、これまでに知られている研究にも関わらず、メラトニンの服用を躊躇することはもったいないような気がします。日本の医学界がどうしてメラトニンに関心を示さないのか不思議です。自然界の存在する物質ですから、研究者の成果には繋がらないからでしょうか。

サプリメントや代替医療全般に言えることですが、100人に1人に対して効果があるサプリメントが100種類あれば、運良く自分に合っているものに当たれば100人全員が恩恵を受けることができるのです。現にクレスチンなどは抗がん剤として認定されているが、キノコ由来のサプリメントです。しかし、巷には高額なサプリメントをあたかも万能であるかのように宣伝している業者も多い。自分で調査し、考え、不十分ではあっても科学的な根拠に基づいていると思われるのであれば、自己責任で決定するべきでしょう。

決してこのサプリメントを勧めているわけではありません。私が調査し、考え、今の時点で思っていることを書いているだけです。書かれた内容についても、素人の判断ですから鵜呑みにしないでください。

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2009年5月31日 (日)

メラトニンについて(1)

メラトニンは松果体から分泌されるホルモンです。合成されたメラトニ4062077450_2 ンは、アメリカでは栄養補助食品サプリメントの扱いで一般のドラッグストアで買うことができますが、日本やその他の国では医薬品扱いです。

時差ぼけや不眠治療に用いられています。老化現象を防ぐ効用もあるといわれ、20年くらい前に一時ブームになって日本でもいくつかの書籍が販売されたようですが、現在はほとんど世間の噂には上りません。しかし、メラトニンはビタミンEの2倍以上の抗酸化作用があり、ビタミンCのように抗酸化作用があるが、ある場合にはフリーラジカルを作るジキルとハイドの用の二面性がありません。もともと人体で作られるホルモンですから、副作用がまったくといっていいほどないのも特徴です。NK細胞の活性化作用も優れており抗がん作用もあります。実際に乳癌で腫瘍が縮小したというエビデンスもあるくらいです。

健康食品」の安全性・有効性情報におけるメラトニンの記載です。

免疫・がん・炎症

・固形がんに対して有効性が示唆されている。通常の化学療法あるいはインターロイキン-2と併用してメラトニンを摂取すると、乳がん、肺がん、腎臓がん、肝臓がん、すい臓がん、胃がん、大腸がんの縮小を促進するという報告がある(PMID:1322155)(PMID:8208518)(PMID:8286206)(PMID:10674014)

厚生労働省の管轄する機関が出した情報で、「固形がんに対して有効性が示唆されている」と書かれているサプリメントはめったにないと思います。(日本では医薬品扱いですが)リンクしているPubMedの論文も開いてみましたが、確かに統計的に有意な差があったと書かれています。「夜ぐっすりと眠れて、気持ちの良い目覚めを体験できる」のが副作用だというほどの優れたものです。

更にPubMedで、タイトルにmelatonin,cancer が含まれており、かつ、ヒト臨床試験(Humans,clinical trial)との条件で検索すると、1990年から2007年までに32件の論文がヒットします。欧米ではがん治療に効果を上げている様子がうかがえます。

抗酸化作用の他に、免疫力を活性化する作用もあることが明らかになっている。メラトニン一週間服用すると、唾液に含まれる免疫グロブリンAの分泌が250%多くなり、2ヶ月服用するとナチュラル・キラー細胞が240%も増加、腫瘍壊死因子α(TNF-α)が28%、インターフェロンγが41%、インターロイキン2(IL-2)は51%も増加したという。『奇跡のホルモン メラトニン』より。

しかし、日本ではまったくといっていいほど研究がされていない。CiNiiで「メラトニン AND 癌」のキーワードで論文検索しても、3件しかヒットしない。Photo

アマゾンで書籍の検索をしても、ここ数年はメラトニンの睡眠効果を解説したものがほとんどである。癌とメラトニンの関係を書いたものとしては、先日のブログにも紹介した吉本興業で笑いとNK活性の実験をしたという伊丹仁朗医師の書いた『ガン医療のすきま30の可能性』くらいしか私は知らない。

どうしてこんなに効用のあるメラトニンが広まらないのか。『奇跡のホルモン メラトニン』の作者 ラッセル・ライターは「特許が取れないからだ」という。

メラトニンは脳のほぼ中央にある松果体で作られる人体(その他の動物・植物にさえある)に元々ある物質だから、その物質の効用を試験する製薬会社は現れてこない。莫大なお金をかけて二重盲検法でデータを取って有効性を証明しても、特許が取れないから誰でもが簡単に作れてしまう。現にインターネットでは合成されたメラトニンを安価に入手することができる。企業はすばらしい効用があっても、利益にならなければ手を出そうとはしない。

日本では医薬品扱いであるから、医者なら簡単に入手できるかのというとそうではない。厚生労働省が狂牛病に関してこんな通達を出している。

メラトニン製剤は、我が国では医薬品に区分されているが、現在までのところ、その有効性及び安全性について科学的な資料を整えた上で、薬事法に基づく製造又は輸入の承認の申請を行なった者はいない。このため、我が国ではメラトニンを輸入又は製造することは薬事法により禁じられており、この状況は、欧州諸国 においてもほぼ同様である。

つまり、日本の製薬会社、商社から入手することは、医者でもできない。手間暇かけて製造承認をしても儲けにならないからやらないということです。

(メラトニンの効用などは次回に)

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2009年5月28日 (木)

いまさらですが、癌って何?

Photo

「Keep On! 町工場」 今大田区の町工場がどんどんなくなっています。自動車関連の仕事はほとんどないのです。


癌というのはどういう病気なのでしょうか。いまさらですが。

癌は遺伝子(DNA)の異常から始まります。ヒトの身体は約60兆個の細胞からできており、役割を終えた細胞は死んで(アポトーシス)、新しい細胞と置き換わります。細胞分裂することで新しい細胞ができるのですが、このときある確率でDNAの複製ミスが起きます。このミスは、ある意味では生物にとってなくてはならないものなのです。生物はDNAのミスによって新しい形質を獲得して、環境の変化に耐えられる性質を持つことができるようになり、生きのびることが可能になるのです。(『遺伝子の夢』田沼靖一 などに紹介されています)

DNAのコピーミスから、私たちの身体の中には、毎日5000個ほどのがん細胞ができると言われています。しかし、これらの細胞の大部分は自ら死んでいったり(アポトーシス)、免疫系の細胞によって分解されたりして、増殖することはありません。簡単に言ってしまえば、免疫力が正常である限りはがん細胞が大きくなることはないのです。癌が大きくなったということは、自分の免疫力が癌を根絶することができなくなったということです。臓器移植された患者に免疫抑制剤を投与すると、癌になる確率が高くなるといいますが、これは逆に、免疫力が癌の増殖を抑えていることの証明であると言えます。

つまり、癌とは、私たちのからだ、免疫力が正常な本来の働きをしていないことの結果としての現象なわけです。三大療法といわれる手術・放射線・抗がん剤治療は、この現象としての癌をやっつけることを主眼にしているいわば対症療法ないのです。もちろん三大療法が不要だとか効果がないとかいう意味ではありません。風邪で高熱があるときは、とりあえず体温を下げる必要があります。外科をしたときは出血を止めなければなりません。大きながん細胞はもはや免疫の力だけではやっつけることは難しいので、手術ができるのならした方がよいのです。

現象の奥に潜んでいる法則性を見つけて一般化するのが科学です。例えば物理における万有引力の法則。リンゴが木から落ちるが月はどうして落ちてこないのか、こうした現象を万有引力の法則として取り出すことで、その他の現象にも応用できる理論ができあがるのです。その意味で、現在の標準的な癌治療はまだ科学と言える領域になっていないと思います。モグラたたきのように、現れてきた癌をやっつける(それも不十分にしかできていないのですが)だけです。

癌が見つかったときの治療方法については、三大療法として研究されてきました。また、末期癌の患者へのホスピスなども最近はやっと注目され、いくらかはましになってきました。つまり、癌治療における初めの時期と最後の時期に関しては、ある程度対策が取られているのです。しかし、その中間、手術後の再発防止、あるいは切除できない場合の治療に関してはお寒い限りで、患者は何をどうすればガンの再発を防ぐことができるのか、抗がん剤をこのままやっていて果たして癌が治るのだろうかと不安を抱えて闘病生活をおくらなければならない状態が続きます。こうして多くの癌患者が、怪しげなサプリメントやえせ宗教に走る原因を作っているのではないでしょうか。

手術や抗がん剤は『時間稼ぎ』です。いずれは癌が元気を取り戻してくる前に、これまでの生活習慣が癌を作った根本原因なのですから、生活習慣を180度変えることがガン治療には絶対に必要であり、科学的な治療方法だと言えます。じゃぁ、何をどうすればよいのか。手術を終えた大病院では教えてくれることはありません。せいぜい再発したときにはこの抗がん剤がありますよ、というだけです。

やらなければならないことは、自分の生活習慣を変えるということであり、ごく当たり前のことなんです。食べ物を変える。ストレスを溜めない・頑張りすぎない。栄養を摂る。身体を温めて血流を良くする。ごくごく当たり前のことを地道に続けることです。しかし、癌の特効薬はないと分かっていながら、「魔法の弾丸」を探している癌患者がなんと多いことでしょう。

9.11事件でいえば、ツインタワーに突入しようとする航空機を見逃すことはできないでしょうから、撃墜するなりの対応は必要でしょう。しかし、軍事力によってアルカイダやテロを撲滅させることは不可能です。無理を通して泥沼にはまっているのがブッシュのアメリカです。このように欧米の考え方は、往往にして、当面の現象・出来事に力で対処しようとして失敗するのです。

癌も同じだと思います。当面の敵を手術や抗がん剤でたたく必要はあります。緊急事態ですから。ですから抗がん剤はすべて悪だという主張には私は与しません。しかし、それで万事大丈夫だといえるほど癌は甘くはないはずです。免疫治療やDNAワクチンなど新しい治療方法が取りざたされていて、私も関心を持って調査していますが、これらだけに期待することはやはり「魔法の弾丸」を探すことになります。仮に有効だとしても、癌という現象に対する対症療法にしか過ぎないでしょう。対症療法が必要としている患者もたくさんいますから、大いに期待したいところですが、これをやったらあとは万々歳ということはできないと思います。

産婦人科で妊婦さんが「先生、私の子供を産んでください。お願いします」と言えば唖然とされるでしょう。しかし癌患者で、「先生、私の癌を治してください。お任せします」と不思議なことを不思議とも思わず言っている患者が如何に多いことでしょうか。癌の多くは生活習慣病です。生活習慣病は医者には治せないのです。直せるとも思っていないのではないでしょうか。自分の生活習慣を変えることが、がん治癒への必要条件です。

多くの癌が『生活習慣病』と言われる意味を、良くかみしめてみましょう。

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2009年5月20日 (水)

切除不能膵癌でのゲムシタビン24時間持続注入併用外部放射線治療

切除不能膵癌でのゲムシタビン24時間持続注入併用外部放射線治療の第二相試験成績が、PubMedの論文検索データとして登録されました。


目的:局所進行膵癌患者でのゲムシタビン・ベースの化学放射線療法の有効性を評価すること。

対象と方法:三次元放射線治療期間中(腫瘍部50.4Gy, リンパ節39.6Gy)に24時間持続注入で毎週ゲムシタビン(100mg/m2)を投与した。化学放射線療法後にゲムシタビン(100mg/m2; 1, 8, q21)による5サイクルの連続化学療法を行った。奏効率は化学放射線療法終了後6週目にWHO基準に従い評価した。局所制御率、無増悪期間、無転移生存 率、全生存率をKaplan Meier法で解析した。

結果:2000年から2005年にかけて40 例の患者(男性/女性 22/18; 年齢の中央値62才, 年齢幅, 36-76才)が治療された。症例の多くはT4腫瘍(n = 34, 85%)で、T3腫瘍(15%)は6例であった。16例(40%)が診断時リンパ節陽性であった。Grade 3-4急性毒性が21例(52.5%)に認められた。30例(75%)が治療スケジュールを完遂した。臨床的奏効は12例(30%)で認められた。追跡期間の中央値76カ月(32-98カ月)で、2年局所制御率は39.6%(中央値12カ月)、2年無憎悪生存率は18.4%(中央値10カ月)、2年無転移生存率は29.7%(中央値10カ月)であった。2年全生存率(25%; 中央値15.5カ月)は5-FUベースの化学放射線療法によるわれわれの以前の試験結果(2.8%)と比較して有意に改善した(p <0.001)。

結論:ゲムシタビン・ベースの化学放射線療法により転帰が改善すると考えられる。治療スケジュールを完遂できるようなより健康状態のよい患者が、この治療による恩恵をもっとも受ける可能性がある。
<以上、海外がん医療情報リファレンスより>

ピンポイントの三次元放射線治療と24時間のゲムシタビン投与を同時にやるという内容です。2年全生存率25%という成績は、切除可能な膵がんで術後補助化学療法でゲムシタビンを投与した場合とほぼ同等の成績ですね。5月29日から開催されるASCO 2009で発表があるのかもしれません。

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2009年5月19日 (火)

免疫細胞治療

『免疫細胞治療』は最近出版された本で、癌研有Photo明病院の名誉院長が監修しているというので手に取ってみた。本屋では結構売れているようでした。

読んだ印象を先に書けば、「免疫療法」や「がんペプチドワクチン」に関心があれば手元に置いておくのもよいかなという本です。免疫細胞治療の全般にわたって最新の情報が書かれており、実際の治療成績も多く載せられているからである。

はじめにがん治療の3大療法、手術・放射線・抗がん剤について書かれているのは、「第4の選択肢」としての免疫細胞治療を語る上で3大治療法を解説しないわけにいかないからでしょう。

「免疫療法」といわず、「免疫細胞治療」としたのは、巷に氾濫するいかがわしい免疫療法と一緒にされたくないという意識か。

監修者と執筆者はそうそうたるメンバーです。

  • 武藤徹一郎  癌研有明病院名誉院長
  • 江川滉二     医療法人滉志会理事長(瀬田クリニックGroup)
  • 遠藤 格       横浜市立大学附属病院
  • 垣見 和宏    東大附属病院 22世紀医療センター
                      免疫細胞治療学(メディネット)講座
  • 後藤 重則    瀬田クリニック東京 院長
  • 中川 健       癌研有明病院  病院長
  • 中面 哲也    国立がんセンター 先端医療開発室

その他総勢19人。実質的にはリンパ球療法の技術を提供している瀬田クリニックGroupの医者が中心で、メディネットと提携している病院の医者がそれぞれ分担して、研究と治験の現状を書いているということでしょうか。22世紀医療センター  免疫細胞治療学講座はメディネットの寄付講座です。東大にはこうした寄付講座が22講座あります。

がん相談室『蕩蕩』の相談医師とも重なっているようです。蕩蕩は、セカンドオピニオン料金が世間の2倍ほどしますね。

こうしてみると、この本はメディネットと瀬田クリニックGroupの宣伝という意味合いが相当濃厚だという印象を受けます。その点を意識して読んだ方がよいと思います。

がんペプチドワクチン療法(樹状細胞を使う免疫細胞治療の一種)も含めて、まだまだ十分な成績を上げているとは言えませんが、選択肢のなくなったがん患者には一縷の望みにはなり得るということ。しかし全額自費治療だから、治療費は400~1200万円かかります。貧乏人には無縁です。術後の補助療法として再発や転移を予防する効果に期待が持てるはずですが、国の制度の都合で現状では末期がんなどへの臨床試験しかできないということ。これはがんペプチドワクチン療法も同じです。

膵臓がんに対する臨床例もいくつか書かれていますが、相変わらずこの治療法でも膵臓がんに対しては芳しい結果を見ることができません。横浜市立大学で、膵がんにゲムシタビンとの併用で免疫細胞治療をおこなった例です。培養したリンパ球を太ももからカテーテルを入れて肝臓に注入する試験です。膵がんでは肝臓への転移が多いのですから、理にかなっているというわけです。2006年から2009年2月までの9症例があるということですが、『その中に再発までの期間が長くなった患者さんがいらっしゃいます。・・・この方の場合再発までの期間が700日という結果でした。』と説明されています。これを良かった症例として紹介されているということは、他はもっと悪かったとも取れますね。

再発までの期間が700日で、長かった!!! やはり膵臓がんは癌のなかの王様ですね。私は今日で手術から691日目です。免疫細胞治療なし、巷の様々なサプリメントも何もなしです。まだ再発はしていません。しかも入院しているわけでもないし、仕事も普通に続けており、元気です。どうしてなのか、何が良かったのかは自分でも分かりません。まぁ、これに文句を言うことはないのでしょうが。

Photo_2

期待が持てる免疫細胞治療ですが、『免疫信仰は危ない!』などの批判的な本も合わせて読むべきでしょう。リンパ球療法などエビデンスのないものを高額な治療法として提供してよいのかという批判があります。

また、NK細胞を免疫細胞治療の主役にしているANK療法の側からのこんな批判もあります。

さて、よく、ANK療法も、瀬田クリニックさんがやってるものと同じですか?と質問されますが、根本的に違うものです。

「体内の免疫細胞を体外で培養して再び体内に戻す」

この形式は同じですが、扱ってる細胞が違います。

瀬田クリニックさんはT細胞系ですから、がんを殺す力はそれ程強くなく、標準治療と併用して、延命やQOL改善を狙うもの、とされておられ、実際、数年の歳月をかけ蓄積したエビデンス(延命効果)を発表されています。 

前提は、標準治療ありき、で、その副作用をどこまで抑えられるか、免疫へのダメージをどこまで低減できるか、に主眼を置いておられます。瀬田流の免疫細胞療法は、あくまで免疫を脇役の位置に置いているのです。

免疫細胞療法には、大原則があります。

(1) 体の外で、がんを殺す細胞を培養する
(2) 免疫抑制を打破する強い免疫刺激を与える

この二つの要件を満たさないと、がんを「治す」可能性は開けません。

NK細胞の培養は難し過ぎる。
簡単なT細胞や樹状細胞なら手を出せる。
大量培養も簡単で、日本中、どこの施設でも実施できる。
手軽さから、どんどん、普及した獲得免疫系の免疫細胞療法は押しなべて、
(1)の、がんを殺す力が弱く、標準治療と併用するしかありません。がん治療の主役にはなれないのです。

免疫には獲得免疫と自然免疫があり、今大騒ぎしている「豚インフルエンザには免疫がないから」という議論は、正確には「獲得免疫がないから」ということです。獲得免疫がなくても自然免疫でウィルスをやっつけることは可能なんですね。そうでないなら、新しいウィルスが出るたびに人類は何度も滅亡しているはずです。

だから、ただの風邪にどうしてあんなに大騒ぎするのか不思議ですね。日本は世界の笑いものになっています。マスクが売り切れて買えないとニュースになるほどの大騒ぎです。

朝日新聞の素粒子欄にも「ニューヨークでマスクをしている人はいない。どうしてマスクをしないのかと聞いたら、どうしてマスクをするのかと聞き返された」と書かれていました。マスクでインフルエンザウィルスを防止できるという科学的な根拠は何もないのです。エビデンスがない。

リンパ球バンク(株)の藤井社長のブログですが、このブログ、他の記事も結構おもしろいです。一方、『免疫信仰は危ない!』では、瀬田クリニックの院長が、リンパ球バンク(株)のことを秘密主義だと批判していることも紹介しておきます。

瀬田クリニックGroupが切除不能局所進行膵がんを対象として実施した免疫細胞療法の臨床研究の結果に関する論文が、米国膵臓学会公認の学術誌『Pancreas(パンクレアス)』(April 2009 - Volume 38 -)に掲載されました情報は、4月21日のブログで紹介しています。

免疫細胞治療に関しては、賛否いろいろな考えを吟味してみることも大事です。

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2009年5月12日 (火)

大学が有償で癌免疫療法の可否

日経メディカルオンラインで、5/11の最新記事にこんなものを見つけた。(会員登録が必要です)

久留米大が「がんワクチン外来」を開設したが、予想以上の希望者(1500人)が殺到し、半年先まで受け入れを中断するというニュースは、4月2日のこのブログでも紹介した。

免疫学講座教授の伊東恭悟氏が開発した久留米大のワクチン療法は、「テーラーメード型」である点が特徴だ。

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患者が保険診療で安価に治療を受けられるようにするには、医薬品として薬事承認され、保険収載される必要がある。伊東氏は、臨床研究を進める一方で、ベンチャー企業のグリーンペプタイド(福岡県久留米市)を創業。同社は、前立腺癌と脳腫瘍に対して治験を進めている。

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しかし、研究者が自らの研究費で行う臨床研究や、癌種や進行度など登録基準が厳しい治験では、ワクチン療法を受けられる患者はほんのわずか。そこで久留米大はがんワクチン外来を開設し、多くの患者にワクチン療法を提供しつつ、臨床データを得ようと考えたわけだ。大学にとってはワクチン療法の実費などを患者に負担してもらうことで、研究費を抑えて有効性や安全性などのエビデンス確立につながる臨床研究ができる利点もある。

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信州大医学部附属病院も、09年1月から免疫療法の一つである細胞療法を自由診療で提供し始めた。ワクチン療法が体内で免疫細胞を誘導するのに対し、細胞 療法は患者の血液を採取し、体外で免疫細胞を誘導して患者に戻すのが特徴だ。細胞療法のノウハウは、国内ベンチャー企業から有償で提供を受けている

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平均7回の投与で治療費は約185万円に上るが「既に百数十人から問い合わせがあった」(下平氏)という。信州大の受け入れ患者の基準は久留米大に比べて 緩く、有効性や安全性を確立するための臨床研究としての色合いはほとんどない。標準治療以外の療法を望む患者の要望に応えることに、力点を置いたといえ る。

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エビデンスが確立していない治療を有償で行うことには反対だ」。こう話すのは、ゲノム研究の第一人者で、癌ワクチン療法の臨床研究を進める東大医科学研究所教授の中村祐輔氏。民間病院に加え、大学病院までもが未承認の免疫療法を有償で行い始めたことに疑問を呈する。

(日経メディカルオンラインより抜粋。下線は私)

小泉・竹中の「骨太の方針」以降、大学も「利益を上げる」ことが求められるようになった。大学だけではなく、博物館や美術館、コンサートホールなども同様である。大学は利益を上げる、ベンチャー企業を育成するというアメリカ的な運営を強いられるようになってきた。

こうした背景でがんの免疫療法が進められているのだということを、我々患者は脳裏に刻み込んでおく必要がある。「ノウハウはベンチャー企業から有償で提供され」てやるでは、研究機関としての大学の存在意義はないのではないだろうか。予算がないから有償で。患者には喜ばれてデータも取れる。一石二鳥ならぬ一石三鳥である。もちろん患者の希望に応えるのだという面もあるから、悪いというのではない。こういう側面があるんだよということは考えておくべきだと思う。

更にいえば、大学には「寄付講座」というものもある。企業が金を出して大学の講座を開設するわけである。AHCCの(株)アミノアップ化学はいくつかの大学に寄付講座を持っており、その会社の研究者名で論文も多数書かれている。PabMedでAHCCを検索すると、大学名と同時に企業の研究者名が出てくる。

がんペプチドワクチン療法の中村祐輔先生の意見はもっともである。有効性も安全性もそっちのけで治療するのなら、「瀉血」が有効だといわれた時代、その瀉血で死んだ初代大統領ジョージ・ワシントンの時代と変わらないではないか。

しかし、かくいう中村祐輔先生も、関連する癌治療薬の開発をしているオンコセラピーサイエンス社の取締役であり、発行株式の11.1%(21750株)を保有する第2位の株主である。最近の株式ニュースではオンセラ株は14万5000円という高値を維持している。計算すれば31億5000万円という時価総額になる。(2005年の時価総額 77億円よりは半減したが・・・)

もちろん正当な行為である。何も法律違反だということでもない。ただ、医学も経済抜きには考えられないという、冷徹な事実を忘れるべきではないというだけである。

日本の医療費総額は年間約 30兆円であり、その半分が癌治療関連だといわれている。15兆円の大きな市場であり、更にサプリメントなど個人が直接購買するものがあるから、20兆円の規模になるはずだ。つまり我々はこの一大癌医療マーケットの消費者であり、お客様である。高額な抗がん剤や検査、効果の怪しいサプリメントを、長期間購入していただければ、製薬会社も大いに潤うのである。

癌患者よ。もっと賢い「医療消費者」になれ!

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2009年5月 6日 (水)

「死」は「生」の更新のためにある

P1000349


『遺伝子の夢』 帯に(利他的な遺伝子)と書いてあPhoto る。ドーキンスの『利己的な遺伝子』はよく売れた本であるが、そのパクリか?と思って読み始めたが・・・。「人間は遺伝子を運ぶ舟である」という意味においては同じことを主張している。

細胞はアポトーシス(自死)の機能が遺伝子に組み込まれているといわれている。自分の存在が不要になった場合に、自ら判断して自殺するのである。よく例に出されるのが、オタマジャクシのしっぽ、蛙になるために、しっぽの細胞は自分自身で「自殺」して、しっぽが消えてしまうのだが、子供の頃からそれが不思議でならなかった。「消える」というのがどのようなことなのか。トカゲのしっぽのようにすっぱりと切れてしまうのだろうか。実際は細胞が自分で分解して、その細胞を構成していた成分は尿として排出される。

再生系の細胞のアポトーシスはよく知られているが、著者の田沼靖一Photo_2 は非再生系(神経細胞・心臓の細胞・脳細胞など)の細胞死を「アポビオーシス」と名付けている。

細胞の死はなぜあるのか、個体の死とは何かを問うことによって、死の生物学から「生の意味」を問い直し、人間とは何か、自分とは何かという哲学的問題に対して生物学からのアプローチを試みている。

不要になった細胞が自死するから、個体の命が保てるのである。(これはアポトーシスを忘れた癌細胞を見れば明らかである)免疫系においても、胸腺で自己反応性(自分自身を攻撃する)をもった免疫細胞を除去する仕組みがある。ウィルスが入ってきた。白血球が大動員されて戦闘開始、悪いウィルスをやっつけた。万歳である。その後は闘って不要になった白血球は消滅してもらわなければならないのである。いつまでもいては逆に困ることになる。

細胞の生成と死、この不断の流転の中にこそ、個体としての生が保証されているのである。

有性生殖をおこなう多細胞生物が存続するには、生殖相手を含むその種が存続していかねばならず、環境が変化しても生きのびるためには遺伝子の構成を変えて、新しい環境に適用するしかない。従って多くのバリエーションをもった遺伝子をあらかじめ作っておき、新しい環境に適用できる個体が生きのびるようにするのである。(ダーウィンの進化論)
このとき、古い遺伝子をもった個体がいつまでも活きていては都合が悪いのである。新しい環境に適応できる遺伝子と、古い遺伝子が有性生殖によって混じっては困るのである。したがって、生物の個体が永遠の命をもつことは、その種が生きのびる上では誠に都合が悪いということになる。だから生物には寿命があり、いつかは死ななければならないことになったのだろう。

二重の細胞死、アポトーシスとアポビオーシスは、多細胞生物が進化の過程で獲得した「生」のための戦略であり、死によって生を更新することがもっとも合理的な”種としての”生の手段なのである。つまり、「死」は自分以外の「生」のために存在しているのである。ヒトは「死」という究極において、他人のために生きることを運命づけられているのである。

ヒトは自分の子孫ばかりでなく他者も、そしてすべての生物の生命を救うことを目的として生きることが本来の姿であることを死の遺伝子は語っているのではないだろうか

私たちは生物学の発展によって、このような認識を”科学的”にもつことができる時代に生きているのであるが、何のことはない、いにしえの賢者は、生の本質、人の生きる意味を、真理を掴んでいるのである。遺伝子を知るはずもなかった荘子が、死生観において我々の先にいるのである。

夫大塊載我以形
労我以生
佚我以老
息我以死
故善吾生者
乃所以善吾死也
(荘子 内篇 死生命也)

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「夫れ大塊我を乗するに形を以てし、我を労するに生を以てし、我を佚にするに老を以てし、我を息わしむるに死を以てす。故に吾が生を善しとする者は、乃ち吾が死を善しとする所以なり」

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そもそも自然とは、我々を大地の上にのせるために肉体を与え、我々を労働させるために生を与え、我々を安楽にするにために老年をもたらし、我々を休息させるために死をもたらすものである。(生と死は、このように一続きのもの)だから、自分の生を善しと認めることは、つまりは、自分の死をも善しとしたことになるのである。(生と死との分別にとらわれて死を厭うのは、正しくない)   岩波文庫 荘子第一冊  金谷治訳注 184ページ

メメント・モリ(死を想え)は「他者の死を想え」ということかもしれない。生と死は断続したものではなく、分けることはできないのであり、死を忌み嫌い恐れることは道理に合わないのである。(道元も同じことを言っている「彼岸花と道元の死生観」)

癌患者であるからこそ、死を想い(メメント・モリ)、他者を想い、死と分かちがたい今日一日の生を充実することができるのである。

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2009年5月 3日 (日)

森林浴とNK細胞活性

1000円渋滞で、GWは60キロもの大渋滞が続いています。日本道路交通情報センターの渋滞情報を見ても、どこも真っ赤になっています。これを見たら、連休にどこかへ行こうかという気が失せてしまいました。

森林浴セラピーを目当てに長野の信濃町に行こうかと考えていたのですが、GWは家でのんびりした方が良さそうです。

2005年、都市部のいわゆる「お疲れサラリーマン」を被験者とした実験では、森林浴翌日の採血・採尿で生理的な変化を調査した。その結果、2泊3日の滞在によってNK細胞活性が52.6%向上したことが確認され、同時に抗がんタンパク質の濃度も上昇していることが確認された[2]。 この実験は2006年に も継続され、2泊3日の森林滞在で約56%のNK細胞活性を再現するとともに、日常生活・都市部への2泊3日の旅行で対照実験を実施した。日常での複数の 検査や都市部への旅行ではNK細胞活性に変化がみられなかったことから、森林の環境が免疫機能の向上に特異性を持つことが実証された。さらに、30日後も NK細胞活性が一定レベルで継続していることが判明し、森林浴での健康増進が持続効果を持つことが明らかとなった[3]

免疫細胞療法では、樹状細胞・キラー細胞・マクロファージなどの活性化でガンをやっつけようという考えですが、その中に活性化NK細胞療法(ANK)など、ナチュラル・キラー(NK)細胞の活性化でガンを縮小させようという方法があります。NK細胞は癌細胞にとってはもっとも怖い殺人鬼のようなものです。癌細胞とみれば見境無く殺してしまいます。免疫力を高めるということは、NK細胞活性を高めることだといても過言ではないでしょう。

森林浴とNK細胞活性の関係を、世界ではじめて明らかにした論文があります。林野庁と(独)森林総合研究所、日本医科大学の共同実験です。

3日間の森林浴により、NK細胞が放出する3種類の抗がんタンパク質、パーフォリン(Perforin)・グランザイム(Granzyme A,B等)・グラニューライシン(Granulysin)(通称“抗がん三兄弟”)がいずれも増加することを世界に先駆けて明らかにした。NK細胞の機能 が高まれば、生体の抗がん能力も高まると考えられている。

「抗がん三兄弟」とはおもしろい表現です。二泊三日の森林浴による効果が一ヶ月も持続するのですから、効果は絶大です。
森林セラピーポータルのサイトでは、森林浴と自律訓練法、ヨガ・気功、ウォーキングなど多彩なメニューで森林浴を楽しむ工夫が凝らされています。信濃町の「癒しの森」では免疫療法とのプログラムもあるようです。近くにはいわさきちひろ黒姫山荘もあります。黒姫童話館にはミヒャエル・エンデの遺品もあるんですね。

GWにはこれらを目当てにドライブを、と考えていたのですが、1000円渋滞ではたどり着けそうもありません。またの機会にしましょう。

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2009年4月27日 (月)

笑いとナチュラル・キラー細胞

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シャガ(アヤメ科の多年草) 等々力渓谷にて

犬の散歩をかねて等々力渓谷へ。環八の下に都会とは思えないような渓谷があります。シャガという花を見つけました。


インターネット落語会の4月下席は柳家喬太郎師匠の「松竹梅」。笑い転げてしまいました。柳家喬太郎師匠は、インターネット落語会の人気投票で第一位という人気者です。

ノーマン・カズンズの『笑いと治癒力』では、10分間大笑いしたあと、2時間は激しい痛みも感じることなく、ぐっすりと眠ることができたと紹介されていました。笑いはこころの深呼吸、こころのジョギングとも言われています。

大笑いしなくてもいいのです。心のなかでニコッとする。顔だけでも笑っている表情にする。それだけでナチュラル・キラー(NK)細胞が活性化し、免疫力が高まります。ナチュラル・キラー細胞は「非自己」であればためらいなく殺します。出会ったとたんに、一言の挨拶もなく、ためらいなく殺します。癌細胞にとってはいちばんの強敵です。

1992年、大阪なんばの「グランド花月」で、落語や漫才を3時間観た19人のリンパ球を調べたら、14人が免疫活性が高くなったという調査が、日本心身医学会で発表されています。倉敷の「すばるクリニック」伊丹仁朗医師が行った事件です。このとき調査したのは、NK細胞の活性と、免疫力に関わるリンパ球、CD4とCD8の比率。NK細胞の免疫活性は14人が上昇。免疫力のアクセル役を果たす CD4、ブレーキ役のCD8 も共に正常値に近くなることが分かったそうです。(CD8抗原が発現しているT細胞は、キラーT細胞、CD4を発現しているT細胞はヘルパーT細胞と呼ばれています。)

しかし、NK細胞は殺人鬼の役割だけではないのです。妊娠したとき、母胎にとっては「非自己」「異物」であるはずの受精卵を、NK細胞が優しくそっと包み込み、子宮粘膜に着床させるのです。NK細胞がなければ受精=妊娠は成立しません。生命誕生の決定的な瞬間に、NK細胞は大きな役割を果たしているのです。

都会のオアシス・等々力渓谷を散策し、綺麗な花を観賞して、落語で大笑い。今日もリンパ球が増えて免疫力が高くなったに違いありません。サイモントン療法で瞑想をするときに、笑いの効果で免疫力の高くなったNK細胞が、私の体内に残っているかもしれない膵臓癌細胞を殺しているところを具体的にイメージします。こうすれば、治癒にたいして、さらによい影響を与えることができます。

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2009年4月25日 (土)

腕を元の位置に戻す神経細胞

今月は毎週のようにチェロのレッスンが続きました。自宅での練習もほぼ毎日のようにチェロを出しては短い時間でも弾くようにしています。Photo_4

レッスンは108回目でちょうど丸3年になると先生。そうか、早いものですね。時の経つのは早いが上達は遅いなぁ。「野バラに寄せて」が今の課題曲。第一ポジションでA線のシからはじめて3小節目の3番目の音ミで第4ポジションになる。4小節目のミから再び最初の音シにスラーで戻る。このとき左指の位置がきちんと元の位置に戻らなければならないが、これがなかなか難しい。何しろ左手はほぼ耳の位置にあるので、目で確認することはできない。どうするかというと腕と肘の角度で覚えるしかない。肘の高さを同じ高さに保っていないと、角度もいい加減になるので、どうしても下がり気味で高い音になってくる。練習で覚えるしかない。

練習で記憶するとはどういうことか。脳のどこが記憶するのか。脳細胞のシナプスが電気信号として記憶するのだろうか。記憶ということすらまだ科学的に明らかになっているとは言い難い。おもしろい話しを見つけた。講談社ブルーバックスのPhoto_3 『進化しすぎた脳』にこう書かれていた。

「いつでも同じ場所に腕を移動させる神経細胞」
これは2002年5月の『ニューロン』という雑誌に載ったもの。脳のいろいろなところを刺激して調べていく過程で、この研究者たちはおもしろい場所を見つけたんだ。(略)
最初は腕がどこにあってもかまわない。だけどある場所を刺激すると、その直前まで腕がどこにあろうと、ある場所にきっちり移動する。これはものすごく画期的なことなんだ。
どうしてかって言うと、その神経は単純な運動を司るのではなくて、どういう風に腕を動かしたらいいのかをコントロールしている。つまりプログラムしている。

これまではある神経を刺激すると、ある筋肉が収縮して、身体の関節通りに動作するような現象はわかっていた。こうした単純な動作だけではなく、連続した複雑な動作を司る神経細胞が見つかったという画期的な論文です。この実験はサルで行ったのですが、口に手を持って行くという動作はある神経細胞群にプログラム化されて記憶されているという。ほかにも顔の筋肉がこのように動き、ある決まった表情になるなんていう神経の領域があるらしい。「手に職を付ける」とよく言うが、これは「脳細胞に職を付ける」と言い換えた方がよいかもしれない。

チェロで左手の人差し指を元のシの位置にもってくる神経細胞を育てなければ、正しい音を出すことは難しいということになる。どうすればその神経細胞ができるのか、そのための効率的な練習方法があるのか。いろいろと試行錯誤している。

記憶とは、こころとは、免疫とは何か。脳という小宇宙を探検してみたくなった。

「小宇宙」と書いたが、宇宙と脳や神経、レセプターとは本当に繋がっているかもしれないという。脳や癌細胞の表面で行われる化学反応、レセプターと情報伝達物質の反応は量子化学的にみれば電子レベルでの反応であり、電子の位置に大きく依存する。そしてボーアの不確定原理、相補性によれば、電子の位置とエネルギーを同時に正確に測定することはできない。電子の位置は測定するまでは確率の波として、一個の電子が全宇宙に広がっていると考えざるを得ない。もちろん、遠方ではその確率が限りなくゼロに近くなるが、ゼロではない。

このようなことを今考えて調査しているが、いずれ紹介したい。

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2009年4月23日 (木)

何となく引っかかる「闘病記」ということば

このブログを立ち上げたときのタイトルは「膵臓がん闘病記」でしたが、「闘病記」ということばになんとなく否定的な感触を覚えるので「サバイバーへの挑戦」と変えたのが昨年の8月でした。変更の理由をこのように書いています。

ヒロインは死んでしまうのですが、これが「闘病記」として一番先に頭に浮かんでくるのですね。言葉自体が暗いイメージです。私は死ぬつもりはありませんの で、となるとこのタイトルはちょっとまずいんではないかと思い初めました。そうなると気になります。で、タイトルを変えてしまおうという結論です。

TOBYO』というサイトが2008年2月から開設されています。ウェブ上でさまざまな患者が発信している闘病記を紹介したサイトですが、この開発された方のブログにこのようなことが書かれています。

一般に「闘病記」を語るときに、「勇気をもらえる」とか「元気が出る」などの表現が用いられることが多い。だが、これは本当にそうなのだろうか。何か歯の浮く過剰な美辞麗句に過ぎないような気もする。(略)
健康者のわれわれが「闘病記から勇気がもらえる」などと能天気にもてはやすのとは逆に、この闘病者のように「辛い苦しい悲観的な情報をみつけたら気の小さい私は当然落ち込む」と考えたり、「なるべく悲惨な事例は知りたくない」と考える人も確かに存在するはずなのだ。

ウェブ上にはいろいろな闘病記がありますが、私もあまりそれらを探索するということはしないですね。どういうものを探索するかというと、自分の癌に役立つ情報がある、病状が改善しているなど希望を与えてくれる、膵臓がんについて私の知らない情報がある、このようなブログをGoogleリーダーに登録して更新をチェックしています。

「闘病記」を読んでいると、亡くなった患者に代わって家族が感謝の言葉を書いていたり、症状が悪化しているという書き込みの後、何年も更新がなかったり、そんなブログに出会うとこちらも心が穏やかではなくなります。癌と果敢に闘い、充実した人生の終幕を過ごすことは大切なことだと思います。でも「闘病記」映画やドラマと同様に、あまり読みたくはないという気持ちです。

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2009年4月22日 (水)

焼きすぎの肉はすい臓がんの原因=米の研究

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肉の炭になるような焦げは以前からがんのリスクを高めるとはいわれていましたが、膵臓癌のリスクは60%も高くなるそうです。
ミネソタ大学のアンダーソン氏らの研究です。

【ワシントン21日AFP=時事】米国の研究で、高温で焦げるほどに調理された肉を食べ続けるとすい臓がんになる恐れが60%高くなるという結果が出た。研究結果は、米国がん研究会議で報告された。
 研究の中心となったミネソタ大学のアンダーソン氏によると、これは肉を強火でこんがりと焼いたりすると発がん性物質が形成されるためだという。オーブンで蒸し焼きにしたり、シチューにしたり、より低い温度で調理したりすると、発がん性物質はできない。
  研究は、健康な6万2581人を対象に9年間かけて食生活を調査する方法で行われた。その結果、すい臓がんになったケースが208件あり、よく焼いた肉を 好む人はそうでない人に比べて発生率が60%近く高かった。焼き過ぎの肉を食べた割合が最も高いグループでは、危険性が70%も高かった。
 同氏は、肉を調理する際は、高い温度で焼き過ぎないように注意することを勧めると述べるとともに、焼く前に電子レンジで数分間加熱して肉汁を流し出すことによって、発生する発がん性物質を減らすことができるとしている。 〔AFP=時事〕(2009/04/22-11:22)

手術後は基本的に玄米菜食で、時々魚という食生活です。肉はカレーライスを作ったときに仕方なしに一口食べる程度。退院時に主治医の先生からも肉食は控えるようにと言い渡されています。焦げるほどの肉は当然口にしていませんし、膵臓癌になる前も焼き肉は好きではなかった。

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2009年4月21日 (火)

【追加情報】膵がんに対する樹状細胞療法の試験

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「昼寝」  春爛漫、留守番も眠くなります。


共同通信によると、「メディネットの契約医療機関である瀬田クリニック新横浜と名古屋大学医学部附属病院が、2005年6月から切除不能局所進行膵がんを対象として実施しておりました、化学療法と免疫細胞療法を併用した臨床研究の結果に関する論文が、米国膵臓学会(American Pancreatic Association)公認の学術誌『Pancreas(パンクレアス)』(April 2009 - Volume 38 -)に掲載されました。」と報道されています。

共同通信の報道  メディネットの発表

切除できない膵臓癌は5年生存率は0%です。確実に死にいたるのですから、今回の論文が本当であれば患者としては希望が持てます。論文を入手して詳細に検討したわけではないのですが、上記の報道の範囲内で考えてみました。

  • ゲムシタビン(ジェムザール)との併用試験である。
  • 瀬田クリニック東京のページによれば、ゲムシタビンは通常の投与量の3分の2程度に減量している。
  • 対象例がわずか5例である。
  • そのうち1例が癌の縮小(部分緩解)、2例が6ヶ月以上の進行停止(長期不変)

ということですが、部分緩解した患者がその後どうなったのか、長期不変ということはその後急速に大きくなることがありえますが、どうだったのか。2005年から始まった臨床試験ですから、まだ5年は経っていないので、生存率などは出せないとは思いますが、いずれにしろ5例だけでは確かなことは言えませんね。いくらかの延命効果があるという程度ですが、それをどう考えるかは患者の価値観によります(経済状況によるというべきか。なにしろ治療費が高額になります)。

部分緩解の1例についても、ゲムシタビンの効果だということも考えられます。それに低量の抗がん剤を投与したとき(今回は2/3の量)、患者によってはそれが適量だったということもありえます。ともあれ現在は「治療調査」の継続中ということで、今回の発表は途中経過という意味でしょう。

瀬田グループでは、膵臓がんを始め各種の癌に対する樹状細胞療法の「治療調査」を進めており、保険適用外ではありますが、この調査に参加すれば医療費の減額処置があるということです。(治療調査と治験はどのように違うのか、わかりません)

興味はありますが、私は治療調査に参加することは考えませんね。わくわくするような楽しいこと、笑ってストレスのない生活をすること。こちら方がよほど延命効果があると思います。

翌日になって、下記のような情報が届いています。こちらは、18人の患者中2人(11.1%)で完全寛解(CR)が得られ、7人(38.9%)が部分奏効(PR)、5人(27.8%)が安定状態(SD)、4人(22.2%)が増悪(PD)となった。奏効率は50.0%だった。また長期間生存例もあった、ということです。米国がん研究会議(AACR)でのセレンクリニックと武蔵野大学の発表です。

進行膵臓がんに、ゲムシタビン、S-1による化学療法と、膵臓がん関連抗原を利用した樹状細胞療法の併用が有効である可能性が示された。少人数の患 者への投与で効果が確認されたもの。成果は4月18日から22日にデンバーで開催されている米国がん研究会議(AACR)で、武蔵野大学薬物療法学客員教 授でバイオベンチャーのテラの取締役である岡本正人氏が発表した。

岡本氏によるとゲムシタビンやS-1は、樹状細胞が働きやすくする環境を作るのに働いているという。

発表された臨床成績は、セレンクリニックで行われた結果。進行手術不能膵臓がん患者で、S-1やゲムシタビンなどの標準的な治療で安定状態 (SD)か増悪(PD)となった18人の患者を対象に治療が行われた。樹状細胞は、白血球除去輸血から顆粒球マクロファージコロニー刺激因子とインターロ イキン4の存在下でCD14陽性単球を生産し、OK-432で成熟化させて、膵臓がん特異抗原(1例を除いてMUC1かWT1またはその両方)で刺激して から投与された。

患者にはゲムシタビンとS-1の両方、またはどちらかと併用で、樹状細胞を1×10の7乗個を、14日間おきに4回から12回、皮内投与した。S-1とゲムシタビンの量は通常使う量よりも少ない場合が多かったという。

その結果、18人の患者中2人(11.1%)で完全寛解(CR)が得られ、7人(38.9%)が部分奏効(PR)、5人(27.8%)が安定状態(SD)、4人(22.2%)が増悪(PD)となった。奏効率は50.0%だった。また長期間生存例もあった。

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2009年4月20日 (月)

血液型と膵臓がんのリスク

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血液型がO型の人に比べて、B型は72%も膵臓癌になるリスクが高いという報告がありました。

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、膵臓癌の基礎的な生態に関し新たな手がかりを提供するとともに、数十年前に発見された血液型と膵臓癌発症のリスクの関連性について確認した。(略)

本所見によれば、膵臓癌発症率はO型と比較してA型では32%、AB型で51%、B型で72%高かった。全グループの膵臓癌のうち17%はO型以外の血液型を遺伝的に受け継ぐことに原因があるとみられた。しかし、膵臓癌発症の生涯リスクは比較的低く(推定1.3%)、血液型に関連するリスク増大は比較的小さいため、膵臓癌リスクのスクリーニングテストが血液型のみに基づいて行われることはないであろう。(略)

本所見の真の価値は、膵臓癌の仕組みについて何を示唆しているかにある、と著者は述べている。これらの知見は興味深いが、血液型の抗原と膵臓癌の直接的な関連を必ずしも示すものではないと著者らは強調する。ABO遺伝子は、より直接的に癌発症に関わる他の近隣遺伝子の単なるマーカーに過ぎない可能性がある。

血液型は糖タンパク質の種類により決定される。正常な膵臓細胞では膵臓癌細胞と異なるパターンの血液型抗原をもつもとが示されており、ABO遺伝子の活性化変化すると細胞の癌化を引き起こす可能性を示唆しているという。

私も実はB型です。血液型によってリスクが高いといわれても、血液型を変えることはできないし、役に立つ情報とは言えませんが、膵臓癌の発症のメカニズムに関して何かヒントになることかもしれません。B型の家族がいれば、膵臓がんのリスクを考慮して健康診断をした方がよいかもしれません。将来の治療への足がかりになるような研究に繋がると良いと思います。

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2009年4月19日 (日)

リンク集 信頼のおける癌の情報サイト

左サイドのウェブページ欄に「信頼のおける癌の情報サイト」を作成しました。

これまでお気に入り・ブックマークとして収集したもののなかから、信頼のおける情報源だけを集めてあります。

癌のと闘いは情報戦です。75%の人が、癌を告知されたときに情報源としてインターネットを検索するといわれていますが、必要な情報にたどり着くことが難しいという現状があります。まずは何よりも信頼できる情報を迅速に入手して、医師との相談、今後の治療戦略に活かすことが大事です。代替医療やサプリメントを探すのはその後です。

リンクした中から「医療情報サービス Minds」を紹介します。

TOPページを開くと、大きく「医療提供者向け」と「一般向け」にMinds_2 タブが 分かれています。「医療提供者向け」になかには、「ガイドライン」「Mindsアブストラクト」「コクラン・レビュー」「CPGレビュー」などの小分類タブがあります。

「膵癌」をクリックすると、一般向けの情報はなく、「医療提供者向け」サービスのなかに

  • ガイドライン
  • Mindsアブストラクト
  • コクラン・レビュー
  • CPGレビュー
  • クリニカルクエスチョン

が表示されます。

ただし、ガイドライン作成後の新しい知見は反映されておらず、例えば膵癌の「GEMによる術後補助化学療法の延命効果は現時点では確定していない(推奨度C)
」などと記載されている。実際は、ASCO 2008 で報告された大規模な治験で有効性が確立している。こうした例もあるので、インターネットなどで最新の情報を収集し、合わせて活用する必要があります。

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2009年4月17日 (金)

LAK療法は金と命を奪う詐欺

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権現堂堤の桜(6)


LAK療法(活性化自己リンパ球療法)について、インターネットで検索するとたくさんの病院が実施していることが分かります。費用は1クール(6ないし12回)で140万円~260万円というのが多いようです。

LAK療法は免疫療法の一種で、その中でも「非特異的癌免疫療法」に分類されます。

自然免疫を主に利用した療法を非特異的癌免疫療法と呼んでいます。生体が本来持っている自然免疫を高めたり、補ってやることで、癌の増殖をくいとめる、あ るいは癌の転移・再発を抑えることを目的とした治療です。1970年代から行なわれてきた古典的な治療が多いのですが、有効な治療成績が得られたものは少 ないのが現状です。膀胱癌に対する膀胱内BCG注入、悪性黒色腫(皮膚癌の一種)や腎臓癌に対するインターフェロン療法やサイトカイン療法(IL-2な ど)、肝細胞癌に対する非特異的活性化自己リンパ球移入療法が、治療成績が示された代表的な治療法です。
 しかし大部分の癌に対しては、非特異的癌免疫療法が有効であることを示す治療成績は残念ながらありません。
 元来、癌は自然免疫の攻撃を逃れて増殖してきているので、自然免疫を利用した非特異的癌免疫療法だけでは、癌の増殖を抑えるのは不充分ではないかと考えられます。

このように、有効性のない免疫療法を、さもあらゆる癌に有効であるかのように、藁をもつかみたい癌患者を食い物にしている医療機関がたくさんあるので、「藁(丸太だと宣伝すること多し)のつもりで掴んだら蛇だった」ということにならないように注意しなければなりません。

活性化自己リンパ球療法では、このブログからもリンクしている膵臓がんが自然緩解したという加藤一郎さんのHPにも愉快な経験が書かれていました。

会社の休み時間を利用して、まず「西新宿のとある病院」に電話をする。
電話口に出た受付の女性の口調は、医療関係の知識があるタイプに思えなかった。
しかし必死に状況を説明して、私はすぐに予約を取ろうとした。
ところが受付の女性は、来院する前にビデオを見るようにと言う。
宅急便で送ると言ってくる。しかもビデオは有料だと言うのだ。
癌およびリンパ球療法に関しては充分勉強していますのでと、私は一旦断った。
だが、折に触れてビデオの鑑賞を勧めてくる。なんだか違和感を感じた。
最後に、医院長の方から私の携帯に後で電話を掛けてくれると言う。
私は症状を前もって聞いてくれるのだと少し信頼感を戻した。

が、その直後受付の女性が言い放ったのだ。「コレクトコールでよろしいですね?」
私は唖然としたが、とりあえず承諾した。

しかし、どうも気になるのでインターネットで再度調べてみると、
案の定、この病院はいろいろなページであまり評判が良くない。
そういう目でこの病院のホームページを調べ直してみると、
名誉院長なる人物の写真が、いろいろな勲章や賞状と一緒に誇らしげに掲載されている。
自分の権威を一生懸命誇示しているとしか思えなかった。“医は仁術”という世界からかけ離れている。
これはまずい。直ぐにキャンセルの電話をし、院長からのコレクトコールも断った。
にもかかわらず30分ほどしてから、しかも会社の会議中に私の携帯が鳴った。(コレクトコールである)笑

「名誉医院長で医学博士のSだが。膵臓癌だそうだな。」
ううっ、勘弁してよ。(苦笑)

自分のことを、肩書き並べて名乗る人が世の中にいるのが信じられなかった。
「申し訳ありません、受付の方には既にキャンセルをしたのですが・・・。
実は、私は急遽東京を離れることになったので、この話は無かったことにして頂けますか。」
私は咄嗟に言い逃れをした。
「何故、東京を離れるのかね?」
不愉快になるほど横柄な口調である。
「それはプライベートな事なので話せません。」
「そう。」ガチャ。
思いっきり受話器を切る音がした。

この部分は何度読んでも笑ってしまいます。この程度の人物がやっている治療法ですから、その結果は推して知るべしです。つまりは丸太に見せかけて蛇を掴ませようという魂胆。

もうひとつLAK療法に関して「異端医師の独り言」から紹介します。LAK療法を考案したS.A.Rosenberg氏はNIH(国立衛生研究所)の外科部長で、レーガン元大統領の主治医でもあったのですが、

20人の末期がん患者を対象に臨床試験が許可された。一人目の患者、悪性黒色腫を患った若い女性が「LAKと IL2併用療法」で治癒した。彼女が美人で、はつらつとした性格の持ち主だったこともあり、全米が騒然となった。当時のレーガン大統領が「10人治癒させ たら、いくらでも研究費を拠出する」と公約した。
Rosenbergは、しばしばテレビに出演し、Times誌の表紙も飾った。しかし、彼は一貫して「決して魔法の弾丸でないこと」「臨床試験は、まだ始 まったばかり」と謙虚な態度をとり続けた。その後、Rosenbergのグループは、多くの末期患者を対象とし「LAKにIL2やインターフェロンを組み 合わせた療法」を試みたが、無効と判明したため、プロジェクトは解散した

LAK療法の考案者が「無効」だと結論したものを、日本ではいまだに大々的に宣伝して治療しているのですね。試験管で簡単に3日間培養液のなかに入れておけばよいのですから、簡単な設備で商売が始められます。相手は末期がん患者ですから、効果がなくても死ぬ運命だと本人が考えてくれます。何人かに一人でもプラシーボ効果で治った(改善した)患者が出ればしめたもの。宣伝材料が増えます。

振り込め詐欺はお金だけを盗っていくのですが、LAK療法はお金と命の両方を奪います。これを詐欺といわなければ世の中に詐欺は存在しません。

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2009年4月16日 (木)

がんペプチドワクチン 中村研究室

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権現堂堤の桜(5)


がんペプチドワクチンの中村研究室で、膵癌のワクチン療法実施病院が更新されています。久留米大学は希望者が殺到して募集を中止したニュースは紹介しました。リストからなくなっています。

・ 膵癌に対するワクチン療法

千葉徳洲会病院 消化器内科 TEL: 047-466-7111(施設HPをご参照下さい。)
責任者 浅原 新吾

札幌医科大学 第一内科 TEL: 011-611-2111
  責任者 篠村 恭久
  担当医 細川 雅代
九州大学 先端分子・細胞治療科 TEL: 092-641-1151
  責任者 谷 憲三朗
  担当医 伊賀 睦了
川崎医科大学 臨床腫瘍科 TEL: 086-462-1111(施設HPをご参照下さい。)
  責任者 山口 佳之
東北大学 がん診療相談室 TEL: 022-717-7115
  責任者 森 隆弘

(臨床研究準備中)
福島県立医科大学 第一外科 TEL: 024-547-1111
  責任者 後藤 満一
  担当医 木村 隆
東京女子医科大学東医療センター 外科 TEL: 03-3810-1111
  責任者 小川 健治
  担当医 塩澤 俊一、金 達浩
東京女子医科大学 消化器外科 TEL: 03-3353-8111
  責任者 山本 雅一
  担当医 有賀 淳
(治験実施中)
和歌山県立医科大学 第二外科 TEL: 073-447-2300
  責任者 山上裕機
  担当医 谷眞至、宮澤 基樹

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2009年4月15日 (水)

『からだの知恵』-W・B・キャノン

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権現堂堤の桜(4) 一面の菜の花畑


身体におけるホメオステーシス(生態における恒常維持)の概念を確立したことでよく知4061583204 られている生命学者キャノンの『からだの知恵-この不思議なはたらき』にこんな記述がある。

スペアのない器官の安全度
膵臓は、からだが糖を適切に利用するために必要な内分泌物インシュリンを作る。前に述べたように、膵臓を完全に取り除くと、ひどい糖尿病がたちまちに起こる。しかし、膵臓の五分の四を切り取っても、糖尿病にはならない。すなわち、からだに必要なインシュリンを供給するには、わずか五分の一があればよいのである。

キャノンのこの著作は、初版が1932年で、70年も昔のものである。その後の生物学の進歩は著しいが、キャノンの業績は決して古くさくなってはいない。

私の膵臓も残っているのは五分の一程度であるが、インシュリンを分泌するにはこれで十分だということである。「ランゲルハンス島は膵体部と膵尾部に多く存在しているから、膵頭部だけではインシュリンは分泌されない」という一般的な解釈は誤りだということだ。(70年も前に分かっていたことじゃないか!!) いや、確かにランゲルハンス島の分布はそのようになっているかもしれないが、失われた臓器の部分になりかわって、残された部分で役割を果たそうとする機能が備わっている。これは肝臓や胃などの臓器でもよく知られていることである。

しかし、これは考えてみれば非常に不思議なことだ。残された細胞は、「同じ臓器の同種の細胞が失われたことを知ることができる」ということである。「部分が全体を知る」ことができるということである。細胞相互間に何らかの情報伝達回路があるということになる。キャノンはそれを「ホメオステーシス」の一部だといったのだが、その機序はまだ十分に明らかになっているとは言い難い。しかし、免疫学ではその仕組みが徐々に解き明かされようとしている。

アンドルー・ワイルは『癒す心、治る力』のなかで、「治癒系」としてその機能を説明している。DNAの自己修復システムから、損傷を受けた細胞膜のリソソームによる認識と除去・置換(治療)、けがの治癒(創傷治癒)にみられる組織の再生。これらは人体では頻繁に起きていることであり、生物が生きのびるために獲得した仕組みである。リアリティの任意のレベルで観察された真実のパターンは、あらゆるレベルにおいても真実である。「上なるものは下なるものの如く、下なるものは上なるものの如し」である。DNA、細胞、組織レベルでの真実のパターン=自然治癒力あるいは治癒系は、からだ全体でも真実のパターンとして存在するはずである。

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2009年4月14日 (火)

がんを治す性格、悪くする性格

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権現堂堤の桜(3)


あるブログ「予後占い」にこんな記事がありました。

精神状態は、明らかに患者さんの予後に大きな影響を与えます。

現在、ほとんど同じ状態、同じ年で、好対照の患者さんもいます。
とても予後の悪い病気ですが、お一人は、腫瘍マーカーの動きに一喜一憂し、それが上がると、大きく落ち込みます。
もうお一人は、大凶「半年」の似非占いから、すでに3年を過ぎましたが、腫瘍マーカーの数字などまったく気にしたこともなく、検査データの結果の紙は、まったく見ずに、すぐに同伴のご家族に渡してしまい、「お食事は美味しく食べられますか?」に対して、「美味いっすよ!」の一言。

楽しく長生きしてくれているようです。

性格をみれば、その患者の予後が相当な確率で当たるというのです。

冠動脈性心疾患に関するパーソナリティの包括的な研究として、フリードマンとローゼンマンによるA型、B型性格の研究があります。A型の特徴は「過度の競争意識と、いつも期限に間に合わせなければならないという、慢性で持続的な時間への切迫感」の持ち主である。臨床試験と調査により、A型性格と心疾患の相関性は多くの研究者が認めるところとなっているようだ。

がんに関してもパーソナリティの関与があるのだろうか。グリーンとミラーらの心理学的テストによると、ガン患者の特徴として、

  • 成年期までに深刻な感情的問題を経験している(家族との繋がりの崩壊など)
  • 他人の気に入るように振る舞い、これによって愛情を得ようと過剰な埋め合わせをする。
  • これらの試みが失敗すると、怒りや孤独、絶望や自己嫌悪、不安やうつ状態が続く。

彼らに対する友人らの評は、「並外れて立派で、思慮深く、優しい、不平を言わない、ほとんどあり得ないほど善良な人」というのが多かったという。

A型性格は、物事がうまくいっているときは、積極的で行動的、仕事のできる人などの肯定的評価を受けやすく、本人もそのように思っている。しかしいったん歯車がうまく回らなくなると、失望、焦りなどの否定的感情が表われやすい。A型の性格はがん性格でもあると思います。私も典型的なA型人間でした。

アメリカがん協会の会長ユージン・ペンターグラスが1959年に既にこんなことを書いています。

がん治療の経験のある方なら誰でも、患者たちの間には大きな違いがあることに気づいておいでだろう。(略)
私は、治療がうまくいき、何年も具合良く生きているがん患者をみてきた。その後彼らの病気を突然悪化させ、死に至らしめる要因となったのは、第二次世界大戦で息子が亡くなったとか、義理の娘が信じられないとか、長期間失業していることの重荷とかいった、感情的なストレスであったと思われる。(略)
病気の進行は、感情的な苦痛によって影響を受けるという確固とした証拠がある。従って、私たちは医師として、患者が患っている病気だけでなく、丸ごとの人間としての患者の治療にも力を入れて良いのである。(略)
細胞内だけでなく前進的な影響を通して、がんの成長をコントロールする新しい方法の探究を私たちが前進させていくにあたり、この病気の進行を早めたり止めたりできる力が人の心のなかにあるのだという、明らかな可能性にいたるまで、探究を広げることができるよう、私は心から望んでいる。

『がんは気持ちで治るのか?』という本があります。副題は「精神神経免疫6366_0001 学(PNI)の挑戦」。こうした本にも近年のより確固とした研究成果を元にして、「がんは気持ちで治ることがある」のだと明言しています。

現在のがん治療の最前線にいる医者も、半世紀前のアメリカの医者も、そしてPNIの研究者もみんな一致して同じことを言っているのですから、こうした『真理』を利用しない手はない。がん患者には大いなる希望です。

飼い猫が交通事故で死ぬ、息子が戦死する、こんな大きなストレスが、病気を悪化させることがあるのですから、ストレスへの効果的な対処方法を身につけることは、長生きした胃がん患者には必須の学習課目でしょう。じゃあ、どうしたらがん性格を変えられるか、明るい気持ちで治療を勧めるためにはどんな方法があるのだろうか。私はサイモントン療法やその他の瞑想法、リラックス法を、患者のそれぞれが自分にあった者を探すことが大事だと思う。他人の評価よりも、自分で納得できる方法を探すべきでしょう。

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2009年4月10日 (金)

膵癌切除後、ゲムシタビン+S-1術後補助化学療法が有効【外科学会2009】

浸潤性膵管がんに対する術後補助化学療法としてゲムシタビン(ジェムザール)が有効であることはASCO 2008の大規模な臨床試験において既に明らかになっているのですが、再発後の有効性に関しては明確なデータがない状態でした。

先週開催された第109回日本外科学会定期学術集会で、信州大学消化器外科の中田岳成氏が、ゲムシタビンとS-1の再発時治療成績を紹介し、有用性を強調した報告を行なっています。

再発後の五年生存率を比較すると、ゲムシタビン単独群とS-1併用群の間には、43.2%と18.2%という明らかに統計的に有意な差があったということです。浸潤性膵管がんの再発後の治療方法として期待されます。

癌Expert より

S-1は大鵬薬品工業の経口抗がん剤。TS-1と同じもの。(商標登録の関係で、大鵬のTを頭に付けている)

2006年8月に抗がん剤S-1が膵癌に対しても保険適応となりました。切除不可能な進行膵癌に対して施行された第2相臨床試験における奏効率は32%(19/59)とかなり良好でした。

  この奏効率32%は、ゲムシタビンの膵癌に対する奏効率約10%よりかなり高い数字です。そして、S-1によって約1/3の膵癌が半分以下に縮小するので すから、当然一定期間の生存延長が認められる可能性は極めて高いと思われます。しかし今後、転移性膵癌および局所進行膵癌に対するS-1の生存延長効果を 科学的に証明するためには、大規模な無作為化比較試験で確認することが必要です。

鎌田医師と北里大学生命科学研究所客員教授 白坂哲彦氏のS-1開発の秘話はこちら

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アップルCEO 膵臓がんサバイバー

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権現堂堤の桜(2)


アップルのCEO、スティーブ・ジョブス氏が膵臓がんであるというニュースで、アップルの株価がどうのとか言うニュースが以前から流れていますが、ショブス氏の講演内容がアップされています。 彼の膵臓がんは島細胞神経内分泌腫瘍という非常に希な、外科手術可能な癌だったということですね。こんな幸運もあるのです。膵臓がんには20種類くらいあるそうですが、最も多いのが腺管癌で75%がこの膵臓がんだそうです。私の場合も『高分化侵襲性腺管癌(Well-differentiated Invasive ductal carcinoma)』です。

スティーブ・ジョブス-膵臓がんサバイバー

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2009年4月 9日 (木)

サイモントン博士の講演会

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権現堂堤の桜(1)
菜の花と桜を撮ってやろうと、朝の4時に自宅を出発して幸手市の権現堂堤に出かけました。何回かに分けて紹介します。


サイモントン博士の講演会に行きました。写真で見るよりご高齢で、杖をついての登壇でした。
「治癒への道」で必要なことは、幸せを感じて生きる、その日を精一杯生きること。その話しの中で、博士は自宅でポメラニアンを飼っているそうで、長期の海外講演から帰ってくると、妻・息子・孫たちはみんな忙しくて立ち働いているが、「ポメラニアンの彼女だけはただただ嬉しそうにしっぽを振って喜びを表現してくれる。こんなに長くほったらかしにして等という恨みや素振りはみじんも見せません。」と博士の生きる喜びを紹介してくれました。

小鳥・草花は「ただ生きている」 。死ぬかもしれないなどと悩んだりはしない。毎日が楽しそうに「いのち」を謳歌している。博士のポメラニアンに限らず、我が家のヨークシャーテリアも、本当に嬉しそうに腰の全体を使って短いしっぽを振ります。

「私は立派な仕事をやってきたと思っているが、しかし仏教などの東洋思想ではすでに私がやってきたことを数千年も前に確立している。」 瞑想や禅においては、病気はすべて心が原因だとして、深いリラクゼーションに導くことで病を治癒しようとしている。

ストレスと病気の関係は、ハンス・セリエの古典的労作『現代社会とストレス』で科学的根拠を与えられたのはご承知の通り。ケネス・ペルティエの『心が生かし、心が殺す』は、ストレスと病気の関係415g88wnmsl_ss500_ 、パーソナリティと病気の関係(例えば癌を作るパーソナリティ)を具体的なデータで論証していて、またストレスへの対処方法についても瞑想法・自律訓練法・バイオフィードバックなどを取り上げて説明しています。サイモントンの『がんのセルフ・コントロール』を読むときの科学的根拠として補ってやればより理解が深まるでしょう。

「希望を持つ」ということは大事なことだが、ややもすると希望ではなく「執着」になってしまう。「私の癌は治癒するだろう」と希望するのはよい。治癒しないかもしれないが、希望を持とうということ。「私は癌を治す」さらには、「私は癌を治さねばならない」「絶対に治してみせる」となると「執着」だ。一見ポジティブシンキングで、こちらの方がより積極的で良さそうに見えるが、自分の希望=執着がかなわなくなったときにポジティブシンキングは脆いのです。

老子の言葉に「勝とうとしなければ負けることはない」というのがあります。癌の治療にも同じことが言えるということです。「何が何でも癌に勝ってやる」という闘争心は、ちょっと躓いたときに疑心暗鬼になりやすい。「今の治療法で大丈夫だろうか。なにか魔法の特効薬があるのではないか。気持ちで癌が治るはずがない」ということになります。

「そうか、勝とうとしなければ良いのだな。よし、今日から勝つという気持ちは捨てよう。そうすれば癌が治るに違いない」 このように考えたら、あなたは既に取り逃がしています。
勝つか、治るかどうかは「成り行き」なんです。成り行きだから目標にしてはいけない。目標にすることは「執着」することです。また、「勝とうとするな」というのは、現代医学をすべて拒否して、心のあり方や食事療法などの代替医療で治そうというのではありません。ここは微妙なところです。治す努力はしなければなりません。しかしそれだけに執着しては治るものも治らなくなるのです。

癌に勝つとか負けるとか、そんなことから心を遠ざけて、今生きていることに感謝して喜びとともに過ごすことです。負けるかもしれません。明日死ぬかもしれません。それでいいじゃないか。というのがサイモントンでありペルティエであり、老子、仏陀、道元、良寛などです。洋の東西を問わずに偉大なマスターはみんな同じことを言っているのです。

そして、癌の奇跡的治癒あるいは自然退縮が起きた患者の多くに、こうした『実存的転換』が起こっているのだという報告が、『がんになりやすい性格―奇跡的にガンを自然退縮させた実例集』(中川俊二)や『奇跡的治癒とはなにか』(バーニー・シーゲル)などに紹介されています。中川俊二さんは日本における心身医学の先人である池見酉次郎先生の元で研究していた医者ですが、ご自身が胃がんになられて、それを契機に自然治癒例に興味を持って研究されたという方です。「実存的転換」の意味は中川俊二さんの言葉を借りると、今までの生活を心機一転し、新しい対象を発見し、満足感を見出し、生活を是正するとともに残された生涯の一日一日を前向きに行動しようとするあり方です。

私がこのブログで「生かされるままに生きよう」とか、「がんとは闘え、しかし死とは闘うな」とか書いているのも同じことの別の表現なのです。

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2009年4月 6日 (月)

膵臓がん治療用ワクチンの臨床試験始まる

■膵臓がん治療用ワクチンの臨床試験始まる(日本外科学会学術集会より)

膵臓がんの進行を、ワクチン療法によって遅らせようという臨床試験の第Ⅱ/Ⅲ相試験が全国の25箇所の医療機関で開始されました。第Ⅱ/Ⅲ相試験は新薬臨床試験の最終段階に相当する試験で、日本国内のみならず世界中が注目する試験です。この試験の詳細は、4月2日から4日まで福岡で開催された第109回日本外科学会定期学術集会で報告されました。試験の中心になっているのは、和歌山県立医科大学第2外科教授の山上裕機先生、宮澤基樹先生と東京大学医科学研究所教授の中村祐輔先生のグループです。

血管新生を標的にしたワクチン

このワクチンは膵臓がんが行う血管新生をストップさせることを狙っています。がんは急激な増殖を続けるために栄養と酸素を必要とします。そこで、がん細胞自らが血管を新生させる物質を分泌します。この物質の1つが血管内皮細胞増殖因子(VEGF)というものです。VEGFが血管にある“受容体”に結合すると、「血管よ伸びろ」という命令が血管細胞に送られ、血管の新生が起こります。

<以下詳細はパンキャン・ジャパンのこちら

この臨床試験の内容は、私も参加した先日の国立がんセンターでの講演で、中村祐輔教授が話された「PEGASUS-PC(ペガサス・ピーシー)」と名付けられた臨床試験で、このブログの昨年12月17日の記事でも紹介しています。

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2009年4月 5日 (日)

リンパ球の拡大培養法を用いたがん細胞免疫療法の臨床研究

■タカラバイオ、「レトロネクチン」によるリンパ球の拡大培養法を用いたがん細胞免疫療法の臨床研究を開始

レトロネクチン(R)で活性化するリンパ球の拡大培養法に基づくがん細胞免疫療法の臨床研究を京都府立医科大学で開始します

  タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)と京都府公立大学法人京都府立医科大学(学長:山岸 久一)消化器内科 吉川敏一教授・古倉聡准教授のグループ は、消化器がん(食道がん、胃がん、結腸がん、直腸がん、膵がん、胆道がん、肝細胞がん)及び肺がんを対象として、当社が開発したレトロネクチン(R)に よるリンパ球の拡大培養法を用いたがん細胞免疫療法の臨床研究を平成21年4月6日に開始します。

 当社は、リンパ球の拡大培養時にレトロネクチン(R)を用いると効率よくリンパ球の拡大培養(細胞を増やす)を行うことができるだけでなく、その増殖した細胞中には未分化な細胞であるナイーブT細胞が多く含まれていることを既に確認しています。

 このナイーブT細胞は、従来法で拡大培養したリンパ球と比べ、体内で持続的に働くことができるという特徴があるため、レトロネクチン(R)を使わない従来法と比べて、より高い治療効果が期待されます。

 本臨床研究では、レトロネクチン(R)を用いて拡大培養したリンパ球の反復投与の安全性を評価することを主要評価項目(エンドポイント)とし、副次的エンドポイントとして腫瘍縮小効果を評価します。症例数は9例で、期間は1年間を予定しています。

全文はこちら

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2009年4月 3日 (金)

サイモントン博士の無料講演会

サイモントン療法」の提唱者、カール・サイモントン博士の無料講演会が下記の日程で開催されます。サイモントン療法のプログラムは伊豆で開催されますが、夫婦同伴、費用が19万円ですから、手軽に参加するということができませんが、この講演なら聴いてみたい。

市民講座サイモントン博士無料講演会『がんとこころの関係』
                        【 日 時 】4月8日19:00~20:30
                        【 場 所 】日本大学医学部記念講堂(板橋キャンパス図書館棟3階)
                        【 定 員 】200名
                        【 共 催 】日本大学医学部附属板橋病院
                        【参加費】無料

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がんのイメージ療法

朝晩2回、ときには昼食後もイメージ療法を行なっています。サイモントン療法といわれているものです。
『念じるだけでがんが治るなんて、迷信だろう』とか、『そんなことができるのなら、オーム真理教の麻原のように身体が浮き上がることだってできるのじゃないか』と考える人がいるかもしれません。

私だって念じるだけでは目の前のペンを一ミリ足りとて動かすことはできません。ニュートンの物理法則に反することは絶対に不可能だということは分かっているのです。しかし、ヒトが脳で何かを感じるというとき、神経細胞は化学反応によって情報を伝達するのです。そしてさまざまなホルモンや情報伝達物質が複雑に連携して、脳からは遠く離れた器官にも影響を与え、細胞を活性化させたり、脈拍を速くしたり、血圧を上げ下げします。右手を動かそうと思えば<念じれば>右手が動くのであり、他人の右手が動くわけではないのです。念力ではなく自分の意志で自分の身体の一部を動かす、当たり前のことです。

プラシーボ効果が存在するということは、「心」が身体に作用することができということであり、医学はその事実を認めているわけです。医師法にも、暗示的効果(プラシーボ効果)を期待し、処方箋を発行する事がその暗示的効果の妨げになる場合に、処方箋を処方する義務がないと規定されています。

[ 処方箋の交付義務 ]
第22条  医師は、患者に対し治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、患者又は現にその看護に当っている者に対して処方せんを交付しなければならない。ただし、患者又は現にその看護に当っている者が処方せんを必要としない旨を申し出た場合及び次の各号の一に該当する場合においては、この限りでない。
  一 暗示的効果を期待する場合において、処方せんを交付することがその目的の達成を妨げるおそれがある場合

つまり頭痛だとか胃の不調とかを年中訴えてくるような、ちょっとうるさい患者に対して、毒にも薬にもならないものを処方する。しかし患者が処方箋を見たらばれてしまうので、こうした場合は処方箋を交付しなくてよろしいというわけです。

たくさんのガン患者を診ている医者は共通して、癌が治癒に向かう患者には、前向きであり、楽天的であるなどの性格的特徴があるといいます。待合室で大声で笑い、他の患者を励ましたり、相談に乗ったりしている患者はやはり長生きしているのだと。

乳がんの患者に精神的介入を行った実験では、生存率に有意な差が出たという研究があり、クロッファー博士のクレビオゼンという薬の実験などたくさんの例があります。

『○○を飲んだら癌がきれいに消えたそうだよ』
『それはプラシーボじゃないの』

これが世間の反応ではないでしょうか。しかし、ガン患者にとってはプラシーボだろうがなんだろうが、治りさえすればよいのです。いえ、逆に上手にプラシーボ効果を引き出して治ればよいでしょう。そうして何が悪いのでしょう。心が身体の免疫系に影響を与えることを信じて(これはもう科学的事実だといって良いのだから)、大きなプラシーボ効果を引き出すこと。私が今もっとも力を入れていることです。

川畑伸子さんの『がんのイメージ・コントロール法』、カール・サイモントンの『がんのセルフ・コントロール』『がん治癒への道』、ペルティエの『心が生かし、心が殺す』等の有意義な書籍があります。私はもっぱら川畑伸子さんの本を手引きにしてイメージ療法を行っています。(Amazonでは『がんのイメージ・コントロール法』は品切れのようです。現在改訂版を準備中とのこと)

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2009年4月 2日 (木)

久留米大がんワクチン治療 応募殺到で打ち切り

昨年の12月4日のブログで紹介した、国内で唯一がんペプチドワクチン外来を開始した久留米大で、受け付け開始90分で1500人の応募があり、受付を打ち切ったというニュースが飛び込んできました。
私も再発予防で考えていたのですが、ものすごい人気ですね。

久留米大(福岡県久留米市)は1日、がん患者それぞれに最適なワクチンで治療する全国初の「がんペプチドワクチン外来」の受け付けを始めた。午前10時からのインターネット上などでの受け付け開始直後から、申し込みが殺到。1時間半で1500件に達し、同大は「このまま続けても受け入れできない」として打ち切った。

同大によると、同外来の受診は、受け付け後、患者それぞれの主治医の承諾を得て、さらに同大で適応状況の審査がある。半年間で60人程度の患者受け入れを予定。次の受け付け開始は半年後をめどとしている。

同治療法は、外科手術や抗がん剤、放射線治療に比べて、副作用が少ないのが特徴で、通院治療も可能という。

同外来は、昨年12月に開設を発表後、全国から約1000件の問い合わせがあったという。(2009/04/02付 西日本新聞朝刊)


国内初の「がんワクチン外来」を1日開設した久留米大医学部(福岡県久留米市)が午前10時から資料請求の受け付けを始めたところ、申し込みが殺到、受け入れ可能な患者数を超えることが予想されたため、約1時間半後に中止した。

担当者は、「反響があまりにも大きく、受け入れ態勢をオーバーした。治療を希望する患者に迷惑を掛けて申し訳ない」と話している。半年後に受け付けを再開する予定。めどが付き次第、大学のホームページ(HP)や専用電話0942(31)7350で案内する。

大学によると、HPと自動応答による電話で受け付けをしたが、午前11時半までに1600人を超え、大学の代表電話もつながらない状態になった。第1期で受け入れられるのは約60人で、受け付けを中止した。

同外来は患者の免疫特性に合わせてがんワクチンを投与する。自由診療扱いで治療費は高額だが、抗がん剤や放射線治療などに比べて体の負担が軽いという。臨床試験に当たり、治療は主治医の承諾や大学側の審査を経る必要がある。(2009/04/01 21:13 共同通信)

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2009年3月27日 (金)

抗酸化作用ビタミンの有効性

抗酸化作用があるといわれるビタミンを摂取しているが、最近の知見によるとがんの予防効果に疑問がありそうです。

抗酸化作用があるといわれるビタミンは、βカロチン、ビタミンA、C、E、セレン(セレニウム)などですが、例えば喫煙者に対する”合成”βカロチンの評価では、

一般の食品素材ではなくサプリメントで摂取した場合、むしろがん罹患を促進する可能性があると報告されている。抗酸化系ビタミンのベータカロチンの錠剤を喫煙者が摂った場合、逆に肺がん罹患の危険性が増大するという。

米国National Cancer InstituteがフィンランドのNational Public Health Instituteと共同で行った50歳から69歳までの男性喫煙者2万9千133人を対象にした栄養介入試験(ATBC研究)で明らかになったもので、被験者は1日に平均20本のタバコを36年間吸っており、無作為に、1)合成ビタミンE50IU、2)合成ベータカロチン20mg、3)ビタミンEとベータカロチン併用、4)偽薬、という4つの投与グループに分けた。

結果、876人が肺がんを発病、564人が死亡した。そのうち、ビタミンEグループの発病者は2%と低く、ベータカロチングループは16%と高い結果が出た。ただ、毎日の喫煙量が20本以下でアルコールを摂取しない被験者の場合、ベータカロチン投与における評価はできなかった。

喫煙者への合成ベータカロチン投与ついては、その後、1996年に発表された米国のCARET studyでも否定的な見解が下された。
試験は、喫煙者あるいは以前タバコを吸っていた被験者および職場環境にアスベストがある労働者18,000人以上を対象に、半数に偽薬を、残り半数に合成ベータカロチン30mgとビタミンA25000IUを与えるというものだった。

しかしながら、この研究は予定より21ケ月早く中断された。というのも、ビタミン投与グループは偽薬グループに比べ、肺がん罹患が28%、死亡率が17%も高くなったためだ。

その後、こうした合成ベータカロチンの弊害については、「イタチによる実験で、合成ベータカロチンを多量投与したところ、特に煙草の影響を受けたグループとアスベスト環境にいたグループで、肺がんの危険性が増大した」と報じられている(Journal of the National Cancer Institute誌'99/1月号)。

この原因については、「煙草の煙に含まれる発がん性物質との相互作用を行う酵素の生成を合成ベータカロチンが高めている」とされている(Nature誌'99年/4月号)。同誌によると、イタリアの研究者およびテキサスの研究グループが合成ベータカロチンを豊富に含んだ餌をラットに与えたところ、肺にある種のがんを誘発させる酵素が増大したという。 リンク先

現在までに得られたエビデンスでは、ビタミンに限らず、がんを予防することが確実と評価された単一の食品や食品成分は存在しません。β-カロテン、ビタミンA、C、E、セレニウムなど、試験管実験で得られたメカニズムや動物実験では抗酸化作用があるといわれてきた栄養素を単独、あるいは、複合で用いても、がん予防効果がないことを示す複数のエビデンスが揃ってきています。逆に、通常の食事からは摂取できないレベルの高用量のβ-カロテンやビタミンEは、がんや健康障害のリスクを上げるという確かな証拠が示されています。がんを予防する可能性が示されている成分でも、サプリメントなどで過剰にとりすぎない方が良さそうです。

世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による「食事、栄養、身体活動とがん予防の世界評価」の2007年の改訂では、いろいろの栄養素についての要約がチャートで表わされています。

例えば著しい肥満は、確実に膵臓がんのリスクを高める、逆に(食事からの)葉酸は、おそらくリスクを低減する等です。日本語に直したチャートがこちらにあります。(一部のみ)

厚生労働省のWebには「健康食品の安全性・有効性情報」があり、たくさんの健康食品・ビタミンに関してより詳細な情報を得ることができます。
科学的な情報を得て正しく判断し、服用すべきかどうかは自己責任で決めるということでしょう。

私が摂っているビタミン類は全て『天然由来』の者に限っています。合成ビタミンよりは少し高価ですが、天然由来のものを多すぎないように摂るほうが安全だということです。確かに抗酸化作用のあるビタミンががんを予防するという確かのエビデンスは少ないですが、例えばセレン(セレニウム)については、

がんの発生率や死亡率との関連についての報告があるが、現時点ではポジティブな(有効性があるとする)結果とネガティブな(有効性がないとする)結果の両方が存在している。また、部位により異なることが示されている。

<がんの発生率や死亡率の抑制効果が示唆されたという報告>
 1) 全がん死亡率および発病率を低下させるのに経口摂取で有効性が示唆されている(66)。ただし乳がん、膀胱がん、皮膚がん、白血病-リンパ腫に対しては、このような効果の証拠はない(66) (66)。
 2) 前立腺がんの発生率の減少に、経口摂取で有効性が示唆されている(66)。血中、血漿中、および足の爪のセレン濃度を測定した結果より、食事からのセレンの摂取量の増加は前立腺がんのリスクを減少させると思われている。このようなサプリメントの効果は、セレン欠乏の人で最も大きく現れる。食事からの十分なビタミンEの摂取が、セレンの前立腺がん予防効果をさらに向上させるかもしれない。
 3) 疫学調査ではセレンの土中濃度がもともと低い地方で、皮膚がんの素因がある人を対象に、二重盲検試験でセレンの摂取とがんの関連をみた結果、皮膚がんの発生率は変わらなかったが、肺がん、大腸がんと前立腺がんの発生率は33-54%減少した。全体のがん死亡率は50%低下、前立腺がんでは37%の低下がみられた(53)。
 4) 50μg/日のセレン化酵母摂取が、15mgのβカロテンと60mgのビタミンEとの併用で、脳卒中死亡率、がん死亡率、そして全体の死亡率を減少させたという予備的な知見がある(66)。

<がんの発生率や死亡率の抑制効果がみられなかったという報告>
 1) 皮膚がんの発生率を減少させるのに、経口摂取で効果がないことが示唆されている(66)。200μg/日のセレン摂取は、基底細胞がん、扁平上皮細胞がん、非メラノーマ性皮膚がんの発生を抑制しなかった。
 2) 肺がんの発生率を減少させるのに、経口摂取で効果がないことが示唆されている(66)。疫学調査の結果、食事からのセレン摂取の増加は、肺がんリスクを減少させなかった。ただし欠乏している人では、少し効果があるかもしれない(66)。
 3) 3365人を対象とした無作為化比較試験において、セレン(37.5μg)とビタミンC(250mg)およびビタミンE(100IU)を含有するサプリメントを1日2回、7.3年間摂取させた結果、胃の前がん性病変の有病率や胃がんの発生率にプラセボとの差はなかった(PMID:16849680)。
 4) 2003年9月までを対象に、4つのデータベースで検索できた無作為化比較試験25報について検討したシステマティックレビューにおいて、がん患者によるセレン、ビタミンC、ビタミンA、β‐カロテンなどの抗酸化物質の摂取と全死亡率との関連は認められなかった(PMID:16849679)。
 5) 35-60歳の成人男女13017名(男5141名、女7879名)を対象とした無作為化二重盲検比較試験において、セレン(100μg/日)、ビタミン C(120mg/日)、ビタミンE(30mg/日)、β-カロテン(6mg/日)、亜鉛(20mg/日)を平均7.5年間摂取させたところ、女性では皮膚がんのリスクが増加し、男性では影響はみられなかった (PMID:17709449)。
 6) 2005年8月までを対象に7つのデータベースで検索できた無作為化比較試験12報についてのシステマティックレビューにおいて、β-カロテン、セレン、ビタミンEなどの抗酸化物の摂取は、全がん発症率や死亡率に影響を与えなかったという報告がある(PMID:18173999)。
 7) 健常男性34,888名(50歳以上、試験群26,192名)を対象とした無作為化プラセボ比較試験において、ビタミンE 400IU/日、セレン200μg/日を単独もしくは併用で7-12年間摂取させたところ、前立腺がん、肺がん、結腸直腸がんの発症リスクに影響は認められなかったという報告がある(PMID:19066370) 。

効果のあるなし両方のデータがあり、はっきりしたエビデンスとは言えないだろうが、「合成」β-カロチンのようにのような危険性がなければ摂り続けようと考えている。ただ、Dr.ワイルも彼のWebページでは推奨するビタミンの摂取量について著作に書いた内容とは違ってきているようで、マルチビタミンという形で推奨しているようです。

ビタミン、ミネラルは抗酸化作用だけに注目しているのではありません。これらの栄養素は免疫力を高めるためにも必要なものです。これらを食事からバランス良く摂取するのが良いのですが、玄米菜食ではミネラル分も不足しがち(玄米のぬかは微量ミネラルを結合させる作用が強いため、玄米食はミネラル不足になり勝ち)です。そのため、私は玄米ご飯には必ず「有機栽培の黒胡麻」を振りかけて食べるようにしています。それも結構な量ですから、便はいつも黒ずんでいます。アメリカ補完代替医療推進協会の日本語版ページが参考になるでしょう。

ビタミンも天然由来の安心できるものを、摂りすぎないように続けることにします。

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2009年3月24日 (火)

肥満は膵がん術後の死亡率を2倍にする

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玄関先にスノーフレーク(鈴蘭水仙)が咲きました。pivoさんからこの花の名前を教えていただきました。


体格指数(BMI)の値が35を超える肥満者は、リンパ節転移が広範で生存率も低く、術後の再発率が高い膵がんを発症しやすいという報告が「JAMA/Archives journals」(JAMAはアメリカでもっとも権威のある医学系雑誌)の1つ、「Archives of Surgery」誌3月号で、テキサス州立大学 M. D. アンダーソンがんセンターのJason B. Fleming氏らが発表した。(がんナビのページより) 元の英文記事(要約)はこちら

今回対象としたのは、1999~2006年に膵がんの治療で膵切除術(膵部分切除あるいは膵全摘)を行った患者285人。
BMIが35を超える患者では13.2カ月、BMIが23未満の患者では27.4カ月が生存の中央値であった。
BMIが35を超える肥満患者では、BMIが35以下の非肥満患者と比較して、リンパ節転移のリスクが12倍、膵切除術後のがんの再発と死亡のリスクは非肥満患者のおよそ2倍であった。がんの再発は、BMIが35を超える患者では95%、BMIが35以下の患者では61%に認められた。

国立がんセンターの「日本人のためのがん予防法」でも肥満は、喫煙・運動不足と並んで膵がんのリスクを高める因子であると書かれているが、それだけではなく、術後の再発率に関しても主要な宿主因子であることが明らかになったということです。

ASCO 2008の生存率」で書きましたが、術後ジェムザールを投与した場合の無病生存率(3年)は23.5%、無病生存率(5年)は16.5%です。この記事によるとBMIが35以下の患者では39%(再発患者が61%ですから)になります。期間が書かれていないのですが、調査期間が1999~2006年ということですから、2~9年くらい経過している患者の現時点での成績ということでしょう。非肥満者の無病生存率は、ASCOの無病生存率よりは高いはずです。

つまり、「統計値」というものは、このように当てにならない。というか、注目する因子を変えただけでその意味する内容が変わってしまいます。ASCOのデータは「肥満度」は考慮せずに「十把一絡げ」で統計処理したもの。肥満度を考慮し、性別を考慮し、民族や人種、生活環境まで考慮したら、そもそも統計の対象となるようなたくさんのサンプルは集められないわけですから、これが統計の宿命でしょう。『統計は統計、私は私』。統計値で悲観的になる必要もないということです。

ただ、BMI35以上というと、身長169cmの私の場合、体重が100kgでちょうど35.0となります。コーラとマクドナルドで超肥満となる人の多いアメリカでは結構多いのかもしれませんが、日本人では珍しい部類になるのではないでしょうか。現在の私のBMI指数は21.7、膵がんになる前は最大で29くらいでしたが、これでも「高度肥満」に後一歩という数字です。23未満では生存期間中央値が2倍ほどに長くなるということですから、今後も運動と食事に関心を払い、現状を維持するように努めることが大事だということに違いありませんね。

『ともかく、歩け、歩け』『玄米菜食で腹6分目』と、このブログで書いて実行してきましたが、このニュースを見て、これがやはり膵臓がんの再発を抑えるための重要な一つの方法だということを確信しました。今日もJRのほぼ一駅分(蒲田から大森まではJRの駅間距離では結構長い方です)を、往復で歩きました。

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2009年3月12日 (木)

中村裕輔先生の講演 がんペプチドワクチン

昨夜は国立がんセンターで行われた講演会に参加。「がん標準治療『後』を考える」とのテーマで、特別講演としてがんペプチドワクチンの開発者である東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔 先生が「がんペプチドワクチン療法 希望から失望、そして大飛躍への期待」と題して講演した。私もこの特別講演が目当てで参加したのだが、150人収容できる大会議室が満席で補助いすや立ち見の参加者が多数出るほどの盛況でした。マスコミの取材もあり、カメラが回っていましたからどこかで放映されるのでしょう。

中村裕輔先生の講演内容は、このブログの昨年11月26日にリンクし4895955621 てあるビデオの内容とほとんど同じで、タイトルはまったく同じでした。もっともいくらかは最近のデータを盛り込んで紹介はされているようでしたが。ですから、内容を知りたければこのビデオをごらんになった方がよろしいでしょう。

驚いたのは、いきなり右のような本の表紙をプロジェクターで投影して、「今の標準治療によってがん難民が増えている、ということでこのような書籍も出版され、マスコミでも放映されている。私がこのドワクチンを開発しようとした動機も、標準治療では救えない、再発後はいくつかの抗がん剤が効かなくなると『後はホスピスですね』と言われがん難民になっていく。こうした状況を何とかしたいということだったのです。」と話し始められた。がんの標準治療を押し進めてきた本丸である国立がんセンターの院長始めそうそうたる先生方が参加している場で、こんなことを言って大丈夫かと、人ごとながら心配になってきた。

中村裕輔先生の発言を私なりに要約すると、

エビデンスに基づく治療ということを、勘違いをしているのではないか。エビデンスは統計だと勘違いしている。たくさんの患者に同じ治療をしてその結果を統計的に処理しなければエビデンスではない、このような考えは違うのでないか。たった一人の症例でも、どうしてガンが消失したのか、あるいは逆にどうして効かなかったのかを考えることもエビデンスである。エビデンス・エビデンスと言っていると患者が見えなくなる。患者を診ないでがんを見ているから、患者はがん難民となっていくのではないか。

今までの免疫療法あるいはワクチン療法が効かなかったのは、癌細胞の数に比べて圧倒的にワクチンの数が少なすぎたためであろう。一人の警官が5万人のやくざを相手に戦争をするようなものであった。これでは追っつかない。がんペプチドワクチン療法では人体にある60兆個の細胞の10ないし100倍の数のワクチン分子を注入することで効果を上げようとしている。

本当に免疫力が高まってがんに対して効果があると言える状態になっているならば、免疫力が異常に高くなり、自己免疫疾患が発生しても良いはずである。そうならないのはまだまだ免疫力が足りないということだろう。ただ、現状ではがんペプチドワクチンを投与しても40%の患者には効果がない。20%は腫瘍の縮小が見られる。

このような内容でした。このワクチン療法も『魔法の弾丸』ではないし、これからの研究を待つべき薬のようです。国立がんセンターの治療開発部長 藤原康弘 先生が反対の立場から発言し、「第二の丸山ワクチンとならないことを祈ります」と、こちらも辛辣な発表でした。

現場の医師の立場から、JR東京総合病院血液・リウマチ科主任医長 小林一彦 先生は、「現場では明日どうしようか、ということが頭の中を占めていて、標準治療という言葉は浮かんでこない。」と発表し、ある乳がん患者の例を挙げていました。患者のがんの進展に合わせていろいろな抗がん剤をとっかえひっかえ使ってきた。その結果10年近く生存しているが、この患者の場合、どこまでが標準治療でしょうか、そのような線引きはできないでしょう、という発言。○○がんには、これとこれの抗がん剤、それが効かなくなれば、おしまい。こうした考えの医者には標準治療とは、マニュアル通りに治療をしていればよいバイブルでしょう。しかし、患者の立場で「さぁ困った、次は、明日はどんな治療戦略でいこうか」とまじめに悩む現場の医師には、標準治療はすでにやり尽くしていて、後はどうしようか、という切実な思いがあるのです。

がんペプチドワクチンは本来なら再発予防に効果があるはずですが、これのエビデンスを得ることは容易ではない。日本の現状では進行がんに対してのエビデンスを確立することが求められているからです。ASCO2008 では、ワクチンに対するエビデンスのあり方を、これまでの抗がん剤とは違う考えをするべきだという発言もあったようです。

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2009年3月 7日 (土)

がんペプチドワクチン療法の中村祐輔氏の講演

話題のがんペプチドワクチン療法の開発者、中村祐輔氏の講演が国立がんセンター中央病院であります。入場無料。3月11日18:30から。

 「がん標準治療『後』を考える」をテーマにした国立がんセンター中央病院長主催の講演会が、3月11日午後6時半から、東京都中央区の同院管理棟1階特別会議室で開かれる。東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔氏が、「がんペプチドワクチン療法-希望から失望、そして大飛躍への期待」と題して講演する。
 講演会ではこのほか、同院の臨床試験・治療開発部の藤原康弘部長、JR東京総合病院血液・リウマチ科の小林一彦主任医長が、それぞれ治療開発、紹介医の立場から講演する。
 また、自らががん患者でもある東大医学部附属病院放射線治療医の加藤大基医師が、患者の立場から講演する。
 その後の総合討論では、同院の土屋了介院長も加わり議論する。

 定員は150人。入場無料。申し込み、問い合わせは、ncchtouroku@gmail.comまで。リンク先はこちら

参加する予定で申し込みました。がんペプチドワクチン療法は本来がんの再発予防に効果的なはずですが、現状では文科省の医療特区で研究体制が進んでおり、臨床試験は予防ではなく治療に重点が置かれています。そうした点への疑問と、今後の研究状況などを質問してみたいと思っています。

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2009年3月 6日 (金)

飲酒・喫煙が膵臓癌のリスクを4.38倍にする

サンパウロ新聞によると、80万人以上を対象とした調査により膵臓癌と飲酒・喫煙との関係を明らかにしました。

膵臓ガン調査研究結果 予防には禁煙、禁酒、菜食を

 八十万人以上を対象に「飲酒と膵臓ガンとの関係」を調査していた科学者グループは三日、その結果を発表。結果によると、飲む頻度の高い人ほどガンの発生リスクが高まることが判明した。アルコールを飲む人は飲まない人に比べて、男性では四・三八倍、女性では一・九二倍ガンにかかりやすい。また喫煙も大きく影響、最も膵臓ガンにかかりやすい人はタバコを毎日吸い、緑黄色野菜を毎日食べない人。ガン死亡率の低い人はタバコを吸わず、毎日、緑黄色野菜を摂っている人。菜食・禁酒・禁煙がガン予防の近道だ。

 膵臓は胃の背面にある横に細長い三角形の臓器で、膵臓ガンは近年著しい増加傾向にあり、この二十年間に二・五倍にも増加している。病状は体重減少と痛み、黄疸で、早期診断が可能にありつつある。

2009年3月5日付

禁酒・禁煙・緑黄色野菜を食べる、何も膵臓癌に限らず癌一般に言えることでしょうが、膵臓癌ではよりリスクが高くなるということなのでしょうか。

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2009年3月 3日 (火)

チェロは癌に効くか?

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春が近いようです。京急梅屋敷駅近くの神社で、紅白の梅が競い合うように咲いていました。


先日のチェロのレッスンのとき、先生が「別のクラスのチェロの生徒さんも癌になったのですが、チェロを弾いているうちに癌が消えてしまったそうですよ。」と教えてくれました。

確かにチェロの音色は癌に効くのかもしれません。宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』では野ねずみの親子が病気を治して欲しいといって、水車小屋に住むゴーシュのところにやってきます。

「だって先生先生のおかげで、兎(うさぎ)さんのおばあさんもなおりましたし狸さんのお父さんもなおりましたしあんな意地悪のみみずくまでなおしていただいたのにこの子ばかりお助けをいただけないとはあんまり情ないことでございます。」

別冊宝島『がんにならない生活術』に「音楽療法のエビデンス」という記事がありました。副題が「体に優しく、免疫力が上がる 音響システムと曲名を求めて」となっています。音響システムは私も使用しているタイムドメインスピーカーが市販品の中では一番良いという結論です。さてそのエビデンスですが、6項目のアンケートによる体感調査と体温・手足の表面温度、アミラーゼ活性、赤血球画像撮影などを測定したと書かれているのですが、なんとその被験者は「健康で体調が安定している1名」だけ。

この程度の実験内容で「エビデンス」などという言葉を持ってこられると、読んでいるこちらが恥ずかしくなって賢治の壊れたチェロの穴にでも隠れたくなります。

その程度の低級な実験内容ですが、この本を監修しているのが『免疫革命』などのトンデモ本で有名な安保徹氏ですから、当然といえば当然です。

同様に、曲目の調査についてもいかさま的とも言えるような実験で、被験者は1名だけ。たった一人を対象とした実験から「モーツアルトの曲は免疫力が高まるものとして推薦できる」と書くのですから、図々しいものです。

この本に比べると、チェロの場合、野ねずみの親子と私と同じ教室でチェロのレッスンをしている3人(匹?)の病気が治り、少なくとも癌が再発せずにいるし、縮小した例もあるのですから、『チェロを弾けば、あるいはチェロの音を聞けば、癌も治る』と言っても、安保徹先生からお叱りを受けることはないと思われます。

もちろんこれは冗談ですよ。チェロで癌が治るはずがない。確かに音楽療法という言葉もあり、音楽を聴くことで免疫力には何らかの影響は与えることができるということは疑いないことだと思いますが、音楽だけで病気が治る、癌が治ると考えることはできません。そんなに大きな力があるはずはないです。(でもチェロの低音が体に響いてくると気持ちいいんだよね)

精神神経免疫学の知識によれば、心の有り様で癌が自然消失するという例だってあります。チェロかモーツアルトか、ではなく、どういう心の有り様になれば免疫力が高まるのか、これが問題の核心ではないでしょうか。

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2009年2月16日 (月)

引っ越し

しばらくブログの更新をお休みした。ずっと引っ越しの準備で昨日やっと引っ越しが終わり、後片付けも一段落した。

ある研究によると、引っ越し・離婚・離職・家族の死など、種々の出来事によりガンになるリスクが高まるらしい。確かに引っ越しのストレスは相当なものだという気がする。

ストレスによってガンになる、ということは、精神的状態・心の有り様が何らかの身体免疫機能に作用を及ぼしているということある。心の有り様でガンになるのなら、心の有り様でガンを治すことも可能なはずである。こうした考え方を科学的に研究しているのが精神神経免疫学であり、私の今の最大の関心領域だ。人間の脳の働きはまだ多くが謎に包まれており、未解明の領域がたくさんある。そして人間の免疫についても私たちはまだごく一部だけしか知り得ていない。

1985年、ベッティンゲールらの乳ガンの告知を受けた患者が、ガンに対してどのように向Photo き合ったかを調査した研究がある。それによると、告知を受けて絶望した患者の5年生存率は20%程度であり、ガンを積極的に受け止めて闘う姿勢を持って臨んだ患者の5年生存率は90%と有意な差が明らかになっている。この研究から、精神の状態が何らかの方法で免疫に作用をしていることが明らかになった。

ガンを受け入れる、ガンになったという事実を受け入れること。自分にできる最善のことをやること。その結果「死」が訪れるのならそれも受け入れるという心の有りようは、ガンに絶望することとは違う。

ガンで死なないためには、ガンで死ぬことを受け入れることである。逆説的ですか? しかしこれが真実です。

「死」を恐がり、死ぬことを避けようとする心の状態は、結局はガンに心が占領されているのです。余命●年だ、どうしようか、これではガンには勝てない。統計的には余命●年だ。しかし、●年をこれまで以上に充実して生きるにはどうするか。こういう考え方をする患者の方が、結果的にガンから生還する可能性が高くなる。乳がん患者の研究もそうした事実を述べているのです。

本来の自分に戻る。笑って生きる。のめり込めるような趣味を作る。他人との良いコミュニケーションを築く。身体によいものを少しだけ食べる。歩く。本来人間はこうあるべきだという生き方が、結局はガン患者にとっても良い生き方だということです。

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2009年2月 4日 (水)

膵がんには2種類ある

Photo

                    お散歩デジカメ

ネコに注意! 「子供」や「熊」に注意というのはよく見るのですが・・・・・・。


膵臓がん(膵がん)の診療・研究で世界をリードするメリーランド州バルチモア市にあるJohns Hopkins病院の訪問記が「がんナビ」に載っていました。

パンキャンジャパン事務局長 眞島 喜幸氏の記事です。

Johns Hopkins病院では、惜しくも膵がんで亡くなった患者さんから、生前の同意の下に膵がん組織を採取し、研究に利用するというGastrointestinal Cancer Rapid Medical Donation Program(GICRMDP)というプログラムを進めている。この研究の結果、膵がんには2種類のタイプがあり、1つのタイプは100から1000の転移が認められる「転移タイプ(Metastatic Type)」で、もう1つは、転移数は10以下の「局所破壊型(Locally Destructive Type)」であるといいます。

膵がんは基本的には遺伝子の病気で、がん関連遺伝子の先天的または後天的な変異が原因で起きると考えられている。研究を通して既に先天的に変異した、ある いは後天的に変異した遺伝子も多数発見されている。膵がんの発症との関連が明らかになってきている遺伝子とは、p16がん抑制遺伝子、KRASがん遺伝 子、p53、DPC4などだ。

膵がんの外科療法は成績も向上し、転移が無く、大きさが20mm以下の段階で膵がんがみつかれば5年生存率は50%以上のところまできている。しかし、ステージ1や2の早い段階でみつかるケースは少ないのが現実。

「5年生存率50%」はステージ1か2の膵がんの場合でしょう。私の膵がんは2.5センチメートルでステージは3ですから、まぁ主治医の先生が言われた20%が妥当なところかもしれません。しかし、「転移タイプ」ではなく「局所破壊型」であればより希望が持てると思われます。この時期で転移もしていないし、手術でも周辺のリンパ節への転移は全くなかったのですから、これまでの経緯を考えると「局所破壊型」である可能性が大きいのではないかと推測しています。

癌はひとそれぞれ、鼻の形が違うように、同じ癌でも人によってその性格はいろいろだといいます。その意味で生存率や余命何年などの統計値はあくまでも一つの指標にしか過ぎません。一喜一憂しないで、明るく笑って、前向きに、今できることを全力を挙げてやる、それにつきます。

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2009年1月23日 (金)

日本初:すい臓がん患者・家族のための「すい臓がん啓発キャンペーンキャラバン」

すい臓がん患者・家族のサポートグループNPO法人パンキャンジャパン(事務局長:眞島 喜幸)、がん患者主体のがん医療の普及啓発を目指すNPO法人キャンサーネットジャパン(理事長:吉田 和彦)は、日本イーライリリー株式会社(社長 アルフォンゾ・G・ズルエッタ)の支援・協力のもと、2009年3月より、日本を縦断する、すい臓がん患者・家族のための、「すい臓がん啓発キャンペーン キャラバン」を開始する事をご案内申し上げます。

日本では推計2万人が毎年「すい臓がん」と告知され、20%の患者は外科療法・術後補助 療法を受けますが、大半の患者は外科的治療の適応とならず、化学療法・緩和療法を受けます。近年、化学療法の進歩により、がん患者の治療成績に改善がみら れますが、主要ながんのなかで最も5年生存率の向上が望まれているのが「すい臓がん」です。高リスクグループの同定とモニタリング、早期発見、早期治療、 全身化学療法の開発・進歩、さらに疫学的予防法の周知徹底が「すい臓がん」においては重要な意味をもちます。

しかしながら、一般市民にお ける「すい臓がん」の認知度は低く、また「すい臓がん」患者・家族が科学的根拠に基づく信頼性の高い情報を得る事は難しいのが現状です。このような背景よ り、既に米国において、すい臓がん患者・家族のサポートグループとしての歴史と実績を持つパンキャンの日本支部であるNPO法人パンキャンジャパンと、日 本において20年近く科学的根拠に基づく医療情報を提供してきたNPO法人キャンサーネットジャパン協業の元、「すい臓がん」啓発のため、本プログラムを 企画致しました。

開催地区は、以下の3都市を予定しております。
■広島(3月14日:土)「広島国際会議場」広島市中区中島町1-5
■東京(8月1日:土)「新宿明治安田生命ホール」東京都新宿区西新宿1-9-1
■神戸(11月14日:土)「日本イーライリリー株式会社本社」神戸市中央区磯上通7-1-5

また、講演者はそれぞれの地域で「すい臓がん」治療に関るオピニオン・リーダーに依頼し、イベント運営は、NPO法人パンキャンジャパン、NPO法人キャンサーネットジャパンに加え、地元がん患者会で運営にあたります。

 これまで日本において、「すい臓がん」に関する啓発的イベントがなかった事、全国を縦断するイベントである事、イベント運営を患者団体・支援団体自身で行う事など、大変意義深いものと認識しており、是非、多くの方々に周知いただきたく、ご案内申し上げます。


NPO法人パンキャンジャパン 事務局長 眞島喜幸
Tel.03-3221-1421/ Fax.03-3221-1422
http://www.pancan.jp

NPO法人キャンサーネットジャパン 事務局長 柳澤 昭浩
Tel. 03-5840-6072/Fax. 03-5840-6073
http://www.cancernet.jp/

日本イーライリリー株式会社 渉外企画部 瓜生原 葉子
Tel. 078-242-9462/Fax. 078-242-9169
http://www.lilly.co.jp/

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2009年1月18日 (日)

花粉症の人は癌になりにくい

16日は倉敷に出張。6時20分に駅のホームに着くと、「京浜東北線は大森蒲田間でケーブル火災のため電車は止まっています」のアナウンス。急いで改札を出てタクシーで品川まで行き、予定の「のぞみ」に乗ることができました。東海道線も止まっていたようで、新幹線の車内はがらがらでした。

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そろそろ花粉症の季節ですね。我が家の家族は全員花粉症には縁がないのですが、日本人の2~3割は花粉症だといわれています。
そんな煩わしい花粉症の方には、朗報があります。

花粉症を始め、喘息、アトピー性湿疹、食物アレルギーなどのアレルギー症状をもつ人々は、アレルギー症状のない人と比べて、すい臓癌、大腸癌、食道癌、胃癌、口腔癌、子宮体癌、脳腫瘍などの発症リスクが低下するという研究があるそうです。

例えば、花粉症の人は、すい臓癌のリスクが57パーセント低下して、最も一般的な脳腫瘍である神経膠腫の発症リスクが45パーセント低下するという研究報告があります。
米国のコーネル大学のポール・シャーマン (Paul Sherman) 氏らが、 The Quarterly Review of Biology 誌12月号に発表しています。

人体では毎日5千個以上の細胞が癌化しているといわれていますが、それら異常な癌細胞は免疫システムによって破壊されます。しかしこの免疫監視システムを逃れた癌細胞がどんどん分裂して、目に見える大きさになって「癌という診断」が下ることになります。

アレルギー疾患は、通常は無害な物質や刺激に対して免疫システムが過剰に反応するために生じます。アレルギー症状を持つ人は、過剰になった免疫反応が、通常の人よりはまめに癌細胞を破壊して、その結果癌のリスクが下がるのだろうということです。しかし、すべての癌に予防効果があるわけではなく、例えば、肺癌や乳癌などではこの予防効果はみられないそうですから、特定の部位に関連した未知の免疫メカニズムが関わっているのかもしれません。

免疫系は神経系(脳)について人間の身体で複雑なシステムです。脳と同じく、その研究はまだ始まったばかりであり、我々の免疫系に関する知識は初歩的な段階です。しかし近年精神神経免疫学の分野の研究はめざましく進歩しています。例えばスティーブン・ロック/ダグラス・コリガンによる『内なる治癒力』や、神庭重信の『こころと身体の対話』には、免疫系と脳あるいは心の相互関係の到達点が述べられています。免疫系は「複雑系」であり、人体は神経系・消化器系などの他の複雑系が、さらに相互に情報交換をしながら自律的に行動している『スーパーシステム』ですから、人類はまだその全貌を知り得ていないのです。

心の持ちようでがんの再発を抑え、完全治癒することができるのか?これは古くて新しいテーマであり、私にとっても一番に知りたいことです。

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2009年1月10日 (土)

ヤクルト400 (プロバイオティクス)

プロバイオティクス

ヤクルト400を飲み始めてから3週間目に入りました。もちろんすぐに効果が実感されるようなものではないですから、身体にも別段代わったことはない。だだ、一緒に飲み始めた妻は「便通がスムーズになったようだ」と言っている。

NK(ナチュラル・キラー)細胞の活性化に効果があるということだから、身体の見えない部分で、免疫系のシステムの中で何らかの小さな変化が起きてくれればよいという風に考えている。

免疫に関しては、まだまだ分からないことが多い。多田富雄さんの『免疫・「自411jt538dql_ss500_ 己」と「非自己」の科学』では、「免疫という劇場」でT細胞、B細胞、サイトカインなどのたくさんの役者が互いに連携しながら「免疫」力を発揮する様子が分かりやすく説明されている。しかし、花粉症一つですらまともに治療をすることができない。がんの免疫からの「逃避」、つまりがんの特徴を隠して白血球などからの攻撃を逃れること、あるいは「免疫の寛容」という複雑な減少についても、今の科学では分からないことばかりである。

プロバイオティクスがどこまでがんの再発を抑えることができるのか、十分なデータがあるわけではないが、少なくともいくつかのヒトの臨床試験で有効性を示すデータがある。ならばダメ元で飲んでみようかというのが偽らざる心境である。

複雑系としての免疫、超(スーパー)システムとしての人間

多田富雄さんは免疫は「複雑系」であるとして、

たった一種類の造血幹細胞から始まって、複雑な生命システムを作り出した免疫。その中には、マクロファージ、異なった機能と認識能力を持つ何種類ものT細胞、B細胞、そしてNK細胞などの多様な細胞が含まれ、さらにそれらの細胞群は、抗体、補体、サイトカインなどの液性の因子を介して複雑な連係プレイを行ないながら個体の「自己」というものを決定し、その全体性を維持している。もともとは単一の細胞の自己複製から始まって、自ら多様なものを作り出し、その相互関係を介して自己の行動様式を決めている免疫は、より高次の複雑系として働いている、生命全体のひな形として眺めることもできると思う。

免疫系は、個々の細胞の相互作用によって、あたかも目的と意志があるかのように振る舞うことができる。免疫系の成立とその運営、脳神経系や消化器系などのその他の高次生命システムとが共通して使っているルールがあるはずであり、多田富雄さんはそれを「超(スーパー)システム」と名付ける。いくつもの複雑系がさらに有機的に関連し合いながら働いているのが「超システム」ということになる。ここには現在医学がデカルト以来の要素還元主義にどっぷりとはまり込み、臓器は見るが全体としての「生きている人間」は見えない医者の態度などの批判ともなっている。

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2008年12月26日 (金)

がんペプチドワクチン療法(3)

「日経メディカルオンライン」に『癌ペプチドワクチンをオールジャパン体制で評価』という記事があります。全文を読むにはメンバー登録が必要です。「日経メディカルオンライン」は会員制のサイトですが、登録は無料で、医療従事者でなくても、どなたでも登録が可能です。

11月18日のNHKニュースでのオンエアからしばらく、東大医科学研究所・中村祐輔教授の研究室の電話は、癌ペプチドワクチンへの問い合わせで鳴りっぱなしだった。癌患者や家族から1週間で来た電話は400件を軽く超える。「自分の癌には使えるのか」「どこに行ったらできるのか」といった、すがるような問いに研究室の医師スタッフが逐一対応。中村氏自らも数十人の問い合わせに応じたという。

第四の癌治療法”として喧伝されるものの、有効性を示す明確なエビデンスが得られないまま広がっている免疫療法について、まずはペプチドワクチンで白黒をつけようというものだ。

期待がかかるのは再発・転移予防だが…
 体内の免疫細胞が癌細胞をアタックすることを考えれば、免疫療法で最も効果が期待されるのは、再発・転移の予防。術後、あるいは放射線照射で癌が退縮した状態、つまり少ない癌細胞を圧倒する数の免疫細胞で攻める方が、本来の機能に合った使い方と考えられる。

免疫療法はほかの治療法と組み合わせることで真価を発揮すると考えられるが、現状はあくまで“仮説”。中村氏らのプロジェクトは、その仮説を検証する土台を国内でもようやく作ろうというものだ。

プロジェクトでは、久留米大免疫学講座教授の伊東恭悟氏らのグループが臨床研究および臨床試験を進めてきた「テーラーメード型ペプチドワクチン」も対象となる。

がんペプチドワクチン療法は、本来は再発や転移予防に効果的だと思われるのですが、臨床試験に参加できる条件として、「転移・再発予防を目的とするものではありません」と書かれています。
再発予防ではエビデンスを得ることは難しいでしょうから、この療法の効果を検証するためにはやむを得ないことなのでしょう。

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2008年12月25日 (木)

「がんペプチドワクチン」りぶさんの体験記

「体験記」と言っても私の体験ではありません。すい臓がんと乳がんのお母様をお持ちの「りぶ」さんが書かれている『ほのぼのブログ』に衝撃的な内容が記されています。

希望の光となるか?がんペプチドワクチン
希望の「がんペプチドワクチン」であったが…

東京大学医科学研究所附属病院にがんペプチドワクチン療法を申し込みに行かれ、その体験記を書かれています。お母様は結果的に治療対象となりませんでした。そして、

医科研で最初に行われた臨床試験には5名が参加したそうですが、
5名全てが膵臓癌の進行をしてしまったとの事。

● 2名は既にお亡くなりになり
● 1名は連絡がとれず消えたので亡くなったと判断
● 2名は依然として進行している

という事らしいです。。。
ペプチドワクチンは、成績がおもわしくないので敢えてやる理由がない。
というような感じでした。

そもそも「免疫療法」では膵臓癌などを治せないのは、
医学の世界では「常識」らしいです。
世界的に有名な、
米国国立がん研究所ローゼンバーグ博士の2004年の論文が有名ですが、
それはまだ悪い意味で「正しい」らしいです。。。
http://www.j-immunother.com/faq/A.html#03-16

医科研の中村教授がNHK内で言ったような事はウソではないでしょうけれど、
かなり先に可能となるようなある意味本当の意味での"夢"の薬なのかもしれません。

NHKや中村教授が出ているインターネットの動画で、
和歌山県立医大かなんかでペプチドワクチンを受けた患者さんの回復例がありますが、
あれは和歌山県立医大での臨床試験の条件に、
「無治療」という条件がある理由も否定できないそうです。
つまり、
「ジェム+ペプチド」なので、
ジェムザールだけの効く力で回復されているんじゃないか?とも推測できるという事。

と、担当の先生とのやりとりを書かれています。

すい臓がん患者が死亡あるいは進行しているということですから、少なくともがんペプチドワクチン療法はすい臓がんに関してはまだまだ未知数ということでしょうか。
上のリンクは「瀬田クリニック」内のページに飛びますが、私はこのクリニックに関してはあまり信頼をしておりません。詳細は省きますが。

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2008年12月24日 (水)

再び、プロバイオティクス

プロバイオティクスについて少し調べてみました。先に結論から書けば、本日からヤクルト400を配達してもらうことにしました。

12月10日「プロバイオティクス」12月16日「臨床瑣談 中井久夫」にも書いたように、「がんの補完代替医療ガイドブック 第2版」で、近年、ヒト臨床試験において効果が立証されつつあるものとして紹介されています。

PubMedで次のキーワードで検索しました。

Keyword:probiotics  cancer

「Limits」タブをクリックして、次の条件を与えます。

     Humans       ヒト
     Clinical Trial  臨床試験
     Randomized Controlled Trial  ランダム化比較試験

Pubmed1

Pubmed2
Clinical Trial での検索結果が29件、Randomized Controlled Trial での検索結果が23件ありました。いくつかの重複もあります。

  • 胆道癌の切除後に術後の感染性合併症を減らす
  • ヤクルトのL-カゼイ菌(シロタ株?)の膀胱内注入は膀胱癌手術後の再発予防に効果があった(九州大学医学部泌尿器科腫瘍学グループ)
  • L-カゼイ T-110は膵頭十二指腸切除手術後の患者の術後感染症予防に効果がある(新潟県がんセンター中央病院)

などの結論が書かれた論文が目に留まりました。全てをチェックしたわけではありませんが、単に学会発表や企業の研究発表レベルの論文ではなく、厳密な内容のチェックがされる学術論文として出されていることが確認できました。

ただ、Meta-Analysis では検索にヒットしませんし、Clinical Trial,Phase Ⅰ等でもありませんから、まだまだ研究途中ということでしょう。

ヤクルト菌(学名:Lactobacillus casei Shirota 株)はNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)を活性化し、免疫力を高めるということは相当確かなようです。臨床試験などでもその有効性が認められるようになってきたようです。

ヤクルト中央研究所の研究者からも直接話を伺うことができましたが、免疫活性を高めて特に大腸癌などの消化器系の癌には有効だということでした。医薬品ではない(粉末の医薬品もあるが高い)ヤクルトですから、薬効の宣伝はできませんが、研究者としては相当の自信を持っているような話しぶりでした。

正直なところ、これまでヤクルトなんて甘ったるいだけで、メタボに効くとかいうトクホ(特定保健用食品)だろう。眉唾物では?という認識でした。ちょっと認識を改めなければなりません。

日本で手に入るもので一番良さそうなものは「ヤクルト400」でしょう。
(ヤクルトの宣伝をするつもりはないのですが、調べた結果を素直に書きました)

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2008年12月22日 (月)

「笑いと治癒力」ノーマン・カズンズ

ノーマン・カズンズは、不治の病と言われた膠原病から、ビタミンCと「笑い」を武器に、41pvfsp4h0l_sl500_aa240_ 五百分の一という奇跡的な回復をした人です。有名な書評誌『サタデー・レビュー』の編集長であり、核兵器廃止運動、環境汚染反対運動、世界連邦運動の指導的活動家でもあります。1956年に広島の「原爆乙女」25人をアメリカに招き、整形外科手術をうけさせたことで日本人に知られるようになりました。

この『笑いと治癒力』は、初めには『死の淵からの生還』と題して出版された、彼の膠原病克服の記録であり、人間の自己治癒力に対する鋭い考察の書でもあります。私自身も毎日朝晩ビタミンC(アスコルビン酸)を1000mgで2回摂っていますが、ビタミンCの治療効果とその根拠が明確に述べられています。

編集長という仕事がら、読んだ医学誌の記事を思い出します。ビタミンCは、免疫作用と自己治癒力を働かせるために必須の構成要素である41j1azpm8cl_sl500_aa240_という事実。しかし、人類とある種のほ乳類だけが、体内でビタミンCを製造できず、貯蔵もできない。彼はビタミンCを直接静脈に送り込むことを計画します。しかもその量は25グラムという大量投与です。主治医のヒッツィグ博士は驚きながらも同意しますが、血沈量の劇的な減少という形で、効果が顕著に表れます。これらが闘病過程が説得力を持って書かれています。

同時に腹を抱えて笑えるようなテレビ番組を看護婦に映写してもらい、看護婦が集めてきたユーモアの本を読むことを続けます。「笑い」は膠原病特有の痛みを和らげることを発見します。カントは『純粋理性批判』で笑いについて次のように書いています。「大声での笑いは、もっとも重要な肉体の過程を促進することによって、健康観、すなわち腸と横隔膜とを動かす情感、つまりわれわれの感じる満足の内容を成す健康観を生み出し、われわれはそれによって、精神を通じて肉体に到達し、精神を肉体の医師として使用することができる」。

「笑い」が身体の治癒力に働きかけて癌を初めとした病気の回復に有効であるということを多くの人が述べています。書籍を検索しても、『笑いの医力』『笑いの免疫学』『笑いの健康学』『笑顔がクスリ』など、たくさんあります。

薬の歴史はプラシーボの歴史である」ジョージ・ワシントンが瀉血のせいで死亡したように、当時は病気になれば体から血を抜くことが、もっとも効果的だと専門的にも信じられていたように、そして一定の効果があったように、医者や医学界が間違った知識に基づいて治療に当たっていたにも関わらず、患者は回復していたのです。医学の発達していない時代にさえ、祈祷師やまじないだけで多くの病気が治っていたのは、プラシーボ効果によるものだと考えられます。

生への意欲と創造力は、脳内インパルスを発生して下垂体を刺激し、松果体などの内分泌系へ影響することが科学的にも明らかになっています。一粒の「丸薬」がプラシーボ効果を引き起こすことができるのなら、「丸薬」という「使者」がいなくてもプラシーボ効果を起こすことが可能になるのではないかと彼は言います。

生への意欲と創造力を旺盛に持っていた二人の人物、パブロ・カザルスとアルバート・シュバイツァーを挙げます。腫れ上がって曲がったカザルスの指が、ブラームスの「弦楽四重奏曲変ロ長調」を奏でだしたとたんに、指がすっと伸び、背筋がまっすぐになって、驚異的な動きを始めるのです。

この本で彼が言いたかったことは、『患者の責任』ということです。病気に対して人体は「治る能力=自己治癒力」を持っている。それを信じて正への意欲を持ち続けなければならないということ。「ビタミンCと笑い」は、一つの選択肢であり、彼もビタミンCが全ての病気を治すなどとは言っていません。笑っていれば医者の治療などは必要ないとも言っていません。しかし、「笑い」すなわち精神が肉体に影響を及ぼしうることがあるということは、今日では医学界でも認められるようになってきました。彼が治ったのはプラシーボ効果なのかもしれません。しかし、プラシーボ効果で治って、どうしていけないのでしょうかと問いかけます。人類は長い間、心のありようが病気を治すことができるということを信じてきたし、実際に治療効果があったのです。むしろ医学が「治してきた」と信じている大部分はプラシーボ効果なのかもしれません。世界で大量に飲まれているアスピリンでさえ、その効用の原因は分かっていないのですから。

カズンズは膠原病から奇跡的に回復し、また編集長の仕事に戻るのですが、今度は心臓発作を起こして入院します。手術を拒否して身体の再生力を信じて再び勝利します。『続 笑いと治癒力』にはその闘いが紹介されています。

カズンズの大きな過ち

二度の重篤な病気から回復したカズンズですが、彼は大きな過ちを犯しているように、私には思われます。彼は最初の心臓発作から10年後の1990年に、重症の心臓発作で死亡します。76歳でした。最初の心臓発作を起こしたとき、彼はその原因として「分刻みで、忙しく飛行機で全国を飛び歩いていた。ポーターの利用できない状態で重い荷物、長い搭乗手続き、これらが心臓発作の原因だろう」と分析していました。膠原病から回復した後もそのような生活を続け、心臓発作を自己治癒力で克服した後も、病気になる前と同じような生活を続けたのです。「患者の責任」は、第一に病気になった原因を遠ざけることです。病気は自分自身が作ったのですから、回復した後にも同じ生活を続けるということをすべきではなかったのです。心臓発作で死なないためには生活を180度転換すべきでした。これがカズンズが犯した過ちでしょう。

しかし、カズンズの名誉のために書いておきますが、彼は、「今や各人の健康(次の世代の健康も含めて)に対して、病気の克服が決定要因ではなく、むしろ社会が健康であるのかどうか、諸国家の病気が治癒するのかしないのかの方が大きな要因ではないか」と記しています。その言葉通りに平和運動、核兵器廃止運動に積極的に関わっていきます。1987年には広島での谷本清平和賞を受賞するために婦人とともに来日しています。彼にとって、忙しさが命取りになることは分かっていたのでしょう。しかし、「生きのびた者の責任」として「諸国家の病気の治癒」に関心を持たざるをえなかった。

癌になったのだから、これまでの生活態度は改めなければなりません。どうでも良いような会議や付き合い、義理で参加する結婚式や葬儀、そうしたものからは遠ざかりましょう。その時間を自分自身の治癒と幸福のために使いましょう。しかし、ではただ生きているだけで人間は満足できるのだろうか。社会との関わりを一切断つことが、幾ばくかの命を長らえることができたとしても、それが自分にとって満たされた人生だと言えるのだろうか。これはもう個人の世界観、価値判断の問題でしょう。

ただ自分自身の満足できる時間のみに生きる。これもまた正しい人生。たとえ命を縮めることになろうとも、家族のために、会社のために、あるいは社会的に有意義だといわれるような生き方をしたい。これもまた正しい生き方です。

しかし未だサバイバーとは言いきれない私としては、今は癌からの回復が当面の一大事ですから、北杜夫の「船乗りクプクプの冒険」でも読んで抱腹絶倒することにします。

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2008年12月17日 (水)

新しい腫瘍マーカ(北大)、がんワクチン臨床試験開始

膵臓がん関係にニュースが二つありました。

●肺がんや膵臓がんを判定する診断マーカの新しい技術を北大と塩野義製薬が開発した
扶桑薬品工業が、がんワクチン製剤の第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始した
というものです。
オンコセラピー・サイエンス(株)は東大の中村教授のがんワクチンに関するニュースでも出てきた会社ですね。

肺・膵がん告げる“ひげ” 
2008年12月17日(朝日新聞)

■細胞表面の糖鎖 有力な診断マーカー候補
 ――北大大学院・塩野義製薬の共同研究

 北大は16日、診断が難しい肺がんや膵臓(すいぞう)がんを判定する診断マーカーの有力な候補を見つけたと発表した。同大学院先端生命科 学研究院の西村紳一郎教授らのグループと塩野義製薬の研究。マーカーの候補は、人体の細胞の表面にひげのようについている糖鎖というもので、実用化に向け て今後、臨床での研究などを進めたいという。

 糖鎖は、ブドウ糖などさまざまな糖が鎖状に連なった物質。細胞ががん化すると糖鎖の本数が変化したり、枝分かれが進んだりすることが近年わかってきた。この変化をシグナルとみれば、糖鎖をがんなどの診断に使うことも可能になる。

 西村教授らは、血液の中から糖鎖だけをまとめて切りだしてスピーディーに解析できる新たな装置を開発した。これを使って昨年すでに、血清1滴で肝がんかどうかをほぼ確実に見分けられる、肝細胞がんの診断マーカーの候補を見つけている。

 今回は肺がんや膵臓がんで、がんになると、ある特殊な構造の糖鎖の量が著しく減少していることを見つけた。肺がん患者20人と健常人17 人、膵臓がん患者15人と健常人22人を比較したところ、それぞれ1種類の糖鎖の量の違いによって90%以上の確率でがんかどうかが判定できたという。

 さらに、同大学院医学研究科の整形外科のグループと共同で、関節リウマチになると顕著に量が増える糖鎖も発見。マーカーの有力な候補になりそうだという。

 西村教授は「肺がんや膵臓がんは早期発見や診断が極めて難しいという。(今回の発見で)オンリーワンのマーカーが開発される可能性が高いと思う。実用化に向けた応用研究を進めたい」と話している。


新生血管阻害剤OTS102 第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験開始のお知らせ

                                                                   扶桑薬品工業株式会社

当社とオンコセラピー・サイエンス(株)(OTS 社)が平成17年4月4日に契約を締結し、OTS 社において開発中の、癌治療用「新生血管阻害剤OTS102」の第Ⅰ相臨床試験で安全性の確認を得て予定通り膵癌を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験を開始いたしますので、お知らせいたします。

「新生血管阻害剤OTS102 について」

悪性腫瘍(癌)は、際限なく増殖して周辺の正常組織を破壊するとともに、近くにあるリンパ節や遠く離れた臓器にも転移します。癌が、このように成長して生命を脅かすような存在となるためには、自らを養うための酸素や栄養素を運ぶ血流が豊富であることが必要です。そこで癌細胞は、いろいろな因子を分泌することにより新しい血管を増やす性質を持っています。これを妨害して腫瘍の成長を阻むことができるのが新生血管を阻害する薬剤(新生血管阻害剤)で、新しい考え方の癌治療薬として近年注目を集めております。
OTS102 は上に述べた新生血管阻害剤の一種ですが、これまでに他社にて開発されてきたものとはまったく違う作用機序を利用したものです。腫瘍の血管新生に関わる重要な遺伝子であり、癌細胞の生存と成長に必要な新生血管の内皮細胞に高発現し、正常組織にはほとんど発現していないVascular Endothelial Growth Factor Receptor 2(VEGFR2)というタンパクの一部からなる薬剤です。その投与により腫瘍への栄養を供給している新生血管内皮細胞に対する強い免疫反応が誘導され、抗腫瘍効果を示すことが動物実験で示されております。また、癌周辺にはVEGFR2 を持つ新生血管が多数存在することが多い反面、通常の成熟化した正常血管はVEGFR2 をほとんど持たないことから、OTS102 は癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になることが期待されております。
今回開始いたします臨床試験は、承認申請を視野に入れた第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験で、局所進行膵癌及び再発膵癌患者を対象とする二重盲検比較試験として、膵癌患者の生存期間を延長できるかどうかを検証いたします。本試験をPEGASUS-PC Study (ペガサスPCスタディー;Phase II/III
clinical trial using VEGFR2-epitope PEptide and Gemcitabine in patients with locally Advanced,metaStatic, or UnreSectable Pancreatic Cancer)と名付け、全国26 施設で臨床試験を施行いたします。
今回の臨床試験の対象となる膵癌は、罹患数と死亡数がほぼ等しく、5 年生存率は6.7%(がんの統計,2008 年)と非常に予後不良な癌であり、新規の治療法が強く希求されております。OTS102は上述のように癌増殖に関与する血管に対してのみ働く、副作用の少ない薬剤になり得ることから、膵癌に対する極めて有効な治療法となることが期待されます。
                                                                                           以 上

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2008年12月16日 (火)

臨床瑣談 中井久夫

精神科医であり、ギリシャの詩人カヴァフィスの詩集を翻訳出版するなどの活躍もしている中井久夫さんは、「膵臓疾患を発見する最大の秘訣は何か。それは膵臓の存在を忘れないことだ。」と書いている。「沈黙の臓器」膵臓は、癌になっても自覚症状はなく検査でも見つかることは少ない。だから膵臓の存在を意識しておくことが必要だろうというのだ。

こうした意識を持っていた彼が、十数年前に、彼の教え子である若き女医が肝臓癌の疑いをもたれたとき、「膵臓がんではないか」ということで内科医の診断に異議を申し立てたそうだ。そのおかげか、その女医さんは膵臓がんを早期に見つけることができ、今でも元気で活躍していて毎年年賀状が届くのだと。あるときに訪問を受けて、「だから今でも運転はしないのです。」と言われた。これは、中井さんが「車の運転は交感神経を刺激するからしないほうがよい」と、癌治療の心得の一つとして助言したことを未だに守っているのだという。

中井久夫さんの「臨床瑣談」にはこうした臨床にまつわる『瑣談(さ41qfcgh3ol_sl500_aa240_ だん) ちょっとした、つまらない話』が書かれているのだが、内容は「つまらない話」ではなく、ガン患者にとっても興味深いことが多く語られている。

「ガンを持つ友人知人への私的助言」の章では、「闘病という言葉は使わない方がよいのではないか。なぜなら癌と闘うという意識は、交感神経を刺激して免疫力を低下させる」。「顕微鏡下で副腎皮質ホルモンがリンパ球を壊すのを見た。だからリンパ球はストレスに対して非常に弱いのだ」。

「肺活量が大きい人は癌生存率が高そうだ。栄養や血液にたくさんの酸素が供給され、それがリンパ球の活性化に繋がっているようだ」などの指摘はなるほどと思う。胃がんが脊椎に沿ってのっぺりと転移した70歳の男性(肺活量8000)が何年も生存し、社会的活動もしている例などを紹介している。

そういう私も肺活量は多い方である。昨年6月27日のブログにも書いたとおり、癌研での肺機能検査では針が振り切れて(といってもディスプレイ上での画像の針ですが)、検査技師の女性が「こんなの始めて!」と驚いていた。このときの測定値は8000を超えて測定不能だったから、この胃がんの男性よりも私の方が多いということになる。高校時代はブラスバンド部でトロンボーンを吹いていた。(今はチェロを弾いているが、同じ低音楽器であり、どうやらこれらの楽器の音域が私の好みらしい。)肺活量が非常に多いのはそのせいだろうと思う。学校の身体検査で肺活量を計るときに針が振り切れて足りずに二回分けて測定したこともある。未だに癌の転移がないことは肺活量が大きいためかもしれないということになると、これは愉快だ。「ガン患者よ、管楽器を吹きなさい」ということにもなるかもしれない。ドクター・ワイルも「治癒力を高めるために、もしもただ一つだけを、と言われたら何を推奨しますか?」との問いに対して、「呼吸法です。」と答えているから、相通じるものがありそうだ。ちなみにフルートの方がもっと肺活量が必要だ。フルートは出した息の半分しか音出しに利用されない。東京に出てきて大学時代の短い期間だが、私もフルートをやっていた。最近まで、当時質屋で手に入れたイタリア製のフルートがあったが、遣ってしまった。フルートなら女性でもためらいなく練習できそうだ。

プロバイオティクスについては、ヤクルトを勧めている。人体で乳酸菌しかいない箇所が二カ所ある。それは新生児の胃と女性の膣だそうだ。だから少量の乳酸菌飲料を局所に入れれば膣は清浄になる。お産のときなどの感染を防ぐことができる。しかしメーカーがこれを宣伝しないのは企業イメージをおもんばかってのことだという話を、その会社の一社員から聞いたという。膣への乳酸菌飲料はともかくとして、彼はガン患者から相談を受けると乳酸菌飲料ではヤクルトを勧めているらしい。

中井久夫さん自身も前立腺癌を経験している。癌を告知された医者の心境も正直に書かれているが、我々と差がなく驚いて混乱している。癌になった医者である作者の言葉には重みがある。中井さんのガン患者への助言が三つある。

  1. 睡眠を十分に取りなさい
    正常な細胞が細胞分裂をするときに、最も危ない時期を午前2時から4時くらいの時間帯に迎える。細胞ががん化しないためにもこの時間帯は熟睡して体力を回復しておくことだ。
  2. おいしいものを食べなさい
    これは栄養をとることと、病院食などはストレスがたまる一方で治癒には悪影響だという話。41twtksx8wl_sl500_aa240_
  3. 笑いなさい
    ノーマン・カズンズの「笑いと治癒力」を例にとって、笑いは免疫力を高める。無理にでも笑いなさい。脳をだましてでも笑っていれば効果がある。

意外でもあり、当たり前すぎるようでもある助言だが、これで良いのだと思う。私なら、このほかに「歩きなさい」「瞑想をしなさい」「楽しいことをたくさんしなさい」と言うだろう。

「癌細胞は弱くて混乱した細胞です。死ぬべき細胞が死ねず にいるだけです。癌細胞は熱にも弱くて、リンパ球の攻撃にはひとたまりもなくやられてしまいます。」 サイモントン療法のCDにもこれと同じ台詞があり、白血球が癌細胞を対峙するイメージを描くように指導しています。人体では毎日5000個、ある説では数万個もの癌細胞が生まれているそうですが、そのほとんどは自己免疫力で退治されるのです。その攻撃をかわしてやっと生き残った癌細胞もリンパ節で阻止されて、なかなか転移はしないものです。リンパ節転移ということは、癌細胞がリンパ節でブロックされているということでもあるわけです。

最後に「SSM、通称丸山ワクチンについての私見」。中井さん自身も丸山ワクチンを使ったこともあり、丸山博士と会った最後の世代としての責任から、言っておかねばならないという想いが書かれています。医学部教授が癌になったとき、助教授が丸山ワクチンをもらうため、身分を隠して日本医大へ行くのを何度かみたそうです。彼は「ダブルスタンダードではないか!」と怒りを覚えます。中井先生は堂々と医者の名刺を渡して講演を聴きに行ったら、丸山先生から部屋に招かれてお話を伺うことができた。こんな若造に対しても鄭重な応対をしていただいたことに、先生の孤独を感じたといいます。

ある代替医療を標榜するクリニックの前には高級車がずらりと並び、医者や医者の家族らしい患者がクリニックから出てくるそうですから、「医者のダブルスタンダード」は今日でも一般的な現象なのでしょう。

丸山ワクチンに話を戻しますが、中井さんは丸山ワクチンについては好意的な見方です。実際の効果があった(と思われる)患者も見ています。丸山博士自身はこのワクチンを癌の特効薬としては考えていなくて、周囲から「あれにも効きそうだ。これにも」と言われている間にこんなことになってしまった、と困惑していた様子が伝わってきます。

エビデンスとは何か、代替医療はニセ科学か、ここでも問題になりますね。丸山ワクチンはエビデンスがないからニセ医療なのか。当時は選択肢としては丸山ワクチンしかなかった時代です。このときに「エビデンスがないから」といって、藁にもすがりたい患者を切り捨てて良いものなのか。一方で、インチキクリニックが横行している現状との関係をどのように考えるべきなのか。インチキクリニックにも彼らなりの理屈があり、「重症患者しか来られませんから、エビデンスもなかなか確立できないのです」と言われたら、なるほどそういうこともあるなぁ、などと思いがちです。

丸山ワクチンを考えている方には、申請方法とか、書類の作成における抜け道なども書かれており、「臨床瑣談」は参考になる一冊です。

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2008年12月10日 (水)

プロバイオティクス

まだ「書きかけ」項目ですが、このブログの左上にウェブページ「私のがん攻略法」として、いま行なっているがんへの対処方法を書いています。その中にプロバイオティクスもあります。

がんの補完代替医療ガイドブック 第2版」で、近年、ヒト臨床試験において効果が立証されつつあるものとして紹介されています。

プロバイオティクスとは、

人間の腸内には多種多様な数多くの細菌が住み着いています。そして、食べ物の消化吸収を助けたり病気を引き起こす菌が増えるのを防いだりして健康に良い働きをする善玉菌と、食べたものを腐らせたり(腸内腐敗)発がん関連物質を生みだしたりして健康に有害な働きをする悪玉菌が絶えず勢力争いを行っていて、このバランスが人間の健康状態を左右していることが最近の研究で分かってきました。つまり、健康な生活を営むためには、腸内の細菌バランスがよく保たれているという事が重要ということになります。
そこで登場したのがプロバイオティクスという考え方です。プロバイオティクスとは、「腸内フローラ(腸管内に生息している微生物群)のバランスを改善することにより、宿主(人間など)に有益な作用をもたらす生きた微生物」と定義されています。つまり、体内の善玉菌を増やして腸内細菌のバランスを保ち、病気になりにくい体を作る予防医学の考え方です。
こう聞いて何か新しい未知の微生物のことを想像した方もいるかもしれませんが、ヨーグルト、味噌、醤油、ぬか漬け、キムチ、チーズなどの発酵食品に含まれている乳酸菌などがプロバイオティクスの代表的な菌になります。

プロバイオティクスは、ヒト臨床試験によってその効果が直接証明されつつある数少ない食品であると思われます。
「がんの補完代替医療ガイドブック」より

乳酸菌などは元々健康な人の体に住み着いているものであり、人類と長い間共生してきた菌ですから、安全性は保証されています。そして次のような効果があるといわれています。

  • ガンのリスクの低減
  • アレルギー症状の改善
  • アトピー性皮膚炎の改善
  • 免疫力の向上
  • 胃潰瘍の原因になるピロリの低減
  • コレステロールの低下
  • 整腸作用による、肌荒れ、吹き出物などの抑制

乳酸菌が、どのようにして免疫力を高めるのか、わかりやすく動画で説明したページがヤクルトのプロバイオティクスのサイトにあります。

プロバイオティクスを宣伝している商品はたくさんあります。その一覧がこちらのページで見ることができますが、ヨーグルト・飲料だけで340種類、驚くほどたくさんあります。どれが本当に効果がありそうなのか、これでは判断できません。

英文ですが、BBCニュースにプロバイオティクス製品に関する興味深い記事があります。

英国で販売されている50のプロバイオティクス製品の半分は効果がない。ネスレやダノン、セブンシー、ヤクルトのような大企業の製品は効果があるが小さい企業の製品は効果がないという。

日本では「ヤクルト 400」が一番信頼できそうですが、もう少し調査をする必要があります。

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2008年12月 5日 (金)

癌研での定期検査の結果

昨日は半年ぶりの、癌研での定期検査でした。
検査をしないと不安だし、検査をするとなるとその結果がどうなのか、これまた不安になります。検査の結果、再発していたらどうしようか、転移はしていないだろうかと、あれこれと想像します。膵臓がんでは多くの患者が再発・転移をするのですから、私にもそろそろ再発・転移という事態になってもおかしくはないです。

転移・再発していた場合のその後の治療方針を考えて診察に臨みました。

  1. なにも治療はしない。
  2. TSー1の抗癌剤投与をする。これが現在の標準的な治療方法です。
  3. がんペプチドワクチン療法をやってくれる医療機関を探す。
  4. 樹状細胞療法の医療機関を探す。
  5. 休眠療法でがんとの共存を考える。

この中で最も有効だと思われるのは、最近報道もされたがんペプチドワクチン療法でしょう。これなら運が良ければがんの消失=完全治癒も可能です。

血液検査とダイナミックCT検査の結果を待って診察です。
血液検査の結果は、腫瘍マーカーのCEAが4.5、CA19-9が28.7と、前回よりも少し増加しているが正常値の範囲内でした。先生の言うには、「増えたといっても誤差の範囲ですよ」とのこと。
ついでCT画像を出して、スライス画像をマウスでくるくると連続表示しながら見ていきます。私も息を詰めて見ていましたが、「きれいですね。全く問題ないですよ」との言葉。ホッとすると同時に、なんだか肩すかしを食ったような気分です。(人間って勝手なものですね。)
手術後一年半を過ぎて、再発・転移は見られません。

以下はそれ以外の先生とのやりとりです。
○癌研はがんペプチドワクチンへの対応は考えていないのですか?
●理化学研究所と共同ですでに臨床試験も終わっていますよ。これはあなたのような膵臓癌の手術適用例の患者さんが対象でした。これからは手術不能の患者さんへの臨床試験を計画しています。今はその端境期ですが。東京大学医科学研究所の中村教授も元は外科の医者でしたよ。

<しかし、理研のワクチンは樹状細胞療法といわれるものではないかと考えられます。ネットで検索しましが、理研発のベンチャー企業、セルメディシン(株)の「自家ワクチン療法」がありました。これは自分のがん組織がないと治療ができません。樹状細胞療法とがんペプチドワクチン療法は、基本的な考えは同じですが、別のものです。>

○私ががんペプチドワクチンを希望した場合、可能でしょうか?
●理化学研究所に直接申し込んでも大丈夫なはずですよ。ただ、あなたの場合、今ワクチン療法をやる必要はないでしょう。
○18ヶ月たって、転移も再発もしていないのは、成績としてはよい方ですよね。
●そうですよ。膵臓がんの手術適用例で、ASCOのデータだと生存期間中央値は22.8ヶ月です。あなたの場合、既に18ヶ月ですから、仮に今再発・転移しても生存期間中央値以上には生きていることになりそうですから、実際はそれよりも長期間の生存例ということがほぼ確実です。立派な成績ですよ。
○先生の術式が非常に良かったのだと思います。それが一番の要因でしょう。

帰りはゆりかもめで新橋まで出て、年末ジャンボ宝くじを購入。今日の幸運を宝くじにまでつなげたいという、欲張った考えです。夜はチェロのレッスン。今は「虹の彼方に」を練習している。「オズの魔法使い」の劇中歌です。1番パートと2、3番パートのハーモニーが美しい曲です。

ここでもう一度気持ちを引き締めて、これまでの自分なりの治療(玄米菜食・運動・瞑想など)を続けなければならない。油断禁物です。

大和総研ホールディングスに「がん免疫療法の開発動向と将来の展望」というレポートがあります。

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2008年12月 4日 (木)

初の癌ワクチン外来-久留米大医学部

がんペプチドワクチンの外来が始めてできたそうです。患者の負担も軽減する処置を執っているとか。こうした外来が全国に増えることを期待したいものです。

全国初のがんワクチン外来、久留米大病院開設へ

 久留米大医学部(福岡県久留米市)は3日、来春から大学病院内に「がんワクチン外来」を設置し、全国初のがん患者らへのワクチン療法を始めると発表した。

 がんの治療法は手術で患部を切除する外科療法、抗がん剤を投与する薬物療法、放射線療法の三つ。ワクチン療法は免疫機能を高めてがん細胞を排除する「第4の治療法」として注目される。

 同大の伊東恭悟教授(免疫治療学)、山田亮教授(がん免疫学)らによると、それぞれの患者のがん細胞の表面にあるペプチドと呼ばれるたんぱく質を特定し、同じタイプの「ペプチドワクチン」を患者に投与する。ワクチンががん細胞を攻撃する体内の細胞を活性化、増殖させ、がん細胞を排除する仕組み。

 吐き気などを催す抗がん剤などと違って副作用が少ないほか、週に1度注射するだけで入院も必要ないなど、従来の治療法に比べ患者の負担が少ない。

 前立腺がん、膵臓(すいぞう)がんなどの患者500人余に対する臨床試験で安全性を確認。延命効果が得られた患者も多かったとして、がんワクチン外来の新設を決めた。患者には少なくとも計6回、ワクチンを投与する。

 ペプチドワクチンは医薬品として国の承認を得ていないため、公的医療保険を使えないが、患者の治療費を数十万円(6回分)に抑え、残りは大学側で負担する方針。5年以内の医薬品承認を目指している。

 ワクチン療法は、ほかに東大や札幌医大なども研究しているが、外来を設けるのは久留米大が初めてという。同大の薬師寺道明学長は「どの治療からも見放された『がん難民』と言われる患者への治療法を考えてきた。患者に『第4の選択肢』ができたのではないか」と話している。
(2008年12月4日  読売新聞)

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2008年11月30日 (日)

癌ペプチドワクチン療法(続報)

東京大学医科学研究所の中村祐輔教授の「がんペプチドワクチン」に関してさまざまな情報がありますが、 PanCAN Japan (パンキャンジャパン・日本すい臓がん患者会)の「がんペプチドワクチン療法について」のページに、

膵がんに対してワクチン療法を実施している医療機関の一覧が掲載されています。

■膵がんワクチン療法臨床研究中の医療機関

●福島県立医科大学 第一外科 TEL: 024-547-1111
責任者 後藤 満一
担当医 木村 隆

●東京女子医科大学東医療センター 外科 TEL: 03-3810-1111
責任者 小川 健治
担当医 塩澤 俊一、金 達浩

●東京女子医科大学 消化器外科 TEL: 03-3353-8111
責任者 山本 雅一
担当医 有賀 淳

●札幌医科大学 第一内科 TEL: 011-611-2111
責任者 篠村 恭久
担当医 細川 雅代

●九州大学 先端分子・細胞治療科 TEL: 092-641-1151
責任者 谷 憲三朗
担当医 伊賀 睦了

●川崎医科大学 臨床腫瘍科 TEL: 086-462-1111
責任者 山口 佳之

●和歌山県立医科大学 第二外科 TEL: 073-447-2300
責任者 山上 裕機
担当医 谷 眞至、宮澤 基樹

問い合わせ先:

東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター 中村教授
  03-3443-8111(代表)
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/nakamura/main/top.html

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2008年11月26日 (水)

癌のワクチン療法

先週18日のNHKニュース9で、癌ペプチドワクチンの報道がありました。東京大学医科学研究所の中村祐輔教授が開発した癌ペプチドワクチンを接種した膵臓がん患者が、余命数ヶ月といわれていたのが、今も副作用もなく旅行ができるほど元気になっているという報道です。

学会で発表する中村教授の映像がこちらで見ることができます。
http://lib-stream0.jichi.ac.jp/contents/all/200800000694.htm

52分の長いビデオですが、中村教授自身も、その予想を超える効果に驚いている様子が写されています。

以下は中村祐輔教授のサイトです。
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/nakamura/main/top.html

以下は共同開発しているオンコセラピー・サイエンス株式会社の
サイトです。
http://www.oncotherapy.co.jp/

文部科学省 先端医療開発特区(スーパー特区)について
 http://www8.cao.go.jp/cstp/project/tokku/index.html

癌に対する3大療法(手術・放射線・抗がん剤)では、癌の完全治癒には困難な状況であり、再発した場合には、これらの療法はほとんど効果が無く、「あとはホスピスですね」といわれるのが今のがん治療の現状です。第4の治療法として「免疫療法」が研究されていますが、これまでは有効性が疑問視されており、医師の間でも「免疫療法」はまやかしだという評価も多くありました。丸山ワクチンも免疫療法の一種であり、食事療法やキノコ類、サプリメントなども広い意味での免疫療法です。しかも免疫療法という名の下で患者を食い物にする悪徳商法も横行しています。

政府が先端医療開発特区(スーパー特区)に24件を指定して、今後臨床試験などの研究開発を進めるということですから、延命していればこの成果の恩恵を受けること51mbjv9grvl_sl500_aa240_も可能になるでしょう。あるいはそれらの治験に参加するということもできそうです。

中村教授のワクチン療法はNK細胞(ナチュラル・キラー細胞)に対して効果を持つ方法であり、一方で単球から分化して、敵(がん)の印をリンパ球に教えて教育する重要な役割を持つのが樹状細胞で、これを強化しようとするのが樹状細胞療法です。

これらの免疫療法、ワクチン療法に関する知識を十 分に消化するためには、免疫に関する基礎知識が不可欠です。がんの休眠療法を提案している高橋豊教授の『がんを狙い撃つ 樹状細胞療法』が、基礎知識を簡潔にまとめており、またワクチン療法とは別の視点で有効だと思われる「樹状細胞療法」についても紹介されています。参考書としては適切だと思います。

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2008年11月 5日 (水)

凡事徹底

玄米菜食に運動、早寝早起き。こんな当たり前のことがガンの再発予防であり、進行ガンを治す正しい方法だと思う。インターネット上にはガンの告知を受けた人、あるいは家族がガンになり、情報を集めて右往左往している方がたくさんいる。例えば「癌掲示板」の胆肝膵の板にもそうした相談が書かれて、さまざまな情報が行き来している。

癌=死、だから「特効薬」を探している。しかし、ガンに効く特効薬はないということは皆さん知っているはずなのに、助かるために探している。ガンから生還するには何かの特効薬ではなく「凡事徹底」だと思う。

平凡なことを継続して実行する。ガンは自分で作ったのだから、その原因を取り除かなくてはならない。ガン細胞は決して強い細胞ではない。ウィルスのように多の細胞を攻撃するわけではないし、他人にエイズのように感染するわけでもない。免疫力を高めればガン細胞は簡単にやっつけることが可能だ。ストレスをためない、瞑想療法・音楽療法、身体を温める。こうした簡単で平凡なことを継続して実行することが生還への近道だろう。

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2008年10月28日 (火)

膵臓がんの新しい治療法開発に大きな可能性

がん細胞の増殖に重要な働きをするタンパク質を、愛知医科大の笠井謙次准教授らのグループが突き止めた、との記事が中日新聞に掲載しれています。

膵臓がんのように難治性の癌にも治療方法が開発されれば既望が持てそうです。相当先の話でしょうが・・・。

がん細胞増殖の仕組み解明 愛知医大グループ

写真

 がん細胞の増殖に重要な働きをするタンパク質を、愛知医科大の笠井謙次准教授らのグループが突き止めた。このタンパク質を制御する薬物が開発され れば、膵臓(すいぞう)がんのような難治性がんの治療も期待できるという。成果は米国がん専門誌に掲載、28日に名古屋市で始まった日本癌(がん)学会で 29日に報告される。

 がん細胞内にあるタンパク質「GLI1」は単独で核内に入り込むと、がん細胞の増殖を活発化させる。正常時に、GLI1はタンパク質「SUFU」 と結びつき、核内に入っても働きが抑えられている。SUFUとの分離が、がん細胞増殖の引き金となっていたが、その原因は不明だった。

 笠井准教授らは、がん細胞の増殖が始まると、タンパク質「SIL」が過剰に合成されることに気付いた。そしてSILはSUFUと結合し、GLI1 を外す役割をしていることを突き止めた。SILを人為的に破壊すると、SUFUが再びGLI1と結合し、がん細胞の増殖は停止した。

 SILが合成される仕組みは不明だが、笠井准教授は「SILの発生を抑える薬物が開発されれば、将来的にがんを抑制できる」と話している。

非常に興味深い

 <高橋雅英・名古屋大大学院医学系研究科教授(腫瘍=しゅよう=病理学)の話> 難治性のがん細胞が増殖していくメカニズムを解明した非常に興味 深い研究成果だ。薬物開発には、さまざまなステップをクリアする必要があるが、膵臓がんの新しい治療法開発に大きな可能性を持たせる。(中日新聞 2008年10月28日 夕刊)

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2008年10月 9日 (木)

代替医療はニセ科学か(6)終わり

_mg_5085_2 「疑似科学と科学の哲学」伊勢田哲治著による科学と疑似(ニセ)科学の線引きは可能かどうかという問いに対する結論は、「明確な線引きはできない」ということだった。しかし、これは科学とニセ科学を区別できないということを意味しているのではない。例えば適当でないかもしれないが、男と女の線引きは明確には難しい。というのも性同一性障害や先天館手術の例を考えてみれば、男女を100%区別できるとは限らないと言える。だからといって、男と女に違いがないかというと、そういうことにはならない。

代替医療においても、オーラを写真に写して診断するという「キルリアン写真」といういかがわしいものから、ヨーガ・マッサージ・鍼灸などのなじみのあるものまで、幅が広い。現代(正統)医療にしても、昔は正しかったといわれたものが今は間違いだという例は枚挙にいとまがない。

正統医療の方法では「もう打つ手がありません」と言われたガン患者にとって、プラシーボであれ何であれ、万に一つも治る可能性があるのならやってみたいと思うのは当然のことであり、しかしそこに悪徳業者や悪徳医者が虎視眈々と狙ってくるのだが。

私のサバイバーへの挑戦スタンスは次のようになろう。

  1. 適用できる現代医療があるのなら、それを受け入れる
  2. 代替医療と現代医療の統合を図る
  3. 治るという信念と治す姿勢を持ち続ける
  4. 運動と食事を計画的に改善する
  5. 「今ここに」生きていることに感謝し、充実した一日を過ごすこと
  6. 人生の目的は、楽しむことである
  7. しかし、社会への貢献という目的意識を無くしない
  8. 死と闘って勝った人はいない。勝てるはずのない相手と闘おうとするから、悩みや迷いが生じる。死ぬときがくれば、ただ受け入れて死ねばよい。

代替医療を取り入れるならば、次の考え方です。

  1. 害のないものから取り入れる。
    例えばメディテーション、サイモントン療法などは、たとえ効果が無くても害になりそうにはない。
  2. 高価なサプリメントは、そのほとんどがインチキである。
    安価なもので害がなさそうなら取り入れてみる。効果を確かめながら、続けるかどうかを考えればよい。ビタミンC、E、セレン程度がその対象になる。
  3. 健康食品は、少しでも科学的な実証データのあるものを選ぶ。
    アガリクス・サメの軟骨・プロポリスなどの中では、AHCCが金沢大学と大阪大学で臨床試験が行なわれており、PubMedにもその第一相試験の結果が載せられている。ということで他の健康食品よりは少しは”科学的かもしれない”という期待が持てる。
  4. プロバイオティクスは最近科学的データでガンへの有効性が証明されつつある。
    乳酸菌・ビフィズス菌・納豆菌というような種類。ヤクルトのシロタ株など。これに関してはまだ調査不足。
  5. 食事に関しては玄米菜食。少なくとも害は考えられないだろうし、これまでの数ヶ月間を考えても健康への効果はあるように思える。
  6. 音楽療法
    これは元々好きだから、それを治療だと考えれば良いだけのこと。楽しむべし。もっとモーツアルトを。

「代替医療はニセ科学か」などと、大上段に構えた割にはありふれた結論になってしまったが、逆転ホームランのような劇的な治療法はないのだから、イチロウのようにこつこつとヒットを狙って継続する、ということです。_mg_5224

今日からフジテレビ系列で倉本聰の「風のガーデン」が始まります。主人公の中 井貴一が演じる麻酔科医は末期ガンであり、チェロも弾くという設定らしいです。なんだか私のことのような気がすると言ったら、妻と娘が「でもお父さんは、医者じゃないでしょ」だって。それはそうに違いないが、自分の病気の主治医は自分だと思っているんだけどなぁ・・・・。デリカシーのない家族だなぁ。ま、いいか。

富良野の写真を2枚     (終わり)

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2008年9月27日 (土)

音楽療法(タイムドメインシステムのグレードアップ)

5月に手に入れたタイムドメインスピーカーJupity301もだいぶ使い込んで音が変わってきた。最初は低音はこんなものかという程度しか出なかったのだが、使い込んでずいぶんとJupity301迫力のある低音になってきた。逆に高音は最初よりも柔らかくなった印象だ。

しかし、パソコSeu55ンに保存したある曲の再生が今ひとつ納得できない。高音も低音も もたもたとして、たとえてみれば肥満児が頑張って走っているという感じ。パソコンのオーディオ出力からではなく、一応はUSBオーディオにCreativeのSound Blasterを付けているのだが、4000円程度のDA変換ではこの程度かもしれない。ONKYOのWAVIOシリーズ SE-U55SXに変えてみることにした。

まったく違った音になった。DA変換時のパルス性ノイズを極限まで抑える回路技術、この回路専用に別の電源を使用している。高性能のカップリングコンデンサーを贅沢に左右にそれぞれ採用している。価格もSound Blasterの4倍程する。(ネットで3倍ほどの値段で買ったが) 光デジタル端子もあり、オーディオセレクターとしても使える。

PCにはAppleロスレスの可逆圧縮フォーマットで保存してあるので、再生したデジタル信号はCDと同じデジタルデータが流れているはずである。小椋佳も谷村新司も、音の一つ一つの粒立ちが細かくなり、音量を上げても高音が耳障りでなくなった。空間に分布した音の分布範囲が広くなった印象で、高音も低音もはっきりと強く出ているのに、聞いていても疲れない。

Winampからインターネットラジオを流したら、CDの音質で聞こえてくる。

ここまで音が良くなると、スーパーオーディオCD(SACD)で聞いてみたくなる。SACDのディスクはあまり持っていないが、鈴木秀美のチェロがあった。しかし、SACDプレーヤーがない。買いたくともUDv610avSBオーディオSE-U55SXを買った直後で余裕がないから高いものは駄目だ。PioneerのDVDユニバーサルプレーヤーDV-610AVを安く手に入れた。テレビを見ないのにDVDプレーヤーはおかしいが、DVDオーディオも再生できるし、SACD専用のプレーヤーよりも安い。オーディオファンとAVファンの層の厚さが違うからだろう。

ガット弦のバロックチェロを弾く鈴木秀美は、ときどき池上本門寺近くの實相寺で「ガット・カフェ」なる演奏会を開催していたが、最近は止めているのかあまり開催しなくなった。平井千絵のフォルテピアノでメPhoto_2 ンデルスゾーンのチェロ・ソナタ第1番変ロ長調Op.45、チェロ・ソナタ第2番ニ長調Op.58が収まっている。

5.1chのマルチステレオを2chで再生しているのだが、ガット弦と松ヤニの接触する瞬間が分かるかと思うほどのはっきりした音が、フォルテピアノの鍵盤が見えるかのような音が再現される。5.1chの再生は部屋全体に音が広がり、環境音が後ろのスピーカーから聞こえるなど、音の空間としてはおもしろそうだが、どうも好きになれない。タイムドメインのスピーカーで2chでも十分に広がりを感じるし、音を絞っても小さな低音・高音ともに聞き分けることができるのがこのスピーカーの特徴で、深夜でも周囲を気にしなく再生できる。安上がりのシステムだが、50万円以上のステレオシステムにも負けない音だと思う。

ガンの音楽療法としてもこのシステムは効果がありそうだ。安保免疫論「ガンにならない生活術」には、音楽療法にいくつかのスピーカー使って、血液のさらさら度を写真付きで評価しているが、タイムドメインのスピーカーが良い結果を出しておすすめだと書かれている。安保徹の理論はあまりまともには受け取れない内容だが、私のシステムでモーツァルトを聴いていてもリラックスしていつの間にか寝てしまうことが多い。上のようにシステムを入れ替えたら以前よりも音楽療法が効いている感じがする。

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2008年9月23日 (火)

代替医療はニセ科学か(5)

マラリアの特効薬キニーネは、ペルー産の「キナノキ」という木の樹皮のエキスであり、17世紀頃からペルーインディアンにはよく知られていたらしい。

キニーネについては、ペルーインディアンに伝わる伝説がある。マラリアによる熱でふらふらとなった一人のインディアンが、山の中をさまよっていた。そのう ち、よどんだ水溜りを見つけ、その淵に倒れこんでその水を飲んだ。ひと口飲んで見ると、水が苦い。よく見ると、そばにあった、当時は毒だと言われていたキナノキの樹皮で汚れていることがわかった。彼はこれで死ぬかも知れないと思った。しかし、喉の渇きをいやすことが最優先だった。彼は一気に飲んだ。でも命に別状はなかった。それどころか、逆に熱が下がり、元気が戻ったのである。彼は村に戻り、この奇跡的な回復のことをみんなに話したと言う。それから、ペルーのインディアンは、恐ろしい熱病(マラリア)にかかったら、キナノキのエキスを飲むようになった・・・

この例のように、現在有効だといわれている薬も、もとは土着医療だったものや植物由来の薬がたくさんあります。ですから代替医療・迷信だといって一概に否定はできないでしょう。

水俣病の例

先に紹介した本、「疑似科学と科学の哲学」では、"科学の社会への影響"の例として、ロシアにおけるルイセンコ事件と水俣病事件について分析している。ルイセンコ事件はおいておくとして水俣病事件と科学論の関係について紹介する。
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水俣病は熊本県水俣市にあったチッソ水俣工場の有機水銀廃液が原因と なった公害病である。石牟礼道子の『苦海浄土 わが水俣病』によって日本中に知られるようになった。私は、桑原史成さんの衝撃的な写真集をみて、意識も奪われた人形のような少女、その瞳の純粋無垢な水晶のような輝き故に、公害病の残酷さを突きつけられた気がした。

1953年頃から水俣湾周辺の漁村地区を中心に、猫・カラスなどの不審死が多数発生し、同時に特異な神経症状を呈して死亡する住民がみられるようになった。多くの住民はチッソ工場の排出する毒々しい廃液が原因ではないかと疑っていたが、廃液と水俣病の因果関係を立証することができなかった。熊本大学医学部の研究班は、水俣病は重金属中毒だという推定の元に企業に協力を求めたが、廃液の提供すら拒否された。そのため原因の重金属を特定できず、マンガン説・セレン説・タリウム説などを提案したが、決め手を欠いていた。(後で分かったがこれらは見当外れの説だった) その間も廃液は流し続けられ、ほかに食べるもののない水俣の漁民は水銀を含んだ魚を食べ続けた。1959年になってイギリスのメチル水銀中毒を報告した論文が熊本大研究班の目にとまり、有機水銀が原因物質として疑われるようになる。研究班は患者の体内や海底の泥から有機水銀を検出し、水俣病有機水銀説を提案する。紆余曲折があり、1962年になってやっと研究班が工場廃液を入手して塩化メチル水銀を抽出した。しかし政府が水俣病を公害として認定したのは更に6年後の1968年であった。

水俣病の大まかな推移は上の通りであるが、正しい科学方法論をどのように定義するかにかかわらず、1959年以前の段階で「チッソ水俣工場の廃液が水俣病の原因である」と断定できるだけの証拠はなかった。人体や泥から水銀が検出された時点においても他の原因説(アミン説)などを排除するほどの強い証拠にはなり得なかった。したがって、この時点では「水俣病の原因は不明」とするのが科学的には合理的な立場だったということになる。水俣病の場合、排水以外に原因が考えられないと多くの人が気づいていたにもかかわらず、「科学的に立証されていない」ということで工場の操業を止めることができなかった。政府が何もしなかったために、たくさんの住民の一生を台無しにしてしまったのである。科学に基づかない一般的な感覚としては、チッソの廃液と水俣病の因果関係は十分明らかに見えたのである。写真集などで患者の悲惨な姿を知ると、こうした場合には科学的な合理性よりも社会的配慮を優先すべきではないかと考えたくなる。しかし一方で、チッソ工場の操業を止めることにすれば、工場の労働者が職を失うなどの社会的損失が発生する。

末期ガンで他の治療法がない患者に対して、「科学的でない」「エビデンスがない」ということで代替医療を非難することは、水俣病のことを考えれば、必ずしも正統な主張とは言えないだろう。しかし一方で、ほとんど効果のない治療法が蔓延することによってほんとうに効果のある治療が遅れてしまうなら、その社会的損失は計り知れないとも言える。科学的合理性と社会的合理性が、ここでも対立する。

代替医療と現代医療(正統医療)のすれ違いは、結局は「現に目の前にいる被害者、患者に対してどのように対処するのか」という問いについて回答の姿勢が違うのだと言えよう。代替医療の側は、目の前の患者に対して「エビデンスはなくても何でもやってみよう」であり、正統医療は「それでは医学の進歩はない。結局は社会的に多くの損失を被ることになる」というわけだ。

プラシーボ効果で治ってはいけませんか?

また、現代医療(正統医療)の側からは、二重盲検法などの実証的な検討が必要だと主張する根拠として、プラシーボ効果を排除しなければならないからだという。しかし、プラシーボ効果でない「本当の」効果がどうしてそんなに重要視されなければならないのかという問いは、あまりに当たり前すぎるためなのか、論議になることが少ない。患者からみれば、プラシーボ効果だろうが「本当の」効果だろうが、治れば何でも良いのである。私のアマリールの例も同じだ。

現代医療は、プラシーボによる効果は医学の進歩に役立たない。プラシーボで治らない病気(治る確率は非常に小さい)の治療開発の妨げになる、と主張し、代替医療の側は、Dr.ワイルの考えだが、プラシーボ効果こそが医学の本質であり、治癒の本質である。理想的な治療法は、できる限り侵襲性の小さい治療を行なって、そこから最大のプラシーボ効果を引き出すことにある。プラシーボ効果を排除するのではなく、もっと頻繁に起こさせるにはどうすべきかを医学の基礎にするべきだと主張する。(つづく)

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2008年9月22日 (月)

代替医療はニセ科学か(4)

現在医療は科学的か?

現在医療は本当に科学的なのだろうか?

Dr.ワイルは、「代替医療はほんとうに有効か」のディベート討論の中で、「アメリカ議会の技術評価局の報告によれば、現在、正当医学で使用されている治療法のうち、厳密な試験を受けているものは30%に満たないとされています。」と話して、その例として冠動脈バイパス形成術をあげています。この手術は効果が証明されていない(エビデンスがない)患者に対しても適用されているというのです。

鎮痛剤として世界中で最も多く使われているアスピリンは、開発後も次々と新しい効用が発見されている薬ですが、現在の医薬の認証基準に当てはめれば、とても承認されないだろうといわれています。(アスピリン企業戦争-薬の王様100年の軌跡-)

このように、すべての医学的手法や薬が統計的無作為抽出試験を行なってエビデンスを獲得しているわけではないのです。

また、過去には科学的で正しかったと思われていたことが、今日では間違いだといわれることは枚挙にいとまがありません。例えば、私などは子供の頃にけがをすると「赤チン」を塗られたのですが、赤チンは反って傷口の治癒を遅らせる、オキシフルの方がよいとなってきました。最近は、いや傷口を水で洗って何もしない方がよいと言われるようです。

胸腺は退化した役に立たない組織だと思われていたのが、今日では人間の免疫系を支える重要な組織だということが分かっています。子供の頃にはよく扁桃腺が腫れるのですが、昔の医者はすぐに扁桃腺を切りたがったもので、私も切られた傷跡があります。直腸がんの手術後、主治医の先生から「ついでに盲腸も取っておいたよ」と言われたのですが、今日では扁桃腺も盲腸も免疫において重要な役割を果たしていることが分かってきました。盲腸は「ついでに切っておく」ような組織ではないのです。盲腸や扁桃腺の手術は町医者の稼ぎ頭だったようです。

こうしてみると、現在医学(正統医療)がすべて科学的に正しくて、エビデンスに基づいた医療を行なっているとはとても言えません。

糖尿病の薬にアマリールがあります。インシュリンの分泌を促進する比較的穏やかな効き目の薬です。ところがこの薬は私には効くはずがないのです。どうしてかというと、膵臓がんの手術で膵頭部を残してあとは全部切り取っています。インシュリンはその切り取った部分にあるランゲルハンス島という細胞でつくられるのですから、ランゲルハンス島にむち打ってインシュリンの分泌を促すアマリールが効くはずがないのです。ところがこの前の血液検査でもHbA1cは5.6でまったく正常値です。アマリール以外のインシュリン分泌に作用する薬は服用していないのですからこの薬が効いているのかもしれません。

先生は、「おかしいんだよね。あなたにアマリールが効くはずがないんだが・・・。」と言われたのはそうした理由ですが、「効けば何でもいいじゃないですか」と返答しました。というわけで、今でも効かないはずのアマリールを朝晩服用しています。

現代医療の立場からは、どうして効かないはずのアマリールが効くのかを追求して、ほかの患者にも効くかどうかを評価することは重要なことでしょう。別の患者を助けることになるかもしれません。そのためには私がアマリールを止める、あるいは別の薬に変えてみるという方法もあります。しかし、私個人の治療という立場で考えれば、効いている薬を敢えて止めることはないのです。医学の研究のために人体実験を志願する必要はないわけです。

ガンの休眠療法を行なっているUクリニックのU先生も、ブログで「ガンも人それぞれ、ある人に効いた抗がん剤が別の人には効かない、このガンに効くというエビデンスのない抗がん剤が効くこともある。」などと書かれています。だから、患者のガンを観察しながら抗がん剤の種類と量を決めていくんだと。つまりオーダーメイドのガン治療です。そこにはエビデンスでは決められない医者の長年の経験と勘があります。

薬が効く効かないは、患者個人を見て決めるのであり、有名なガン病院のように、このガンにはこの薬をこの量と間隔でと一律に決めることなどできません。鼻の形が違うように人間の臓器は形もさまざまであり、臓器の性格も違うのが当たり前です。こうした治療の姿勢で患者に対していると、きちんとしたエビデンスなんかがあるはずはないのです。私にはアマリールが効いている、だからそれを続ければよい。私自身がエビデンスです。

代替医療であれ現代医療であれ、患者個人の症状を見て治療をするのがあるべき姿だとおもいます。しかし、ガンの専門大病院では、血液検査の値が第一で、聴診器で患者を診察するということはほとんどありません。

代替医療の多くは、患者の身体全体を治そうとする、長期的に体質を変えようとするものです。漢方薬などは同じ病名の患者でも、患者に応じて使う薬が違います。ですから、「エビデンスに基づく医療」という考え方自体が、現代医療を前提とした仕組みであり、代替医療には不都合だと言えます。

こうしてみると、科学的かどうかの線引きは非常に難しい問題だということがよく分かります。ではガン患者である我々はどうすればよいのか。何を頼りにガンと闘えばよいのでしょうか? (つづく)

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2008年9月 9日 (火)

代替医療はニセ科学か(3)

ホメオパシー

ホメオパシーは、「同様なものは同様なものを治すという類似の法則がある」いう考えの基に、ドイツの医師ハーネマンが、1810年の著書「オルガノン」によって提唱した代替医療である。ある症状を引き起こす物質を限りなく希釈して、その病気の患者に投与すると霊的な治癒能力を引き起こすとされている。

レメディと呼ばれるその薬は、限りなく希釈される。例えば30xとは10倍に希釈する作業を30回行なう。中には300c(100倍に希釈する作業を300回繰り返す)というものもある。こうしてもとの物質は「1分子」も残らないほど希釈される。30xではもとの物質は10^30分の1に、300cではなんと10^30000分の1に希釈される。宇宙に存在する原子の総数が10^80程度とされているから、300cに薄めた溶液の中には1分子も残らないことになる。30xでは東京都の水がめである矢木沢ダムに1滴のインクを垂らした方がまだ濃度が濃いほどだ。元の物質の「記憶が水に残る」ことで治癒力を得られるから薄いほどよいのだという考えだが、水にどういう機序で「記憶」が残るのか、「記憶」とはなにかは全く理解不能である。激しく振動している水分子に、どういう「記憶」が残るのか、熱運動によっても破壊されない「記憶」とはなにか。ほかの不純物の「記憶」はどうして残らないのか。

アボガドロ数という概念を知らなかったハーネマンがおかしな理論を提唱することは無理がないとしても、現在でもそれを不思議と思わない人間がたくさんいるということが驚きである。ただ救いはある。レメディは単なる水(を垂らした砂糖)であるから、副作用はあり得ない。治ることはなくても死ぬこともまたあり得ない。「ニセ科学」の代表的な代替医療といっても良いだろう。

アンドルー・ワイルの統合医療20080909143733697_0001
アンドルー・ワイルは現在最も知られた統合医療家でヒーラーである。彼の著書「癒す心、治る力」は全米でベストセラーを続けており、日本でも支持されている。1999年4月、アリゾナ大学健康科学センターにおいて、代替医療の有効性に否定的なアーノルド・レルマンと、肯定派のアンドルー・ワイルがディベート討論をした記録「ディベート討論 代替医療はほんとうに有効か」(オルタナティブ・メディスン別冊)がある。

レルマンは、「代替医療の実践者たちは、心や思念の力を信じ、その力によって物理的現象を変化させたり、疾病を治したりすることが可能だと信じています。これは、基本的に物理学の法則や自然に対する現在科学的観点とは相反する考え方なのです。・・・個人の主観的経験が事実を100%証明するものと確信しているようで、その方法がほんとうに有効であるかどうかを評価するためには、客観的な統計学的に有意なデータを得る必要があるということを、ほとんどが理解していません。」と代替医療に「ニセ科学」との烙印を押す。

一方アンドルー・ワイルは「患者さんに・・・ある方法を試してみて、それが有効であることに気づいたなら、もうそれ以上患者さんに対して効果を証明する必要はありません。治療の有効性を確かめてもらうために、医学雑誌を見せて無作為二重盲検試験の論文を読んでもらう必要などないのです。・・・現在、正当医学で使用されている治療法のうち、厳密な試験を受けているものは30%に満たないとされています。・・・たとえば(心臓の)冠動脈バイパス形成術なども、その効果が証明されていない患者に対して使われています。」と反論している。そして、正当医学を否定しているのではなく、正当医学との統合を目指しているのだと主張する。

「量子論について」

レルマンが、「ワインバーグといった有名な物理学者はほとんど皆、量子理論は、物理的事象への人間の精神の作用についてはまったく触れておらず、非物理的原因によって物理的現象が起きるという考え方を裏付けるようなものではないと述べています。」と質問を出している。それに対してワイルは、ルイス・トーマス博士のコスモス・クラブ賞受賞の際のスピーチを引用し「深い催眠状態にある人の腕に、これはとても熱いですよと言いながら鉛筆を押し当てると、ほんとうに水疱ができてしまうという実験がある。つまり皮膚の特定の部位に自ら火傷をつくり出す方法や、血管やリンパ球や組織中のいろいろな成分に指示してイボを消させる方法を、人間の中枢神経系が知っているというのなら、人間の神経系はすでに生物医学の知識をはるかに超えたところまで進化しているということだ。・・・私が痛感するのは、量子理論のほんとうの意味をなかなか直視なさらない物理学者がたくさんいるということです。量子理論は明らかに、観察者である研究者の気持ちが観察の対象物に影響を及ぼすということを示しているにもかかわらず、物理学者は、仮想の世界の存在である原始未満の粒子を現実の世界へ持ってこようとはしないのです。」と答えている。

ここにはワイルの誤解がある。これはハイゼンベルクの「不確定性原理」を指しているのだと思われるが、不確定性原理は対象物の「運動量」と「位置」を同時に厳密にに知る方法はない、としているのであり、極微の世界で「見る」ということは対象に波長の短い光の粒子を当てるということで、その行為によって対象が影響を受けるということである。(もっとも不確定性原理に対する解釈はいろいろあり、定まっているとは言えないかもしれない)
ただ、人間の「気持ちが対象物に影響を及ぼす」というワイルの主張を指示していないことは確かである。量子論の世界では「シュレーディンガーの猫」というおもしろい思考実験(パラドックス)もあり、その解釈につていて論争が続いている。一つの解釈にエヴェレット解釈というのがあり、多世界解釈ともいわれるが、世界はあらゆる瞬間からたくさんの世界に分岐して存在しているのだというものである。これらの解釈の一部に「観察者が箱を開けて結果を知るという行為によって、結果が左右される」という考えがあり、ワイルの主張はこのあたりを根拠にしているのではないかと思われる。

しかし、これらは「ミクロのレベル」での量子的な話であり、人間の体(化学反応の集積)における分子レベルでは問題にはならないし、適用するほうが無理であろう。

ワイルの統合医療の考えは、身体的・精神的・霊性という3分野を対象としているが、「霊性」といわれる部分においては「ニセ科学」だと言ってよいように思う。ただ、科学的でないから役に立たないと言っているのではない。「霊性」的な要素を考えることは効果があるかもしれないが、それが科学的かどうかは別の問題である。ワイルがよく持ち出す、念じることによってイボが消失する例や催眠状態の人の腕に水疱ができるという例に関して、残念ながらレルマンからは反論がない。

先に紹介した「疑似科学と科学の哲学」において、代替医療の特徴として、

  1. 全体的な視点の強調
    「患部」でなく、体全体がよくならないと病気は治らない
  2. 精神的な側面の強調
    心と体の結びつきを重視する。ただ神秘的な「霊性」を重視するものから「ストレスをためない」というレベルまで温度差がある
  3. 自然治癒力の信頼
    医療は自然治癒力を助けるものであり、治すのは本人である。神秘的な「生命力」に訴える流派から、正当医学でも認めている治癒力まで、ここでも温度差がある
  4. 古代からの知恵の尊重Watasitatiha
    伝統医療や民間療法を基礎に置くものが多い。

を挙げている。代替医療が批判されるのは、正当医学でも認められている穏健な 主張をするものから、いかがわしいものまでが連続的につながっていて、穏健な主張がいかがわしい主張に利用されがちだという点にある。カイロプラクティックは腰痛などに効果があることは正当医学も認めているが、脊柱のゆがみを直すことでガンも治ると主張することがある。また、安保免疫学は、心のありようが白血球数に影響を与えるという点では正当医学だと言えるだろうが、ストレスをなくせばガンも治る、抗がん剤も手術もかえって悪影響であると断言する。代替医療が疑似科学(ニセ科学)といわれるのは、こうした文脈においてである。(つづく)

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2008年9月 5日 (金)

代替医療はニセ科学か(2)

ルルドの奇跡Photo_2

5月31日に、国際フォーラムで小椋佳のトリビュート・コンサートに行ったのですが、 ゲ ストのえりさん(伊東恵里)の歌声には感激しました。武蔵野音大で声楽を学んだ歌手で女優。ディズニー映画の吹き替えによく出てくるようです。ミュージカル座の「ルルドの奇跡」で主演のベルナデット役を演じ、東京芸術劇場ミュ-ジカル月間優秀賞を受賞しています。

  ←再生できます。

ルルドの泉の奇跡については、Dr.ワイルの本などでも紹介されています。1858年、ピレネー山脈の麓にある小さな町ルルドにすむ14歳の少女ベルナデットがマッサビエルの洞窟のそばで薪拾いをしているとき、聖母マリアを見たという話で、マリアの言葉通りに湧き出した泉にはあらゆる病気を治癒する不思議な力があるということです。今では年間500万人もの巡礼者があり観光名所にもなっています。

奇跡的治癒であるかどうかは、ルルドの医療局が認定します。その基準は大変厳しく、「医療不可能な難病であること、治療なしで突然に完全に治 ること、再発しないこと、医学による説明が不可能であること」ということです。

これまでに6700件の「奇跡」の自己申告があり、そのうち2500件が「説明不可能な治癒」とされていますが、医療局により認定されたのは67件だけです。ガンはたったの3件しかありません。泉が発見されてから150年以上ですから、年間500万人は最近のこととして、少なく見積もっても100万人/年の巡礼者がいたとします。150年間で1億5000万人の巡礼者があったことになりますから、自己申告のあった6700件でさえ、0.005%にしかなりませ513tpydk7ml_sl500_aa240_ん。

カール・セーガンは彼の最後の著作「科学と悪霊を語る」の中で、「ガン全体 でおおざっぱに言えば1万から10万人に一人は自然治癒するが、泉を訪れた人のうち5%がガンに苦しむ人だったとすると、そのうち50人~500人の人々からガンが治癒したという報告があっても良いはず」だと書いています。家でおとなしく療養していた方がましではないかと。「奇跡」といわれているものは多くはプラシーボ効果ではないかという懐疑主義派からの主張です。(奇跡を支持する側からは、医者に見放された巡礼者だから少ないのは当たり前、自己申告しないものが数倍はいるはず、という反論もあるそうですが・・・)

数字にだまされない

「○○でガンが治った」というときに、「何人が対象で、治らなかった人はどれくらいいるのか」ということを確認しなければなりません。人間は、自分が得たいと考えているものはよく覚えている(書く)が、期待に添わないものは忘れる傾向があります。架空の体験談をでっち上げたバイブル本で、アガリクスを売りまくった史輝出版の犯罪例もあります。私は、史輝出版から本を出したことのある人間の書いたものは一切信用しないように用心しています。

常識で考える

昔競馬予想に凝ったことがありました。20年以上も前のことです。まだパソコンが「マイコン」といわれていた頃、競馬予想ソフトを作って一発儲けようという考えです。おかげで統計学の勉強にはなりましたが、「強い馬を予想して勝ち馬を当てても、儲けることはできない」ということが分かりました。強い馬を予想しても配当が低くなるからです。「弱い」と思われている馬がどのレースで勝つかを予想しない限り利益は出ないということです。そのためにはどうするか? オッズを時系列で分析し、あり得ないような馬券の購入があった馬を探すことにしました。ようするに八百長レースを探してそれに参加するということです。八百長とは言えなくても「演出」されたレースが1日に2レースくらいはあると思いました。
これで負けることはなくなりました。なにしろ万馬券しか狙わないのですから。「演出」されたレースは高配当になるわけですから、50倍以下は買わないのです。

利益は出ました。しかしそのために土日は9時から16時までパソコンの前に貼り付けの状態です。これでは僅かの儲けのために時間が無駄になります。労力を考えたらペイしません。こんなことを続けていたらガンになるに決まっています(実際直腸ガンになりました。これが原因かどうかはもちろん分かりません)

ちまたには攻略本というのがあふれています。競馬・競輪・パチンコ・・・。でもここで常識で考えてください。本当に確実に儲かる方法があれば、私なら世間に公表はしません。そんな手間ヒマをかけるより、自分でその馬券を買った方が簡単に金が手に入ります。どうして原稿を書き、出版をするというやっかいなことをする必要があるでしょうか。

ガン治療も同じです。本当に効果のある治療法・薬なら、世界の大製薬会社が放っておきません。株式関係のニュースでは、「○○製薬が新しいガンの治験を始めた」というだけでその会社の株が値上がりします。うまく成功すれば莫大な利益が転がり込みます。バイブル本などという面倒なことをしなくても、きちんとデータと結果を公表すれば莫大な利益になるのです。ガン患者を助けることにもなり、感謝されます。「治験をするには金も時間もかかる」という反論もありえます。ならば少なくとも、何人に試して何人に効果があったのか、何人が効果がなくて死んだのか、というデータくらいは公表すればよいのではないでしょうか。

アラビノキシランで進行ガンが治ったというJackさんのお父さんの例を疑っているのではありません。ブログの内容は相当程度信用できるものだろうと感じています。ガンは治るのです。しかし、自然治癒することもあるのですから、科学的に判断するには統計処理と二重盲検法によるチェックが必要だということです。

しかし、代替医療はそもそも統計処理にはなじまないという意見があります。統計処理するためには数量化されたデータが必要ですが、多くの代替医療は、効果を数量化することが困難です。 (つづく)

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2008年9月 3日 (水)

代替医療はニセ科学か(1)

アラビノキシランで進行胃がんが治った

Jackさんのブロに、余命3ヶ月と言われながら、手術もせずに進行胃がんを完治させたお父さんの闘病記が載せられています。

 2006年12月に、進行胃がん、ステージ4、肝臓始め大腸・リンパ節他体中に転移…腹膜播種(ふくまくはしゅ)、骨盤底に腹水、・・・手術不能。--もっても1年、悪ければ余命3ヵ月--との宣告を受けます。しかし手術も受けず(というか、手術不能の状態)に、高品質のアラビノキシランを服用することで3ヶ月でガンが消失してしまった。

病院についた私と家族は、CT検査の結果が待ちきれず、医師のところへ出向いた。
…CT検査の結果は、すでに出ていた。
そして皆で、その写真を見せてもらった…

「え??」

「癌が…消えている???」

…そうなのだ、癌が「消えて」いるのだ!父の胃の部分に大きく影となっていた癌が、
肝臓にあった影が、大腸部分が、他にバラバラとあった影が、無くなっているのだ!

----「残っているのは、この胃と肝臓の間にあるリンパの部分だけですね…
それも、10cmあったものが5cmに縮小していますね。あとは全部消滅しています」
…医師が告げた。

あまりのことに、私は自分の目を疑った。夢を見ているのではないのか…
つい一昨日、胃カメラで見たときには、まだ胃の底に少しだが癌細胞が残っていたのだ。
それが跡形も無く消えてしまっている。たった二日で消えてしまうとは!!
何ときれいな胃に戻った事か!
私が心配していた肝臓転移の癌も無い!
散らばっていた小さな癌も、跡形も無いのだ!
…嘘ではない。自分のこの目で確かめたのだから。(CT画像のページ参照)

転移部分は、リンパの部分を1箇所残し、あとは全て消滅していた。
その残ったリンパ部も、当初10cmもあったものが、なんと5cmまで縮小しているのだ!

すばらしい体験談であり、闘病記ですね。高品質のアラビノキシランはそんなに効果的なのでしょうか? 抗がん剤も放射線治療も併用していたわけですから、何が効いたのかは特定できません。しかし、通常の標準的治療ではこうした奇蹟的な回復はまさに「奇跡的」にしか起こらないことも事実です。Jackさんも次のように書かれています。

…私の父と同じように、皆様全員がこの代替療法で「絶対に治ります」とは申し上げられません。
様々な効能をもつ機能性食品であっても、化学療法と同様に効果の「個体差」はあり、各人によって効果の出方は変わります。

私が言いたいのは、がんでも健康であっても免疫力を向上させることが、がん治療および健康促進の一番の近道である、ということです。
がんに打ち勝つ免疫力をつけるには、高性能な機能性食品を軸とし、食事、水、ストレス、睡眠、運動、体温、スピリチュアル…など、生活全般の
トータルバランス=総合力をもって対処することです。そうでなければ、がんには太刀打ちできません。

私の考えも同じです。つまり、「○○でガンが治った」という闘病記はたくさんあります。しかも○○にはいろいろのものが当てはまります。アガリクスかもしれないし、フコイダンかもしれない。サメの軟骨やプロポリスもあります。(中にはでっち上げたものも多いが・・・特にバイブル本に書かれたことは全てでっち上げだと思って間違いない)

私たちガン患者が信じてもよいのは、「末期ガンでも治る」という「事実」です。この事実はたくさんあります。1万人に1件という人もいれば、いや100人に1人はいるという人もいます。ガン=死ではないということです。しかし、これをやれば絶対に治るという方法もまたありません。治る可能性・確率が高くなるかもしれない、という程度です。

しかし、それは現代医療でも同じことです。手術以外にはガンを完治させる方法はありません。放射線も抗がん剤も「延命効果」しかないのですから。

アラビノキシランの成分であるL-アラビノースについては、厚生労働省の「素材情報データベース」に載っています。ただ、「アラビノースを関与成分とし、「血糖値が気になる方に適する」旨の表示ができる特定保健用食品が許可されている。」という以外は、全ての項目で「調べた文献の中に見あたらない」と書かれています。

私も少し調べましたが、アマゾンでいくつかの書籍があったので図書館で借りてみました。『難病を癒す免疫療法-病気の「原因治し」と免疫強化物質アラビノキシラン』-鶴見隆史著でしたが、内容が陳腐でよく理解できませんでした。著者が悪いのでしょう。江本勝流のニセ科学の見本とも言える「波動測定器」を使って効果を測定し、「だから効くのだ」という論理です。まともに読む気もしないで閉じてしまいました。帯津良一氏の監修した本もあるのですが、金を出してまで読む気がしません。510fv5mwxzl_sl500_aa240_

ニセ科学

ガン患者の弱みにつけ込んだニセ科学があります。気をつけましょう。では代替医療はすべて「ニセ科学」なのでしょうか。そんなことを考えてみます。

まだ勢いが衰えないようですが、「マイナスイオン」はニセ科学の代表でしょう。トルマリンは一時よく売れたようです。マーティン・ガードナーはその著書「奇妙な論理」の中でたくさんの「疑似科学」を列挙しているが、代替医療として、

を挙げている。有機農業も疑似科学に含まれている。もっともこの本が書かれたのが1952年ごろだから、その当時の知識を反映したものでしょう。

代替医療は全て「ニセ科学(疑似科学)」なのだろうか。科学哲学の分野では、どこからを科学とし、どこからを疑似科学とするのかを決定する「線引き問題」の論争が続いています。そうした科学哲学を紹介した本に「疑似科学と科学の哲学」(伊勢田哲治)があります。この本の第4章では、「代替医療を題材に 科学と疑似科学と社会」の問題を扱っています。(つづく)

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2008年8月30日 (土)

抗がんサプリメント

日本と欧米ではサプリメントに対する考え方が違うようです。日本では「ガンに効く」「これで○○ガンが完全に消えた!」などという宣伝で売られています。もっとも、○○に効くと宣伝すると薬事法違反になるので、バイブル本という形をとって売られています。いかにもその道の権威らしき何とか医学博士が登場して本を出版する、その本の巻末にはサプリメントの販売先が書かれているというパターンです。

藁をも掴みたいガン患者の心理を利用して、悪徳な金儲けの輩が跋扈している519679ngprl_sl500_aa240_のです。対してアメリカでは政府がサプリメントの臨床試験を行なっています。臨床試験には莫大な金がかかりますから、中小の企業では試験を行なう体力はないでしょう。そこでNIH(国立衛生研究所)やNCCAM(国立補完代替医療センター)を設けて試験を行なっているのです。

日本人の多くは、標準的治療で治らないといわれたガンに効く「魔法の薬」として、サプリメントを飲んでいるのですが、欧米では毎日の健康を維持するため、ガンを予防するために利用しているのです。食生活を改善し、自然志向を進めながら足りないものをサプリメントで補うという考え方です。Dr.ワイルもこうした考え方で「心身自在」などの本を書いて8週間のプログラムなどを紹介しているのです。私が前回のブログでワイルのビタミンCなどの服用を考えてみようかと書いたのも、健康維持・免疫力の改善、ひいては再発してもガンと闘うことのできる体力を付けるためです。

「抗がんサプリメントの効用と副作用  徹底検証」は、キャンサーネット・ジャパンの編集で、こうしたサプリメントの科学的データを検証した本です。主として世界最大の医療データベースPubMedに収録された1000万件の研究報告からサプリメントが効くのかどう かを調査したものです。この本の結論では、サメの軟骨・プロポリス・アガリクス・AHCCなど、ほとんどのサプリメントにはガンに効くという研究結果は存在しません。高麗人参などごくわずかが「期待が持てる」という程度です。枇杷の葉温灸でアミグダリンが有効だといわれているようですが、アメリカではアミグダリンのサプリメントは違法です。

私も以51ejbpgphal_sl500_aa240_前にこのPubMedでAHCCについて検索したことがあります。いくつかのヒットがありましたが、マウスでの実験レベルの研究報告しかありませんでした。日本では関西医科大学でAHCCに関するいくつかの研究がありますが、発表しているのがAHCCのメーカー・アミノアップ化学の研究者であったりします。実は大学には寄付講座という仕組みがあり、メーカーが資金を出して大学の講座を開くという制度です。アミノアップ化学がこの大学に寄付講座を提供していることはあまり知られていないようです。これも一種の「バイブル本」商法と言えるかもしれません。

逆に抗がんサプリメントの服用でガンが悪化するという指摘もあります。「あぶない抗がんサプリメント」はサプリメントを過信することへの警鐘です。Daitai

日本補完代替医療学会が出している「がんの補完代替利用ガイドブック」が参考 になります。

NIHなど、懐かしい名前が出てきました。懐かしいというのは、以前にNIH Imageという画像処理ソフトを使っていたからです。Mac上で動く医療画像のソフトですが、それのWindows番がScion Imageで、仕事に使っていました。日本では厚生労働省が画像処理ソフトを作成して無料で配布することなんか想像することもできません。わが国の政府との間には、考え方において大きな隔たりがあります。

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2008年8月29日 (金)

癌研の定期検査

約4ヶ月ぶりの癌研での定期検査。といっても血液検査だけです。

腫瘍マーカーの値はCEAが3.8と、変化なしで正常値の範囲内です。CA19-9は21.1と、前回の31.2から大きく減少していました。退院後これらの数値が正常値の範囲内ではあるが、ずっと右肩上がりを続けていたので、念のためにとPET-CTを撮ったりしてきたのですが、今回の値を見る限り安定してきたようです。

白血球数も4400個/μlで、増加しています。リンパ球の割合は46.9%でしたから、リンパ球の実数は約2000となります。免疫力を維持できているといわれる数値が1800~2100以上ですから、免疫力もそこそこ回復してきているようです。

ただ、全体の白血球数をもう少し増やしておくべきだと思っています。これまでは玄米菜食と運動、ストレスをためない生活ということを中心にしてきました。サプリメントには手を出さないできたのですが、有効性の実証されている範囲内で妥当なサプリメントを探した方がよいのかもしれません。再発させない、転移させないためには、自分の免疫力を高めること以外にはありません。

私の過去の白血球数を見ると、2005年4月-3800というような値でした。手術の2年前ですが、このころには相当免疫力が下がってきていたのが分かります。これで無理は仕事や生活を続けていたのですから、ガンになるのは当たり前です。ガンは自分が作ったという所以でしょう。もちろん白血球数は免疫力のごく一部の指標にしか過ぎません。解明されていない免疫という能力を、簡単に推し量ることのできる便利な指標と考えるべきだと思います。

サプリメント選択の基準は、①第三者により効果が実証されていること、②高価でないこと、③身体に害のないこと、副作用のないこと、です。

Dr.ワイルは「癒す心、治る力」で、

朝食時  ビタミンC         1000~2000mg
      天然βカロチン  25000IU
昼食時  天然ビタミンE      400IU
      セレニウム      200~300μg
夕食時  ビタミンC         1000~2000mg

を推奨しているようです。抗酸化作用により細胞中のフリーラジカルを抑制する効果が主なようです。
Dr.ワイルはご自身のHPでサプリメントやその他の相談にも応じているようですね。

ビタミンCの大量投与には抗がん作用があるということは、多くの研究がされているので有効性はあるはずです。

しかしこの量のビタミンを摂るとすると、国内のメーカの製品ではずいぶん高価になってしまいます。欧米ではこうしたサプリメントの普及が日本以上に盛んなようで、品質の良い商品が妥当な価格で購入できそうです。Dr.ワイルの勧める量を摂っても、一ヶ月3000円程度で収まります。これなら継続してやれそうです。こうしたサプリメントは継続することで身体の基礎免疫力を高めるのが目的ですから、一ヶ月数万円もするようでは継続していくことは難しいと思います。

楽天市場で探せば、アメリカからクロネコ国際便で送ってくれる業者がいくつかあります。Dr.ワイルが勧める十数種類のビタミン類をバランスよく配合したというような製品も登場しています。ワイル博士の写真がラベルに使用されていて、売り上げの一部が「自発的治癒」の普及に提供されるらしいことが書かれています。

ともあれ、もう少し自分で調査してから考えることにします。

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2008年8月28日 (木)

ガンと言われたら・・・この本は急いで読んでおく

前回の続きです。

書き方も下手なのか、前回のブログは難しすぎてよく分からないという批判もいただきました。私の言いたかったのはただ単に「宇宙のことも人間の身体のことも、まだ私たちには知らないことがたくさんある」ということだけです。だから現代医療では完全治癒は困難だといわれてもあきらめる必要はないのだということです。

現にガンが数日間、数ヶ月で退縮している人がたくさんいるのですから。人間の免疫システムは驚異的な力を備えているらしいということを信じてほしいのです。人類が進化の過程で放射線や環境からのさまざまな攻撃を受けてきたにもかかわらず、こうして生き延びているということ自体が驚異的なことです。遺伝子の損傷が絶えず起きているにも関わらす、免疫系は静かに、私たちが気づかない間に、修復を続けているのです。ガンになったのは、その免疫系の能力を超えてしまったからです。だったら免疫系の能力を強化すればよいでしょう。

月の引力によって潮の満ち引きが起きることは小学生でも知っています。また女性の生理周期が28日という月の周期に影響を受けていることもよく知られた事実です。宇宙の全質量のうち、星やニュートリノが占める割合は5%以下であり、暗黒物質といわれるものが23%、暗黒エネルギーが73%を占めているそうです。
形のある物質としての星や銀河、その20倍以上もの質量(E=mC^2で表わされるように、質量とエネルギーは、相対性理論によれば同等です)の暗黒物質や暗黒エネルギーがこの宇宙に存在しています。この膨大なエネルギー=質量が、月と同じように私たちの身体に何らかの影響を与えているということも有り得るのかもしれません。

癌といわれたとき、最初に読むべき本-代替医療に関して

ガンとの闘いは情報戦です。しっかりと情報を集めて、自分自身の戦略を立てて闘うことが大事です。

しかし膵臓ガンの場合はのんびりと情報を集めている余裕がありません。私は幸い一年を生き延びることができたおかげで、やっと今の考えに到達することができました。そして振り返ってみて、あちらこちらに情報収集の手を広げましたが、この情報は早くつかんでおくべきだったなぁという反省があります。

現代医療に関する情報はがんセンターやたくさんのサイトから、あるいは書籍から得ることができるでしょう。しかし、代替医療に関しては、多くの情報がありすぎ、中にはいかがわしいものをあり、時間のない患者は焦るばかりです。なるべく早くに読んでおくべき書籍は次の2冊だと言えます。

  • がんになったとき真っ先に読む本  帯津良一
    こころの有り様の大切さを知りましょう
  • ガンに打ち勝つ患者学  グレッグ・アンダーソン
    15,000人の、末期ガンからのサバイバーの経験から、ガンから生還するための八つの戦略と、ガンの告知の時期からやるべきことを、50のステップで説明しています。

余裕が出てきたら、次のものも是非読んでおくべきでしょう。

  • 癒す心、治る力  アンドルー・ワイル
    自発的治癒とそれを引き起こすための戦略。2ヶ月の計画で治癒系を最大限に引き出す方法。(より具体的な2ヶ月の計画は「心身自在」の書籍で説明されています。)
  • がんのイメージ・コントロール法 川端伸子
    サイモントン療法の説明と具体的な実行方法。瞑想のCDがついてすぐに試すことができます。
  • 玄米菜食に関する本
    たくさんありますからその中の一冊を。東城百合子氏の「食生活が人生を変える」などがよいようです。

これらのすべての著作に共通しているのは、「こころ」のありようが決定的に重要だということ。がんは治る病気だということでしょう。

  • 「人間はなぜ治るのか」DVD ガンの患者学研究所のサイトから、主宰者の川竹文夫さんがNHK時代に作成し大反響だった、「人間はなぜ治るのか」のDVDを借りることができます。

活字ではなくDVDで、実際のサバイバーの話を聞くことで大きな希望を与えてくれます。ただこの会は、安保免疫学の安保徹氏が頻繁に登場すること、抗がん剤などの現代医療を否定しているように見えることなどが、私としては受け入れがたいように思われます。アンダーソンは上記の「ガンに打ち勝つ患者学」の八つの戦略の第一番に、「ガンから生きのびた人たちの96パーセント以上が、伝統的な医学を土台にした治療プログラムから出発し、それを成し遂げていた」と書いています。私も現代医療を全面的に否定する考えには反対です。

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2008年8月19日 (火)

銀河系と治癒系

2月9日のこのブログで蔵本由紀著「非線形科学」を紹介しました。本の帯には「生命体から、非生命体まで、森羅万象を形づくる、隠された法則とは?」と書かれていました。

今日のテーマは「森羅万象に通じた法則」があるのなら、それとガンの治癒との関係を考えてみようということです。

フラクタルな性質を例に挙げれば、海岸線や雲、河川と毛細血管の枝分かれパターン、稲妻と壁のひび割れ、銀河団の分布構造、これらが同じフラクタル 性を持っているが、これらはどのような物理的プロセスによって形成されているのか? そこにはまだ人間が知ることのない普遍的メカニズムがあるはずだとい うことを確信させてくれます。
「非線形科学」はマクロの現象を、要素に分解しないでマクロのままとらえようとする科学です。自然はなお奥深く、人類はまだそのほんの一部しか知っていないのでしょう。Koch_curve

フラクタルとは、全体の一部・部分が全体と相似である構造、ということができるのですが、よく知られているのは右のようなコッホ曲線です。

稲妻・ひび割れ、血管、樹木、海岸線、銀河の分布、株価の変動などにフラクタル図形を見ることができます。Cavernodsa

フラクタルな性質を示す自然のパターンはたくさんあり、これまでは単に雑然としていると考えられていたものの中に、多くの秩序が秘められているということが分かりつつあります。自然あるいは宇宙には、まだ人類が知らない広範な諸現象に共有される普遍的メカニズムが存在しているということを示唆しているのです。

カオス図形において現われるファイゲンバウム定数というものがあります。ロジスティック写像などの分岐図において等比級数の公比の逆数δとして定義され、

δ=4.669201609・・・・・・・・・

となることが知られています。この値は無限回の周期倍化分岐を通